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暖地型マメ科牧草ファジービーン(Macroptilium lathyroides(L.)Urb.)のサイレージ利用に関する研 究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

暖地型マメ科牧草ファジービーン(Macroptilium lathyroides(L.)Urb.)のサイレージ利用に関する研 究

伊村, 嘉美

九州大学農学研究科畜産学専攻

https://doi.org/10.11501/3163939

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第4章 ファジービーンサイレージにおける 有機酸生成

第1節 ファジービーンと数種暖地型牧草との炭水化物組成の比較

緒言

一般に, 暖地 型牧草につい ては良質の サ イレージ調製が困難であると されているが(Catchpoole and Henzell, 1 971 ; McDonald et a1.,

1991) , 暖地型マメ科牧草ファジービーンは良好な発酵品質を示すこと

が第2章および第3章で明らかとなった.

サイレージ貯蔵中に生化学的変化を受け る主な成分で ある炭水化物と 蛋白質のうち, ファジービーンサイレージにおける蛋白 質の代謝の特徴 については第3 章第2節で検討した. 本章においては炭水化物の代謝に ついて検討することとした.

植物の炭水化 物は構造性炭水化物と非構 造性炭水化物とに分けられ,

非構造性炭水化物にはフルク トサンやデンプンなどの貯蔵性炭水化物と フルクトース, グルコースやシュクロースなどの単・二糖類が含まれる.

寒地型イネ科牧草の主要な貯蔵性炭水化物 は水溶性のフルクトサンであ

-5 8-

(3)

り, 暖地 型 イ ネ科 牧 草や マメ 科牧 草 では難溶 性 のデンプンで ある (Srnith, 197 3) . サイレージ貯蔵中の発酵においてフルクトサンは易発 酵性の基質であるのに対し, デンフンはほとんど利用されない(服部ら,

1993 ) . すなわち, 寒地型イネ科牧草では非構造性炭水化物のほとんど 全てがサイレー ジ貯蔵中の発酵基質となり, 暖地型イネ科牧草やマメ科 牧草では非構造 性炭水化物の うちデンプン以外が主な発酵基質となると 考えられる.

暖地型イネ科牧草やマメ科牧草の主な水溶性炭水化物であるフルクトー ス, グルコース およびシュク ロースのうち, シュクロースについては,

サイレージ調製初期に素早くグルコースとフルクトースに分解されると 考えられている(柾木・大山1979) . また, グルコースとフルクトース を比較すると, 前者が後者よりヘテロ乳酸発酵における乳酸の生成効率 が良いとされている(Whittenbury et 81., 1967) . これらのことから,

暖地型牧草サイレージの有機酸組成は, 原料草の単・ 二糖類組成に影響 を受けると考えられる.

そこで, まず, 本節においては, ファジービーンの炭水化物組成の特 徴を明らかにするために, ファジービーン と数種の暖地型イネ科 ・ マメ 科牧草の水溶性炭水化物含量および単糖類の組成を異なる生育段階毎に 比較検討し, 併せてサイレージ発酵との関連を考察した.

nu FsD

(4)

材料および方法

1 . 供試草種

暖地型マメ科牧草としてファジービーン(Macroptilium lathyroides (L.) Urb.) , グリーンリーフデスモディウム(Desmo dium intortum (Mill.) Urb.) サイラトロ(A1acroptilium atropurpureum (DC.) Urb.) , クックスタイロ(Stylosanthes guianensis (Aubl.) Sw. cv.

Cook)および熱帯クズ(Pueraria phaseoloides (Roxb.) Benth.)の5 草 種, 暖地型イネ科牧草 としてガットンパニック(Panicum maximum Jacq. var. maximum cv. Gatton)およびネピアグラス(Pennisetum purpureum Schumach)の2草種の計7草種を用いた. 播種は, 1 996年6 月 12日に行い それぞれの草種が定着した8月2 3日に一斉に刈取り, そ

れらの再生草について3 週目(9月13 日) , 6週目(10月4日)および9週 目(10月28日)に材料を採取した. なお, 播種量は各草種300g /aとし,

基肥としてP20Sおよび、K20を各 1kg/a , 追肥としてP20Sおよび、K20を各 0.5kg/a施用した. ただし, イネ科牧草に対しては, P20SおよびK20の

他にNを基肥として1kg/a, 追肥として0 .5kg/aそれぞれ施用した.

2. 分析方法

乾物率は70'C, 48時間通風乾燥法によ り測定した. 粗蛋白質および細 胞壁成分含量は常法(小坂, 1994)により測定した. 水溶性炭水化物含

-60-

(5)

量および貯蔵性炭水 化物含量は, 80%熱エタノールおよび過塩素酸でそ れぞれ抽出した後, アンスロン法で測定した(Faichney and White,

1983) . 水溶性炭水化物含量と貯蔵性炭水化物含量の和を全非構造性炭 水化物含量とした. 水溶性炭 水化物 のうちグルコースおよびフルクトー スの定量は, 熱ヱタノール抽出物 について高速液体ク ロマトグラフ法で 行った. 測定条件は以下のとおりである . カラム: shodex NH2P-50.

カラム温度: 350C. 移動相: 75%アセトニトリル水溶液, 流速0.8mQ / 分 . 反応 液: 0.3M四ほう酸カリウム, 20mMアルギニン, 1mM過ょう素 酸ナトリウム, pH10.5, 流速0.8mQ /分, 反応温度1400C. 検出:蛍光検 出, 波長Ex320nm, Em450nm . なお, 本試験においては, 蛍光試薬と してアルギニン を用い蛍光検出器により単糖類含量を測定したが, シュ クロースは非還元糖であるため, 検出感度 が低く定量できなかった.

結果および考察

1. 乾物率, 粗蛋白質含量および細胞壁成分含量

表4-1に供試草の乾物率, 粗蛋白質含量および細胞壁成分含量の推 移を示した. 乾物率について は, 再生日数によっては 20%を越える草種

が認められたが, ファジービーンの乾物率は17.0%以下で推移し, 第2

-61-

(6)

表4-1 供試草種の乾物率, 組蛋白質含量および細胞壁成分含量

乾物率(%) 粗蛋白質(%乾物) 細胞壁成分(%乾物)

草種 3 ') 6 9 3 6 9 3 6 9

ガットンパニック 17.2 28.9 27.4 11.7 7.0 7.3 62.7 66.9 69.7

ネピアグラス 15.3 15.4 13.2 19.2 12.1 7.8 55.4 61.8 63.1

グリーンリーフ

23.3 22.9 24.3 16.6 14.6 11.7 48.3 43.8 57.3

デスモディウム

。〉

t'V

ファジーピーン 13.7 17.0 16.6 20.7 15.7 19.5 51.0 52.8 55.1

サイラトロ 16.0 17.5 15.6 20.3 17.7 21.8 54.8 52.1 48.8

クックスタイロ 17.5 21.7 20.2 18.1 14.6 15.0 51.7 46.6 58.0

熱帯クズ 17.8 23.1 18.2 19.3 15.0 21.3 56.3 59.0 54.4

1)再生週数.

