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非カリエス性椎間板狭少症について

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(1)

(病弊堕醗喧嘩謝

非カリエス性椎間板狭少症について

東京女子医科大学整形外科教室(主任森崎直木教授) 講 師 岡 才力 本モト 幸 づチ 子 コ

(受付昭和32年11月7目)

はじめに

我々整形外科医が日常取扱う骨関節結核のうち しばしば遭遇するのは脊椎カリエスであるが,そ の際X線所見として最も早く出現する重要な症状 は椎間板の狭少といわれている。著者は最近背痛 及び軽度の突背を主訴とし,脊椎カリエスを疑わ れて東京女子医科大学整形外科を訪れ,X線所見 で唯一個の椎間板に高度の民話を認めるにもかか わらず,臨床症状及びその後の経過観察によって, 脊椎カリエスとは考えられない数例を経験した。 患者にとって脊椎カリエスか否かという問題は心 理的にも経済的にもその影響する処が非常に大き いものがあるので,その早期診断には最も慎重を 要し,以下のべる如き非カリエス性の椎間板狭少 症の存在を考慮して,早計に椎間板の狭少のみを もって直ちに脊椎カリエスの初期と断定すること は厳にさけるべきであると思う。 症 例 症例1千○貞○郎24才 ♂ 会社員。 家族歴特記すべきことなし。 既往時 約5年前に乾性肋膜炎にて約3ヵ月間静養 す。当時背痛が1ヵ月位つづき,頭部を前屈位にした 時痙痛が増加した。しかし脊椎カリエスの診断をうけ たことはない。 発病経過 昭和28年11月,肺結核に罹り受診中たま たま胸椎部の異常突出に気付かれ当科を訪れた。自覚 症状全くなし。 来院時所見 疹痛は全くなく,時々肩が張る程 度という。体格栄養共にやや悪くやせている。脊柱 は軽度の円背を呈し,第VI胸椎の棘状突起が強く 後方に突出していたが,圧痛,叩打痛はない。肇脊 椎濁音は陰性で,腸骨窩に膿瘍もふれず,背筋の異 常緊張とか脊髄症状もみとめなかった。脊柱の運 動は各方向に非常に良く行われ,勿論運動時の疹 痛もない。しかし後方伸展の際には胸椎部の突出 は消:失しなかった。血沈はやや開進し,ツベルクリ ン反応は陽性である。体位変換は容易に行えた。 X線所見は前後像(図1b)で,第VI−V皿胸椎の 椎体が殆んど癒合して椎間々隙がみとめられず, 側面像(図1a)でも両椎体は完全に癒合して一 塊となり,椎間板は全く存在しない。椎弓根,横突 起,肋骨細には異常はみとめられないが,棘状突 起は互に癒合している。脊柱はこの部を頂点とし て強い突具を呈し,かつ癒合椎体は発育が障害き れて梗状に変っている。労脊椎膿瘍の陰影とかそ の他の病的所見もみとめない。 この症例は一応脊椎カリエスの完全に治癒した ものとも推定されるが,既往歴に脊椎カリエスら しい訴えがなく,その上後述の鑑別診断によって. それが否定されるから,非カリエス性の癒合椎 (椎間板僅少の高度なもの)と老えたい。樹脊椎 図ユa b

Sachiko OKAMOTO (Department of Orthopedic Surgery, Tokyo Women’s Medical College) : Na− rrowing of thoracic intervertebraJdisc.

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2 のレントゲントモグラフィーの結果でもカリエス らしい病巣の存在は発見されなかった。 症例2井○幸0 16才 ♀ 学生。 家族歴特記すべきことなし。 既往歴子供の時に脊椎カリエスといわれたことが ある。 発病経過 昭和29年春より背痛ありとくにうつむい て長時間仕事をしたあとや過労後に痙痛が増加する。 某病院にて胸椎カリSスと診断され,入院治療をすす められて来院した。 来院時所見 患者は体格栄養共に大変良好で, 脊椎は正常轡曲を呈し,胸椎部に明かな突背形成 はみとめられない。劣脊椎濁音は陰性で腸骨窩に 膿瘍もふれなかった。脊椎の可動域は正常で前一 後屈運動共非常に円滑に行われ,体位変換も容易 である。棘状突起痛,背筋の異常緊張:或は脊髄症 状の如きものもなく,血沈も充進していない。ツ ベルクリン反応は10才で陽転している。 X線所見は前後像(図2a)で,第VI−VII胸椎 の椎間間隙が非常に長雨で,左側の横突起が互に 癒合し,椎弓虚像は小かつ不明瞭となり,第VI胸 椎棘状突起の欠損もみとめられた。脊柱はこの狭 面部を頂点として軽い右心側轡を示しているが, 肇脊椎膿瘍の陰影はみとめない。側面(像図2b) でも椎間板は非常にせばめられ,椎体の腹背両論 で癒合しているようにみうけられる。しかし椎体 そのものの高さや形状等に異常はなくその他の病 的所見も陰性であった。

