特別寄稿●株式上場基準の改l「二とあ り方について 特別寄稿
株式上場基準の改正 とあり方について
久 保 幸 年
は じめに
わが国金融 ・証券市場 においては、 いわゆる 日本版 ビ ッグバ ンとよばれ る抜 本的 市場改革が行 われてお り、 市場 に大 きな変革 をもた らしている。 この 日本版 ビッグ バ ンは、free(自由)、fair(/LIJE)、global(国際化) とい う三つの基本的観点か ら、
市場 につ いて改革 を推 し進 め ようとす る もので あ る。 企業の経営活動が 国際化 し、
また情報 ・通信技術お よび金融 に関す る技術革新 の国際的進展 を受 けて市場 の グロ ーバ ル化が進 んでいる現状 を踏 まえる と、 日本版 ビッグバ ンにおいて成 し遂 げ よう と した こ とは、 わが国金融 ・証券 市場 が21世紀 にお いて有効 な機能 を引 き続 き果 た して行 くためには、ある意味で必然的 な要請であ った とも言える ものであ る。 今 般 の証券市場 にお ける 日本版 ビ ッグバ ンの方向付 けを行 った大蔵大 臣の諮問機 関で ある証券取 引審議会の答 申において、市場 の制度改革の 目的 につ いて、「い まこそ、
早急 に国際的水準 に までわが国市場 の魅力 と競争力 を高め、活力あ る証券市場 を構 築 し、わが国の投 資家や資金調達が新 たな市場 の持つ可能性 を存分 に享受 で きるよ
うにす る」(注 1)ため としたのは、こうした実状 を如実 に物語 っている といえよう。
東京証券取 引所 (以下、「東証」 とい う。) (注
2 )
は、 この 日本版 ビ ッグバ ンが進 め られている 日本の株式市場 においてセ ン トラル ・マーケ ッ トとして新規 上場基準 の改革 お よび新市場 の創 設 な どを行 ってい る。 そ こで、本稿 にお いて は、平成11 年 に行 われた既存市場 の基準 に係 る大改正 と新市場叩 マザー ズ‑ の創 設につ いてそ の内容及 び趣 旨を論述 した後 (今般 の改正 までの東証の新規上場 に関す る基準 の変 遷 の まとめは紙幅の都合 によ り割愛す るが、別の機 会に提示 したい と考 えている。)、そ もそ も新規上場 の適格性 を規定すべ き要件 の意義 とあ り方につ いて考察す ること とす る。 なお、文
I f
lにおける意見 は筆者の個人的見解 に よる ものであるO国際経常 フォーラムNo.ll
第‑ ビッグバン対応の今般の基準改正 と新市場創設
Ⅰ 既存市場‑市場一部 ・二部の新規上場基準の改正
東証 は今般 の ビ ッグバ ンへの対応の
中
で魅 力ある中堅 ・中小企業の新規上場 を促 進 し、我が国証券市場 の 一層の機能拡 充 を図 る観点か ら、 L場審査基準 等の新規上 場 に関す る関係基準 及び取扱 いについて全般 的 に見直 しを行い、その結果 を受 けて それ らの基準 及び取扱 いにつ いて所 要の改 正を行 い、平成11
年 1月か ら施行 した。本改正の主要 な部分の内容 とその主 旨を示せ ば次の とお りである。
1 上場 申請 に係 る基準関係 (1)上場株式数
年〕改正内容
・現行 基準 においては、「営 業の 主体」 の所 在地が 「東京周辺」 であ る場 合 は
4 0 0
万株以上、 「東京周辺以外」である場合 は
2 , 0 0 0
万株以 上としてい るが、 これ をいず れの場 合 も4 0 0
万株以 上としたO凄〕改正
主旨
・現行基準 においては、「営業 の主体」す なわち 巨たる経営活動が行 われてい る地 域毎 に投 資者 及び流通市場 を想定 し
、「
東京周辺」 の投 資 者 ・市場 に対 して も投 資 対象 となる株式が ・走昼以 上二提供 され るようにす ることな どのため、「営業の主体」が 「東京周辺以外
」
にある会社 に対 しては 「東京周辺」 の会社 よ りも多 くの上場株 式数 を求め るこ ととしていた。 しか し、現 在では相場情事酎こ関 しては情報端 末に より全国で瞬時 に把握で きるような 手当てが既 にな されてお り、決済の面 において も 証券会社の支店網 等の拡大や証券保管振 替制 度の導入等 に よ り、投資者及び流通市 場 に係 る地域 間の問題 は解消 されている とい って よい状況 にある。そ こで、現行規 定 において設けている 「営業の i:.体
」
の所在地 に伴 う所要上場株式数 に係 る基準1 二
の格差 を撤廃す ることとした ものである(。また、 ヒ場 lFl請 についての地域制 限 (東 京周辺以外の会社 は地元の証券取 引所 とl卵寺またはすでに上場 していることを要す る とす る規制いわゆるテ リ トリー制) 自体 も平成12年7月か ら撤廃 され る。(2)株式の分布状況 (株主数基準) Llj改正 内容
1二場株式が
1 . 0 0 0
万株以 仁の場 合における所 要株 主数 を引 き下げた。〔2〕改正
主旨
現行基準 は ・定の 上場株式数 を超 えた ところで、所要株主数 を大幅 に増加 させ る こととしているが、最近の証 券市場 の状況の影響 もあ り、̲ド.場
卜
裾詣会社が L.場時の120
特別寄稿●株式 上場基準の改正 とあ り方について 株主作 りにおいて所要株主数 を達成す ることが国難 な場 合が少 な くない とい う実態 等 に配慮 し、上場株式数 に
応
じた所要株 主数の増加幅 を緩和 し、 上限 となる所要株 主数 を引 き下げる ことと した ものである。 なお、流動僅確保の観点か ら、現行の最 低水準の所要株主数 は維持す ることとしている,)(3)株主資本の額 C1)改正内容
た。
・絶対額 につ いては、連結財務諸表に計上 され る数値 を対象 とす ることとし、水準 は現行の10億 円 を維持す る.。
②改正 主旨
の趣 旨を生か して適用す ることが難 しい場 合があ ること及 び発行済株式数の多寡 に よ り結果的 に上場 申請 を阻害す る要 因 ともなる形式基準 を見直す とい う観点 も踏 ま えて、同基準 を撤廃す ることとした ものであ る。
・今般の証券取引法 Lの制度開示の改正 に もみ られるように、我が国において も企 業情報の開示が連結 主体 とな り、投資判断 は企業集団の業績等の状況 をベースに行 われてい くこととなることを踏 まえ、上場 審査基準上 の財務数値 については連結数 値 を用 いることとした ものである。
(4)利益の額
①改 正内容
・2年基準 と3年基準の 二つの基準 を設 けた。す なわち、基準 の対象期 間 を現行の3 年間か ら2年 間に短縮 した基準 (2年前1億 円、直前期4億 円) と、3年間の利益が 所 定の額以 上であ る とす る基準 (3年 前1億 円、匿 前期4億 円で、かつ、3年間の利 益の額が合計で6億円)である。
・基準上の利益の額 につ いては、連結財務諸表 に計 上▲される数値 を対象 とす る こと とした。
2改
l l L ' .
