平成 21 年 2 月 5 日 独立行政法人 国民生活センター
解決困難な個人輸入代行
(1)に関するトラブル
全国の消費生活センターに寄せられる個人輸入代行に関する相談件数は、2005年以降増 加している。内容をみると「健康食品を食べて気分が悪くなった」という健康被害のトラ ブルもみられるが、「商品が届かないので解約したい」「商品が届いたがイメージと違った ので返金してほしい」等、解約・返金等の取引に関する相談が多い。また、国内の通販業 者や連鎖販売取引業者が手続きを代行したというケースもある。 国民生活センターでは、2008年11月19日、個人輸入代行業者を通して購入した健康食品 からシブトラミン類似の医薬品成分である脱N-ジメチルシブトラミンが検出したことを情 報提供(2)したところであるが、個人輸入代行サービスを利用してトラブルが生じても、同 サービスに関する法規制はほとんどなく、直接海外の業者に交渉する場合も語学力や時差 等の事情により、解決が難しいのが現状である。そこで、個人輸入代行に関するトラブル の未然防止・拡大防止のために広く消費者へ情報提供を行い、併せて、所管官庁等に情報 提供を行うこととした。1.相談件数
(1)相談件数 個人輸入代行に関する相談は2003年度以降、PIO-NETに580件入力されており、2005年 以降、相談が増加している。(2008年12月31日までの登録分) 図1 個人輸入代行に関する相談件数の推移 144 166 66 101 47 56 0 100 200 2003 2004 2005 2006 2007 2008 (件) (年度) (1)消費者の要請に基づき個別商品の発注、支払い等の輸入に関する手続を請け負う業者。 (2)個人輸入の健康食品に注意!!-未承認の医薬品成分(シブトラミン等)を検出 (参照:http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20081119_2.html) 記者説明会資料(2)当事者の属性 以下は、2003年度以降、全国の消費生活センターに寄せられた個人輸入代行に関する 580件の相談を分析した内容である。(※以下の項目について、不明・無回答は除く) ① 年代別内訳 年代別にみると、30~40歳代で約5割を占めている。最も多いのは30歳代で約28%、 次いで40歳代で約19%である。平均年齢は44.8歳である。 図2 年代別内訳 ~20代 16.0% 30代 28.2% 70代以上 11.1% 60代 11.3% 40代 19.3% 50代 14.1% ② 性別内訳 女性63%、男性37%と女性が多い。 ③ 職業別内訳 契約当事者の職業は、給与生活者が41%と最も多く、ついで家事従事者が(33%)、 自営・自由業(7%)、学生(約3%) となっている。 図3 職業別内訳 給与生活 者 40.9% 家事従事 者 33.0% その他 0.4% 無職 16.2% 自営・自由 業 7.0% 学生 2.6% (3)契約金額 契約金額は5万円未満が50%と多いが、中にはブランド品や自動車など100万円を超 える高額商品を契約しているケースも見られた。契約金額の平均は約30万円である。
図4 契約金額 ~1万円 未満 22.4% 100万円 以上 3.5% ~100万 円未満 4.9% ~50万円 未満 31.5% ~5万円 未満 28.0% ~10万円 未満 9.6% (4) 購入商品 相談が寄せられた商品は、化粧品、医薬品などの「保健衛生品」が65.4%と最も多く、 次いで「食料品」、「被服品」であった。 表.商品別件数 順位 商品分類 件数 商品例 1 保健衛生品 377 化粧品(199件) 、医薬品(149件)、医療用具(20件) 2 食料品 87 健康食品(79件)、飲料(8件) 3 被服品 31 かばん(9件)、婦人洋服(5件)、洋装下着(5件) (5)販売購入形態 販売購入形態は、インターネットやカタログなどによる「通信販売」が68%と最も多 く、ついで「電話勧誘販売」16%、「マルチ取引」9%であった。 図5 販売形態 通信販売 68.0% 電話勧誘 販売 15.8% その他 1.4% マルチ 取引 9% 店舗購入 5.4% (6)相談内容別分類および相談内容の傾向 内容別分類でみると、「契約・解約」に関する相談の割合が453件と最も多く、次いで 「販売方法」265件、「品質・機能」135件である(内容別分類は複数回答項目)。また、危 害・危険に関する相談も54件寄せられている。
