動学的一般均衡モデルによる金融機関行動と海外直 接投資の分析
著者 松村 隆
著者別名 MATSUMURA Takashi
ページ 1‑135
発行年 2018‑03‑24
学位授与番号 32675甲第422号 学位授与年月日 2018‑03‑24
学位名 博士(経済学)
学位授与機関 法政大学 (Hosei University)
URL http://doi.org/10.15002/00014623
法政大学審査学位論文
動学的一般均衡モデルによる
金融機関行動と海外直接投資の分析
松村 隆
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目 次
第 1 章 序 論 ... ... ... 5
1.1 は じめ に ... 5
1.2 本 論 文 の 構 成 ... 8
第 2 章 金 融 機 関 の 自 己 資 本 変 動 が マ ク ロ 経 済 に 及 ぼ す 影 響 ~VAR モ デ ル に よ る 実 証 分 析 ~ ... ... 11
2.1 は じめ に ... 11
2.2 先 行 研 究 の 整 理 と 本 研 究 の 目 的 ... 12
2.3 分 析 の フ レ ー ム ワ ー ク ... 17
2.3.1 分 析 手 法 ... 17
2.3.2 構 築 す る VAR モ デ ル に つ いて ... 18
2.3.3 分 析 デ ー タ ... 19
2.4 分 析 結 果 ... 21
2.5 ま と め... 24
第 3 章 VaR・ 自 己 資 本 比 率 制 約 下 で の 金 融 機 関 行 動 を 内 生 化 し た DSGE モ デ ル ... ... ... 32
3.1 は じめ に ... 32
3.2 閉 鎖 経 済 モ デ ル の 定 式 化 ... 36
3.2.1 閉 鎖 経 済 モ デ ル の 概 要 ... 36
3.2.2 家 計 の 定 式 化 ... 36
3.2.3 金 融 機 関 の 定 式 化 ... 37
3.2.4 中 間 財 生 産 企 業 の 定 式 化 ... 41
3.2.5 資 本 財 生 産 企 業 の 定 式 化 ... 42
3.2.6 小 売 企 業 ( 最 終 財 生 産 企 業 ) の 定 式 化 ... 43
3.2.7 中 央 銀 行 の 定 式 化 ... 45
3.2.8 政 府 の 定 式 化 ... 46
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3.2.9 資 源 制 約 の 定 式 化 ... 47
3.3 閉 鎖 経 済 モ デ ル に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 析... 47
3.3.1 パ ラ メー タ の 設 定 ... 48
3.3.2 IRF に よ る モ デ ル の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 析 ... 49
3.4 開 放 経 済 モ デ ル の 定 式 化 ... 53
3.4.1 開 放 経 済 モ デ ル の 概 要 ... 53
3.4.2 家 計 の 定 式 化 ... 53
3.4.3 資 源 制 約 、 為 替 市 場 の 定 式 化 ... 55
3.5 開 放 経 済 モ デ ル に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 析... 56
3.5.1 パ ラ メー タ の 設 定 ... 56
3.5.2 IRF に よ る モ デ ル の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 析 ... 57
3.6 ま と め... 60
第 4 章 日 本 の 海 外 直 接 投 資 が マ ク ロ 経 済 に 及 ぼ す 影 響 ~VA R モ デ ル に よ る 実 証 分 析 ~ ... ... 74
4.1 は じめ に ... 74
4.2 先 行 研 究 の 整 理 と 本 研 究 の 目 的 ... 75
4.3 分 析 の フ レ ー ム ワ ー ク ... 78
4.3.1 分 析 手 法 ... 78
4.3.2 構 築 す る VAR モ デ ル に つ いて ... 79
4.3.3 分 析 デ ー タ ... 79
4.4 分 析 結 果 ... 81
4.5 ま と め... 84
第 5 章 海 外 直 接 投 資 を 内 生 化 し た 2 カ 国 DSGE モ デ ル ... 91
5.1 は じめ に ... 91
5.2 先 行 研 究 の 整 理 と 本 研 究 の 目 的 ... 92
5.3 モ デ ル の 定 式 化 ... 94
5.3.1 FDI 市 場 に お ける サ ー チ マッ チン グ モ デ ル の 定 式 化 ... 95
5.3.2 家 計 の 定 式 化 ... 96
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5.3.3 企 業 の 定 式 化 ... 99
5.3.4 Nash 交 渉 問 題 お よ び 資 源 制 約 条 件 の 定 式 化 ... 101
5.3.5 モ デ ル の 方 程 式 体 系 ... 103
5.4 モ デ ル に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョン 分 析 ... 103
5.4.1 パ ラ メー タ の 設 定 ... 103
5.4.2 IRF に よ る モ デ ル の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 析 ... 104
5.5 ま と め... 109
第 6 章 結 論 と 今 後 の 課 題 ... ... 118 参 考 文 献 123
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第 1 章 序 論
1.1 はじ めに
本 論 文 の 目 的 は 、 日 本 経 済 を 分 析 す る に あ た っ て 重 要 と 考 え ら れ る 、 金 融 機 関 行 動 や 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 へ 及 ぼ す 影 響 に つ い て 、 動 学 的 一 般 均 衡 モ デ ル を 用 い て 分 析 す る こ と で あ る 。
現 在 、 日 本 は 人 口 減 少 社 会 に 突 入 し て お り 、 今 後 、 国 内 需 要 の 減 少 が 想 定 され る 。そ の た め 、 日 本 が 経 済 成 長 を 図 る た め に は 、 経 済 の グ ロー バ ル 化 を 一 段 と 進 め 、 海 外 経 済 の 需 要 を 積 極 的 に 取 り 込 ん で 行 く 必 要 が あ る 。
し か し 、 前 者 に つ い て は 、 日 本 が 経 済 の グ ロ ー バ ル 化 を 進 め る こと で 、 海 外 の 経 済 動 向 の 影 響 を 強 く 受 け る よ うに な り 、 更 に 、 金 融 機 関 の 行 動 が グ ロ ー バ ル 化 す る こ と に よ り 、 金 融 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 も 大 き な も の と な っ て し ま う 。 例 え ば 、 2008 年 に 米 国 で 発 生 した リ ー マ ン ショ ッ ク に よ る 世 界 金 融 危 機 は 、 グ ロ ー バ ル な 活 動 を し て い た 欧 米 の 金 融 機 関 の バ ラン ス シ ー ト 調 整 ( 資 産 選 択 行 動 ) 等 を 通 じ て 世 界 中 に 波 及 し 、 日 本 の 金 融 市 場 及 び 実 体 経 済 に も 大 き な 影 響 を 及 ぼ した 。 そ の た め 、 金 融 危 機 以 降 、 銀 行 監 督 規 制 の 在 り 方 が 検 討 さ れ 、 国 際 的 な 規 制 強 化 が 進 め られ てい る 。
こ こで 、 金 融 機 関 の 行 動 を グ ロ ー バ ルに 規 制 し てい る バ ー ゼ ル 合 意 の 変 遷 をみ る と 、1988 年 に 合 意 さ れ た バ ー ゼ ルⅠで 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 の 測 定 方 法 や8%以 上 に す る と い う 自 己 資 本 比 率 の 達 成 す べ き 最 低 水 準 が 設 定 され た こ と に 始 ま り 、2004 年 に は 、 金 融 機 関 が 抱 え る リ スク 計 測 の 精 緻 化 を 定 め た バ ー ゼ ル
Ⅱが 合 意 さ れ た 。 そ し て リ ー マ ン ショ ッ ク 以 降 は 、 バ ー ゼ ル 委 員 会 を 中 心 と し てバ ー ゼ ルⅢに よ る 金 融 規 制 の 強 化 が 進 め られ て い る 。 今 回 の バ ー ゼ ルⅢで は 、 金 融 危 機 の 経 験 を 踏 ま え て 、 自 己 資 本 比 率 規 制 が 厳 格 化 さ れ る 他 、 定 量 的 な 流 動 性 規 制 や 過 大 な リ ス ク テ イ ク を 抑 制 す る た め の レバ レッ ジ 規 制 が 導 入 さ れ 、
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2013 年 か ら 段 階 的 に 実 施 さ れ てい る 。バ ー ゼ ルⅢの 目 的 は 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 規 制 を 強 化 し て 、 危 機 時 の 損 失 吸 収 力 を 高 め る こと で あ り 、 事 実 上 の 所 要 自 己 資 本 比 率 の 引 き 上 げ を 意 味 し て い る と 言 え よ う 。
こ う した 自 己 資 本 比 率 規 制 の 引 き 上 げ に つ い て は 、 金 融 機 関 に リ スク 抑 制 行 動 を 促 す こ と か ら 、 金 融 危 機 等 の マ イナ スの 影 響 を 抑 制 す る こ と が 期 待 さ れ る 。 一 方 で 、 金 融 機 関 に よ る 貸 出 減 少 に よ っ て 、 実 体 経 済 へ の 悪 影 響 も 懸 念 さ れ る 。ま た 、 自 己 資 本 比 率 規 制 と 景 気 変 動 の 関 係 を 見 た 場 合 、 景 気 低 迷 時 に は 金 融 機 関 が 自 己 資 本 比 率 を 確 保 す る た め に 、 分 子 で あ る 自 己 資 本 の 増 加 を 目 的 と し て 貸 出 金 利 を 引 き 上 げ 、 内 部 留 保 を 増 や す 行 動 を 取 っ た り 、 自 己 資 本 比 率 の 分 母 の 大 き な ウ ェ イ ト 占 め る 貸 出 を 抑 制 す る 行 動 を 取 っ た り す る こ と が 考 え られ る 。 こ う した 行 動 は 、 プ ロ シ ク リ カリ テ ィ ( 景 気 循 環 増 幅 効 果 ) を 高 め る 可 能 性 が あ る 。
