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定性的推論とその応用

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(1)

定性的推論とその応用

山口 高平,

溝口 理一郎, 角所

111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 はじめに 定性的推論は,元来状態が時間的に推移する系 の挙動を人聞が理解する過程を模擬する推論方式 であり[

1

],今までに,物理学・医学・経済学等 を対象とした人間の理解プロセス(メンタルモデ fレ)が検討されてきた.また最近では,あいまい な情報下におけるシミュレーショ γ 方式,また, エキスパートシステムにおける常識推論方式とし ての可能性も検討されている. 定性的推論においては,通常の知識処理システ ムと同様,①対象(動的システム)のモデル化, および②対象の挙動を推論する方法, とが問題となる. を定めるこ 本稿では,定性的推論の研究の発展に大きく寄 与したB.

Kuipers [

2

J

[3J および J.

de Kleer

& ]

.

S

.

Brown

[4J のアプローチをもとに, 上記 の問題の基本的な解決法について述べ,メンタル モデルに関連する他のアプローチを紹介し,最後 に工学および経営学への応用について言及する.

2

.

毛デル化 まず図 1 のようなボールの投げ上げ落下運動を 例として,人聞が動的物理システムの挙動を理解 あるいは予測するときの振舞いを考えてみよう. やまぐち おさむ たかひら,みぞぐち りいちろう,かくしょ 大阪大学産業科学研究所 〒 567 茨木市美穂ケ丘 8-1

5

9

8

(20)

,

0'-F

i Y=

0

1

/\一瞬 /i ノ(\_. / ( .. rぞ/\

\、、ベ__-0\

\む\/'\

¥

l

¥

9

b

L

i

Y ¥ 4

トイ

υ 図 1 ボールの投げ上げ落下運動 図 i に関して,物理原理を把握している人間 「最初はボールはある速度で上に投げ上げら れるが,重力が下向きにかかるので,ある高さで 速度が O になり,そこで最高点となる.その後落 下運動が始まり,地面に当たる直前で下向きの速 度が最大になり,パウンドして,運動方向がまた 上向きに変わるが,当たったときに地面にエネル ギーを与えるので,エネルギーが減り,今後のボ ールの最高点は前回の最高点より低くなる… j と 把撮するであろう. この理解過程でわかるように,人聞は物理量に 関して,値を数値レベルではなく o より大きい か小さいかといった定性値レベルでしか捉えてお らず,またその値の変化方向についても,増加か 減少というレベルでしか捉えていない. したがって対象をモデル化する場合,物理量 P については, ①定性値

:

Qval(

P)

o

r

[PJ オペレーションズ・リサーチ

‘'

© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

~境界標 (minf) () v~ (inf)

\~ー①ー/る\③/あ\⑦/

ただし n山 f :マイ十ス無限大 inf: 無限大 図 2 変数 u のとりうる値 ②定性微分値(変化方向) :

Qdir{ P) or dP

という 2 つのプリミティブにより P を表現すれば 良いことになる.以下,この 2 つの表現プリミテ ィプについて詳しく述べる.

2

.

1

定性値 定性的推論では,変数の値は,数値ではなく, 実数軸上の境界標(特徴点, landmark) およびそ の境界標を両端にもって挟まれる区間,という定 性値で表わされる. この境界標は,対象系の状態がそこで変化する 境界値として与えられるものである.たとえば図 1 において,変数として速度 u を考えると,境界 標は 0 と初速度町であり , v は図 2 のように 5 つ の定性値をとることになる. また,最も基本的な実数軸の分割は,境界標が O だけのケースであり,この時,変数 P の定性値 ([PJ あるいは Qval{ P)) は以下のようになる.

[PJ=+ P>O

[PJ=

0

p=o

[PJ=- P<O

これらの定性値には,加算と乗算に 関して,以下のような定性代数が成立

する(1)

衰 1 において, ?は値が不定である ことを示しており,実際の推論では

[+J

,

[OJ

, [一]のすべての値がこ の?に割り当てられ,状態数が爆発す る原因となっている.

