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声 明 本 学 位 论 文 是 我 在 导 师 的 指 导 下 取 得 的 研 究 成 果 在 本 学 位 论 文 中, 除 了 加 以 标 注 和 致 谢 的 部 分 外, 不 包 含 其 他 人 已 经 发 表 或 公 布 过 的 研 究 成 果, 也 不 包 含 我 为 获 得 任 何 教 育

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日本語の身体語彙慣用句に関する一考察

――「目」「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句を中心に―

专 业:日语语言文学

研究方向:日语词汇学

姓 名:熊 燕

指导教师:周 星

2007 年 12 月

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声 明

本学位论文是我在导师的指导下取得的研究成果。在本学位论文中,

除了加以标注和致谢的部分外,不包含其他人已经发表或公布过的研究

成果,也不包含我为获得任何教育机构的学位或学历而使用过的材料。

与我一同工作的同事对本学位论文做出的贡献均已在论文中作了明确的

说明。

学位论文作者签名:

签名日期: 年 月 日

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论文,按保密的有关规定和程序处理。

学位论文作者签名: 签名日期: 年 月 日

导师签名: 签名日期: 年 月 日

(3)

謝 辞

本稿を作成している間に、先生、家族と友人の皆様から励ましとご協力をいただ きまして、感謝の気持ちを表したいと存じます。 まず、指導教官である周星先生に心から感謝申し上げます。非常に大切な本をた くさん提供してくださいました。そのうえ、日本語学の研究方法から、論文執筆の 仕方まで、先生から厳格かつ親切なご指導をいただきました。この論文の完成に際 して、周先生の深い学恩に衷心より厚くお礼を申し上げます。 また、論文の審査委員であり、貴重なご意見とご助言を賜ってくださいました上 海外国語大学の皮細庚教授、許慈恵教授、沈宇澄教授、陳小芬教授、復旦大学の項 杏林教授にも心から感謝の意を表する次第であります。 最後に、如何なる時も終始私を支えてくれ、励ましてくれた家族並び友人たちに 心からお礼を申し上げます。

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摘 要

本文运用认知语言学的研究成果,从概念隐喻、概念转喻的视角,对于日语人体 词汇惯用语中使用频率最高的“目、手、口、胸、足”的惯用语进行考察,探究了这 些使用频率最高的惯用语的意义的形成过程及对其意义的理解。 迄今为止,语言学界围绕人体词汇惯用语展开了各种各样的论述,但是从认知语 言学的角度来进行对人体词汇惯用语的研究似乎为数不多。但是,笔者认为对于日语 学习者以及日语研究者来说,从认知语言学的角度来进行研究是极其重要的。 本文首先在先行研究的基础上,将研究范围内的“目、手、口、胸、足”的人体 词汇惯用语从词性上进行了整理、分类,然后通过实例,分析了这些惯用语的惯用意 义的认知过程及其成因。 结论归结如下,本文首先明确了日语中占最大比率的“目、手、口、胸、足”惯 用语的惯用意义或者是基于隐喻而来或者是基于转喻而来的事实;证明了既存在整个 惯用语来表示惯用意义的惯用语也有从其构成要素来表示惯用意义的惯用语;另外还 指出基于转喻转化的惯用语比基于隐喻的多,且还存在着大量隐喻、转喻相结合的惯 用语;最后,还揭示出因为这些均是人体词汇惯用语,因此着眼于人体部位的功能而 形成的惯用语较多。 本研究对日语学习者更好地掌握日语人体词汇惯用语,并有效正确理解这些惯用 语上有较大意义,笔者希望本文能对日语学习者学习和理解处于日语惯用语中心位置 的日语人体词汇惯用语起到一定的参考作用。

