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シリコン整流素子の残留蓄積キャリヤ

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U.D.C.る21.314.る3:54る.28

シリコン整流素子の残留蓄積キャ ̄リヤ

On

The

ResidualStored

Carriers

of

シリコン燦流掛別抗電流が流れているとき存在するキャリヤは,

Silicon

Recti丘ers

K6jiIwata 一*

三** Takuz(うOgawa

電流が0になっても抵ちに消滅しない。こ れを残研者杭キャリヤという。このキャリヤがほとんど0になったとき逆方向の阻+L能力を持つ(これを回復 するという)ようになる。この残留苺杭キャリ17は素 ̄r・の性質を知るうえにも必要であるが,素子を市列に接 続して用いる場合,その分担電1【二の次定に不 ̄吋火の量である。 析結果につき述べる。

1.緒

ロ シリコン紫流詩:壬の順電流が0になi),拍二ちに逆電圧が印加される 場介,理息1的増韓流㍑諒では道プノ向電流ほ阻什二するが,実際にほキャリ ヤ箱析効果のため,ジャンクション内部のキャリヤがなくなるまで は整流掛まほぼ短絡状態のままで,整流器には回路により定まる逆 電流が流れる。ジャンクション内部のキャリヤが内溺の再結合およ び迎電流の流れることによって消滅すると,整流器は本来の逆電托 阻止台巨力を持つようになる。この現象を回復する(Recovery)と 呼ぷ。 この回復現象は/くルス回路に用いる場合には,スイッチングタイ ムの点で問題になり,また高周波の整流回路では整流効率の低 ̄Fと して問題になってくる。また,残留キャリヤのため流れる通電流が 0になるとき,この電流変化がかなり急激に生ずるので回路のイン

ダクタンスのため発生する電圧工芸は相当に大きくなり素托危

謂を与える。 電力用整流同格では,転流時にこの現象が生ずるので特に重要と なる。さらに,電力用整流回路では使用する回路電圧と素子の耐肝 の関係から,素子を直列に接続して使用することが多い。この場 合,各素子の残留蓄積キ17リヤには一般に差異があるため,直列素 子おのおのの分担逆電圧が不平衡になる。そして,この分担電圧を 均等にするためには,素了・に並列にコンデンサを接続するのが普通 である。従来,この分担電圧平衡用に接続すべきコンデンサは経験 F伽こ決められていた。 上記からわかるように,分担電圧平衡用コンデンサの容量は各素 丁の残留キャリヤと碑H妾な関係がある。そこで幣流素了・の避電圧回 御寺性について検討した結見通特性をkil復するまでに流れる通電 流の時間積分値Qrを考えることにより,分圧用コンデンサ容量が 簡判こ求められることがわかった。本報告ではこのQrをrecovered Chargeと呼ぶことにする。 一般に回復の問題は接合中の各時点におけるキャリヤの分布を求 めることに帰着するが,特殊の場合を除き,その解析は困難であ る。しかし,接合中の全電荷量に着日すると,解析が比較的簡単 で,実験結果に対しても近似的な解釈が可能である。 本報告ではこれらの実験結果や計算の結果に基づき,電力用シリ コン整嫌器の残留蓄積キャリヤについて述べる。

2.回復電流電圧波形

弟1図の叫相幣流㍑抑亘l掛こおいて,ヤ汗i・リアクタエが十分大きく 電流は、P附であると考えると各素丁・の電流は策2図のようになる。 不 日立製作所日立研究所 +二卜1i ** H立製作所「1立研究所 残留萬箭キャリヤの実験結果とそれに対する解 SR】 卜i召・l+アクタL

崩E2

11 Slし 第1国 単 相 磐 流 詩詮lリj路 ナ111ごf 重い期間 u A 11 B e28 12 , 卜l帽圧降

ヽ \ \ 第2固 単相整流回路の電流電圧波形 固のど月〟1はSRlの陽極--一陰梓間電圧である。Aの時点でSR2に順 電圧が印加されるから,SR2には電流才2が流れ始める。ここでよく 知られているように変圧器のインダクタンスのために,電流は図の ように変化してBノ、【、くで才1ほ0となる。このAB間の期間を重なり期 間と称し,電気角で表わし重なり角各gと呼び,このようむこ電流の変 化して行くことを転流と呼んでいる。このようにして,B点でSRl