・ 図2a

b 症例3 渡○竣0 29才 ♀ 無職。 家族歴 特記すべきことなし。 既往歴 約1年来十二指腸潰瘍にて治療をつづけて いるというQ 発病経過 本年3月頃より胸椎のぼほ法面部にR痛 があり,某医によリザルブロ静脈注射をつづけて15回 懐うけたが思わしくなかった。落痛は内臓疾患の為と 思っていたが1ヵ月位前に脊椎カリエスの初期ではな いかといわれてから落痛が増加したように思うと。時 々発作性に感電したようにピリピリと背骨の辺りが痛 み,同時に肩の緊張感を伴うが2∼3分で消失する。 脊椎カリエスを心配して来院した。 来院時所見体格栄養共に中等度,脊柱は第 W−V−VI胸椎部が軽い左凸側轡を伴う突背を形 成しているが,棘状突起痛はない。背筋のスパス ムスとか脊髄症状,神経根症状もない。脊柱の運動 はとくに前:方屈曲が良好で疹痛もないが,後方伸 展の際に突背はそのまま残存する。劣脊椎濁音は 陰性で腸骨窩に膿瘍もふれない。血沈は正常。ツ ベルクリン反応は15年前に陽転している。 X線所見は前後像(図3a)で,第IV−V胸椎 の椎間間隙が非常にせばめられ右側はほとんど消 失して,上下椎体は大体癒合しているのではない かと思われる。横突起も右側は極く僅かな闇隙を 残して接近し,椎弓露見も小さくとくに第IV胸椎 の右側のそれは僅かに痕跡を残しているにすぎな い。脊柱はこの椎間狭感動を頂点とする左凸側屈 を示し,棘状突起も癒合している。労脊椎膿瘍の 陰影をみとめない。側面像(図3b)でも椎間板 は非常に狭心で,椎体は腹背回縁において完全に 癒合している。しかし椎体そのものの大さ,形状 等には変化なく,その他の病的所見もみとめられ なかった。 症例4 家族歴 中。 既往歴 康。

図3a

b 斎○晴0 26才 ♀ 主婦。 2男児あり,長子は胸椎カリエスにて療養 10才の時腸チフスに罹った以外は生来健

一78一

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つたが,その後きらに腹膜炎を続発約1ヵ月後によう やく治癒した。当時より臥床中時々軽い背痛があり次 第に体位変換時にも六六を覚えるようになり,時には 右側胸部痛,腰痛,あるいは四肢のしびれ感を伴うこ とがあった。 発病後3カ月位で外来を訪れたときの所見は, 脊柱は第V−VI胸椎部に軽い突背があり,棘状突 起痛も存在したが,背部筋肉の異常緊張はなく脊 髄症状,神経根症状等もみとめられなかった。脊 柱の運動は割合に良く行われ,ことに前方屈曲が 非常に容易に行われるが後方伸展の際に突背は完 全に矯正されなかった。しかも運動時疹痛は殆ん どなく,勇脊椎濁音は陰性,腸骨窩膿瘍もふれな い。血沈は1時間値45でやや充進を示したが,ツ ベルクリン反応は陰性である。 X線所見は前後像(図4a)で第IV−V胸椎の 椎間間隙が非常に狭少で椎体は殆んど癒合し,横 突起及び肋骨は接近し,棘状突起も癒合はないが 非常に接近している。その上第IV胸椎の椎弓根毛 は著しく小さくて不鮮明である。側面像(図4b) でも椎間板が明かに狭少で,椎体腹縁が癒合して いるようにみえるが椎体の高さや形状等に殆んど 変化がなく,肇脊椎膿瘍の陰影その他の病的所見 の全く認められない点等は前症例の場合と一致し ている。 婁

