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戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷--企業集中の実態分析とからめて-3- 利用統計を見る

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(1)

戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法

制の変遷--企業集中の実態分析とからめて-3-著者

丸山 稔

著者別名

M. Maruyama

雑誌名

東洋法学

15

1

ページ

79-134

発行年

1971-09

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006108/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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戦後の日本における産業構造改善政策と

中小企業法制の変遷︵三︶

ー企業集申の実態分析とからめてー

丸 山

    冒  次 序 章  一、経済構造における中小企業の地位 二、産業構造改善政策 三、問題意識と考察方法 第一章第一期︵戦後から昭和三〇年まで︶︵以上、東洋法学︵東洋大学法学会︶第一四巻一・二合併号掲載︶  一、背景の特色 二、経済民主化・産業︵企業︶合理化政策と申小企業法制 三、企業集中の実態分析 第二章第二期︵昭和三一年から三四年まで︶  一、背景の特色 二、産業構造合理化政策と申小企業法制 三、企業集申の実態分析 第三章第三期︵昭和三五年から三七年まで︶ ︵以上、東洋法学︵東洋大学法学会︶第一四巻三・四合併号掲載︶  一、背景の特色 二、産業構造高度化政策と申小企業法制 三、企業集申の実態分析 戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      七九

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東洋

第四章  一、 第五章  一、 終 章  ︸曝  法 学  第四期︵昭和三八年から四一年まで︶ ︵以上、本号掲載︶ 背景の特色 二、産業構造高度化政策と申小企業法制 三、企業集中の実態分析  第五期︵昭和四二年以降︶ ︵以下、次号掲載︶ 背景の特色 二.産業構造改善政策と申小企業法制 三、企業集中の実態分析 結論 二.今後の課題 八○

第四章第四期︵昭和三八年から四一年まで︶

 .背景の特色  この時期になると.前期に引続き生産集申.企業集申化がかなり進展して.独占資本・支配的資本の産業再編成. 下請化.系列化等がかなり進行した一方で.申小企業の共同化、協業化もかなり進行し.また.中小企業内部の階層 分化の進行もかなり顕薯となってきた。       お  しかも、昭和三八年度の中小企業白書が指摘しているように.三七年度に至るまでの高度成長過程において、中小 企業もまた全体として見れば、相当の発展を逐げたとはいえ.大企業の発展力の方がよりはるかに大きかったため. 申小企業の発展と近代化は相対的にはなお大きな遅れを示し.数多くの大きな課題を残す結果となった。

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 また、前期に比して、若年労働力の不足と賃金の上昇傾向が高まり、技術革新の一層の進展、消費革命と需給構造の 一層の変化に伴う集中生産体制と集申販売体制の普及、物価の上昇も見られ、更に従来の景気調整による循環的不況        主因から構造的不況主因への変化による倒産砂激増、特に親企業の倒産に伴う下請企業の連鎖倒産の激発等の内的経 済環境の変化が見られ、更に、、EECの発展、発展途上国の追い上げ、IMF八条国移行、OECDへの正式加盟、 ガット一一条国移行、貿易自由化の進展、資本取引の自由化、関税一括引下げの問題等の外的経済環境の変化もみら れるようになった。  このような産業構造の変化や構造的与件の変化、とりわけ、本格的な解放経済体制への移行に対応して、従来とは 異った新たな観点からの、国際競争力の強化を大義名分とする産業構造改善政策なる産業構造高度化政策が展開され ることとなり、昭和三八年には、産業構造調査会の答申書が政府に提出され、また経済審議会の中間検討報告も見ら れて、この報告では、設備近代化、量産体制の確立と専門化、商品の規格化、産業のコンビナート化による国際競争 力の強化の推進が要請されており、更に四〇年には、政府の中期経済計画の発表が行われ、また三八年には、申小企 業政策審議会が設置きれて、中小企業政策の検討が加えられることとなった。  なお、三八年には、特定産業振興臨時措置法案が登場し、輸出入取引法の改正が行われて独占禁止法の合併規制や カルテル規制の大幅な緩和が企図され、また独占禁止法の運用面においても、三菱三重工の合併に見られるように、 大型合併の容認による独占禁止法の事実上の形骸化が図られ、産業再編成、産業の国際競争力の強化のための企業集 中、合併運動が更に高まってきた。    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      八轡

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(21(il註 纈 東 洋 法学 八二 昭和三八年度申小企業白書、四一頁。 昭和三九年度中小企業白書によれば、構造的不況要因として、第︸に、基本的な要因として生産性格差の存在をあげてお り、第二に、労働需給の著しいひっ迫、技術革新の進展による大規模操業の実現、消費パタ⋮ンの変化による中小企業向 け需要の停滞、解放経済体制への移行等を契機とする競争激化からの親企業による合理化の要講等の申小企業に大きな影 響を及ぼす条件変化鞍あげている︵九頁︶。 東京商工興信所調査によれば.企業劔麓状況は.昭和三九年灘、二ご︸件と前年に比岱丁羅倍という急激な増加を示し てお塾.なかでも資本金五〇〇万円未満の申小企業の倒産が圧倒的に多く.そのうちでも特に資本金一〇〇万円以上五〇 〇万円未満の企業倒産が二.一七二件と最も多くなっていることが特徴的である。業種別に見ると.機械・金属・繊維・ 食品・化学・建設等に多く.裏た金融引締の浸透とともに.申堅企業・大企業の発生に伴う連鎖倒産が増大しておむ︵昭 和三九年度.中小企業白書八∼九頁︶.談たこの時期には.申小企業の整理倒産の多かったことも特徴的である︵昭和臨︸ 年度、経済霞書︶。

二.産業構造高度化政策と中小企業法制

 この時期になると.産業構造全般の急激な変化や各方面にわたる近代化に伴うひずみやまた本格的な解放経済体制 への移行の間題等を背景として、昭和三六年四月に設立された通商産業大臣の諮問機関としての産業構造調査会によ り、国民所得倍増計画に基づく産業構造改善政策なる産業構造高度化政策の検討が進められ、三八年コ月に通商産 業大臣に答申書が提出された。

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   ユ  同答劇は、すでに序章で述べたように、まず産業構造政策の意義について、次のように述べていた③  ﹁産業構造政策とは、最適産業構造︵経済の成長と較差の是正を達成するために最も望ましい産業構造︶に接近す ること、いいかえると産業構造の基本的方向を明らかにするとともに、それを実現するために必要な政策やその実現 のために最も望ましい経済機構を確立することである。﹂  同答申は、この趣旨に従って、産業構造の高度化、国際競争力の強化策の推進が必要であると主張していた。しか も、高度化の基本的方向に関して、同答申は、  ﹁最適産業構造は、基本的には自由な競争にもとづく価格機能を申心とした市場機構によって達成されるものと考 える。﹂  としながら、  ﹁しかしこのような自由な市場機構については、①現実には大企業や労働組合の存在により、資本や労働の移動面 では完全競争という条件は成立しない、②社会資本などの﹃外部経済﹄や産業公害などの﹃外部不経済﹄については 自由な市場機構の理論では説明できない、③分配面でも価格機能だけで最適状態を達成する理論的な保証はないー などの点で制約が認められる。これと同様に﹃比較生産費原理﹄﹃国際分業主義﹄だけを貫くことにもいろいろの制 約がある。﹂  として、自由な市場機構については多くの制約があることを指摘しており、  ﹁そこで自由な市場機構や国際分業主義の長所をとり入れつつ、競争機能をより有効に発揮させるためには次のよ    戦後の日本における産業構造改善政策と申小企業法制の変遷︵三︶       八三

