特集 リハビリテーション栄養管理の現状と展望
日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(4):944-948:2016 図1 欧州臨床栄養代謝学会および米国静脈経腸栄養学会による 成人低栄養症候群の成因別分類案2)低栄養とリハビリテーション栄養管理の考え方
-特にエネルギー必要量に関して-
Malnutrition and rehabilitation nutrition care: focus on energy expenditure西岡心大
Shinta Nishioka 一般社団法人是真会 長崎リハビリテーション病院 栄養管理室 Department of Clinical Nutrition and Food Services, Nagasaki Rehabilitation Hospital 要旨:リハビリテーション(以下、リハと略)病院・施設入院患者では40~ 50%に低栄養が認められ、リハアウトカムに悪 影響を及ぼす。低栄養を認めるリハ対象者には国際生活機能分類(以下、ICFと略)に基づきリハと栄養管理を同時に行う リハ栄養管理の考え方が有効だと考えられる。近年、欧州臨床栄養代謝学会および米国静脈経腸栄養学会により、低栄養 は飢餓関連、慢性疾患関連、急性疾患/外傷関連の3タイプに整理され、栄養摂取不足のみならず炎症反応が低栄養の進 展に寄与していることが明確化された。低栄養を認める場合、これらの成因を評価することは介入戦略の決定や栄養状態 の予後予測に役立つ。一方、リハ栄養管理においては低栄養を認める場合、エネルギー必要量には体細胞成分の回復を考 慮したエネルギー蓄積量を付加する必要がある。今後、代謝栄養学を踏まえた栄養障害と生活機能障害との関連の検証や、 栄養管理とリハを組み合わせる最適な方法論の確立が望まれる。 索引用語:低栄養、リハビリテーション栄養管理、エネルギー必要量 入院患者においては低栄養が多く認められることが知られ ており、中でもリハビリテーション(以下、リハと略)病院・施設 入院患者が最も有症割合が高い1)。低栄養は栄養摂取不足 のみならず急性疾患・外傷や慢性炎症が複合して生じ2)、リ ハ対象者は様々な状況からこれら低栄養の要因に曝露しや すいために低栄養に陥りやすいと考えられる。さらに低栄養は 身体機能や認知機能を悪化させる要因であり3)、機能障害を 助長する。そのため低栄養を合併したリハ対象者に対しては、 生活機能向上を目的としてリハと栄養管理を同時進行させる リハ栄養4)の概念が有効だと考えられる。本稿では、リハ栄養 管理の対象として重要な低栄養の概念の整理と、リハ 栄養管理の考え方、特にエネルギー必要量について概 説する。1.成人における低栄養分類の変遷
近年、成人における低栄養分類は整理が進み、表 現型による分類から成因による分類へと移行してきて いる。従来はマラスムス・クワシオルコルおよびマラス ムス-クワシオルコル型に分類する方法が広く用いられ てきた5)。これは発展途上国で多く見られる小児の低 栄養の分類を応用したものであり、病院などで見受け られる成人低栄養には別の分類法が必要であること が指摘されている6)。1997年、Roubenoffらは加齢・疾患な どによる体重減少や体組成変化を示す用語を整理し、表現 型に応じてwasting、cachexia、sarcopeniaの3つの名称 で表すことを提案した7)。十分にエネルギー・蛋白質を摂取していても、炎症反応によって体細胞量(body cell mass) が低下することなど、現在の低栄養分類の基盤となる概念 が提示された。2009年、Jensenらは成人低栄養を病因別 に整理し、炎症の有無と程度を基にmarasmus、cachexia、 protein-energy undernutrition(PEU)の3つの概念で示
図2 米国栄養士会および米国静脈経腸栄養学会による成人低栄養の成因別特徴8)
図3 欧州臨床栄養代謝学会による低栄養の診断的定義9)
養代謝学会(the European Society for Clinical Nutrition and Metabolism;以 下、ESPENと略)と米国静脈経腸栄養学会 (the American Society for Parenteral and Enteral Nutrition;以下、A.S.P.E.N. と略 )による国 際ガイドライン委 員 会は、 2010年に臨床現場における成人低栄養 症候群の成因別分類法を提案した2)(図 1)。この中で成人低栄養は以下の3タイプ に分類された。炎症反応が存在せず、栄 養摂取不足によって生じる飢餓関連低栄養 (starvation-related malnutrition)、軽 度から中等度の持続的炎症により生じる 慢性疾患関連低栄養(chronic disease-related malnutrition)、そして急性で強 い炎症によって生じる急性疾患または外 傷関連低栄養(acute disease or injury related malnutrition)である。これら3つ の要因は重複して存在していることも多い。 低栄養の成因に焦点を当てているため、栄 養管理の方針を決める際に参考にしやすく、 栄養状態の予後予測にも有用である。
