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地盤工学会北海道支部技術報告集第 5 5 号平成 27 年 1 月於室蘭市 模型実験による小段排水溝の凍上融解挙動の解明 北見工業大学工学部学生会員 隅屋佑次 北見工業大学工学部正会員 中村大 北見工業大学工学部正会員 川口貴之 北見工業大学工学部正会員 川尻峻三 北見工業大学工学部正会員 山下聡

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模型実験による小段排水溝の凍上融解挙動の解明

北見工業大学 工学部 学生会員 ○隅屋 佑次 北見工業大学 工学部 正会員 中村 大 北見工業大学 工学部 正会員 川口 貴之 北見工業大学 工学部 正会員 川尻 峻三 北見工業大学 工学部 正会員 山下 聡 1. はじめに 寒 冷 地 の 切 土 の り 面 に 設 置 さ れ た 小 段 排 水 溝 で は , 古 く か ら 凍 上 被 害 の 発 生 が 報 告 さ れ て い る . 平 成 18 年に十勝管内で切土のり面を対象に行われた調査では,調査切土全体の約8 割にもおよぶ小段排水溝が凍上 によって損傷し,排水機能が低下していたことが報告されている1) 一般的に,小段排水溝には熱伝導性の高い鉄筋コンクリート製のU 形排水溝が用いられる.このため,排 水溝の側壁背面は小断面とU 形排水溝の内空面から冷却される,寒気の影響を受けやすい箇所となってしま う2).さらに,寒冷で雪の少ない地域の小段は,小段面と谷側のり面の 2 面が冷却面となってしまうため, 平地やのり面に比べて寒気の影響を受けやすい 3).このような要因から,U 形排水溝側壁部の背面土におい て凍上現象が発生し,側壁に凍上力が作用して破壊されてしまう被害や,小段の横断方向で発生する不等凍 上によってU 形排水溝が回転する被害,小段の縦断方向で発生する不等凍上によって U 形排水溝が浮き上が り,連続性が損なわれる被害等が発生する4) 以上の被害のうち,本研究では小段横断方向の不等凍上によって発生する U 形排水溝の回転に着目した. 図-1 は,常呂郡訓子府町の切土のり面上に施工されたU 形排水溝において発生した回転の実測結果である. 図からU 形排水溝が凍結期に山側へ 1°程度回転する挙動を確認することができる(計測方法などの詳細に関 しては,中村ら5)を参照していただきたい).回転角度は微小ではあるが,このU 形排水溝では,写真-1 に 示すような接続部の剥離が確認された.この剥離はU 形排水溝が回転し接続部にねじれが生じて,発生した ものと推測される.このような排水溝の損傷は補修を行わずに放置しておくと,変状の隙間から排水が切土 のり面内に浸透し,最終的にのり面崩壊を引き起こす引き金となってしまう. これまでにも,小段排水溝の回転については,外塚ら 1)や安達ら 6)がそのメカニズムを明らかにするこ と に取り組んできた.外塚ら 1) は U 形排水溝周辺の凍結深さを詳細に実測し,そこから求められる凍結線か ら凍上力の作用方向を推測して,この回転を 説明することに取り組んでいるが,示されて いる作用方向は幾分客観性に欠けていると言 わざるを得ない.安達ら 6)は凍結深さの実測 値からU 形排水溝に作用する凍上力の大きさ を推測することに取り組んでいるが,構造物 に作用する凍上力は拘束状況によって変化す るため,凍結深さの大小で凍上力を論ずるこ とは非常に難しい.また,両論文ともに,こ の現象を解釈するのに重要な要素である積雪 の影響については,十分な考察を行っていな い.以上のように,小段排水溝の回転を合理 的に説明可能な論文は存在していないのが現

Elucidation of frost heaving behavior of berm ditches by model experiment: Yuji Sumiya, Dai Nakamura, Takayuki Kawaguchi, Shunzo Kawajiri, Satoshi Yamashita (Kitami Institute of Technology)

図-1 U 形排水溝の回転 写真-1 U 形排水溝接続部における剥離

拡大

山側

谷側

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 日付 2012/10/17 12/16 2013/2/14 4/15 6/14 8/13 10/12 回転角 度 , (°) θ 地 盤 工 学 会 北 海 道 支 部 技 術 報 告 集 第 5 5 号 平成27 年1月 於 室 蘭 市