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   東洋法学      八四

うな経済政策が必要となる。第一に.価格機能の条件整備のために独占禁止政策、遇当競争防止政策、貿易自由化の 推進.関税一括引き下げへの参加.相手国の輸入制限の排除などが要講きれる。  第二に.現段階で直ちに価格機構にすべてをまかすことが国民経済的要請に合致しない場合には、長期的な見地か ら意識的な産業構造政策が必要とされるのである。﹂  としていた、すなわち.鷲こには.戦前・戦時中のような全面的な統制経済的政策のかおりはなくなり.自由な市 場機構を基本的には支持しつつ.一方では.その機能の制約に対する補完的役割を.産業構造政策の本質とするとい       か う考え方が見られたのである、  次に同答申は.最適構造策定の基準に関して.  ﹁需要面からみると所得弾力性の高い産業が伸びることが産業構造高度化のために望ましく.供給面からみると生 産性上昇率の高い産業ないし技術的発展の可能性の大きい産業の拡大が望ましい。﹂  として、所得弾力性基準と生産性上昇基準とを引き出し.この二つの基準は長期的視点に基づいて最適産業構造を 検討する基本的な老え方であるとしていた。  更に同答申は.高度化の課題と対策についてふれており.とくに.今後の産業構造の高度化を達成するために必要 な政策課題について次のように述べていた。  ① 今後の需要の伸びが期待され技術的発展の可能性が大きく、産業構造高度化の中核的な役割を果たすと見られ る成長産業においては、 ﹁規模利益の追求にょる国際競争力の強化﹂が課題である。

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 ② 各産業に重要な基礎資材を供給することによって、産業構造の高度化のために基礎的な役割を果すことが期待 きれる鉄鋼、電力等の基礎産業では、 ﹁低価格による基礎物資の安定供給﹂が課題となる。  ③ 今後も外貨獲得における役割が期待されるが、低開発国の進出、先進国の輸入制限、賃金水準の上昇に対して 新しい発展の方向が必要とされる軽工業の大部分においては、﹁製品の高級化による輸出の拡大﹂が課題である。  ④ スクラップ・アンド・ビルドの推進ならびに資本および雇用の転換を迫られている分野では、 ﹁産業構造の前 進的な再編成過程における社会的摩擦の除去﹂が課題である。  と。従って同答申でいう産業構造高度化ないしは産業構造改善は、政策課題別に分類された産業につき、その実態 に即応して、産業別ないしは業種別の構造高度化により、わが国全産業の構造高度化を推進しようとするものであっ て、この政策は、所得倍増計画以降に一貫して見られる体制側の政策の特色であるといえる。しかも同答申は、とく に、産業構造高度化の申核となるべき成長産業において国際競争力の強化を推進するためには、まず産業体制の是正 が必要であるとし、その具体的な課題として、ω規格の整理統合、鋤生産分野の調整、⑧生産の共同化、㈲企業の集 中合併等の点を指摘し、更にこれらの産業体制是正のために金融機関の協力を要請していた。  しかも同答申はその対策として、  ﹁生産の共同化、企業の集中合併などは企業が自主的に判断すべき問題であろうが、それが産業に対する国民経済 的な要講に合致する場合には、政府は積極的に努力すべきであり、税制、金融上の措置などを活用するほか、合理化 カルテルの結成や合併の促進の見地から必要とされる範囲内で、独占禁止法制についても必要な配慮を加えるべきで    戦後の日本における産業構造改善政策と申小企業法制の変遷︵三︶       八五

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東洋法学

八六 ある。﹂  と主張しており.このように.確かに.今日の産業の構造的合理化政策あるいは構造高度化政策ないしは構造改善       む 政策は独禁法との対決を追られてくるのであって.  ﹁さらに企業の自主的努力や企業間の話し合い.または産業界.金融界.政府の協調のみをもってしては.産業体 制是正がむずかしい場合には、最小限度必要な法的措置をとるζとが必要となる場合もあろう.﹂  としていた。  このように.結局.同答申は.産業の構造高度化.構造改善と国際競争力の強化のため過小規模論.過当競争論を 論拠として.成長産業を申心に規模の利益の追求のための合併.カルテル.共同化等の企業集中を中核とする産業体 制是正策を推進することを意図するものであり、そのために必要な法の弾力的運用と法的措置を要請するものであっ た。このことは自由競争経済から統制経済への移行を一層促進せしめ.従って独禁法制の後退.形骸化を促すことと なり.更に.産業界.金融界.政府の三者協調方式の採用は官僚統制となる危険性があった。このように見てくる と.同答申の根底的な思想は独禁法制の形骸化と官僚統制化により支配的資本・大企業のための支配体制・寡占体制 の確立を指向するものであったといってもよいのではなかろうか。  ところで、この時期における申小企業政策は、この答申に見られた国際競争力の強化のための産業構造高度化政策、 産業構造改善政策の一環として、本格的な申小企業の構造高度化政策、構造改善政策が展開されることとなった。  すでに前章で述べたように.所得倍増計画では.卑小企業の生産性︵附加価値生産性︶の向上により二重構造の解

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消と企業間格差の是正を図ることが申小企業政策の中心課題であるとされたのであるが、その後、昭和三六年九月中 小企業庁において、申小企業振興審議会に総合部会が、産業構造調査会に申小企業部会が設置され、また部内に中小企 業基本政策審議室が新設されて、申小企業の基本問題の調査と再検討が行われることとなった。そして両部会の合同 会議における数次にわたる調査審議の結果、大企業との間に存在する生産性、賃金率等の格差が経済の二重構造を形 成しているのであり、格差のうち生産性︵附加価値生産性U出荷額から原材料費を差し引いたもの︶の格差がその基 本原因であり、更に、附加価値生産性は生産面における物的生産性と販売面における価値実現性から構成されている ので、中小企業の基本問題は、国民経済全体的な観点から、附加価値生産性格差を是正することであり、その根本原 因である中小企業の物的生産性の向上と価値実現性の強化を図ることであるとし、更に、物的生産性の向上のために は設備の能率の向上等の生産能率の向上を図ることが必要であり、価値実現性の強化のためには価格形成力の強化等        の の取引上の不利の是正を図ることが必要であるとして、更にそのための具体的な諸施策について検討された。        カ  このように、この時期以降におけるすべての中小企業政策の重点は格差是正策に集約されるわけであるが、右に見 た中小企業の格差是正策は、生産面と販売面における申小企業と大企業とのアンバランスを埋めて、実質的な対等取 引の確保を図ろうとするものであって、この限りでは、経済的弱者としての中小企業の積極的な保護政策であると評 価してもよかろう。  こうして、この時期においては、右に見た産業構造調査会の答申︵更に同年の経済審議会の中間検討報告︶や産業 構造調査会中小企業部会と申小企業振興審議会総合部会の合同会議における調査審議結果等の趣旨を受けて、更に昭    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶       八七

