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糖尿病合併膵癌における手術前後のHbA1c変動についての検討

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Academic year: 2021

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1 【要約】

Diverse transitions in diabetes status during the clinical course of patients with resectable pancreatic cancer

(糖尿病合併膵癌における手術前後の HbA1c 変動についての検討)

千葉大学大学院医学薬学府 先端医学薬学専攻 (主任:加藤直也教授)

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2 【目的】 膵癌のおよそ半数に合併する糖尿病のうち、罹患期間の短い新規発症 糖尿病(罹患期間2年以下)の割合が高いことや、膵癌術後に糖尿病が 改善する報告があることから、糖尿病は膵癌の原因(リスク)となっている だけでなく、膵癌の結果として生じている可能性が指摘されている。しか し、膵癌と糖尿病の相関関係は未だはっきりしていない。我々は膵癌の診 断時、手術前後、再発前後の糖尿病の推移を分析し、膵癌と糖尿病発 症・増悪の関係を明らかにすることを目的とした。 【方法】 当院で 2010 年-2016 年に膵癌切除術を施行した症例 194 例(膵頭十二 指腸切除術 132 例・膵体尾部切除術 57 例、全膵切除術 5 例)に対し、 膵癌診断時、膵癌切除前後で HbA1c の推移を分析した。また術後に再 発した症例は再発前後の HbA1c の推移を分析した。 【結果】 膵癌患者を膵臓診断時と膵癌切除術前後の糖尿病の状態に応じて4つ のカテゴリーに分類した。まず膵癌診断時の糖尿病診断の有無で2つの カテゴリーに分け、それぞれに対し術後の糖尿病の状態に基づいてさら に2つに分類した。結果は、術前に耐糖能が正常であった膵癌患者 117

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3 例のうち、23 例(19.7%)が膵癌切除術後に糖尿病を発症した。多変量解 析で膵体尾部切除術が術後糖尿病の発症と強く関連していた。また術前 に糖尿病と診断された患者は 77 例、そのうち 15 例(19.5%)が、膵癌切除 術後に糖尿病が治癒した(Hba1c 正常化かつ糖尿病治療薬なし)。多変 量解析で『術前 3 か月以内に新たに診断された糖尿病』は術後糖尿病治 癒の独立した要因であった。一方、膵癌切除後に糖尿病が改善した 15 例中、膵癌が再発した症例は 14 例おり、そのうち再発時に糖尿病が再 増悪した症例は 3 例であった。 【考察】 切除可能膵癌症例における膵癌と糖尿病の関係の多様な臨床的特徴 を明らかにするため、臨床経過中の糖尿病の状態に応じて膵癌患者を 4 つのカテゴリーに分類して解析した。術前に糖尿病と診断され、膵癌切除 術後に糖尿病が治癒した症例の糖尿病の診断時期は『術前 3 か月以 内』が多変量解析で独立した因子(オッズ比 5.654 倍)であった。また罹 患期間 2 年以上の長期糖尿病患者では膵癌切除術後に糖尿病が治癒 した症例は認めなかった。既報では糖尿病は膵癌の原因(リスク)となって いるだけでなく、膵癌の結果として生じている可能性が指摘されており、 糖尿病の罹患期間は癌の発生に関連している可能性があると考えら

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4 れている。膵癌患者を診断前の糖尿病発症のタイミングに従って分 類することは、膵癌と糖尿病の複雑な関係を明らかにために有用で あると考えられる。 特に新規発症糖尿病は、膵癌が分泌する糖尿病誘発物質によって引 き起こされることが近年示唆されている。本研究では、膵癌切除術後に糖 尿病が治癒した 15 例の患者のうち 3 例が、膵癌の再発直前~同時期に 糖尿病の再増悪を認めた。これら 3 人の患者の臨床経過は、膵癌細胞が 糖尿病を引き起こすという仮説を強く支持する。膵癌と糖尿病の関連性を さらに理解するには、手術検体や血液検体などの分析が必要であり、膵 癌に新規発症糖尿病を合併した患者に焦点を合わせて解析することが有 用であると考えられる。 【結論】 膵癌患者を診断時と膵癌切除術前後の糖尿病の状態に応じて 4 つのカ テゴリーに分類した。 この分類は、膵癌と 2 型糖尿病の相関関係の一つ の指標になると考えている。また、膵体尾部切除術後に糖尿病が発症す る可能性が高いこと、膵癌切除術の直前(3 か月前)に新たに診断された 糖尿病は膵癌切除後に治癒する可能性が高いことが示された。

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