海外進出をめぐる法人税法上の問題点(1)
第 5 回 2017 年 3 月 17 日(金)
MJS 税経システム研究所 客員研究員
埼玉学園大学大学院教授、税理士
座長 望月 文夫
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 国内法上の恒久的施設(PE)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 租税条約上の恒久的施設(PE)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 3 海外進出の3つの形態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 4 外国税務当局によるPE課税等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5 外国税務当局による移転価格課税・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 6 外国税務当局による法人課税への対応方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 7 国税庁『国際戦略トータルプラン(2016 年 10 月 25 日)』・・・・・・・・・・・12 8 日本の税務当局による国外関連者に対する寄附金課税・・・・・・・・・・・・・13 9 日本の税務当局による移転価格課税の適用・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 10 日本の税務当局によるタックスヘイブン税制の抜本的改正・・・・・・・・・・・22 11 日本の税務当局による過少資本税制の適用・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
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海外進出をめぐる法人税法上の問題点(1)
はじめに 海外進出をめぐって法人税の問題が生じるのは、まず、内国法人が外国に現地事務所、 支店、子会社などを設立して取引を行った場合に、 (1)進出先国における法人税の問題、 (2)日本における法人税の問題、があります。 このうち、(1)で特に注意しなければならないのは、中国や東南アジアで行われてい る恒久的施設(PE)認定課税です。恒久的施設(PE)については、日本の税法や租税条約 に規定がありますが、日本の考え方はOECD の議論に基づく先進国のものです。 一方、開発途上国など国・地域によっては独自に恒久的施設(PE)の定義を持っている 場合があります。外国の税務当局が税務調査の結果として、恒久的施設(PE)と認定する =更正処分を受ける=納税を強制される、ということになります。このように、恒久的施 設(PE)について先進国と途上国で異なることもありますが、まずは恒久的施設について の知識が必要です。税制は国・地域により異なりますし、制定の経緯や社会背景などがあ りますので、日本流の考え方が通用しないと考え現地の専門家に任せることが基本です。 (2)の日本における法人税の問題で一番注意しなければならないのは、「国外関連者 に対する寄附金」です。これも、一種の認定課税になります。当局は洋の東西を問わず、 事実認定を勝手にやり課税します。当局職員の習性なのかもしれません。国税当局の職員 が国外関連者に対する寄附金が大好きな理由は、修正申告書が出て追徴に応じてくれれば こんなに楽なことはないからです。移転価格税制を適用することで国際的二重課税が発生 し、相互協議を行うことになれば長期間を要することになる一方、日本の課税が外国税務 当局により100%認められる場合はほとんどありません。そうなると、一度課税した税額の 一部を還付することになります。 次に、進出先国・地域がタックスヘイブンに該当し、そこに外国子会社が設立された場 合にはタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)が適用されます。同税制は平成 29 年度税制改正において抜本的に改正される予定ですが、適用は平成 30 年4月1日以降開 始する事業年度からになるので準備期間があります。 タックスヘイブン税制も当局職員が大好きな税制です。こちらも国際的二重課税が生じ ないこと、タックスヘイブンを悪者と決めつけることで納税者にも上司にも伝えやすいこ と、などがあります。過去 40 年弱の歴史がありますが、裁判や裁決が出た事案を見ると、 不当な課税という印象を受けるものが数多くあります。 このほか、過少資本税制や過大支払利子税制などの適用があるかもしれません。これら も、最近のグローバル化の流れを受けて、課税件数がボチボチ出てきたようです。 以下、順にご説明します。2 1 国内法上の恒久的施設(PE) 平成26 年度税制改正において、日本の国際課税原則に新たに帰属主義が採用されたこと を受けて、国内法上の恒久的施設(PE)の定義が国際的に整合的なものに改正され、次の ようになりました。 (1)所得税法(法人税法)上、恒久的施設とは、次に掲げる3つのものをいいます(所 法2条8号の4、法法2条12 号の 18)。 ① 支店、工場その他事業を行う一定の場所 ② 非居住者又は外国法人の国内にある建設作業場 ③ 非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者 (2)一定の場所で恒久的施設に含まれるもの 上でいう「一定の場所」で恒久的施設に含まれるのは、次のものになります。 ① 支店、出張所その他の事業所若しくは事務所、工場又は倉庫(倉庫業者がその事業の 用に供するものに限ります) ② 鉱山、採石地その他の天然資源を採取する場所 ③ その他事業を行う一定の場所で①,②に掲げる場所に準ずるもの (3)一定の場所で恒久的施設に含まれないもの 一方、次に掲げる「一定の場所」は、恒久的施設に含まれないものです。 ① 外国法人がその資産を購入する業務のためにのみ使用する一定の場所 ② 外国法人がその資産を保管するためにのみ使用する一定の場所 ③ 広告、宣伝、情報の提供、市場調査、基礎的研究その他その事業の遂行にとって補助 的な機能を有する事業上の活動を行うためにのみ使用する一定の場所 (4)代理人で恒久的施設に含まれるもの ① その事業に関し契約を締結する権限を有し、かつ、これを継続的に又は反復的に行使 する者(常習代理人) ② 顧客の通常の要求に応じる程度の数量の資産を保有し、かつ、その資産を顧客の要求 に応じて引き渡す者(在庫保有代理人) ③ もっぱら主として一の外国法人のため、常習的にその事業に関し契約を締結するため の注文の取得、協議その他の行為のうちの重要な部分をする者(注文取得代理人) (5)代理人で恒久的施設に含まれないもの *独立代理人(その者がその事業に係る業務を、外国法人に対し独立して行い、かつ、通 常の方法により行う者)を恒久的施設から除くとされます。 通常の事業会社が保有する「倉庫」は、 恒久的施設には含まれません