図4a

b 症例5 田○ふ○子 22才 ♀ 看護婦。 家族歴特記すべきことなし。 既往歴 特記すべきことなし。 発病経過 昭和28年12月より勤務中殊に立位姿勢を 長くつづけたあとで背痛をおぼえると共に全身倦怠感 が時々あり,ビタミンB,Cの注射を続けたが軽快せ するようになった。内科医により肋間神経痛といわれ ザ]レブロ注射で晶晶はやや軽快したが,脊椎カリエス を疑い発病f寿2ヵ月目に来院した。 来院時所兇 休格栄養共に中等度,脊柱は正常 攣曲を呈し突背形成は明かでなく,第W胸椎部に は棘状突起痛が軽度に存在していたが,背筋のス パスムスとか脊髄症状はみどめられない。脊柱の 運動は各方向に平滑に行われ,ことに前屈運動が 非常に良好に行われて運動時の疹痛もない。勇脊 椎濁音は陰性,腸骨窩に膿瘍をふれない。血沈は1 時聞値6,2時間値21で全身状態も極めてよい。 ツベルクリン反応は欝病6ヵ月前に陽転している が肋膜炎:の既往はない。 X線所見は前後像(図5a)で第皿一IV胸椎間 間隙が正常よりも狭少となり,左横突起及び肋骨 は互に近付き,第IV胸椎の椎弓根像も隣接胸椎よ りは小さい。しかし両面状突起の先端はそれ程近 付いていない。側面像(図5b)でも椎間糎が狭 少でかつ二二腹縁が癒合しているように観察きれ るが椎体の高さ形状等に殆んど変化はなく,破壊 像,炎症病巣の痕跡は勿論膿瘍の陰影もない。 この症例は診断を確実にするために,脊椎のレ ントゲントモグラフィーを撮ってみたが脊椎カリ エスらしい所見は発見されず,3ヵ月,6カ月,. 1年後のX線所見も以前と全く同じであった。 なお背痛を訴える一一年前に撮った胸部レ線写真 でたまたま全く同様の脊椎所見をみることができ た。

図5a

b 症例6稗Q愛0 15才 ♀ 学生。・ 家族歴父が肺結核にて死亡しているほか大したζ 7.q

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4 となし。 夢E往歴 昭和29年11見保健所にて健康診断の際胸部 X線写真撮影の結果,左側肺浸潤と診断され(父死亡 直後),人工気胸,ストマ’イ,パス併用療法を約半年 間うけたことがある。 発病経過肺浸潤に罹息後間もなく背痛ありことに 脊柱を後方に伸展さ巷た際落痛を覚え,かつ局所痛も あったので某病院整形外科を訪問,脊椎のVンFゲン トモグラフィーの結果胸椎カリエスを疑われ入院治療 をすすめられて来院した。患者自身は背痛の発現する 約一年前より脊椎の一・部が突出していることに気付い ていたということである。 来院時所見 体格栄養共に中等度,脈搏呼吸に 異常はないが,胸部の理学的所見は陽性で胸廓変 形もみとめられた。脊柱はやや胸椎後轡が増加,第 V−VI胸椎部は軽度の認証側轡を伴う突背を形成 しているが,二二突起痛は殆んどない。また背筋 の異常緊張とか脊髄症状もみとめない。脊柱の運 動は割合に良くことに前方屈曲が非常に良好で, 後方伸展の際に二二が残存するが,・運動時の疹痛 ばない。勇脊椎濁音は陰性bツベルクリン反応は発 病3ヵ月前に陽転している。血沈Ii 1’時間値9, 2時間値15。X線所見は前後像(図6a)で第V −VI胸椎の椎間間隙が非常に三三で左側は殆んど 癒合し,そのためか同側の横突起及び肋骨は互に 相接し,脊椎はこの狭二部を頂点として軽度の右 凸二二を示しているが,病状突起の癒合はみとめ られない。術第V胸椎の左椎弓四恩は小さくかつ 不鮮明である。労脊椎膿瘍の陰影はみとめない。 側面像(図6b)でも椎間板は狭少で椎体腹縁が 癒合しているが,椎体の高さ形状等に変化はなく, Sdhluss・Platteは極めて鮮明で病的変化はみとめ 韓、癬

鍵’