(7)

章や第3章で示した結果と同様に, ファジービーンの乾物率は他の草種 と比べあまり高くないと考えられた. イネ 科牧草(ガットンパニックお よびネピアグラス)の粗蛋白質含量は, 再生3 あるいは6 週日までは10%

を上回ったが 窒素肥料を追肥したにも関わらず再生日数 が長くなると 10%を下回り マメ科牧草はいずれの生育日数でも10%以上の値を示し た. ファジービ ーンの粗蛋白質含量はいずれの再生日数でも15%以上で あった. ガットンパニックの細胞壁成分含量はいずれの再生日数でも60

%以上, ネピアグラスのそれは55 .4---63.1%の間で推移したが, ファジー ビーンを含むマメ科牧草は全ての草種, 再生日数で60%未満であり, イ ネ科牧草より少ない傾向を示した.

2. 非構造 性炭水化物の組成

表4-2に各草 種の水溶性炭水化物含量, 貯蔵性炭水化物含量および非 構造性炭水化物含量を示した. 今回供試し た暖地型牧草の水溶性炭水化 物含量は1 .3'""'9.4% , 貯蔵性炭水化物含量は2.5'""'8.1% , 全非構造性炭水 化物含量は4 .9'"'"16 .1 %の範囲であった.

再生後の生育日数でみると, 水溶性炭水化物含量は, いずれの草種も 再生3週日(9月 13日)に最も少なく, 再生6 週目(10 月4日)に最も高い

値を示した. イネ科牧草2草種とグリーンリーフデスモディウムおよび ファジービーンの貯蔵性炭水化物含量は, 再生9週目( 10月28日)に最 も高い値を示し, 他の3草種は6週自に最も高い値を示した. 全非構造性

-6 3-

(8)

表4-2 供試草種の非構造性炭水化物組成

水溶性炭水化物(%乾物) 貯蔵性炭水化物(%乾物) 全非構造性炭水化物(%乾物) 草種

3 1) 6 9 3 6 9 3 6 9

ガットンパニック 3.2 9.4 4.9 7.9 6.8 8.1 11.0 16.1 12.9

ネピアグラス 3.4 9.4 4.8 4.3 5.3 6.6 7.8 14.8 11.5

グリーンリーフデスモディウム 2.2 4.7 3.8 4.7 4.9 5.9 6.9 9.6 9.7

0') .þo

ファジーピーン 4.1 7.8 6.2 3.3 4.5 5.6 7.4 12.3 11.8

サイラトロ 2.6 3.8 2.9 2.8 4.0 2.5 5.3 7.8 5.5

クックスタイロ 1.3 4.2 2.4 3.6 4.0 3.3 4.9 8.1 5.6

熱帯クズ 1.9 3.8 2.1 3.7 5.0 3.2 5.5 8.8 5.3

1)再生週数.

(9)

/

炭水化物含量は, いずれの草種も再生3週目に最も少なく, 再生6週目に グリーンリーフデスモディウムを除いて最 も高い値を示した. 草種間で

比較すると, マ メ科牧草の中でファジービーン の水溶性炭水化物含量が 最も多く .(4.1"-'7 .8%), イネ 科牧草2草種 の水溶性炭 水化物含 量は3. 2

"-'9.4%で, いずれの生育期間でも, ファジービーンを除くマメ科牧草よ 引高い値を示した.

3. 寒地型イネ科 牧草と暖地型牧草の比較

McDonald et a1. (1991)は 寒地型イネ科牧草5草種37 3試料の水溶性 炭水化物含量 に関する調査結果を紹介している. それに よると寒地型イ ネ科牧草 の水 溶 性炭 水化物の平均値 は最も低いオーチヤードグラスで

7.9%, 最も高いイタリアンライグラスで18.1%である. 本試験に供試し た暖地型牧草の 水溶性炭水化物含量は, こ れらの寒地型 イネ科牧草より 少ないー傾向を示した. このことは, 一般に暖地型牧草サイレージの発酵

品質 が劣る原因のーっとして 乳酸発酵基質と考えられる水溶性炭水化 物含量が少ないことを指摘したCatchpoo le and Henzel l (1971)や

Wilkinson (1983a) の報告と一致する.

4. ファジービーン と他の暖地型草種の比較

Panditharatne et al. (1986)はギニアグラスおよびハイブリッドネピ アグラス(P ennis etum purpureum Schumach X Pennisetum

-6 5-

(10)

mηericanum L.)の水溶性炭水化物含量が6.7'"'"11.4 %, W oodard e t a1.

(1991 ) は3種類の遺伝子型のネピア グラスの水溶性炭水化物 含量が2.6 '""'8.4%であったと報告している. 本試験で供試した暖地型イネ科牧草ガッ トンパニックおよびネピアグラスの 水溶性炭水化物含量は3.2 '""'9 .4%で

あり, これらの報告と類似の値を示している. ガットンパニックやネピ アグラス以外の暖地型牧草については, 以下に示すようにそれらより低 い値 が報告されている. 柾木・ 大山(1978)は数種暖地型イネ科牧草の

水溶性炭水化物含量が 2 .3'""' 4 . 6 % で あっ た と報告し, Ca tchpoole (1965)は セタリア(Setaria sphacellata (Schumach) Stapf et C. E.

Hubb.)およびローズ グラス(Ch1oris gayana Kunth.)では 2.7'""'4.7%

であったと報告している. τJandraatmadja et a1. (1993a)はパンゴラグ ラス( Digit81ゴ'a decumbens Steut.)およびセタリアの水溶性炭水化物含 量が5.7 および5.0%であったと報告し Kim andUchida (1990) はロー

ズグラス について 4.1%と報告している.

本試験で得られたファジービーンの水溶性炭水化物含量は4.1'""'7 .8%

であり, 前述の暖地型イネ科牧草で報告された値と比較すると, 必ずし も高山とはいえない. しかし, 本試験 において, 3 および9週日では ガッ トンパニックおよびネピアグラスより高い値となったイなお, 本試験に おいて ネピアグラスの水溶性炭水化物含量は暖地型牧草の中で比較的多 い特徴を示し た. 一般にサイレージ発酵品質が劣るとされる暖地型牧草

-66-

(11)

でネ ピアグラ ス サイ レージは乳酸発酵型と なる ことが 報告されており

(Yokota et a1., 1995) 水溶性炭水化物含量の多さが ネピアグラスの発

酵品質が良好であることの一因であると考えられる.

ファジービーンと他の暖地 型 マメ科牧草を比較すると, ファジービー

ンの水溶性炭水化物含量は, 今回供試した他のマメ科草種より全ての生

育期間で高い値 を示した. 永西 ら( 1996a) は 原料草の水溶性炭 水化物

含量が4.8---6.2%のセスバニア(Sesbania rostrata Brem.)のサイレージ

調製を行い, 添加物なしでは良好 な貯蔵ができなかったと報告している.

それらの値と比 較し て 6週目のファジービーンの水溶性炭水化 物含量

は高い値を示した. また, 第2章および第3章で示した良質な 発酵 品質

となった場合の ファジービーン原料草の水溶性炭水化物含量は乾物当た

りに換算すると7 .5---9 .3%であり セスバニアロ ストラータの場合(永 西ら, 1996a)より高い値となる.