关键词

人体词汇惯用语、隐喻、转喻、意义扩张、认知基础

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要 旨

本稿では、認知言語学の研究成果を踏まえて、概念メタファー、概念メトニミー という視点から、使用頻度の最も高い身体語彙慣用句、すなわち、「目」「手」「口」 「胸」「足」を含む慣用句に絞って、考察を行い、それらの身体語彙慣用句の成り 立ちと意味への理解を究明してみた。 これまで、身体語彙慣用句をめぐって、さまざまな視点からの研究が数多く発表 されてきているが、認知言語学の視点から身体語彙慣用句についての研究はまだ現 れていないようである。しかしながら、日本語を学習し、研究する人たちにとって は、この立場からの研究は非常に重要であるように思われる。 本稿はまず先行研究に基づいて、研究範囲内の「目」「手」「口」「胸」「足」の慣 用句を形式の面から品詞別に分類し、整理してみたうえ、実例を通して、研究対象 とする身体語彙慣用句の意味の変容のプロセスとその転義を動機付ける要因を分 析した。 その結果、日本語の身体語彙慣用句に高い比重を占めている慣用句、すなわち 「目」「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句については、その慣用句意味がメタファ ーに基づいて意味の拡張がなされるか、もしくはメトニミーに基づいて意味の拡張 がなされるかということは明らかになった。また、慣用句全体として派生的意味を 表している慣用句と、慣用句のその構成要素からその慣用句意味を表す慣用句があ ることも証明した。そして、問題の慣用句の中には、メトニミーに基づく慣用句は メタファーに基づく慣用句より多いこと、それらの慣用句意味はメトニミーとメタ ファーの両方に関与してできたものも数多くあることも究明した。そのうえ、身体 語彙慣用句であることから、メトニミーに基づくこれらの慣用句の中には、身体語 彙の機能に着眼して作られた慣用句が多いことも示唆された。 本研究は、日本語学習者に日本語の身体語彙慣用句への認識を深めさせ、その効 用の正しい受け止め方を示唆することができるという点において意義があると思 われる。本稿の研究を通して、慣用句の中心とされている身体語彙慣用句の理解と 学習に役に立てば幸いと思う。

キーワード

身体語彙慣用句、メタファー、メトニミー、意味の拡張、認知的基盤

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目 次

はじめに………1 0.1 研究動機………1 0.2 研究対象と研究方法………1 0.3 先行研究………2 0.3.1 慣用句についての先行研究………2 0.3.2 身体語彙慣用句についての先行研究………4 第1章 慣用句及び身体語彙慣用句………7 1.1 慣用句の定義と分類………7 1.2 身体語彙慣用句について………8 第2章 認知モデルとしてのメタファーとメトニミーについて………9 2.1 言語学の新しい研究領域――認知言語学………9 2.2 メタファーとメトニミーの認知的基盤………9 2.3 メタファーによる身体語彙及び身体語彙慣用句の意味の拡張………11 2.3.1 メタファーについての捉え方………11 2.3.2 メタファーによる身体語彙及び身体語彙慣用句の意味の拡張………11 2.4 メトニミーによる身体語彙及び身体語彙慣用句の意味の拡張………13 2.4.1 メトニミーについての捉え方………13 2.4.2 メトニミーによる身体語彙及び身体語彙慣用句の意味の拡張………14 第3章 問題の身体語彙慣用句に対する認知言語学的アプローチ………16 3.1 「目」を含む身体語彙慣用句………16 3.2 「手」を含む身体語彙慣用句………21 3.3 「口」を含む身体語彙慣用句………25 3.4 「胸」を含む身体語彙慣用句………30 3.5 「足」を含む身体語彙慣用句………34 第4章 結び………39 4.1 まとめ………39 4.2 今後の課題………44 参考文献………45 付 表………47