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   東洋法学       。      八八 和三八年設置の申小企業政策審議会の答申や四〇年の申期経済計画等の趣旨を受けて、順次、構造改善政策なる構造 高度化政策的視点からの経済法制、とりわけ.申小企業法制が数多く見られるようになった。すなわち、中小企業基 本法、中小企業近代化促進法、申小企業近代化資金助成法.申小企業指導法.中小企業投資育成株式会社法等一連の 申小企業の近代化.構造高度化.構造改善法の制定とその改正およびその他の法制の整備が行われた。  以下においては.これらの法制について老察することとする、  まず、中小企業基本法について見れば.同法は.中小企業者団体の強い要請が反映し.更に農業基本法の制定が直 接の契機となって.昭和三八年七月に.自民.社会.民社三党提案にょる議員立法として成立したもので.すでに述       翰 べた三六年の中小企業基本間題調査の結果をもとに、格差要因を体系的に認識して.その解決の方向として、個別の 中小企業諸施策を体系化し.国の申小企業政策に総括的な指針を与えるものであって.この意味では.申小企業の憲       め 法であるといってもよかろう。  同法の主要な構造は次の通りである。  ω まず、中小企業者の範囲が外形的.量的に規定され.資本金規模で五.○○○万円以下.従業員規模で三〇〇 入以下の会社及び個人で、工業、鉱業.運送業その他の業種に属する事業を主たる事業として営むもの︵商業.サー ピス業は一.○○○万円以下.五〇人以下︶となり.従来よりも規模的に五倍に拡大され.また商業.サービス業に まで範囲が拡大された。しかも施策を効率的に実施するため、中小企業者の範囲を施策ごとに弾力的に定める可能性 を残している。

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 砂 次に、国の政策目標をかかげ、国昆経済的観点から、申小企業の経済的社会的制約による不科を是正するとと もに申小企業者の自主的努力を助長するという基本的態度のもとに、中小企業の成長発展と中小企業従事者の経済 的社会的地位の向上を図るために、申小企業問題の根本原因である附加価値生産性の格差の是正を図ることとし、更 にそのためにその要因である生産面での﹁物的生産性の向上﹂と販売面での﹁価値実現性の強化︵取引条件の向上︶﹂ を図ることとしている。しかもこのことにより、企業間格差の是正と、究極的には、経済の二重構造の解消を指向し ている︵第一条︶。  ㈹ 更に、右の国の政策目標を達成するため、設備の近代化、技術の向上、経営管理の合理化、いわゆる中小企業 構造の高度化︵企業規模の適正化、事業の共同化、工場店舗等の集団化、事業の転換、小売商業における経営形態の 近代化︶、過度の競争の防止と下講取引の適正化、輸出の振興と需要の憎進、事業活動の機会の適正な確保、労働関 係の適正化と従業員の福祉の向上と労働力の確保等八項目につき、その政策全般にわたり、必要な施策を有機的総合 的に講ずべきであるとして、申小企業の近代化をもつとも効率的に推進していくための基本方針を明らかにしおり ︵第三条︶、このため必要な法制上、財政上の措置を講ずべきことを定め、地方公共団体に対し国の施策に準じて施 策を講ずべき旨を定め、更に中小企業者の自主的努力と中小企業に関連する者の協力を要請している。  ㈲ 第三条に規定された国の諸施策を展開するため、第二章︵中小企業構造の高度化等︶と第三章︵事業活動の不 利の補正︶において、更に具体的且つ詳細な諸施策について規定している。  ㈲ 小規模企業者︵従業員規模で二〇人以下。商業・サービス業は五人以下︶は生業的実態にあることに鑑み、他    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      八九

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   東洋法学      九〇

の申小企業者と同じ施策態度でのぞむことは適切でないという認識に立って、第三条の施策を講ずるにあたっては・ 小規模企業の経営の改善発達に努め.金融、税制その他の事項につき必要な老慮を払う旨規定している。  ㈲ なお.中小企業の近代化の推進にあたって.資金調達能力の乏しきを補充するための資金の融通の適正円滑化 と資本充実のために必要な施策や.更に、その推進基盤として.行政機関と申小企業団体の整備.申小企業政策審議 会の設置等について規定している、  このように同法は.既存の諸制度の単なる集大成ではなく.従来の中小企業対策を基礎に再検討を加え.これを更 に構造改善政策的視点から新らたに発展きせようと企図するものである、すなわち.すでに述べたように.昭和三一 年の中小企業振興審議会の答申は.経済の二重構造の解消を指向しながら.中小企業プ篇パーの消極的部分的な中小 企業の保護育成政策の体系化の努力に終ったのに比して.申小企業基本法は.この答申の思想を構造改善政策的視点 から修正を加えてこれを継受し.大企業との関連における積極的な中小企業の保護育成政策の体系化を試みたもので あると評価してよかろう。その意味では.まさに一歩前進である。  しかも同法は.企業間格差の拡大.貿易自由化.技術革新の進展.需給構造の変化.労働力の不足等内外経済環境 の変化に対応して. ﹁産業構造の高度化﹂と﹁産業の国際競争力の強化﹂ ︵前文︶の観点から.申小企業の体質改善        み と事業活動の不利の補正による環境整備の促進を企図するものであって.とりわけ、申小企業の体質改善に関する施 策のうち﹁企業規模の適正化﹂のための企業合併、共同出資会社設立等の企業合同や﹁事業の共同化﹂のための組織 化等の﹁企業集申﹂と﹁事業の転換﹂を申心とする牢小企業構造の高度化政策と労働力流動化政策の新らたな展開を

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特色とするものであって、大企業との関連における中小企業構造の高度化、近代化政策の展開を示すものである。こ こに至って、申小企業の構造改善政策の本格的な展開が見られ、経済政策としての中小企業政策の政策転換が見られ るに至ったわけである。          同法は政策を表明したにすぎず、その実効性はそれを裏づける立法化とその運用の如何と予算措置等の如何によっ て担保されるわけであって、この時期以降、順次、中小企業基本法路線に従って申小企業法制が整備きれることとな り、とりわけ、構造改善政策的視点からの法制の整備が行われる傾向が強くなった︵中小企業者の範囲については、 中小企業基本法の規定に従って、新たに法律の制定ないしは改正が行われた︶。もちろん、中小企業法制の整備は申 小企業者団体や労働組合の強い要講が反映してもたらきれたものであることはいうまでもない。しかし、後々指摘さ れていくように、この時期以降の中小企業法制の整備は現在までのところ十分には行われてお防ず、しかも申小企業 法制そのものも法構造上に若干の問題点を残すに至っている。従って中小企業基本法および関連法律に基づく申小企 業の構造高度化あるいは構造改善ないしは近代化政策は、それが支配的資本・大企業を含む産業構造改善政策の一環 とするものである限り、それを強く推進していく場合には、確かに、申小企業一般の保護、育成とはならず、戦略産        圃 業または支配的資本に有利な一部優良中企業の保護、育成に終止する危険性があるわけである。この場合、支配的資 本にとって役立たない零細企業対策としては、中小企業基本法第四章﹁小規模企業﹂の規定を受けて、昭和四〇年に 小規模企業共済法が制定され、同法により、小規模企業者の相互扶助の精神に基づく共済制度が法制化され、新設の 小規模企業共済事業団による事業主の廃業共済等が開始されたが、同法は小規模企業者にとって十分な保護法として    戦後の日本における産業構造改善政策と申小企業法制の変遷︵三︶       九一