2

.

2

定性微分値 表 1 定性代数 [P]*[Q]

〔正司-

0

+

討町一 o

+

? - 0 ー の微分値を定性的に表現する必要がある.これは, 定性微分値 (dP あるいは Qdir{P) )と呼ばれ,以 下のように徴係数の符号で表わすことができる.

dP=+

,

dP=O

,

dP= ー たとえば図 1 で,ボールの上昇区間ではその変 位を表わす変数 Y の定性微分値 dY は+であり, 下降区間では , dY は一,最もボールが上がった 時点では dY は O となる.

2

.

3

定性的微分方程式 対象の挙動を定量的に記述した微分方程式を定 性的記述に変換したものは定性的微分方程式と呼 ばれ,対象の定性的モデルとして,挙動推論に用 いられる.たとえば図 3 の自由落下運動では,定 量的な微分方程式は以下のようになる.ただし, この定性的微分方程式は,以下に説明する挙動推 論における制約条件として機能する. 定量的微分方程式 定性的微分方程式

DY/DT=V

DV/DT=A

A=-9.8

二字

3

.

挙動推論法

dY=V

dV=A

A=const

本章では,図 3 を例にとりながら, 挙動推論法の基本原理,および,遷移 可能な状態が多数生成されるのを防ぐ 刈り込み原理について述べる.

3

.

1

挙動推輸の基本原理 動的システムの挙動を予測するには その値が変化する動向,すなわち変数 図 3 ポールの自由 落下運動 対象モデルとしての定性的微分方程 式の集合および,ある変数の初期値が 与えられると,その値を伝播させて, 他の変数の定性値および定性微分値を 1987 年 9 月号 (21)

5

9

9

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(3)

求めることができる.この手法は伝播解析 (pro­ pagation) と呼ばれる. 図 3 に示したシステムの定性微分方程式におけ る初期値は以下のようになる. 初期値

Y=+

,

V=O

,

A =

-A は定数なので , d-A=O となり , dV=-A およ び A= ーより , dV= ーとなる.また , dY=V お よび V=O より , dY=O となり 3 つの変数の定 性値と定性微分値が求まる.したがって,この対 象の初期状態は

((y, V , A) ,

(+, 0 ,一), (0 ,一, 0))

(

1

)

となる.ただし,第 l 要素は対象に関するすべて の変数,第 2 要素は定性値,第 3 要素は定性微分 値である. さらに,伝播解析は対象のある時点での状態を 把握するための方法であったが,次の状態を把握 するための方法が予測解析 (prediction) であり, 以下の定理が基礎となる. [定性的平均値の定理]

t

:現状態 t' 次状態

[

P

(

t

'

)

J=[P(t)

J

+dP(t)

たとえば(1)の時刻を 0 とすれば,

[Y

(

1

)J=[Y

(O)J+dY (

0

)

=[ +

J

+

[

O

J

=[+J

[V(

1

)J=[V (O)J+dV

(

0

)

=[OJ+[ ー] =[ー]

[

A

(

1

)

J

=

[

A

(

O

)

J

+

d

A

(

O

)

=[ー J+[OJ =[一] というように時刻 1 での各変数の定性値が求めら れる.また,これらの値が時刻 l の初期値とな り,伝播解析により以下のように他の値(この場 合,各変数の定性微分値)が求められる. dY( I) =V(I)=[ ー]

dV

(

1

)

=

A

(

I

)

=

[一] 600 (22)

dA

(

I

)=[OJ

(二.

A=const)

したがって,時刻 1 における状態は

((y ,

V , A) ,(+, 一,一), (一,一, 0)) (2) となる. さらに予測分析により

[Y

(

2

)

J

=

[

Y

(

l

)

J+dY

(

1

)

=[+J+[ ー]

=? (

[

+

J

o

r

[

O

J

o

r

[ー J)

[V

(2)J=[V

(

1

)J+dV

(

1

)

=[一 J+[-J =[一]

[A(2)J=[A(

1

)J+dA(

1

)

=[一 J+[OJ =[一] というように,時刻 2 での各変数の定性値が求め られ,これらの値が時刻 2 の初期値となり,伝播 解析により同様に各変数の定性徴分値が求められ る. dY(2)=V(2)=[ 一] dV(2)=A(2)=[ 一]

dA(2)

=

[

O

J

(

¥.