この 様 に 、 自 己 資 本 比 率 の 引 き 上 げ が プ ラス と マ イナ スの 2 つ の 側 面 を 有 す る 中 で 、 金 融 機 関 に 対 す る 行 動 規 制 が 、 実 体 経 済 に どの 様 な 影 響 を 及 ぼす の か 、 実 証 面 、 理 論 面 か ら の 分 析 が 求 め られ てい る と 言 え よ う 。 そ こで 本 論 文 の 前 半 部 分 で は 、 この 点 に つ い て 分 析 を 行 う 。
次 に 、 後 者 に つ い て 、 即 ち 、 日 本 が 海 外 経 済 の 需 要 を どの 様 に 取 り 込 ん で 行 く の かに つ い て そ の 現 状 を 見 て み る と 、 これ ま で の 貿 易 財 輸 出 に よる 取 り 込 み が 減 少 傾 向 に あ る 一 方 、 海 外 直 接 投 資 の 収 益 受 け 取 り に よ る 取 り 込 み が 増 加 し て い る 。 これ は 、 日 本 が 採 用 し て い た 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ルが 行 き 詰 ま り を 見 せ 、 海 外 直 接 投 資 型 経 済 成 長 モ デ ルへ の シ フ ト が 起 こ っ て い る た め と 考 え られ る 。そ こで 、 本 論 文 の 後 半 部 分 で は 、 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 を 行 う 。
詳 し く 見 て み る と 、 日 本 は これ ま で 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ルで 経 済 発 展 を 遂 げ て き た が 、 新 興 国 に よ る 先 進 国 へ の キ ャッ チ ア ッ プ 等 で 、 こ う し た 成 長 モ デ ル は 行 き 詰 ま り を 見 せ 始 め て い る 。 実 際 、 日 本 の 経 常 収 支 の 動 向 を 見 る と 、2011 年 以 降 は 、 貿 易 収 支 が 赤 字 に 転 じ た 一 方 、 こ れ ま で 積 み 上 げた 対 外 資 産 等 か ら の 利 子 、 配 当 等 に よ る 第 一 次 所 得 収 支 の 黒 字 に よ っ て 経 常 収 支 の 黒 字 を 維 持 し てい る 。 あ ら ゆる も の が 供 給 過 剰 と な る 世 界 で は 、 先 進 国 で あ る 日 本 は 財 の 輸
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出 に よ る 貿 易 収 支 で は なく 、 サ ー ビ ス 輸 出 や 第 一 次 所 得 収 支 で 稼 ぐ こ と が 望 ま し い 形 で あ る と 言 え よ う 。
こ う した 中 で 、 第 一 次 所 得 収 支 の 内 訳 を 見 る と 、 大 き な ウェ イ ト を 占 め て い る の が 、 証 券 投 資 収 益 の 中 の 債 券 利 子 の 受 け 取 り と 、 直 接 投 資 収 益 の 受 け 取 り で あ る 。 前 者 は 、 先 進 国 全 体 で 低 金 利 環 境 下 に あ る 中 で 、そ の 規 模 を 拡 大 し て い く こ と は 難 し い 状 況 に あ る 。 そ の た め 、 海 外 の 経 済 成 長 の 恩 恵 を 受 け や す い 後 者 の 直 接 投 資 収 益 の 受 け 取 り を 拡 大 し て い く こ と が 望 ま れ る 。 即 ち 、 こ れ ま で の 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ルか ら 、 直 接 投 資 を 増 や す こ と で 経 済 成 長 を 図 る 海 外 直 接 投 資 型 経 済 成 長 モ デ ルへ の シ フ ト が 求 め られ てい る と 言 え る 。
実 際 、 米 国 で の ト ラ ン プ 大 統 領 誕 生 に よ っ て 、 米 国 外 か らの 輸 入 の 増 加 が 米 国 の 需 要 及 び 雇 用 を 奪 っ て い る と い うマ イ ナ スの 側 面 に 焦 点 が 当 た り 、 こ う した 外 国 か らの 輸 入 増 を 非 難 す る 動 き が 世 界 中 で 燻 り 始 め てい る 。 その た め 、 日 本 が 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ル で 海 外 経 済 の 需 要 を 一 段 と 取 り 込 ん で い く と い う こ と も 、 難 し い 局 面 に あ る と 言 わ ざ る を 得 な い 。ま た 、 中 島 (2017) も 、ヒ ト 、 モ ノ 、マ ネー 、 エ ネ ル ギー の 供 給 が 増 え る 中 で 、 需 要 が 追 い 付 か ず 過 剰 と な る 世 界 に お い て は 、 これ ま で の 中 国 や ア ジ ア 等 の 新 興 国 に よ る 先 進 国 を 需 要 地 と す る 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ル は 摩 擦 を 生 む と 指 摘 し て い る 。 そ こで 注 目 さ れ る の が 海 外 直 接 投 資 で あ る 。 海 外 直 接 投 資 は 、 投 資 国 が 、 外 国 の 経 済 成 長 の 恩 恵 を 享 受 出 来 る だ けで な く 、 受 入 国 の 雇 用 創 出 、 技 術 移 転 等 、 プ ラ スの 側 面 も 期 待 出 来 る 。
この 様 に 、 従 来 の 輸 出 に よ っ て 海 外 需 要 を 取 り 込 ん で い く 輸 出 主 導 型 経 済 成 長 モ デ ル で は な く 、 海 外 直 接 投 資 の 収 益 受 け 取 り で 海 外 需 要 を 取 り 込 ん で い く 海 外 直 接 投 資 型 経 済 成 長 モ デ ルへ の シ フ ト が 求 め られ てい る 中 で 、 海 外 直 接 投 資 が 日 本 経 済 に 及 ぼ す 影 響 を 、 実 証 面 、 理 論 面 か ら 分 析 す る こと が 求 め られ て い る と 言 え よ う 。
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1.2 本 論 文 の 構 成
以 上 を 踏 ま え て 、 本 論 文 で は 、 金 融 機 関 に 対 す る 行 動 規 制 及 び 、 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か に つ い て 、 実 証 分 析 お よ び 理 論 分 析 を 行 う 。
本 論 文 の 構 成 は 次 の 通 り で あ る 。 第 2 章 、 第 3 章 で は 、1 つ 目 の 目 的 に 基 づ い た 金 融 機 関 の 行 動 規 制 が 実 体 経 済 に 及 ぼす 影 響 に つ い て 分 析 を 行 い 、 第 4 章 、 第 5章 で は 2つ 目 の 目 的 に 基 づ い た 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 を 行 っ てい る 。 そ し て 、 最 後 に 、 第 6 章 で 、 本 論 文 の 主 要 な 結 論 を 総 括 し 、 今 後 の 課 題 を 整 理 し て い る 。
以 下 、 第 2 章 か ら 第 5 章 ま で の 内 容 を 要 約 す る 。
第 2 章 は 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 変 動 が マ ク ロ 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 実 証 分 析 を 行 っ た パ ー ト で あ る 。2008 年 に 発 生 した リ ー マ ン ショ ッ ク に よ る 世 界 金 融 危 機 は 金 融 機 関 の 行 動 に よ っ て 増 幅 さ れ た と い わ れ てい る 。そ う し た 金 融 機 関 の 行 動 を 規 制 す る た め に 進 め られ てい る バ ー ゼ ルⅢの 様 な 自 己 資 本 比 率 規 制 は 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 に 影 響 を 与 え る と 想 定 され る こ と か ら 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 の 変 動 が 実 体 経 済 に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か 、 日 本 経 済 を 中 心 に 分 析 を 行 う 。 ま ず 、1 つ 目 は 、 日 本 に お ける 金 融 機 関 の 行 動 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 、1 カ 国 の 中 で の 波 及 経 路 に 着 目 し た 分 析 で あ る 。 先 行 研 究 で は 、 金 融 政 策 の 実 体 経 済 へ の 波 及 経 路 に 着 目 し た 研 究 が 多 く み ら れ る が 、 本 研 究 で は 、 金 融 規 制 が 金 融 機 関 行 動 を 通 じ て 実 体 経 済 に どの 様 に 波 及 す る の か に 着 目 す る た め 、 金 融 機 関 の バ ラン ス シー ト 変 数 と し て 貸 出 、 公 債 投 資 、 自 己 資 本 の 3 変 数 を 採 用 し 、 実 体 経 済 変 数 で あ る GDP に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か 4 変 数 の 閉 鎖 経 済 VAR ( Vector Autoregression) モ デ ル を 構 築 し て 分 析 す る 。2 つ 目 は 、 自 国 を 日 本 、 外 国 を 米 国 と し て 、 外 国 の 金 融 機 関 の 行 動 が 自 国 の 実 体 経 済 に 及 ぼ す 国 際 的 波 及 効 果 に 着 目 し た 分 析 で あ る 。 先 行 研 究 で は 、 金 融 機 関 が グ ロ ー バ ルに 活 動 す る よ うに なっ た こと で 、 金 融 市 場 の 国 際 連 動 性 が 高 ま り 、 1 カ 国 で 発 生 し た シ ョ ッ ク が 世 界 中 に 波 及 し 易 く な っ て い る こ と を 示 す 研 究 が 多 い 。