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図-4 本研究に使用した土槽および構築した小段の概要 断熱材 恒温液(+5°C) 3.0m 0.35m 恒温水槽 小段 土槽 15 15 15 15 15 15 15 cm 5 45° 45° 5 6 cm 4 4cm ケイ砂 厚さ0.5cm U形排水溝 cm CASE1 15cm 45° 45° U形排水溝 断熱材 厚さ2cm ケイ砂 2cm CASE2 15cm 45° 45° 2cm U形排水溝 断熱材 厚さ2cm ケイ砂 CASE3 4cm 3.3 4cm 2.5 U形排水溝の模型 状である. そこで,本研究では小段排水溝が凍上・融解の影響を受けてど のような挙動を示すのか模型実験によって再現することに取り組 んだ.本研究は外塚ら 1)や安達ら 6)の野外計測による研究成果を 補完するものであり,これによって小段排水溝の回転メカニズム を合理的に説明することが可能になると考えられる. 2. 模型実験の概要 2.1 本研究に用いた土試料 土試料には常呂郡訓子府町で採取した段丘堆積物を用いた.図 -2 に粒径加積曲線を示す.実験にはこの試料を 2mm ふるいにか け,通過させたものを用いた.図-3 に2mm を通過した試料で行 った締固め試験の結果を示す.また,同地点で採取した試料で凍 上試験を実施したところ,凍上速度は0.301mm/hour を示し,高い 凍 上 性 を 有 し て い る こ と が 確 認 さ れ て い る 7). 実 験 に は 含 水 比 w=55%に調整した試料を用いた.これは外部から水分供給を行わ ず,土が保持している水分のみで凍上させることを目的としたた めである.この試料を図-4 に示す土槽内に投入して,締固めで小段を作製した.このとき目指した締固め度 はDc=90%である. 2.2 小段,U 形排水溝および積雪の模型 図-4 に本研究で使用した土槽および構築した小段の概要を示す.本研究には室内実験としては比較的長大 な土槽を用いた.土槽の具体的な寸法は,内寸で深さ0.35m,長さ 3.0m,奥行き幅 0.2m である.厚さ 2.5cm の透明なアクリルでできており,外部からの観察を容易に行うことができる.この土槽の約1/3 を使用して, 図に示した断面で,土槽内に小段を作製した.小段幅は15cm であり,実際の小段幅 150cm の 1/10 のスケー ルである.のり面の高さは15cm とし,角度は 45°とした. この小段に U 形排水溝の模型を設置した.素材はモルタルで,密度は 1.95g/cm3である.このU 形排水溝 も一般的に良く施工されるプレキャスト U 形側溝(300B,300C)の 1/10 のスケールを目指して作製した. U 形排水溝の具体的な寸法は,外寸が幅 4cm,高さ 4cm,長さ 19cm であり,内空の断面は幅 2.5cm,深さ 3.3cm である. 0.0010 0.01 0.1 1 10 100 20 40 60 80 100 通過質量百分率 (%) 粒径(mm) 粘土 シルト 砂 礫 図-3 締固め試験結果 図-2 粒度試験結果 30 40 50 60 70 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 含水比, w (%) 乾燥密度 , ρd (g /c m 3 ) 訓子府 <2mm wopt=43.1% ρdmax=1.194g/cm3 ゼ ロ 隙 曲