には相電圧E2のB点における電圧β2β以後の電圧が加わる。この

β2βを飛躍逆電圧と称する。 ところが,B点以後SRlの逆特性が回復するまでは外部回路によ ってきまる大きい逆電流が流れる。すなわち,B点における残留蓄 積電荷Qoの一部Qrほ逆電流として接合の外に流出し,一部は接合 内で再結合によって消滅する。そして,残留蓄積電荷の大部分が椚 滅し,C一山こ達すると,素「のバイアスは‥三から逆に転じ,辿電流 はユ、速に減少する。舞3図はそのイ†様を示す。 Q,▲ほ次式の電流桁分伯として求められる。

0′=∼;∞(才r一榊

‥(1)

(2)

コ ン

ここで,言,・0は何役後の過電流で,Cノ∴ミの電流に比べてきわめて小 さい。後に示すようにQrは電流変化率,正方向電流および接合巾 のキャリヤのライフタイム(1ifetime)できまるので,整流器回路の 設計上,素子の耐圧,電流容量,熱抗抵と同様,素丁の性能を示す 韮本量であるといえる。 3.RecoYered Chclrge

Qrの測定回路

実際の整流器回路では変「E許などの回路定数により,転流時の電 流電圧の変化状態ほ違うので,Orも違ってくる。しかし実際の整 流回路で,これらの定数を広範口耶こ調べることほ困難である。 一般の整流回路でほ飛躍逆電圧に付随する振動をおさえ,また第 3図のC〝の電圧のように残留キャリヤの作用に基づく異常電圧吸 収のために,整流器の陽極陰梅閃にコンデンサを接続する。 したがって,転流終期における電圧ほ飛躍的にββ2にならないで コンデンサの充電時の形をとF),近似的には耐線的に逆電圧が上昇 していく。また,重なり角期間の電流才1,才2も変圧器2次端 ̄fの締 結電流で両線的ではないが, ̄屯なり角期間のみを考える場合には, 了!‡線的に変わると考えてもさしつかえないであろう。 これらの点を考えて,電流電圧の変化状態を整流回路の転流時と 同様にして残留キャリヤを測定するため策4図の回路を用いた。図 において,SCRlのゲートにパルスを加え,順電流瀕から試料素√ に順電流んを流す。その大きさはβ1によって調整する。続いて SCR2のゲートにパルスを加え,逆電圧淋から試料に逆電圧且月を加 えて逆耐圧回復特性を測定する。 素子が辿耐圧を回復する(以下主軸こ回復するという)まで,その 等価抵抗は非常に小さいから,これを0とみなすと辿電圧回路ほ エ2と月2の直列回路になる。したがって,SCR2が導通したときを ヽ. \ 、 C C 第3図 残留蓄積キャリヤの影響によりC点まで 逆電流が流れる。C′七以後の電流変化が人きい ため振動電圧が生ずる し ⑳ ∈〉 C2 R。 SCRユ が C R4 SCR,

第4図 シリコン紫棟器担l得ガム象て_定紋装同 ㊦ ◎ トH■ム札いじ収 の

キ ャ リ ヤ 時間才=0とすると,試料を流れる仝電流オは

ぎ=ん一昔(1-β一若才)・・

(2) そのこう配は

豊=一号β ̄若f

‥(3) 特に上2/ガ2≫gのときは

豊=一号=`r′…

‥(4) このように転流期間・-いの電流に相当する電流波形ほE尺とエ2によっ て調整する。 また,転流終期の電仙こ相当する回役逆電圧波形は試料と並列に コンデンサと抵抗を接続して調整する。試料に順電流を過流する時 間は接合部が加熱されないように短くしなければならない。 しかし,この時問が短かすぎると接合部におけるキャリヤが定常 状態に達しないため,通流期間の影響が現われるのでキャリヤのラ イフタイムに比し,十分大きくしなければならない。また,州如琵 流の時間変化率が大きいので,電流波形測定用シャントは触淋‡手形 のものを用い,シャントからシンクロスコープなどの測定掛こ接続 する配線は,誘導電圧などがはいらないように注意しなければなら ない。 第5図は弟4図の測定回路で測定したシリコン整流素子の回復電 流,電圧波形を示す。これについて簡単に説明する。策5図におい て時点Tlで順電流が減少しはじめ,時点T2で0になり,T4で最 大値に達する。Tl∼T3の筒域における電流は(3)式で表わされる。 時点T4以後電流は減少してT6で定常時の漏れ電流に達する。 これに対して嘉子電圧ほ,T3まで順方向でT3から逆方向に変わ り,電探が広大値になるT。で電任は道印加電圧月々とほぼ等しくな るこ′それ以後,素一千電圧は辿印加電圧にI司路インダクタンスエ2に