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はじめに

0.1 研究動機

慣用句は、私たちの日常の会話や文章の中で数多く使われている。それらはたい てい短い言葉であるが、人間の生活経験から生まれ、その社会の世界観や風俗習慣 などが色濃く現れている。日本語の慣用句も日本人が好んで用いるもので、われわ れ日本語学習者の学習上、欠かせないものである。従来の慣用句についての研究は 慣用句における格関係や慣用句の日中対照、日英対照などの研究は極めて多かった が、人間の認知モデルと慣用句とのつながりについての研究は十分に行われていな いようである。伝統的な理論によれば、慣用句の理解も解釈も困難であると思う。 それに、多くの学習者は慣用句を定まった慣用表現と見なして、単に丸暗記して日 本語の慣用句を習っていることも慣用句学習者の現状であるとも言える。それは、 時間と労力において無駄な学習の道だと思うのである。慣用句を正しく理解してこ そ、効果的に学習できる。最近盛んに行われるようになっている認知言語学の研究 成果によると、多くの慣用句の意味は人間の認知のメカニズムに基づいて派生し、 形式も意味も系統的な有契性と動機付けがあるということである。これも慣用句意 味の正しい理解に対して、方向を示してくれたと思う。本稿では、認知言語学の研 究成果を踏まえて、概念メタファー、概念メトニミーという視点から、使用頻度の 最も高い身体語彙慣用句、すなわち、「目」「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句に 絞って、考察を行い、それらの身体語彙慣用句の成り立ちと意味への理解を究明し てみたいと思う。本稿の研究を通して、慣用句の中心とされている身体語彙慣用句 の理解と学習には役に立てれば幸いと思う。

0.2 研究対象と研究方法

本稿は『日语人体词汇惯用语词典』(4000 あまりの慣用句を収録した)(商务印 书馆、1999)を資料とする。目、手、口、胸、足、頭、腹、耳、鼻、尻、首、腕、 肩、膝、腰、背、臍、顎、額、肘の合計 20 の身体語彙を含む慣用句を調査対象と して統計を行った。その量的分布を次の表の通りである。

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2 表1 身体語彙慣用句の分布表 身体語彙 目 手 口 胸 足 頭 腹 耳 鼻 尻 慣用句の数 434 366 239 150 147 136 124 111 98 67 百分率 10.85 9.15 5.98 3.75 3.68 3.40 3.10 2.78 2.45 1.68 身体語彙 首 腕 肩 腰 膝 背 臍 顎 額 肘 慣用句の数 57 52 42 36 29 24 20 17 16 8 百分率 1.43 1.30 1.05 1.66 0.90 0.60 0.50 0.43 0.40 0.20 表1の示す通り、「目」を含む慣用句の数が一番多く、続いては「手」「口」「胸」 「足」を含む慣用句である。「目」「手」「口」は人間の身体部位の中で最も際立っ て、認識、把握の対象となるものなので、それらの身体語彙で構成された慣用句も 数多くある。そして、「胸」は心の宿っているものとして、感情や心の状態、態度 の表現と大きなかかわりがあるので、「胸」を含む慣用句も少なくない。「足」は運 動器官として、重要な役割を果たしているので、「足」の付く慣用句もたくさんあ る。 それで、本研究では、身体語彙「目」「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句を対象 に限定することにした。本研究で使用されている実例は慣用句辞書や日本の文学作 品などからとったものである。そして、認知言語学における概念メタファー(以下 単にメタファー)のプロセスと概念メトニミー(以下単にメトニミー)のプロセス から身体語彙の意味の拡張及び身体語彙慣用句の意味の拡張を考察してみようと 思う。

0.3 先行研究

0.3.1 慣用句についての先行研究

日本における慣用句についての研究は活発に行われていて、比較的に早いものに は、森田良行(1966)、宮地裕(1982)などがある。 森田良行(1966)は「慣用的な言い方について」では、慣用的な言い方は辞書的 意味の理解や文法的知識のみでは理解できないことを指摘している。そして、慣用 句を五つのタイプに分けている。1 (1) あいさつ語、応答語。(例えば:ありがとう、おはようございます) (2) 慣用化された特定の言い回し。(例えば:~して余りがない、~を事とも 1 森田良行,1966,P422~426 慣用的な言い方の整理を参照する。