図6a

鮮騨

㍉。 竃

鳶唯

b られなかった。この症例は肺浸潤治療の為に入院 していたのでその後勘1ケ年にわたり綿密な経過 観察をし得たが,臨床的にもX線所見上にも何等 変化がなかった。 症例7吉○洋26才 ♂ 会社員 家族歴特記すべきことなし。 ・既往歴 昭和29年7月頃結核性中耳炎にてスhvイ 40グラムを使用したことがある。 発病経過 中耳炎に罹患当時より左側背痛があり次 第に増加し時ICは体位変換時にも痛みを伴い,さらに 1年後には左上肢の倦怠感と左下肢のしびれ感を訴え るようになった。胸椎カリエスの疑いで来院した。 来院時所見 体格栄養共に中等度,軽度の右顔 面神経麻痺と0脚がみとめられた。脊柱は正常轡 曲がやや少く,egVlr−V皿胸椎は短弓状亀背を呈し 胸椎後記が下方に延長している。棘状突起痛や劣 脊椎濁音は陰性である。脊柱の運動は割合に良く 行われ,ことに前方屈曲が容易であるが後方伸展 がやや障害され,亀背の矯正も不能である。1血沈 は正常,ツベルクリン反応は陰性。 X線所見は前後像(図7a)では余り明瞭では ないが,側面像(図7b)で第VI−V皿胸椎の椎間 板が平等に狭くなっているほか,病的所見をみと めず,その後前1年間に亘りX線所見の追及をこ ころみたが最初の時と全く変っていない。 症例8 園○博 26才 ♂ 工員。 家族歴 既往歴共に特記すべきことなし。 発病経過 昭和31年12月初旬,自動車事故にて全身 数ヵ所に打撲をうけ入院,腰椎穿刺をうけたが,当時 より腰痛発生背痛もあった。落痛は背骨をうごかした とき感ずる程度という。結核の既往はない。疹痛発生 後約1ヵ月目に来院した。 来院時所見 脊柱は胸椎部の平岸が正常よりも やや増加して軽い右雪雲轡を伴っている。第VI胸 椎部には明かに二二突起痛があるが,脊柱の運動 可動域は正常で,肇脊椎濁音も陰性である。血沈 は正常,ツベルクリン反応は陽性で,全身状態も 良好である。 X線所見は前後像(図8a)で第V正一冊胸椎の 椎間曲隙が狭少で,側面像(図8b)でも椎間板 はたし.かにせまくなっている。しかし彦脊椎膿瘍 の陰影とかその他の病的所見はみとめられない。 この症例ははじめ胸椎カリエスを警戒して硬性コ ルセットを装着させて経過を観察したが,臨床的 にもX線所見上もカリエスらしい変化はみとめら

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れなかった。 症例9戸○幸0 26才 ♀ 教員。 家族歴特記すべきことなし。 既往歴 特記すべきことなし。 発病経過 昭和28年末,右腰部に圧痛がありとくに 上体を前屈させた時漢痛は増強した。約半年後には腰 痛は脊柱の側方屈曲に際しても発現,体位変換も障害 されるようになった。某病院にてX線撮影の結果第)皿 胸椎と第1腰椎の間がせまいといわれ,脊椎カリエス の疑いにてギプス床安静療法を行った。当時両下肢に 放散する神経痛様疹痛があり起立歩行が不能になるこ ともしばしばであった。しかし発熱,血沈の充進はな く,腰痛も安静により軽快してきた。発病約1年後に 来院した。 来院時所見 体格栄養共に良好。脊柱は腰椎前 轡が減少して第)皿胸椎が後方に突出しているのが 目立つた。脊柱の運動性も下部胸椎では制限され ているようであるがたしかに可能で,患者の訴え によれば子供の時から最敬礼ができなかったとい うことである。薯脊椎濁音は陰性。ラセグー症候 は右45度左88度で陽性であるが体位変換は困難で はない。腱反射異常や知覚及び運動障害もなかっ た。血沈は正常,ツベルクリン反応陰性である。 X線所見は前後像(図9a)でeeXII胸椎と第1腰 椎の間がせまく,側面像(図9b)でも椎間板は たしかに二二である。しかし椎体には破壊像や炎 症病巣はみとめず,勿論膿瘍の陰影もない。この症 例は一応脊椎カリエスを疑い椎体穿刺を行ってみ たが特に所見なく,ギプス床,コルセット療法に より四半は軽快消失した。その後唄2年間にわた る経過観察によってもX線所見は最初のときとか わらなかった。 以上述べた著者の症例9例中に大体共通した所