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本 研 究 で は 、 米 国 の 金 融 機 関 の 自 己 資 本 変 動 シ ョ ッ ク が 、 米 国 の 実 質 GDP、 日 本 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 、 日 本 の 実 質 GDP に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か 、4 変 数 の 開 放 経 済 VAR モ デ ル を 構 築 し て 分 析 す る 。ま た 、 第 2 章 の 実 証 分 析 は 、 第 3 章 で 構 築 す る 理 論 モ デ ルが ど の 様 な 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る の か を 明 ら かに す る と い う 役 割 も 有 し て い る 。
第 3 章 は 、 第 2 章 と 同 様 の 問 題 意 識 の 下 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 変 動 が マ ク ロ 経 済 に 及 ぼ す 影 響 を 理 論 モ デ ルで 分 析 す る パ ー ト で あ る 。 第 3 章 の 前 半 部 分 で は 、 金 融 機 関 の 行 動 を 規 制 す る 自 己 資 本 比 率 規 制 に よ っ て 影 響 を 受 け る 金 融 機 関 の 行 動 が 、 実 体 経 済 に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か 分 析 す る た め に 、 ル ー カ ス 批 判 を 回 避 し て 政 策 分 析 を 行 う こ と が で き る 動 学 的 確 率 的 一 般 均 衡
(Dynamic Stochastic General Equilibrium ; DSGE) の 枠 組 み の 中 で 、 金 融 機 関 行 動 を 内 生 化 し た 閉 鎖 経 済 DSGE モ デ ル を 構 築 す る 。 特 に 、 本 研 究 で は 、 金 融 機 関 に つ い て は VaR (Value at Risk) 制 約 下 で 資 産 選 択 を 行 う 金 融 機 関 を 組 み 込 ん だ 青 木 ・ 須 藤 (2012) の DS GEモ デ ル を 基 と し て 、 更 に 金 融 機 関 が 自 己 資 本 比 率 制 約 の 下 で 行 動 す る と い う 制 約 を 加 え て 定 式 化 し 、 そ の 他 の 経 済 主 体 に つ い て は 、Gertler and Karadi ( 2011) 等 の 先 行 研 究 を 参 考 に 定 式 化 し て い る 。 そ し て 、 構 築 し た モ デ ル を 用 い て 、 バ ー ゼ ルⅢ の 様 に自 己 資 本 比 率 規 制 が 強 化 さ れ た 場 合 や 、 近 年 確 認 さ れ て い る 国 内 金 融 機 関 の 資 産 構 成 の 変 化 ( 貸 出 ウ ェ イ ト の 低 下 ) が 起 こ っ た 場 合 に 、 各 種 外 生 シ ョ ッ ク が 実 体 経 済 に ど の 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か 、 そ の 波 及 効 果 に つ い て 政 策 分 析 を 行 っ て い る 。
次 に 、 第 3 章 の 後 半 部 分 で は 、 この 閉 鎖 経 済 DSGE モ デ ル を 企 業 が 自 国 で の 販 売 価 格 を 為 替 レ ー ト で 外 貨 換 算 し て 輸 出 価 格 と す る PCP (Producer ’s Currency Price setting ) の 仮 定 に 従 い 、2 カ 国 ( 対 称 ) 開 放 経 済 DSGE モ デ ルへ と 拡 張 し 、 外 国 で 発 生 し た 経 済 シ ョ ッ ク が 自 国 経 済 に どの 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か を 分 析 す る こ と が 可 能 な モ デ ル を 構 築 す る 。 そ し て 、 構 築 し た モ デ ル を 用 い て 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 規 制 の 強 化 に よ っ て 、 外 国 で 発 生 し た 経 済 シ ョ ッ ク の 国 内 経 済 へ の 波 及 効 果 が どの よ うに 変 化 す る の か 、IRF 分 析 を 用 い て シミ ュ レ ー ショ ン 分 析 を 行 う 。
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第 4 章 は 、 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 に 及 ぼす 影 響 に 着 目 し た 実 証 分 析 の パ ー ト で あ る 。 日 本 の 経 済 成 長 の た め に 海 外 直 接 投 資 を 有 効 活 用 す る 必 要 が あ り 、 日 本 経 済 を 分 析 す る 際 に も 海 外 直 接 投 資 を 考 慮 す る こと の 重 要 性 が 高 ま っ てい る 。 し か し 、 先 行 研 究 か ら は 、 海 外 直 接 投 資 が 経 済 成 長 に ど の 様 な 影 響 を 及 ぼ す の か は 、 対 象 国 の 特 性 に よ っ て 異 な る と い う 結 果 が 得 ら れ て い る 。 そ こで 本 研 究 で は 、 日 本 を 対 象 と し て 、 海 外 直 接 投 資 と 経 済 成 長 の 関 係 をVARモ デ ル を 構 築 し て 分 析 す る 。 そ の 際 、 経 済 成 長 と の 関 係 性 を よ り 正 確 に 分 析 す る た め 、 対 外 直 接 投 資 の 実 施 と 解 消 、 対 内 直 接 投 資 の 流 入 と 流 出 と い っ た 海 外 直 接 投 資 の グ ロ スベ ー スの デ ー タ を 用 い て 分 析 を 行 う 。 ま た 、 第 4章 の 実 証 分 析 は 、 第 5章 で 構 築 す る 理 論 モ デ ル が どの 様 な 特 性 を 有 し てい る 必 要 が あ る の か を 明 ら かに す る と い う 役 割 も 有 し て い る 。
第 5章 は 、 第 4 章 と 同 様 の 問 題 意 識 の 下 、 海 外 直 接 投 資 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 を 理 論 モ デ ルで 分 析 す る パ ー ト で あ る 。 本 研 究 で は 、 第 3 章 と 同 様 、 ル ー カ ス 批 判 を 回 避 し て 政 策 分 析 を 行 う こ と が 出 来 るDSGE モ デ ル を 構 築 す る 。 特 に 、 労 働 市 場 の 分 析 等 に 用 い られ る サ ー チ マ ッ チ ン グ モ デ ル を 海 外 直 接 投 資 の 市 場 に 応 用 した Nadeau (2 011) を 基 に し て 拡 張 す る こと で 、2 カ 国 の 相 対 的 経 済 規 模 や 市 場 開 放 度 等 を 組 み 込 ん で モ デ ル を 構 築 す る 。 そ し て 、 構 築 し た モ デ ル を 用 い て 、 海 外 直 接 投 資 市 場 に お ける マ ッ チ ン グ 解 消 率 が 上 昇 し た 場 合 、 各 国 の 市 場 開 放 度 が 上 昇 し た 場 合 、 マ ッ チ ン グ 確 率 の 定 常 状 態 値 が 上 昇 し た 場 合 の そ れ ぞ れ に つ い て 、 生 産 性 上 昇 シ ョ ッ ク に よ る 波 及 効 果 が ど の よ う に 変 化 す る の か 、 IRF に よ る シ ミ ュ レー シ ョ ン 分 析 を 実 施 し す る 。 そ し て 、 海 外 直 接 投 資 に 関 す る ど の 様 な 政 策 が 国 内 総 生 産 の 増 加 に 繋 が る と 考 え られ る の か 考 察 す る 。
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第 2 章 金 融 機 関 の自 己 資 本 変 動 がマクロ経 済 に及 ぼす影 響
~ VAR モデルによる実 証 分 析 ~
2.1 はじ めに
第 1章 で 見 た 様 に 、2008 年 に 米 国 で 発 生 し た リ ー マ ン ショ ッ ク に よ る 世 界 金 融 危 機 は 、 欧 米 の 金 融 機 関 の バ ラ ン ス シ ー ト 調 整 、 資 産 選 択 行 動 等 を 通 じ て 世 界 中 に 波 及 し 、 日 本 の 金 融 市 場 お よび 実 体 経 済 に も 大 き な 影 響 を 及 ぼ した 。
そ の た め 、 金 融 危 機 以 降 、 銀 行 監 督 規 制 の 在 り 方 が 検 討 さ れ 、 国 際 的 な 規 制 強 化 が 進 んで い る が 、 金 融 機 関 の 行 動 規 制 が 実 体 経 済 に どの よ う な 影 響 を 及 ぼす の か 、 ま た 、 外 国 で 発 生 し た 金 融 危 機 の 自 国 へ の 影 響 を 抑 制 出 来 る の か 、 そ の 国 際 的 波 及 効 果 が どれ く ら い なの か 定 量 的 な 分 析 が 求 め ら れ て い る 。
こ う した 問 題 意 識 の 下 、 本 章 で は 、 日 本 に お け る 金 融 機 関 の 行 動 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て の 実 証 分 析 と 、 自 国 を 日 本 、 外 国 を 米 国 と し て 外 国 の 金 融 機 関 の 行 動 が 自 国 の 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い ての 実 証 分 析 を 行 う こ と を 目 的 と す る 。
