1 はじめに
2 高岡地域地場産業センターとは 3 学生による調査と提案
4 まとめ
1 はじめに
富山県には、高岡銅器、高岡漆器、井波彫刻、越中和 紙、庄川挽物木地、越中福岡の菅笠など、国が指定する 6つの伝統的工芸品が存在し、その大半が富山県西部の 呉西地区に集中している。衰退傾向にある伝統的工芸品 は、事業者による自主的な取り組みが行われるとともに、
国、県、市なども積極的に支援を行っている。
なかでも拠点施設の整備は、伝統的工芸品産業におけ る重要な支援施策である。1974(昭和49)年に伝統的 工芸品産業の振興に関する法律が施行され、およそ昭和 50年代に全国では多くの拠点施設が開設された。施設に は、組合など業界団体の事務所が設置されるとともに、
工芸品の展示や販売、啓発事業などが行われている。
しかしそれらの拠点施設は、現在岐路に立っている。
開設から40年以上経過し、施設自体の老朽化もさること ながら、伝統的工芸品そのものの意義や、市民の価値観 が変化するなかで、伝統的工芸品をどのように支援をす るか、明確な対処法が打ち出せていないのが現状である。
拠点施設は、その在り方や事業内容を大幅に転向せざる を得ない時期に来ている。
そうした中で、富山県呉西地区の伝統的工芸品を支援 する拠点施設の公益財団法人高岡地域地場産業センター
(以下地場産業センター)から学生目線の施設改善提案 の依頼を受け、今回、富山大学芸術文化学部の文化政策 各論B(地域経営論)の授業の一環として調査・提言を 実施した。本稿ではその調査結果および提案の一部をま とめたものである。この調査と提案を通じて、伝統的工 芸品産業の拠点施設の課題と展望を明らかにすることを 試みる。
2 高岡地域地場産業センターとは
まず今回の調査対象である地場産業センターについて 説明する。概要は表1のとおりである。
表1 公益財団法人高岡地域地場産業センター概要 1 店名 高岡地域地場産業センター
2 販売場 1983(昭和58)年 開設 2006(平成18)年 改修工事
2013(平成25)年 一部改装工事[協力者:大熊健郎氏]
3 商品群
①伝統的工芸品や富山県内の工芸品
・高岡銅器、高岡漆器、井波彫刻、庄川挽物木地、越中和紙、越 中福岡の菅笠
・アルミ製品、高岡鉄器、高岡仏壇・仏具類、富山ガラス ②地場産品、土産物
・へちま商品、土産物(ポストカード、ネクタイ、トランプなど)
③銘菓、地酒
・高岡地域で製造、販売しているお菓子、酒類 ④食品、飲料
・昆布、かまぼこ、国吉りんご(チップ、ジュース)、乾麺 4 センター販売店
高岡御車山会館 1階ギャラリーショップ
新高岡駅 1階交流センター内GALLERYMONONO-FU 出典:2019(令和元)年6月24日 視察時配布資料より
地場産業センターは、高岡市を中心とした富山県西部
(呉西地区)の地場産業振興を目的に1983(昭和58)年 に開設された。館内には産業資料館があり、伝統的工芸 品の歴史や技術などを理解できる展示が整備されるとと もに、販売スペースでは伝統工芸品をはじめ、工芸品以 外にも地酒や銘菓、加工食品なども揃えられている。
財団の事業は、販売や展示を行う常設展示場、産業資 料館、ホールや会議室などの運営を担う「施設運営」、
展示品の発表や全国の見本市等への出展を行う「普及開 拓」、小中学生向けの講座や成人対象の体験などを行う
「人材育成」、商品開発支援や情報を収集し事業者に提供 する「産業支援」、文化財修理など行う「技術継承」の 5つの柱で構成されている。
地場産業センターの斎藤氏によると、現在の地場産業 センターは、①施設の機能、②施設の外観、③展示販売 の見せ方の3つの課題を持っていると指摘する1)。具体 研究ノート
伝統的工芸品における産業拠点施設の課題と展望
―高岡地域地場産業センターの改善提案の取り組みから―
Challenges and Prospects of Industrial Base FaciIities in the Traditional Craft Industry -Case Study from Improvement Proposal of Takaoka Local Industrial Center-
● 安嶋是晴/富山大学芸術文化学系
YASUJIMA Yukiharu / Faculty of Art and Design, University of Toyama
● key Words: 伝統的工芸品、産業拠点施設、高岡銅器、高岡漆器、井波彫刻、越中和紙、庄川挽物木地、越中福岡の菅笠