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   東洋法学      九二       葺      跨       ま       ま 機能するには至ず、 ﹁体裁のよい転廃業助成策にすぎない﹂との批判があるほどである。  三八年には.この基本法の制定と相前後して、基本法路線に従って数多くの申小企業法の制定ないしは改正が行わ れた。  次に申小企業近代化促進法について考察して見るに.同法は申小企業基本法の具体化法として申小企業の構造改善 なる構造高度化の中核となるものである︵同年三月成立︶。 中小企業近代化促進法は、すでに第三章でふれたよう に.中小企業業種鯛振興臨時措置法が発展的に解消したものであって.業種法は計画︵改善事項︶の内容が総花的 で.金融・税制面での特別優遇措置が講じられていなかったのに比して.近促法は計画内容が有機的・総合的であ り.金融・税制面での特別優遇措置と事業の転換制度の導入とが行われた点が、両法の相異点として特色づけられる、  中小企業近代化促進法は.国民経済的観点から.企業間格差の是正により経済の二重構造を解消することを究極の 目的とし.そのために申小企業の近代化を促進することを直接の目的とするものであって、その方策として、業種別       ね      ぼ に中小企業の実態を調査し.その実態に即したきめの細い中小企業近代化計画を策定して.その円滑な実施を図るた        圏 めの措置を講ずることにより.中小企業者の自覚と自主的努力に期待をかけながら.近代化が﹁計画的.効率的に﹂        励        や 行われるように誘導行政を展開しようとするものである。  同法の主な構造は次の通りである。  ω 業種の指定は、ωその業種における事業活動の相当部分が申小企業者によって行われていること.㈱その業種 に属する申小企業の生産性の向上を図ることが産業構造の高度化.又は産業の国際競争力の強化を促進し.国民経済

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の健全な発展に資するため特に必要があると認められること、の二つの要件を具備する業種であって、政令で指定さ  ㈲ れる。従って業種の指定は政令に委任され自由裁量の余地が残されたわけである。  図 主務大臣は申小企業近代化計画︵基本計画艮五ケ年間員と実施計画H一ケ年間蛙︶を策定し、要旨の公表と必       珊 要な指導を行う。 ⑧ 基本計画には、ω目標年度における製品の性能又は品質、生産費、適正な生産の規模又は方式その他の近代化 の目標、㈲目標年度におけるその指定業種の製品の生産又は輸出の見通し、更にこれらの目標の達成に必要な事項と して、の設備の近代化、◎経営管理の合理化、㈲技術・技能の向上、@事業の共同化、G うその他の申小企業の高度 化、㈱競争の正常化、④取引関係の改善、OO需要の開拓等の事項の全部または一部が計画事項として、指定業種の実 態に既応して盛り込まれ、その業種忙属する中小企業に対してそれらの諸施策を﹁相互に有機的に関連きせ総合的に        ⑱ 遂行していくことにより、効率的に促進していくこと﹂が計画の主眼とされる。  ㈲ 主務大臣は近代化計画の円滑な実施のため必要があるときは、中小企業近代化審議会の意見を聴取して、中小 企業構造の高度化、競争の正常化および取引関係の改善に関して、申小企業者、関連事業者等に対して勧告すること ができ、計画の円滑な達成の確保を図る。  ㈲ 指定事業を営む中小企業者に対して、近代化資金について、政府が資金の確保またはその融通のあっせんに努      9 めるとともに、税制上も、固定資産についての特別償却及び合併、共同出資による新会社の設立等︵会社または企業 組合に限る︶の場合の課税の特例︵主務大臣の承認が必要︶を認めて、自己資本の充実を図る。    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      九三

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   東洋法学      九臨

 ㈲ 事業の転換制度の導入により.主務大臣は申立により事業の転換を行う串小企業者に対し、適切な指導を行な い.資金の融通のあっせん.従事者の就職のため必要な援助を行う。  このように同法は.金融・税制面での優遇措置を講じながら.主務大臣の策定した業種別の申小企業近代化計画に 盛り込まれた諸施策を有機的・総合的に実現していくよう.主として、非高権的非強制的な手段によって業界を誘導 していくものであるところに特色があるといえ.しかも同法に基づく中小企業の近代化は繕題企業の近代化.体質改 善を中心とするものであるとはいえ.企業規模の適正化のための合併・共同出資等の企業合同.事業の共同化のため の組織化等の企業集申や事業の転換等いわゆる中小企業構造の葺度化をその基本的方策としている点でも特色がある といえ︵中小企業の企業合同ないしは事業の共同化.協業化の推進母体である企業組合と協業組含等の中小企業の組 織体は.同法では.まだ中小企業者の範囲には入れられておらず.後の改正法を待たねばならなかった︶.同法は. 法形式的には.まさに前向きの積極的な中小企業の保護育成を基調とする構造改善.構造高度化ないしは近代化を企 図するものであるといよう。  しかし.同法の構造上には数多くの問題点がある。すなわち、ωすでに述べたように.法律︵経済法︶の中に計画 制度を導入することには数多くのメットがある反面、計画の不確定性と未定着性の故に、計画の実効性がどの程度期待 できるかという問題が残る。③一般的について.申小企業者の近代化意識、協調意識.自主的な組織化意識が必ずし も十分に成熟していない現状で、これらの意識の昂揚を図るための同法に基づく行政官庁の指導体制は十分には確立 されていない。㈲計画の策定主体︵主務大臣︶と実施主体︵業界︶とが異なっているため.計画の実効性をあまり期

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待できないというきらいがあるα㈲計画の策定過程において、中小企業者の自主的な組織力の脆弱さを背景に、中小 企業近代化審議会において経済的弱者としての中小企業者、とりわけ、小零細企業者の発言力が弱く、その意見の反映 が困難なため、計画に盛られる諸施策そのものが、一部優良中企業の保護育成に傾くような内容のものになるおそれ がある。⑤計画の実施に際しての中小企業の構造の高度化、競争の正常化、取引関係の改善等に関する勧告制度につ       ⑳ いては、勧告カルテル的機能を果たすものであるといえるが、勧告に際しては、中小企業近代化審議会の意見聴取を 必要としてはいるものの、公正取引委員会との関係︵同意、協議等︶については何らの規定もない。これは勧告に基       分      だ づく行為が独占禁止法の規制対象ではないということによるものであると思われる。もともと大企業との対抗関係に おける中小企業の共同行為琵カルテルは、対等取引を確保するための経済的弱者の基本的な権利の行使として独禁法 を積極的に支えるものとして評価してよいが、 ︵もっとも、大企業を含む申小企業のカルテルは、その組織の自主性 が阻害されて、大企業あるいは一部優良申小企業に有利に、他の申小零細企業に不利な条件が押しつけられるおそれ があり問題である︶、逆に、中小企業の共同行為紐カルテルは、より下位にある経済的弱者との関係において、その 優越的地位を確保するに至り、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引きあげる こととなる場合には、経済的弱者としての中小企業の組織化の権利をゆ越するものであって論理的に認められるべき ものではない。ところで、この勧告制度は勧告カルテル的機能を果すものであるから、このような危険性の生ずるお それがあるので、公正取引委員会によってこのような危険性を事前にチェックする必要がある。従って、立法論とし       ⑳ ては、公正取引委員会との関係︵同意、協議等︶についての規定を設けるべきであろう。㈲合併、共同出資による新    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      九五