A=const)

したがって,時刻 2 における状態は, ((Y , V , A) ,(+,-, 一), (一,-, 0)) (3) ((Y , V , A) , (O , ー,一), (一,ー, 0)) (4) ((Y , V , A) ,( ー,一,一), (一,一, 0))

(

5

)

というように 3 状態が考えられる. ここで注意すべきことは,時間(時刻)の概念 である.すなわち,定性的推論における時聞は絶 対的なものではなく,上述のように,定性的に区 別可能な次状態を求め,それが便宜的に新しい時 刻として定められる.したがって,外部から与え られた絶対的な時刻における状態を求めることは できないのである. 以上のように,伝播解析と予測解析を交互に行 なうことにより,対象の次状態を次々に予測する ことができ,これが挙動推論の基本である.しか しながら,この基本原理だけでは,時刻 2 のよう に状態が分岐してしまうので,無意味な状態は刈 オベレーションズ・リサーチ

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(4)

り込む必要がある.すなわちこの時刻では,

(

4

)

だけを解としたいのである.そこで次節では,形 式的に無意味な状態を刈り込むための原理を考え る.

3

.

2

刈り込み原理 無意味な状態を刈り込むための代表的な 3 つの 原理について述べる. [A. 矛盾回避の原理] 定性的平均値の定理より,次状態の候補が生成 されても,その候補が定性的微分方程式を満足し ない場合は,矛盾しているとして,新しい状態と して認めない. [B. 連続性の公理] 変数は,隣接した定性値(区間あるいは境界標) にしか移行しない.たとえば,ある変数の定性値 が [+J ならば,次状態で即座に[一]の値は採ら ず,必ず [OJ を次状態としてとる. したがって, (5) の状態はこの公理より排除さ れる. [C. 状態変化の先決性順序に関する公理] 境界標から区間への変化の方が,区聞から境界 標への変化よりも先に起こる.したがって,ある 変数値が境界標にある状態(瞬間モード)は,必 ず次に,すべての変数値が区聞になる状態(区間 モード)になる.また,状態が区間モードにある 時に,すべての変数がその区間に留まれば状態更 新がされないことになるので,次状態としては, 少なくとも l つの変数は境界標となり,瞬間モー ドになる. したがって, (3) の状態は, (2) の状態とまった く同じであり,状態が更新されていないため排除 される.

3

.

3

組合せ爆発 図 l のボールの投げ上げ落下運動を例にとり, 定性的推論の推論効率について考察する. すでに明らかのように,この運動は減衰振動で あり,定性的推論でこの運動を処理するには,境 界標を動的に設定する機能が必要である.このよ 1987 年 9 月号 うな機能は,

B

.

Kuipers の定性的推論機構 (QS IM) に備わっている.文献[7]においては,不連 続変化が取り扱える(図 l では衝突)ように QS IM を拡張した定性的推論機構により,この現象 の挙動推論を実験的に確かめた.その結果,ボー ルが 2 回パウンドする時点で, 18通りの状態が生 成された.これは,各パウンドの最高点および衝 突時の速度に関する境界標の大小関係に腰味さが 発生するためである.そこで,定量的な微分方程 式では通常使用される式の他に,背景知識として エネルギ一保存の法則を付加し実験したところ, 状態が正しいもの 1 通りに絞り込まれることが判 明した. 以上のことから, 3.2 で述べた刈り込み原理は 対象が少し複雑になれば効果は薄く,対象のモデ ル化自体が重要な問題であることがわかる.

4

.

