• 検索結果がありません。

1. 改正内容 事業者が 以下 (1) 又は (2) の期間中に調整対象固定資産 1 の課税仕入れを行い かつ その仕入れた日の属する課税期間 ( 以下 取得課税期間 といいます ) の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には 取得課税期間の初日から原則として 3 年間は免税事業者になることができ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1. 改正内容 事業者が 以下 (1) 又は (2) の期間中に調整対象固定資産 1 の課税仕入れを行い かつ その仕入れた日の属する課税期間 ( 以下 取得課税期間 といいます ) の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には 取得課税期間の初日から原則として 3 年間は免税事業者になることができ"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Newsletter

平成

22

年度税制改正 消費税法の改正

2010年9月号 新日本アーンストアンドヤング税理士法人 日本

Contents

1. 改正内容 2. 改正の影響等 (1) 第3年度まで免税事業者や簡易課税 制度の適用を受けられない影響 (2) 「消費税自販機還付問題」の解決 3. 消費税法33条(課税売上割合が著しく 変動したときの仕入控除税額の調整 措置)の概要 平成22年度税制改正においては、消費税の課税の適正化の観点から、調整対象固定 資産の取得に係る仕入控除税額が過大であった場合につき、減額調整する措置の 対象となるよう、見直しが行われました。 これは昨年、会計検査院において賃貸マンション等の取得に係る消費税についての 事例(いわゆる「消費税自販機還付問題」)の実態調査が行われ、その結果を踏まえ、 平成20年度決算検査報告において調整措置を免れる事例についての改善を求める 意見表示がなされたことを背景として、調整措置の適用対象となるよう今回の改正 が行われました。 なお、従来から継続して基準期間の課税売上高が5,000万円超である事業者に ついては、この改正の影響はありません。 本号では、消費税法の改正の概要、その影響について、解説いたします。

(2)

1.

改正内容

事業者が、以下(1)又は(2)の期間中に調整対象固定資産1の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間(以下 「取得課税期間」といいます。)の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には、取得課税期間の初日から原則として3年間 は免税事業者になることができず(消法9⑦、12の2②)、また簡易課税制度を適用して申告することもできなくなりました (消法37②)2 (1)本来は消費税の免税事業者であったが、選択して課税事業者となった場合の当初2年間の強制適用期間 (2)消費税の新設法人(資本金1,000万円以上)につき、課税事業者が強制適用される設立当初の2年間 この改正は、(1)については平成22年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した者で、かつ、同日以後開始する課税期間 から適用され、(2)については平成22年4月1日以後に設立された新設法人について適用されます(改正法附則35)。

2.

改正の影響等

今回の改正による、第3年度まで免税事業者や簡易課税制度の適用を受けられない影響や「消費税自販機還付問題」の解決に ついて、以下に解説いたします。

1

3

年度まで免税事業者や簡易課税制度の適用を受けられない影響

上記1(1)又は(2)に該当する課税事業者が調整対象固定資産を取得して、消費税の確定申告を一般課税で行った場合には、 その後2年間(一課税期間が12ヶ月の場合)は免税事業者になれず、また、簡易課税制度が適用できなくなります。 例えば、事業者が確定申告によりいったん消費税の還付を受けた後、翌課税期間以降2年間のうちにその調整対象固定資産を 売却した場合に、免税期間に入って納税を免除されたり、あるいは簡易課税申告によりみなし仕入率(消基通13-2-9により60%) 相当の仕入税額控除を取ることはできなくなります。 この改正の影響を受けるのは、調整対象固定資産の売却に係る消費税だけではなく、3年内の事業に係るすべての課税売上に 係る消費税に影響が及ぶことになります。すなわち、対象期間中に調整対象固定資産を一つ取得するだけで、その後の収益計画 に大きな影響が及ぶ可能性があるため、注意が必要です。 ご参考までに、その具体例を示すと以下のようになります。 (例1)設立第1期の課税売上高が年1,000万円以下であったため、本来であれば第3期は消費税の免税事業者に該当するはず だった運送業者が、第1期に調整対象固定資産である100万円以上のトラックを取得すると、第3期末にそのトラックを保有 しているいないにかかわらず、第3期は消費税の課税事業者として一般課税による消費税の申告を行い、運送売上に係る 消費税を納税する必要があります。 (例2)設立第1期の課税売上高が年5,000万円以下であったため、本来であれば第3期は簡易課税を選択できるはずだった 卸売業者(みなし仕入率90%)が、第1期に調整対象固定資産である100万円以上の在庫管理システムを取得すると、 第3期は一般課税による消費税の申告を行い、棚卸資産の売上に係る消費税を納税する必要があります(第3期中に 仕入れた棚卸資産に係る消費税の仕入税額控除は可能です。)。 1 調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具 及び備品、鉱業権等の無形固定資産その他の資産のうち、一の取引の単位の税抜価格が100万円以上のものをいいます(消法2①十六、 消令5)。この調整対象固定資産の定義自体は従来から変更ありません。