尚 、 金 融 機 関 の 行 動 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 を 説 明 す る マ ク ロ 経 済 モ デ ル 、 特 に ル ー カ ス 批 判 を 回 避 し て 政 策 分 析 を 行 う こ と が で き る 動 学 的 確 率 的 一 般 均 衡 (Dynamic Stochastic General Equilibrium ; DSGE) の 枠 組 み の 中 で 金 融 機 関 行 動 を 内 生 化 し た 閉 鎖 経 済 DSG Eモ デ ル と 、 国 家 間 の 波 及 効 果 を 分 析 す る こ と が 出 来 る2 カ 国 開 放 経 済 DSGE モ デ ルに つ い て は 第 3 章 で 取 り 上 げ る が 、 こ う したDSGE モ デ ルが どの よ う な 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る の か を 明 ら か に し て お く こと も 本 章 の 目 的 と し て い る 。
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2.2 先 行 研 究 の 整 理 と 本 研 究 の 目 的
次 に 、 この 分 野 に 関 す る 実 証 分 析 を 行 っ て い る 先 行 研 究 に つ い て 3 つ の 視 点 か ら 整 理 す る 。1 つ 目 は 、 金 融 政 策 の 実 体 経 済 へ の 波 及 経 路 に 着 目 す る 中 で 、 金 融 機 関 の 行 動 が 実 体 経 済 に 及 ぼす 影 響 に つ い て 分 析 し た 研 究 で あ る 。 その 中 で も 、 特 に 、 銀 行 の 負 債 と 企 業 へ の 貸 出 の 関 係 を 通 じ た 波 及 メ カ ニ ズム で あ る 貸 出 チ ャ ネ ル 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 と 企 業 へ の 貸 出 の 関 係 に 着 目 し た 波 及 メ カ ニ ズム で あ る 銀 行 資 本 チ ャ ネ ル に 関 す る 研 究 を 取 り 上 げ る1。
古 く は King (1986) が 米 国 の GNP、 商 業 及 び 工 業 貸 出 、 預 金 、 銀 行 貸 出 等 か ら なる VAR (Vector Autoregression) モ デ ル を 用 い た 分 析 を 行 い 、 米 国 の 金 融 政 策 に お い て 銀 行 貸 出 チ ャ ネル の 重 要 性 を 指 摘 し て い る 。 更 に 、
Bernanke and Blinder (1988) は IS-LM モ デ ルの 枠 組 み に 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ル を 取 り 込 ん だ モ デ ル を 構 築 し て 分 析 し て い る 。 そ し て 、Bernanke and Blinder (1992) は 、 米 国 の 短 期 金 利 、 失 業 率 、 消 費 者 物 価 指 数 、 銀 行 の バ ラ ン ス シ ー ト 指 数 ( 預 金 、 有 価 証 券 、 貸 出 ) か ら なる VAR モ デ ル を 用 い た 分 析 を 行 い 、 金 融 政 策 の 波 及 経 路 に お い て 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ルが 重 要 な 経 路 の 1 つ で あ る と 指 摘 し てい る 。 日 本 で は 、 宮 川 ・ 石 原 (1997) が 、 金 融 政 策 を 示 す 変 数 と し ての ハ イ パ ワ ー ドマ ネ ー 、 実 体 経 済 の 動 向 を 示 す 鉱 工 業 生 産 、 銀 行 の バ ラ ン ス シー ト 変 数 で あ る 自 己 資 本 、 金 融 機 関 の 資 産 運 用 行 動 を 表 す 変 数 と し て の 安 全 資 産 / 危 険 資 産 比 率 の 4 変 数 を 用 い た VEC (Vector Error Correction ; ベ ク ト ル 誤 差 修 正) モ デ ル を 企 業 規 模 別 に 構 築 し て い る 。 分 析 の 結 果 、 マ ク ロ 経 済 全 体 で は 、 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ル は 金 融 政 策 の 波 及 経 路 と し て は 認 め ら ない が 、 中 小 企 業 に 関 す る 推 計 で は 、 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ル が 金 融 政 策 の 重 要 な 経 路 の1つ で あ り 、 更 に 、 銀 行 部 門 の 自 己 資 本 に 関 す る 独 自 の シ ョ ッ ク が 短 期 的 に は 生 産 変 動 に 影 響 を 与 え てい る と の 結 果 を 得 て い る 。 ま た 、 小 林 ・ 稲 葉 (2003) は 、 金 融 機 関 の 破 綻 情 報 を 用 い て 金 融 仲 介 機 能 の 低 下 を 表 す 指 標 を 作 成 し 、 その 指 標 を 用 い て
1 レ ビ ュ ー 研 究 も 多 く 行 わ れ て お り 、 例 え ば 、 蓮 井 ・ 小 林 ( 2 0 1 3 ) は 金 融 政 策 の 波 及 メ カ ニ ズ ム を 分 析 し た 研 究 を チ ャ ネ ル 毎 に 整 理 し て 解 説 し て い る 。 ま た 、 熊 本 ・ 卓 ( 2 0 1 6 ) は 、 銀 行 の 貸 出 経 路 に 関 す る 実 証 研 究 を 整 理 し て い る 。
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VAR モ デ ル を 構 築 し 、 金 融 仲 介 機 能 の 低 下 が 実 体 経 済 に 与 え る 影 響 を 分 析 し てい る 。 分 析 の 結 果 、 金 融 仲 介 機 能 の 悪 化 が 長 期 に わ た っ て 実 体 経 済 に マ イ ナ スの 影 響 を 及 ぼ し た と 指 摘 し て い る 。 原 田 ・ 岡 本 (2004) は 、1980 年 ~2001 年 の デ ー タ を 用 い て 金 融 政 策 変 数 、 民 間 銀 行 貸 出 、GDP 等 か ら な る VAR モ デ ル を 用 い た 分 析 を 行 い 、 金 融 政 策 変 数 が GDP に 及 ぼ す 影 響 が 大 き い と の 結 果 を 示 し て い る 。 更 に 、 林 ・ 勝 浦 (2010) は 、 銀 行 の 資 産 選 択 行 動 が 預 金 制 約 の 下 で 行 わ れ て い る と 考 え 、 銀 行 バ ラ ン ス シ ー ト の 資 産 側 の 変 数 ( 貸 出 金 、 有 価 証 券 ) と 負 債 側 の 変 数 ( 預 金 ) の 両 方 の 変 数 に 、 金 融 政 策 変 数 と 実 体 経 済 変 数 を 加 え た VAR モ デ ル を 構 築 し て 分 析 を 行 い 、ゼ ロ 金 利 政 策 以 前 で は 金 融 政 策 の 銀 行 バ ラ ン ス シ ー ト 変 数 へ の 影 響 が 有 意 で あ った も の の 、ゼ ロ 金 利 政 策 以 後 で は 有 意 で は ない と の 結 果 を 示 し て い る 。 同 様 に 、 本 多 ・ 黒 木 ・ 立 花 (2010) は 、 鉱 工 業 生 産 指 数 、 消 費 者 物 価 指 数 、 金 融 政 策 変 数 、 銀 行 貸 出 の 4 変 数 VAR モ デ ル を 構 築 し て 、 量 的 緩 和 政 策 の 効 果 に つ い て 分 析 を 行 い 、 金 融 緩 和 ショ ッ ク に 対 し て 銀 行 の ポ ー ト フ ォ リ オ リ バ ラ ン ス 効 果 に よ っ て 銀 行 貸 出 が 減 少 す る と の 結 果 を 示 し て い る 。 大 越 (2 011) は 、 金 融 政 策 効 果 の 地 域 間 相 違 を 明 ら かに す る た め 、 金 融 政 策 シ ョ ッ ク が 経 済 活 動 に 与 え る 影 響 に つ い て 、 都 道 府 県 別 に VAR モ デ ル を 構 築 し て 分 析 を 行 っ て い る 。 分 析 の 結 果 、 金 融 引 締 め ショ ッ ク は 各 都 道 府 県 の 銀 行 貸 出 、 生 産 へ 負 の 影 響 を 与 え る こと 、 更 に 、 担 保 価 値 ( 地 価 ) の 上 昇 率 が 低 い 地 域 で は 他 の 地 域 と 比 較 し て 金 利 シ ョ ッ ク が 生 産 へ 与 え る 影 響 が 大 き く な る こ と を 示 し 、 金 融 政 策 の 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ル を 支 持 す る 結 果 を 得 て い る 。 卓 (2014) は 、1999 年 以 降 の 日 本 の 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ルの 有 効 性 を 分 析 す る た め に 、 企 業 規 模 別 の VARモ デ ル を 構 築 し 分 析 を 行 っ て い る 。 分 析 の 結 果 、 量 的 緩 和 政 策 が 実 施 さ れ た 期 間 に お い て 、 日 本 銀 行 の 国 債 買 い 入 れ 額 の 増 加 に よ っ て ポ ー ト フォ リ オ リ バ ラン ス 効 果 が 存 在 し 、 短 期 的 に 銀 行 貸 出 が 減 少 す る と い う 結 果 を 示 し て い る 。 更 に 、 熊 本 ・ 卓 (2016) は 、2000 年 以 降 の 日 本 の 金 融 政 策 の 波 及 経 路 と し て 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ルが 存 在 し てい た か を 、 銀 行 規 模 、 貸 出 先 の 企 業 規 模 を 考 慮 し て VAR モ デ ル を 構 築 し 分 析 を 行 っ て い る 。 そ し て 、 中 小 企 業 の 中 で は 信 用 力 が 高 く 規 模 が 比 較 的 大 き な 企 業 や 、 大 企 業 の 中 で は 銀 行 借 入
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依 存 度 が 高 く 規 模 が 比 較 的 小 さ な 企 業 に 対 し て 、 量 的 金 融 緩 和 政 策 が 銀 行 貸 出 供 給 を 増 加 さ せ 、 実 体 経 済 に 影 響 を 与 え て い る こと を 示 し て い る 。