2.成人低栄養の分類と
診断的定義
前 述 のESPEN/A.S.P.E.N.コンセン サスに基づき、臨床現場における低栄 養の診断基準の標準化が試みられてい る。2012年、the Academy of Nutrition and Dietetics(以下、ANDと略)および A.S.P.E.N.は成人低栄養の成因別特徴を まとめ、合同声明として公表した8)(図2)。 これは臨床現場で低栄養を適切に診断・ 介入することを支援する目的で作成された もので、ESPEN/A.S.P.E.N.コンセンサス に基づいてAcute illness or injury(急 性疾患/外傷)、Chronic illness(慢性疾患)、Social or Environmental Circumstances(社会生 活環境)の3タイプに分類している。飢餓関連低栄養につい ては、病院のみでなく在宅を含めた幅広い状況で使用できる 用語であるSocial or Environmental Circumstancesに置 き換えられている。またこれら3タイプの低栄養をさらに非重 症(中等度)低栄養と重度低栄養の2段階に分類し、エネル ギー摂取量、体重減少歴、体脂肪、筋肉量、水分貯留(浮腫、 腹水等)、握力減少の6項目を用いて具体的な判断基準が提 示されている。 一 方、ESPENは2015年 に 低 栄 養 の 診 断 的 定 義 (Diagnostic criteria)を提唱した9)。ここでは妥当性が検証 された栄養スクリーニングツールを用いて栄養リスクを判断さ れ、かつBMIが18.5kg/m2未満か、体重(またはFatty free
mass index [FFMI]: 除脂肪体重[kg]を身長[m]の二乗 で除した指数)減少の程度とBMIが一定基準以下であれば 低栄養と診断することを推奨している(図3)。本邦においてこ の基準をそのまま活用できるかは議論の余地があるが、漠然 と使われがちな「低栄養」の定義を明確にした意義は大きい。 AND/A.S.P.E.N.による低栄養分類、ESPENによる低栄養
診断的定義のいずれにおいても栄養摂取不足のみならず炎 症反応が低栄養の要因として重要視されている。しかし炎症 の有無を判断する最適な指標やカットオフ値を定めることは容 易ではなく、今後の課題だと考えられている8)9)。
3.リハ対象者における低栄養と帰結
リハ対象者は栄養摂取不足や炎症により低栄養を生じるこ とが多い。Kaiserらの報告によると、リハ病院・施設入所者 の50.5%が低栄養であった1)。本邦の回復期リハ病棟の主要 な対象疾患である脳卒中、大腿骨骨折、廃用症候群患者に おいてはそれぞれ6.1-62%10)、13-55%11)、88%12)に低栄養が 認められる。回復期リハ病棟全体では高齢者のうち43.5%に 栄養障害が認められる13)。このようにリハ対象者に低栄養が 広く認められる背景には、①ほぼ全ての患者が急性疾患罹 患後の状態にあること②高齢者が多く慢性疾患合併例が少 なくないこと③病前から、または急性期治療中に栄養摂取不 足に陥るリスクが高いこと④回復期リハ病棟での栄養管理が 不十分な可能性があること、などリハ対象者に共通する背景 が関連していると考えられている。 リハを必要とする対象者が低栄養を合併するとリハアウトカ ムが悪化する。飢餓により身体機能や精神機能が悪化するこ とは古くから知られているが3)、疾患・傷病などにより心身機 能が障害された場合でも、低栄養が重複することで機能障害 や活動制限はさらに助長される。脳卒中に関しては、大規模 多施設介入研究(FOOD trial)の二次解析において発症時 の低栄養が6ヶ月後の死亡リスクのみならず要介護状態となる リスク増加とも関連していることが示されている14)。同様に、脳 卒中発症1週間時点での低栄養(血清アルブミン値3.5g/dL未 満または上腕三頭筋部皮下脂肪厚・上腕筋囲が10パーセン タイル未満)は1ヶ月後の死亡および日常生活動作(Activities of Daily Living;以下、ADLと略)低値の独立した危険因 子であること15)、発症時の栄養指標(Geriatric NutritionalRisk Index;以下、GNRIと略)がリハ実施期間中のADLの
改善度と独立して関していることが報告されている16)。亜急性
期・回復期についても低栄養がアウトカムを悪化させるという 複数の報告がある。リハ目的で入院した患者489名を対象とし た研究では、Mini Nutritional Assessment(以下、MNA®