5. フルク トースおよびグルコ ース含量

表4 -3 に各草種の単糖類の組成を示した. 一般に, 寒地型イネ科牧草 のフルクトースおよびグルコース含量は, いずれも1.0---3 .0% , シュク

ロース含量は2.0---8 .0%とされている(McDonald et a1., 1991) . 柾木・

大山(1978)は数種の暖地型イネ科牧草について調査した結果, 主な単・

二糖類はフルクトース(0.3---1.1%) グルコース(0.3---1.0%)および

シュクロース(1.6---3.1%)であり, 寒地 型牧草と比べて単糖類が少な

-6 7-

(12)

表4-3 供試草種の単糖類組成

3 1) 6 9

草種 F 2) G 3) F+G4) G / F5) F G F+G G/F F G F+G G/F

ガットンパニック 0.6 0.2 0.8 0.42 0.6 0.6 1.2 0.90 0.4 0.3 0.6 0.83

ネピアグラス 0.9 0.3 1.2 0.36 2.4 1.3 3.7 0.56 1.0 0.7 1.6 0.69 グリーンリーフデスモディウム

ND 6) 0.0 0.0 0.4 0.4 0.8 0.90 0.4 0.3 0.6 0.83

Q') ファジーピーン 0.2 0.8 1.0 4.15 0.5 1.2 1.7 2.21 0.3 1.1 1.4 3.50

サイラトロ 0.2 0.1 0.4 0.58 0.2 0.1 0.3 0.42 0.1 ND 0.1

クックスタイロ ND 0.1 0.1 0.3 0.4 0.7 1.19 0.2 0.1 0.2 0.53

熱帯クズ 0.2 ND 0.2 0.4 0.2 0.6 0.56 0.1 0.1 0.2 0.83

1)再生週数.

2)フルクトース含量(%乾物) 5)グルコース含量(%乾物) .

4)フルクトース含量+グルコース含量.

5)グルコース含量÷フルクトース含量.

6)検出されず.

(13)

く, また, 水溶性炭水化物に占めるシュクロースの割合が高い傾向にあ

ると報告した. 本試験において, ネピアグラスの6週目を除いて , フル

クトースおよび グルコー ス含量はそれぞれ1.0および1.2%以下となり,

柾木・ 大山(1978)の報告と類似の結果となった.

ファジービーンのフルクト ース含量は, いずれの刈取り時にもイネ科

草種より少なく, 他のマメ科草種と同じか若干高い値を示した. グルコー

ス含量は, いず れの刈取り時にもガッ トンパニックより 高い値を示し,

他のマメ科牧草 の3倍以 上に達した. フルクトース とグルコース の合計

含量は, いずれの刈取り時に もネピアグラ スより少 なか ったが, それ以

外の草種より高 い値を示した . また フルクトースに対するグルコース

含有比率は, 2.0 以上と全供試草の中では最も高い値で推移した.

サイレージ発 酵基質 としては, フルクト ースよりグルコースの方が効

率的であると考 えられており , ファジーピーンサイレー ジの良好な発酵

品質は, グルコース含量 が多いことやフルクトースに対するグルコース

含有比率が高いことと 関連するのではないか と考えられる. しかし, ルー

サンサイレージ に対するグル コースとフルクトースの添加効果について

は両者の聞に有意差が認められなかったという報告もあり(Seale et a1.,

1986) , その点に関しては, 今後さらに検討すべきであ ると考えられ る.

-69-

(14)

第2節 サイ レージ貯蔵中 における水溶性炭水化物および有機酸組 成の推移ーサイラトロサイレージとの比較一

緒言

サイレージ貯蔵中に生化学的変化を受ける主な成分である炭水化物と 蛋白質のうち ファジービ ーンサイレージにおける蛋白質の分解過程に ついては第3章第2節で検討した. 一方の炭水化物に関しては, 本章第 l節においてサイレージ発酵の基質となる水溶性炭水化物組成について ファジービーン と他の草種との比較を行った. その結果 ファジービー ンの水溶性炭水化物含量は暖地型牧草の中では多い特徴があるものの,

寒地型イネ科牧草や熱帯 ・亜熱帯でサイレージ原料草として用いられる ことの多いネピアグラスほど多くないこと, ファジービーンはグルコ ー ス含量およびフルクトースに対するグルコースの含有比率が高い値を示 す特徴を有することが示された.

これらの炭水化物のサイレージ貯蔵における代謝産物である有機酸の 組成については ファジービーンでは乳酸含量は多いとは言えないもの の乳酸比率が高い特徴が示され(第2章) , ファジービ ーンを 暖地型イ

ネ科牧草に混播あるいは混合することにより, サイレージの有機酸組成

-7 0-

(15)

はイネ科単独サイレージより改善された(第3章) これ らのこ とから,

ファジービーン サイレージの乳酸比率の高い良好な有機 酸組成は, 原料 草に含まれる発酵基質であるグルコースレベルの高さと 関連するのでは ないかと考えられた.

この点を明ら かにするために本節にお いては, ほぽ同レベルの水溶性 炭水化物を 含有する, ファジービーン とサ イラトロ (Macroptiliu m

atropurpureum (DC.) Urb.)並び に 両草種に グルコースを添加したもの を 原料草 として用い, 両草種におけるサイレー ジ貯蔵中の水溶性炭水化

物組成の変化と有機酸生成 との関係を経時的に検討した.

材料および方法

1. 供試草種

サイレージ原料草として九州大学農学部実験圃場において栽培したファ ジービーンおよびサイラトロを用いた. 両草種とも に1996年5月10日に 1m2当たり19の種子を畦幅100cmで条播し た . 基肥と して婚種時 に N, P20SおよびK20をそれぞれ0.5kg/a施用した. 刈 取りは, 同年7月16 日に行い, 刈取り時には両草種とも栄養生長期であった.

2. サイレージ調製

原料草は約1cmに細切後, グルコース添加量が生重1kg当たり10g (グ -71-

(16)

ルコース 10g添加区)あるいは30g(グルコース 30g添加区) となるよ うに グル コース水溶液を 添加した後 , よく混和し試験用サイロに詰め込 んだ. 無添加区 は添加区と同量の蒸留水 を加え貯蔵した . なお , 原料 草 の分析用試料は, 各処理 区の全試験サイ ロの 詰 め込み終了直前に採取し た. 各処理区とも 蒸留水あるいはグルコース水溶液の 添加から サンプ ル採取までの 時間は約30分であった. 試験用サイロはMuck (1987)の方 法に準じ, 50mQ容コム管付き注射器を試験用ミニサイロとして 用い, 詰 め込み量は約40gとした. 貯蔵時にはゴム管の付いた先端部を下にして , 排汁の盛んな貯蔵初期の 3日間, ゴム管 からの排液を下部の水槽中に排出 させた. 3日目以降はゴム管 を閉じ密封状態とした. 試験サイロは20G恒 温室で 3日, 11日, および40日貯蔵後分析に供した. 各処理サイレー ジ は3反復とした.