2.主な相談事例概要
【 事例1 】代金を支払ったが、商品が届かず業者と連絡がとれなくなった インターネットで見つけた個人輸入代行業者に、海外の業者が販売しているマニキュア (約1万円)をメールで注文した。個人輸入代行業者に代金を振り込んだが、商品が届かな い。業者の連絡先はメールアドレスのみで連絡が取れない。どうしたらよいか。 (2008年4月 30代 女性 東京都 給与生活者) 【 事例2 】誇大な効果を説明され購入したが、解約できない 業者から電話があり、「一度この化粧品を使えば一生きれいな肌でいられる、今モニター として買ってくれたら格安で販売できる」などと勧誘された。業者から申込書、クレジッ ト契約書、パンフレット等が届き、早く記入して申し込むよう何度も電話があったので、 化粧品セット(約50万円)を申し込んだ。パンフレットをよく見ると、個々の商品金額が とても高いことが分かり、電話で説明されたような効果は記載されていなかったので、解 約したいと業者に伝えたところ、「当社は個人輸入の申込み手続きを代行しただけなので、 解約のことは、直接、海外業者に問合せてほしい」などと言われた。本当に解約できない のか。 (2007年12月 30代 女性 茨城県 家事従事者) 【 事例3 】 通販会社の会員宛に届いたカタログで注文したが、返品が認められない 通販会社の会員宛に送られてくる通販カタログと同梱して送られてきた海外商品のカタ ログを見て、健康食品(約 8000 円)をハガキで注文した。商品はアメリカから送られてき た。4 日間続けて飲んだ後、気分が悪くなったので、返品したいと思い、カタログに書かれ ていた申込先に連絡したところ、「当社は個人輸入代行をしているだけなので、返品は受 け付けられない」と言われた。カタログを確認すると確かに個人輸入との記載があるが、 通販カタログと共に送られてきたし、綴じ込みのハガキを使い、国内の住所地に郵送する 方法だったので、個人輸入だと思わなかった。カタログには日本語で「1 週間でサイズダウ ン」等と書いてあり、効果を期待して購入したが、気分も悪くなったので返品したい。 (2008 年 8 月 50 代 女性 滋賀県 給与生活者) 【 事例4 】連鎖販売取引業者に注文したが、返品を断られた 知人から「会員になって商品を紹介すれば手数料がもらえる」と誘われ、連鎖販売取引 業者の会員になることにした。会員になるためには、まず自分が商品を購入する必要があ ると言われ、業者が取り扱っている商品の一覧表とチラシを渡された。どれにしようかと 迷ったが、チラシに「整髪料として、髪にぬるだけで白髪が目立たなくなる。化学的着色 料の入った毛染め剤ではない」等と書いてあるのを見て、毛染め剤1セット(6本;約36,000 円)を購入した。使用したところ、髪がパサついて、痒みが出てきたので、未使用の商品 (5本)を返品したいと業者に伝えた。しかし、「あなたが購入した商品は個人輸入したも のだ。当社は個人輸入の手続きの代行をしただけなので、返品は受け付けられない」と言 われた。本当に返品できないのか。 (2008年10月 40代 男性 滋賀県 給与生活者)3.事例から見た問題点
