228 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与.の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(90) カワ ゴエ チ エ ミ川越千恵美(昭和
医学博士 乙第1168号平成3年3月15日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
インスリン依存型糖尿病患者における発症年齢と神経合併症との関係 (主査)教授 平田 幸正 (副査)教授 丸山 勝一,野本 照子論 文 内 容 の 要 旨
目的インスリン依存型糖尿病(insuhn dependent
diabetes mellitus;IDDM)の発症年齢と神経合併症と の関係について検討した. 方法 30歳未満発症IDDM患者80名(男25名,女55名,調 査時平均年齢25.3歳,平均罹病期間13.3年)について, 以下の神経機能検査を行い,血糖コントロールの指標 として検査時点のHbA、を測定した. 1.振動覚検査,2.神経伝導速度,3.起立性低血 圧,4.立位時心拍変動化,5.深呼吸時心拍数変動 IDDMの上記の神経機能検査成績と発症年齢,罹病 期間,現在年齢,性差,およびHbA、のそれぞれとの関 係を明らかにするため,1要因分散分析を行い,t検 定,κ2検定を施行した. さらに,神経機能検査成績と,発症年齢および罹病 期間との関係を2要因分散分析を用いて検討した. 結果 1要因分散分析の結果では,発症年齢および罹病期 間は,それぞれ,腓腹神経のSCVの障害程度,起立性 低血圧の陽性頻度においてのみ有意の相関を認めた. 現在年齢は,殆どすべての神経機能検査の障害程度と 有意の相関を示した.性差およびHbA、の検査値への 関与は,認められなかった. 発症年齢と罹病期間についての2要因分散分析の結 果から,殆どすべての神経機能検査の異常は,発症年 齢と罹病期間で有意に説明できることが示された.ま た,発症年齢は,殆どすべての神経機能検査結果に有 意に働き,罹病期間は,振動覚検査,尺骨神経のMCV,腓骨神経のMCV,腓腹神経のSCV,深呼吸時心拍数
変動の検査結果に有意に働いていることが認められ た. さらに,2要因分散分析の結果より,発症年齢と罹 病期間との交互作用が振動覚検査,腓骨神経のMCV, 起立性低血圧,深呼吸時心拍数変動の検査において有 意に認められたことから,発症年齢を思春期前後の13 歳未満と13歳以上に分け,各神経機能検査と罹病期間 』との関係を検討した.その結果,13歳未満発症の IDDMは長期間,神経障害が軽度に留まり,13歳以上発症のIDDMは比較的短期間に神経障害が進展しや
すいことが認められた. 考察 発症年齢は,30歳未満発症のIDDMの神経障害の進 展に,大きな影響を及ぼすことが示された.その原因 としては,13歳未満発症と13歳以上発症の群で神経障 害の進展の程度に有意な差が認められたことから,単 なる血糖コントロールだけでなく,思春期の影響があ るのではないかと推察された. 結論 30歳未満発症のIDDMの神経障害は,現在年齢,発 症年齢が高くなるにつれて,また,罹病期間が長くな るにつれて進展しやすいことが認められた.さらに, 発症年齢の若い群(13歳未満発症)は長期間,神経障 害が軽度に留まり,発症年齢の比較的高い群(13歳以 上発症)は,比較的短期間に神経障害が進展しやすい ことが示された. 一838一229