図7a

b

図8a

b 図9a b 見は, 1)年代的には青年層に発生し 2)外傷の既往なく(1例を除いて) 3)臨床症状としては 部位は大体上部から中部胸椎で 軽度の突背をみとめ 脊柱の前屈運動は全く自由に行い得るが後 屈時に突背が残る(図10a, b, c) 4)X線所見では 上部から中部胸椎の椎聞々隙がただ1’カ所 のみ極めて狭少で 椎弓根像の小さく不明瞭なこと 時には横突起や棘状突起の癒合をみとめ 椎体自身の輪廓に変化がなく 膿瘍像をみとめないことである 鑑別診断について 1 脊椎カリエス 前述せる臨床的並びにX難所見上から最も重要な鑑 別診断は脊椎カリエスである。 X線所見で椎間間隙はたしかに狭少ではあるがSc・ hlussplatteの余りにも三ntaktな点や労脊椎膿瘍の陰 81 一一

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6 図10a(突背形成) s b(前屈時) 影のみとめられぬ点,臨床所見として脊柱の運動制限 か殆んどなく,ことに図10bにみられるように前方屈 曲か非常に円滑にf」われる点,さらに発病以来各症例 共に2力年近く経過観察中にもかかわらす臨床症状も St a ’卸、 c(後屈時) X線所見も何等の変化をみとめず,第V例の場合の如 く自覚症状の発伍する約1年前の胸部X線写真(図11) てすでに第皿一IV胸椎の椎間間隙に狭少かみとめられ た例のある点等より,1例を除いてツベルクリン反応 は陽性て申には肋膜炎や肺結核の既往を有するものも あったか,脊椎カリエスとは考えられないのである。 診断を確実にするために椎体穿刺による病理組織学 的検査も必要であるか,患者の苦痛の軽い割合に施術 鳳作の繁雑なことや,局所の侵襲の大きいことを考慮 して第D(例にのみ施行したか,この場合にはとくに病 胸所見はみとめられなかった。また脊椎のレントゲン トモグラフィーも推賞されるか,第1及ひ第V例に行 った粘果ては病巣の存在は確認し得ずカリエスは否定 してよいと考える。 llつきに胸椎部に発生しやすい突宵で青年層に多い 青年性後園Kyphosis adolescentium(Scheuermann) かある。 この場合脊椎は数ヵ所に亘り犯されて円背となり, 後轡は固定して逐には矯正困難となり,X線所見で椎 間間隙の狭少のほかに罹患椎体は襖状で,椎体の上下 縁は波状を帯びしばしばSchmor1の結節を椎体下縁 にみとめること等であるが,このような変化は私の症 例には全くみられなかった。 IH さらに胸椎における椎問軟骨ヘル=アが考えら れる。 一般に胸椎には椎PtR軟骨ヘルニアは非常に稀に発生