的には、①施設の機能は、センターは多様な公益事業を 行っているが、求められる事業が実施できておらず、ま た地域での認知度も低く、積極的な情報発信を行う必要 性があること、②施設の外観は、国道沿いの建物である が遠くから見える看板や広告塔がなく、外観も暗い印象 があり、高層棟の外壁面に広告塔の設置を検討する必要 性があること、③展示販売場の見せ方とは、季節商品や 新商品、贈答品などを時期に合わせて揃え、展示替えな どを行い、空きスペースを活用した展示なども行ってい るが、集客につながっていないこと(図1)などを挙げ ている。そこで本調査では3つの課題を踏まえつつ、現 地調査やグループワークを通じ、課題を掘り下げるとと もに、改善に向けた学生提案を行うことを試みた2)。
3 学生による調査と提案
まず調査についてのプロセスを説明する。2019(令 和元)年6月24日1限(8:45~10:15)に現地調査 を行った。8:45に現地に集合し9:00から30分、地場 産業センターの斎藤氏によって施設の案内を受け、その 後30分は自由行動とし個々人で施設内を巡回した。最後 に全員で情報の共有化を行った。なお事前にホームペー ジを閲覧し、情報を入手するよう指示をした。また現地 調査終了後の感想をレポートとして提出させた。
その後、2019(令和元)年7月1日の1限に4班に 分かれてグループワークを行った。現地調査の感想のレ ポートに加え、改善の提案を個々人で作成するよう指示 し、その改善提案をKJ法でまとめ、その内容をグルー プごとに発表した。表2は現地調査での感想とグループ ワークでの提案をまとめたものの抜粋である。
図1 高岡地域地場産業センター来場者数および観光バス台数 出典:2019(令和元)年6月24日 視察時配布資料より
表2 学生による意見のまとめ(一部抜粋)
【施設全体】
項目 評価する点 気になる点 提案
機能 ・高岡の地場産業を種類豊富に ワンストップで取り揃えてい るところは評価できる
・コンセントや傘立てに工芸が 使用されている点はよい
・何をやっている施設かわかりづらく、アピール ポイントが多すぎて整理されていないように感 じる。
・建物自体が老朽化して、照明が暗く、空気がよ どんでいるように感じる。
・ターゲットを絞る必要がある
・一見さんなどはいないので、目的をもった人に 上手に発信する必要がある
・建て替えや、壁の塗装を行う
・外壁に高岡の工芸品である銅器や漆器を用いた モチーフを配置したらよい
立地 ・8号沿いで駐車場があるので 立地は悪くない
・道路から奥まっていてわかりにくい
・アクセスの問題。バスは1時間に1本、電車は 15分に一本あるものの最寄り駅からは徒歩30分 かかる。
・道路標識を作る(例:300m先左折、右手に地 場産センターなど)
名称 ・名称がわかりにくい ・名称をキャッチーなものにする。愛称を募集す
る。また売店、展示、体験工房など目的ごとにネー ミングする
館内案内 ・建物内の位置や機能がわかりにくい ・建物内の案内表記を明確にする
・館内マップがあるとよい
喫煙所 ・タバコのにおいが気になる ・喫煙所を作る(分煙)
認知度 ・地域の方々への周知が足りない
・地元住民の認知度が低い
・地域の人がより利用しやすい親しみやすい施設 にする
【建物外観など】
項目 評価する点 気になる点 提案
外観 ・入口の巨大観音像はインパク トが大きく、ランドマークと なっている
・建物から何の施設かわかりにくい ・建て替えや、壁面の塗装を検討する
・観音様はインパクトの割に、中身が地味なので 有効活用を考える
看板 ・祭りで使用する鍋を入り口に 展示している点は評価できる
・看板が無いため何の施設かわからない
・遠くから見える看板や広告塔がない
・安直なデザイン看板や広告塔は逆効果になるの では
・看板をつける、直す
・のぼり旗などを置く
・のぼり旗は通行量が多く、風が強いのであまり 効果がないのでやめる
・派手な看板の多い8号線なので、むしろシンプ ルで洗練された外観にする(日除け暖簾を使用 するなど)
【建物内装など】
項目 評価する点 気になる点 提案
床 ・床の光の反射が気になる
・床のデザインが統一されていない
・床を貼りなおす
ガラス ・エントランスのガラスによる暗さが気になる ・前面の窓いっぱいにバナーを設置し、上下から スポットライトを当てる
【資料館】
項目 評価する点 気になる点 提案
展示 ・伝統的工芸品を幅広く展示し てあり歴史や制作方法が学べ ることはよい
・展示のパネルが古く、資料館の展示も中途半場 に暗く感じる
・展示台が統一されていない
・初めて工芸品に触れる人にとっては、工芸品の 魅力が伝わりやすい展示ではないと考える(少 し上級向き)
・フォントの統一、レイアウト、写真の画質など の改善をする
・文字に頼らない展示方法を行う
・さらに興味をもってもらうために職人の映像を 使用する
・展示資料の説明を増やす
・子どもでも理解できるように、専門用語は極力 使わず平易な言葉にする。イラストを用いて簡 略化する。