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   東洋法学      九六

会社設立等の場合における税制面での優遇措置と引き換えに﹁承認権﹂を背景とする国家権力の介入の強化が図られた ことや.業種指定が政令に委任されたこと等は.官僚統制となる危険性がある。なお.合併の承認に関して独占禁止 法との関係については近促法自体になんらの例外規定もないが.当該合併についても当然に独占禁止法の適用を受け る。従って.独占禁止法に反するような合併でないことが必要であり.当該合併が、①一定の取引分野における競争 を実質的に制限することとなる場合.②不公正な取引方法によるものである場合には認められないことになる︵通達 ﹁中小企業近代化促進法第八条の規定に基づく合併・出資の承認基準および同事務処理要領について﹂ ︵昭和四四・ 六・三〇、四四企庁八四五号︶の別添﹁合併出資の承認の基準﹂一の5︶.ただ現実閥題として.近促法は.法形 式的には.中小企業を底上げして.大企業と対等な取引関係に立たせるようにしていくことを主眼とするものである から.当該合併が独占禁止法違反となるようなことはほとんどないであろう。しかし.当該合併への参画者は申小企 業者に限定されているわけではなく︵近促法第八条はこの点に関して明確な規定をしていない︶.大企業法人の参画 も可能であるから︵当該合併に大企業法人.非指定事業を営む法人等指定事業を営む申小企業者であって法人である ものが参画している場合については.合併法人の株式総数または出資金額の五〇%以上が.指定事業を営む申小企業 者である被合併法人︵︵吸収合併の場合には.合併前における合併後存続する法人も含む︶︶に係るものでなけれぱな らない︵︵通達、﹁申小企業近代化促進法第八条の規定に基づく合併・出資の承認基準および同事務処理要領について﹂ ︵昭和四四・六・三〇、四四企庁第八四五号︶の別添﹁合併出資の承認の基準﹂一のーの㊦の㈲︶︶。なお、当該合併に より合併法人が大企業になる場合であっても差し支えない︵︵同一の王のωの◎︶︶︶.当該合併が独占禁止法違反とな

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る可能性がある。従ってこのような合併を事前にチエックすることが必要であり、立法論としては、主務大臣は当該 合併の承認に際してあらかじめ公正取引委貫会となんらかの関係をもつ︵協議、同意等︶規定をおくべきであろう。 Oり 事業の転換制度については、、ω金融・税制の面で強力な立法的裏付けがなく、㈲矢業、社会保険、職業訓練等の諸 対策に対する特別の立法的裏付けもない。なお、事業転換制度は憲法第二二条︵職業選択の自由︶に違反するのでは ないかという問題については、まず、近代化計画によってその業種の将来の見通しが示され、その結果、事業者が中 小企業組合等で協力して事業を行なう場合もあれば、事業者の﹁自主的判断﹂によって自発的に事業転換を﹁申し出 る﹂場合もある。法の立前としては事業者の﹁自主性﹂に委ねている︵近促法第一〇条︶。事業者からの﹁申し出﹂ があった場合に、主務大臣は、転換先の業種の実態を調査して﹁中小企業の近代化に資する﹂と判断した場合に、事 業転換の承認をして、行き先の実態についての情報の提供とその助言、企業診断制度の活動、転換資金のあっせん等 のサービスをすることとなっている。従って憲法違反の問題は生じない。  このように見てくると、同法に基づく中小企業の構造高度化あるいは構造改善ないしは近代化政策は、 ﹁産業構造 の高度化﹂と﹁産業の国際競争ヵの強化﹂︵同法第三条︶の観点からのものである限り、すなわち、支配的資本・大企 業を含む産業構造改善政策の一環とするものである限り、それを強く推進していく場合には、同法の構造上の問題点 に加えて、合併、事業の共同化等の企業の集中化、事業の転換制度、更には、金融政策・税制政策・誘導政策ともか らんで、申小企業一般の保護、育成とはならず、戦略産業または支配的資本に有利な一部優良中企業の保護、育成に 傾き、その他の小零細企業をとり残し、結果的に、申小企業内部の階層分化疑二重構造の形成どころか拡大Uを促進    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶       九七

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   東洋法学      九八

       ㈱②㊧ するために機能する危険性があるといえよう。  次に中小企業振興資金等助成法の一部改正により.従来の﹁申小企業振興資金等助成法﹂が﹁中小企業近代化資金 助成法﹂に改称された。中小企業近代化資金助成法は従来から行われている申小企業の近代化に必要な資金の貸付事 業を行う都道府県に対する国の助成内容を一そう拡充するために.新らたに中小企業高度化資金の貸付制度を設け て.中小企業者の行う事業の共同化等を強力に助成することにより中小企業の近代化の促進に寄与することを目的と するものである、その主な改正点は.ω申小企業基本法の趣旨に従って申小企業者の範囲が引き上げられ.勧従来か 謬行われている中小企業設備近代化資金制度︵近代化を行おうとする個々の中小企業者を貸付対象とするもの。国庫 補動金交璽  貸付︵無利子︶ ゑ都道府県廿個々の中小企業者︶とは別個に.中小企業高度化資金制度︵協同組合等の共同施設.工場団地.商       返還 業団地.中小企業者の合併、共同出資により設立きれた法人の施設、中小企業者の協業によるスーパー・マーケット等        貸付   貸付︵無利子︶ の助成を対象とするもの。国庫︵特別会計︶腿都道府県覚二以上の申小企業者︶が新設されて二本立てとなり.       返還   返還 ③この申小企業高度化資金の貸付制度の円滑な運用を図るため、別途に申小企業高度化資金特別会計法により国庫に 特別会計が新設されたこと等である。このように同法は.申小企業の合併.組織化.組織を母体とする共同化.協業 化等の企業集申化を通して申小企業の構造高度化あるいは構造改善ないしは近代化を促進することを.資金面から側 面的に助成する機能をもつものである。しかし.ω申小企業に対する資金面での量的.質的限界や.③再三ふれてき たように.金融メカニズム等の問題点があることを指摘することができるであろう。  更に申小企業指導法について見るに、申小企業は大企業に比し.経営管理及び技術面で薯しい立ち遅れを示して