i:.旨上 した ものの安定的 な収 益基盤 を有す る会社 等 につ いて も早期 に 卜場 を図 ることと す る等の観点か ら、基準 を緩和す ることとした ものである。〕
基準の見直 しと
同
じ考えによる。国際経営 フォーラム No.ll
( 5 )
利益配当 (ij改正 内容利益配当 を実施 していることを要す る とす る基準 を撤廃 した。
②改̲1日 三首
利益配当 を行 わず に、再投 資のために内部留保 に努 めている成長途上 にあるよう な会社 に も 上場 の途 を拓 くこととす るため、配 当の実績基準 は撤廃す ることとした ものである。配当 t1‑用旨な利益水準 を有す るか杏か を
l
二場審査で確認す る点 は これ ま で と同じである。(6)財務諸表等 IL!klt:.内容
財務諸表等 において虚偽記載 を行 っていない ことを求め る期間について、現行の 3年間 を2年間に短縮 した。
② 改正 主旨
所要監査対象期 間の緩和 に対す る要望及び監査済財務 諸表の必要性 と開示期 間並 びに利益の額の審査対象期 間 との兼 ね合い等 を踏 まえ、虚偽 記載 に係 る期 間 を規定
した基準 を緩和す ることとした ものである。
③継続監査
財務諸表 に求めていたいわゆる継続監査の要件 (上場 申請 tlの直前事業年度の末 日か ら起算 して2年以前か ら継続 して監査 を受 けてい るこ と) は上場基準 において は規定 しない こととした。 これは、所要の監査手続 き実施等の観点か ら求め られ る 内部統制組織 の整備 ・運用の状況 並びに会計処理の原則及び手続 きの状況等 を踏 ま え、証券取 引法監査 に準 じた監査 を行い、 監査意見 を表明す るためには どの時点か ら監査 に入っているべ きか については、本来 は監査人たる公認会計士 叉は監査法 人 の判断 に委 ね られ るべ きものであることか ら、証券取引所が この点 について格別の 規定 を設けない こととした ものであ るo換 言すれば、現行の ような格別な規定 を設 けな くとも、監査 人 と被監査 会社 たる上場 申請会社 との間において的確 な監査契約 が締結 されるこ とを当然想定 している ものである。
2上場審査関係 (1)審査対象
①改正 内容
上場審査 は、上場 申請会社 を対象 としていたが、 これ を上場 申請会社 を頂点 とす る企業 グループ (注3)を対象 とす ることに改めた(〕
②改正主 旨 122
特別寄稿●株式上場基準の改 LEとあ り方について
・証券取 引法 に基づ く現行 の制度開示 においては個別財務諸表等の個別ベ ースの情 報が主であ り、連結ベースの情報 は従 たる もの としてその情報 量 も限界的な もので あ るが、 こうした状況の下 において も、株価 に対 しては連結情報が大 きな影響 を与 えている との実証研究 もな されている。 こ うした中で、証券市場 の グローバル化の 進展 の状況等 を緒 まえ来年度か らは制度開示 にお いて も連結ベースの会社情報が主 たる投 資判断情報 として開示 されることとなっている。 この よ うに、制度上 も投 資 判断情報 としては連結情報がの中心 的な もの と して位置付 け られ ることになった。
ここで
、
上場審査は発行会社 の証券市場へ の参加 の適格性 に係 る審査であ るか ら、審査すべ き事項 は証 券市場 において主たる投 資判断情 報 と して位 置付 け られている ものあ るい はその よ うに位置付 け られ るべ きもの と重要 な関連 を有 す る ものであ る。 そ こで、上述 した ように連結情報が主たる投 資判断情報 として位 置付 け られた ことを踏 まえ、上場 審査 は上場 申請会社 を含めた企業 グルー プベースの経済的実態 を審査対象 として行 うこととした ものである。
(2)「継続性及び収益性
」
に係 る審査関係①改正 内容
上場審査 において重要 な審査項 目となっている 「企業の継続性 及 び収益性」 の審 査 につ いての主要 な改正点 は次の とお りである。
・企業 グループの 「損益及び収 支の見通 しが良好」か どうか を審査す る。この場合、
企業 グループの経営活動が健全 に継続 される状 況 にある と認め られ る ときで、次の イ叉はロに該 当す る ときは、「良好」 な もの として取扱 うこととす る。
イ最近の損益及 び収 支の水準 の維持が見込 まれること
ロ損益又は収 支が悪化 していて も、今後の回復が見込 まれ るな ど当該状 況の改善が 見込 まれること
・企業 グループ として相応 の利益配当を行 うことが で きる利益 (配当可能利益) を 計上す る見込みがあるか どうか を審査す る。
・資本下位 会社等の状 況 に関す る審査 につ いては、当該状況が企業 グループに及ぼ す影響 の重要性 を考慮 して行 う。
②改正主 旨
・企業経営 においては、その 日的たる利益獲得 と共 に経営活動 の継続性 の前提 とな る支払能力の維持が重要である
。
上場 審査 において も従 来か ら損益 及び収支 の状 況 を審査 して きたが、 これ を規則上 も明確 にす ることに した。動す る方がむ しろ通常 であ る。 そ こで、上場前 において、例 えば企業 グルー プにお いて格別の又 は 予想以上の好決算 となった場合 な どにおいて達成 された損益及び収
国際経営 フォーラムN().ll
文 の水準 につ いて は、 もちろん当該水準が上場後 も引 き続 き維持 ・向上 され る こ と が望 ま しい ものの、 卜述 の損 益 及び収 支の性 格 も考慮 し、 当該水準 の達成の 事情 を 踏 まえて しこ場 審査 を行 うこ ととした。
イの 「最近 にお ける損益 及び収 支の水準」 の判断 はこ う した観点 を踏 まえて行 う。
・今般 の と場 審 査基準 の見l自二しに よ り配 当関係 の基準 が撤廃 されたが、 これ は、株 主に配 当の形 で利益配分す るこ とを求 め るな ど、企業が獲得 した利益配分の 方針 に つ いて格 別の規定 を設 けない こ と、 とした ものであ る。 「経常成績 の見通 しが 良好」
る利益 を計 Lしてい るこ とは必要 であ るため、 こう した点 を従 前 どお り上場 審査 に おいて審査す るこ とを明文化 した。
Ⅱ 新興企業向け市場‑ マザーズの創設
1 マザ ーズの 目的 お よび基本的 コンセプ ト平 成11年11月、 東証 は、 いわゆ るベ ンチ ャー企業等 の新興 企業 を L二場 対象 と し た新 しい市場 と して、マザ ー ズ (Mothers:MarketQf土hehigh‑gr()wth and 皇me工gingst()Cks)を創 設 した。 この新 しい 市場 の創 設 は、 わが国において次 世代
を担 う新 たな産業の育成が経済直 生 の ための喫緊の課 題 となってお り、そのため に は新興 企業へ の資金供給が これ まで以 I二に 重要 とな り、 わが国証券市場が この面 で
(1)マザー ズにお ける I二場 対 象お よび 卜場基準
・L
場 審査の基本 コ ンセプ トを掲 げ れば次 の とお りであ る。L
T
1 月
二場対 象‑個 人創業型 、 企業 内ベ ンチ ャー型あ るい は情報通倍等のいわゆ る イ ン フラ型 の新興 企業 な ど、企業の大小 を問
わず次 世代 を担 う高い成長 吋能性 を有す る 企 業を上場対象 とす る。〔㌢・財務 数値 基準 等 ・・・既 存 の東証 市場 にお いて は、継続 的 に事業 を営 み、 かつ、