3 2 租税条約上の恒久的施設(PE) 現状、対先進国との間で最新の日独租税条約5条を以下に引用します。 第5条 恒久的施設 1 この協定の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその 事業の全部又は一部を行っているものをいう。 2 「恒久的施設」には、特に、次のものを含む。 (a) 事業の管理の場所 (b) 支店 (c) 事務所 (d) 工場 (e) 作業場 (f) 鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所 3 建築工事現場又は建設若しくは据付けの工事については、これらの工事現場又は工事 が12 箇月を超える期間存続する場合には、恒久的施設を構成するものとする。 4 1から3までの規定にかかわらず、次のことを行う場合は、「恒久的施設」に当たら ないものとする。 (a) 企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること。 (b) 企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。 (c) 企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。 (d) 企業のために物品若しくは商品を購入し、又は情報を収集することのみを目的とし て、事業を行う一定の場所を保有すること。 (e) 企業のためにその他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、 事業を行う一定の場所を保有すること。 (f) (a)から(e)までに規定する活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業 を行う一定の所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合せに よる活動の全体が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。 5 1及び2の規定にかかわらず、企業に代わって行動する者(6の規定が適用される独 立の地位を有する代理人を除く。)が、一方の締約国内で、当該企業の名において契約を 締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使する場合には、当該企業は、その 者が当該企業のために行う全ての活動について、当該一方の締約国内に恒久的施設を有 するものとされる。ただし、その者の活動が4に規定する活動(事業を行う一定の場所 で行われたとしても、4の規定により当該一定の場所が恒久的施設であるものとされな いようなもの)のみである場合は、この限りでない。 6 企業は、通常の方法でその業務を行う仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理 人を通じて一方の締約国内で事業を行っているという理由のみによっては、当該一方の 締約国内に恒久的施設を有するものとはされない。
4 7 一方の締約国の居住者である法人が、他方の締約国の居住者である法人若しくは他方 の締約国内において事業(恒久的施設を通じて行われるものであるか否かを問わない。) を行う法人を支配し、又はこれらに支配されているという事実のみによっては、いずれ の一方の法人も、他方の法人の恒久的施設とはされない。 上で示した日独租税条約第5条は、2014 年版 OECD モデル租税条約(最新のモデル条約) と同一の文言になっています。これは一言で言えば先進国寄りの内容です。 一方、新興国・開発途上国は、自国(源泉地国)で役務が行われ、その役務が自国に所 在する恒久的施設に帰属しない場合に、その役務から生じた利得に課税できないことに反 対し、独自の制度を有する国があります。このような場合、これらの国々では、「サービス PE」と称して源泉地国課税をする場合があります(後述します)。 3 海外進出の3つの形態 (1) 駐在員事務所 駐在員事務所とは、一般的に市場調査や情報収集など、事業そのものを行わない事務所 をいいます。 (2)支店 支店とは、一般的に外国の法人が拠点を設けるものの、法人格の取得まではおこなわな い事業所をいいます。 (3) 現地法人 現地法人とは、現地に設立された内国法人とは別会社のことです。別に会社を作るとい うことは、法人格を取得し、株式を発行し、内国法人などの親会社が株式を保有すること になります。 (4)課税形態 日本では、次頁以下に示すように駐在員事務所は課税しない一方、支店・現地法人に対して は課税しています。これは、駐在員事務所は事業を行わないという理解があるからです。
5 4 外国税務当局によるPE課税等 以下では、これまで明らかになった外国税務当局によるPE認定課税などを、進出形態 毎に取り上げることにします。 (1)駐在員事務所 (問)内国法人(製造販売業)P は、最近の社会経済情勢の下日本だけで活動するとジリ 貧になると考えました。そこで、東南アジアのA 国に駐在員事務所を置き、担当者を派遣 し、販路の拡大を行い始めました。徐々に販路が増えていき、P からの派遣社員も増加し ていきました。駐在員事務所では、税務申告をしていませんでした。ところが、先般、A 国税務当局の調査において、「駐在事務所とはいえ、実質的に営業活動している。」と指 摘された上で課税処分を受けました。どういうことでしょうか。 (回答) イ 前ページでご説明したように、通常の場合、駐在員事務所の機能として市場調査や情 報収集があり、営業活動をしないというものです。ところが、P 社駐在員事務所の場合、A 国税務当局からすると、通常の駐在員事務所の活動範囲を超えて事業活動をしている、と されたと思われます。 【駐在員事務所のPE 認定課税の一例】 ロ 駐在員事務所がP 社の恒久的施設(PE)と認定された背景には、従業員数が多いこと が考えられます。また、よく見てみないと何とも言えませんが、市場調査や情報収集の枠 を超えて棚卸資産の販売を行ったと認定されたとも考えられます。通常の場合、内国法人 の駐在員事務所には発生する費用に関する帳簿はある一方、売上帳などは整備されていな いことから、A 国税務当局により売上や利益などが推計された可能性もあります。 このようなことは、日本では生じることはありませんが、新興国や途上国では起こり得 ることです。 内国法人 (親会社) 駐在員 事務所 当 局 代 金 支 払 棚卸資産販売 日 本 外 国 実質的に営業 活動している 補助的・準備的活動 のみを行う PE認定
6 【駐在員事務所は課税されないのか?】 ① 日本における駐在員事務所の概要(JETRO ウェブサイト) 情報の収集や提供を目的にした駐在員事務所の設置は自由に行うことができ、会社法 上の登記も必要なく、日本で営業活動をしないため法人税の対象にならず税務署への届 けも必要ありません。ただし、例外として外国の銀行、保険会社、証券会社等の金融機 関が駐在員事務所を設置するときは金融庁に事前届出をしなければなりません(これら は銀行業法、証券取引法などの各業法に定められている規定です)。 また、駐在員事務所が銀行口座を開設するときは、通常「××××社日本駐在員事務所、○○ ○○(代表者個人名)」のような、事務所名と個人名を併記した口座名義になります。 ② 中国における駐在員事務所の概要(同上) 駐在員事務所は中国では「外国企業常駐代表機構」(以下、代表機構)と呼ばれ、専用 規定があります。 製造業や貿易業などの代表機構の大半は工商行政管理局で直接登記し設立できます。 法律、行政法規あるいは国務院が、別途規定している業種(航空輸送、弁護士事務所、 会計士事務所、証券会社などのサービス業など)の代表機構設立に当たっては、登記前 に政府関係部門の許可を得る必要があります。 2010 年以降、代表機構に関する新たな法律法規が公布され、非課税の扱いが認められ なくなりました。