以 上 を 整 理 す る と 、 日 本 で はゼ ロ 金 利 政 策 導 入 以 前 の 実 証 分 析 で は 、マ ク ロ で 見 た 場 合 で も 金 融 政 策 の 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ル が 機 能 し てい た が 、ゼ ロ 金 利 政 策 導 入 以 後 で は 、 マ ク ロ で 見 た 場 合 の 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ルの 効 果 は 弱 ま り 、 企 業 規 模 別 等 ミ ク ロ な 視 点 で 見 た 場 合 に 銀 行 貸 出 チ ャ ネ ルが 機 能 し て い る 部 分 が あ る と い う こ と が 示 さ れ てい る と 言 え よ う 。い ず れ に せ よ 、 貸 出 行 動 や 資 本 変 化 を 通 じ た 銀 行 の 行 動 が 実 体 経 済 に 影 響 を 及 ぼ し て い る と い う こ と が 言 え る だ ろ う 。
こ こま で は 、 主 に 、マ ク ロ の 視 点 か ら 金 融 機 関 の バ ラ ン ス シー ト 変 数 が 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に 焦 点 を 当 て た 研 究 を み て き た が 、 次 に2つ 目 と し て 、 ミ ク ロ の 視 点 か ら 金 融 機 関 の 資 本 変 化 が 実 体 経 済 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す の か 、 個 別 金 融 機 関 の デ ー タ を 用 い て 、 分 析 し て い る 研 究 に つ い て 整 理 す る 。
ま ず 、デ ー タ 分 析 と し て 、 佐 々 木 (2011) は 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 規 制 で あ る バ ー ゼ ルⅢ に つ い て 、 これ ま で の バ ー ゼ ル 規 制 の 問 題 点 を 振 り 返 り なが ら 展 望 し 、 更 に 1999 年 ~2009 年 ま で の デ ー タ を 用 い て 、 自 己 資 本 比 率 が 銀 行 に ど の 様 に 影 響 を 与 え て い る の かに つ い て 考 察 し て い る 。 分 析 の 結 果 、 貸 出 と 自 己 資 本 比 率 の 関 係 に つ い て は 、 特 に 自 己 資 本 の 中 の Tier1( 普 通 株 、 内 部 留 保 、 優 先 株 ) 比 率 と 貸 出 の 連 動 性 が 僅 か に 見 ら れ る と 指 摘 し て い る 。 次 に 、 実 証 分 析 を 行 っ て い る 研 究 と し て 、Ayuso, Perez, and Saurina (2004) は 、1986 年 ~ 2000 年 の スペ イ ン の 金 融 機 関 の パ ネ ル デ ー タ を 用 い て 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 と 景 気 変 動 の 関 係 を 分 析 し 、 自 己 資 本 比 率 と 景 気 変 動 に 負 の 相 関 関 係 が あ る こと 、 銀 行 セ ク タ ー が プロ シ ク リ カ ル ( 景 気 循 環 増 幅 的 ) な 動 き を し てい た 可 能 性 が あ る こ と 等 を 指 摘 し てい る 。 同 様 の 分 析 を 、 日 本 を 対 象 と し て 行 っ た 研 究 と し て 日 本 銀 行 (2008) が 挙 げ ら れ る 。 日 本 銀 行 (2008) で は 、1989 年 ~2005 年 ま で の デ ー タ を 用 い て 、 特 に 1997 年 ま で の 前 半 期 に か け て 自 己 資 本 バ ッ フ ァ ー と 景 気 変 動 が 逆 方 向 の 連 動 性 を 有 し て い た と の 結 果 を 示 し て い る 。 ま た 、 湯 山 (2014) は 、 日 本 の 1999 年 ~2012 年 の デ ー タ を 用 い て 、Ayuso, Perez, and
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Saurina (2004) の 定 式 化 を 拡 張 し て 、 パ ネ ルデ ー タ 分 析 お よ び シ ス テム GMM (Generalized Method of Moments) に よ る 推 計 を 行 っ て い る 。
整 理 す る と 、1990 年 代 後 半 の デ ー タ を 用 い た 先 行 研 究 の 多 く が プロ シク リ カ リ テ ィ を 指 摘 し て い る の に 対 し 、2000 年 代 の デ ー タ を 中 心 と し た 分 析 で は 、 自 己 資 本 比 率 と 景 気 変 動 の 間 に 全 体 と し て 正 の 相 関 関 係 が あ り 、 銀 行 行 動 と し て カ ウン タ ー シ ク リ カ ル ( 景 気 循 環 抑 制 的 ) な 動 き を し てい た こ と が 指 摘 さ れ てい る 。 つ ま り 、 日 本 に お い て は 、 自 己 資 本 比 率 と 景 気 循 環 の 関 係 は 1990 年 代 ご ろ ま で は プロ シク リ カ ル な 動 き を し て い た が 、2000 年 代 以 降 は カ ウ ン ター シク リ カ ル な 動 き を し て い た と 言 え る 。
最 後 に3 つ 目 と し て 、2008 年 の リ ー マ ン ショ ッ ク 等 の 様 に 海 外 で 発 生 した シ ョ ッ ク が 日 本 に ど の 様 に 波 及 し て き た の か 、 日 本 を 対 象 と し た 実 証 分 析 を 取 り 上 げ る 。 この 分 野 で は 多 く の 研 究 が な され てい る が 、 例 え ば 、 高 橋 (2010) は 、 金 融 市 場 の 国 際 連 動 性 や 異 な る 金 融 商 品 間 の 連 動 性 に つ い て 、 株 式 市 場 と 国 債 市 場 に つ い て 分 析 を 行 い 、 金 融 市 場 の 連 動 性 が 趨 勢 的 に 上 昇 傾 向 に あ り 、 特 に 株 式 市 場 の 国 際 連 動 性 が リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 、 急 速 に 高 ま っ て い る こ と を 指 摘 し て い る 。 遠 藤 ・ 平 形 (2010) は 、グ ロ ー バ ル な 金 融 シ ョ ッ ク に よ る 世 界 経 済 の 構 造 変 化 等 が 日 本 の 輸 出 ・ 生 産 に 与 え る 影 響 に つ い て 、 可 変 パ ラ メ ー タVARモ デ ル を 用 い て 分 析 を 行 っ て い る 。 そ し て 、2007 年 ~2008 年 頃 ま で の 日 本 の 輸 出 及 び 生 産 の 好 調 と 2008 年 ~2009 年 の 大 き な 落 ち 込 み に は 、グ ロー バ ル な 金 融 ショ ッ ク と み られ る 世 界 共 通 要 因 に よ っ て 説 明 さ れ る 部 分 が 大 き い と の 結 果 を 示 し てい る 。 Fukuda, Kimura, Sudo, and Ugai (2013) は 米 国 の 金 融 政 策 が 他 国 に どの 様 に 波 及 し た の かに つ い て 、1990 年 ~2007 年 ま で の デ ー タ を 用 い て VAR モ デ ル を 構 築 し て 分 析 し て い る 。 分 析 の 結 果 、2000 年 代 以 降 は 世 界 経 済 に 占 め る 米 国 の 相 対 的 重 要 性 の 低 下 に 伴 い その 効 果 は 弱 ま る も の の 、 米 国 の 金 融 政 策 の 引 き 締 め が 多 く の 国 の 国 内 生 産 を 減 少 さ せ てい た こと を 示 し て い る 。
以 上 の 先 行 研 究 に つ い て 整 理 す る と 、 銀 行 は そ の 貸 出 行 動 や 自 身 の 自 己 資 本 比 率 の 変 化 を 含 む 資 本 変 化 等 を 通 じ て 実 体 経 済 に 影 響 を 及 ぼ し 、 そ し て 、 国
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際 金 融 市 場 の 連 動 性 が 高 ま る 中 で 、 そ う した 1 カ 国 で 発 生 し た 影 響 が 国 際 的 に 波 及 し 易 く な っ てい る と い う こ と が 言 え る 。
以 上 の 先 行 研 究 の 結 果 を 踏 ま え て 、 本 研 究 で は 、ま ず 、1 つ 目 と し て 日 本 を 対 象 と したVARモ デ ル を 構 築 し 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 に 対 す る 外 生 シ ョ ッ ク が 、 金 融 機 関 の 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 ) お よ び 公 債 投 資 、 そ し て 産 出 量 に 与 え る 影 響 に つ い て 分 析 を 行 う 。 特 に 、 金 融 機 関 の バ ラン ス シー ト 変 数 に 関 し て は 、 本 研 究 で は 、 貸 出 、 公 債 投 資 を 考 慮 し て い る 点 が 、 林 ・ 勝 浦 (2010)、 卓 (2014) と 同 様 で あ る も の の 、 預 金 で は な く 自 己 資 本 を 考 慮 し て い る 点 が 両 者 と 異 な る 。 こ れ は 、 両 研 究 が 金 融 政 策 の 実 体 経 済 へ の 波 及 効 果 と し て 銀 行 の バ ラン ス シー ト チ ャネ ルに 着 目 し て い る の に 対 し 、 本 研 究 で は 、 金 融 規 制 が 金 融 機 関 行 動 を 通 じ て 実 体 経 済 に どの 様 に 波 及 す る の かに 着 目 し て い る と い う 問 題 意 識 の 違 い に よ る も の で あ り 、そ の た め 、 金 融 規 制 の 直 接 の 対 象 と な る 自 己 資 本 を 変 数 に 含 め て 分 析 を 行 っ て い る 。ま た 、 分 析 期 間 と し て2016 年 第 1四 半 期 ま で の デ ー タ を 用 い て 分 析 し て い る こ と か ら 、2008 年 の リ ー マ ン ショ ッ ク 以 降 の デ ー タ を 十 分 含 んだ 分 析 が 可 能 と な っ て い る 点 も 異 なる 。