損 益お よび収 支の 見通 しが 良好 な企業 を 卜場対象 としてい るの に対 して、マザー ズ において は過去 の経営活動 の実績 は問 わない こ ととし、利益 ・株 主資本の額や設 立 後の経過 年数等 に関す る基準 はない。 業績 ・事 業継続等 は L場審査対 象 としない 市 場 としたため、 これ に関す る基準 を設けない こ ととした ものであ るo
(
享 )
上場 審査 ‑ ・デ ィス クロー ジャー に関す る審査 を中心 と し、 事業継続 な らび に損 益 お よび収 支の状 況 に関す る審査 は行わない。④ デ ィス クロー ジャーの強化 ‑ ・デ ィス クロー ジャー資料 にお け る提 供情 報 の充実 お よび四半期 の業績概況 の開示や会社説 明会の開催 の義務化 を行 う。
124
特別寄稿●株式 卜場基準の改 正とあ り方について ズにお けるそれ とを比 較 して考 えた場 合 、
l
二場 審査 の対応 に端 的 に現 れてい る よ う に 事業 の継 続 性 お よび良好 な収 益性 等 が 見込 め る企 業 を対 象 と して い る既 存 市場 と、そ もそ も起 業 して間 もないベ ンチ ャー企業 の ように実績 お よびそれ に基づ いた 見込み を求 め るこ と自体 が適 当で ない企業、 したが って 今後 の成 長の見込み に着眼 す る こ とが その特性 にふ さわ しい企業 を対 象 と したマ ザ ー ズ市場 とで は、 上場 制 度 ・基 準が 異なるのが む しろ当然 であ る。 こ う した観点 か らす れ ば、マザ ー ズ市場 の 開設 に よ り東証 は 文字 どお り 「二つ の市場」 (外 国株 市場 も入 れれ ば 「二つ の 市 場」 )
を開設 してい る こ とになる。 それぞ れの市
場 につ いてその開 設の趣 旨や し場 政 策・
市場 の コ ンセ プ トを踏 まえて l二場基 準 を考 える こ ととなるので、各市場 間の 上場 基準 等 は異なる部分 もlLH,て くるこ とになる。
上場 基準 を外l
射朱市場 の 上場 基準 や上場 審査の対応 が 内国株 の既存市場 (市場 第二 部、 第 一部) と異なってい る よう に、今般 開設 したマザ ー ズの 卜場 基準や上場 審査 も既 存 市場 のそれ とは異なってい る。 さ らに 言えば、異 なる部分が
出て くるか らこそ、別の 市場 と してい る とい った ほ うが む しろ適 当か も しれ ない。2 上場 申請 に関 す る基準
マザー ズに上場 申請 を行 うにつ いて、企業が満 たすべ き基準 、つ ま り 【二場 申請基 準 (東証 か ら見る と、 申請受付基準 ) は、次 の とお りであ るO
(1)株式分布基準
(
i l J1 , 0 0 0
株以 Lの公募 の実施上場 に際 して、
1 . 0 0 0
株 以上 の公募 を実施す る こ と。 マザ ー ズの上場 対 象 は、新 興 企業 と した ことか ら、現 行 商法適fHFでの会社設立 を想定 してい るため、単位株 剛 度 の 適 用 (多 くの 会 狸 は1 単位 1, 000
株 ) の 会 社 を想 定 した 規 定( 1 , 000×
1000‑100万株 ) とは しなか った ものであ る〔〕 (
亘 〕 3 0 0
人以 仁の株 主数の見込み上記(吏)の公募 (
売出
しも行 う場 合 は、 当該公募 お よび売出
し) に よ り、3 0 0
人以 卜の (単位 )株主数の増加 の 見込みがあ る こ と。 ただ し、役 員等の 「特 別利害関係 者」 に該 当す る株 i:.数 を除 く。〕(2)時価 総額
上場 日にお け る時価 総額が5億 fJl以 Lとなる見込みのあ る こ と(〕この場 合の 「時 価総額
」
とは、 卜場 にかか る公募等 の価 格 に、上場 時 にお いて見込 まれ る上場株式 数 を乗 じて算 出 した額 をい う。 これは、市場価額 ベ ー スで ‑定額以 上の投 資対 象 ロッ トを流動性確保 の観点か ら求めた ものであ る,,
( 3 )
売 卜高「主要 な事業
」
にお ける売上高が 上二場 申請 日の 前 日まで に計 1‑̲されている こと。国際経営 フォーラムNo.ll (4)監査意見
連結財務諸表 ・財務諸表 に対す る公認 会計士 の監 査意見が 「適正」、 中間連結財 務諸表 ・財務諸表 に対す る中間監査意 見が 「有用」 であ り、かつ、「虚偽記載」 を 行 っていない こと。 既存の東証市場‑ の新規上場 に際 しては、公認会計士等か ら会 計上問題 とされ る事項 (除外事項)が ない 「無 限定適正」 意見の表明が なされてい ない こと、す なわち上場前 に既 に適正 ・有用 な連結 (中間)財務諸表 ・財務諸表 を 作成 ・開示で きる実績 を求めてい るが、マザ ー ズにおいては新規上場時 においては そ こまでの水準 を要求 しない こととした ものである。
(5)その他
株式事務代行機 関の設置、所定の様式 に よって印刷 された株券の発行、株式 に譲 渡制限が付 されていない といった、その他の 申請基準 は既存 の東証市場の もの と同 じである。 なお、株 主資本の額、利益の額、設立後の経過年数 に係 る基準 は設 けて いない。
3 四半期毎のデ ィスクロー ジャー
(1)四半期財務諸 表のデ ィスクロー ジャー
マザーズに上場す る企業の対象 は、ベ ンチ ャー企業の ように既存 の東証市場 にか か る上場審査基準 には適合 しない ものの、 高い成長の可能性 を有す る と見込 まれ る 企業であ る。 この成長の 可能性その ものについては、東証 は審査 は行 わないこ とと
層の充実 を期 して、四半期毎 にその業績 の概況お よび四半期財務諸表 (連結 ・個別) の開示 を求めることとした。
(2)公認会計士 による レビューの導 入
四半期財務諸表の信頼性 を担保す る措 置 としては、欧米 において も監査 を実施す る制度 または実務慣 行 はな く、限定的保証 ・消極的保証す なわち レビュー を実施す ることが ‑一般 的である。 そ こで、わが国において も証券市場 の グローバ ル化の進展 も踏 まえ、 また四半期の業績 開示の適時性 の確保 を図 りつつ、 当該 開示 における財 務情報 に一定の信頼性 を担保す るため、川半期財務諸表 について公認会計士の レビ
ュー を求めることとした。
レビュー とい う監査以外の公認会計士 に よる保証業務 にかか る基準が、わが国で はい まだ法令 によって制度化 されてい ない現状 に鑑 み、その実施のための基準 を東 証が制定す ることとした (注4)。〕
126
特別寄稿●株式 上場基準の改正 とあ り方について
第二 新規上場基準の構成 とあり方
証券取 引所 の上場 関係 の基準 の うち、 ここでは、証券取 引所へ の新規上場 の要件 を規定す る 「株 券
卜
場審査基準」
についてその構 成 と同基準 において規定すべ き内 容 について考察す ることとす る。 ここに、新規 卜場 にかかる基準 と して規定すべ き 新規 ヒ場 の適格性 の 要件 は、取 引対象 となる有価 証券その もの に関す る基準 と当該 有価証券お よびその発行体の開示 に関す る基準 とに大別 され、前者は流動性基準 と 有価 証券 (流通対 象)基準 に分 け られ る とす るのが筆 者の主張であ るLlそ こで、以Fーそれぞれの基準 について論述す ることとす る。
Ⅰ 流動性基準
1
