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(書評) 『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』

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Academic year: 2021

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木暮太一 著 (星海社 2012年4月25日)

『僕たちはいつまでこんな働き方を

続けるのか?』

(星海社新書)

<木暮 太一氏の略歴と今日までの主な業績> 1977年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フィルム、サ イバーエージェント、リクルートを経て、独立。著者は学生時代から、“難し いことを簡単に説明すること”に定評があり、大学時代に自作で作った経済学 の解説本が学内で爆発的にヒット。現在でも経済学部の必読書としてロングセ ラーに。現在、著者は新進気鋭のビジネス作家、マトマ出版社の経営者、経済 ジャーナリスト、毎日小学新聞にて経済解説、NHK「ニッポンのジレンマ」、 TBS「よるべん」など複数の顔を持っている。30代半ばにして、その他に30 数冊の著書を出版している。

<本書の著者に論理的視座を教えてくれた2冊の本と二人の先生> ノルマを達成できない。いくら全力で走っても、一向に前には進めない。ま るでラットレースである。生活が苦しいので夫婦共働きを選択すると、今度は 子どもを産み育てるのが大変になってくる。「ワークライフバランス」や「残 業ゼロ」などといった言葉を昨今よく聞いたり、見たりするようになったが、 裏を返せば、それが全然実行されていないということを意味しているとも言え

B40判 299頁 ! # % " $ & 860円+税

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る。一部の若い人からは「働いたら負け」という声まであがってくるように なってきた。 著者は大学在学中に経済学の古典:『資本論』(カール・マルクス)と、お金 の哲学を扱った世界的ベストセラー:『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート− キヨハラ:ハワイ在住の投資家)を深く読み込むことによって「資本主義経済 の構造」と「労働の本質」を学んだ。 『資本論』では『金持ち父さん貧乏父さん』のメッセージが理論的に説明さ れている。言い換えると、『金持ち父さん貧乏父さん』における「目指すべき 働き方」の理論的分析であるとも言える。 これらを学ぶことによって、その後の人生が大きく変わったと著者は語って いる。著者は学生時代にこの2冊を読んで、資本主義経済の前提条件を十分に 理解したうえで、「自分の働き方」について考えていかないと、いつまで経っ ても「目指すべき幸せな働き方」には近づけないことを深く理解した。仕事選 びでもなく、根本的な「働き方」について教えてくれる先生はほとんどいない。 この2冊の本と二人の先生に出会っていなければ、いまも毎日しんどい思い をしながら、我慢して働き続けていたと思う、いつか楽になることを夢みなが ら、今日も終電車で帰宅していたはずであると、述懐している。 大学卒業後10年間の会社員生活で、「労働者のリアル」を体感しながら、現 代日本で若者が現実的に選択し得る「幸せな働き方」を追究してきた。その知 見を1冊に凝縮したものが本書である。

<本書の構成―資本主義経済の前提条件に関する理論的・具体的解説内容の概要―> 仕事に関して抱えている具体的な悩みは、ひとそれぞれ違うであろう。 しかし、その悩みの根本には、共通の要因があると考えられる。もはや個別 の企業や仕事ではなく、資本主義経済自体に問題があるのである。おそらくほ とんどの人が、この「根底」にある問題に気づかず、表面に表れている企業の 問題、職種の問題に目を奪われていたからであろう。だから、何年悩んでも解 決策が見い出せなかったのである。