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いることやこの時期における内外経済環境の変化や経営管理及び科学技術の薯しい進歩を考慮するとき、従来の中小 企業指導事業︵国や公共団体による、中小企業者に対する企業診断を中心とする経営指導と試験研究をあわせた技術 指導︶を更に一層強化するとともに、新らたに人づくり対策の一環として、中小企業の経営者及び従業者に対し、経       み      だ 営管理及び技術に関する研修の実施が急務とされるに至ったため、同法が制定された。同法は、従来から行われてい る企業合理化促進法に基づく診断業務を継承して、中小企業基本法の﹁経営管理の合理化﹂の方向に沿って内容を拡        ゆ       だ 大し、指導事業を集約化することとした。しかも前年設立された財団法人日本中小企業指導センターは国庫出資によ        助 る特別法人︵特別法に基づく︶として、諸般の施策を計画的かつ効率的に推進していくこととした。このように同法 は、診断、指導の面から申小企業の近代化を側面的に助成する機能をもつものであるが、すでに再三指摘しているよ うに、指導体制がいまだ弱体であり、不統一であることや誘導メカニズム︵国家権力と独占資本ないしは支配的資本 との結合︶の問題等を指摘することができるであろう。  次に中小企業投資育成株式会社法は、中小企業投資育成株式会社が中小企業の増資新株の引受により、中小企業の 自己資本の充実を図ること等により中小企業の近代化を促進することを企図するものである。申小企業の自己資本充 実策︵申小企業基本法第二五条︶としては、税制措置︵申小企業近代化促進法第九条に基づく申小企業の近代化のた めの割増償却制度︶の他に投資育成会社構想がある。同法は、まさに、この構想を導入したものであって、同法によ り設立きれた中小企業投資育成株式会社︵三八年二月発足当時は東京、名古屋、大阪の各一社合計三社︶は中小企 業に対する株式資本の供給︵増資新株の引受︶と経営技術上のコンサルテーシ。ンをその業務内容とし、対象企業の    戦後の日本における産業構造改善政策と申小企業法制の変遷︵三︶      九九

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   東洋法学       一〇〇 範囲は.資本金五千万円以下の株式会社であって.産業構造の高度化または輸出振興の見地から、育成する必要の ある業種に属するものに限定される。さてここで、同法の立案者側の意図するところがどのようなものであったか は. ﹁対象となった申小企業を一億円以上の規模にして.第二株式市場において独力で.公開資本を調達しうるまで        鮒 に育て上げようとするものである。﹂と述べていることから明らかとなる。すなわち.立案者側の意図する証券市場 への対象企業の株式上場については.各地の証券取引所が定めている上場条件を特別に緩和するものではないから.        だ 育成会社を利用することができるのは.中小企業申での上位者に限定きれることは疑いがなかろう.このように同法 は.中小企業一般を育成の対象とするものではなく.もっぱら申企業を対象とする.企業資本の証券化の促進策とい        熔 鯨 え.すでにある系列企業の再編成や.独立申堅企業の掌握に関係するものと考えられるであろう。  なお同年には、申小企業信用保険法.申小企業信用保険公庫法.申小企業団体組織法等が改正きれ.申小企業基本 法の趣旨に従って.申小企業者の範囲が拡大された。とくに申小企業信用保険法の改正は.中小企業者の範囲拡大に 加えて.更に新種の保険制度を創設した。この制度は、設備の近代化等が緊急に要請されている業種に属する申小企 業者について.その設備近代化等に必要な資金の借り入れに伴う保証に関し.一人につき三千万円︵申小企業者団体 は五千万円︶を限度とする保険契約を申小企業信用保険公庫と信用保証協会との間に締結することができることとし て、今後申小企業の設備近代化の促進に資せしめようとするものであった。  昭和三九年になると、申小企業団体組織法が改正きれ、繊維工業設備等臨時措置法およ内航海運組合法︵漁業生産 調整組合法は三六年に成立︶が制定された。

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 中小企業団体組織法の改正点は、行政庁の認可を条件に、商工組合および商工組合連合会に対して、申小企業分野 に進出しようとする大企業と分野調整を行うための特殊契約の締結︵団交︶権を認め、また大企業側の団交応諾義務        だ とあっせん・調停手続について規定したことである。この改正は、経済的弱者としての申小企業が、その組織力を背 景に、大企業との団体交渉により特殊契約を締結して大企業との分野調整を行い、大企業の中小企業分野への進出を おさえて中小企業の存立を維持︵生存権的基本権の確保︶することを企図するものであって、中小企業の保護のため の画期的な改正であるといえる。しかし、現在までのところ特殊契約が締結された事例は一件もない。織維工業設備 等臨時措置法は旧法が有効期限満了となるため新らたに制定されたものである。内航海運組合法︵漁業生産調整組合 法︶はその業種に属する中小企業者間の過当競争を防止し、その経営の安定を図ることを目的とするものであって、 容認される共同行為の要件は、実質的には、申小企業団体組織法の不況カルテルの要件と同様となっている。内航海 運組合法︵漁業生産調整法︶は中小企業の構造改善法としての性格をもつというよりは単なる組織化法、カルテル法 としての性格をもつにすぎないものというべきであろう。  以上において老察してきたように、すでにこの頃までに、一連の中小企業の構造改善なる構造高度化、近代化法が 成立したわけであるが、これらの中小企業法制の整備とともに、この頃から産業の国際競争力の強化策としてのカル テル許容の動きが再び活発となってきて、右に見たカルテル法以外に、その方向に沿っての独占資本の維持、強化の ためのカルテル法制︵独占禁止法の適用除外立法︶の整備ないしは提案もなされた。  石油業法︵三七年︶、金属鉱業等安定臨時措置法︵三八年︶の制定や輸出入取引法の改正︵同年︶や特定産業振興    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      一〇一

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   東洋法学      一〇二

臨時措置法案︵同年︶の登場等がそれである。これらの法制は事業者の競争制限的行為となる共同行為Hカルテルを 独禁法の適用除外とするものであって.統制経済的、強制ヵルテル的性格をもつものであり︵但し.石油業法は勧告 カルテル的な性格をもつ法制︶.更に官僚統制化の危険性を孕むものであった。とくに特定産業振興臨時措置法案は、 独禁法の合併規制やカルテル規制を大幅に緩和する内容のものであって、大企業保護に傾き、独禁政策を後退.変質 きせる性格のものであり.更に産業.金融.官庁の三者協調方式の導入は官僚統制となる危険性があったため.一般 消費者.中小企業為農林漁業等の各団体のみならず.財界の熾烈な反対に合って流産に終った。  その後産業の国際競争力の強化と産業構造の高度化を推進し.その一環としての申小企業の構造高度化、近代化を 推進していく過程で.昭和四〇年一月政府の策定した中期経済計画が発表された。中期経済計画は当時の内外経済環 境の急変に対応するために.従来の産業構造高度化政策を一層拡充強化するとともに.申小企業の構造高度化.近代 化政策を国民経済的見地から早急に展開していく必要性を強調し.そのための諸施策の展開と法改正を示唆するもの であった。こうしてこの趣旨に従って.経済法制.とりわけ.中小企業法制の整備が行われた。  すなわち.昭和四一年には数多くの申小企業法制の改正が行われた。       鋤  まず中小企業近代化資金助成法が改正されて申小企業近代化資金等助成法と改称された。その主な改正点は次の通 りである。  改正の第一点は、計画の作成主体の範囲が拡大きれ、集団化計画が申小企業構造改善事業計画と改称されたことで ある。すなわち.特定組合︵事業協洞組合.事業協伺小組合.協同組合連合会の他に.組合員が資本金五千万凹以