一82一

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するものといわれ,それも殆んど下部胸椎間に限られ 上部椎間のヘルニアについての報告は一’寸見当らない ようである。KroJI und Reissが28例のミエ・グラフィ ーで胸椎にみとめられた椎間軟骨ヘルニアを報告して いる。それによると,a)発生原因が外傷又は過激な 労働後に急に激痛を発して発病していること。b)年 令的関係が老年であること,すなわち平均年令が43才 で当然椎間軟骨の退行変性を惹起しうる段階にあるこ と。c)発生部位が胸椎下部殊に第)α一刈胸椎間及び 第刈胸椎と第1腰椎間に圧倒的に多いこと。d)さら に臨床症状として高度の神経痛様疹痛及び脊髄症状を 伴うこと,またこの場合椎間間隙が狭少であるという 記載のないこと等は私の症例とは大いに異るのであ る。ミエ・グラフィーは施行していないが,後方に起 る軟骨ヘルニアを生ずる丈の原因があればそれより以 前に椎体にSchmor1の結節を生じてもよいと考えられ るが全例にてこれをみとめないことは矢張りヘルニア を否定してよいと考える。 図11 (第皿一W胸椎の椎間間隙が狭山) 総括並びに考按(別表a) 以上の9例を総括すると別表の如くになるが, 臨床症状やX線所見から私はむレろ脊椎の先天性 変形を考えたいのである。ことに症例1,2,3の如 く脊椎に他の奇形(棘状突起や横突起の癒合など) の合併しているものではたしかである。先天性の 脊椎変形にも種々あるが,殆んどの症例に椎間板 の癒合又は狭少と軽い論旨を伴うことから先天性 突如Angeborener Gibbusのうちの腹方融合椎 Ventraler Blockwirbe1ではないかと思う。(別 表b) 先天性突背についての報告は本邦では,菊川氏 の5例(1933),三木氏の1例(1935),富金原氏 の1例(1937),河邨氏の1例(1952),内海氏の 1例(1950)がみとめられた。なお今田氏(1955) が5例の先天性脊椎融合症について論述している が,同氏の場合には椎間板の狭少はみとめても突 背の存在については何もふれていないようであ る。その上脊椎の運動制限や運動性疹痛もみとめ られたようである。 腹方融合椎が突背を形成するのは,隣接した2 個乃至数個の椎体の腹方部分が骨性融合を営み, 融合部は発育が妨げられるに反し融合せぬ課方部 分のみ正常の発育をとげる結果で,その融合が正 中面を中心として全く左右同程度でないかぎり多 少にかかわらず側轡を合併している。症例1,2,3, 4,6にはこれがみとめられる。融合せぬ部分には

椎間板は保たれているがValentin und PutsChar の剖検例によると,腹:方の融合部は組織学的に一 塊の大きな線維性軟骨から成り立っていたとい う。私はたまたま肺癌で死亡した患者の剖検に際 して胸椎の椎間々隙の狭少な例を発見した。その X線所見(図12a, b)は第田一IX胸椎の椎間板が 狭少でかつ右側は癒合し,鱗状突起,横突起の癒 合もみとめられた。病理組織学所見は図13a, b の如く腹構部分の骨性連絡と椎間軟骨の萎縮が明 かで軟骨細胞の配列の乱れもみられる。 2個の椎体の間に融合がおこるときは骨核が一 次性に融合する場合と,椎間板に何等かの発育抑 制がおこりその結果骨核が融合する場合とが考え られる。症例1は椎体が完全に骨性融合を営み,そ のため椎体の発育が妨げられて愚状になった揚 合,症例2,3,4,5,6は椎間板の発育抑制から さらに椎体腹部骨核の融合がおこったもの,症例 7,8,9は椎間板の発育抑制のみに止まって骨核 の融合迄に至らなかったものと推定される。すな わち腹方融合椎の不全型と考えられる。症例4, 5,8には軽い棘状突起痛が存在したがこれは一過 性に脊椎過敏症を合併したものと思われる。 また第1例の如く椎体が癒合していわゆる塊状 椎となっている場合にはそれが先天性融合椎か脊 椎カリエスか判定に困難をかんずることがある が,これに対し飯野教授は1.F. Goidalich(Chi. Org. Movil 36,449,1951)の解説を紹介している。

一83一

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8 別表a 非カリエス性椎間 症例 性別1

?

位l i 臨 床 症 状 1 2 3 4 5 6 7 8 9

8

9

24 16

9 129

9

9

9

8

26 22 15 %

81 26

9 1 26 VI−VII B.W. VI−V[1 B.W. IV一・V B.W. IV−V B.W. 皿一][VB.W. VI−VII B.W. VI−VII B.W. V旺一V皿B。W. X皿B.W.一 L,W. 7.1乾性肋膜炎 (一)肺 結 核 脊椎カリエスト (十) 12指腸潰瘍1(+)

腹膜炎i(+)

(一) i (+)

肺結核i㈲

結核性申耳炎 (+) 外 傷 (+) (一) i (+)

既往歴謹賄腋露盤麟蝋善脊陰嚢1翻蟷

突 (一) 背 突背,離離 突 背 (一) 突背,側賛 突 背・ 胸椎後脅 側 轡」 突 背 (一) (一) (一) (一) (一) (.) 後屈制限 (一) (一) (一) (一) (一) (+) (+) (一) (一) (+) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一)