代表機構は帳簿を設け、合法的で有効な信憑に基づいて記帳するとと もに、実際に履行する機能と引き受けるリスクとが釣り合うという原則に従い、課税対 象収入や課税対象所得額を正確に計算し、四半期終了後15 日以内に申告納税を行わなけ ればなりません。 ③ ベトナム駐在員事務所開設の際の注意点(同上) 日本で会社設立後1年以上が経過している日本企業は、駐在員事務所を設立すること ができます。ただし、業務内容は、本社との連絡業務、ベトナムでの案件の実施促進、 ベトナム側パートナーと締結した契約の実施監督、ベトナムでの商品・サービス供給を 目的とした市場調査等のために限られます。 駐在員事務所はベトナムにおける法人格を有さないため、直接利益が発生するビジネ スや投資活動を行うことはできません。その都度駐在員事務所長が委任を受ける場合を 除き、契約の締結、企業への直接販売促進、広告展開はできません。また、駐在員事務 所は他拠点として、ベトナム国内外の各省、都市に直轄の連絡事務所、支店を設立する こともできません。 駐在員事務所の活動期間は 5 年を超えない範囲と定められています(延長可能)。 た だし、外国の法律で当該企業の活動期間が規定されている場合、駐在員事務所の活動期 間は、会社登記簿、あるいはそれと同価値の証明書に記載された残存期間の範囲内とな ります。
7 ④ タイ駐在員事務所設立手続き(同上) *駐在員事務所の業務 事務所設置の目的や活動の内容によって審査されます。駐在員事務所の業務は、次の 5つに限定されます。申請する段階で活動内容を具体的に記載する必要があります。 イ.本社のためにタイで物品またはサービスを購入するための供給元を見つけること ロ.本社がタイで購入した物品、またはタイで製造委託した物品について、その品質お よび量を検査、管理すること ハ.本社が代理店または消費者に販売する物品について、様々な角度からアドバイスを 提供すること ニ.本社の新製品または新サービスに関する情報を広めること ホ.本社向けのタイ国内の事業動向を報告すること このように、中国を除く国では駐在員事務所は課税対象外ということになります。しか し、上の事例にあるように、実際には日本法人の外国駐在員事務所が課税対象になってい る場合があります。 【留意事項】 上に掲げたように、駐在員事務所設立や維持のためには各国で一定の基準があり、厳し く管理されるという面があります。本来の駐在員事務所の枠内での活動を行うことがまず は重要になるでしょう。 ただし、駐在員事務所で課税されたことで、内国法人の外国税額控除の対象になるとい うことはあるかもしれませんが、これについては実際に見たことがないので何とも言えま せん。 (2)支店 支店は、日本を含む各国において外国法人として課税対象になります。これまで、支店 形態で海外進出している内国法人で不当な課税を受けたということは、あまり聞いたこと がありません。しかし、上の駐在員事務所や下で述べる現地法人で多くの内国法人が苦労 しているので、何らかの形で課税が行われていると思われます。 (3)現地法人(外国子会社) ① PE 認定課税 (問)内国法人P は、東南アジアの A 国に子会社を設立し棚卸資産の販売を行っています。 子会社はA 国税務当局に対して現地の税法に従って申告していましたが、調査の結果内国 法人P の恒久的施設であるとして認定課税されました。これは、どういうことでしょうか。
8 (回答) イ 内国法人が A 国に販売子会社を設立し、棚卸資産を販売している場合、当然ですが、 その販売子会社はA 国の内国法人になります。そこで、A 国の税法に則って税務申告と納 税を行います。ところが、アジア諸国などの税務当局は、子会社の法人格を無視する場合 があります。これが、外国子会社に対するPE 課税です。 【現地法人のPE 認定課税の一例】 ロ この事例のようなPE 課税の場合、外国税務当局は、「P の子会社は何のリスクも負っ ておらず、親会社であるP の単なる取次業務を行っているにすぎない。」と主張するのが 一般的です。つまり、本来持っている法人格を否定するのですが、形式基準を満たしてい るため、実質基準を援用するわけです。その上で、その子会社はP の恒久的施設(PE)と 認定され課税することになります。このような場合、子会社の決算書のうち、一定の数値 を取り出すことで、当局の都合のいい推計課税を行うことになります。 ② 使用料の損金計上否認 (問)内国法人P は、東南アジアの A 国に製造子会社を設立し技術援助を行っています。 子会社は現地の税法に従って申告していましたが、赤字のために欠損金が出ており、まっ たく納税していません。当局の税務調査の結果、技術援助の対価である使用料が否認され 追徴課税を受けることになりました。 (回答) イ この事例は、A 国子会社が製造子会社であり、製造を行う際に親会社から技術援助を受 けている場合の事例です。A 国子会社ですので、A 国の税法に則って確定申告等を行うのは 当然のことです。ところが、この事例においては、子会社が負担する販売費及び一般管理 費のうち、親会社に支払う使用料(ロイヤリティ)が損金の額として認められず、その分 課税所得を増額されるような課税処分が行われました。 内国法人 (親会社) 外国法人 (子会社) 当 局 代 金 支 払 棚卸資産販売 日 本 外 国 親会社の取次 にすぎない 親会社から見ると独 立して事業を行う PE認定
9 【外国子会社の使用料損金不算入の一例】 ロ このように、使用料を否認する場合の外国税務当局のロジックは、「現地法人(子会社) が赤字である。親会社から受ける技術援助に関する使用料は利益に係る対価であり、利益 が生じていない場合、技術提供の便益を享受していないことになる。したがって、使用料 の損金処理を否認する。」というものです。 もちろん、このような考え方は日本ではあり得ません。しかし、国によってはこのよう な理由で課税処分を受ける場合があります。 ③ 使用料料率の上限や契約の有効期間の制限問題 (問)内国法人P は、新興国 B 国に製造子会社を設立し技術援助を行っています。子会社 から技術援助の対価である使用料を受領したいのですが、現地では特許権や製造ノウハウ の対価としての使用料を国外に送金する場合、事前に工業所有権当局や中央銀行に登録す ることが求められます。そして、使用料の上限や契約期間にも制限が加えられます。この ような場合、どのように対処すればいいのでしょうか。 (回答) イ これはブラジルの事例ですが、現実に困っている内国法人がある程度存在しています。 これについては、日本側で対処できる問題ではないので、現地の法制度の改正を待つしか ありません。多くの内国法人は、供与する技術の性質などを工業所有権当局に十分に説明 することで、より高率な使用料を内国法人が受領できるように努力をしているというのが 現状です。 ただし、ブラジルなどの新興国や途上国の場合、外貨の海外への流出を快く思っていな いような場合、企業の思い通りにはいきません。これは一種のカントリーリスクと割り切 るしかないかもしれません。 内国法人 (親会社) 技 術 援 助 当 局 日 本 外 国 赤字なので使 用料損金不可 親会社の技術を使用 している 現地法人 (子会社) 使 用 料 支 払 使用料の損金 処理否認