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U 形排水溝の設置についても,実際の施工を模擬して,以下の ような手順で実施した.まず,小断平坦部の中央をU 形排水溝よ り大きい幅6cm,深さ 4.5cm で開削する.次に,形成した掘削溝 の底部に,基礎砂利を模擬したケイ砂を厚さ0.5cm で敷設してい く.その後,敷設したケイ砂の上に,水準器で水平を確認しなが らU 形排水溝を設置する.最後に,U 形排水溝と開削溝の隙間に 土試料を入れ,直径0.5cm の棒を用いて転圧で埋め戻しを行う. 本研究では積雪の断熱効果の影響を明らかにする目的で,小段 およびのり面の表面に断熱材を敷設した.使用した断熱材の素材 はスタイロフォームである.具体的な断熱材の敷設方法について は,図-4 に示す.CASE1 は全く積雪のない状態を模擬しており, CASE2,CASE3 の 2 つのケースについては図の断面のように断熱 材を敷設して積雪を模擬している. 2.3 凍結・融解の方法 本研究で用いた土槽は恒温低温室に設置されており,この恒温 室の室温を制御して,小段の模型に凍結・融解の影響を与えた. 底部には恒温液を循環させるための配管が張り巡らされており, 恒温低温室外に設置した恒温水槽で温度制御を行うことが可能で ある.底部の温度は全ての実験において常に+5°C で制御しており, これは地熱を模擬している. 凍結・融解は具体的には以下の手順で実施した.凍結はまず恒 温低温室の室温を+5°C で一定とした後,室温をマイナスで制御して,凍結線(本論文の凍結線の定義につい ては,後の 2.4 で詳細に記述する)をゆっくりと小段へ進行させた.このとき,恒温低温室の室温は,凍結 線の進行状況を逐一確認しながら,-3°C から-5°C の間で制御している.融解についても同様で,融解の状況 を確認しながら,恒温低温室の室温を+1°C から+20°C の間で制御した. 写真-2 に模型実験の様子を示す.土槽の側面には厚さ5cm の断熱材を 2 枚設置した.この断熱材により土 槽側面からの寒気の侵入を防いでいる.ただし,小段平坦部の側面については,一眼レフカメラを用いて変 状の様子をインターバル撮影する目的で,断熱材を設置していない.この解放された側壁部分から寒気が入 り,奥行き方向に温度勾配ができることが想定されるが,実際に行った実験では,変状は奥行き方向に均等 に発生しており,この影響は少なかったものと考えられる.以上のような温度条件,装置で実験を行うこと により,自然環境下と同様に,小段に一次元で凍結・融解の影響を与えることを実現している. 2.4 計測項目と計測方法 本研究で実施した計測は以下の 2 つである.1 つ目は一眼レフカメラによる小段平坦部における変状のイ ンターバル撮影であり,10 分に 1 枚の間隔で自動撮影を行った.この撮影によって得られた静止画像から, 凍上量,凍結深さ,U 形排水溝の水平・鉛直移動量,U 形排水溝の回転角度を読み取る.2 つ目は温度ロガ ーによる恒温低温室の室温の計測であり,計測間隔は10 分間隔とした. 凍上量,凍結深さは以下の方法で読み取った.図-5 に一眼レフカメラで実際に撮影した静止画像を示す . ここでは,図の4 つの測線における凍上量,凍結深さを画像から読み取った.以下では,それぞれの測線を 右からのり肩1,のり肩 2,のり尻 2,のり尻 1 とする.凍上量は図中の凍結開始時の小断面から凍上発生後 の地表面までの距離とし,凍結深さについては凍結開始時の小断面から凍結線までの距離とした.図から確 認できるように,凍結領域は土中の水分が氷へと相変化するため,白色となって見える.本論文ではこの白 色の部分の境界を凍結線と定義する(ただし,ここで示す凍結線が0°C であるかは確認していない). U 形排水溝の水平・鉛直移動量については,図-5 に◎印で示した位置の移動量を読み取った.画像には メッシュが写っているが,これは土槽内壁に設置したアクリルシートに描いたものであり,一つのメッシュ は2cm×2cm である.このメッシュをスケールとして,凍上量,凍結深さ,U 形排水溝の移動量を算出した. 写真-2 模型実験の様子 山側 谷側 のり肩2 のり尻2 のり尻1 のり肩1 凍上量 凍結深さ 凍結開始時 の小段面 U形排水溝移動量 読み取り位置 2cm 2cm 図-5 凍上量,凍結深さ,U 形排水溝 の移動量の計測方法

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図-6 凍結・融解によって生じた小段平坦部における変状の様子 CASE1 凍結開始:0 hour CASE2 凍結開始:0 hour CASE3 凍結開始:0 hour

凍結:99 hour 凍結:130 hour 凍結:288 hour

最大凍結深さ:383 hour 最大凍結深さ:362 hour 最大凍結深さ:552 hour

融解(融解開始から4.5 hour経過): 387 hour 融解(融解開始から6.5 hour経過): 370 hour 融解(融解開始から5.8 hour経過): 558 hour