ょる駈エ2豊の利になる(1T5において逆電圧が最大となってい

るのほ第3図のC”に相当する部分である。 弟5図ほ弟3図の波形と多少相異するが,回路のインダクタンス の影響と道バイアスに移る時点のわずかの差による差異である。 回復時間ほ図に示すTrl(T2,T3間)とTr2(T3,T6間)の和となる。 この回路を用い電流波形を写真撮影してTl∼T6の逝電流波形か ら両横をプラニメータで測定し,電流積分値を求めればQrを得る。 しかし,実用的に多くの素子について0′・を測定する場介,これはは なはだしく非能率的である。そこで,第d図のように改良し,電圧 計で0メノを直接測定する装「在を試作した。第7図ほ試作したQr測定 装悍である。舞d図においてSRlは,そのrecovered charge(ヨγ1 が,試料のそjt,Or2よりも小さいものを用いる。試料とSRlの直 Ⅰ 1、21】4Ⅰ、ゝT・】

トー●r,.-

T,Z ÷_■ノ; 【kl■化 【にJl三 第5図 第41宝1の回路で測定Lた何役時の電流う左拝

(3)

叫29-日立製作所日立研究所創立三十周年記念論文集

通電流 SR2 SR】 E。 兵空管電圧計

第6図 シリコン整流器Recovered Charge O′

測定装置の原理図 列回路に逆電圧が印加されると試料の回復電流は,最初 のうちSRlを通るが,SRlがさきに回復し,その後はコ ンデンサCを通りCを充電する。したがって,試料が回

復した後のCの電圧を且とすると,試料のrecovered

Charge(∂r2は次式によって求められる。 Qr2=見・C+Orl (5) 第7図 実験に用いた Q,・測定装置 電圧且を測定する間,Cの電荷は放電によって減少 しないように,電圧計の内部抵抗は十分大きく,またSR2の道漏れ 電流はできるだけ小さくなければならない。コンデンサCはSRlの 1・000 回復後,試料の回復電流にじょう乱を与えないようにできるだけ大 容量のものを用いることが望ましい。 500 4.RecoYered

Chqrge(irの測定結果

すでに述べたように recovered charge(フ′ほ辿電圧印加前の順 電流ん,電流変化率α∫および温度により変わる。 これらの/ミラメータを変え,弟4図の回路によりOrを測定した。 弟8図は回復前の順電流んをパラメータにしたときの電流変化率 α∫とQrの関係を,弟9図はα′をパラメータにしてんとQrの関 係,弟10図はん,α∫を一定とし接合温度とQrの関係を示す。 ん,α′を一定にして逆電圧波形を変えてQγを求めると,回復電 流波形は変わるがOrはほとんど変化しない。 このように,Orはんおよびα′が大きいほど大きくなり,接合 温度が高いはど大きくなることがわかった。もちろん,このQrは 使用しているSi結晶の特性,接合構造,接合条件などいろいろの 影響を受けるので形式の違った素子はもちろんのこと同一形式のも のでも相当のばらつきは当然生ずる。

5.残留蓄積キャリヤの解析

5,l才妾合中の電荷に対する方程式 弟11図のようなpin接合において乃+領域から首領域に注入され た電子に対して次の連続の式が成り立つ。

す笥㌍ン旦也旦-甘地L

∂∬ 丁 ただし,紹:過剰電子濃度 オ”:電 子 電 流 ヴ:素 電 荷 丁:実効的なキャリヤの1ifetime(1)

いま,古鏡城中の電荷の総量を¢とすれば

‖(6)

¢(f)=ヴ‡ア乃(榊∬‥…

‥…(7) (6)式をオ領域全体(0≦∬≦Ⅳ)にわたって積分すると(7)式に よって(8)式が得られる。

一些し=才”(0,才卜才〝(町gト旦

d′ ‥..…(8) 0 3 20 (∽さS トロ ここで,乃+および♪十領域は完全なエミッタで,が才および〆才按 1,000 500 ∧U ハU O ∧U O O 3 2 1 (∽さ皇-ロ ハU O ハリ 5 3 2