3. 化学分析

原料草については乾物率, pH, 緩衝能, 全窒素(τ吋)含量を, サイレー ジにつ いて は乾 物率, pH, 全窒素含量, 揮発性塩基態 窒素含量を第2章 と同様に測定した. その他に原料草およびサイレージの水溶性炭水化物 含量, フルクトース含量およびグルコー ス含量は本章第1節と同様に測 定し, サイレージの有機酸含量を柾木ら (1994)の 方法に準拠し高速液 体クロマトグラフ法 により測定し 検出された有機酸の合計量を総酸 (TA)含量とした. 測定条件は以下のとおりである. カラム: Shimazu

-72-

(17)

SCR 1 01H . カラム温度: 50t. 移動相: 3rnM過塩素酸水溶液, 流速 0.8m Q /分. 反応液: 0.3mMプロムチモールブルー/8mMリン酸水素ナト リウム/2mM水酸化ナトリウム水溶液, pH10.5, 流速0.8mQ / 分. 検出:

紫外可視分光検出器, 波長445nm. なお, サイレージの乾物率は揮発性 脂肪酸および揮発性塩基態窒素が全て乾燥中に 揮発するも のとして補正 した.

統計処理は, 一元配置分散分析および、Dunænの多重範囲検定により行っ た.

結果および考察

1. 原料草の組成

原料草の成分組成を表4- 4に示した. pHは, ファジービーンで高く,

乾物率, 緩衝能および全窒素含量はサイラトロで高い値を示し た.

両草種の無添 加区の水溶性炭水化物含量は, ほぽ同じであった(サイ ラトロ16.1 g /kg生重, ファジーピーン16.5/kg生重) . 良質なサイレージ

調製に必要な水溶性炭水化物含量は およそ30 g /kg 生重とされている (Haigh, 1990 ; Wilkinson, 1983a) . 両草種とも, グルコース30g添加 区では貯蔵開始直前の水溶性炭水化物含量がサイレージ発酵に対する十 分量 (サイラトロで46.1 g /kg生重, ファジーピーンで46.5 g /kg生重)に

-73-

(18)

『ミ

表4-4 原料草の組成

草種

サイラトロ 10g添加区 30g添加区

ファジーピーン 10g添加区 30g添加区

pH

5.7

6.0

乾物率 緩衝能 全窒素 水溶性炭水化物フルクトース グルコース (g/kg) (ミリ当量/kg生重) (g/kg生重) (g/kg生重) (g/kg生重) (g/kg生重)

266 100 5.3

159 90 3.7

16.1 23.7 30.8 16.5 19.1 28.4

2.5 2.5

3.3 6.0

(19)

達する予定であったが, 実際に測定された値は想定した値より 低く, 乾 物率が低いファジービーンでその差が大きかった. このことは, グルコー ス水溶液と 原料 草との混和時における吸水性に関係が あるものと考えら れ, 乾物 率が低く 混和が困難であったファジー ビーンにおいて 想定値と 実測値の差が大きくなった.

無添加区の原料草のフルクトースおよびグルコース含量はいずれもファ ジービーンで高い値を示し ファジービーンのグルコース含量はサイラ

トロの2倍以上であった.

2. サイレー ジの発酵品 質

表4-5および表4-6に本試験にお ける貯蔵最終日に当たる40日目の サイレー ジの発 酵品質を示した. 全処 理区と もpH は4. 3以 下, 揮発性塩 基態窒素比率は100g /kg1N以下, 乳酸比率は500 g /kgTA以上であり, 比 較的良質のサイレージとなったが サイラトロの全処理区とファジービー ンの無添加区にプロピオン酸(0.1 �0.5 g /kg生重), サイラトロの無添 加区にイソ酪酸(0.3g /kg生重)が それぞれ少量認められた.

両草種の無添加区間で発酵品質を比較すると, pHおよび揮発性塩基態 窒素比率 は , サイラトロよりフ ァジービ ーンで低い値を 示し, 乳酸含量 および乳 酸比率 は ファ ジービーンで高い値を示した. 表には示してい ないが, pHおよび乳酸含量について は有意差が認められた(p<0.05).

「Dηi

(20)

...:]

Q')

表4-5 貯蔵40日目のサイレージ発酵品質(サイラトロ区, 平均値±標準誤差)

グルコース添加量

無添加 10g 30g

1)廿.J:全窒素.

2)TA:総酸.

pH

4.3 i: 0.0 1 c 3) 4.0 i: 0.03 b

3.9士0.02a

揮発性塩基態窒素 比率(g/kgTN)1)

73士18.9 b 52士1.3 a

40士2.5 a

3)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p <0.05) .

乳酸含量 (g/kg生重)

4.8士0.58 a 6.7 i: 1.07 a,b

9.3i: 1.04 b

乳酸比率 (g/kgTA) 2)

670士71.0 a

755:1:: 59.3 a 840士44.5 a

表4-6 貯蔵40日目のサイレージ発酵品質(ファジービーン区, 平均値±標準誤差〉

グルコース添加量

無添加 10g 30g

1)古河:全窒素.

2)TA:総酸.

pH 揮発性塩基態窒素 比率(g/kgTN)1) 4.2:1::0.02 a 39士4.3 a

4.0士0.02 a 31 i:2.2 a 4.1士0.07 a 34i:2.3 a

3)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p <0.05) .

乳酸含量 (g/kg生重)

9.9士0.21 a 10.6士0.32 a

10.4土0.93 a

乳酸比率 (g/kgTA) 2)

861士27.1 a 882:1::14.3 a

894:1::9.5 a

(21)

サイラトロ の 無添加区とグルコース添加区とを比較すると, グルコー ス添加量の増加にともないpH および揮発性塩基態窒素比率 が低下し, 乳 酸含量および乳酸比率が高くなる傾向を示した. pHについては, 無 添加 区よりグルコース10g添加区が有意に低く(p<0.05) , グルコース10g

添加区よりグルコース30g添加区が有意に低い値を示し(p<0.05) , 乳 酸含量については, 無添加区と30g添加区との聞に有意差が認められ た

(p<0.05) .

ファジービーン の無添加区とグルコース添加区 を比較すると, pH, 揮 発性塩基態窒素比率 乳酸含量および乳酸比率については, いずれも各 処理区間に有意差は認められなかった (p>0.05) .

以上のように, 貯蔵40 日目のサイレージ 発酵品質はサイラトロよりファ ジーピーンで良好であり, グルコースの添加によりサイラトロの発酵品 質は改善されたが, ファジービーンでは, 発酵 品質に対する 有意 な効果 は認められなかった.

3. サイレージの成分組成の推移

3.1. 水 溶 性炭水化物組成の 推移

図4-1に各貯蔵日数における サイレー ジの水溶性炭水化物含量を示し た. 水溶性炭水化物含量は 全ての処理区で貯蔵3日間 で急減し, そ の後 減少は緩やかになった. 貯蔵11日目までは, 両草種とも グルコース添 加

-77-

(22)

-...:J co

(g/kg生重) 20

10

* a

3

サイラトロ区

貯蔵日数(日)

図4-1

ファジーピーン区

40 3 11

貯蔵日数(日)

水溶性炭水化物含量の推移

40

平均値±標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) .

:無添加区,

: 10g添加区,

: 30g添加区.