(3)

2

「消費税自販機還付問題」の解決

非課税取引用の事業用建物の取得に係る消費税は、非課税売上に対応するものであるため、本来は仕入税額控除の対象と なりません。ただし、例えば、新たに事業を開始した課税期間のように本業の非課税売上がほとんどない状況の中で、何らかの 課税売上が別途ある場合には、その課税期間の課税売上割合が高くなるため、非課税取引用の事業用建物であってもその課税 期間に取得すれば、当該取得に係る消費税の仕入税額控除が可能となる場合が生じます。こうしたことは、特に意図せざる場合にも 結果的に生じ得ますが、後述する消費税法33条の調整措置が有効に機能すれば、第3年度の課税期間において取得時の過大 控除分は取り戻されるため、仕入控除税額の適正化が図られることになります。 しかしながら、第3年度の課税期間が免税事業者や簡易課税制度の適用を受ける場合には、調整措置の適用がないことから、 これらの制度の適用を受ける課税期間を恣意的に操作することにより第3年度の課税期間におけるその調整を免れる事例が 生じていました。 「消費税自販機還付問題」とは、非課税売上対応の課税仕入れに該当するため本来は還付されないはずの賃貸マンション等の 取得に係る支払消費税について、その建物の引渡しを受けた課税期間における課税売上割合を95%以上とすることで、合法的に その支払消費税の還付を受けていたという問題です。その主な手法が、マンションの建築現場等に飲料等の自動販売機を設置 して少額の販売手数料収入(課税売上)を計上し、一方で課税期間の短縮の特例を利用するなどして、マンションの賃貸開始 (賃料収入の発生)を翌課税期間に先送りするというものです3 例えば、その事業者の収入がマンションの家賃収入と自動販売機の販売手数料収入のみの場合、年間の課税売上高(販売手数料 収入)はおよそ10万円程度と考えられますので、第1年度と第2年度は課税事業者を選択していても第3年度は選択を取り止め れば免税事業者になれます。また、第1年度の課税売上高が年1,000万円超であっても5,000万円以下であれば第3年度は簡易 課税が選択できるため、いずれの場合にも消費税法33条の適用はありませんでした。なぜならば、33条は仕入控除税額を調整 する規定であり、第3年度に一般課税による消費税の申告を行った場合にのみ適用されるからです。 そこで今回の改正は、調整対象固定資産を取得した場合には第3年度に免税事業者や簡易課税の適用を受けさせないことで 一般課税を強制し、33条の適用下に置いたものと考えられます。

3.

消費税法

33

条(課税売上割合が著しく変動したときの仕入控除税額

の調整措置)の概要

平成22年度税制改正では、消費税法33条自体は一切変更されていませんが、その概要について以下で確認することにします。 消費税制度においては、仕入れに係る消費税額は棚卸資産、固定資産にかかわらず取得課税期間において即時に仕入税額控除 することとされています。しかしながら、課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算した場合には、その後の事業形態の変化等に より課税売上割合が大きく変動する場合もあるので、固定資産のように長期にわたって使用するものに係る消費税額について、 取得時の課税売上割合のみで仕入控除税額を確定することは必ずしも適当でない場合が生じます。 こうしたことから、調整対象固定資産という一定の資産に係る取得時の仕入控除税額については、その後の状況変化に対応して 一定の調整を行う調整措置が設けられています。 3 会計検査院「賃貸マンション等の取得に係る消費税額の納付について」 http://www.jbaudit.go.jp/pr/media/kensa/kensa21/pdf/211020_zenbun-2.pdf

(4)

すなわち、下記(1)~(4)のすべて要件を満たす場合に、下記①又は②の調整をすることになります。 (1)調整対象固定資産を取得したときに、その資産に係る仕入控除税額の計算につき課税売上割合を用いて算出したこと (課税売上割合95%以上により全額控除した場合も含みます。) (2)その調整対象固定資産を、その取得課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間(以下「第3年度の 課税期間」といいます。)の末日に保有していること4 (3)第3年度の課税期間において、一般課税による消費税の申告を行うこと5 (4)取得課税期間の開始の日から第3年度の課税期間までの3年間の課税期間の売上高を通算して計算した課税売上 割合(以下「通算課税売上割合」といいます。)が取得課税期間の課税売上割合(以下「取得時課税売上割合」といい ます。)に比して著しく変動したこと6 ① 通算課税売上割合が取得時課税売上割合より著しく減少したとき 以下の税額を第3年度の課税期間の仕入控除税額から控除することにより、調整が行われます7 調整対象固定資産に係る消費税額×(取得時課税売上割合8通算課税売上割合) ② 通算課税売上割合が取得時課税売上割合より著しく増加したとき 以下の税額を第3年度の課税期間の仕入控除税額に加算することにより、調整が行われます。 調整対象固定資産に係る消費税額×(通算課税売上割合-取得時課税売上割合) 【参考資料】 • 国税庁 「消費税法改正のお知らせ」平成22年4月 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h22kaitei.pdf • 財務省 「平成22年度 税制改正の解説」 消費税法等の改正 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/kaisetsu22/index.html 4 その調整対象固定資産について除却、廃棄、滅失又は譲渡があったため、第3年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を 有していない場合には、この規定の適用はありません(消基通12-3-3)。 5 取得課税期間と第3年度の課税期間との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合 にも適用されます(消基通12-3-1)。 6 著しく変動した場合とは、通算課税売上割合が取得時課税売上割合に比べ50%以上増加又は減少した場合で、かつ、その変動の幅が5%以上 である場合をいいます(消令53)。 7 仕入控除税額から控除しきれないときは、課税売上に係る消費税額とみなして加算します(消法33③)。 8 取得時課税売上割合が95%以上のときは「100%」とします。