竺〆

201-26qC 2 3 5 10 20 30 50 αⅠ(AパノS) 第8図 SRのα∫ Qrの 関係 20、268c 100 20A/4s 10 2 3 0 0 (U 爪U O 5 3 2 ‥爪ミ・S-ロ 10 20 30 50 100 lF(A) 第9図 SR のん Qr関 係 atlF=200A α【=10A/小s α1-2A/うJS 200

10旨 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄茄

20 40 60 80 i法度 ぐC) 100 120 第10図 SRの 温度 Orの 関係 i(p) p十 x=O x=W 第11図 pin 按 j(t) ノゝ Fl

(4)

コ ン

子 の

リ ヤ 6,000 0 0 nU O O nU nU O ハU ⊂J 4 3 (〕芸き王 2,000 l.000 丁=3叫sα=20A/う`S I二2りOA T二10/JS α=20A/1-5 ■5.比S 20A′イJS 10 15 2(1 25 (/′S) r=20.上∠Sα=10A.′ウ`S 20/J5α二20A/小s 30 35 40 第12図(13)式の計算例(・はQoの値を示す) 合ではそれぞれ電子および正孔電流のみが流れるとすれば 才〃(0,g)=才(J),ブル(町f)=0‖.…………. ‥…(9) としてよい。ただし,g(f):外部電流 また,接合容量は無視した。したがって,(8)式ほ次のような簡 単な形に書きかえられる。

ゼ9-=g(Jト旦

dg T ..‖‥…(10) 5.2 蓄積電荷とRe⊂○▼ery T盲me 接合を流れる電流が荘から負に階段的に変化する場合ほ,すでに Kingston氏(2)らによって取り扱われている。しかし,前章で述べ たように一般の整流回路では第3図のように変化する。 第3囲おいてA点を時間の原点とし,B点では才=才0とする。ま た,′≦0では通流時間がIifetimeTに比して十分大きく定常状態に なっているとすると,(10)式でdO/d′=0であるからf=0では 0`=0=ん丁..… (11) ただし,ん:順方向電流 また,第3章で述べたように0≦才≦才γでは電流は一定の傾斜α′で 変化するとすれば オ(′)=ん-α′g … (11)および(12)式の条件のもとで(10)式を解くと ‥(12)

Q(∼)=丁〔いα∫(丁-∼トα∫TeXp-÷〕‥…(13)

0(f)の(13)式による時間変化の様子は第12囲のようになる。 電流の逆転するB点における残摺蓄積キャリヤの電荷を¢0とす ると(13)式より次の関係を得る。

鮎0(才0)=α′丁2(1-eXp-£)・…

‥…(14) また,g=go+∠′とおいて原点をgoに移すと(13)式は次のように表 わされる。 0(f′)=α/

Qo(exp-÷)

α′丁2

丁.(二十三三二三)〕

‖(15) 接合中の電荷は以上のようにして消滅してゆくが,その量が少な くなり,乃(0,才0+gr)=0となるような時間才rに達すると,素子のバ イアスは正から逆に転じ,逆方向の阻止能力を回復するために逆電 流は急に滞少するようになる。Kuno氏(3)によると階段形の電流変

化の場合には〝(0,fo+り二0なる条件は実験的に次の条件とほぼ同

等であることが見いだされている。 ¢(fr)=g〟丁β ‖(16) ただし,才月:逆 電 流 丁々:定 数

しかし,舞3図の場合には(16)式の関係でfrが決定されるか否

かは明かでない。ここでは素子が正バイアスの問に消滅する電気量 ノ′ 〇

104「

n‖V (U試・弓ニ (ご)α α=20A一〃s Qre川 Qr ノ伊 Q(t。) 200A Q 吐〕 9.,… Qγ

_′一一お ̄ ̄

′ノ小rT品左一一一一 ̄

10 15 20 工(/JS) (∽ヱ、} 10 25 30 第13図(14)(18)式から丁,Or,才rの関係をん=20,200A α′=20A/〃Sの場合につき計算した結果 に比し,逆バイアスになってから流れる電気量が十分小さいことか ら,簡単のために ∼′=んに対しQ(g′)=0 と近似する。これより次の関係が得られる。

