個人の多様なライフスタイルに中立な社会制度のあり方
教科・領域教育専攻 生活・健康系(家庭)コース 福 田 裕 子 1 .研究の目的 21世紀のわが国における基本的課題のひとつ として男女共同参画社会の形成がある。 1999年には「男女共同参画社会基本法Jが制 定され、施行されているo この法律によれば、 男女共同参画社会とは 男女が、社会のあらゆ る分野における活動に参画し、共に責任を担う べき社会であるo ところが、これまでの社会に おける制度や慣行が、性別による固定的な役割 分担を反映しているため、個人のライフスタイ ルの選択に対して中立的ではない。 したがって、男女共同参画社会の形成のため には、こうした制度や慣行を改善し、個人のラ イフスタイルに中立なものにする必要があるo 本研究では、現行の税制と年金制度の制約に より、女性の能力を十分に発揮されていない実 態を明らかにするとともに、改善すべき課題を 提案することである。 2. 女性のライフスタイルの変化と就業 第1に、 1955年から 1973年高度経済成長期に は、社会への近代化に伴い、夫がサラリーマン で妻が家事・育児を担う専業主婦という性別役 割 分 業 が 時 代 に 適 合 的 な し く み と し て 定 着 し た。それにともなって専業主婦を優遇する制度 が導入された。 第2に、高度成長が終駕し、低成長へ移行し た 1973年以降、女性雇用者が増加したが、パー 指 導 教 官 渡 遺 贋 二 トで働く主婦は家事と佐事の二重負担を強いら れた。こうして 1990年 代 に な る と わ が 国 で は 「共働き世帯Jの数が「片働き世帯」の数を上 回るようになった。 第3に、 1999年には男女共同参画社会基本法 が制定され、これまでの女性の二重負担を解消 し個人の多様なライフスタイルを認める社会に 向かつて動き始めている。 3.税制及び年金制度の問題点 わが国の税及び年金制度の特徴は、性別役割 分業に基づいた専業主婦世帯を優遇するものと なっている。まず税制面から見てみよう。 1960 年に配偶者控除が創設され、納税者に一定所得 金額以下の配偶者がいる場合、その納税者本人 の税負担を軽減した。この趣旨は、納税者本人 の所得の稼得に対する配偶者の「内助の功J を 認めることである。さらに 1986年の税制改革で は配偶者特別控除が創設された。改革の背景に は、主婦パートの増加があり、主婦パート世帯 の手取額の逆転現象に対応するためである。 次に年金制度について見てみようD 年金にお いても税制と同様、女性を優遇する制度となっ ている。すなわち、 1985年の改革により、その 所得が 130万円未満の主婦は、年金保険料の支 払いが免除されている。ところが、離婚して単 身で働きながら育児や家事を自分で、行っている 女性は、第2号被保険者として自らの保険料を自己負担している。しかもこの負担分の一部は 専業主婦の年金財源にまわされている。また、 同じ専業主婦でも夫が自営業の場合には、自分 が第1号被保険者として負担している。 4. 欧州諸国の制度・政策 諸外国の年金制度を概観すると、わが国と同 様、女性及び配偶者の取り扱いについては各国 でも様々な取り組みがなされている。例えばス ウェーデンでは女性の自立を促進するため、制 度の個人単位化が進められ、遺族年金は廃止さ れた。また、その他の国でも個人が働くことを 促進する政策が実施されているo さらに、オラ ンダでは男女平等を実現するため、政府がコン ビネーションシナリオを提案しているo 女性の みならず男性もパートタイムで働くと共に、男 性も積極的に家事育児を分担するという社会の しくみ、つまり