10 【使用料の送金規制の一例】 ロ ブラジル以外では、中国でも外為規制が厳しいことで知られています。例えば、中国 から日本に使用料を送金する場合、契約書、登記証書、納税証明書などの複数の書類を税 務当局と銀行に提出し、登記・確認を受けなければ送金することができません。その上、 税務当局は最高でも2.5~3%の料率しか認めないとも言われています。 〇ここまでの3つの事例を見ると、本来は親子間取引(国外関連取引)があったことから、 本来は移転価格税制を適用すべきですが、簡単に処理できる方法(PE 認定、使用料否認、 使用料期間制限)を用いています。課税当局として、課税しやすく確実に徴税できる方法 を採用しているとも言えるでしょう。なお、これらの事例は経済産業省資料を参照しまし た。 ④ サービスPE の事例 以下では、(内国法人が当事者ではないものの)インドで実際にあった事例を基に説明 します。この事例は、英国法人(J 社)がインドに子会社(I 社)を設立し、英国法人から 技術者がインドで技術支援を行っていた事案です。その際、J 社と I 社との間では、 イ 技術移転契約を締結し、I 社が同社の標準的機器の製造をできることとし、そのために J 社は I 社にノウハウ及び技術を含む技術書面の提供、品質チェックの実施を使用許諾し、 ロ 国際的人材派遣契約書に基づき J 社の技術コンサルタントをインド国内に派遣するこ とにより、I 社に技術援助を行いました。 インド当局は、外国親会社からの技術援助について、技術者の身分が親会社従業員のま まの場合、その技術者は外国親会社のために働くことになり、その親会社のサービスPE に なるとし、技術者に支払われる金額がそのサービスPE の事業所得に該当するとしました。 また、技術移転契約において支払われる技術援助の対価が、租税条約上の使用料(ロイ ヤリティ)に該当することから、インドにおいて10%の源泉徴収が必要としました。 日 本 外 国 使用料の期間 5年上限5% 親会社の技術を使用 している 内国法人 (親会社) 現地法人 (子会社) 工業所有権当局 中 央 銀 行 使 用 料 支 払 技 術 援 助 使用料の上 限規制など
11 上の事例は、恒久的施設の定義の問題なので、最終的には日印租税条約5条をどのよう に解釈するかになります。現状、英印租税条約の5条とは内容が異なるので、内国法人と インド子会社との間には同様の問題は発生しないと考えられます。 その代わり、日本親会社から技術援助を行うことで、使用料(ロイヤリティ)に対する 源泉徴収の問題が発生することになるので注意が必要になります。 5 外国税務当局による移転価格課税 現状、ほとんどの国には移転価格税制があり、国によって差はあるものの一定程度の執 行が行われています。特に、アジア諸国は経済的に外資系企業に法人税収の多くを依存し ていることもあり、積極的な運用を行っていることから日本企業は注意することが求めら れます。以下、これまでに明らかになった事案について説明します。 (1)海外で移転価格税制の適用を受けた事例(その1) *移転価格課税の状況 現地当局から、「子会社の機能とリスクが単一であり限定的なことから、リスクを負う べきではなく、絶えず一定の利益を計上すべきである。」といった内容と通達を根拠とし て、実態とはかけ離れた高い利益率を適用された上で追徴課税されました。 (2)海外で移転価格税制の適用を受けた事例(その2) 内国法人 (親会社) 棚卸資産販売 当 局 日 本 外 国 一定の利益を 確保すべき 親会社から見ると通 常の事業を行う 内国法人 (親会社) 外国法人 (子会社) 当 局 サポート業務 役務提供料支払 日 本 外 国 通常の取引の利益 を確保すべき 移転価格 課税 直 接 販 売 外国法人 (子会社) 代 金 支 払 移転価格課税 外国法人 (第三者) 代 金 支 払
12 *移転価格課税の状況 外国子会社の機能が低くサポート業務のみを行っているにもかかわらず、現地当局から、 「通常の取引で計上されるべき利益を計上しなければならない。」と言われ、追徴課税さ れました。なお、上の2 つの事例は、経済産業省資料を参考にしました。 6 外国税務当局による法人課税への対応方法 最近、内国法人の進出先国は、中国を筆頭にアジア諸国が多くを占めています。上で述 べたように、日本の税法や租税条約締結方針は、先進国の集まりであるOECD の考え方に 基づいています。一方、アジア諸国は、自国の企業が十分に育っているわけではない=外 資に依存する経済であることもあり、居住地国課税というよりは源泉地国課税を重視して います。 さて、社会経済情勢が全く異なる外国に進出する場合、一番注意しなければならないこ とは、進出先法人を黒字にして現地で納税することです。上に掲げた課税事例のうち、駐 在員事務所の事例を除くと、現地法人が損失を計上していることが背景にあります。 内国法人は、赤字計上には何ら抵抗はないと思いますが、通常の場合、外資系企業は黒 字です。理由は、会社設立の本来の目的である利益の創出への意識が高いからです。日本 では、黒字対赤字の割合がだいたい3対7で推移しています。また、最近の報道(東芝の 米国原発企業買収の失敗、キリンのブラジルからの撤退、ドコモのインドからの撤退等) にあるように、大企業も海外で収益を計上できない場合も多いようです。 7 国税庁『国際戦略トータルプラン(2016 年 10 月 25 日)』 さて、ここからは国内における課税に関してご説明します。はじめは、2016 年 10 月 25 日に国税庁が公表した『国際戦略トータルプラン』について簡単に説明します。 ここ数年、OECD 租税委員会を中心に「税源侵食と利益移転(BEPS)プロジェクト」が 進行することで国際課税制度の再構築が行われている一方、2016 年4月には『パナマ文書』 が公表されるなど、国際課税に関して大きな注目を集めることになりました。国税庁とし て、国際課税について戦略的に取り組んでいることを内外にアピールする意味もあり、こ のプランを公表したのではないかと考えられます(あくまで想像です)。 海外進出をめぐる法人課税については、以下のような記述があるのでご紹介します。 海外取引のある企業への対応(19 頁) 社会経済の国際化に伴い、我が国においても海外取引を行う企業が増えてきています。 海外取引を行う企業は、その取引等の相手企業が国外にあり容易に取引内容等の確認が できないといった特殊性があります。その特殊性を利用して、取引金額を改ざんするこ とにより不正に所得金額を圧縮したり、海外子会社の出資者を偽ることにより、外国子 会社合算税制の適用による課税を回避したりするなどの法人が把握されています。 また、各国の税制や租税条約の違いを利用して、グループ全体における税負担を軽減
13 する国際的な租税回避スキームもあり、これらの海外取引企業特有の問題について、厳 正に対応していく必要があります。 このため、国税庁では、海外取引企業への取組を重点課題として掲げ、積極的に調査 を実施しています。 その結果、平成 27(2015)事務年度においては、2,308 億円の海外取引等に係る申告 漏れ所得金額が把握されました。 今回は、上のような外国取引を利用した不正取引や出資者の偽り等は取り上げません。 8 日本の税務当局による国外関連者に対する寄附金課税 (1)概要 日本の税務専門家では、寄附金は当たり前のことと思われているかもしれませんが、外 国に同じような制度は(しっかり調べたわけではありませんが)ほとんどありません。 国外関連者に対する寄附金課税の根拠規定である措置法66 条の4第3項は、大要次のよ うに規定しています。 3 法人が各事業年度において支出した寄附金の額(法人税法37 条7項に規定する寄附 金の額をいう。)のうち当該法人に係る国外関連者に対するものは、当該法人の各事業年 度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。 