メンタル毛デル 前章までに紹介した定性的推論は,定性値は取 り扱っているが,物理パラメータの解釈を基礎に しているため,人間の物理現象を理解するプロセ ス(メンタルモデル)とは異なったものであると いう指摘があり,よりメンタルモデルを重視した アプローチがし、くつか考察されている.

K.

Forbus は,

Q

u

a

l

i

t

a

t

i

v

e

Process Theory

(QP 理論)を提唱している [5J. それは,物理現 象の表現プリミティプ(プロセス)をあらかじめ 指定し,そのプロセスの変化により物理現象の変 化を把握しようとする理論である. QP 理論の表 現能力はかなり高いが,対象およびプロセスの記 述はすべてユーザーに任されており,モデルの構 築が困難である. 一方,

B

.

Chandrasekaran は,物理現象を把 握するための表現(概念)プリミティブおよびそれ らプリミティブ聞の困果連鎖 (causal pattern) を 整理した consolidation 理論を展開している [6J. しかしながら,簡単な電気回路のみを考えて考察 されており,微分の概念が入った少し複雑な物理 (23)

6

0

1

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(5)

センサーの観測値 定性的徴候 イベントの系列 子 il1lJ きれた定性的 イベントの系列 故障仮説の承認拒絶 図 4 システムの概観 現象に対しては効果がないと思われる. そこで筆者らは,粗い推論(概念世界を処理す るモデル)と細かい推論(物理世界を処理するモ デル化=定性的推論)が交互に行なわれることに より物理現象が把握されていくメンタルモデルを 考察し,その妥当性を現在調べているが[7],こ の考察は 3.3 のモデル化の重要性と密接に関連す るものであり,定性的推論の効率改善にも貢献す ると考えている.

5

.

工学への応用 前章までは定性的推論の基礎概念およびメンタ ルモデルについて述べたが,本章ではその工学へ の応用について,

Yung-Choa Pan

[8J と筆者ら [9J のアプローチを示す.

5

.

1

Y. C

.

Pan のアプローチ Y.C.Pan のシステムの概観を図 4 に示す. まず対象はいくつかのサブシステムにより構成 されると仮定し,①においては,センサーの観測 値にもとづき,図 5 に示すような故障発見原理お よび手続き的知識により,故障しているサブシス テムを同定する. ②では,①において決定された故障仮説にもと づき定性的推論を行ない,その故障が起こってい るとすれば,どのような徴候が観測されるかを予 測し,定性的なイベントの系列により表現する.

8

0

2

(24)

正常'"0----0賠償

図 5 故障発見原理の一例 ③では,センサーの観測値を以下の 3 種類の定 性的なイベントにより表現する.

1

.

abrupt symptom event:

センサ}値の瞬間的変化

変化の定性値,発生時間,センサー値

2

.

trend symptom event :

センサー値がある時区間同一方向に変化 変化の定性値を記録

3

.

breakpoint symptom event :

trend symptom

event が,別の trend

symptom

event に変化する瞬間 発生時間,センサー値を記録 以上のように②および③で生成されたイベント 系列を④のモジュールでは以下の方法でマッチン グをとり,マッチングのとれた故障仮説を故障原 因とする. ・定性値→すべての変数の定性値が同じ ・発生時間→タイムスケールが同じ ・センサー値→ loosely-matching Pan は,本アプローチはさまざまな故障診断に 使えると主張しているが,どれだけインプリメン トされているのか不明であり,状態の刈り込み戦 略の言及もほとんどなく実用性には疑わしい点が ある.

5

.

2

筆者らのアプローチ 筆者らは,機械の故障診断において,機械の構 造・機能および物理原理といった基礎的な知識 (深い知識)から診断ルール(浅い知識)を自動生 成するプロセスに定性的推論の技法を応用してい る.すなわち深い知識としては,①対象の構造・ 機能 (DW:Device World) ,②物理原理 (PW:

Physical

World) ,③深い推論(ルールの自動生 成)の制御知識 (CW:Control World) ,④物理状 態を故障仮説および徴候に対応づける知識 (IW: オペレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(6)