次 に 、2 つ 目 と し て 、 日 本 と 米 国 を 対 象 と し た VAR モ デ ル を 構 築 し 、 外 国 で あ る 米 国 で 発 生 し た 外 生 シ ョ ッ ク が 自 国 で あ る 日 本 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 を 行 う 。
本 章 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。 次 の 3 節 で 、 分 析 手 法 と し て 用 い る VAR モ デ ル に つ い て 簡 単 な 説 明 を 行 い 、 分 析 に 用 い る デ ー タ の 概 要 に つ い て 整 理 す る 。 4節 で は 分 析 の 結 果 と し て 、 本 研 究 で 構 築 し た VARモ デ ルに よる イ ン パ ル ス 反 応 関 数 の 結 果 に つ い てま と め る 。 そ し て 最 後 の 5 節 で 、 結 論 と 今 後 の 課 題 に つ い て ま と め る 。
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2.3 分 析 の フレーム ワ ーク
2.3.1 分 析 手 法
本 節 で は 、 分 析 に 用 い る VAR モ デ ルに つ い て 説 明 す る 。VAR モ デ ル と は 、 全 ての 変 数 を 内 生 的 に 扱 い 、 当 期 の あ る 変 数 を 過 去 の 変 数 の み で 説 明 す る と い う 多 変 量 時 系 列 モ デ ル の こ と で あ る 。 当 期 に お ける 同 時 点 で の 変 数 の 関 係 を 考 慮 出 来 な い と い う 問 題 が あ る も の の 、デ ー タ を 客 観 的 に 分 析 す る と い う 特 徴 を 有 し て お り 、 変 数 間 の 動 学 的 な 相 互 作 用 を 見 る こ と が 出 来 る 。
具 体 的 に は 、VAR モ デ ル は 以 下 の(2-1)式 の 様 に 表 わ さ れ る 。
t t
2 t 2 1 t 1
t
Α Α Y Α Y Α Y Bε
Y
0
p p
ε
t 0
E
, ε
t E ε
tε
t
V
, ε
tε
ts 0
E
, s0尚 、
Y
tは
n1
次 の 内 生 変 数 行 列 、Α
0は
n1
次 の 係 数 行 列 、Αi
i1,2,,p
は
nn
次 の 係 数 行 列 、nは 内 生 変 数 の 数 、 pは VAR モ デ ルの 次 数 を 表 わ し 、 具 体 的 に は 、
nt t t
y y y
2 1
Yt ,
nt t t
a a a
2 1
A0 ,
nni i
n i n
i
ni i
i
a a
a a
a a
a
2 1 21
1 12
11
Αi ,
nt t t
2 1
εt
と 書 く こ と が 出 来 る 。
こ こで 、
ε
tは
n1
の 行 列 で 、 互 い に 独 立 な 構 造 シ ョ ッ ク ( 各 方 程 式 で 表 わ され る 変 数 に 生 じ た 外 生 シ ョ ッ ク ) を 示 す 誤 差 項 と し 、ホ ワ イト ノ イ ズを 仮 定 す る 。 即 ち 、(2-1) (2-2)
(2-3)
(2-4)
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誤 差 項 は 期 待 値 が 0、 分 散 が
で 一 定 、 自 己 相 関 な し ( 異 時 点 間 で 相 関 を 持 た ない ) を 仮 定 し て い る 。 そ し て 、
は
nn
次 の 正 定 値 行 列 で あ り 、 対 角 行 列 で あ る 必 要 は な い こと か ら 、 同 時 点 に お い て は 相 関 を 持 つ こと を 許 容 し て い る 。B
は、構 造 シ ョ ッ ク ベ ク ト ル で あ る
ε
tを 誘 導 型 の 撹 乱 項 ベ ク ト ルu
t Bε
tに 変 換 す る 係 数 行 列 で あ る 。 こ こで 実 際 に VAR モ デ ル を 推 計 す る た め に は 、 係 数 行 列B
に 何ら かの 識 別 制 約 を 設 け る 必 要 が あ る 。 本 研 究 で は(2-5)式 の 様 に 広 く 使 わ れ てい る 下 三 角 行 列 と い う 制 約 を 課 す コ レス キ ー 分 解 を 行 う 。 こ れ は VAR モ デ ル 内 に お い て 、 同 時 点 の 外 生 性 が 高 い 順 に 、
y
1t, y
2t, , y
ntと な っ てお り 、 各 変 数 は こ の 順 に 決 定 され る こと を 意 味 し てい る 。
1 0 1
0 0
1
2 1 21
n
n b
b B b
以 上 よ り 、(2-1)式 は 、 右 辺 の 説 明 変 数 が 全 て 過 去 の 変 数 ( 即 ち 先 決 変 数 ) で 表 さ れ 、 誤 差 項 に 系 列 相 関 が な く 均 一 分 散 が 仮 定 さ れ て い る こ と か ら 、OLS (Ordinary Least Squares) 推 計 で パ ラ メー タ を 推 計 す る こ と が 出 来 る 。
2.3.2 構 築 する VAR モ デ ルについ て
VARモ デ ル の 構 築 に あ た っ て は 、 従 来 は 、VARモ デ ルの パ ラ メ ー タ 推 定 の 前 に 、 単 位 根 検 定 で デ ー タ の 定 常 性 を 確 認 し 、 単 位 根 が なく 定 常 で あ る と 判 定 さ れ た 場 合 は VAR モ デ ルの 推 定 を 変 数 の レベ ルで 行 う 。 単 位 根 が あ る と 判 定 さ れ た 場 合 に は 、 更 に 共 和 分 検 定 を 行 い 共 和 分 関 係 が ない と 判 定 さ れ れ ば 変 数 の 階 差 をと っ て VAR モ デ ルの 推 定 を 行 い 、 逆 に 共 和 分 関 係 が あ る と 判 定 さ れ た 場 合 に は VEC モ デ ルで 推 定 を 行 う と い う と い う 手 順 が 取 ら れ てい た 。
し か し 、 近 年 で は 、 こ う し た デ ー タの 定 常 性 や 変 数 間 の 共 和 分 関 係 を 事 前 に 確 認 す る こと な く 、 変 数 を レベ ルの ま ま 用 い て VAR モ デ ル を 構 築 し 、 パ ラ メ ー タ を 推 定 す る 方 法 が 主 流 と な っ てい る 。その 理 由 は 大 き く 2 つ あ り 、1 つ は デ ー タ の 定
(2-5)
19
常 性 を 検 定 す る 単 位 根 検 定 の 検 定 力 が 低 く 、 その 結 果 、 共 和 分 検 定 の 信 頼 度 に も 問 題 が 生 じ る こ と で あ る 。 これ は 、デ ー タ の 定 常 性 や デ ー タ 間 の 共 和 分 関 係 が 正 確 に 判 定 出 来 な い の で あ れ ば 、 生 デ ー タ で あ る レ ベ ルデ ー タ を 用 い た 方 が 良 い と い う 考 え 方 で あ る 。 ま た 、デ ー タの 階 差 を と る こ と に よ って デ ー タに 含 ま れ てい る 重 要 な 情 報 が 廃 棄 さ れ て しま う かも しれ な い こと を 懸 念 す る も の で も あ る 。 も う 1 つ は 、 単 位 根 を 持 つ 変 数 を 含 む VAR モ デ ルの パ ラ メ ー タ を 、 定 常 性 デ ー タ の 場 合 の 推 定 方 法 で あ る OLS で 推 定 し て も パ ラ メ ー タの 推 定 量 の 一 致 性 が 得 ら れ る こ と を 示 し た Sims, Stock, and Watson (1990) の 研 究 結 果 に 基 づ く も の で あ る2。
実 際 、 取 り 上 げ ら れ る こ と の 多 い Shioji (2000) や 、 照 山 (2001)、ま た 最 近 の 研 究 で は 、 非 伝 統 的 金 融 政 策 の 効 果 を 分 析 し た 本 多 (2014) 等 、 多 く の 研 究 が レ ベ ルデ ー タ でVAR モ デ ル を 構 築 し て い る 。 こ う した 点 を 踏 ま え て 、 本 研 究 で も 変 数 に つ い て は レベ ル デ ー タ を 用 い て 分 析 す る 。
2.3.3 分 析 データ
ま ず 、 日 本 を 対 象 と し た VAR モ デ ル ( 以 下 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ル ) に よ る 実 証 分 析 で 用 い る デ ー タ に つ い て 整 理 す る 。 分 析 期 間 は 、1994年 第 1四 半 期 か ら 2016年 第 1四 半 期 ま で の 四 半 期 デ ー タ で 、 日 本 の 実 質 GDP(JP_GDP)、 国 内 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本(JP_N)、 同 実 質 貸 出 金(JP_K)、 同 実 質 公 債 投 資 (JP_B)の 4つ の 指 標 を 内 生 変 数 と す る 。 デ ー タ の 作 成 方 法 は 、 第 3章 の DSGE モ デ ルで の 分 析 と 整 合 させ る こと を 前 提 に し て 、 実 質 GDP は 内 閣 府 「 国 民 経 済 計 算 年 次 推 計 」 よ り 、 国 内 総 生 産 の 実 質 値 に 対 し て 、X12-ARIMA
(Autoregressive Integr ated Moving Average ) で 季 節 調 整 を 施 した 系 列 を 採 用 し て い る 。 国 内 金 融 機 関 の 指 標 は 、 都 市 銀 行 だ けで な く 地 方 銀 行 も 含 め た デ ー タと し て 、 日 本 銀 行 「 国 内 銀 行 の 資 産 ・ 負 債 等 ( 銀 行 勘 定 ) 」 よ り 、 それ ぞ れ 純 資 産 、 貸 出 金 、 有 価 証 券 の 系 列 を 内 閣 府 「 国 民 経 済 計 算 年 次 推 計 」 の 国 内
2 更 に 、To d a a n d Ya m a m o to ( 1 9 9 5 ) は 、VA R モ デ ル の ラ グ を 拡 張 す る こ と で レ ベ ル VA R で も グ レ ン ジ ャ ー の 因 果 性 検 定 を 行 う こ と が 出 来 る こ と を 証 明 し て い る 。