これを単純化すれば、法人税法37 条に規定する寄附金の相手方が国外関連者である場合、 その全額が損金不算入になるということになります。 そして、具体的な適用状況については、移転価格事務運営要領(事務運営指針)で次の ように例示されています。 (国外関連者に対する寄附金) 3-19 調査において、次に掲げるような事実が認められた場合には、措置法第 66 条の 4 第3 項の規定の適用があることに留意する。 イ 法人が国外関連者に対して資産の販売、金銭の貸付け、役務の提供その他の取引(以 下「資産の販売等」という。)を行い、かつ、当該資産の販売等に係る収益の計上を行っ ていない場合において、当該資産の販売等が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与 又は無償の供与に該当するとき ロ 法人が国外関連者から資産の販売等に係る対価の支払を受ける場合において、当該 法人が当該国外関連者から支払を受けるべき金額のうち当該国外関連者に実質的に資産 の贈与又は経済的な利益の無償の供与をしたと認められる金額があるとき ハ 法人が国外関連者に資産の販売等に係る対価の支払を行う場合において、当該法人 が当該国外関連者に支払う金額のうち当該国外関連者に金銭その他の資産又は経済的な 利益の贈与又は無償の供与をしたと認められる金額があるとき (注) 法人が国外関連者に対して財政上の支援等を行う目的で国外関連取引に係る取 引価格の設定、変更等を行っている場合において、当該支援等に基本通達9-4-2 の相当な
14 理由があるときは、措置法第66 条の 4 第 3 項の規定の適用がないことに留意する。 国外関連者に対する寄附金は、通常の寄附金とは異なり、全額が損金不算入になります。 限度額計算はありません。また、寄附金を受領した相手先で益金の額に算入されることで、 相手先で課税されることから、日本との国際的二重課税が生じることになります。しかし、 移転価格課税とは異なり、寄附金課税の場合には相互協議を行うことができません。そこ で、課税に不服がある場合には、国内救済手続き(訴訟)に進むことになります。 さて、移転価格税制の中に国外関連者に対する寄附金の規定が導入された理由は、次の 通りです。 昭和 61 年(1986 年)の移転価格税制の導入後、資産の低額譲渡や高価買入による外国 企業への課税もれの流出は制度上無くなったことになります。ところが、国外関連者に対 して金銭を贈与した場合(=法人税法上の寄附金に該当する場合)には、そもそも国外関 連者との取引がないことになり、(移転価格税制ではなく)法人税法上の寄附金として取り 扱われることになります。そうなると、それらの贈与について法人税法に規定するその他 の寄附金として一定額までが損金として認められることになります。一方、国外関連者が 外国にあることから、その国外関連者が得た経済的利益に関する受贈益課税を行うことは できません。こうなると、内国法人が行ったその寄附に関して日本の法人税が十分に確保 されないことになります。 そこで、国外関連者に対する金銭の贈与及び債務の免除については、全額損金不算入と いう規定になったわけです。 (2)国外関連者に対する寄附金についての参考事例集(事例25) 国税庁「移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)」 『移転価格税制の適用に当たっての参考事例集』より 国税庁は、「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」を公表していますが、その事 例25 が国外関連者に対する寄附金です。 【事例 25】(国外関連者に対する寄附金) ≪ポイント≫ 法人が取引の対価を国外関連者から収受していない場合の取扱いに関する 事例(前提条件1は措置法第 66 条の4第3項(国外関連者に対する寄附金の損金不算入) の規定の適用がある場合、前提条件2は移転価格税制に基づく課税の対象としても検討を 行う場合)
15 ≪前提条件1:国外関連者に対する寄附金の損金不算入の規定の適用がある場合≫ [取引関係図] [日本] [X 国] (製品Aの製造販売) (製品Aの製造販売) (法人及び国外関連者の事業概況等) 日本法人P社は、製品Aの製造販売会社であり、3年前に製品Aの製造販売子会社であ るX国法人S社を設立した。S社は、設立の直後から製品Aの製造工場の建設に着手し、 工場は建設工事開始から1年後に完成したが、現地採用従業員の機械操作等に対する習熟 度が低いことなどから当初の生産計画を達成できていない状況にある。 (国外関連取引の概要等) P社は、S社の製造工場完成後に製品A製造設備に係る保守・点検やS社従業員に対す る教育訓練等の業務を行うため、P社社員をS社に派遣している(当該業務にP社の無形 資産は使用されていない。)。P社は、S社に対するこれらの業務に係る役務提供の対価を 収受していない。 (P社社員の派遣に係るP社・S社間の取決めの内容等) P社はS社の業績予測を行ったが、製品Aの製造販売事業が軌道に乗りS社の経営が安 定するまでの間、S社の資金事情は厳しい状況にある。P社とS社は、P社社員が行う業 務に係る役務提供の対価を収受するための契約を取り交わしたが、P社はS社を財政的に 支援する目的で、両社の合意により当該対価を収受しないこととした。 なお、S社は、倒産に至る可能性があるような業績不振の状態にはない。 ≪移転価格税制上の取扱い≫ P社は、S社がX国で事業を遂行するために不可欠な業務について、P社社員の派遣に よる支援を行っており、S社に役務を提供していると認められる。 この場合において、P社はS社から役務提供の対価を収受していないことから、上記の 事例は無償による役務の提供に該当し、P社はS社を財政的に支援するためにS社との間 で役務提供の対価を収受しないことを取り決めていることから、当該役務提供はS社に対 する「経済的な利益の無償の供与」に該当するものと認められる。また、S社は倒産に至 る可能性があるような業績不振に陥っていない等、P社がS社にこうした支援を行うこと について基本通達 9‐4‐2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)にいう相当な理 日本法人 P 社 国外関連者 S 社 第三者 役務提供 製品A 販売
16 由があるとは認められない。以上より、上記事例における役務提供取引については、措置 法第66 条の4第3項(国外関連者に対する寄附金の損金不算入)の規定の適用を受けるこ とから(事務運営指針3‐19)、移転価格税制に基づく課税の対象とはならない。 (参考) 法人税基本通達(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等) 9-4-2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での 貸付け又は債権放棄等(以下 9-4-2 において「無利息貸付け等」という。)をした場合にお いて、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず 行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことにつ いて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益 の額は、寄附金の額に該当しないものとする。