(23)

量の増加にとも ないサイレージの水溶性 炭水化 物含量も 多くなる傾向を 示したが, 貯蔵40日目には各草種ともグルコース添加処理区間に有意差 は認 められず(p>0.05), グルコース添 加量にかかわらずサイラト ロ (3.5�4.5 g /kg生重)よりファジービーン(1.2�2.1 g /kg生重)で低 い 値を示した. 両草種の無添加区を比較すると いずれの貯蔵日数でもサ イラトロよりファジービーンで低い値で推移した.

表4-7 および 表4-8に各貯蔵日数におけるサイレージの水溶性炭水 化物含量およびグルコース含量の減少量を示し た. サイレージ貯蔵中に は, デンプン, ヘミセルロースおよびセルロースの一部が分解され, 水 溶性炭水化物がわずかに生成される(Goeringet a1., 1970・McDonald et

a1., 1991 ; Morrison, 1979) . また, 代謝されずに分解されるグルコース も多少あると考えられる. 表4-7および表4-8に示した数値 はそれら を考慮していない. したがって, 貯蔵中に代謝された水溶性炭水化物量 は, 表に示した 値といくらか異なると考えられ るが 本試験においては この値を 貯蔵中に代謝された水溶性炭水化物量として比較する . サイラ トロの無添加区とグルコース添加区とを比較すると, グルコース添加量 の増加にともない水溶性 炭水化物の減少量は大きくなる傾向を 示し, い ずれの貯蔵日数においても無添加 区とグル コース添加 区( 10 gおよび30 g)との問に有意差が認められた(p<0.05). 一方, ファジービーンで は, 無添加区と 30 g添加区の間には貯蔵 11日目および40日目において有

QU ウt

(24)

αコ

表4-7 水溶性炭水化物およびグルコースの減少量 (サイラトロ区, g/kg生重, 平均値±標準誤差)

グルコース添加量 無添加

10g 30g

1)貯蔵日数.

水溶性炭水化物

31) 11

a 2). . _ _ _ _ a 7.2士0.23 - -11.0 :1:0.81 13.5:1:0.89 b 15.8 :1:0.55 b 15.7士0.84 b 20.9:1: 0.90 C

2)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p <0.05) .

40 12.6:1:0.29 a 19.4:1:0.12 b 26.3:1:0.75 C

表4-8 水溶性炭水化物およびグルコースの減少量 (ファジービーン区, g/kg生重, 平均値±標準誤差)

水溶性炭水化物

グルコース添加量 31) 11 40 無添加 11.3士0.68 a 14.8:1: 0.56 a 15.3士0.25 a

10g 11.1:1:1.91 a 16.4:1:0.10 a 17.9:1:0.09 b 30g 16.1土1.35 a 20.6士1.02 b 26.3士0.40 c

1)貯蔵日数.

2)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p <0.05) .

グルコース

3 11 40

1. 7:1: 0.24 a 2.3:1:0.07 a 2.4士0.07 a

8.6士0.35b 9.4士0.09b 10.0士0.03b 9.2士1.23b 13.0士1.09 C 16.9士0.06C

グルコース

3 11 40

4.2士0.23 a 5.9士0.03 a 6.0:1: 0.00 a

4.1土0.13 a 8.2:1: 0.19 b 8.5:1:0.03 b 7.2 :1:0.30 b 12.5:1:0.61 C 17.0:1:0.18 c

(25)

意差が認められたが(p<0.05) , 無添加区と グルコース10g添加区との 聞に有意差が認められたのは 貯蔵40日目のみであった. 両草種の無添加 区間を比較すると いずれの貯蔵日数でもサイラトロよりファ ジービー ンで高い値で推移した.

図4-2および図4-3 にサイレージのフルクトース含量およびグルコー ス含量の推移をそれぞれ示した. サイラトロの フルクトース含 量は, い ずれの処理区も貯蔵3日目までに急減しほとんど存在しなくなった. ファ ジービーンの貯蔵3日目のフルクトース含量はグルコース添加量に関わら ずサイラトロの各処理区より高い値を示したが, そ の量は1g /kg生重以 下であった. 貯蔵40日目には両草種とも 処理区間 に有意差 は認められな かった (p>0.05) . グルコース含量については, サイラ トロの無添加区 およびグルコース10g添加区では, 貯蔵3日目までに急減しほとんど存在 しなくなった. ファジービーンの無添加 区および グルコース10g添加区 では, 貯蔵3日目においてサイラトロの場合より多いグルコース含量を示 し, 3日目から11日自にかけての減少量が多かった. 両草種のグルコース 30 g添加区の グルコース含量は, 全ての貯蔵日数で他の処理区より有意 に大きく(p<0.05) , 11日目以降も減少が続き, 貯蔵40日目に1.0g /kg 生重以下となった.

表4-9に無添加区 の単・少糖類の減少量を示した. グルコースおよび フルクトースの減少量は いずれも全ての貯蔵 日数にお いてサ イラトロ

-8 1-

(26)

(g/kg生重) 1.。

サイラトロ区

0.5 b

ハunu

3

貯蔵日数(日)

図4-2

ファジービーン区

40 3 11

貯蔵日数(日)

フルクトース含量の推移

40

平均値±標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) . 口:無添加区, 図: 10g添加区, 圏:30g添加区.

(27)

(g/kg生重) 12

10

8 6

4

α3 2

む3

3

サイラトロ区

a,b a b

11 40

貯蔵日数(日)

a

ファジービーン区

C

3 11

貯蔵日数(日)

図4-3 グルコース含量の推移

40

平均値士標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) . 口:無添加区, 図:10g添加区, 圏: 30g添加区.

(28)

表4-9 無添加区の単・二糖類の減少量(g/kg生重, 平均値±標準誤差)

草種 3 1) グルコース サイラトロ 1. 7 ::!:0.04

ファジーピーン 4.2::!:0.23

差2) 2.5

フルクトース サイラトロ 2.1士0.04 ファジーピーン 2.6土0.13

0.5

その他4) サイラトロ 3.4士0.31 ファジーピーン 4.6::!:0.65

1.2

1)貯蔵日数.

2) (ファジービーン) - (サイラトロ) . 3)草種聞に有意差有り(p <0.05 ) .

11

2.3::!:0.07

5.9::!:0.03

* 3)

3.5 2.4::!:0.08

3.2士0.05

*

0.9

6.3士0.86 5.7士0.48 一0.5

4)グルコース, フルクトース以外の水溶性炭水化物.

40

2.4士0.07 6.0士0.00

* *

3.6 2.3士0.12

3.3::!:0.00

* *

1.0

7.9士0.22 6.0::!:0.23

-1.8 *

(29)

よりファジービーンで有意に高い値を示した(p<0.05) . フルクトース やグ ルコース以外 のシュクロ ース を主とす ると考 えられる(Smith,

1973)水溶性炭水化物 の減少量は , 貯蔵3日目 は有意でな いがサイラ ト ロよりファジービーンで高い値を示したが, 貯蔵11日目および40日目に はサイラトロで高い値を示し 貯蔵40日目については有意差が認められ

た(p<O.05) .