一覧=1十(ヱ■--イexp、㌢

蒜 ̄=⊥十して ̄ ̄⊥ノeXp、㌻

(17) (18) 一方,(17)式の仮定によれば¢rは(1)式によって次のように なる。

Qr=÷α′才′2

‥(19) この近似では才デは直接測定されるgrlよりは当然やや大きくな る。実験との比較のためには上式の才rとしては≠rlではなく¢rの実 測値より(19)式によって得られる値を用いるほうが合理的である。 弟13図は国中の測定条件に対し,丁をパラメータとして(14)およ ぴ(18)式により才rおよびQoを計算した結果と測定結果の比較であ る。国中に㊥で示される才rの値ほ0γの実測値から求めた。これに 対応する丁はα∫=20A/〃S,ん=200Aおよび20Aの場合にそれぞ れ8.3および17/JSとなる。これらの丁の値は低レベルで測定された 1ifetimeに比しかなり小さく,また,んの大きいはど小さい。Tが 電流んの増加とともに減少する傾向ほ低レベルでも認められ,ま た,Somos(4)らも指摘している。丁はぎ領域の厚さなど接合の椚成 の影響を受けるほか,注入レベルによっても変わるから回復現象の 期間中,場所的,時間的な1ifetimeの平均値と考えるべきもので, その物理的意味は必ずしも単純ではない。 以上のようにして求めたTと対応する¢。は弟13図より得られ るが,実測の¢rとQoの差ほ再結合によって消滅した電荷と考えら れる。Jrが丁に比して十分小さければ(18)式より

Qo符うーα′gr2=Qγ…‥

‥(19) となるが,弟13図より明らかなようにこの近似は十分でない。し かし,弟13図の場合,QrはQ。の約60∼80%を占めているから定 性的にはα′およびんに対する両者の依存性ははぼ同様になると考 えられる。実際にも第8,9図のα′およびんとQrの関係ほ定性的 にほ(14)式によって説明される。また,弟10図のQrの温度依存 性は(14)式の丁が温度とともに増加するためと考えられる。

る.直列接続素子の分担逆電圧

すでに述べたように電力用整流装置では,2個以上のシリコン整

(5)

-31-日

立製作所

立研究所創立三十周年記念論文集

SR .■+ 】 一 一 一 R S 第14同 市列接続,SRlが凹復したあ と点線のように逆電流が流れる SR. R S

≡頂C

ra) lい 第15図 並列コンデソサ接合,SRlが回復 したあと逝電流は点線のように流れ(b)と 等価となる 流素子を直列に接続して用いる場合が相当多い。 コソ整流素子に加わる通電圧が不均等になると, この場合,各シリ 直列接続数が多く

なり不経済となる。

そこで,定常時の逆電圧の分担を均一にするため,素子に並列に 抵抗を接続する。この抵抗を素子の逆方向の等価抵抗に比し十分小 さく,分担電圧を均一にしている。 定常時はこれで十分であるが,転流直後の逆電圧は次に述べるよ うに並列抵抗で均一分担にすることはできない。 直列に接続した2個の素子の残留蓄積キャリヤは一般に相違す る。弟14図のように2偶の素子を直列に接続した場合を考える。 弟3図のA点で転流が開始し,今まで転流んの流れていた素子の 電流は減少し(電流変化率α′),B点で0になり,さらに辿電流が 流れる。この電流んと電流変化率α′における2個の素子SRl,SR2 のrecovered charge(?rを¢rl,¢r2とする。そして今,¢rl<Or2 とする。(フrlのほうが小さいのでSRlがC点で残留キャリヤを消費 し,逆電圧を回復する。 SRlが回復してもSR2には¢,′2-Q,′1二d¢γのキャリヤが残存し ているのでSR2ははとんど短絡状態である。したがって,弟14図 のAB問の電圧はSR2が回復するまでほとんどSRlに印加される-〕 ところが,SR2が回復するためには』Qrのキャリヤを通電流と内 部の再結合により消費しなくてほならない。SRlが回復した後SR2 の逆電流ほ弟14図の並列抵抗剛こより制限された電流で,これは 両者の回復する前の電流に比し小さい。また,再結合によりキャリ

ヤを消費するには相当の時間を要する。したがって,SR2の回復は

両者の残留キャリヤの差』Qrがわづかでも相当に遅れることにな り,この間第】4図のAB間の電圧はSRlが分担することになる。 これはSR.に過電圧が印加されることになり SR.に損傷を与える ことになる。 上記の説明からわかるように,この現象ほ重なり角が大きくて転 流終了時の飛躍辿電圧が大きい場合問題になる。さらに直列素子の 数が多い場合は,最初に回復した素子に印加される電圧がますます 大きくなるので過電圧になりやすく,次々に破壊されてゆくおそれ がある。