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総 生 産 の デ フ レー タ ー で 実 質 化 し 、X12-ARIMA で 季 節 調 整 を 施 し た 系 列 を 採 用 し て い る3。 各 テ ー タ 系 列 は 、 先 行 研 究 に 倣 い 、 対 数 変 換 を 行 っ た 後 に 100 倍 した も の を 用 い る 。VAR モ デ ルの ラグ 次 数 は 、 長 期 的 な 経 済 関 係 に 興 味 が あ る 場 合 に は 情 報 量 基 準 に 頼 ら ず ラ グ 次 数 を 長 く と る 方 が 望 ま し い と い う 、 畠 中 (1999)、 山 澤 (2005) に 従 い 、 四 半 期 デ ー タ 系 列 と い う デ ー タ 特 性 、 デ ー タ 数 、 パ ラ メー タ 数 、 先 行 研 究 等 を 考 慮 し て 4 に 設 定 す る 。 尚 、 本 節 の 実 証 分 析 で は 、 上 述 で 説 明 し た よ うに Sims, S tock and Watson (1990) 等 の 証 明 に 依 拠 し て レベ ル デ ー タ を 用 い て VAR モ デ ル の 構 築 を 行 う 。
次 に 、 日 本 と 米 国 を 対 象 と した VAR モ デ ル ( 以 下 、 開 放 経 済 VAR モ デ ル) を 用 い た 実 証 分 析 で 用 い る デ ー タ に つ い て 整 理 す る 。 こ ち らの 分 析 期 間 も 、1994 年 第 1 四 半 期 か ら 2016 年 第 1 四 半 期 ま で の 四 半 期 デ ー タ で 、 米 国 の 実 質 GDP (US_GDP)、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本(US_N)、 日 本 の 実 質 GDP (JP_GDP)、 日 本 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本(JP_N)の 4 つ の 指 標 を 内 生 変 数 と す る 。 デ ー タ の 作 成 方 法 は 、 第 3 章 の DSGE モ デ ルで の 分 析 と 整 合 さ せ る こと を 前 提 に し て 、 米 国 の 実 質 GDP は 、 米 国 商 務 省 (BEA) 「National Income and Product Accounts」 よ り Gross Domestic Product の 実 額 値 の 季 節 調 整 済 系 列 を 採 用 し 、 米 国 の 金 融 機 関 の 指 標 は 、FRB「Assets and Liabilities of Commercial Banks in the United States -H.8」 よ り 、 全 商 業 銀 行 の 集 計 バ ラ ン ス シ ー ト の 資 産 か ら 負 債 を 差 し 引 い た も の を 名 目 自 己 資 本 と し て 、 米 国 商 務 省 (BEA) 「National Income and Product Accounts」 の Gross Domestic Productの Deflatorsで 実 質 化 し 、X12-ARIMAで 季 節 調 整 を 施 し た 系 列 を 採 用 し て い る 。 日 本 の 実 質 GDP は 内 閣 府 「 国 民 経 済 計 算 年 次 推 計 」 よ り 、 実 額 値 の 季 節 調 整 済 系 列 を 採 用 し 、 日 本 の 金 融 機 関 の 指 標 は 、 日 本 銀 行 「 国 内 銀 行 の 資 産 ・ 負 債 等 ( 銀 行 勘 定 ) 」 よ り 、 純 資 産 の 系 列 を 内 閣 府 「 国 民 経 済 計 算 年 次 推 計 」 の 国 内 総 生 産 の デ フ レー ター で 実 質 化 し 、X12-ARIMA で
3 日 本 の 金 融 機 関 の 指 標 は 、 総 務 省 「 全 国 消 費 者 物 価 指 数 」 の 生 鮮 食 品 を 除 く 総 合 系 列 で 実 質 化 す る こ と も 考 え ら れ る が 、 次 章 以 降 で 構 築 す るD S G Eモ デ ル で は 、 消 費 財 だ け で な く 、 国 内 生 産 財 全 体 で デ フ レ ー ト し て い る こ と か ら 、 本 章 の 分 析 で も 国 内 総 生 産 の デ フ レ ー タ ー で 実 質 化 し て い る 。
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季 節 調 整 を 施 し た 系 列 を 採 用 し て い る 。 こ ち ら も 各 テー タ 系 列 は 、 先 行 研 究 に 倣 い 、 対 数 変 換 を 行 っ た 後 に 100 倍 し た も の を 用 い る 。VAR モ デ ルの ラグ 次 数 は 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ル と 同 様 、 四 半 期 系 列 と い う デ ー タ 特 性 、 デ ー タ 数 、 パ ラ メ ー タ 数 、 先 行 研 究 等 を 考 慮 し て 4 に 設 定 す る 。 尚 、 本 節 の 実 証 分 析 で も 、Sims, Stock and Watson (1 990) 等 に 依 拠 し て レ ベ ル デ ー タ を 用 い て VAR モ デ ル の 構 築 を 行 う 。
作 成 し た デ ー タ の 基 本 統 計 量 、 時 系 列 推 移 、 対 数 階 差 推 移 に つ い て は 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルに 関 し て は そ れ ぞ れ 表 2-1、 図 2-1、 図 2-2 に 、 開 放 経 済 VARモ デ ルに 関 し て は そ れ ぞ れ 表 2-2、 図 2-3、 図 2-4 に 記 載 の 通 り で あ る 。ま た VARモ デ ルを 用 い たIRF分 析 に 際 し て 、 各 種 ショ ッ ク 等 で デ ー タ 系 列 に 大 き な 変 動 が 見 られ る 場 合 に は 、IRF が そ の 急 変 動 の 影 響 を 受 け や す い こと が 知 られ てい る 。そ こ で 、 図 2-2、 図 2-4か ら 時 系 列 デ ー タ の 特 性 を 見 て み る と 、 国 内 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 の デ ー タ 系 列 で は 、 大 手 金 融 機 関 へ の 公 的 資 金 注 入 の 影 響 等 で 1999 年 第 1 四 半 期 に デ ー タが 急 増 し て お り 、 ま た 、 日 本 の 実 質 GDP、 米 国 の 実 質 GDPの 2 つ の デ ー タ 系 列 で は 、リ ー マ ン ショ ッ ク の 影 響 で 2008 年 第 4 四 半 期 か ら 2009 年 第 1 四 半 期 に か け てデ ー タが 大 き く 落 ち 込 ん で い る 。 そ の た め 、こ れ らの 変 数 を 内 生 変 数 と す る 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ル と 開 放 経 済 VAR モ デ ルで は 、1999 年 第 1 四 半 期 を 1、 それ 以 外 を 0 と す る ダ ミ ー 変 数
(dummy_99Q1)と 、2008 年 第 4 四 半 期 か ら 2009 年 第 1 四 半 期 を 1、そ れ 以 外 を 0 と す る ダ ミ ー 変 数(dummy_08Q4_09Q1)の 2 つ の ダ ミ ー 変 数 を 外 生 変 数 と し て 考 慮 し た 上 で 、VAR モ デ ル を 構 築 す る 。
2.4 分 析 結 果
本 章 で 構 築 し た モ デ ル に つ い て 整 理 す る と 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルが 、 日 本 の 実 質 GDP、 国 内 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 、 同 実 質 貸 出 金 、 同 実 質 公 債 投 資 を 内 生 変 数 、1999 年 第 1 四 半 期 を 1、 そ れ 以 外 を 0 と す る ダ ミ ー 変 数
(dummy_99Q1)と 、2008 年 第 4 四 半 期 か ら 2009 年 第 1 四 半 期 を 1、そ れ 以
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外 を 0と す る ダ ミ ー 変 数(dummy_08Q4_09Q1) を 外 生 変 数 と し た 4 変 数 ラ グ 4 の VAR モ デ ル で あ る 。 ま た 、 開 放 経 済 VAR モ デ ルが 、 米 国 の 実 質 GDP、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 、 日 本 の 実 質 G DP、 日 本 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 の4 つ の 指 標 を 内 生 変 数 、 同 様 に dummy_99Q1、dummy_08Q4_09Q1 の 2 つ の ダ ミ ー 変 数 を 外 生 変 数 と し た 4 変 数 ラグ 4 の VAR モ デ ルで あ る 。 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルの IRF 分 析 の 結 果 を 示 し た の が 図 2-5、 開 放 経 済 VAR モ デ ルの IRF 分 析 の 結 果 を 示 し た の が 図 2-6 で あ る 。 ど ち らも シ ャ ドー 部 分 は ブ ー ト ス ト ラッ プ 法4で 計 算 さ れ る 68%信 頼 区 間 を 示 し て い る5。 推 定 方 法 に つ い て は 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルで は 、JP_N、JP_K、JP_B、JP_GDP の 順 で 、 開 放 経 済 VAR モ デ ル で は 、US_N、US_GDP、JP_N、JP_GDP の 順 で 配 置 し た 標 準 的 なコ レ ス キ ー 分 解 に よ っ て 識 別 す る 方 法 を 用 い る 。 尚 、 順 番 を 入 れ 替 え ても 結 果 に 大 き な 変 化 が ない こ と を 確 認 し て い る 。