(昭 55 年直法 2-8「三十三」により追加、平 10 年課法 2-6 により改正) (注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有 無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に 判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと 認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。 ≪前提条件2:移転価格税制に基づく課税の対象としても検討を行う場合≫ [取引関係図] 前提条件1に同じ。 (法人及び国外関連者の事業概況等) 前提条件1に同じ。 (国外関連取引の概要等) 前提条件1に同じ。 (P社社員の派遣に係るP社・S社間の取決めの内容等) P社は、S社に対してこれらの 業務を行うことは子会社に対する親会社としての責務であるとして、役務提供取引に係る 契約をS社と締結していない。 ≪移転価格税制上の取扱い≫ P社は、S社がX国で事業を遂行するために不可欠な業務について、P社社員の派遣に よる支援を行っており、S社に役務を提供していると認められる。 この場合において、P社はS社から役務提供の対価を収受していないことから、上記の 事例は無償による役務の提供に該当するが、単にP社が役務提供の対価を収受していない ことのみをもって、P社がS社に対して行う業務に有償性がないということはできず、上 記の前提条件からは、当該業務につき直ちにP社とS社との間で「経済的な利益の無償の 供与」が行われたと認めることはできない。 以上より、上記事例における役務提供については、措置法第66 条の4第3項(国外関連 者に対する寄附金の損金不算入)の規定の適用を受けない場合もあり、その場合には移転 価格税制に基づく課税の対象として検討することとなる。
17 ≪解説≫ 法人が資本等取引以外の取引を行った場合には、別段の定めがあるものを除き、資産の 販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の 取引に係る収益の額を益金の額に算入することとされている(法第 22 条第2項)。このた め、法人が国外関連者に対して資産の販売や金銭の貸付け、役務の提供等を行ったにもか かわらず、収益の額とすべき金額の計上がない場合には、措置法第66 条の4第3項(国外 関連者に対する寄附金の損金算入)の規定の適用を受けることとなるか、あるいは移転価 格税制に基づく課税の対象となるかについて検討し、適切に処理を行う必要がある。 すなわち、法人が国外関連者との取引に係る収益を計上していない場合において、当該 取引につき「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」に該当する事実 が認められるときには、当該法人が収益として計上すべき金額は国外関連者に対する寄附 金となり、措置法第66 条の4第3項(国外関連者に対する寄附金の損金不算入)の規定の 適用を受けることとなる(事務運営指針3-19 イ)。 一方、こうした検討により、当該取引につき「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈 与又は無償の供与」に該当する事実が認められない場合には、当該取引は移転価格税制に 基づく課税の対象として取り扱うこととなる。 (3)国外関連者に対する寄附金に関する審判所裁決 国税不服審判所平成25 年7月5日裁決は、別添をご参照下さい。 (4)国外関連者に対する寄附金に該当しない事例 以下の事例は、国外関連者に対する寄附金に該当しないので注意が必要です。 【国外関連者に対する寄附金に該当しない事例】 (問) 先日、税務調査の際、調査官から「御社が外国子会社から受領している技術ノウ ハウに関する使用料ですが、昨年4月に1%から3%に引き上げていますね。これは逆に 言えば、昨年3月までは外国子会社に財政的な支援をしていたことになります。昨年3月 までの差額の2%相当額を国外関連者に対する寄附金とします。」と言われました。調査官 の指摘に従うべきなのでしょうか。 (答) 御社が外国子会社(国外関連者)に対して技術供与を行い、それに対する対価を 1%から3%に引き上げた理由がどのようなものであれ、国外関連取引があったわけです から、移転価格税制により検討すべきものです。調査官の指摘は当たらないと主張すべき です。
18 【解説】 1 外国子会社との取引の不透明性 外国子会社に技術供与を行い、使用料を受領するのは当然です。しかし、外国子会社の 財政状態や業績をよく知る立場にある親会社は、しばしば本則を曲げて低率な使用料で済 ます場合があります。仮に、取引相手が第三者であれば、提供する技術に応じた使用料を 徴収するのが普通です。このように外国子会社との取引を行う場合、第三者との取引に比 して不透明となる場合がよくあります。 2 調査官の指摘の妥当性 このような場合、法人税調査を担当する調査官は自己の成績を上げるため、また調査の 手間を省くため、などの理由で上のような主張をする場合が少なくありません。 親会社としても、外国子会社を支援したいという気持ちが全くないわけではないので、 調査官の指摘に従う場合があるかもしれません。しかし、理論的には調査官の指摘は的外 れです。軽々に調査官の指摘に従うことはあまりお勧めできません。 3 本来は移転価格税制の問題 そもそも親会社と子会社との間には技術供与という無形資産取引が存在しています。そ の対価が妥当か否かを判断するのは、移転価格税制になります。技術供与契約書を締結し、 実際のこれを履行しているのであれば、通常の経済取引であり、これを利益の供与・贈与 と決めつけることは不合理ということになります。 調査官の指摘は的はずれなので、会社は毅然とした態度で、「移転価格税制上の検討をす べきである。」と主張すべきです。この場合、使用料の料率を1%から3%に引き上げたタ イミング、3%という料率自体が妥当であること、についての相当性を主張すべきです。 そうは言っても、なかなか難しいかもしれません。しかし、ここで強調しておきたいこと は、調査官の安易な主張を鵜呑みにしないことです。移転価格税制は、そろそろ一般の税 理士が勉強する時期に来ているともいえるでしょう。
19 9 日本の税務当局による移転価格課税の適用 移転価格税制は、国外関連取引において設定される価格が第三者間取引における価格と 同等であるか否かを見るものです。 【移転価格税制の概要】 (出典:財務省資料) 【参考事例集 事例8】(残余利益分割法を用いる場合) ≪ポイント≫ 独立企業間価格の算定に当たり残余利益分割法に準ずる方法が最も適切な 方法と認められる事例 ≪前提条件≫ [取引関係図] [日本] [X 国] (製品Aの製造販売) (製品Aの製造販売) (法人及び国外関連者の事業概況等) 日本法人P社は、製品Aの製造販売会社であり、10 年前に製品Aの製造販売子会社であ るX国法人S社を設立した。製品Aは、P社の研究開発活動の成果である独自技術が用い られて製造された製品である。 日本法人 P 社 国外関連者 S 社 第三者 (200 社) 部品a 供給 製品A 販売 特許権・製造ノウハウの使用許諾