投資対象の量的基準 (投資対象の ロ ッ ト基準) (1)株式数基準 と時価総額基準上場 有価 証券につ いては、証 券取引所 における市場 において売 り ・買い (需要 ・ 供給)の統 合 を適 して競争原理 の Fで価格形成が行われる。 不特定多数の投 資者が 参加 して、没個性 的 に価格優 先 ・時間優先の原則 に よる競争売買が 市場 における公 正な価格形成 を実現 させ ることになる と考 えてい るためである。 この競争売買の原 理 は、市場 における競争による価格決定の 一般的 な条件 に対応 している もの とい う
ことがで きる。
したが って、有価証券の上場適格性 としては、 こうした 市場 における競争売買 に よる価格発見機能が発揮 し得 るような条件が具備 されていることを求める もの とす ることが必 要 となる。そ こで、先ず投 資対象 となる有価証券の昼 その ものが不特定 多数の投 資 者の 市場参加 を十分 吋能 とす るほ ど大 き くなければな らない、 とい うべ きであ るo この投 資対象の総量 ・投 資対象 ロ ッ トを測定す る尺度 としては、対象証 券その ものの量す なわち上場株式数の数量 で測 る考 え方、 l二場株式 に対応 した投 資 金額 としての時価総額で測 る考え方、両者 を用 いる考 え方があ る。
上述 した ように市場 における価格発見機能の確 保 とい う基本的視点か ら投 資対象
特定多数の投 資者 の市場参入 を実際 に可能 な らしめ、 市場参加者 に よる価格形成 を 実効あ る もの とす る程度の投 資対象株式数 を求め る基準 を 上場 基準 において設定 し てお く必要がある。 したが って、上場株式数 また は実質的 に流動対象 となる株式 た る浮動株式数 に関す る基準が採用 される必要があ る。 この ように、流通対象 となる 株式の量その ものたる株式数換言すれば投 資対象単位の数 とその金額の大 きさに係 る基準が 卜場基準 には求め られ る とい うべ きであ る。 したが って、 ヒ場株式数 また
国際経営 フ ォー ラム No.ll
は上場 浮動株式数 に係 る基準 とそれ に係 る時価総額 に係 る基準の両者 を用いるのが 妥当 とい うべ きである。
この時価総額基準 の必要性 について さらに付言 してお こう。証券 市場 においては、
市場 における株式 (株券)単位 当た りの価格 ・時価す なわち株価 を基礎 として売買 す ることになるか ら、投 資者は投 資金額 を もって 市場参加す るこ とになるので、不 特定多数の投 資者 に よる競争売買 に耐 え得 る投 資対象の 蔓は当該投資対象の単位 ・ 敬 (す なわち株式数)その ものだけでは足 りず、投 資金額ベー スで とらえた もの も 必要だ とい うことになる。 したが って、 L場 基準 においては時価総額基準が採用 さ れ る必要があ る。 この時価総額基準 を上場適格性 を律す る 上場基準 の項 目として設 定す る場合、株式 市場の実勢 ・株価水準の変動のほか、投 資金額 に対応す る貨幣価 値 の変動や経済活動 ・金融資産の状況等 に対応 して所要の時価総額の水準 を基準
l 二
の金額 として設定す る とい う対応が必要 となる。
ところで、東証の と場基準 においては
、
市場 第二部へ の新規上場基準 においては 上場株式数基準のみが、
市場 第‑・部へ の直接 L場基準 (注 5) には上場株式数基準 とともに選択基準 として時価総額基準 (500億 日以上)が、マザー ズ ト場基準 にお いては上場株式数 に係 る時価総額基準 (5億 円以卜 ̲
) と実 質的 には浮動株式数の確 保 も目的 とした公募株式数基準 (公募1,000株 (単位)以上)が設定 されているが、市場 第二部へ の新規 ヒ場基準 には時価総額基準 は設定 されていない。 この ように各 市場へ の上場 において投 資 ロ ッ トを測 る基準 において統 一性 が な く、混在 している 状況 にある とい うのが現状 であ る。)そ こで、上場基準の変遷 と時価総額基準 との関 係 を次 に考察 してみ よう。
( 2)
基準の変遷 と時価総額基準ヒ場基準 お よびマザーズ上場基準 における時価総額基準 もいずれ も昨年の今般 の制 度改正において初めて導 入 された ものであ る。 これ までの基準 の改正 の変遷 を見 る と、流動性 基準 の項 Hとしては、 当初は資本金基準が採 用 されていた。その後、 こ の資本基準 は株 主持分 は資本金のみだ とす る誤 った考え方 を助 長 しかねず、その基 礎 となっている額面思想が会社 は株主の ものである とい う基本概念の理解 の妨げに なる として資本金基準 は撤廃 され、発行済株式数 を用いる L場株式数基準が用い ら れ るようになった。 この ように、わが国においては株式の額 面発行が長 く行われた ことな どもあ り、株式の時
価
・株価 とい うよ り資本金や株式数その ものが投 資の総 量 を測 る尺度 と して長 ら く用 い られて きた ところであ るo これ らの資本金 ・上場 (発行済)株式数 を用いた基準 は、投 資対象 を金額ベ ー スの ロ ッ トで捉 える とい う ものではないが、それ らの指標が企業規模 とも 一定の相関関係が あ り、 この企業規128
特別寄稿●株式上場基準の改正 とあ り方について
た とい うこともいえよう。 会社の紹介 において、売 L高 とな らんで資本金がその規 模 を示す もの と して用い られ るの もこうしたわが 国における企 業規模 に対す る捉 え 方 を示 してお り、 この企業 規模 と市場 における投 資の規模 とを関係付 けていた と考
えることがで きよう。
資本金基準 は、前述 の ように額面思想 との関係や会社 は誰の ものか とい う、本来、
市場 にお ける流動性基準 に求め られるべ き役割 とは異 なる側 面が問題 となって採用 されない こととなったわけであるが、 こうした側 面 とは別 にそ もそ も株式の発行が 時価発行 に よることが 一般化 し、 また現行 商法 下においては資本組入れ金額 も額面 ではな くな り、上述 した ような関係 を実態 的に想 定す ることが難 しくなって きたた め、資本金基準は投資対象 ロ ッ トを測 る基準 としては適当ではな くなったのである。
また、発行済株式数 に対応す る上場株式数基準 も投 資対象 ロ ッ トを測 る基準 と して は、株価 を除外 している とい う点でそれだけでは流動件 にかか る基準 としては限界 があ る。 資本金 も発行済株式数 も、投 資金額 に対応す る時価総額 と一定の対応 関係 があ るのは、株価 を ・定 に した時 に初めて 言える ことだか らである。株価が低 けれ ば、株式数が多 くとも投 資金額 は少額 だ とい うこ とにな り、株価 が高 ければ、株式 数が少 な くとも投 資金額 はこれ に対応 して大 き くなるO株価 の差が大 き くな く、
一
定の幅 に収 まる市場 の状 況 においては株価 を除 くとい う投 資対 象 ロ ッ トを測 る尺度 の欠点が表 面化 しなか った とも言える。 しか し、 今 日の ように株価 の分布が大 きい 場 合 には株価 を除いた基準の体系 の限界が表面化 して きている と言わ ざるを得 ない ところである。 ただ し、現行の 上場株式数基準 は、株式 の単位の くくりに応 じて換 算す るようになっている。その意味で制約 はある ものの、投 資 酎 立で L場株式数 を 引 き直 して適用 し時価 総額基準 に部分的 に近づ け ようとしてす る考え方 を とってい
る と言 うこともで きよう
(
注 6)。2.