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下、従業員三百人以下の事業者である塩業組合、構成員の三分の二以上が資本金一千万円以下、従業員五十人以下の 事業者である環境衛生同業組合︵出資組合︶および同連合会、水産加工業協同組合および同連合会、構成員の三分の 二以上が資本金五千万円以下、従業員三百人以下の事業者である内航海運組合および同連合会、商工組合︵出資組合︶ および同連合会、商店街振興組合および同連合会を含む︵同法施行令︵第一条︶︶は中小企業構造改善事業計画︵必 要的記載事項は、①中小企業構造改善事業の目的、内容および実施時期、②同事業を実施するのに必要な資金の額、 調達方法およぴ組合員または会員に対する経費の賦課の基準、③その他同事業を実施するのに必要な事項であって政 令で定めるものである︶を作成し、主務大臣がこれを承認することとされた。  改正の第二点は、承認を受けた特定組合が構造改善計画に定められた賦課の基準に基づいて経費を賦課した場合に、 当該特定組合が納付金を構造改善準備金に組み入れたとき、または、組合員もしくは会員が納付金を納付したとき、 当該特定組合または組合員もしくは会員に対して法人税または所得税の課税の優遇措置を講ずることとされたことで ある。  改正の第三点は、中小企業高度化資金貸付制度の中に、小売商業連鎖化資金貸付制度が創設され、中小企業高度化 資金の償還期間が七年から一〇年に延長され、更に、中小企業共同工場貸与制度と中小企業設備貸与制度が創設され たことである。  この改正は、中小企業の構造改善の推進母体である中小企業組合を中小企業構造改善事業計画の作成主体として広 範に認めて、従来よりも民間側の自主性を尊重し、民間側の自主的な中小企業の構造改善の努力に期待をかける度合い    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      ]〇三

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   東洋法学      一〇四 を高めたことにより.また新らたに金融.税制の面での優遇措置と共同工場等の貸与制度の創設等により中小企業の 共同化.協業化を側面的に助成することにより.民間主導による中小企業の構造改善政策を推進していこうとする点 で、まさに画期的な法制といえ.法形式的には.確かに従来よりも申小企業の保護の強化を企図するものといえる。 しかし.申小企業の組合制度については.すでに検討してきたように.組合制度そのものに内在する問題点があり、 支配的資本・大企業の加入または介入により組合の自主性が阻害きれ.支配的資本・大企業あるいは申堅企業のボス 的な組合支配や組合の系列化が可能となる危険性があり.また.優遇措置と引き換えに承認権を背景とする国家権力 の監督の強化が図られ.官僚統制化の危険性を孕むものといえる.  次に金融.税制.信用補完の面からの改正としては.臼今申小企業投資育成株式会社法の改正により.転換社債引受 の追加と投資限度額の引上げが行われ.㈱中小企業近代化促進法の改正により.企業組合を中小企業者の範囲に追加 して固定資産の割増償却制度の適用対象とし.更に.償還期間の延長が行われるなどして.両法の改正により自己資 本の充実が図られ.更に.の機械類賦払信用保険臨時措置法の改正により.同法は機械類賦払信用保険法と改称さ れ、申小企業の設備の近代化および機械工業の振興に資するため従来臨時措置として設けられていた機械類賦払信用 保険制度が恒久化された。なお.機械工業振興臨時措置法の改正により.本法の有効期間が昭和四六年三月三一日ま で延長きれ.更に.生産面の合理化に加えて.技術開発を促進する必要があり、技術開発に関する振興基準計画と実 施計画を策定することが可能となった。  これらの改正法は.金融.税制、信用補完等の面から優遇措置による側面的な助成により、あるいは合併、カルテ

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ル等の企業集中を通して、中小企業の構造改善なる構造高度化、近代化を促進する機能をもつ反面、再三再四指摘し てきたように、金融メカニズムの問題があり、また、優遇措置と引換えに承認権を背景とする国家権力の監督の強化 が図られ、官僚統制化の危険性を孕むものである。  なお、四〇年には、下請代金支払遅延等防止法が改正されて、親事業者の経済力の乱用を防止して下請取引の適正 化を図り、下請事業者の倒産を防止するため法規制の強化が図られ、四一年には、官公需についての中小企業者の受 注の確保に関する法律が制定されて、申小企業に対する宮公需を増大して、申小企業の事業活動の機会を拡大するこ とが企図され、更に同年には、雇用対策法が制定されて、産業および労働面における構造的変化等に伴う雇用情勢の 転換期に際して、労働力の需給が量質両面にわたり均衡するための労働力流動化政策を促進して、労働者の職業の安 定と経済的社会的地位の向上が企図された。しかし、これらの法制は申小企業の保護法制としてはそれほど十分なも のとはいえないものである。  以上において老察してきたように、この時期︵第四期︶においては、産業構造改善政策の一環としての中小企業独 自の構造改善政策の本格的な展開が見られ、その政策を担保するための中小企業法制が数多く制定ないしは改正され て、法制面での整備がかなり進行した。しかしこれらの中小企業法制は数多くの問題点を残すに至り、申小企業一般 の保護法制として機能するというよりは、むしぢ独占体・支配的資本にとって有利な一部中企業の保護育成に傾き、 官僚統制化の危険性を孕みながら、支配体制、寡占体制の確立、強化のために機能する危険性があったといえよう。    戦後の日本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      一〇五

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(煽(3}(21(!}註 纈 (7/㈲

東洋法学

一〇六 資料戦後二〇年史2、経済.三九二∼四頁。 金沢良雄、 ﹁合理化﹂.経営法学全集生産二四六頁。 金沢良雄、 ﹁合理化﹂.経営法学全集生産二四七頁参照。 申小企業基本政策審議室、﹁申小企業基本閥題調査について﹂.月刊申小企業第ご二巻第一二号二∼五頁.申小企業基本 政策審議室.﹁申小企業の基本閥題にっいて﹂.月刊申小企業第一闘巻第八号二頁以下参照。 中小企業庁.門特集・昭和三七年度申小企業対策の方鶴﹂.月刊申小企業第一四巻第四号二頁.﹁特集・申小企業董本法 案について﹂.月刊申小企業第一五巻第二号二頁以下.   ・申小企業基本法の制定と昭和三八奪度申小企業対策﹂. 月刊申小企業第圃五巻第八号三貝以下参照。 ﹁特集・中小企業基本法の制定と昭和三八年度中小企業対策﹂.月刊申小企業第一五巻第八号三頁、 この法案の提案理由は.福田國務大臣によれば.次のようなものであった︵第四三回国会衆議院商工委会議録第二号︶。 ﹁わが国の申小企業が.鉱工業生産の拡大.商鐵流通の円滑化.海外市場の開拓.雇用機会の増大等.國民経済のあらゆ る領域にわたってその発展に寄与するとともに.国民生活の安定に貢献して参りましたことは.すでに國民一人一人が高 くこれを評価しているところであります。  しかるに.最近に至り濠して、生産性等の著しい企業間格差は、申小企業の経営の安定と、その従事者の生活水準の向 上にとって大きな制約要因となりつつあります上に.技術革新の進展、生活様式の変化等による需給構造の変化と労働力 の供給の不足とは.中小企業の存立基盤を大きく変化させようとしているのであります。  わが国の中小企業をこのような状態に放置いたしますときは.その事業経営の安定をそこない、ひいては国民経済の健 全な発展をも達成し得なくなるものと、深く憂慮いたしておる次第であります。  このような事態に対処して、特に小規模企業の従事者に対し、適切な配慮を加えっっ、中小企業の成長発展をはかるた め.その経済的社会的制約による不利を補正し.中小企業者の自主的努力を助長して.生産性を痢上し.取引条件を改善