20 (国外関連取引の概要等) P社は、S社に対して製品A用の部品a(P社の独自技術が集約された主要部品)を販 売するとともに、製品Aの製造に係る特許権及び製造ノウハウ(P社の研究開発活動によ り生み出された独自技術)の使用許諾を行っている。S社は、部品aに他の部品を加えて 製品Aの製造を行い、X国の第三者の小売店約 200 社に対して販売している。 (法人及び国外関連者の機能・活動等) S社には研究開発部門はなく、S社が行う製品Aの製造は、P社から供与された独自技 術に基づいて行われている。 一方、S社は、多数の営業担当者を配置し、小売店や最終消 費者向けに独自の広告宣伝・販売促進活動を行っている。 製品Aは、製品そのものの独自 の技術性能のほか、広告宣伝・販売促進活動を通じた高い製品認知度や充実した小売店舗 網等により、X国において一定のマーケットシェアを確保するとともに、概ね安定した価 格で販売されている。 ≪移転価格税制上の取扱い≫ (比較可能性分析に基づく検討) 独立企業間価格の算定に当たっては、措置法66 条の4第2項の規定により最も適切な方 法を事案に応じて選定する必要があることから、措置法通達66 の4(2)‐1、同 66 の4(3)‐ 1、同 66 の4(3)‐3、事務運営指針4‐1等に基づく検討を行い、その結果は次のとおり である。 ・ P社がS社に対して使用許諾する特許権等は、P社の研究開発活動によって生み出され た独自技術であり、また、販売する部品aもこの独自技術を用いて製造された部品である から、国外関連取引においてP社による独自の価値ある寄与が認められる。 収集できる範囲の情報からは、独立価格比準法(又はこれと同等の方法)並びにP社を 検証対象の当事者とする原価基準法及び取引単位営業利益法(又はこれらと同等の方法) を適用する上での比較対象取引の候補を見いだすことができない。なお、これらの方法に 準ずる方法を適用する上での比較対象取引の候補は見いだすことができない。 ・ S社は、広告宣伝・販売促進活動によって形成された、「基本的活動のみを行う法人」(注) よりも高い製品認知度や充実した小売店舗網を用いて事業を行っており、国外関連取引に おいてS社による独自の価値ある寄与が認められる。 収集できる範囲の情報からは、こうしたS社の取引と同様の条件下で行われている非関 連者間取引を把握することができず、S社の販売取引に係る再販売価格基準法及び取引単 位営業利益法を適用する上での比較対象取引の候補を見いだすことができない。 なお、これらの方法に準ずる方法を適用する上での比較対象取引の候補は見いだすこと ができない。 ・ 部品aの販売取引と特許権及び製造ノウハウの使用許諾取引は一体として行われている と認められる。また、S社の国外関連取引に係る損益については、部品aの販売取引と特
21 許権及び製造ノウハウの使用許諾取引の別に区分して切り出すことができない。 (注)本事例集においては、国外関連取引の事業と同種の事業を営み、市場、事業規模等が類 似する法人のうち、基本的な製造・販売等の活動だけでは生み出すことができない利益の発生 に貢献する独自の機能を果たしていない法人を「基本的活動のみを行う法人」とする。 なお、本事例以下の事例における、「高い」製品認知度、「充実した」小売店舗網、「独自」 の技術、「低い」製造原価、等の表現は、すべて基本的活動のみを行う法人との比較におい て用いている。 (独立企業間価格の算定方法の選定) 上記の検討結果から、P社の研究開発活動及びS社の広告宣伝・販売促進活動により形 成された無形資産が、基本的活動のみを行う法人との比較においてP社及びS社の国外関 連取引に係る所得の源泉になっており、国外関連取引においてP社及びS社による独自の 価値ある寄与が認められることから、本事例においては、残余利益分割法に準ずる方法を 最も適切な方法として選定し、独立企業間価格を算定することが妥当と認められる。 ≪解説≫ 1 独立企業間価格の算定方法の選定及び比較可能性分析を行う場合並びに国外関連取引 に無形資産が使用されている場合の留意点等については、【事例1】解説参照(略)。 2 基本三法に準ずる方法(基本三法に準ずる方法と同等の方法を含む。)に関しては、【事 例1】 解説参照。 3 無形資産は、その独自性・個別性(いわゆるユニークさ)により基本的活動のみを行 う法人に比較して経済競争上の優越的な立場をもたらし得るという特徴を有しているため に、無形資産が関係する国外関連取引に係る比較対象取引を選定することは困難な場合が 多い。 このため、法人及び国外関連者の双方が無形資産を使用する等により、双方による 独自の価値ある寄与が認められる場合において、残余利益分割法の選定が適切となるとき がある。 (参考)残余利益分割法に準ずる方法について 利益分割法は、法人及び国外関連者による 国外関連取引に係る棚卸資産の取得及び販売によりこれらの者に生じた所得の合計額を配 分の対象として独立企業間価格を算定する方法である(措置法施行令第 39 条の 12 第 8 項第 1 号)。したがって、本事例のように、棚卸資産の販売取引にそれ以外の取引を加え、 これらを一の取引として独立企業間価格の算定を行う場合において、残余利益分割法と同 様の考え方で利益分割法を用いる方法は、残余利益分割法に準ずる方法(同項第 4 号)と なる。 なお、上記のほか、残余利益分割法に準ずる方法として、例えば次の例が挙げられる。 ・ 基本的取引が複数ある場合に、当該基本的取引に係る利益指標の平均値等に基づき計算 した基本的利益に相当する金額を用いて、残余利益分割法と同様の考え方で利益分割法を
22 用いる方法 ・ 国外関連取引に係る棚卸資産の買手が当該棚卸資産を他者に賃貸している場合に、当該 買手の当該棚卸資産の賃貸に係る所得と、当該棚卸資産の売手の当該棚卸資産の販売に係 る所得との合計額を配分の対象とし、残余利益分割法と同様の考え方で利益分割法を用い る方法 ・ 国外関連取引に係る棚卸資産の買手が当該棚卸資産を関連者に販売した場合に、当該関 連者を検証対象の当事者とする取引単位営業利益法に準ずる方法を用いて算定した当該 買手の当該棚卸資産の販売に係る所得と、当該棚卸資産の売手の当該棚卸資産の販売に係 る所得との合計額を配分の対象とし、残余利益分割法と同様の考え方で利益分割法を用い る方法 10 日本の税務当局によるタックスヘイブン税制の抜本的改正 (1)はじめに 平成29 年度税制改正において、タックスヘイブン税制は抜本的な改正が行われることと されています。改正後の全体像は、次の図の通りです。 【改正後の外国子会社合算税制の全体像】 (出典:財務省資料に基づき一部改訂) (注)2~4は、以下に説明があります。また、下線部分が大きく変更になる部分です。 一定の 受動 的所 得の 合算 課税 3 * 少額 免除 あり 租税負担 割 合 20%未満 内国法 人等 が 5 0% 超の 株式 を 保有 + 実 質基 準 ① 事業基準 主たる事業が株式の保有等でないこと (一定の航空機リース会社を除く) ② 実体基準 ③ 管理支配基準 ④ 所在地国基準(その他の業種) 非関連者基準(卸売等7業種) ペーパーカンパニー/事実上のキャ ッシュボックス/ブラックリスト 国・地域所在のもの 4 会社単 位の 租税 負担 割合 判定 会社単 位の 合算 課税 すべて 満たす いずれ か満た さない 租税負担 割 合 20%未満 租税負担割合が本邦税率 (30%)未満の場合に限る 経済活動基準 2