(1)個人輸入代行業者を利用しトラブルが生じた場合、交渉が難しい。 代行業者と連絡が取れない場合や、代行業者が返品等に対応しない場合は、海外の 発送元等の業者と交渉せざるを得ない。しかし、消費者個人が海外の業者と直接交渉 することは、語学力や時差等の事情から容易ではない。 [事例1、2] (2)広告やカタログから個人輸入代行なのか、通信販売のカタログなのか分かりにくい。 個人輸入代行の広告やカタログの中には、体裁や申込方法が通信販売とよく似ている ものがみられる。通信販売との区別がつかず、通常の通信販売だと思っていたが、トラ ブルが生じてはじめて「個人輸入」だと認識したという相談が寄せられている。[事例3] (3)虚偽又は誇大な効能・効果、安全性などを表示している広告等がみられた。 消費者に期待をさせるような表示もみられる。これらの広告やカタログ等を見て、 効果を期待して購入した消費者から「表示のような効果が得られなかった」といった相 談が寄せられている。 [事例3、4] (4)個人輸入で購入した商品により、健康被害が生じる恐れがある。 日本国内で正規に流通している商品は、法律、規格、基準などに基づいている。し かし、個人輸入される海外製品は日本の法令等に則していないこともあり、個人輸入 した商品を飲んで体調が悪くなったり、使用して皮膚がかぶれた等の相談も寄せられ ている。 [事例3、4] (5) 電話勧誘販売や連鎖販売取引を行っている業者が、個人輸入の手続を代行している ことを理由に対応しない。 電話勧誘販売や連鎖販売取引は、特定商取引に関する法律でクーリング・オフ等が 定められているが、取引の実態に関わらず、個人輸入の代行手続きを行っただけだと いうことを主張し、消費者からのクーリング・オフ等の申し出に対して対応をしない 業者が見られる。 [事例2、4]4.消費者へのアドバイス
(1) 個人輸入代行を利用し、代行業者と連絡がつかなくなった場合や購入した商品に関 するトラブルが生じた場合は、海外の業者と直接交渉する必要が出てくるが、語学 力や時差等の事情から、交渉は容易ではないと思われる。個人輸入代行サービスを 利用する時は慎重にすること。 (2) 海外商品の通信販売だと思って購入したつもりでも、個人輸入代行手続きをしただ けと言って解約や返品等に応じないという相談等が寄せられているので、広告やカ タログの表示内容をよく確認すること。 (3) 個人輸入代行業者の中には、カタログやホームページに、取り扱っている商品に関 して、虚偽又は誇大な効能・効果、安全性などを表示している場合があるので慎重 にすること。 (4) 個人輸入代行の利用にあたって、不安になったり、トラブルが生じた場合は、最寄 りの消費生活センターに相談すること。 情報提供先 ・ 内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室 ・ 公正取引委員会 取引部 消費者取引課 ・ 警察庁 生活安全局 生活環境課 生活経済対策室 ・ 厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 ・ 経済産業省 商務流通グループ 消費経済政策課 ・ 経済産業省 商務流通グループ 消費経済対策課 ・ 社団法人 日本通信販売協会 本件連絡先 相談部 03-3446-0999(相談受付)(参考資料)
個人輸入とは
1)個人輸入とは 個人輸入の明確な定義はないと思われるが、海外製品を個人で使用することを目的とし、 自ら、あるいは代行業者を通じて海外の通信販売会社、販売店などから商品を購入するこ とと捉えられている。 2) 輸入代行業者が間に入った場合の仕組み 薬事法の指導取締りのため、整理をすると次のようになる。 ○厚労省医薬局 「個人輸入代行業の指導・取締り等について(H14.8.28)」抜粋 輸入代行業と称している場合でも、外国の業者から医薬品を輸入し、顧客に販売す る行為を行うなど実態として輸入行為を行っている場合は輸入販売業の許可の取得が 必要であるので・・・(略)・・・現在までに輸入代行業と称するもののうち、その事業の 形態により薬事法違反行為と考えられるものについて以下の通り類型化したので、取 締り等に当たり参考にされたい。 ※ 下記の1、2は 部が薬事法上の違反行為を含む取引となる。3.受動的手続代行行為