と略)により低栄養を認めた患者は非低栄養患者と比較して 有意に在院日数が長いことが報告されている17)。本邦回復期 リハ病棟においても、GNRIにより判断した栄養障害の程度 は、回復期退院時のADLと在宅復帰を阻害する危険因子 であった13)。また、大腿骨骨折患者においてもMNA®のスコ アが6ヶ月後の歩行能力を予測する18)。つまり低栄養はリハア ウトカムの予測因子と考えられ、妥当性のあるスクリーニング ツールを用いて早期にリハ対象者の低栄養リスクを同定する ことは極めて重要である。 さらに低栄養のあるリハ対象者への栄養介入はリハアウ トカムを改善させる可能性がある。リハ病院において、低 栄養を有する脳卒中患者に2kcal/1mLタイプの経口補助 食品(720kcal、蛋白質33g/日)を提供した介入研究では、 1kcal/1mLタイプ(360kcal、蛋白質15g/日)を提供した群と 比較して、ADL指標や歩行距離が有意に改善した18)。本邦 ではYoshimuraらが回復期リハ病棟入院中の低筋量患者に 対しレジスタンストレーニング直後に分岐鎖アミノ酸2500mgと ビタミンD12.5μgを含む栄養補助食品を摂取させると、レジス タンストレーニング単独群と比較して身体計測値とADL指標 が改善することを報告している19)。また、回復期リハ病棟入院 中の脳卒中患者を対象とした観察研究においても栄養状態 の改善とADLの改善がパラレルに関連していることが示され ている。例えば、リハ栄養チーム介入症例において、入院中 のGNRI増加はADL指標であるFunctional Independence Measure(以下、FIMと略)効率(1日当たりのFIMの変化 量)の独立した説明因子である20)。我々の検討でもMNA®- Short Formで低栄養と判断された脳卒中患者において、退
院時の栄養状態をMNA®-Short Formにより判定し、低栄
養・リスクあり・良好に分類すると、FIM利得(入退院時の FIMの差)とFIM効率は低栄養、リスクあり、良好の順に高値 を示した。さらにMNA®-Short Formの下位項目を用いた多 変量解析では、退院前3ヶ月間の体重減少の程度が大きいほ どFIM効率、FIM利得は低い21)。つまり、低栄養を有するリ ハ対象者に積極的な栄養介入を実施することで、栄養状態 のみならず身体機能やADLを改善させる可能性がある。脳 卒中患者に対する栄養介入のメタ解析では、栄養補助食品 の摂取は死亡や機能的自立度など重要なアウトカムとは関連 しないとされたが22)、解析対象となった論文に低栄養患者の みを対象としたランダム化比較試験が少なく、著者らはルーチ ンでの経口補助食品摂取は「低栄養患者、そしておそらくは 低栄養リスク患者を除き」推奨できない、と結論づけている22)。 低栄養やサルコペニア患者など、リハ栄養介入の効果が高 いと思われる患者を対象としたランダム化比較試験のさらなる 実施が望まれる。
4.リハ栄養管理の考え方
リハ栄養とは「栄養状態も含めて国際生活機能分類 (International Classification of Functioning, Disabilityand Health)で評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、 活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うこと」と 定義されている4)。リハ栄養の実践とは、すなわちリハ栄養ア セスメント、リハ栄養プランニング、リハ栄養モニタリングを繰り 返すことである。 リハ栄養アセスメントにおいては、低栄養、サルコペニア、 摂食嚥下障害の有無や原因、現在の栄養状態と予後予測、
機能改善を目的としたリハが可能かどうかを評価することが 勧められる。低栄養を認める場合、その原因(栄養摂取不足・ 慢性疾患・急性疾患)の評価が重要である。これらの原因は 重複して生じていることも多いため、病歴や栄養摂取歴、身 体所見等から適切な評価を行う。原因の評価に加えて、現 在の栄養管理が適切かどうかを判断することで栄養状態の 予後予測が成り立つ。例えば、侵襲による低栄養が生じてい る場合、必要十分な栄養管理を実施しても治療が奏功せず (あるいは治療抵抗性で)侵襲が持続する場合は栄養状態 が改善することはない2)。逆に、単純な栄養摂取不足により生 じた低栄養は栄養管理を十分に行わなければ改善できない。 また、特定の栄養素の消化・吸収・代謝が障害されていな いか、マクロ・ミクロ栄養素の欠乏・過剰やインバランスが生 じていないかの評価は重要である。これら詳細な栄養アセス メントは管理栄養士が専門性を発揮すべき領域だと考える。 栄養状態の予後予測に基づいて、栄養管理のSMARTな ゴールを設定する。SMARTとは具体的(Specific:S)、測定 可能(Measurable:M)、達成可能(Achievable:A)、介入と 関連性がある(Related:R)、期間が定められている(Time-bound:T)、の頭文字を取ったもので、リハ栄養管理により目標 を達成したかどうかを明確に評価できる。例えば「1ヶ月で体 重を3kg増加させる」「2ヶ月で経管栄養からコード4相当の嚥 下食を3食経口摂取へと移行する」などがSMARTな目標の 例である。ただし、体重や栄養管理法はあくまでも対象者が 望ましい生活を送るための中間目標である。最終目標は数値 の改善ではなく、患者の望む生活の実現であることを忘れて はならない。