正常 正常

正常 正常 正常 正常 正常

釧慧灘懇1難

勘いし突背全身性疾患の部分的現象とし ての後轡ないし突背 1.真性先天性後薄ないし画廊 病理解剖学的に後轡ないし突背の原因が当該脊椎の 奇形そのものにもとめられる場合 1)一次性先天性後轡ないし突背 いずれも脊椎に奇形を有するもので症例の大多数 が脊椎のほかの部分にも種々の崎形を合併してい る(腰仙移行椎,融合椎,Klipper−Feil症候群, 脊椎三等) a)二方片椎 b)十方融合椎(わたくしの症例の場合) c)椎体裂 d)椎体欠損 e)椎体過少 2)二次性先天性後払ないし突背 主に弓状の全一轡が生後直ちにみとめられるもの 2.仮性先天性後轡ないし突背 後轡ないし天爵の原因が当該椎体そのものにはなく て骨格のほかの部分における奇形ないしは疾患ある いは全身的疾患の部分的現象ないし随伴症状として 理解されるもの 別表b 先天性突背の分類(河邨氏による) 真性先天性後一次性先天性後面ないし突背 それによると先天性融合椎に特異なことは,a)現 在あるいは以前の病巣の痕跡や骨化の異常のない こと。b)椎体が正常の高さをもっており骨梁十 島が一方の椎体から他の椎体に無理なく移ってい ること。c) 他に先天性の異常をしばしば合併し ている。d)その他椎体の辺縁に骨棘や架橋等を みないこと等も先天性のものを思わせる。結核性 のカリエスにおける癒合椎は骨組織のどこかに病 巣がみられ,あるいは膿瘍の陰影の全くみない場 合はまずない。私の症例でも1例から6例までは 椎体癒合のほかに棘状突起,横突起,椎弓橡に異 常がみとめられている。また7例から9例までは 椎間板の狭少以外に何らの異常をみとめないから 完全にカリエスを否定することはできないが,そ の後長期にわたる臨床経過からまずカリエスを否

峯侮 図12a ↓椎間軟骨蜀

b 図13A(弱拡大) 嚢 縁 煙 ..熱 椎 綾 ←馨 馨 面

一84一

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板狭少症(9例)の総括

X

線 所 見

塵其の他欄間嚇突起1横突起

横弓根像

一町の儲柱変形薩翻其の他

其 の 他 !(+) 1(+) 1(’) [(一) (+) (+) i(+) i(+) 1(+) 1 (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) ラセグ ー陽性 消失 狭少 狭少 狭少 狭少 二三 狭少 謡曲 狭少 癒合 欠損 癒合 接近 接近 接近 接近 正常 正常 正常 癒合 接近 正 1 常{椎体完全癒合 突背 IJN・不響町椎体不完蝋合購 小 1椎体不完全癒合 i 倶曖

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正 正 正 常 常1 常i 3 v v ” (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) 椎体変形 (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) (一) 椎体の断層撮影 椎体の断層撮影 椎体の断層撮影

椎体穿刺

図13B(強拡大) 軟 間 軟 骨 の 萎 縮 ←を み と む 定し,腹懸癒合椎の不全型と考えたらどうであろ うか。 結 語 1)東京女子医大整形外科において最近主とし て胸椎の上,中部における先天性と老えられる椎 間板引回の9例を経験した。すなわち耳茸一IV胸 椎が1例,第W−V胸椎が2例,第VI一計胸椎が4 例,第粗一冊胸椎が1例,第湿胸椎と第1腰椎が 1例の計9例。そのうち男子3名,女子6名で, 最:高年令29才,最:低年令15才であった。 2) 臨床症状では突背と脊柱運動制限の欠如 を,X線所見では椎体の融合や椎間板の著しい狭 少をみとめるけれども,椎体の輪廓構造には殆ん ど変化なく,中には棘状突起や横突起の癒合を伴 うものもあった。これらについて主として脊椎カ リエスとの鑑別診断について述べた。 3) その結果非カリエス性の椎間板狭少症の存 在をみとめ,その成因を先天性突背の一因である 腹方融合椎のAbortierende Formと推定した。 稿を終るにあたり終始ご指導を賜った恩師森崎教授 に心よりお礼を申し上げる。 交 献

1) K5hler und Zimmer : Grenzen des .nofmalen und Anftinge des pathologischen im R6ntge−

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2) Myer−Burgdorff, H.:Arch. Kl. Chir. 5T, 182(1935). Schinz, H.R.: Lchrbuch der ROn−

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参照

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