・組合の協力を得て、展示を強化する(専門的な 展示)
【販売スペース】
項目 評価する点 気になる点 提案
販売品 ・低価格帯から高価なものまで たくさんの物販を取り扱って いる
・手軽に購入できるお土産の銘 菓・食品がある
・駅の売店よりも種類も豊富で お土産も買うのに便利
・何を推したいのか、ごちゃごちゃしてわかりに くい
・高級品、廉価品を混在させているので高級品の 価値が下がる
・ジャンルがバラバラで少し回りにくい
・さわってよいものといけないものの違いがわか らない
・手頃な値段のものはレジ横に置くなどの工夫を する
・大きな目玉となる商品を重点的にアピールする
・食べ物などリピート率が高いものを前面に押し 出す
・お菓子だけではなく、地場野菜や海産物も扱う
・価格帯や種類など、商品をもっと分類して配置 する
展示販売空間 ・お茶席に置く品や庭に置く品 などイメージがしやすいよう に指定の空間に展示販売して いる
・入口手前のところにある商品 展示は好感が持てた
・茶室があり、多様な工芸品があるのに有効利用 されていない
・雰囲気が堅苦しい
・什器がバラバラで統一感がない。新しい棚と古 い棚の落差大きい
・ディスプレイの大幅改善を行う(照明、展示台、
使用例提示、キャプション等)・「使う」ことを 意識した展示にする
・販売者が空間演出によって使用シーンを想像し やすいものに導く
・奥の和室スペースで家具なども配置して実際の 使用を想定した場所にする
展示販売方法 ・販売スペースでは購買層によってエリアを分け る(お土産品と高級品など)
・時期に合わせた展示替えを行っているが、見せ 方を工夫する
・持って帰って説明できる、技術解説カードをつ くる
・もっと詳細な解説をつける。
・QRコードを使ってオンラインでの販売ができ るようにする
照明 ・店内は蛍光灯で照らされてお り非常に明るい
・レールライトのレールの有無で格差がある
・照明が暗い
・照明の当て方を工夫し展示品を生かす
・ものや狙いに応じて照明をかえる
・漆や銅器などは明るい照明よりもろうそくなど の薄暗い照明下でこそ真の美しさを見せること ができる
【貸館事業】
項目 評価する点 気になる点 提案
機能 ・展示会や宴会ができるほど広 く立派な大ホールがある
・ホールなどの貸館業は訪れる チャンスになる
・ホールの存在が知られていない ・貸館業は来訪のためのチャンスとなりうるので イベントの誘致も含めて積極的にPRを行う
・2階のホールや会議室等に積極的に工芸品の展 示を行い、資料館(2階部分)に誘導するよう な仕組み(看板など)をつくる
・認知を広げるために地域にアピールする
・藤子・F・不二雄さんの緞帳の活用する
【体験】
項目 評価する点 気になる点 提案
体験 ・鋳物体験ができるのはよい。
またリーズナブルである
・工芸品の制作工程を知ること でなぜ高額なのか理解できる ようになる
・見学をした後に体験ができる ことがよい
・体験を実施していることが知られていない
・WEBでは体験コーナーの存在がわかるが、現地 ではわからない。
・体験ができるかどうか一般にわかりにくい(2 階でやっているためわかりにくい)
・WEB(HP)で体験事業の申し込みにたどり着 くのが困難である
・体験ができることをもっとPRする
・継続的に新規体験を作る
・1階のガラス張りの空間で体験を実施し、外向 けにアピールする
・来館者向けに館内・館外でも体験ができること をアピールする
・組合の協力を得て、新たな体験を強化する
・職人さんに出張で来てもらい体験を開催する 地域教育 ・小学生の体験など地域に根付
いた教育に尽力しているのは よい
・作業工程などをみることがで きるのは教育的な効果もある と思う
・子ども向けの見学ツアーなど啓発を行う(地域、
地域外両方)
・市内児童生徒の体験も継続する
【情報発信】
項目 評価する点 気になる点 提案
広報 ・広報物としてWEBやパンフ レットのビジュアル面は凝っ ていてよい
・WEBやパンフレット等情報 類はおしゃれでクオリティが 高い
・ネットも重要だが紙媒体も重要。魅力的な広報 物に一新すべき
・高岡市内や駅などで地場産業センターの広報を 見かけない
・SNSはもう少しうまく活用できれば良い。特に 十分な更新頻度が重要となる
・Twitterを有効活用する(ハッシュタグなどを 用いる、更新の頻度を上げる)
・多機能施設であり、それぞれの機能に対応した 対象に広報活動をする
・新幹線、駅やイオンでポスターや映像を用いて 広報する
・観光客以外に地域住民に向けた情報発信を行う
・富大の高岡キャンパスの目につくところに地場 産センターの案内マップを置く
HP ・ホームページはデザインも しっかりしており、わかりや すく説明されている
・情報発信が不足している