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しない) (3) 慣用化されている文語表現。(例えば:~ざる得ない、さればこそ~) (4) 叙述の語が慣用として固定しているもの。(例えば:汗をかく、うそをつ く) (5) 比喩が慣用化したもの。(例えば:油を売る、顔が広い) さらに、森田良行(1966)は慣用句教育へも自分の提言をした。ただし、森田は 慣用表現についての分類は幅広すぎて、その本質についての解釈も明快なものとは 言えないと思う。 宮地裕(1982)は、慣用句を連語成句的慣用句と比喩的慣用句にわけ、比喩的慣 用句を直喩的慣用句と隠喩的慣用句に分けている。詳しくは次のような図で示され ている。 2 宮地裕(1982)は「慣用句は、一般の連語句よりも結合度が高いものだが、格言、 ことわざと違って、歴史的、社会的な価値観を表すものではない。」と指摘してい る。宮地は慣用句の概念を明らかにしただけでなく、格言、ことわざとの違いも説 明してくれた。さらに、品詞別の特徴、語彙的な特徴、形式上の特徴、形式上の制 約から見た特徴に分けて論じている。宮地裕の研究は、慣用句の概念規定や分類に とどまらず、具体的な用例を集めて、日本語、中国語、韓国語、英語、フランス語、 タイ語などの多言語間の対照研究も行っている。 ほかに慣用句を細分して論じた森田良行の「動詞慣用句」(1985)、宮地裕の「動 詞慣用句」(1982)、西尾寅弥の「形容詞慣用句」(1985)、大坪喜子の「名詞慣用句」 (1985)などの論文も発表されている。 図 1 慣用句の分類図 一般連語句 連語成句的慣用句 慣用句 直喩的慣用句 成句 比喩的慣用句 隠喩的慣用句 格言、ことわざ 3 2 宮地裕,1982,宮地による作図

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0.3.2 身体語彙慣用句についての先行研究

身体語彙及び身体語彙慣用句についての研究は 20 世紀の後半期から盛んになっ てきているといってもよいであろう。 まず、身体語彙に関する概念や分類、さらに表現上の意義など、もっとも体系的 な考察が行われているものに、星野命(1977)、中村明(1985)があげられる。 星野(1977)では「身体語彙による表現」に対する定義は次のようである。「身 体語彙による表現とは、人間の身体に関する語彙のうち、直接身体、その部位を指 示する名称(身体用語)の名称を一部または全部借用しながら、身体の状態、活動 を直接指示するというよりは、むしろ別の状態や活動を暗示し描写する表現のこと である、(例えば:足早、骨身を惜しまず、腰が重い、腕に覚え、指折りの、口を かける)」 星野(1977)は身体語彙に関する表現をすべて取り上げ、意味による分類を行っ た。3 (1) 個人や一群の人々、組織などの生命活動、生活意欲、精神緊張の度合い を示す表現。(例えば:息づく、血の気を取り戻す) (2) 個人や一群の人々の運動性や機動性を示す表現。(例えば:腰が重い、足 が軽い) (3) 個人の才覚、機能の程度に関する表現。(例えば:頭のよい、抜け目がな い) (4) 個人の願望、欲求、野心の程度を示す表現。(例えば:腰に一物、腹黒い) (5) 個人の感情(情動、心情、気分)の変化を示す表現。 ① 驚き、興奮、フラストレーション、怒り(例えば:目を剥く、血が逆流) ② 嫌悪、敵意、怨み、拒否、よそわれた無関心(例えば:毛嫌い、白い眼 を向ける) ③ 失意、悲哀、憂い、無念、未練(例えば:肩を落とす、泣き臍) ④ 不安、焦燥、逡巡(例えば:胸騒ぎ、息詰まる) ⑤ 羞恥、気まずさ(例えば:目から火、顔を赤くする) ⑥ 安心、落ち着き(例えば:胸をなでおろす、眉を開く) ⑦ 満足、喜び、感動、得意(例えば:胸のすく思い、腹を抱える) 3 星野命,1981,p172~176 意味による分類を参照する。