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本書は、第1章から第6章、で構成されている。このような構成で編まれて いる本書全体を通して著者が最も重要視していることは、いちばん重要であり ながら、これまで誰も教えてくれなかった資本主義経済における「目指すべき 働き方」について解説することであると、言っている。 本書の前半(第1章から第4章まで)では、カール・マルクスの『資本論』 をベースにして、資本主義経済の構造・仕組みと、労働者の置かれている状況 について順番に述べている。私たちが今どういう世界に生きているのかを知る ことから、思考をスタートさせなければならないことを著者は強調している。 本書は著者自身による自問自答形式で各章を編んでいるところに特徴がある。 ■第1章:僕たちの「給料」は、なぜその金額なのか?/第2章:僕たちは、 「利益」のために限界まで働かされる!/第3章:僕たちは、どうすれば「高い 給料」をもらえるようになるのか?/第4章:年収1000万円になっても、僕た ちには「激務」だけが残る 私たちの「給料の金額」は、なんとなく、慣例的に「ある方程式」に従って 決められている。これに関しては経済学が教えてくれる。給料の決まり方には、 ①必要経費方式と②利益分け前方式(成果報酬方式)の2種類がある。①の方 式を採用しているのが、主に伝統的な日本企業である。その社員を家族として 考え、その家族が生活できる分のお金を給料として支払っている。これが「必 要方式」という考え方である。日本企業の社員への給料も「経費の積み上げ」 によって決まっている。社員という家族が生活するのに必要なお金を算出して、 その分を支払っている。②の方式を採用している会社として、外資系金融機関 や歩合制で給料が決まる会社である。 最近日本でも「成果主義」を取り入れるケースが増えてきているが、“日本 型成果主義”の多くは、成果に応じて「多少のプラスアルファー」をもとの給 料に上乗せしている。もしくは、成果をあげられない場合には多少減らされる だけであって、「利益の分け前方式」のように、その社員があげた成果に、100% 応じて給料が支払われるわけではない。 ここで押さえて置くべき重要な点は、“必要経費方式では、生活に必要なお 金しかもらえない”ということである。給与体系がこのような考え方に基づい

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ていると、「その社員がいくら稼いだか」「いくら会社に利益をもたらしたか」 などの成果・業績と給料は無関係になる。 「あなたの生活に余裕はありますか?」と聞くと、ほとんどの人は「NO」 とこたえるであろう。ここで非常に興味深いのは、あらゆる年収層で「生活に 余裕がない」と感じている方がいるということである。一見“おかしな状況で あり、理解しがたいことである。「お金は、いくらあっても足りない」/「給料 が入ってくるのに、いつの間にか貯蓄がなくなっている」生活に余裕がないこ とを自分の会社のせいだと考える人がいる。そういう人は「うちの給料が安い からだ」「違う会社の給料が安いからだ」「違う会社に転職すれば、生活が楽に なる」と考えている。しかし、実際はそうではない。 もちろん、いわゆる「ブラック企業」に勤めている場合は、超長時間労働、 超低賃金のために、生活に余裕を感じることもないであろう。しかし、一般的 な企業に勤めている人が生活に余裕を感じられないのは、その企業が原因では ないのである。なぜなら、問題の本質は、個別の A 社、B 社、C 社の給与体 系や条件にあるわけでないからである。一見、条件が良さそうに見える同業他 社に転職しても、本質的には何も解決しないのである。転職を繰り返す人は、 考え方を根本から変えない限り、一生「理想の条件」の会社に就職することは できないであろう。 もっと根本に流れている「理屈」を理解し、そのうえで対処法を考えなけれ ば、課題は解決されない。われわれが生活に余裕を感じられないのは、「私た ち自身の働き方」と「給料の構造」、さらには人間の「満足感の本質」にある。 これらのことを知らずに、いくら熱心に仕事に取り組んだとしても、問題は一 向に解決しないのである。わが国の多くの企業の会社員の給料は「生きていく のにこれくらいお金がかかるから、その分を給料として渡そう」という意味で ある。ただし、「生きていくのに」とは、単に「生命を維持する」ということ ではない。「労働者として生きていくのに必要なお金」、つまり“みんなが明日 も同じように働くために必要なお金”という意味である(マルクス経済学では 「労働の再生産コスト」と呼んでいる)。 私たちの給料構造の本質を解き明かすうえで、さらには現代の日本経済の構