分布 ・分散基準市場 における競 争売買の条件 を確保す るには、売買対象の総 量 とともに不特定多 数の投 資者の 市場 参加が必要 となる。 そ こで、 こう した状況が 吋能 となるよう上場 株式 につ いて所 要の分散所 有が図 られ、市場 にお いて円滑 に流通す る条件が整 え ら れている必 要がある。 これ を、株式 の分布基準 と呼んでいる。
この分布基準 は、分散所有 されている株式数 とその所 有者たる株 主数 につ いての 基準 か ら構成 され るこ ととなる。上述 した よ うな分布基準の設定 主旨か らす れば、
市場 において流動性 が想定 される株 主であ るか どうか によ り把握 された ‑一定量 を基 準上の数値 とす ることが理想であ る。 しか し、個 々の株 主の属性 をこの ように個別
国際経常フォーラムNo.ll
ろである。そ こで、分布基準 として設定 されている基準 について、その変遷 も含め て以下 において検討す るこ ととす る。
東証 における株式 分布基準 の変遷 をみ る と、流動性が期待で きる として、小 目株 主 ・小目株式、す なわち 「浮動株」 (注 7)と呼ばれていた株主 ・株式 の 量を ・定量 以上求め る浮動株基準が採用 されていたが、その後役 員 ・大株主等の少数特定者が
下 にす る とい う少数特定者持株基準が採 用 され、現在 に至 っている。 ここに 「少数 特定者」 とは、当該会
社
の役 員や主要株 主な どその株式所有の 目的に照 らしてその 所有が固定的 と想定 され る ものであるので、本稿 においてはこれ を浮動株基準 に対 比 して固定株基準 と呼ぶ こととす る。市場 において流動性 が想定 され る株式投 資 は、当該株式 に対す る将来 キ ャ ッシ
所有の属性 か らみれば、小 目の所有者の投 資行動 は、株式 (株 主たる地位)の有す る経営参加や企業 グループ関係 ・取引関係の維持 な どを も
【
川勺とした、あ るいはそ れ らを主 目的 として固定的所有が想定 され る株式所有者 のそれ とは異 なる もの と考 え られ る。 こうした小目の株主 については、 市場 (投 資対象銘柄 )の状況 に応 じて 当該銘柄‑ の投 資 ・非投資、す なわち当該銘柄 にかか る流動性 が想定 され る株 主 ・ 投 資者 と考え られる。 また大 口投 資家であって も、投 資の運用成果 を競 う機関投 資 家 な どは、 こうした投 資 ス タイルの投 資者 と考 え られる。 なお、店
頭 市場や他の取 引所市場 の中で、浮動株基準が引 き続 きもちい られている(,浮動株基準 は、流動性が期待 で きる株式 ・株 主を直接 的に とらえようとす る基準 であるのに対 し、固定株基準は、固定的 な所 有ス タイルが想定 される株式 ・株 主以
準 である。 したが って、 この基準 の有す る意義 は、む しろ流動性 に直接係 る浮動株 基準の有す る限界 を補完す る もの として考え られ るべ きであろう。流動性 の確保 自 体 は不特 定多数の投 資者の市場参入 とい う流動性 の要件か らして、浮動株基準で対 応が 可能 だか らであ る。 浮動株 基準 に よれ ば、その比率基準 (上場株式数 に応 じて 浮動株 の量 を多 くす る とい う基準で 日限が 設け られ る場合が多い。) を導入す るこ とに よる効果 は若 「あ る ものの、基本的 には 一部の流動株 で形成 され た株式 の評 価 ・株価が、所有 目的が異 なる固定株 も含めて当該上場 会社 の全体の株式の評価 ・ 株価 に及ぶ構造 を どの ように考 えるか、 とい うこと‑ の対応である。 この場合 にお
いて前提 とすべ き考 え方は、株式 L場 に よ り、経常 ・企業支配 も公開 され、仕組み としては市場 における株式所有 ・取得 を通 して、経営参加 も想定 し得 る株式所有構
130
特別寄稿●株式上場基準の改正 とあ り方について 造す なわち所有 と経営 の分離 の体制が望 ま しい とい うものであろ う。
お よそ経営 の重大な方針決定 には全 く影響 の ないほ ど少 ない割合 の株式 だけを公 開 して (形式 的公 開)、他 の圧倒 的割合 は役 員や 少数特 定の固定株 主が所 有 し実質 的 に非公開 としている会社 にあっては、 これ を実質的 にみれば 一部少数の公 開 ・流 動株式 と経営 を閉鎖 的 に支配 している多 くの非公 開 ・非流動株式 か ら構成 されてい ることになる。 この ような場合 には、市場 における価格形成の前提 となる、その価 格が及ぶ財 (ここでは株 主の地位 たる株式)の均 質性 が阻害 される もの と考 え られ る。 したが って、株式の所有構 造の公開が求め られ、役員 ・大株 主等の少数特定者 による所有割合 を 一定割合以 Fとす る必要があ り、 こうした [川勺に責献 している も のが固定株基準 であ る と考 え られ る。固定株基準 の意義 はむ しろこの点 に求め られ
るべ きである。 この ような考え方か らすれば、流通市場 における流動性 の確保 と経 営 の公開の両面か ら分布基準 を設 ける必要があ る とい うべ きであ り、 したが って前 者の要請か らは浮動株基準が、後 者の要請か らは固定株基準が必要 となる。 現在の 上場基準 (株式数基準) においては市場‑‑‑▲部 ・二部 においては国定基準 が、マザー ズにおいては浮動株基準 の考 え方 に対応す る基準 が採 用 されてお り両方 を ともに基 準 として設けることは していないO
これ を考 えるに、理論的には上述 の とお りであ る と して も、現在の 市場 において
お り、 一方 マザースにおいては上場が想定 されている企業 はベ ンチ ャー企業の よう
株式、300人以 上の流動株主)の公募 ・売 出 しに よ り結 果的 に経常 の公 開 も図 られ ることが期待 されているか、 または企業育成の観点か らこうした株式公開会社 とし ての経営公開の側 面が政 策的に後順位 におかれている と解す ることになろ う。
最近、 コーポ レー ト ・ガバナ ンスのあ り方につ いていろいろ と議論が な されてい るが公開会社 におけるそれは、経常 の公開す なわ ち株式所有の実質的公開が なけれ ば真 の意義 を有 しないであろ う。非公 開会社 にお いて所有者が必要 とす る範囲お よ び程度 において検 討 され るコーポ レー ト ・ガバナ ンスの論議 と公開会社 たる上場会 社のそれ とが同じ次元、同質の ものであって よい とい うことに もな りかねないか ら である。
Ⅱ 有価証券基準
1 譲渡適格性基準上場 された有価証 券は市場 において市場参加者 たる投 資者の間 を転 々流通す る こ とになる。 そ こで、次の要件が求め られることになる と考 え られる。
国際経営 フ ォー ラム No.ll
(
fj譲渡の 自由市場参加者 は、不特 定多数の投 資者であ るか ら、取引相 手方を制 限す ることは自 由に流通す る市場 には本 来的 にな じまない ものである。〕したが って、譲渡制限 を付 す こ とは認め られ ない。
極
めて限 られた例外 として、特 別の法律の規定 に基づいて 譲渡制 限 を付す場合であ って、かつ、 会社へ の対抗
要件 を制限す る とき (株主名簿 へ の記載 を拒 否す る とき)す なわち市場 にお ける譲渡その もの を制限す る ものでは ない ときが あげ られるだけである。 また、その流通性 を確保す るための事務的対応 (証券代行機 関の設置) も求め られ る。② 適格株券
流通す る株 券が偽造等のおそれのあっては流通 を阻害す ることとなるので、 こう した支障が ない ように 一定の要件 が定 め られた様式 の株 券 とす るこ とが必 要 とな る。
2 発行体基準
広 く国民一般 の金融資産の形成の場 とな り、国民経済的観点か ら国民 共有の財産 とも位置付 け られ るべ き証券市場 において流通 ・取引 され る有価 証券の発行主体 に ついては どの ように考え られ るべ きか。 この点 については、 古 くか らいろいろ と議 論が多か った ところである。証券取引所論 と関係付 けて考察 され、論ぜ られ る場 合
も多い。
発行体 に関す る基準 としては、上場後の投 資 に対す る りター ンの期待 とい う観点 か ら、業績や株 主資本の額 な ど財務
面