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5 ⑧ 親愛、友情、配慮(例えば:目を掛ける、骨肉の情) (6) 個人のペルソナ(対社会的性格)に関する表現。 ① 外見、印象(例えば:身綺麗、肌が合う) ② 行動、態度(例えば:お茶目、頭が高い) (7) 個人の内面的品位、道徳性に関する表現(6 に比べて間接的、抽象的)。 (例えば:頭が下がる、身勝手) (8) 個人の気質、性格、統合的人格に関する表現。(7 同様間接的、抽象的) (例えば:骨っぽい、気骨のある) (9) 個人の願望、感情、性格などを超えて、自然的、社会的の事象の発生、 進展、障害、結末などに関する表現。(例えば:口火を切る、皮切り) 中村明(1985)は「慣用句と比喩表現」という論文では、主として身体部位の名 称を含む固定連語を例にして考察をしている。中村明(1985)は「慣用句」の意味 の抽象化のレベルと「比喩」性のかかわりという問題に焦点をあわせ、身体語彙を 含む慣用句を次のように 11 のグループに分けている。4 (1)その意味が通常の用法で比喩性をほとんど帯びないもの。 (2)全体の意味は個々の構成要素の基本的な意味からずれていないもの。 (3)指示的意味が文字通りの意味にかかわり、他の現実を示すもの。 (4)言語的意味を必ずしも通らずに、その象徴的意味を表すもの。 (5)言語形式のみを借用して、意味を表すもの。 (6)字義通りの意味と無関係に、間接的に指示する意味だけを表すもの。 (7)字義通りの意味を下敷きにして、転じた意味を表すもの。 (8)字義通りの事実を想定するだけで意味を表すもの。 (9)各構成要素が抽象化されてから、意味を表すもの。 (10) 名詞部分の転義で意味を表すもの。 (11) 全体で形態的に保証されて、意味を表すもの。 さらに、中村は「慣用句」の意味の抽象化のレベルと「比喩」性のかかわりにつ いて次のように述べている。「送り手や受け手に比喩的な意識をかなり強く感じさ せるものから、比喩性が極めて微弱で伝達過程で通常そういう比喩意識をほとんど 感じないものまで、多様なレベルのあることが推察された。しかし、どのような慣 用句も常に比喩性ゼロと断言することはできない。いかに抽象化の進んだ段階の慣 4 中村明,1985,p28~35 中村明の慣用句についての分類を参照する。

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6 用句であっても、(中略)構成要素の個々の意味がまったく消滅したとは考えられ ないからである。」 上記の研究のほかに、身体語慣用句に関する対照研究、多義研究などの研究も行 われている。 以上の先行研究を通じて分かるように、多くの慣用句及び身体語彙慣用句につい ての研究は主に語彙論、意味論、統語論などの観点からなされている。これらの研 究は主に言語だけに注目して言語の体系、構造を明らかにすることを目指している が、言葉のメカニズムの根源の解明に至ることは難しいように思われる。認知言語 学は新しいアプローチとして、形式から意味にわたるさまざまな言葉の諸相を考察 していくことにより、言葉のメカニズムだけでなく、全面的かつ体系的に言葉と認 識の関係を明らかにしていくことができると見なされている。それにしても、認知 言語学は新しい研究分野なので、今まで身体語彙慣用句について人間認知の立場か らの考察はあまり見られなかった。特に本稿で論じるメタファーとメトニミーのプ ロセスから見た身体語彙の意味の拡張と身体語彙慣用句の意味拡張に関する体系 的な研究は寡聞にしてまだなされていないようである。本論文では、「目」「手」「口」 「胸」「足」を含む慣用句を中心に、認知言語学の観点から、全面的かつ体系的な 研究をしたいと思う。