融解・沈下終了:435 hour 融解・沈下終了:435 hour 融解・沈下終了:618 hour

3. 実験結果および考察 図-6 に凍結・融解によって生じた小段平坦部における変状の様子を,実験ケースごとに示す.図-7 には恒 温低温室の室温および図-6 から読み取った凍上量,凍結深さの時間変化を実験ケースごとに示す.ただし , CASE1 では温度ロガーが故障してしまい,凍結開始から 200 時間以降の室温が計測できていないため,代わ りに恒温低温室の設定温度を点線で示している.両図から確認できるように,いずれの実験ケースにおいて も,凍結深さはのり尻に比べてのり肩のほうが大きな値を値を示していることがわかる.また,凍結線の形 状は,外塚ら1)や安達ら6)が野外計測によって得た形状と良い一致を示している. 図-8 に凍結時におけるU 形排水溝の位置と回転角度の時間変化を実験ケースごとに示す.図中の矢印は U 形排水溝の回転方向を表している.CASE1 に着目すると,のり尻側の凍結線はのり面や U 形排水溝内空の影 響を受けて傾いていることが確認できる.これにより,U 形排水溝が時間の経過とともに,谷側へ回転して

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図-7 各実験ケースにおける恒温低温室の室温および凍上量,凍結深さの時間変化 0 100 200 300 400 500 -0.30.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.8 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 -10 -5 0 5 10 凍上量 (c m ) 経過時間(hour) 凍結深 さ (c m ) 室温 (°C ) CASE2 0 100 200 300 400 500 600 700 -0.30.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.8 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 -10 -5 0 5 10 凍上 量 (c m ) 経過時間(hour) 凍結 深さ (c m ) 室温 (°C ) CASE3 のり肩1 のり肩2 のり尻2 のり尻1 0 100 200 300 400 500 -0.30.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 1.8 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 -10 -5 0 5 10 凍上量 (c m ) 経過時間(hour) 凍 結深さ (c m ) 室温 (°C ) 計測機の故障 CASE1 設定温度 のり肩2 のり尻2 のり尻1 のり肩1 99 hour : 1° 383 hour : 3° 383 hour 99 99 383 CASE1 130 hour : -1° 362 hour : 2° 362 hour 130 130 362 130 CASE2 288 hour : -1° 552 hour : -3° 552 288 凍結線 地表面 552 hour 288 288 552 552 CASE3 図-8 凍結時におけるU 形排水溝の位置と回転角度の時間変化 図-9 各実験ケースにおけるU 形排水溝の移動量 -0.5 0.0 0.5 0.0 0.5 1.0 0 hour 99 hour 383 hour 435 hour 389 hour 391 hour 水平移動量(cm) 鉛直移動 量 (c m ) CASE1 -0.5 0.0 0.5 0.0 0.5 1.0 0 hour 490 hour 366 hour 130 hour 376 hour 362 hour 水平移動量(cm) 鉛 直移動 量 (c m) CASE2 -0.5 0.0 0.5 0.0 0.5 1.0 0 hour 642 hour 水平移動量(cm) 鉛直移動 量 (c m ) CASE3 288 hour 552 hour 555 hour 567 hour 凍結 融解 いくことがわかる.CASE2 に着目すると,凍結開始から 130 時間まではのり肩側の凍結線が上に凸の形状を 示しており,この影響を受けてU 形排水溝が山側へ回転していることがわかる.しかしながら,時間の経過 とともに凍結線がU 形排水溝以深へと移動していくと,この凍結線の傾きに従って谷側へ U 形排水溝が回転 していることが確認できる.CASE3 に着目すると,凍結線が断熱材のない U 形排水溝右側の内壁からのり肩 に向かって深く進行していることが確認できる.これにより凍結線は傾き,U 形排水溝は山側へ回転してい くことがわかる. 図-9 には各実験ケースにおけるU 形排水溝の具体的な移動量を示す.図-9 と図-6 から U 形排水溝はアイ スレンズの形成によって発生する凍上力を受けて水平方向へ移動し,凍着凍上とアイスレンズの形成両方の