5.リハ栄養管理におけるエネルギー必要量の設定
リハ栄養アセスメントに基づきゴールを設定したら、次に栄 養必要量の算出や栄養ルートの選択、(非経口栄養の場合) 処方設計や投与速度の設定を行う。ここでは主に栄養必要 量、特にエネルギー必要量の設定について述べる。 エネルギー必要量の算出方法には基礎消費エネルギー量 (Basal Energy Expenditure;以下、BEEと略)または安 静時消費エネルギー量(Resting Energy Expenditure;以 下、REEと略)を推測し、活動因子と侵襲因子を乗じて総エ ネルギー消費量(Total Energy Expenditure;以下、TEE と略)を必要栄養量とする方法が用いられる。BEEの算出に はHarris-Benedictの式や簡易式が用いられ、REEの推測 には間接熱量計を使用する。これらの方法は回復期リハ病 棟など集中的リハを実施する状況ではいくつかの課題がある。 1点目は、リハ対象者において活動量の増大や変化が大き いことである。TEEは安静時代謝量、食事誘発性熱産生、お よび身体活動による消費エネルギーなどから構成されるが23)、 この中で身体活動による消費エネルギーが最も変動しやす い。一般的に使用されている活動因子はベッド外1.2、ベッド 外1.3とされているが24)、健常人の場合、活動因子に相当するphysical activity level(PAL)は、30~75分/日の運動下
で1.4、100~180分の運動下では1.6に相当する23)。回復期リ ハ病棟では1日の訓練単位数上限は180分であることを考慮 すると、訓練内容に個人差があることを考慮しても活動因子 1.2~1.3ではTEEを過小評価する恐れがある。さらに回復期 リハ病棟では訓練時間以外にもADL拡大のために看護師・ 介護福祉士等による練習や自主訓練を実施することが多く、 経時的に活動量が増加するのでエネルギー消費量と推定必 要量との乖離は大きくなる。実際、体重を維持するために必 要な活動係数はやせ1.7、標準体重1.4、肥満者で1.2という報 告がある25)。 2点目は、TEEをそのまま栄養必要量とすることの問題で ある。摂取したエネルギーが正常に消化・吸収・代謝され、 TEEと同等であれば、エネルギー出納はプラスマイナス0とな り、理論上体重は維持される。しかし低栄養を生じて体細胞 量が減少した患者では、エネルギー出納が正となるように栄 養必要量を設定しなければ体細胞量の回復は見込めない。 リハ栄養では体細胞量回復のためにTEEにエネルギー蓄積 量を付加することを推奨している26)。一般的に体重1kgあたり の貯蔵エネルギーは7,000kcalとされているので、目標体重と 現体重との差から目標エネルギー蓄積量を算出し、目標達成 までの日数で除することで1日当たりのエネルギー蓄積量が算 出できる。例えば、体重1kgを1ヶ月で増加させるために必要 な蓄積量はおよそ200kcalとなる。しかし、栄養素の摂取から 代謝に至るまでには誤差が生じる様々な要因があり、また高 齢者では体重の増加に8,800~22,500kcalを要するとの報告 もあるように27)、計算通りに体重が増加しないことが多い。モ ニタリングによって栄養提供量を調整することは不可欠である。
6.リハ栄養管理の今後の展望
リハ栄養の概念が若林により提案されて以来、リハ栄養と いう言葉は全国的に普及した。しかしながらその具体的実践 や効果の検証に関しては未だ課題が山積している。管理栄 養士の視点から今後の展望を考察したい。リハ栄養を端的 に表現すれば「リハを考慮した栄養管理」と「栄養管理を考 慮したリハ」の融合であり、多職種によるアプローチが不可欠 となる。リハ専門職の栄養への関心は高まっているが、同時 に管理栄養士もリハに関心を持ち、リハの概念を正しく理解 する必要がある。リハには狭義と広義の意味があり、一般的 に想像される「理学療法士等が行う歩行訓練」は狭義のリハ である。広義のリハの定義としては、世界保健機関が1982 年に提唱した以下の文言が知られている。「リハは能力低下 やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するため のあらゆる手段を含んでいる。