以上のように, 本試験にお いて貯蔵40日目にサイレージに残存した水 溶性炭水化物含量は, 各草種でグルコース添加処理区間に有意差は認め られず(p>O.05), また, グルコース含量はいずれも1g /kg生重以下に 減少したことから 添加したグルコースは貯蔵中に ほと んど代謝あるい は排汁中に 排出され たと考えられる. 貯蔵40日目の残存水溶性炭水化物 含量を草種間で比 較すると, サイラ トロのそれ(3.5---4.5 g /kg生重)は ファジービーン(1.2---2.1g /kg生重)より高い値を示した. 貯蔵40日目 において フルクトースやグルコースはほとんど存在しなかったこと から,

この残存水溶性 炭水化物含量の草種聞の差は, フルクトースやグルコー ス以外の水溶性炭水化物含量の違いによると考えられる.

水溶性炭水化 物の減少量を各草種のグルコー ス添加処 理区間で比較す ると, サイラトロではい ずれの貯蔵日数におい てもグルコース添加量の 増加にともない水溶性炭水化物減少量も増加した. しかし, フ ルクトー スの減少量やフ ルクトースおよびグルコース以外の水溶性炭水化物の減

-8 5-

(30)

少量につい てはグルコース添加処理区間に有意差は 認められず(p>

0.05) , 貯蔵中のグルコー スの減少量はグルコース添加量の増加に とも ない増加した (表4-6) . したがって, サイ ラトロにおけるグルコース 添加による水溶 性炭水化物減少量の増加 は, 貯蔵中に消失するグルコー ス量の増加によると考えられる. ファ ジービーンにおいても貯蔵40日目 では, グルコー ス添加量の増加にともない水溶性炭水化物の減少量も増 加し, 各処理区間に有意差が認められたが(p<0.05), 無添加区 の貯蔵 3日目の 水溶性炭水化物の減少量は, グルコース10g添加区とほとんど同

じ値 であ った (p>0.05). この 間のグルコースの 減少量も ほぼ同じ 値 (無添加区 ; 4.2g /kg生重, 10g添加区 ; 4.1g/kg生重)であり(p>

0.05) , サイラトロの無添加区の原料 草のグルコース含量( 2.5g/kg生重) より多かった.

水溶性炭水化物の減少量を無添加区について草種間で比較すると, い ずれ の貯蔵日数においても2.7�4.1 g /kg生重 の差でファジービーンで有

意に高い値を示した(p<0.05). この草種間の差は, 表4-4および表 4-9に示したように ファジービーンで原料草の単糖類 特にグルコース 含量が多く, 貯蔵中の減少量(両草種の差は2.5�3.6g /kg生重) も多かっ たことによる も のであった.

3 . 2. 有機酸組成の推移

図4-4にサイレージの総酸含量の推移を示した. 総酸含量は, 両 草種 -86-

(31)

α3 ...::]

(g/kg生重) 20

3

サイラトロ区 ファジービーン区

a a

11 40 3 11 40

貯蔵日数(日) 貯蔵日数(日)

図4-4 総酸含量の推移

平均値±標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) .

:無添加区,

: 10g添加区,

: 30g添加区.

(32)

の無添加区およびファジービーンのグルコース3Qg添加区では貯蔵3日目 まで, その他の処理区 では11日目まで増加し, その 後40日目まで緩やか に減少する推移 を示した. サイ ラトロにおいて は, 有意 差は認められな いもの の( p >0 .05) , グルコース添 加量の増加 にとも ない総酸含 量が 増加する傾向を示した. ファジービーンの総酸含量についてはいずれの 貯蔵期間においてもグルコース添加処理区間に有意差は認められなかっ た(p>0.05) . 両草種の無添加 区の総酸含量はいず れの貯蔵日数にお い てもファジービーンで高い値を示した.

図4-5にサイ レージの乳酸比率の 推移を示した. 乳酸 比率は, 貯蔵3 日目あるいは11日目に最高 値を示し, その後40日目まで緩やかに減少す る推移を示した . サイラトロにおいてはグルコ ース添加 量の増加にとも ない乳酸比率が増加する傾向を示したが, ファ ジービー ンの乳酸比率に そのよう な傾向 は認められなかった. 両草種の 無添加区の乳酸 比率は全 ての貯蔵日数においてファジービーンで高い値を示し 貯蔵3日目および 11日目については有意差が認められた( p<0.05) .

図4-6にサイレージの酢酸比率の推移を示した. 両草種の酢酸比率は,

貯蔵3日 目から11日目にかけほぽ横ばいあるいは低下し 11日目から40 日目にかけて増加する推移を示 した. サイラトロにおいてはグルコース 添加量の増加に ともない酢酸比 率が低下する傾向を示したが, ファジー ビーンの酢酸比 率にそのような傾向は認められなかった. 両草種の無添

-88-

(33)

αD

<D

(g/kg総酸) 1000

900

800

700

600 3

サイラトロ区

b

11 40 3

貯蔵日数(日)

図4-5 乳酸比率の推移

ファジーピーン区

a a a

11 貯蔵日数(日)

40

平均値±標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) . 口:無添加区, 図:10g添加区, 圏:30g添加区.

(34)

(g/kg総酸) 300

200

-CO!

サイラトロ区

100

ファジーピーン区

a a

11

貯蔵日数(日)

40 3 11

貯蔵 日数(日) 3 40

図4-6 酢酸比率の推移

平均値±標準誤差, *同一貯蔵日数の異なる文字聞に有意差有り(p <0.05) . 口:無添加区,図: 10g添加区, 圏:30g添加区.

(35)

加区の酢酸比率 を比較すると, 全ての貯 蔵日数においてファジービーン で有意に低い値を示した(p<O.05).

以上のように , サイレージ貯蔵中の有 機酸生 成は, 水 溶性炭水化物が 急減した貯蔵初期に盛んに行われ, その後総酸含量は横ばい状態あるい は減少する推移を示した . 図表には示して いな いが3日目あるいは11日目 以降は全ての処 理区で乳酸含量は 減少し, 酢酸比率が増加したたことか ら(図4-6) , この期間に乳酸 を基質とする二次発酵 が乳酸生成より盛 んになったと考えられる.

3日目あるいは11日目以降の総酸含量の増加が認められなかった期間も 水溶性炭水化物含量は, 特に両草種のグルコー ス 添加区で多く減少し,

全ての処理区で貯蔵40日目の総酸含量(図4-4)は水溶性炭水化物の減 少量(表4 -6および表4 -7)よりか なり低い値を示した. この基質の 減少量と 総酸含 量 との違いは, 植物酵素や微生物による呼吸, 乳酸菌以 外の細菌による発酵 あるいは前述の二次 発酵に より 本試験 で測定した 有機酸以外の最終産物(ギ酸 二酸化炭素, エタノール マンニトール,

水素等)に代謝された ことに よ る と考 え ら れ る. この点について Chamberlain (1988) は, 無添加でも良好な発酵品質を示すイタリアン ライグラスに対してグル コース を添加した場合 乳酸含量の増加が認め られず酵母数 およびサイレージ中のエタノール含量が増加したことを報 告している. その他に, 本試験においては貯蔵 3日固までは排汁を排出さ

-91-

(36)

せたことから この期間に関しては そのまま排汁中に溶出し た炭水化 物が存在した可能性が考えられる.