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CASE1 最大凍結深さ時(383 hour)の U形排水溝の位置 383 387 hour 383 hour CASE2 362 最大凍結深さ時(362 hour)の U形排水溝の位置 370 hour 362 hour 凍結発生位置 地表面 552 hour 552 CASE3 最大凍結深さ時(552 hour)の U形排水溝の位置 558 hour 552 552 凍結線 図-10 各実験ケースにおける凍上発生位置と推測される凍上力の作用方向 影響を受けて鉛直方向へ移動していることが確認できる.一方,融解時のU 形排水溝の移動は,凍結線の消 失とともに,鉛直下方へ掘削溝に沿って沈下するのみであった.これは本研究で使用した土試料が粘性を有 していて流動せず,U 形排水溝下への土の回り込みなどを再現できていないためだと考えられる.また,積 雪の代わりに断熱材を使用しており,融解期の融水を再現できていないことも一因であると考えられる. 図-10 に図-6 中の融解時の画像からトレースした最大凍結深さ時の凍上発生位置を示す.図中には凍上発 生位置から推測される凍上力の作用方向も矢印で示している.作用方向は常に凍上発生位置と垂直になるよ うにした.図から凍上力の作用方向とU 形排水溝の回転方向は良い一致を示していることが確認できる. 4. まとめ 本研究により,小段排水溝の回転メカニズムを合理的に説明することが可能になったと考えられる. ただ し,実際の小段の凍上量および積雪深さは現場ごとに千差万別で,地形条件や気候条件に大きく左右される . また,実際の小段排水溝の回転は,凍上に起因して発生するものばかりではなく,のり面そのものの崩壊や 表層流動によって発生しているものも多い.小段排水溝の凍上被害を考える際には,これらの点についても 十分な考慮が必要である.以下に本研究で得られた知見をまとめる. ・ 積雪を考慮した小段の模型実験を行うことで,U 形排水溝の凍上融解挙動を再現することに成功した. ・ U 形排水溝の回転は,積雪に従って形成される凍結線の形状に大きく影響を受けることが明らかとなっ た.また,U 形排水溝は小段に形成される凍結線(または凍上発生位置)に対して垂直方向に発生する 凍上力を受けて,回転することも明確になった. 参考文献 1) 外塚信,豊田邦男,水野津与志,佐藤幸久,萬隆:寒冷地における切土のり面小段工の凍上対策に関す る検討,公益社団法人 地盤工学会北海道支部 技術報告集,第 46 号, pp.291-296, 2006. 2) 武市靖:用排水路の凍結対策における側壁高と積雪を考慮した置換厚さの設計手法の検討,土木学会論 文集,第499 巻/III-28, pp.147-156, 1994. 3) 上野邦行,芮大虎,中村大,伊藤陽司,山下聡,鈴木輝之:植生保護法面の凍結・融解過程における挙 動特性,地盤工学ジャーナル,Vol.5, No.3, pp.413-424, 2010. 4) 公益社団法人 地盤工学会北海道支部 斜面の凍上被害と対策に関する研究委員会:斜面の凍上被害と対 策のガイドライン,2010. 5) 中村大,安達隆征,川口貴之,吉原孝保,畑中将志,玉井啓博,山下聡:立体網状スパイラル構造の排 水 材 を 用 い た 小 段 排 水 溝 の 開 発 , 公 益 社 団 法 人 地 盤 工 学 会 北 海 道 支 部 技 術 報 告 集 , 第 54 号 , pp.107-114, 2014. 6) 安達隆征,西本聡,佐藤厚子:凍結進行期に着目した小段排水溝に及ぼす凍上力の影響評価,公益社団 法人 地盤工学会北海道支部 技術報告集,第 52 号, pp.1-8, 2012. 7) 川 口 貴 之 , 中 村 大 , 山 下 聡 , 林 豪 人 , 安 達 謙 二 , 雨 宮 盛 児 , 原 田 道 幸 , 山 崎 新 太 郎 , 小 林 歩 , 玉 井 啓 博 : ジ オ セ ル と ジ オ グ リ ッ ド を 併 用 し た 補 強 土 壁 の 耐 凍 上 性 評 価 , ジ オ シ ン セ テ ィ ッ ク ス 論 文 集 , Vol.28, pp.345-352, 2013.

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