7.直列ヨ妾続における分圧回路

前市で述べたように,残留キャリヤの影常で転流時の分担電圧が

不均一になるのを防ぐため,一般に並列コンデンサを接続する(普 通直列素子に加わるインパルス状電圧の分担を均一にするため,並 列にCを接続するが,このR的のみを対象としたコンデンサでは容 量が不足するのが普通である)。この並列コンデンサと転流直後の 分担電圧の関係につき述べる。 7.1キャリヤの再結合を諾えない場合 弟14図のSRlが回復した後,SR2は』Or=Orl-0′2のキャリヤ が残存している。これが過電流と内部の再結合で消費され,SR2が 回復するわけであるが,この過程において,再結合を考慮しない場 合について考える。 5 3 2 02 5 3 2 (∽ヱ H←室烹叫n 'C 第16図 第15図(a)におけるSR2の電流, C点でSRが回復し電流は並列コンデンサ で定まる値となる

5k占之 5k記 Ir αⅤ αt ∠1Qr C 20(A)0.33∼0.4(Ⅴ/如s) 20 0.6∼0.7 20 1.3 100 2.5 1.7(A/小s)27.8(A・/JS) 2.8 30.3 4.7 37.5 15,4 68 0.02∼1(〃F) 0.05∼1 0.05∼1 0.5∼1

、/ゝ/

/

0 2 3 5 102 2 3 5 103 2 3 5 104 汁ダ=/-ニーr】rJ`S) T.、ヒrl'ノ欄條 第17国 後から回復する素子の回復おくれ時間れの 実験値と計算値の比較 第15図(a)のようにSRl,SR2に並列にコンデンサCを接続した 場合の分担電圧を考える。いま整流素子の等価抵抗は回復逆電流が 流れている間は0とし,回復した後は無限大と考える。 第15図(a)でSRlがさきに回復すると,その後は同図(b)の回 路で表わされる。 今,転流後の逆電圧β′は一定の変化率即で時間とともに増加す るものとし,SRlが回復したときをg=0とすれば,才=0以後SR2 の逆電流はCを通って流れる。 ≠=rlでSR2が回復したとすると,この間の電流電圧は第1d図 のようになるであろう。 ここで電圧変化率がαy(一定値)とすればg=0以後の逆電流言γは gr=C(れ′‖.… である。f=TlでSR2が回復したとすると

∼;1gr・dg=犯‥・…

(20) (21) ∴C即rl=C∠一月二d¢デ… ...(22) Tl時点におけるSR.の電圧は』Eとなり,Tl以後SRl,SR2の 分担差電圧ほ』且のまま変化して行く。もちろん相当長時間の後に は,両老の分担電圧ほ並列月が支配的となって平衡する。 (22)式は分担差電圧と残留キャリヤ,並列コンデンサの関係を示 す基本式である。 普通は振動減衰用にCに向列に抵抗をそう入する。〃個直列にし たときも同様の考え方ができる(5)。 また第1る図のような電流変化をするからSR2回復おくれ時間は 単独で測定した回復時間んの差より一般にはるかに大きい。 今,2個直列の場合の遅れて回復する素子の回復時点れを測定 し,(22)式により計算した値と比較すると弟17図のようになる。 rlの小さいところでは,両者はよく一致しているがrlの大きい ところでおくれ時間の測定値が計算値より小さくなっている。これ はSRlが回復した後,SR2に残った残留キャリヤdOrをすべて逆

(6)

シ リ コ ン

子 の

リ ヤ 電流によって引きだされ消滅すると考えたが,実際には内部で再結 合により消費されるためと考えられる。 7.2 キャリヤの再結合を薯慮した場合 弟1る図のC点でSRlが回復し,その後,rl点でSR2の残留キ

ャリヤが内部の再結合と逝電流によりほぼ消滅し,SR2が回復す

る。この場合,rlを求めるには電荷の分布が問題であるが,簡単

のために"recoveryの途中のある時点で0(∠)が同じであれば,そ

の時点以後の電荷分布はそれ以前の外部電流には無関係にきまる”

と仮定する。この仮定は本実験のようにrlが丁に比して十分大き く,接合中の電荷が再分布する余裕のあるときは亥当なものと考え られる。 SRlが回復した時点をJ=0とすれば,才=0におけるSR2の電荷 は』¢rである。 上述の仮定によればf≧0における,SR2の状態はf=0において, 』Qなる蓄積電荷をもった接合において階段形に順方向から逆方向 に電流が変化し,逆流才rが流れる場合と同様である。この場合の recovery time711はKuno氏(8)によると次のように表わされる。