総酸含量および有機酸 組成を各草種のグルコ ース添加処理区間で比較 すると, サイラトロではグルコースの添加によりサイレージの総酸含量 が増加するだけでなく 有機酸組成も改善された. 表4-6 に示したよう にサイラトロではグルコースの添加により貯蔵3日目までに代謝される水 溶性炭水化物量が有 意に増加したが(p<0.05) , これは代謝されるグル コース量の増加によるものと考えられた. グル コースは フルクトース やシュクロースよりヘテロ乳酸 発酵における乳 酸あるいは有機酸の生成 効率が高く, 有機酸以外の物質の生成率が低い(Whittenbury et al.,

1967) . したがって, サイ ラトロサイレージに おいては, グルコースの 添加により利用可能な発酵基質の組成が乳酸あるいは有機酸生成効率が

高い方に改善され, 乳酸比率や総酸含量が増加したと考えられる. 一方,

原料草のグルコース含量がサイラトロの2倍以上(6.0g Ikg生重)であっ たファ ジービーンサイレージではグルコース添加効果は認められなかっ た. 総酸含量および乳酸含量が急増した貯蔵3日自において, ファジービー ンの無添加区の総酸のほとんどが乳酸であり(923g IkgTA) , この乳酸

比率の値はグルコースの減少量(1.7g Ikg生重)が少なかったサイラト ロの無添加区より有意に高い値を示した. しかし, グルコース減少量の 多かったサイラトロのグルコース 10g添加区および両草種のグルコース

-92-

(37)

30g添加区での乳酸比率の有意な増加は 認められなか った(p>O.OS) . これらのことから, 本試験におけるグルコースの添加によって 発酵基質

組成 を改善した場合の乳酸比率 の上限は約900g /kgTAと考えられ, ファ ジーピー ンの発 酵基質の 組成は, グルコ ースを添加せずとも高い乳酸比 率を達成できるレベルにあったと考えられる.

結論

ファジービー ンの水溶性炭 水化物含量は , 暖地型マメ科牧草の中では 相対的に多い特徴を示したが, 暖地型イ ネ科牧草ネピアグラスほど多く はないことが示された.

ファジービーンの単糖類の組成に関して, 暖地型牧草の中で, グルコー ス含量およびフルクトースに対するグルコ ース含有比率 が高い特徴を示 した.

サイラトロサイレージではグルコース添加による 発酵品質の改善効果 が認められたが, ファジービーンではそれ が認められなかった.

原料草としたファジービー ンはサイラト ロと比較して水溶性炭水化物 含量は同じくらいであったが, グルコース 含量が多く, サイレージ貯蔵 初期により多くのグルコースが代謝されたと考えられた.

ファジービーンサイレージはグルコース を添加せずとも高い乳酸比率 -93-

(38)

を示し, グルコース含量の多さがファジーピーンサイレージの良好な有 機酸組成の主要な原因の一つであると考えられた.

-9 4-

(39)

第3節 摘要

第1節においては, ファジーピーンの水溶性炭水化物 組成の特徴を明

らかにするために 再生3週目 , 6週目 および9週目においてサイラトロ,

熱帯クズ, クックスタイロ, グリーンリー フデスモディウム, ガットン

パニックおよびネピアグラスとその組成を比較した.

その 結果, ファ ジー ビーン の水溶性炭水化物含量は乾物当たり4.1---

7.8%であり, 暖地型マメ科牧草の中では相対的に多い特徴を示したが,

寒地型イネ科牧草や熱帯・亜熱帯地域でサイレージ原料草 として用いら

れる ことの多いネピアグラスほど多くはないことが示された. また, 単

糖類の組成を調べた結果, ファジービーンのフルクトースおよびグルコー

ス含量はそれぞれ O.2�O.5%およびO.8�1.2%であり 他の草種と比較し

て, グルコース 含量は多く, フルクトースに対する グル コース含有比率

が高い特徴を示した.

第2節においては, ファジービーンにおける 水溶性炭水化物組成 とサ

イレージの有機酸組成の特徴 を明らかにするために, フ ァジービーンお

よびサイラトロにグルコース を添加してサイレージ調製を行い, その発

酵を経時的に検討した.

グルコースを 添加しない場合 サイレー ジの発酵品質はサイラトロよ

りファジービーンで優れたものと なった. また サイラトロはグルコー

FD nu

(40)

ス添加により発酵品質が 改善されたが, フ ァジービーンでは 添加したグ ルコースが, 乳酸含量増加やpH低下による貯蔵性に改善効果を示さなかっ た.

貯蔵初期の水溶性炭水化物の減少量は, サイラトロよりファジービー ンで有意に多く(p<O.05) , それは主としてグルコース減少量の差によ るものであ った.

乳酸生成効率が高いとされるグルコースを添加した場合, サイラトロ ではグルコースの代謝量は有意に増加し(p<O.05) , 乳酸比率も増加し たが, 原料草のグルコース含 量が高かったファジービーンでは乳酸比率 の向上は認められな かった .

これらのことから, グルコ ース含量の多さがファジービーンサイレー ジの良好な有機酸組成の重要な原因の一つであると考えられた.

-96-

(41)

第5章 総合考察および結論

本研究に供試した暖地型マメ 科牧草ファジービーンは, 一般 に良好な サイレージ貯蔵が困難であるとされる暖地型牧 草の中で は 良好な発酵品 質を示すことが紹介されていたが(Skerman eta1., 1988) , そのサイレー ジ発酵について の詳細な研究はほとんど行 われ ていなかった. したがっ て, 本研究にお いては, まず, 第2章において , そのサイレー ジ発酵品 質を明らかにするために単播草を用いてギニアグラスとの比較検討を行っ た.

マメ科牧草導入の利点として, 窒素固定能による土壌の肥沃度の改善,

栄養価の高さに よるイネ科牧草の栄養価補完, 混婚による収量の増加等 が挙げられる (Barnes et a1., 1995 ; D'Mello and Deverndra, 1995) . ファ ジービーンでは , それらの 利点に加えて一般に発酵品質 に劣るといわれ る暖地型イネ科 牧草のサイレー ジの飼料価値の改善効果が期待されたこ とから, ファジービーン を混播あるいは混合してサイレージ調製を行っ た(第3章) .

さらに, サイ レージ貯蔵において発酵品質お よび栄養価に関係する重 要な成分である蛋白質と水溶性炭水化物のファジービー ンサイレージに おける貯蔵中の変化の特徴を第3章第2節および第4章で検討した.

-9 7-

(42)

以上の研究において単播草として供試した草種は, 1990年度にギニア グラスおよびグリーンパニック, 1991年度に生育期間の異なるファジー ビーンおよびギニアグラスそれぞれ3例, 1993年度にファジ ービーン,

青刈ヒエ およびバヒアグラス, 1996 年度に再生期間の異なるファジービー ン, ファジービーン以外の暖地型マメ科の4草種(グリーンリーフデスモ ディウム, サイラトロ, クックスタイロ, 熱帯クズ)並びに暖地型イネ 科の2草種(ガット ンパニック, ネピアグラス)それぞれ3 例, 同じく 1996年度に栽培したファジービーンおよびサイラトロであ り, 合計する とファジービーン8例, 暖地型イネ科牧草13例, ファジービーン以外の暖 地型マメ科牧草13例のデータが得られた. それらの全結果をまとめ, 表

5-1および表5 - 2に示した. サイレージについては他の草種との混播 や混合, グルコース添加を行わなかった例が, ファジービーンで5例, ファ ジービーン以外で8例である. それらの結果をまとめ表5- 3に示した.