にに関す る点が 申 し、的な もの となる。証券の 発行体 たる企業の利益 ともう 一方の 市場 の構 成 者たる投 資者の利益 とい う観点か ら 考 える と、収益性等が一定水準以 卜であ る ような財務内容の会社、つ ま り投資魅力 の乏 しい銘柄が上場 された として も投 資者の投資対象 として広 く取引 され る、つ ま り流通す る可能性が低 いか らであ る。 この財務基準 は発行体 に関す る基準 として最 も一般 的 な もので あ り、 わが国の取 引所 の み な らず 、 ニ ュー ヨー ク証 券取 引所 、 NASDAQな どにおいて も発行体 に関す る基準 として設定 されている。 ただ、今般 のマザー ズ市場の ように過去実績 とそれに基づ く将来見通 しを求める段槽 にいたっ ていないベ ンチ ャー企業 の ような会社 につ いては、将 来の成長の可能性がある とす る市場‑ の仲介者 (証券会社 )の意見 をもって これに代 える とい う基準 もある。このほか に企業経営の健全性や内部管理体制 に関す る ものな ど、企業経営 の結 果 が どの ように生み出 されているか に関 して も基準が設 け られている場 合が 多い。例 えば、東証 における 「企業経営 の健全性」 基準や内部統制の整備 ・運用等 に関す る 基準、ニ ュー ヨー ク証券取 引所が コーポ レー トガバナ ンスの充実の観点か ら設定 し ている監査委員会の設置や社外取締役 の選任基準 な どがあげ られ ようo上場会社 は、
132
特別寄稿●株式 卜揚基準の改 Jr:.とあ り万について 広 く ・般 か ら資 金 を調達 し、 また広 く流適 し取 引 され る対 象 た る有
価
証 券の発行 主 体 であ るか ら、 ただ 単に利 益 を出
して い る とい う こ とに加 えて 企業経営 の あ り方に つ いて も 一定 の基準が 設 け られ てい る もの とい え よ う′Ⅲ デ ィスクロージ ャー基準 1
デ ィス クロー ジ ャーの意義場 合 の個 別
・
個 性 的 に行 われ る情 報提 供 とは 異な り、 その対 象 は 市場 に参加す る投 資 者 等 の 不特 定 多数 とい うこ とに な る。 こ こで は、証
券 市場 につ い て 、 金融 市場 (狭 義 ) との 関 係 を含め そ の経 済 的 意義 を取 り 卜げ て詳論 す る こ とは行 わ な いが 、証
券 市場 は同比 金融 資産 の運川の機 会提 供 お よび経 済の構 造転換 へ の 真献 を含め企 業 の資金調達・信
用向 卜等の機 会提 供 とい う国艮 経 済 の発展 に とって 重要な役割 を 果た してお り、 したが ってそ こにお いて行 われ る証券取 引 は公益 と密接 な関係 を有 す る もので あ る。 ) 証
券市場 の こ う した国民経 済活動 との密接 な関係 を踏 まえる とき、証券 市場 は 「重 要 な
国
艮 の財産 」(
注 8)、
「国艮共有の財 庫」 と して意義付 け られ る べ き ものであ るし)証
券 市場 の基盤 とな る 事項 を検 討す る場 合 、 こ う した理 念が 基礎 的前提 と して認識 され てい る こ とが非常 に 重要 で あ る こ とを強 く i二張 してお きたい(
注 9)O 国艮 経 済 の適 切 な運営 お よび 市場 参加 者 た る投 資 者の保 護 に資 す るため証 券取 引法 が 設 け られ、有価 証 券の発 行 お よび売 買 その他 の取 引 を公 正な ら しめ、 か つ 、 有価 証 券 の流 通 を円滑
な ら しめ る こ とを H的 と して (証 券取 引法 l条 ) 各種 の 規定が な され てい るの は、 まさに証
券 市場 につ い ての こ う した意義付 け を踏 まえたもの とい うべ きであ る。
こ う した
国
艮経 済 IYJijTA:義付 け を踏 まえ、 証券 市場 に具体 的 に期 待 され る役 割 は、そ こで公
[
日L は
†な証 券取 Fjrが行 われ、効 率的 な資 金配分が行 われ る こ とにあ るr,こ の よ うな役割 を証 券 市場 が適切 に 果たす ため には、 市場 に参加す る投 資 音が自己責
任 原 則 を前提 と して 市場 にお け る投 資対 象物件 に対す る
評
価 を行 い、そ れ に基づ い て合理 的 に行動 し、 その結 果市場 にお いて公 正で効 率 的 な競 争が確 保 されて い る ことが必要 となる()
そ こで、投 資 者が 合理 的行動 を とるため には、前述 した よ うな投 資 対 象物 件 た る 企 業す なわ ち有価 証券 の発 行 者 につ い ての実 態 の 開示 が 不 可欠 の 要件 とな るため 、 デ ィス クロー ジャーが
要請
され る こ ととな る。)つ ま り、 証 券1 7 i
場 が その機能 を 卜分 に発揮 す るため にはデ ィス クロー ジャーが 欠かせ ない とい うこ とで あ り、 デ ィス ク ロー ジャー は証 券市場 を支 える重 要な基盤 と意義 付 け られ る こ ととな る〔= 証券 市場 を国民 共有の財 産 と理 念付 け る と き、 デ ィス クロー ジ ャー は 卜場 会社 に対す る社 会国際経常 フォーラムNo.ll
的要請 としての性格 を帯 びることになる。 また、デ ィスクロー ジャーは非排 除性 と
は結果的に広 く利用 されてい る とい う実情 もある。
2 デ ィスクロージャーの要件
合、その意義付 けにふ さわ しいデ ィス クロー ジャーの要件 は どの ように考 え られる であろ うか。 これについては、デ ィスクロー ジャーの 目的及びデ ィス クロー ジャー が証券市場 に対 してな され る ものであ ることに照 らして考 える と、証券市場 に参加 す る投 資者 と投 資対象証券の発行者が ともに市場 に参加す るよう、す なわち当該市 場 を市場 として成立せ しめ る要件が求め られ ることとなる。す なわち、情報 の受 け 手であ る投 資者サ イ ドか ら求め られ る要件 と情報の出 し手であ る証券発行者サ イ ド か ら求め られる要件お よび両者の調和 とに分 けて考えてい く必要がある。
(1)投 資者サ イ ドか らの要件
デ ィスクロー ジャーの要件 については、デ ィスクロー ジャーによって提供 され る 情報 (その内容 をい うo) とその提供 (開示 )の
方
法 に係 る要件 とに分 けて考 えることが適 当である。
先ず、デ ィス クロー ジャーに よって提供 され る情報 については、当該情報 は投資 者の投 資判断 に影響 を及ぼすべ き情報す なわ ち投 資の意思決定 に有用 な情報 と観念 される ところか ら、次の二つの要件が満 た される必要がある。す なわち、
と、
② 的確性 の要件 一投資判断 を誤 らせ ない よう正 しく、 または的確 に理解 し得 る もの であること、
の2要件が具備 されていなければな らない。
ての将 来キ ャ ッシュ ・フローの見込みに よ り意思決定 されるか ら、投資判断は当該 キ ャッシュ ・フローの予測 に有用 な情報、す なわち企業の今後の経営成績 ・財政状 態 ・キ ャッシュ ・フローの 見込み に影響 を及ぼすべ き情報 によって影響 を受 けるこ
とになる。将来 に対す る見込み は、過 去の実績 の分析 か ら得 られる傾 向及び趨勢 な
も当てはまることである。 例 えば、過去 の実績情報の代表的な もの として財務諸表 が挙 げ られ るが、財務 諸表 に計上 され る過 去の実績情報 もそれが将 来のキ ャ ッシ ュ ・フローの見込み を判断す る際 に役立つ ことか ら、投資判断情報 として有用だ と い うことになるのであ る (注
1 0)
。〕134
特別寄稿●株式上場基準の改 正とあ り方について 次 に、デ ィスクロー ジャー され る会社情報 は、 市場 に参加す る不特 定多数の投 資 者 を対象 として提供 される ものであるか ら、当該会社情報の提供 については、次 の
二つの要件が満 た される必要がある。す なわち、
〔ilJ適時性 の要件 一情報提供す なわ ち開示の タイ ミングは重 要な会社情報 の発生す る 都度遅滞 な く行われること、
堰)公平性 の要件 ・不特 定多数の投 資者 に対 して公 平に情報が提供 される
方
法が採周 され ること、の2要件が 具備 されていなければな らない。
上 記の要件のいずれかが欠けた場合 には、デ ィスクロー ジャーの意義 を踏 まえた 情報提供が実現 で きない もの と考 え られる。
(2)発行者サ イ ドか らの要件 と調和