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第1章 慣用句及び身体語彙慣用句

1.1 慣用句の定義と分類

専門の言語学辞典では、慣用句の定義は次のように述べられている。 「二つ以上の単語や語句の結びつきに、ある固定した意味を表すものをさす」 (『日本文法大辞典』1971) 「いつくかの語を続けて、ある特定の意味を表すことが習慣的に行われている表 現」(『国語学研究辞典』1977) 「いつでも二つ以上の単語が一続きに、または、相応じて用いられ、その結合が、 全体として、ある固定した意味を表すものをさす」(『国語学大辞典』1980) これらの定義は、慣用句を二つ以上の単語の結びつきと、全体としてある固定し た意味を表すものと見なしている。その結合上の固定度、意味の固定度などは、こ れらの定義では言及されていない。 宮地裕は、『慣用句の意味と用法』(1982)では、「慣用句という用語は、一般に 広く使われているけれども、その概念がはっきりしているわけではない。ただ、単 語の二つ以上の連結体であって、その結びつきが比較的固く、全体で決まった意味 を持つ言葉だという程度のところが一般的な共通理解になっているだろう。」と述 べている。そして、籾山洋介(2001)は『認知意味論のしくみ』では、「慣用句を 定義すると、語同士の結びつきが固定していることに加えて、構成要素である各語 の意味(各語が慣用句の一部ではなく、普通に使われるときの意味)から、句全体 の意味が導けない句ということになります。」と述べている。宮地と籾山の慣用句 に関する定義は、ある程度共通していると思う。まとめて言うと、慣用句は二つの 特徴を持っている。一つは慣用句における語同士の結びつきが固定していること。 もう一つは特定的な意味を持っていること。 慣用句の分類について、宮地裕は、慣用句が比喩的意味を持つか持たないかを基 準に、慣用句を「連語成句的慣用句」と「比喩的慣用句」の二つに分けている。宮 地裕によると、「連語成句的慣用句」は「一般の連語句より結合度が高いだけのも の」であり、「比喩的慣用句」は「比較的はっきりした比喩的意味を持つもの」で ある。さらに、後者を「直喩的慣用句」と「隠喩的慣用句」に分けている。 宮地裕の慣用句についての分類は優れた研究と高く評価されているので、本稿で

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8 は、宮地の分類に基づいて考察を進めていきたいと思う。宮地裕も隠喩的慣用句は、 慣用句の中で最も慣用句らしいものだと指摘している。したがって、本稿では、隠 喩的慣用句を中心に研究してみようと思う。

1.2 身体語彙慣用句について

身体語彙慣用句とはその名のとおり、語彙的な特徴として身体部位を表す語彙に よって作られるものである。日本語では、身体語彙を含む慣用句ははなはだ多い。 宮地裕の『常用慣用句一覧』(1982)には、約 1280 例の慣用句が提示されている。 この約 1280 例の中で、身体語彙慣用句は、約 410 例、すなわち、全体の約 32 パー セントにものぼっている。『必携慣用句辞典』(1982)では 3500 例の慣用句を収録 しているが、その中で、身体語彙慣用句は 785 例で、全体の 22.4 パーセントを占 めている。これらの数値を見るだけでも、身体語彙慣用句の大切さが分かるであろ う。そして、本稿の資料としての『日语人体词汇惯用语词典』(1999)では、「目」 「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句は一番多いことも前文に述べたが、これらの 慣用句を理解するこつがわかれば、たいていの身体語彙慣用句が理解できるだろう と思う。したがって、本稿はこの五つの身体語彙を含む隠喩的慣用句を対象として 研究するわけである。 研究対象の「目」「手」「口」「胸」「足」を含む慣用句を品詞別に分類し、いくつ かの表を作ってみた。5本稿の研究対象は身体語彙から始まる慣用句に限定し、身 体語彙が「口数」「手数」のような造語成分の一部として現れるものなどは対象外 とする。例えば、「口が過ぎる」は対象とするが、「口数が多い」「手数をかける」 などは対象としない。これは、始まる所に身体語彙を用いられるものが慣用句の最 初的形だと考えたからである。そして、それらの表から「目」「手」「口」「胸」「足」 に関する典型的慣用句を 10 句ずつ取り出して、メタファーとメトニミーの視点か ら分析してみようと思う。 5 付表参考