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造を知るうえで、『資本論』のなかで使用されている「使用価値」と「価値」と いう用語は、特に重要なキーワードである。これらの用語の意味を知らずして、 給料の構造を理解することはできない。さらには、今後自分がどのように働い ていくべきか、自分にとっての「正しい働き方」とは何か、といった問題を考 えていくこともできない。 『資本論』では、「有益性・有用性」と言う意味で「使用価値」という用語 を使っている。「使用価値がある」とは、その商品やモノを使ってみて意味が ある、何かの役に立つという意味がある。マルクスは「非常に役に立つ(有益 性が高い)商品」を「使用価値が高い商品」と表現した。便利な商品は「使用 価値が高い商品」なのである。例えば、テレビがインターネットに接続されて、 映画を直接ダウンロードできるようになれば、どれだけ「使用価値」が高くな る。更に、『資本論』のなかでの「価値」という用語は、「使用価値」とは異な る概念で使用されている。と同時に、普段私たちが使っている「価値」という 言葉の意味ともまったく異なるものである。この「価値」の意味を正確に把握 することが、私たちの「給料の構造」を理解するためには不可欠であると著者 は強調する。 『資本論』において『ものの価値』は、[それを作るのにどれくらい手間が かかったか]で決まる。つまり、「労力がかかっているもの」「人の手がかかっ ているもの」が「価値を持つ」のである。『資本論』においては、「人の手がか かっているもの」のみに[価値]がある。逆にいえば、取り敢えず人の手がか かってさえいれば、どんなものにも「価値がある」といえる。そして、「価値 の大きさ」は、「その商品を作るのにかかった手間の量」で決まる。「この○○ はΧΧ時間かけて作ったから、すごい価値がある」というようなイメージで ある。 会社員が会社からお金をもらって、会社のために働いている。これはつまり 「自分の労働力を売っている」ということである。それは、労働力も「商品」で あるということである。言い換えると、私たちが自分の時間と自分のエネルギー を使って働く行為自体が「商品」なのである。私たちの「労働力」がスーパー マーケットの棚に陳列されているわけではないが、労働を買いたい人(企業)

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と売りたい人(労働者)が条件交渉をして取引するという意味では、やはり労 働力も「商品」なのである。 しかし、「何があったら、私たちは労働力を売ることができるか?」と言い 換えてみると、イメージしやすいのではないだろうか?要するに「働ける状態 にある」ということである。つまり「労働力を作る」とは、今日1日働いて「エ ネルギー0」の状態から、翌日も働けるようにエネルギー100(満タン)の状 態にまで回復させることだと考えられる。 これをマルクスは「労働力の再生産」と表現している。つまり、「労働力の 価値」とは、労働力の再生産に必要なものの価値の合計なのである。 具体的にはどういうことか?労働者が一日働いて、翌日も働けるようになる ためには、食事をとり、家で寝て休まなければならない。また当然、衣類も必 要である。その他に気晴らしのために飲みにいくことや、友人と連絡を取るた めの携帯電話も必要である。 「労働力の価値」とは、食事の価値、住宅(家賃)の価値、洋服の価値、そ の他の価値の合計である。 労働力という商品の値段も、他の商品と同じように、価値がベースになって 決まる。「労働力という商品の値段」とは、要するに私たちの「給料」のこと である。私たちの給料は、「私たちの労働力の価値」が基準になって決まって いたのである。私たちは、知らず知らずのうちにこのようなルールのなかで生 きているということである。 ●会社はどうやって利益を生みだしているのか? 「利益の生み出し方」を理解することは、すなわち資本主義経済の構造を理 解することにつながるからである。そして同時に、その利益を生み出す過程で、 労働者である私たちがどのように「企業(資本家)」に「貢献」しているのか がわかるからである。換言すると、私たちの行動がどれくらい「企業のもの」 になっているのか?その「目には見えない仕組み」がわかるのである。この疑 問を解くためには、企業の利益が生まれる仕組みと、企業はその利益(余剰金) をどのように増やそうとしているのかについて理解することが大切である。商 品を生産する過程で生まれる「余剰価値」には、①絶対的予剰価値②相対的剰