ま ず 、 閉 鎖 経 済 VARモ デ ル に 対 し て 、 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本(JP_N)に 1 標 準 誤 差 の ショ ッ ク を 与 え た 場 合 の 、 日 本 の 実 質 GDP(JP_GDP)、 金 融 機 関 の 実 質 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 )(JP_K)及 び 実 質 公 債 投 資(JP_B)へ の IRF 分 析 の 結 果(図 2-5)に つ い てみ る と 、20期 ま で の 間 で 、 実 質 GDPは68%信 頼 区 間 に お い て 有 意 に 増 加 し て い る こと が 確 認 出 来 、 実 質 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 ) 、 実 質 公 債 投 資 に も 同 様 の 傾 向 が 確 認 出 来 る 。 つ ま り 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルの IRF 分 析 の 結 果 か ら 、 信 頼 区 間 で 判 断 し た 場 合 、 実 質 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) は 実
4 一 般 的 な ブ ー ト ス ト ラ ッ プ 法 と は 、 得 ら れ て い る デ ー タ 全 体 を 母 集 団 と み て 、 そ こ か ら 無 作 為 復 元 抽 出 に よ っ て リ サ ン プ ル デ ー タ を と り 、 元 の デ ー タ で 考 え た 母 数 の 推 定 量 の 分 布 の 平 均 や 分 散 を 推 定 し て 、 最 終 的 に 母 数 を 推 定 す る 方 法 で あ る 。 そ の た め 、 最 初 に 得 ら れ て い る デ ー タ 全 体 の 量 が 不 十 分 で あ っ た り 、 デ ー タ に 偏 り が あ る 場 合 等 で は 、 信 頼 度 の 高 い 結 果 を 得 る こ と は 難 し い と 言 え る 。
5 VA R モ デ ル に お け る I R F の 信 頼 区 間 の 算 出 方 法 に つ い て は 、 ハ ミ ル ト ン ( 2 0 0 6 )が 詳 し い 。 そ の 内 容 を 記 載 す る と 、 ま ず VA R モ デ ル を 推 定 し 、 パ ラ メ ー タ の 推 定 値 と 標 本 残 差
ˆ1,ˆ2,,ˆT
を 保 存 す る 。 次 に
ˆ1,ˆ2,,ˆT
の 内 の 1 つ の 値 を 確 率 1 / T で と る よ う な 疑 似 確 率 変 数uを 考 え 、 こ の 分 布 か らu1(1)で 表 記 さ れ る 確 率 変 数 を 発 生 さ せ 、 こ のu1(1)を 1 番 目 の 撹 乱 項 に 用 い て 、 更 に 実 際 に 観 測 さ れ た1 1 0,Y, ,Yp
Y をYの 初 期 値 と し て 、 疑 似 標 本 Y1(1)を 生 成 す る 。 同 様 に (1)
u2 を 発 生 さ せY2(1)を 生 成 す る 。 こ の 方 法 を 繰 り 返 す こ と で 、 全 標 本
2(1) (1)
) 1 (
1 ,Y , ,YT
Y を 生 成 し 、 こ れ に 実 際 に 観 測 さ れ たYの 初 期 値 を 用 い て VA R モ デ ル のO L S 推 定 値Αˆ(1)を 求 め 、I R F を 計 算 す る 。 こ の 様 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 何 度 も 繰 り 返 し 、 計 算 さ れ た I R Fの6 8 %を 含 む 区 間 を ブ ー ト ス ト ラ ッ プ 法 で 求 め た6 8 %信 頼 区 間 と す る 、 と い う も の で あ る 。
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質 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 ) 及 び 実 質 公 債 投 資 を 増 加 ( 減 少 ) さ せ 、 更 に 貸 出 増 加 ( 減 少 ) を 通 じ て 実 質 GDP を 増 加 ( 減 少 ) させ る と い う こと が 言 え る 。
次 に 、 開 放 経 済 VAR モ デ ル に 対 し て 、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 に 1 標 準 誤 差 の 外 生 シ ョ ッ ク を 与 え た 場 合 の 、 米 国 の 実 質 GDP(US_GDP)、 日 本 の 実 質 GDP(JP_GDP)へ の IRF分 析 の 結 果(図 2-6)に つ い て み る と 、20 期 ま で の 間 で 米 国 の 実 質 GDP と 日 本 の 実 質 GDP は 68%信 頼 区 間 に お い て 有 意 に 増 加 し て い る こ と が 確 認 出 来 る 。 つ ま り 、 信 頼 区 間 で 判 断 し た 場 合 、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) は 、 米 国 の 実 質 GDP、 日 本 の 実 質 GDPを 増 加 ( 減 少 ) さ せ る と い う こ と が 言 え る 。 尚 、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 の 増 加 シ ョ ッ ク に 対 し て 、 米 国 の 実 質 GDPよ りも 日 本 の 実 質 GDPの 方 が 短 期 的 に は 増 加 す る 結 果 と な っ て い る 。 これ に つ い て は 、 ショ ッ ク の 波 及 経 路 の 順 番 を 、 US_N、US_GDP、JP_N、JP_GDPと し て お り 、JP_GDPに は 、US_Nの 減 少 だ けで な く 、 そ れ を 受 けた US_GDP の 減 少 の 影 響 も 波 及 し て き て い る こ と が 要 因 と 推 察 さ れ る 。 但 し 、20 期 時 点 で の IRF の 波 及 効 果 を み る と 、JP_GDP よ りも US_GDP へ の 影 響 の 方 が 大 き い と の 結 果 が 得 ら れ てお り 、 中 長 期 的 に 見 れ ば 、 ショ ッ ク の 波 及 経 路 の 順 番 の 影 響 は 薄 れ 、 自 国 の ショ ッ ク の 影 響 を 最 も 大 き く 受 ける の は 自 国 で あ る と い う 直 観 と 整 合 的 な 結 果 が 得 られ てい る と 言 え よ う 。
以 上 を 踏 ま え て 、 実 証 分 析 の 結 果 か ら 、 次 の 第 3章 で 構 築 す る DSGEモ デ ル が どの よ う な 特 性 を 有 し てい る 必 要 が あ る の か を 整 理 す る 。1 国 を 対 象 と した 閉 鎖 経 済 DSGE モ デ ルで は 、 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) シ ョ ッ ク に 対 し て 、 金 融 機 関 の 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 ) と 公 債 投 資 を 増 加 ( 減 少 ) さ せ 、 更 に 貸 出 増 加 ( 減 少 ) を 通 じ て 国 内 総 生 産 が 増 加 ( 減 少 ) す る と い う 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る 。ま た 2 カ 国 を 対 象 と し た 開 放 経 済 D SGE モ デ ル で は 、 米 国 ( 外 国 ) の 金 融 機 関 の 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) シ ョ ッ ク に 対 し て 、 米 国 ( 外 国 ) の 国 内 総 生 産 、 日 本 ( 自 国 ) の 国 内 総 生 産 が 増 加 ( 減 少 ) す る と い う 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る 。
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2.5 まと め
本 章 で は 、 日 本 に お け る 金 融 機 関 の 行 動 が 実 体 経 済 に 及 ぼす 影 響 に つ い て と 、 自 国 を 日 本 、 外 国 を 米 国 と し て 外 国 の 金 融 機 関 の 行 動 が 自 国 の 実 体 経 済 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て の 2 つ の 実 証 分 析 を 行 った 。 そ し て 、 次 の 第 3 章 で 構 築 す る 、 金 融 機 関 の 行 動 を 内 生 化 し た 閉 鎖 経 済 DSGEモ デ ルと 、2カ 国 開 放 経 済 DSGE モ デ ル と が 、 どの よ う な 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る の かを 明 ら か に し た 。 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルで は 、 金 融 規 制 が 金 融 機 関 行 動 を 通 じ て 実 体 経 済 に ど の よ うに 波 及 す る の かに 着 目 し て い る た め 、 分 析 に は 、 金 融 機 関 の バ ラ ン ス シ ー ト 変 数 と し て 貸 出 、 公 債 投 資 に 加 え て 、 預 金 で は なく 自 己 資 本 を 用 い て VAR モ デ ル を 構 築 し て い る 。 一 方 、 開 放 経 済 VAR モ デ ルで は 、 デ ー タ 数 が 限 ら れ て い る こ と か ら モ デ ルが 大 き く な り 過 ぎ ない 様 に 、 最 小 限 の 変 数 に 絞 っ て VAR モ デ ル を 構 築 し て い る 。 分 析 の 結 果 、 閉 鎖 経 済 VAR モ デ ルに つ い て は 、 実 質 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) は 実 質 貸 出 ( 資 本 ス ト ッ ク 投 資 ) 及 び 実 質 公 債 投 資 を 増 加 ( 減 少 ) させ 、 更 に 貸 出 増 加 ( 減 少 ) を 通 じ て 実 質 GD P を 増 加 ( 減 少 ) さ せ る こ と を 確 認 し 、 開 放 経 済 VARモ デ ル に つ い て は 、 米 国 の 金 融 機 関 の 実 質 自 己 資 本 の 増 加 ( 減 少 ) は 、 米 国 の 実 質 G DP、 日 本 の 実 質 GDP を 増 加 ( 減 少 ) さ せ る こ と を 確 認 し て い る 。 第 3 章 で 構 築 す る DSGE モ デ ル は こ う した 特 性 を 有 し て い る 必 要 が あ る と 言 え よ う 。