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分子系統解析によるSirt1の機能解明

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2015-BIO-41 No.1 2015/3/20. 分子系統解析による Sirt1 の機能解明 坂本達真 北海道大学大学院. 情報科学研究科. 生命人間情報科学専攻. 3.2.. 1. 背景. 情報生物学研究室. ドメインの特定. Window 解析の結果をもとに選択的進化があった領域に. 近年、サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子として解析が進. おける機能を特定するため、PROSITE よりドメインの特定. んでいる。特徴的な機能である寿命伸長効果だけでなく、. を行った。. 血糖値の上昇を防ぐ効果から糖尿病治療に対しての有用性. 3.3.. が示唆されている。. ネットワーク解析. STRING より、Sir2 が相互作用する遺伝子を特定するた. 酵母が有する Sir2 は、哺乳類が有する Sirt1 と最も強い. めにネットワーク解析を行った。. 配列類似度を示す。サーチュインは NAD(ニコチンアミド アデニンジヌクレオチド)依存性脱アセチル化酵素として も働く。NAD とは全真核生物と多くの古細菌・真正細菌で. 4. 結果と考察. 用いられる電子伝達系であり、これは脱水素酵素の補酵素. 4.1.. としても機能する。電子伝達系は酸化型である電子受容体 と、還元型である電子供与体の2つを言うが、NAD は酸化. Sir2 の進化において正の淘汰が見受けられた. 塩基配列を用いた進化系統樹より得られた枝長をもとに、 遺伝子ごとで枝長の平均値を算出した。. 型を指す。また、サーチュインファミリーには Sir2、Sirt1 ~Sirt7 がある。カロリー制限、絶食時に活性化する。 Sir2 については rRNA 遺伝子を介した反応経路が発見さ れる[1]など解析が進んでいるものの、Sirt1 では反応経路や 機能については未解明である。現在、この2つの配列類似 性に着目して、Sir2 の機能解明を目的とした多くの研究が 行われている。. 2. 研究の目的 本研究の目的は、強い配列類似性を示す Sir2 との比較に より、Sirt1 の機能解明とする。. 3. 材料・方法 3.1.. Sir2、Sirt1 配列の取得. NCBI より Plasmodium falciparum, Saccharomyces castellii, K.lactis, Candida dubliniensis, Candida albicans, Sporothrix schenckii,. Leishmania. infantum,. Leishmania. braziliensis,. Emiliania huxleyi の生物種について Sir2 の塩基配列を、 Homo sapience, Macaca mulatta, Sus scrofa, Bos taurus, Felis catus, Mus musculus の生物種について Sirt1 の塩基配列を取 得した。アライメントには ClustalX2 を、系統樹作成には NJ 法を使用し、Bootstrap 値を 1000 回とした。また、Window 解析には JCoDA[2]を使用した。. ⓒ 2015 Information Processing Society of Japan. 図 1. Sir2、Sirt1 塩基配列を用いた進化系統樹. Sir2 で 最 も 平 均 値 に 近 い 枝 長 を 示 し た Leishmania infuntum と Sirt1 の哺乳類群とで Window 解析を行った結 果、主に 4 領域で選択的進化が見受けられた。. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2015-BIO-41 No.1 2015/3/20. ミン酸脱水素酵素はアンモニアとα-ケトグルタル酸から グルタミン酸を合成する過程の酵素である。また、グルタ ミン酸とアンモニアを結合させ、グルタミンを合成する過 程で、グルタミン合成酵素が作用する。さらに、動物の肝 臓では、同過程から尿素合成も行う。ここで作用する酵素 がグルタミナーゼである。動物ではグルタミン合成、尿素 合成の過程で、NAD⁺も増加することがわかった。この過程 において、Ferredoxin は触媒としての役割を有しており、こ れに対してグルタミン酸脱水素酵素が依存していることが わかった[3]。 ここで、膵臓における Sirt1 は肝臓で増加した NAD⁺によ り活性化し、インスリン分泌シグナルを出す。その結果、 生体の血糖の抑制を促す[4]。また、平衡定数はグルタミン や尿素を生合成する側に偏っている。 結果として、Sirt1 により動物にとって害であるアンモ 図 2. Leishmania infuntum と Sirt1 の Window 解析の結果. ニアとα-ケトグルタル酸からグルタミンや尿素を合成す る機能の獲得によるアンモニアの無毒化や、膵臓のランゲ. 4.2.. 3 領域におけるドメインを特定. PROSITE より、選択的進化が見られた 4 領域のドメイン. ルハンス島β細胞におけるインスリン分泌機能の獲得によ る血糖の抑制効果を獲得したことが示唆された。. を 調 べ た 結 果 、 2Fe-2S ferredoxin-type iron-sulfur binding domain, Anaphylatoxin domain, VWFC domain の3つのドメ インのうちのいずれかをそれぞれ有することがわかった。 特に 2Fe-2S ferredoxin-type iron-sulfur binding domain につい ては、ferredoxin の特徴を調べた結果、電子供与体として Sir2 と相互作用があること、アンモニア生成に関係がある ことがわかった。 4.3.. LinJ28.3060 が Ferredoxin に依存することが判明. STRING より、Sir2 がどの遺伝子と強い相互作用関係に 図 4. あるかを調べた結果、グルタミン酸脱水素酵素としての機. Sirt1 の機能モデル. 能を有する LinJ28.3060 が存在した。. 5. 結論 Sirt1 は Sir2 の機能と比較し、肝臓においてはグルタミン 合成から尿素合成、膵臓においてはインスリン分泌シグナ ルへと機能が拡張したことがわかった。結果、害となるア ンモニアの無毒化や膵臓における血統の抑制の機能を獲得 し、酵母、原生生物から脊椎動物への進化に対応してサー チュインも Sir2 から Sirt1 へと進化したといえる。. 参考文献 1) Kimiko Saka et al.: Current Biology 18: 1794-1798(2013). 図 3. Sir2 の相互作用を示すネットワーク図. 2) Steinway et al.: BMC Bioinformatics 11, 284(2010) 3) Hiroshi Yamamoto et al.: J Biol Chem 288: 36328-36337(2013) 4) Kiss G et al.: FASEB J 28: 1682-97(2014). この LinJ28.3060 について調べたところ、グルタミン酸 脱水素酵素としての機能を有することがわかった。ほとん どの生物においてアンモニアとα-ケトグルタル酸からグ ルタミン酸を経てグルタミン合成に至る。ここで、グルタ. ⓒ 2015 Information Processing Society of Japan. 2.

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