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第2章 認知モデルとしてのメタファーとメトニミーについ

2.1 言語学の新しい研究領域――認知言語学

「認知言語学とはその名のとおり、言語を人間の行う認知、人間が有する認知能 力との関係で考えていこうとするものである。」6これまでの言語研究では、文法的 な知識の解明にかかわる言語現象の研究が中心になっていて、言語主体としての人 間の認識の側面とは独立した記号系としての言葉の側面の研究が主眼となってい る。しかし、実際の言語現象の中には、記号系のレベルだけでなく、人間の知のメ カニズム、人間のさまざまな認識の側面を考慮しなければ、一般的な記述、説明が できない言語現象が広範に存在する。認知言語学の研究には、これまでの言語学の 研究に見られない新しい動きがみられる。認知言語学によれば、われわれは、外部 世界を知覚、運動的な経験に基づく認知モデルを介して理解している。認知モデル それ自体は、具体的に手にとって見ることはできない。しかし、このモデルの機能 は、言葉の形式や意味のさまざまな側面に反映されている。また、言葉の形式や意 味は、外部世界の知覚や認識に基づいて作られた認知モデルによって動機付けられ ている。さらに、慣用句は恣意的な語のまとまりではなく、我々人間の経験的知識 とメタファー及びメトニミーによって動機付けられた定型表現なのである。(山梨, 1995,p3~4)メタファーとメトニミーはその認知モデルの一種である。認知モデ ルのメタファーとメトニミーによって、語のレベルだけでなく句ないしは文のレベ ルの意味の拡張が可能になると言える。ここで問題になるのは、「メタファー」、「メ トニミー」とはそもそも何なのかということである。「メタファー」、「メトニミー」 という認知モデルを明らかにする前に、この二種の認知モデルの認知的基盤を理解 しなければならないと思う。

2.2 メタファーとメトニミーの認知的基盤

われわれは日常言語を介して、外部世界の具体的な対象を理解するだけでなく、 直接的には把握できない抽象的な世界にかかわる知識も柔軟に理解していくこと ができる。この種の柔軟な理解を可能とする能力の中でも、ある対象と他の対象の 6 認知言語学の概念は籾山洋介(2001,P2)の解釈を参照している。

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10 間に類似性を把握する能力(<類似性>の認識能力)と時空的に近接関係ないしは 隣接関係にある対象を関連付けていく能力(<近接性>の認識能力)は、とくに日 常世界の理解に際し重要な役割を担っている。7ここの<類似性>の認識能力は、 比較能力と言っていもよいと考える。すなわち、二つの対象をある観点から観察、 分析することによって、両者の共通点、相違点を明らかにするということである。 簡単な例を取り上げて確認してみよう。例えば、「Aさんは山口百恵に似ている」 という判断を下す場合、Aさんと山口百恵を、主に顔の観点から比較して、もちろ ん違いはあるが、全体的には似ているということである。一方、ここの<近接性> の認識能力は、換言すれば「参照点能力」といってもよいと考える。すなわち、あ る対象を把握あるいは指示する際に、その対象を直接把握するのに何らかの困難を 伴う場合、別のより把握しやすいもの、あるいはすでによくわかっているものを参 照点として活用し、本来把握したい対象を捉えるという認知能力である。例えば、 「一升瓶を飲み干す」という表現においては、「一升瓶」という語が本来表す<一 升瓶>を参照点として、<一升瓶>と空間的に隣接する問題の対象である<酒>を 指示するというわけである。したがって、日常言語による伝達では、ある未知の対 象に文字通りの言葉、文字通りの語彙が存在しない場合には、類似性やアナロジー の認識に基づくメタファーによって、また問題の対象を時空的に隣接する対象との 関連で簡潔に、効率的に叙述していく場合には、近接性ないしは隣接性の認識に基 づくメトニミーのプロセスを介して、多様な意味を表現していく。(籾山洋介,2001, P81) しかしながら、これまでの言語学の研究では、メタファーやメトニミーは主にレ トリックの領域にかかわる問題として等閑視され、言葉の本質的な側面にかかわる 問題は、一見しては体系的に研究されていないように見える。メタファーやメトニ ミーの問題は、一見したところ、文字通りの意味と形式の体系からなる言葉の研究 には、直接には関係しないように見える。しかし、日常言語の中には、この種の現 象を考慮しないかぎり、一般的な記述、説明が不可能な現象が広範に存在する。単 語の多義性はどこに由来するのか。意味の変化や転義を動機付ける要因は何か。意 味の変容のプロセスにはどのような傾向が認められるのか。慣用句の意味はどのよ うに派生されるのか。以下では、これらの問題に密接にかかわるメタファーとメト ニミーの現象を考察していく。 7 山梨正明(1995,P19~20)

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