23 (2)適用除外基準から経済活動基準への変更 前頁の図を見ていただくと、5つの項目の名称自体は変わっていないことがわかります。今 後、通達を見てみないと何とも言えませんが、仮に通達が改正前とあまり変わりがないとすれ ば、納税者は経済活動基準に関して当局と裁判に進んだとしても勝ち目はほとんどありません。 ただし、香港・広東省を利用した来料加工取引は認められることになりそうです。 (3)一定の受動所得の合算課税 今回の改正の2番目の特徴は、経済活動基準を満たした場合においても、以下に掲げる 受動的所得については部分合算課税の対象となることです。 合算対象とな る受動的所得 ①利子、②配当等、③有価証券の貸付けの対価、④有価証券の譲渡損益、 ⑤デリバティブ取引損益、⑥外国為替差損益、⑦上記①から⑥までに類 する所得、⑧有形固定資産の貸付けの対価、⑨無形資産等の使用料、⑩ 無形資産等の譲渡損益、⑪いわゆる超過利益 今回の改正では、部分合算対象とされる受動的所得の種類が増えました。項目が多いこ ともありますが、特に注意したいものとして⑨と⑩の無形資産に関係する所得、そして馴 染みのない⑪の超過利益、になります。 これらは、大企業はもちろん、中小企業にとっては非常にやっかいなものです。今日お 見えの先生方も、あまり扱ったことがないと思います。今後細かなルールが規定されて全 貌が明らかになると思いますが、早い時期から外国子会社等の収益の内訳を把握しておく 必要があると思います。 (4)ペーパーカンパニー等の会社単位の合算課税制度 今回の改正で3番目に特徴的なのは、租税負担割合30%未満である国や地域に所在する ペーパーカンパニーなど3つの類型に該当する外国関係会社の所得について、次のように 会社単位で合算することにされることです。 ① いわゆるペーパーカンパニー 本税制でいうペーパーカンパニーとは、経済活動基準でいう実体基準と管理支配基準の 2つを満たしていない外国関係会社をいいます。 なお、国税当局の当該職員が内国法人にその外国関係会社が上の基準を満たすことを 明らかにする書類等の提出等を求めた場合において、期限までにその提出等がないとき は、その外国関係会社はペーパーカンパニーと推定されることになります。 ② 総資産の額に対する受動的所得の金額の合計額の割合が30%を超える外国関係会社 (総資産の額に対する有価証券、貸付金及び無形固定資産等の合計額の割合が50%を 超える外国関係会社)(=事実上のキャッシュボックス) (注)キャッシュボックスとは、「軽課税国に置かれ、関連企業に資本(資金)提供等 を行うが重要な経済活動等を行わない関連企業」という意味で用いられます。
24 キャッシュボックスの概要図 (大綱に基づき筆者作成) ③ 租税に関する情報の交換に非協力的な国又は地域として財務大臣が指定する国又は 地域(今後、OECD租税委員会が策定するブラックリスト掲載国・地域を想定。現在 も作業中。)に本店等を有する外国関係会社 11 日本の税務当局による過少資本税制の適用 (1)過少資本税制の仕組み(財務省サイトより) 有価証券、貸付金、無形固定資産等 総資産の額 50%超 受動的所得の金額の合計額 30%超 総資産の額 左の2つ を満たす 場合、キ ャッシュ ボックス となる。
25 ・企業が海外の関連企業から資金を調達するのに際し、出資(関連企業への配当は損金算 入できない)を少なくし、貸付け(関連企業への支払利子は損金算入できる)を多くすれ ば、わが国での税負担を軽減することができる。 ・過少資本税制とは、海外の関連企業から過大な貸付けを受け入れることによる企業の租 税回避を防止するため、出資と貸付けの比率が一定割合(原則として、外国親会社等の資 本持分の3倍)を超える部分の支払利子に損金算入を認めないこととする制度。 (2)過少資本税制をめぐる報道 国境またぐ節税監視 当局「最重要課題」 2016/7/29 日本経済新聞 日本国内の投資会社と海外との間の資金移動に対し、東京国税局が過少資本税制を適用 して課税に踏み切る。近年、富裕層や大手企業の国境を越えた節税行為に世界規模で厳し い視線が注がれており、今回の対応も、こうした流れを受けたものといえる。 国際的な資金移動を巡っては、2010 年ごろから各国の税制の違いを突いて節税する多国 籍企業が問題視されるようになった。日本の国税当局も監視を強めており、迫田英典・国 税庁長官は6月の就任記者会見で「ヒト、モノ、カネや多国籍企業の活動が拡大しており、 適正課税が求められている」と強調した。 今年4月には租税回避地(タックスヘイブン)を利用した節税策の一端を暴露した「パナマ 文書」が明らかになり、各国の政治家や経済人に批判が集まった。ある国税幹部は「国境を越 えた過度な節税策への対応は近年の最重要課題の一つ。今後も注力していく」と話す。 企業や富裕層の“税逃れ”は各国共通の悩みだ。経済協力開発機構(OECD)や 20 カ国・ 地域(G20)を中心に、租税回避を防ぐ共通のルール作りも進んでいる。 村上世彰氏関係の会社 15 億円申告漏れ指摘 過少資本税制、国税が適用 国際資金移動、経費一部認めず 2016/7/29 日本経済新聞 旧村上ファンドの村上世彰元代表(56)が関係する投資会社「レノ」(東京・渋谷)が東 京国税局の税務調査を受け、2013 年 11 月期までの3年で、約 15 億円の法人税の申告漏れ を指摘されていたことが28 日、分かった。レノは村上氏から借りた資金に対する支払利息 を経費として計上していたが、一部は経費と認められないと判断されたもようだ。 村上氏はシンガポール在住。東京国税局は申告漏れの判断にあたり、海外にいる資金提供 者や親会社に利息を支払うことで節税する行為を規制する「過少資本税制」を適用した。 同制度は1992 年に導入されたが、適用は極めて異例だ。同局はレノの調査に約2年を費や した。 関係者によると、レノは繰越欠損金があり税務上の赤字法人で、過少申告加算税を含む 追徴税額は約1億円とみられる。
26 レノは11 年ごろから村上氏から 100 億円規模の資金を借り入れ、投資に充てていた。こ の借り入れに対する利息計約15 億円を経費に計上し税務申告していた。 この資金移動について、東京国税局は過少資本税制の適用対象となるかどうかを検討。 適用にはレノが村上氏の支配下にあることが条件の一つとなるが、同局は「村上氏は(親 会社などと同様に)レノを実質的に支配しており、対象となる」と判断し、支払利息の一 部について経費計上を認めなかった。 レノは日本経済新聞の取材に「更正通知を受け取っておらずコメントできない」とした。 村上氏は2000 年代に「物言う株主」として市場の注目を集めた。06 年にニッポン放送 株を巡るインサイダー取引事件で刑事責任を問われ、有罪判決が確定した。昨年11 月には 株価を操作した疑いが強まったとして、証券取引等監視委員会が村上氏の関係先を金融商 品取引法違反(相場操縦)の疑いで強制調査し、現在も調査が続いている。 おわりに 今回は、海外進出をめぐる法人税法上の問題点について、外国での課税と、国内での課 税、に区分してご説明してきました。 国外関連者の中でも外国子会社は、内国法人の支配下にあり影響力が強いです。実は、 アジア諸国の製造拠点は、いわゆる産業の空洞化によって国内の工場を移転したものです。 ということは、以前は国内の一部門でした。そこで、現在は外国子会社(別会社)である にもかかわらず事実上事業部門の傘下にあるため何らかの経済的援助を行うというインセ ンティブが働くことが実務上多くありました。一方、販売を行う外国子会社の場合、事情 は異なります。あくまでも販路拡大によって設立されました。しかし、こちらも事業部門 の傘下にありますので、税務担当者は十分に情報を持っていない場合もあります。 これは、中小企業も同じです。国税当局は海外取引を行う内国法人に対して、移転価格 調査だけでなく、通常の調査の場合でも、外国子会社に対する経済的支援についてチェッ クしてきました。立地が香港やシンガポールの場合にはタックスヘイブン税制の標的にも なります。税の専門家は、これらにつき適切に対処する必要があります。