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  するよう格段の努力をいたきねばならないと考える次第でありますが、このことは、中小企業の経済的社会的使命にこた   えるゆえんのものであるとともに、わが国経済の均衡ある成長を達成しようとする国民のすべてに課せられた責務である   とかたく信ずるものであります。    このような考えのもとに、ここに中小企業の進むべき新たな道を明らかにし、中小企業に関する政策の目標を示すた   め、本法案を提出いたした次第であります。﹂    以上の趣旨を明らかにしたものが中小企業基本法の前文である。 圖 第四三回国会衆議院商工委会議録第二号、基本法案の内容の概要の説明参照。 ㈲ 金沢良雄﹁中小企業法制の基本的性格と間題点﹂、経営法学ジャーナル季刊一号九一頁参照。なお磯部喜一、 ﹁申小企業   基本法を中心として﹂ジュリストニ八一号二〇頁は、 ﹁起案者である政府は、基本法に盛られた諸般の施策の具体化に責   任炉ある。たしかに責任はある。しかし政府がその責任を果たす確証は法的に与えられていないから、中小企業ないしそ   の団体はっねに監視すると同時に、施策の具体化を督促しなければならないであろう。﹂としている。 ㈲ 巽信清﹁中小企業基本法案の役割とねらい﹂経済評論、一九六三年四月号、一七一頁は、中小企業基本法案の意義・役割   を歴史的な中小企業政策の変遷過程から考察して、次の点を強調している。ω国家独占資本主義の下での企業系列化・企   業集団化の過程は、企業整備・企業統制・淘汰の過程と統一︵表裏一体︶されており、基本法案が系列化を強化・再編成   していけばいくほど、それだけ企業整備の強化・階層分化巨企業格差の拡大による矛盾の激化をもたらし、ω小・零細企   業の切り捨て政策は、中小企業全体の地位の向上・自主的発展をもたらすものではなく、③現在の段階で中小企業が、地   域の住民の生活向上と結合して、地方自治体を巻き込み、その自主的発展︵当面の要求の実現︶を図る運動が、米・置独占   資本の収奪に対抗して、きわめて重要な意義をもってきている、と。なお、福島久一・申山金治﹁中小企業の﹃近代化﹄   政策﹂市川弘勝編著現代日本の中小企業︵新評論︶六一頁、正田彬・富山康吉著、法と経済︵法律文化社︶一二一頁参   照Q qか  福嵩久丁中由金治﹁申小企業の﹃近代化﹄政策﹂市川弘勝編著現代日本の中小企業︵新評論︶六〇頁。  戦後の日本における産業構造改善政策と申小企業法制の変遷︵三︶      ス︶七

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 東洋法学      一〇八

働 なお、福島久丁中山金治﹁中小企業の﹃近代化﹄政策﹂市川弘勝編著、現代日本の中小企業︵新評論︶二五二∼三頁以   下参照。 ⑱ 申小企業政策審議会・企画小委員会申間報告﹁今後の申小企業政策の在り方﹂ ︵昭和四三年︶も指摘しているように.近   代化計画を策定するに当っては、業種業態によって実態が異なり、間題点にもかなりの相異があるので.業種別に実態分   析し.問題点の把握をして.その業種の実態に即したもっとも効果的な近代化計画を策定することが必要となるのである   ︵月刊申小企業第二〇巻第九号二潤頁参照︶。 翻 第四三輿国会参議院商工委会議録第一八号、 ⑯ この法案の提案理贈は.福田畷務大臣によれば.次のようなものであった︵第閥三回国会衆議院商工委会議録第二号︶.   ﹁わが国の申小企業は.騒民経済のあらゆる領域にわたってきわめて重要な地位を占めており.わが国経済の発展に多大   の貢献をしてき慧ことは申すまでもないところでありまして.政府におきましても.申小企業の成長発展をはかるため.   従来より各般にわたる施策を実施して.その指導育成に努めて参っ江のであります。    しかしながら.貿易の自禽化.技術革新の進展等.昨今の経済情勢の推移を見ますとき.わが国経済が今後︸そう健全   な発展を遂げるためには.大企業と中小企業との生産性等の格差を是正することが、緊要な課題となるのでありまして.   この課題にこたえるためには.申小企業関係施策を一そう拡充強化することが必要ときれるのであります。    従って.このたび.中小企業基本法を制定し.申小企業の進むべき道を明らかにいたしますとともに.その関連施策の   重要な一環として.経済政策上特に申小企業の早急な近代化を必要とする業種につきまして.業種ごとに近代化計薗を策   定し.その実施のための強力な助成措置を講ずるため.この法律案を提出することとした次第であります。﹂ ⑯ 申小企業政策審議会・企爾小委員会申問報告﹁今後の申小企業政策の在り方﹂ ︵昭和四三年︶は.政令による業種の指定   に際しては、﹁問題の重要性、緊急性、施策効果の大きさ、自助努力によって近代化しようとする意欲、政策受容能力の   有無などを判断の基準とすべきである。﹂としている︵月刊申小企業第二〇巻第九号二四頁︶。 鋤 昭和四〇年三月からは、通達﹁中小企業近代化基本計顧および同実施計画の推進にっいて﹂ ︵四〇企庁第一〇四号︶に基

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㈲ (18) づいて、また四一年五月からは、通達﹁申小企業近代化計画中央推進協議会の設置について﹂ ︵四一企庁第五一二号︶に 基づいて、中小企業近代化促進法に基づく中小企業近代化計画の推進が図られることとなった。 第四三回国会参院商工委会議録第一八号。 昭和四〇年三月からは、通達﹁申小企業近代化促進貸付事務取扱要領﹂ ︵四〇企庁第二四九号︶に基づいて、中小企業近 代化促進法に基づく指定業種に属する申小企業の近代化を促進するため、貸付金利、貸付限度等に特例を設けることによ り、これら中小企業者が近代化のために必要とする設備資金を融資することとなった。 一 対象企業   申小企業金融公庫法第二条に定める申小企業者であって、申小企業近代化促進法︵以下﹁法﹂という。︶施行令第二  条に掲げる指定業種に属するものに限る︵別表一略︶。 二 資金の使途   法第三条に基づく﹁中小企業近代化基本計画﹂ ︵以下﹁基本計画﹂という。︶に定められた機械設備およびその他の  施設ハ以下﹁指定機械設備﹂という。︶を取得︵改造・更新を含む。︶するために必要なものであること。 三貸付条件  ω 貸付金の限度     一貸付先に対する貸付限度は一般貸付と併わせて八千万円とする。ただし、代理貸付については、一般貸付による   限度のほかに本制度による貸付として、一千万円の範囲内で貸付けることができる。    ︵以下略︶  ㈲ 貸付利率   イ 通常利率︵年九%︶とする。ただし、別表二に掲げる機械設備︵以下﹁特利対象機械﹂という。︶にかかる貸付    については、五千万円を限度として年八・五%になるよう利息の一部を免除する。   ロ イによる特利対象機械にかかる貸付にっいては、当該設備計画により適正生産規模へ到達する等合理化、近代化 戦後の目本における産業構造改善政策と中小企業法制の変遷︵三︶      一〇九

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