リハは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会統合を促す ために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。 そして、障害者自身、家族、そして彼らの住んでいる地域社 会が、リハに関係するサービスの計画と実行に関わり合わな ければならない。」つまり、活動量の増加を栄養必要量に反映 させるのみではなく、障害者の社会復帰を支援するために栄 養管理を行うことこそがリハ栄養の本来の意義と解釈できる。 リハ栄養を実践する栄養専門家は、障害を持つ対象者を全 人的に評価するためICFの概念を理解し、身体機能だけでな くADLや社会参加をアウトカムとした栄養介入のあり方を検 討する必要がある。また、どのような栄養素や栄養組成、栄 養摂取のタイミングがリハアウトカムの改善に有用かについて も重要課題である。スポーツ栄養分野では、糖質、脂質、蛋 白質の摂取量・タイミングがパフォーマンスに与える影響につ いての研究が少なくない28)。しかし、リハ栄養の対象者は代 謝異常や機能障害を有する高齢者・障害者であり、スポーツ 栄養の知見がそのまま当てはまらない可能性が高い。管理栄 養士は多職種によるリハ栄養チームの一員として、栄養学的 側面からリハ対象者に最適な栄養評価・栄養介入・栄養モ ニタリングの方法論の確立や実践に寄与することが望まれる。 本論文に関する著者の利益相反なし 引用文献
1) Kaiser MJ, Bauer JM, Rämsch C, et al. Frequency of malnutrition in older adults: a multinational perspective using the mini nutritional assessment. J Am Geriatr Soc 58: 1734-1738, 2010.
2) Jensen GL, Mirtallo J, Compher C, et al. Adult starvation and disease-related malnutrition: A proposal for etiology-based diagnosis in the clinical practice setting from the international consensus guideline committee. J Parenter Enter Nutr 34: 156-159, 2010.
3) Kalm LM, Semba RD. They starved so that others be better fed: remembering Ancel Keys and the Minnesota experiment. J Nutr 135: 1347-1352, 2005.
4) Wakabayashi H, Sakuma K. Rehabilitation nutrition for sarcopenia with disability: a combination of both rehabilitation and nutrition care management. J Cachexia Sarcopenia Muscle 5: 269-277, 2014.
5) 宮田剛.栄養不良と生理機能.日本静脈経腸栄養学会編.静脈 経腸栄養ハンドブック.南江堂,東京,2011,p94-101.
6) Jensen GL, Bistrian B, Roubenoff R, et al. Malnutrition syndromes: A conundrum VS continuum. J Parenter Enter Nutr 33: 710-716, 2009.
7) Roubenof f R , Hey ms f ield S B , Kehay ia s JJ, et a l . Standardization of nomenclature of body composition. Am J Clin Nutr 66: 192-196, 1997.
8) White J V, Guenter P, Jensen G, et al. Consensus statement: Academy of Nutrition and Dietetics and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition: characteristics recommended for the identification and documentation of adult malnutrition (undernutrition). J Parenter Enter Nutr 36: 275-283, 2012.