Tl=丁2〔1n(1ト警一言十1n(1+号)〕…・…・・(23)

ただし,サフィックスの2はSR-2に関することを表わす。また 丁尺2は(16)で定義される定数である。いま,』Qr/才r…加0と表わせば

711=丁2〔1n(1+普)一1n(1十号)〕・・…(24)

第18図は実測のrlと1+』f。/丁2の関係を示す。実線は丁2=27,35〃S

としたときの(24)式の計算値で,(24)式の関係がよく成り立つ。ま

た,図より(24)式の第2項は省略してよいことがわかる。この丁2は SR2の′=0以後の等価的なライフタイムであり,この中には本章 のはじめに述べた仮定を含んでいるもので,前章における丁とは数 10Z て て10 -ト

x/

/

丁2=27/JS T2=35JJS 50 10〔) T,(ノ上S) 第18図 れ と1+』fo/丁2の 関係 Slくコ

ーーー《トー

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L---R.--トー

第19図 第15図(a)においてSRl,回復後SR2が回復 する過程でSR2内部の再結合を考えたときの等価回路 値的には一致しない。 7.3 キャリヤの再結合を考えたときの等価回路 いま,回復中の整潅素子を第19図のように,キャパシタソスCゴ と抵抗凡の並列電気回路とみなす。∠ゴ0′ほC5にたくわえられて いる電気量とし,再結合で減少する分は抵抗凡を通る電流才′で放 電すると考える。外部回路には凶復電流と同じ電流オブがCゞから流 れるものとすればCざの電流オ0は 才0=gr+才5‖ 策柑図の等価回路については次式が成り立つ。 …(25)

吉与才0抑5駈0…

‥・‥(26) f=0で

才5=-一旦9L・⊥=-一些し,丁5=Cg月ざ

C5 月 丁5 を初期条件として(26)式をとき才=ちでC∫の電荷が0になったと きSR2が回復するものとしてちを求めると

Tち=丁5log(1+普)t…

‥…(27) となる。 ここで丁5を(24)におけるT2と同等のものと考えれば(27)は(24) において第2項を省略したものと一致する。すでに述べたように (24)を噂出するとき残留キャリヤが(23)式になったとき,逆バイア スになるとしているため第2項はでてきたが,これは弟18図から 省略してもよいから,実用的には第19図のような等価回路で残留 キャリヤの消滅過程を考え,電荷0=0のとき,後の素子が回復す ると考えてよいことになる。

8.緒

シリコン整流器は残留蓄積キャリヤのため,順電流通電中に接合 部には順電流で定まるキャリヤがあり,電流が0になった後過電圧 を加えると,このキャリヤの一部が過電流として外部回路に流れ る過電流および内部の再結合により,このキャリヤがほとんど消滅 するまでこの状態が続き,シリコン整流器本来の性質である逆方向 阻rヒ能力がない。 この現象が電力用シリコン整流回路の転流時の電流,電圧の変化 過程に及ぼす影常に閲し,特に,回復までに通電流として接合から 流出するrecovered cbarge(フrに着目し,研究した結果から, (1)整流素子を2個以上直列接続した場合の迎電圧の分担を均 等にするために接続するコンデンサCとQγ と分担辿電工E の関係を示す基本式(22)を確立した。 (2)電泳,電流変化率,温度などを変えてQrを測定した。そ して,接合内部の電荷量の変化について解析し,実験結果 と比較検討したところ定性的に両者が一致する。 ことなどについて述べた。 終わりにのぞみ,本研究を行なうに当たり種々のご教示,ご激励を 賜った東京大学山田教授,日立製作所日立工場毛利部長,日立製作 所日立研究所田口所長,木村,中戸川両部長に深甚の謝意を表する とともに,直接研究に協力された天野,小斯波両研究員に感謝する。 1 2 3 4 5

-33-参 覚 文 R.N.Hall:Proc.Ⅰ.R.E.,40,1512(1952) R.H.Kingston:Proc.Ⅰ.R.E.,42,829(1954) H.J.Kuno:Ⅰ.E.E.EリTrans ED-】】,8(1964) Somos:Comm.and Electronics,No.54,162(1961) 天野,小斯波:電気学会誌(印刷中)

参照

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