10

月号 予告

• 平成22年度税制改正特集

(5)

Ernst & Young アーンスト・アンド・ヤングについて アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、 トランザクション・アドバイザリー・サービスなどの 分野におけるリーダーとして、全世界の14万4千人 の構成員が、共通のバリュー(価値観)に基づいて、 品質の高いサービス提供を行っています。私ども は、クライアント、構成員、そして社会を支援し、各 サービス分野において、皆様の可能性の実現を追求 し、プラスの変化をもたらすよう支援します。 「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アン ド・ヤング・グローバル・リミテッドのメンバーファーム で構成されるグローバル・ネットワークを指し、各メ ンバーファームは法的に独立した組織です。アーン スト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の 保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供して いません。詳しくは、www.ey.comにて紹介してい ます。 新日本アーンスト アンド ヤング税理士法人に ついて 新日本アーンストアンドヤング税理士法人は、長年 にわたり培ってきた経験と国際ネットワークを駆使 し、常にクライアントと協力して質の高いグローバル なサービスを提供しております。企業のニーズに即 応すべく、国際税務、M&A、組織再編や移転価格な どをはじめ、税務アドバイザリー・税務コンプライア ンスの専門家集団として質の高いサービスを提供 しております。詳しくは、www.eytax.jpにて紹介 しています。 ニュースレター全般に関するご質問・ご意見等がございましたら、 下記までお問い合わせ下さい。 新日本アーンスト アンド ヤング税理士法人 コーポレート・コミュニケーション部 Tax.Marketing@jp.ey.com

税制関連情報

平成22年9月16日までに関係省庁より公表された税制に関する情報のハイライトとなりま す。 以下ご参照下さい。 • 国税庁 「オランダの税務当局との仲裁手続に係る実施取決めについて」 http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/kokusai-sonota/1009/01.htm • 内閣府 「平成23年度 税制改正要望」 http://www.cao.go.jp/zei-cho/index.html

©2010 Ernst & Young Shinnihon Tax. All Rights Reserved.

EYTAX SCORE CC20100916-1 本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約形 式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本書に 含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に限られ るものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調査への 代用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでくだ さい。本書又は本書に含まれる資料について、新日本アーン スト アンド ヤング税理士法人を含むアーンスト・アンド・ヤン グの他のいかなるグローバル・ネットワークのメンバーも、そ の内容の正確性、完全性、目的適合性その他いかなる点につ いてもこれを保証するものではなく、本書又は本書に含まれ る資料に基づいた行動又は行動をしないことにより発生した いかなる損害についても一切の責任を負いません。

Contact

ビジネスタックスコンプライアンスグループ 塩谷 克子 パートナー +81 3 3506 1355 katsuko.shioya@jp.ey.com 山本 恭司 エグゼクティブ ディレクター +81 3 3506 2048 kyoji.yamamoto@jp.ey.com ビジネスタックスコンプライアンスグループは、外資系企業の日本法人や日系の上場企業を 中心とした法人のクライアントに対して、法人税や消費税等の各種税務申告書の作成や租税 条約に関する届出書の作成等の基本的な税務コンプライアンスサービスのほか、連結納税 制度及びグループ法人税制に関する税務アドバイス等の専門性の高いサービスを提供して います。また、財務・経理分野における記帳代行業務、人事分野における給与計算業務等の アウトソーシングサービスも提供しています。

参照

関連したドキュメント

過少申告加算税の金額は、税関から調査通知を受けた日の翌日以

 所得税法9条1項16号は「相続…により取 得するもの」については所得税を課さない旨

個別財務諸表において計上した繰延税金資産又は繰延

対象期間を越えて行われる同一事業についても申請することができます。た

 そして,我が国の通説は,租税回避を上記 のとおり定義した上で,租税回避がなされた

 福永 剛己 累進消費税の導入の是非について  田畑 朋史 累進消費税の導入の是非について  藤岡 祐人

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。

四税関長は公売処分に当って︑製造者ないし輸入業者と同一