9) Cederholm T, Bosaeus I, Barazzoni R, et al. Diagnostic criteria for malnutrition - An ESPEN Consensus Statement. Clin Nutr 34: 335-340, 2015.
10) Foley NC, Salter KL, Robertson J, et al. Which reported estimate of the prevalence of malnutrition after stroke is valid? Stroke 40: e66-e74, 2009.
11) Bell JJ, Bauer JD, Capra S, et al. Concurrent and predictive evaluation of malnutrition diagnostic measures in hip fracture inpatients: a diagnostic accuracy study. Eur J Clin Nutr 68: 358-362, 2014.
12) Wakabayashi H, Sashika H. Malnutrition is associated with poor rehabilitation outcome in elderly inpatients with hospital-associated deconditioning a prospective cohort study. J Rehabil Med 46: 277-282, 2014.
13) 西岡心大,髙山仁子,渡邉美鈴ほか.本邦回復期リハビリテーショ ン病棟入棟患者における栄養障害の実態と高齢脳卒中患者にお ける転帰、ADL帰結との関連.日本静脈経腸栄養学会雑誌 30: 1145-1151,2015.
14) The FOOD Trial Collaboration. Poor nutritional status on admission predicts poor outcomes after stroke: observational data from the FOOD trial. Stroke 34: 1450-1456, 2003. 15) Davalos A, Ricart W, Gonzalez-Huix F, et al. Effect of
malnutrition after acute stroke on clinical outcome. Stroke 27: 1028-1032, 1996.
16) Kokura Y, Maeda K, Wakabayashi H, et al. High nutritional-related risk on admission predicts less improvement of Functional Independence Measure in geriatric stroke patients : A retrospective cohort study. J Stroke Cerebrovasc Dis 25: 1335-1341, 2016.
17) Thomas DR, Zdrowski CD, Wilson MM, et al. Malnutrition in subacute care. Am J Clin Nutr 75: 308-313, 2002.
18) Gumieiro DN, Rafacho BPM, Gonçalves AF, et al. Mini Nutritional Assessment predicts gait status and mortality 6 months after hip fracture. Br J Nutr 109: 1657-1661, 2013. 19) Yoshimura Y, Uchida K, Jeong S, et al. Effects of nutritional
supplements on muscle mass and activities of daily living in elderly rehabilitation patients with decreased muscle mass: a randomized controlled trial. J Nutr Heal Aging 20: 1851-91, 2016. 20) Nii M, Maeda K, Wakabayashi H, et al. Nutritional
Improvement and Energy Intake Are Associated with Functional Recovery in Patients after Cerebrovascular Disorders. J Stroke Cerebrovasc Dis 25: 57-62, 2016. 21) Nishioka S, Wakabayashi H, Nishioka E, et al. Nutritional
improvement correlates with recovery of activities of daily living among malnourished elderly stroke patients in the convalescent stage: A cross-sectional study. J Acad Nutr Diet 116: 837-843, 2016.
22) Geeganage C, Beavan J, Ellender S, Bath P. Interventions for dysphagia and nutritional support in acute and subacute stroke(Review). Cochrane Datebase Syst Rev 10: CD000323, 2012.
23) Butte NF, Caballero B. Energy needs: Assessment and requirements. Edited by Ross C, et al. Modern nutrition in health and disease. 11th edition. Lippincott Williams & Wolters Kluwer business. Baltimore, 2014, p88-101.
24) Long CL, Schaffel N, Geiger JW, et al. Metabolic response to injury and illness: estimation of energy and protein needs from indirect calorimetry and nitrogen balance. J Parenter Enter Nutr 3: 452-456, 1979. 25) 和田彩子,川上途行,堀江温子ほか.脳卒中回復期患者の栄養療 法―活動係数の目安.JJRN 49:S214,2012. 26) 若林秀隆.リハビリテーションと臨床栄養.Jpn J Rehabil Med 48:270-281,2011. 27) Hébuterne X, Bermon S, Schneider SM. Ageing and muscle: the effects of malnutrition, re-nutrition, and physical exercise. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 4: 295-300, 2001. 28) The American Dietetic Association, Dietitians of Canada,
the American College of Sports, Medicine. Position of the American Dietetic Association, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine: Nutrition and Athletic Performance. J Am Diet Assoc 109: 509-527, 2009.