90 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号
学位授与の日付学位授与の要件
学位論文題目
論文審査委員
(29) オ ガワ ユ リ コ小.川 百合子 (
博士(医学) 乙第1375号平成5年5月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
若年発症インスリン依存型糖尿病患者における運動負荷後の尿中マイクロア
ルブミン排泄率に関する研究 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 二瓶 宏,宮崎 俊一論文 内 容 の 要 旨
目的 糖尿病性腎症の早期発見に,尿中マイクロアルブミ ン測定の有用性が認められている.若年糖尿病患者に おける糖尿病性腎症のより早期の発見を目的として, 若年発症インスリン依存型糖尿病患者(IDDM)に運動負荷試験を行い,尿中マイクロアルブミン排泄率
(AER)に及ぼす影響を検討した. 対象および方法 糖尿病発症年齢が9~25歳,検査時年齢30歳以下で, かつ,通常の定性法で蛋白尿を認めないIDDM 30名 と,同年四域の健常者15名を対象とした.罹病期間よ りA群(1年未満),B群(1年以上5年未満), C群 (5年以上10年未満)に分け,運動負荷試験を行った.IDDMの3群問には,平均年齢及び検査前6カ月間の
平均HbA、,に有意差はなかった.運動負荷は自転車エルゴメーターで25Wから開始し,3分毎に25Wずつ
強度を上げ,被検者が疲弊するまで行った.運動負荷 前,負荷後5分,30分で採尿し,尿中マイクロアルブ ミンをTIA法で測定し, AER(μg/min)で表現した. 結果 1)健常者のAER(μg/min)は運動負荷前1,9~21.3 で,負荷後5分で3.3~67.9,30分で2.2~33.6であっ た. 2)IDDMの運動前安静時のAERは3.3~35.0で, 3群とも対照に比し有意差はなかった.運動負荷後のAERは, A群は負荷後5分で2.9~19.5,30分で
5.8~32.0,B群では負荷後5分で4.2~69.6,30分で 10.3~65.3と健常者に比し有意差は見られなかった. これに対し,C群では負荷後5分で3.8~316.5,30分で 9.8~113.3と健常者に比べて大きく増加する者が27% にみられた.運動負荷後5分,30分の採尿サンプルの うちAER値の高いもの(max, AER)を比較すると, 罹病期間が長い群で有意に大きかった(p<0.05).検 査前6カ月間平均HbA、、,収縮期血圧,脈拍,酸素摂 取量各々の運動前後の較差と各群max, AERとの問 に明らかな相関関係は認めなかった. 考察 早朝尿のマイクロアルブミンに関して,罹病期間10 年を過ぎたころから上昇する者がみられるようになる と報告されている.本研究では,運動負荷により罹病 期間5年経った時点ですでにAERの増大を認め,さ らに早い時点での腎症の予測ができたといえる. ・運動負荷後のAER上昇因子として,まず,罹病期間 があげられる.血糖コントロールの指標としての HbAlとを検討したが,有意な関係は認めなかった.検討 したHbA1,の値が全体に高値で,検査前6カ月間とい う短期間の平均値であったために有意差がない可能性 があり,AERの上昇に罹病期間が強く関与したことか ら長期間の血糖コントロール不良がさらに拍車をかけ ていることが考えられた. 結論 罹病期間5年以上のIDDMでは腎症予防のため, 個々に応じた運動量,運動強度の検討が必要である. 一696一91