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余価値③特別剰余価値、3つの種類がある。 ●私たちは、どうすれば「高い給料」をもらえるようになるのか? 若い著者が考えたのが、「自分」を高く買ってもらう方法である。「労働力と いう商品」をどうすれば高く買ってもらえるのか?という一点を理解すること が、答えに近づくヒントであった。労働力も「商品」である。そして一般の商 品と同じ論理で労働力の値段(給料)もきまっている。 第1章から第4章までを費やして著者は、「給料の本質」「資本主義経済の構 造・仕組み」「そのなかで生きる労働者の必然的な運命」「高いお金を払っても らうための条件」について具体例を提示しながら解説している。 ■第5章:僕たちが目指すべき「自己内利益」の増やし方/第6章:僕たちは、 どういう「働き方」を選択すべきか 本書の後半の2つの章では、第1章から第4章までの内容のポイントの理解 を前提にして「わたくしたち労働者はどう働き、どう生きるべきか?」とい う、私たち読者がいちばん知りたいことについて、具体的に説明を展開して いる。 第5章と第6章において、「働き方」のポイントを4つずつ提示している。紙 幅の関係上、①から⑧まで連読して列記することにとどめる。 ●「働き方」のポイントに関するまとめ ①「積み上げ」によって土台を作り、その土台の上でジャンプする―毎回全 力でジャンプするのではなく、高いところに手が届く土台を作る!/②労働 力を「消費」するのではなく「投資」する―目先のキャッシュに惑わされる な!/③長期的な資産を作る仕事を選ぶ―「自己内利益」で会社や仕事を選 ぶ!/④世間相場よりもストレスを感じない仕事を選ぶ―知識・ノウハウは 普及しても「気持ち」は普及しない。/⑤過去からの「積み上げ」ができる 仕事(職種)を選ぶ―「変化が速い業界」では、知識や技術の「賞味期限」が 短い!/⑥変化のスピードが遅い業界・職種をあえて選ぶ―「賞味期限」が長 い知識・経験を身につけろ!/⑦賞味期限が長く、身につけるのが大変で、 高い使用価値のある知識・経験をコツコツ積み上げる―著者が「出版」とい う業界を選んだ理由:労働力の積み上げができるから!/⑧ PL(Profit and

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Loss Statement)<損益計算書>だけでなく、BS(Balance Sheet)<貸借 対照表>も考えて働く(=BS 思考)―「資産を作る仕事を、今日はどれだ けやったか?」!他の人が身につけようと思ってもなかなか身につかない資 産を作る。そして、その資産を使って100の仕事のうち、80をこなす。そ うすれば20の労力で100の仕事をすることができる。これが著者の考える 理想的な働き方である。

< 論 評 > 現代のビジネスパーソンは、就職活動以降、自分の働き方について真剣に考 える機会がほとんどない。一方では成果至上主義に疲れ切っている社会人、仕 事にやりがいを見つけられない公務員、将来が不安でたまらない学生が急激に 増えている。 このような状況に置かれて悩み、苦しんでいる私たち日本の労働者の“しん どい働き方”の実態について表面的な対処方法について書かれた著書というよ りか、“しんどい働き方”を生み出している根本的要因の分析を中心に述べな がら、資本主義経済(社会)における“しんどい働き方”から脱皮するための 根本的な意識改革―目指すべき働き方、幸せな働き方への基本的方策の提示を 試みている著書ということが適切であろう。 資本主義経済社会のなかでの“しんどい働き方”から抜け出せるものなら抜 け出したいと個々の労働者はいろいろと考え、脱皮するための試みを企ててい る。もちろん、もっと良い条件を求めて転職を考える人はいるであろう。しか し、大きな病気や事故、災害などを経験しなければ、自分の働き方、そして生 き方を根本から見つめ直すことは、ほとんどないのではないか。 なぜわが国の医者の給料は介護士(福祉職全般を含めて)の3倍以上なの か? 私たち社会福祉関係者が大いに関心と疑問をもっていることである。今日ま でともすれば、単に主観的、表面的に感じ、考えてきたのではないであろうか。 『資本論』と社会福祉論・社会福祉実践論は水と油のような関係として捉え