発行者サ イ ドか らの要件 は、庄企 業秘密 とされ るべ き事項 の非 開示、お よび② 費 用軽減の要請、であ る。
前述 の投 資 者サ イ ドか らの要件 た る網羅性 の 要件 の実現 を制限 な く追求す れば、
費用 を無視 し、 また企業秘密 も全 て開示す ることを求めることに もなる。少な くと も、投 資判断 とい う観点か らすれば、そ うした情報 開示 を投 資 者サ イ ドか ら拒 む理 由はない。 しか し、 この ように した場 合 には、そのためのマ イナスを上回るほ どの 市場参加の メ リッ トを発行者 サ イ ドにおいて期待す ることは薙 しく、その結 果発行 者の 市場参加 を期待す ることが難 しくなる。そ こで、デ ィス クロー ジャー される情 事鋸ま、企業秘密 とされるべ き事項 の非 開示及び費用軽減要請 との調和 の要件 を具備
した ものでなければな らない。
同様 に、デ ィス クロー ジャーの 方法 につ いて もこう した調和 が求め られる。例 え ば、 デ ィス クロー ジャー され るべ き情報 のデ ィス クロー ジャーの時期 につ いては、
これ を常 に 「直 ちに」 とはせず、 「遅滞 な く」 とすべ きであ る と考 え られ るの も、
こう した調和 を反映 した ものであ る。 これは、発行者 において直 ちにデ ィス クロー ジャー を行 うことがで きない合理 的な理 由があれば、 当該理 由 を踏 まえたデ ィス ク ロー ジャーの時期の選択が認め られるべ きであ る との考 えに よる ものであ り、発行 者サ イ ドか らの調和 の要請 を踏 まえた ものである。 また、いわゆる コス ト ・ベ ネフ
ィッ ト論 も費用軽減の要請 との調和 とい う観点か ら生ず る論点であ る∩
ここで、デ ィスクロー ジャーの制度化 ・強制事項 については、 この調和点 を求め て論議が行 われ ることになる。 例 えば、我が国にお ける証券市場 に対す るデ ィスク ロー ジャーは、証券取 引法の規定 として具体化 される ことになる。 この場合 におい て、証 券取引法の 目的 に関す る論議 (注
1 1 )
を踏 まえて、その規定化の過程 におい て、 ここでい う調和点 を求めて論議が行 われ るこ とが求め られている もの と考 え ら国際経営 フ ォー ラムNo.ll
れ る。
ただ し、調和点 を求 め る と して も、証 券市場 にお ける投 資 者は機 関投 資家の よう な証券投 資 を業 とす る ものや 専門家 ばか りで な く、広 く国民 (個 人投 資家)いわゆ る 一般投 資者 か らも構 成 されてい る ことを踏 まえる と、必ず しも専門知識 を有 しな い者 も含む これ ら
‑
一般投 資者 の的碓 な理解 を図
る ようにす る必要が あ る。 この よう な観点 か らす れば、 デ ィス クロー ジャー に対す る投 資 者サ イ ドと発行者サ イ ドの 要 件 の調和 を求め るにあた って は、前
者の投 資 肯サ イ ドか らの要件 に相対 的 に高 い ウ ェ イ トをか けた対応が適 切 と考え られ る。 また、 この ような観点 か らす れ ば、制 度 化 ない し事実上強制 されたデ ィスクロー ジャー を基礎 として、 各発行者が投 資者 サ イ ドか らのデ ィスクロー ジャーの 要件 を踏 まえて情報提 供 の充実 に努力す るこ とが 証 券 市場 か らは望 まれてい る とい うこ とであ る。 そ う した努力が証券市場 の有す る 価格 発見機能 を 一層高め る こ とに もなるのであ る。)卜述 した ところを表に まとめれば、次 の通 りであ る。〕
デ ィス クロー ジャー
2 ( 1 )
投 資者サ イ ドか らの要件I)の要
件
の調 宜 情報 の内容 ‑‑網 羅性 、 的確性
・
/3̲::日日示の
方
法 ‑‑‑適時性 、公平牲( 2)
発行 者サ イ ドか らの要件証 企業秘密 とされ るべ き
事項
の非 開示3 デ ィスクロー ジ ャー基準の重要性
証券 市場 において は、投 ;i'/tの
自 己
責任 原とiuの 卜で意思決定が行 われ る。)この 自己 責任 を求 め る前提 として投 資者が その意思決定 を合理 的 に行 うに足 る投 資判断情報 の提 供が確保 されてい なければな らない〔〕投 資判 断情報 の提 供 に よ り投 資者保 護が 図 られ るが、投 資 リスクは投 資音
が負紺
す る とい う仕組 みで 市場 は成 り立ってい る ものであ るO また、証券市場 におけ る価格発 見機能 を通 じた効率 的 な資源配分 も投 資者
に よる合理 的意思決定の統 合 に よっては じめて もた らされ る ものであ り、 こ うした観点 か ら言えば投 資判断情報 の提 供 は証券市場が市場機能 を発揮 す る前提 とも い うべ きものである。〕
この ように、投 資判 断
情
報の提 供 を行 う企業内容 の開示、デ ィス クロー ジャー は、投 資 者保護お よび証券市場 の機能発揮 の前提 となる
重
要 事項 であ る。 そのため、 こ の デ ィス クロー ジャーが規 にl冊 鋸 二行 われ (実椋 )、 また今後 もな され る体制 が 具136
特別寄稿●株式上場基準の改 lF.とあ り方について 備 されていること (体制整備) を求める基準がデ ィスクロー ジャー基準 とい うわけ であ る。 この ような観点か らす る と、発行体 に関す る基準 の うち財務 に係 る基準の 水準 を Fげて上場 会社 となる企業の範囲 を政策的 に拡 大す る場 合 において も、 この デ ィス クロー ジャー基準 の水準 を Fげることには慎 重でなければな らない もの とい うべ きである。 デ ィス クロー ジャー基準 については、 前述 した ように、証券 市場 に おける基礎 的 インフラとしてのデ ィス クロー ジャーの意義 を十分 に踏 まえた対応が 求め られているか らである。 証券市場 は、投資者 と取引対 象件の発行体たる企業の 両者か ら成 り立ってお り、わが
国
証券取引法の f三相勺が投 資者保護 にあ ることを忘 れ てはな らないのであるOおわ りに
わが国証券 市場 においては、 日本版 ビ ッグバ ンの遂行の中で東証 をは じめ各地の 証券取 引所 において 市場改 革が断行 され、 また店頭市場 において も同様の視点か ら 改 革が行われている。 これ らの動 きは、いずれ もわが国証券市場 が ア メリカや ヨー ロ ッパの競争 力のあ る市場 と競争 して来 るべ き21世紀 にお いて もその機能 を 卜分 発揮 してい くための措 置 と して位置付 け られている。 ナ スダック ・ジャパ ン市場 の 開設、ニュー ヨー ク証券取引所の東京事務所 開設 な ど、 グローバ ル化 した証券 市場 へ の対応 をめ ぐって各
国
市場 の国際的競争 も今後 ます ます激化す ることが予想 される。
こう した状況の中 で、L自二接 金融 市場 たる証 券市場へ の参加要件 としての株式公開 基準 は、その 市場 開設者が企画し、決定 している。 市場 の使 い勝 手の よさの確保 と い う観点か ら、 市場仲介者 たる証券 会社や参加者 たる投 資者な どの外 部の者の意見 も必要 に応 じて徽 されている。
リ
ブで、 この ようなプロセ スの 卜で行 われている最 近の 一連の各市場 の基準の改 革Iにつ いて、株式の発行体 たる企業の那合 (発行体 メ リッ ト) に重点がかか りす ぎて投 資者保 護が相対的に軽視 されてお り、その結果株 式公開基準の引 き 卜げ競 争に向か っている として警鐘 を鳴 らす指摘 もな されているところである。
・j〕そ もそ もあるべ き株式公開基準 とは どの ような概念 ・構成 ・性格 を有 し、その水 準の設定 において考慮 ・参照すべ き事項 はいかなる ものであ るか、
(、獅 翫斉学 ・証券 市場 諭の視点か らす る公 IEな価格形成のため に求め られるべ き公開 基準の要件 とは どの ような ものであ るか、
(/郭・産業構造の転換 や中堅 ・ベ ンチ ャー企業の育成 と直接 金融 市場が 果たすべ き役割 のエ リア
国際経常 フォーラムNo.ll
④ デ ィス クロー ジャー は投 資者、証券市場 に対 して投 資判断情報 を提供す る とい う 基本 目的 を踏 まえ、 グローバ ル化 した証 券市場 におけるデ ィス クロー ジャーのあ り 方は どの ような もの とすべ きであ るか、 そ う した観点 に立 って考 えた時、 わが 国の デ ィス クロー ジャー において改善すべ きところは どこか
