Title
子宮内膜癌からのゴナドトロピン放出因子 (GnRH) 前駆体
産物分泌に関する研究 : プレプロGnRH, プロGnRHならびに
GnRHデカペプチドの検出と同定( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
高木, 敦志
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第439号
Issue Date
2000-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14697
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(本籍) 学位の種頬 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 高 木 敦 志(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 439 号 平成12 年 3 月 24 日 学位規則第4条第1項該当 子宮内腹痛からのゴナドトロピン放出国子(GnRH)前駆体産物分泌に関する 研究:プレプロGnRH.プロGnRHならびにGnRHデカペプチドの検出と同定 (主査)教授 玉 舎 輝
彦
(副査)教授 中 島 茂 教授 佐 治 重 豊 論 文 内 容 の 要 旨 近年,視床下部以外で産生される異所性のGnRHや下垂体外GnRH受容体の存在が明らかになり,下垂体外 でGnRHがオートクリンあるいはパラクリン様に細胞増殖や免疫機能の調節に関与している可能性が指摘されて いる。またGnRHを産生する腫瘍にはGnRH受容体も高頻度に存在している。このGnRH受容体をGnRHアナロ グで活性化すると,アポトーシスが促進し,腫瘍細胞の増殖が抑制される。また,性腺摘出後のホルモン依存 性腫瘍においてGnRHアナログが抗腫瘍作用することからGnRH受容休の活性化は抗腫瘍シグナリングと連係し ていると考えられる。つまり腫瘍の増殖とGnRH受容体の抗増殖シグナリングを考えると,腫瘍内で産生され た`GnRH,は必ずしもGnRHそのもの以外にGnRH前駆体産物などが未熟な状態で分泌され影響している可能 性も考えられる。そこで,本報では手術的に摘出した子宮内膜癌および正常子宮内膜で産生`GnRH'の定量 と同定を, 1)immunoblotting,2)radioimmunoassay(RIA),3)cDNAを基にしたアミノ酸配列の決定を行い, GnRHの前駆体・変異体の存在について検討した。 研究方法 手術的に摘出された子宮内膜癌組織,正常子宮内膜組織のGnRH受容体をあらかじめGnRH受容休mRNAな らびに標識GnRHの結合動態によってスクリーニングし,GnRHおよびGnRH受容体両者陽性標本を使用した。 摘出した組織サンプルより単離された細胞を培養し以下の実験に供した。 1)immunoblotting 上記培養細胞および培養液よりペプチド分画を抽出し,trisine-SDS-PAGEを利用して分子量10KDa以下のペ プチドを分離した。分離したペプチド分画を抗体a(GnRHデカペプチドそのものを認識)および抗体b(プロ GnRHを認識)を用いimmunoblottingを行った。 2)radioimmunoassay 子宮内膜癌細胞培養液中の`GnRH,の定量を抗GnRH抗体(上記抗体a)を用いたRIA法により行った。対 照として,0.1pmolから100pmolまでのGnRHを使用し検量線を得た。 3)`GnRH,のcDNAを基にしたアミノ酸配列の決定 今回用いた子宮内膜癌組織におけるGnRHmRNAの発現をRT-PCR法で確認し,PCR産物の塩基配列をジデ オキシ法を用いた直接塩基配列決定法によって確認した。-41-結 果 抗体aおよび抗体bを用いたimmunoblottingで,今回対象となった12例の子宮内膜癌細胞の培養液中には, それぞれプレプロGnRH,プロGnRH,GnRHデカペプチドに相当する10KDa,7.6KDa,1.1KDaの3種類の ペプチドが検出された。正常了・宮内膜細胞の培養液中にはGnRHデカペプチドに相等する1.1KDaのペプチドの みが検出された。なお子宮頸癌を用いた場合は抗GnRH抗体に反応性を有するペプチドは存在しなかった。一方, 細胞体から抽出したペプチド分画を同様にimmunoblottingで分析したところ,子宮内膜癌および正常子宮内 膜の両者でプレプロGnRH,プロGnRH,GnRHに相等するバンドが検出できた。次に子宮内膜癌細胞培養液 中のGnRH様ペプチド定量をradioimmunoassayで行った。内膜癌細胞より抽出したペプチドは!濃度依存性に [3H]GnRHと抗GnRH抗体との結合を抑制した。また得られた検量線より子宮内膜癌のGnRH様ペプチドの産 生能は40pmol/109細胞であることが推測できた。今回用いた子宮内膜癌組織12例中12例および正常子宮内膜組 織3例中3例でRT-PCR法によりGnRHmRNAの発現が確認された。さらにこのPCR産物の塩基配列をジデオキ シ法を用いた直接塩基配列決定法によって確認したところ子宮内膜癌や正常子宮内膜のG丘RHアミノ酸配列は, GnRHIのそれと一致した。 以上の結果より正常子宮内膜からはGnRHのみが,子宮内膜癌からはGnRHのみならずその成熟過程の中間 産物であるプレプロGnRHおよびプロGnRHも分泌されていることが示唆された。また,視床下部性のGnRHI と異なるアミノ酸配列を呈するGnRHⅢのmRNAが骨髄と腎臓に高頻度に発現していることから末梢組織で産 生されるG正RHはこのGnRHⅡと考えられてきたが,しかし本報で明らかにした様に子宮内膜癌,正常子宮内 膜からのGnRHのアミノ酸配列はGnRHIのそれと一致した。また子宮内膜癌のGIIRH様ペプチドの産生能は約 40pmol/109細胞であった。視床下部に比べ低い産生活性であるが腫瘍塊全体としては相当量の`GnRH,が産 生されていると推測できた。ところで下垂体外の異所性のGnRH受容体をGnRHアナログで刺激すると,よ花Uよuo および£花Uか0でアポトーシスが惹起され,腫瘍の増殖が抑制される。一方,腫瘍が増殖するのはGoRH前駆 体産物がGnRH受容体に結合し,GⅢRH作用をブロックするためと考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者 高木敦志は,子宮内膜癌においてGnRHIに加えて,GnRH前駆体産物であるプレプロGnRH,プ ロGnRHをも分泌することを明らかにした。またこのGnRH前駆体産物がGnRHの腫瘍増殖抑制作用を阻害して いる可能性が示唆された。本研究の成果は子宮内膜癌の増殖の解明やGnRH療法の進展に少なからず寄与できる ものと思われる。 [主論文公表誌] 子宮内膜癌からのゴナドトロピン放出因子(GnRH)前駆体産物分泌に関する研究: プレプロGnRH,プロGnRHならびにGnRHデカペプチドの検出と同定 平成12年3月発行予定 岐阜大医紀 48(2)