なお, サイレージ調製方法並びに炭水化物および有機酸組成の分析方法 について各試験問で異なる場合もあった. すなわち, サイレージの調製 方法としては, 試験サイロの大きさ, 原料草の細切長および詰め込み密 度, 排汁の排出の有無, 貯蔵温度, 貯蔵期間等が 異なり, その影響が 第 2章においてギニアグラスサイレージで乳酸の含有が 全く認め られなかっ

た原因のーっと考えられる. また, 炭水化物組成については第2章およ び第3章第1節 においては水抽出物をア ンスロ ン硫酸法 で, 第3章第2 節においては水抽出物をソモジ滴定法で, 第4章においては 8 0%エタノー

-9 8-

(43)

ル抽出物をアンスロン硫酸法で測定した値を水 溶性炭水 化物含量とし,

有機酸組成については第2章お よび第3 章第2節におい てはガスクロマ トグラフ法で, 第3章第1節に おいてはフリーク法で, 第4章において は高速液体クロ マトグラフ法による分析値を各有機酸含量とし た. 本章 においては, そ れらをもとにファジービーンサ イレージの特徴を明らか にする.

第1節 サイレージ原料草としての成分含量の特徴

表5-1にサイレージの発酵品質に影響すると考えられている原料草の 化学的要因(須藤, 1971)のうち乾物率 , 水溶性炭水化物含量および糖/

蛋白比を示した . ファジービーンの乾物率は 本試験に供試した暖地型 イネ科牧草やファジービーン以外の暖地 型マメ科牧草の場合より有意に 低い値を示した(p<O.05).

ファジービーンの水溶性炭水化物含量は, 他のマメ科牧草のそれより 有意に 高い値を示し(p<O.05) , 暖地型イネ科牧草のそれとの聞に有意 差は認められなかった(p>O.05).

ファジービーンの糖/蛋白比は 暖地型イネ科牧草のそれより有意に低 い値を示したが(p<O.05) , 他の暖地型マメ科牧草のそれとの聞に有意 差は認められなかった(p>O.05).

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(44)

表5-1 ファジービーンとその他の媛地型草種の成分組成 (平均値±標準誤差)

糖/蛋白比 水溶性炭水化物

(g/kg乾物) 乾物率

(g/kg) 草種

0.47:1::0.067a 77.5:1::6.81 b

2)

159士7.2弘

0.86:1::0.136 b 61.7士6.81b

214:1:: 17.3 b

0.21士0.033a 32.0士3.67a

204:1::9.7b ファジーピーン

(n=8)

イネ科牧草 (n=13)

ファジーピーン以外のマメ科牧草 (n=13)

1) (水溶性炭水化物) 7 (粗蛋白質) .

2)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p<0.05) .

lHOO-

ファジービーンとその他の暖地型草種の栄養価(平均値±標準誤差) 表5-2

乾物消失量1) (g/kg乾物) 細胞壁成分

(g/kg乾物) 粗蛋白質

(g/kg乾物)

\... 2)

176:1:: 13.9 u 519:1::18.6 a 595:1:: 18.8

640:1:: 18.2 b

584士12.0 526士14.1 a

89:1:: 12.0a

唱。Qd QU +一QU 円hu--

草種

ファジーピーン (n=8)

イネ科牧草 (n=13)

ファジーピーン以外のマメ科牧草 (n=13)

l)McLeod and Minson (1976)の推定式による乾物消化率.

2)同列の異なる肩文字聞に有意差有り(p<0.05) .

(45)

これらの原料草の組成の他に重要な要因として 緩衝能が 挙げられる が,

一般にイネ科 牧草では 3 0r-..;4 0ミリ当量/100g乾物, マメ科 牧草では 50r-..;

60ミリ当量/100g乾物とされている(Kaiser, 1984 ; McDonald et al.,

19 91) . 本研究での 緩衝能の測定例は 8例しかな くファジ-ビーンで 34. 6 r-..;56 .5ミリ当量/100g乾物(4例 ) , ギニアグラスで28. 9r-..;48.8 ミリ当量 /100 g乾物(3{ffU) , サイラトロで37.7 ミリ当量/100g乾物であった . こ の緩衝能につい てファジービーンは 他の 暖地型牧草と比較して必ずしも 低く ないと考えられる.

以上のように 第2章でギニ アグラスあるいは文献の値と比較しな が ら論議した結果と同様に, 本研究全体で得られた結果からも, ファジー

ビーンはサイレージ原料草として乾物率, 緩衝能および糖/蛋白比に関し ては必ずしも優れているとはいえないと考えられる.

しかし , 本研究における 原料草の成分組成の分析結果のうち, 暖地型 イネ科牧草やファジービーン以外の暖地型マメ科牧草と比較した場合,

ファジー ビーン の良好なサイレ ージ発酵品質と 関連があると考えられる 成分組成の特徴がいくつか挙げられる. まず, 暖地型イネ科牧草と比べ た場合に, 第2章で論議し表5-2にも示したように, 細胞壁成分含量に 関して, ファジービーンのそれは有意に低い値を示した(p<0.05) .

次に, ファジ ービーン以外の暖地型マメ科牧草と比べた場合に, 第4 章第1節において 論議し表5-1に示したように水溶性炭水化物 含量に関

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(46)

して, ファジーピーンのそれは有意に高い値を示し(p<0.05) , その結 果, 糖/蛋白比に関しでも有意ではないが高い値を示した(p>0.05) .

最後に, 暖地 型イネ科牧草お よびファジービ ーン以外の 暖地型マメ科 牧草と比較した場合に, 単糖類の組成に関して, ヘテロ 乳酸発酵におけ る乳酸生成効率が高いとされるグルコースの割合が高い特徴が第4章第 1節において示された. これに関しては, 第4 章第2節において原料草 とした フ ァジービーンとサイラトロを比較した場合にも同じ傾向であっ た.

第2 節 フ ァ ジービーンの栄養価

表5-2に本研究におけるファジービーン, 暖地型イネ科牧草およびファ ジービーン以外の 暖地型 マメ科牧草の粗蛋白質および細胞壁成分含量を 示した. マメ科 牧草導入の利点の一つにイネ科牧草に不足しがちな蛋白 質含量を増加させる点が挙げられている. 多くの文献データをもとに,

暖地型イネ科牧草で約90g /kg乾物, 暖地型マメ科牧草で約170g /kg乾物 という値が粗蛋 白質含 量の平均値と し て報告さ れている (Minson,

1990) . 本試験における結果もこの報告とほぼ一致しており, 他のマメ 科牧草と同様に粗蛋白質含量の多い ファジービーンの導入により, 暖地 型イネ科牧草の蛋白質不足を補うことが可能であると考えられる.

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