な どの点 につ いて、科学 的研 究が必要 であ る と思 われ る。 こう した研 究が数多 くな され、各市場 において行 われ る実際 の制 度 ・基 準改 丁目こおいてその成 果が反映 され、
国民共有 の財 産 と位置付 け られ るべ き証 券市場 が真 にその機能 を発揮 してい くこ と が求 め られてい る とい うべ きであ る。 本稿が こ う した研 究 にい ささか な りとも資す る ところがあれば 幸いであ る。
注
1 証 券取 引審議 会答 申 「証券市場 の総合 的改革一 豊かで 多様 な21世紀 の実現 の た め に
」
平成9年6月2
東 証 にお け る上場 会社 は全 国 l二場 会社 の うち7 6% ( 1 β3 8
社)、株式売買 高 は全 国取 引所 の売 買高の8 8%
となってい る( 1 9 8 9
年末現 有‑:)。3 「企業 グループ
」
とは上場 申請会社 とその 「資本下位 会社 等」
か ら構 成 され る会 社 群 をい う。 こ う した場 合 、 「企業 集 団」 とい う用語 が 通常 用 い られ るが 、 この「企業集 団」 につ いて証券取 引法 において用 い られてい る定義 と上場 審査 において
とい う用 語 を用 い るこ とと した ものであ る。 ここで、 「資本 日立会社等
」
とは上場 申請会社 が実 質的 に支配 し叉 は20%以 上の株式 を実 質的 に所 有 してい る会社 をい う (株 券 L場審査基準 の取扱 い 1. (1))。,4 レビュー を実施す るための、 具体 的 な基準 の内容 につ いて は、 円本公認 会計 士 協 会 (JICPA)に提 言を求め、 これ を基 に東証 においてLJq半期 財務諸表 に対す る意 見表明の実施基準 を定め るこ とと した。紙 幅の関係 もあ るので、 同基準 のポ イ ン ト を掲 げれ ば次 の とお りであ る (開示基準の取扱 い別添 「四半期財務諸表 に対す る意 見表明 に係 る基準
」 )
。 なお、 具体 的 な レビューの実施基準 は、JICPAか ら公表 され た、監査委 員会研 究報告 第9
号 「東京 証券取 引所 のマザ ー ズ上場 企業 のl T
q半期財務 諸表 に対す る意 見表明業務 につ いて (中間報吉)」 (平成12年1月) に基づ いて行 う べ きこ とと してい る。① 表 明 され る意見の性格
四半期財務 諸表 に表明 され る公認 会計 亡等の意見は、 当該 四半期財務諸表が、中 間財務諸 表 ・中間連結財務 諸表 の作 成基準 に準 じた基準 に照 らして
、
当該 四半期 会 計期 間 に関す る有用 な情報 を表示 してい るか否か につ いて、監査 また は中間監査 に1 3 8
特別寄稿●株式上場基準 の改 正 とあ り方につ いて 比 して 限定 的 な保 証 を与 え る もの で あ る。
② 実 施 手続
主 と して 、「質 問」 お よび 「分析 的手続 」 を実 施 す る。
③ 意 見 表明
意 見書 にお い て な され る意 見表 明 にお い て は、 当該 意 見が 監査 意 見 ・中 間監 査 意 見 で な く、 限定 的 な保 証 を与 え る もの で あ る 旨 と当該 四半 期 会計 期 間 に関す る有用 な情 報 を示 して い な い と認 め られ る事 項 が なか っ た か ど うか に 関 す る意 見 を述 べ る。 なお 、 この意 見書 は公 衆 縦 覧 に供 され る こ と とな る。
以上 に極 め て多 く流 通 の実績 を まつ こ とな く高 い流 動性 が想 定 で きる もの につ い て
6 旧 商法 下 で 設 立 され 単 位 株 制 度 が 適 用 され る会社 にお い て はそ の 単位 の く く り の大 き さに対 応 して所 要上 場 株 式 数 を換 算 す る こ と と して い る。。す なわ ち 1単 位 の
く く りは純 資 産が 大 き く株価 の高 い会社 は小 さ くす る こ とを想 定 して い る (東証 は こ う した対 応 を上場 会社 に要 請 して い る。). また 、現 行 商法 下 で設 立され た会社 は 1単 位 (額 面5万円)を1株 と して い る。 そ こで 、例 えば4,000単 位 とい う基準 は、1
単位 が1株 の 会社 には1.000札1単 位1,000株 の会 社 に は400万 株 を求 め る とす る もの で あ る。 これ は、投 資 金 額 の大 きさに間接 的 ・部 分 的 で はあ るが 対 応 しよ う と して い る措 置 と言 え よ う。
7
従前
の東 証 の基準 にお い て は、600株 以 上 か ら5万 株 未満 を浮動 株 と し、 当該 株 式 を浮動 株 式 、そ の所 有株 主 を浮動 株 主 と規 定 して いた。8 証 券 市場 を 「重 要な国民 の財 産
」
と意義 付 け た もの と して、次 の報 告 書が あ る。東 京 証 券取 引所 証券 政 策 委 員 会 「証 券市場 を取 り巻 く環 境 変 化へ の対 応 につ い て‑
国際 競 争 力 の 向 l二をめ ざ して
‑
」 (平成7年6月、32頁
)。
同報告
吾は、 証 券 市 場 の 重 要性 の理 解 につ い て、
「国民 に必 ず しも十 分 に浸 透 して い る とは 言い難 い」 と し、幅 広 く国民 各 層 に対 し証 券 市場 に関 す る啓 蒙 活 動 を行 う必 要が あ る と提 言 して い る。
9 わが 国 にお い て は、 証 券 市場 を国民 の 共 有 財 産 とす る認識 が 必 ず しも高 い とは い え ないのが現 状 で あ るが 、 日本 版 ビ ッグバ ンにお け る 市場 改 革の必 要性 と理 念 を 理 解 す る に は こ う した認 識 が不 可 欠 の もの と考 え る。 わが 国 は証 券市場 に係 る諸制 度 の改 革にお いて 、証 券取 引 法 の制 定 をは じめ とす る歴 史的 な経 緯 もあ り、 ア メ リ
カの制 度 を取 り入れ た り参考 にす る こ とが 非常 に 多い のが 実情 で あ るが 、 ア メ リカ にお い て は、 証 券取 引 は 「国民 的公 益 と密接 な関連 を もつ もの で あ る」 と法 律 にお
国際経常 フォー ラムNo.ll
い て 明確 に明 文化 して い る ところ に も表れ て い る よ うに (1934年証 券取引所 法2 条 )
、
証券 市場 と国
艮経 済 との 関係 につ い て の 認識 が確
立して い るので あ るO こ うした根 本理 念 の存在 な しにア メリカの制度 を我 が国に導 入 して も、 それが適切 に機 能す る こ とは期待 で きない もの とい うべ きで あ る。
10 FASBは、 デ ィス クロー ジ ャー の中で中心 的 な役 割 を占め る会 計情 報 が投 賀 首 ・債 権者 等の 企 業 を と りま く利 害 関係 音の意思 決定 に
有用
な もので なけれ ばな ら ない と し (SFACNO.1par.34)、 そ の ため に必 要 となる基本的要件 と して 目的的 合性 及び信
頼性 を掲 げ、その内訳
要素 と して予 測 値
値 また は フ ィー ドバ ック価 椿 を 挙 げ てい るの も (SFAC NO.2.Par.33)、実績 情 報 が 意思 決 定 にお いて何
故 に 有用で あ るのか を明確 に反映 してい る もの とい うこ とが で きる。1 1
我 が 国証 券取 引法 のr
膵J (1条) につ い て は、同
条にい う投 資者 の保 護 と「kI民 経 済 の適切 な運営 との 関係 を どの よ うに解 す るか につ い て争 いが あ るO す なわ ち、前者
こそが法 のt川勺とす る ところで あ り後 者 は前 者の 間接 的効 果にす ぎない とす る 見解 と両者 を並
立的 に法 のl川勺とす る見解 で あ る〈1 一般 に、 前者の見解 が有力 とさ れてい るが、 証 券市場 を国民 の 共有財 産 とす る観点 か らす る と、投 資者 の保 護 を図 るための対応 と資 金の効率 的配分 を行 う市場 機 能 を確保 す る こ とに よる国民経 済 の 適切 な運営 につ いて は、密接 に結 びつ いて い る との 見解 (近 藤 光 男・
吉原和志・ 黒
沼悦 郎 「証券取 引法 入
門」
商事法務研 究 会、 平成7年6)巨 4貞)が 妥 当と考え られ るo140