Tl+ IW: 経路の断面積が 基準値以下 F 2 A

PW: f=A*V

DW: 冷却水 十ハ

PW:

T2= 二号+Tl CI TEMP メータが 80'C 以上 冷却水の 比熱が基準値以下

IW

|冷却水に混入物がある|

① s: シリンダと X で連結

r

:

X から熱を吸収 図 B 故障仮説の生成例 FSH-2 阻止。口当。 HE) 作 τU4 繭滋川町購鴻了 中川門市 U営け融持南 muouO 殊部罰則溶品町内防司 NJ 『 MV 議「 J 罫 -2

崎山林叫予拍叫し門門ア時片帯雨謎

M70 薄薄川町山川副所斗 NV 蒲 τ

怠苫吋縁部

~HrdWM

部潜九〉柑湘

τ 蘇誹 uq 外品川品川淵 nhu 羽 rd

糠齢斉唱協活討さ漏外(園田

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δ 川市酔即時通 τ パ w 体調濁国令嬢蒲品門前降 BR 帯都斗・ NVAUδlq 貼明。・ 6巾叶川、「込山抑制伺 buofh 円。営以九)ベ吋骨片凡円八 w 「 d 仲 u 戸、パ rdNV ・ 円唱∞吋同相唱泊中 (MU) 国-“ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(7)

ー--J12H

ヌ 1-f ぃ山 UHM 引 ‘ー噂ーー !京 , --1冊 l 格 号 機械告を潟最

L 一一一一一ーー②ーーー

-図 7 企業分析モデル ぽ,動的にモデルを生成している点が大きな特徴 である.図 6 にオーバヒートから,その徴候に関 連した故障仮説を生成する過程を示す.

6

.

経営学への応用 前章では工学への応用について述べたが,本章 では Syntelligence 社の P.

E.

Hart らによる, 資金の流れを言及した Dynamic

Funds Flow

Model にもとづいて, 企業分析を行なうアプロ ーチを紹介する [IOJ. 図 7 にそのモデルを示す が,②の部分に着目すると,以下のように定式化 できる. d( 完成品の価格 )-d( 減価償却) -d( 稼働費 )-d( 原材料費) +d( 生産過程で使用する機械の総価格)

=0

(

6

)

(6) 式は,完成品の価格は,減価償却,稼働 費,原材料費のうち l つでも減少すれば減少し, 生産過程で使用する機械の総価格が減少すれば自

6

0

4

(26) 動化が後退したこととなるため増加すると解釈で きる. また (6) 式は,生産過程で使用する機械の総価 格(固定資産)を増加させると,減価償却および 稼働費が増加すると解釈でき,固定資産の蓄積を 言及した式と見なすことができる. したがってこのアプローチを使えば来期, 設備を増強した L 、」といった経営者の判断を定性 的に評価することが可能となり,経営に関する意 思決定に利用できるのである. P.E.Hart 氏は以 上のように,経済モデルか企業分析に有用である ことを指摘したが,システム構築までには至って いない.

7

.

おわりに 本稿では,定性的推論の基礎概念について述べ るとともに,メンタルモデルを重視したアプロー チを紹介し,工学および経営学への応用について 言及した.定性的推論の研究は,国内でも最近活 オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(8)

発になっているが [1 1]ー [14J ,今後は,あいまい な情報下におけるシミュレータの役割という観点 から,種々の応用事例が報告されるであろう.し かしながら,たとえば振動解析における共振現象 の把握といった細かい数値レベルで解が要求され るケースに対しては,定性的推論の活用は困難で あり,エキスパートシステム構築の成功の鍵が適 切なタスクドメインの選択にあったように r方 向づけに意味がある」ようなタスクドメインの選 択が定性的推論の応用には重要であると考えられ る. 謝辞 本稿を執筆するに当って,筆者のうちひとりが 参加している ICOT , FAIWG(MMP 分科会, 主査:溝口文雄(東京理科大),担当室長:古川康 一)での活動はきわめて有意義でした.ここに記 して感謝します. 参考文献

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6

0

5

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参照

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