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て、真正面から議論してこなかったのではないか。資本主義思想と共産主義思 想として、対立的な立場として捉え、共通の土俵上で議論してこなかったので はないか。もしくは、一部の関係者間で双方が頭から否定し合う不毛なイデオ ロギー的論争で終始していたようにも評者には思える。 “労働力の価値”には、その仕事をするのに必要なスキルを身につける労力 も加算されるということは、そのスキルを身につける労力が大きい仕事は、労 働力の価値が高くなり、よって給料が高くなるということである。 例えば、一部の医者の時給は1万円ともいわれている。一方、一般企業の会 社員の時給は1000円∼3000円である。しかし、この差を「医者の仕事のほう が一般的な仕事よりもむずかしいから」「ひとが生きていくための重要な仕事 をしているから」と捉えてはいけない。もしもこのように捉えれば、給料の本 質が見えなくなってしまうと本書の著者は言っている。 数年前から、「ブラック企業」という言葉が一般化してきている。待遇はそ れほど良くないのに極端に働かされたり、制度が整っておらず労働者としての 権利を享受できないような企業を総称して、「ブラック企業」と呼んでいる。 「九州・沖縄『ブラック企業』抜き打ち調査84% が労基法違反 月間残業 100時間も14%・・・・」(西日本新聞2013年12月28日朝刊)。そして、そうい う企業で過労死などの問題が起きると、「あの企業はブラックだ! 経営者は 何を考えているんだ!」と一気に世間から非難される。 しかし本来、資本主義経済のなかで働くということは、(法律の範囲内で)ギ リギリまで働かされることを意味しているのではないだろうか(カネか生命 か)。程度の差はあれ、資本主義経済のなかで生きる企業は、みんな元来「ブ ラック」なのであると考えるのが現実的ではないのか。産業革命以降、資本主 義が本格的に立ち上がった。約200年前の話である。その時点から企業は、労 働者をギリギリまで働かせて利益を生み出して来ている。これが、200年間変 わらない世界である。そういう仕組みでできているのが、資本主義なのである。 著者は本書を通して単純に「企業が悪い!経営者はみんな悪者だ!」と言い たいのではない。むしろ「労働者の働き方に責任があるのは、労働者自身であ る」ということを伝えたいと、強調していることの重要性をしっかりと受け止

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めなくてはならないと評者は共感した。決して評者は、増大して来ている「ブ ラック企業」の存在を肯定する考えはないということを、更に「社蓄」とか 「追い出し部屋」という言葉で表現されているような実態がすべてなくなっ て、すべての企業が「ホワイト企業」であって欲しいと願っているひとりで ある。 現代の日本では、その資本主義の世界のなかでどう振る舞うかは、労働者各 自に委ねられている。少なくとも法律上は、自分で自由に判断して、自由に行 動することが許されている。ところが、多くの人は自分の働き方に関してあま りにも無関心で、考えようとしていない。その結果として、資本主義の世界に どっぷり浸かり、完全に資本主義のルールのなかで「搾取」されているのであ る。このように考えると、その企業を「ブラック」にしているのは「われわれ 自身」なのかもしれない。企業がブラックなのではなく、自分で自分を「ブラッ クな働き方」に追い込んでいるのかもしれないとも思われる。そこから抜け出 すためには、一人ひとりが自分の頭で考えていく以外には解決の道は見い出せ ないであろう。どうすればブラックな働き方をしないで済むのか?資本主義の なかで幸せに暮らすためには、どう働けばいいのか?喫緊に国民一人ひとりが 考えて行動に移さなければ、引き続き資本主義の世界で、資本主義のルールに のっとって、半自動的にブラックな働き方を続けることになりかねない。 本書全体に述べられていることを私たちへの「共通の答え」としてではな く、「自分自身の答えを導き出すためのヒント」として働いている人(転職し たいと考えている人も含む)もこれから働こうとしている人(就職活動まった だ中の人も含めて)も、経済系の理論書として敬遠しないで、果敢にチャレン ジして読み切って欲しい。なぜこのような状態になっているかを、その根源に ついて解き明かしてくれているからである。 人間科学部社会福祉学科

参照

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