・ホームページはもう少し商品の画像をいれると よい
・ネットでの情報発信の継続
表2の学生による意見のまとめ(一部抜粋)では、施 設全体、建物外観、建物内装、資料館、販売スペース、
貸館事業、体験、情報発信、修理工房などの項目で分類し、
それぞれを評価する点、気になる点、提案に分けて整理 を行った。
施設としては、存在意義は評価するものの、知名度の 低さや目的のあいまいさを指摘する声が多い。積極的な 広報を促すとともに、施設の目的を絞ることの必要性が 指摘された。
建物の概観や内装については、老朽化による問題と看 板設置の是非についての意見が多い。看板については、
見やすいものの設置という意見とシンプルで洗練された
ものの設置など、多様な意見が出された。
資料館は、その存在意義を高く評価するが、展示の見 せ方に問題を感じる意見が多く、キャプションのつけ方 やライトの当て方など細部について詳細な提案がなされ た。
販売スペースは、豊富な品揃えなどを評価する声が見 られる一方で、高級品と廉価品が混在している問題点の 指摘や、使用時のイメージができるような購入したくな る見せ方の工夫を行うことが提案された。
貸館事業は、ホール空間や価値ある緞帳などを評価す るが、認知度の低さやPR不足を指摘する声が聞かれた。
体験も、事業の内容や金額の安さを高く評価するが、
さらなる体験メニューの開発やPRの必要性が指摘され た。
情報発信では、HPやチラシなどのクオリティの高さを 指摘する一方で、全般的にPRが不足していること、SNS などを用いて積極的に発信することが提案された。
修理工房では、文化財の修理が見られることを評価し つつ、常設でみられるわけではない問題点が指摘され、
見られる時間を予告すること、修理情報をパネルで説明 すること、修理の映像など流すことなどが提案された。
4 まとめ
最後に、7月1日のグループワーク後に発表した地場 産業センターの改善案について言及し、産業拠点施設の 課題と展望につなげていく。特に本章では個別の改善で はなく運営全体に関わるものを取り上げる。
まず学生の意見として、地域住民への連携や理解を深 める方向性のものが多かった。地物野菜や海産物を積極 的に販売し、「地域の産業拠点施設」としての機能を有し、
地域住民が積極的に買い物に来てもらうことや、地域住 民が会議室やホールなどを使いやすいように変えていく ことが、新たな需要の掘り起こしにもつながると主張さ れた。
さらに現在の潜在的な資源を再評価し、有効活用する 提案もみられた。たとえば建物が高く見晴らしがよいこ とから、展望台として一般に開放することや、そうした 高層階に地物野菜や海産物を使ったレストランを建設
【修理工房】
項目 評価する点 気になる点 提案
修理 ・文化財修理などが気軽に見ら れるのはよい
・完成品のみならず、プロセス を見せる展示は、技術継承の ための教育に役立っている
・常時やっていない
・実際どんな作業をしているのか情報が少ない
・修理の日を事前予告して見学を促す
・見学の企画、コーディネートを積極的に行う
・外から覗けるガラスになっているので「見せて いる」ことを意識する
・修理の進捗状況などを紹介パネルで行う
・修理機能の集積を図る
・職人の映像を増やす
写真1 現地調査風景①(著者撮影)
写真2 現地調査風景②(著者撮影)
し、食器は銅器や鋳物、漆器、さらに体験で制作したも のを使用する。産業拠点施設の「見る」「学ぶ」「作る」「買 う」に加えて、「使う」機能を付加しようという提案で ある。こうした提案も、学生の新鮮な目で探ることで見 えてくるものである。
販売についても、現在の委託販売について見直すべき という提案もあった。地場産業センターは公的機関での 委託販売のため、特定のメーカに偏ることができない。
そこで地場産業センターが販売スペースをコーディネー トするのではなく、製造者が直接地場産業センター内の 販売エリアを企画コーディネートする方式をとり、それ ぞれが自社製品の販売・PRに直接携わる方法に変えると いう提案である。販売・PRを各社で行う分、地場産業セ ンターの委託手数料が減少する可能性があるが、結果と して新しい販売先が創出され、全体としての売上増加が 見込めるなら、産業全体としては望ましい。
また、センターの運営に伝統産業に興味のある若い人 材を取り込むことも提案された。今回の調査研究もその 一つであろう。近隣の富山大学芸術文化学部との連携も 相互に利点がある形になれば、つながりは深化するので はないか。今回の事業がその試金石となりうる。
その他の意見としては、集客のためにスタンプラリー を実施する、産業拠点施設を道の駅に転化するなどの意 見も出された。
このように産業拠点施設は多様な問題を変えながら も、新しい主体や仕組みを取り込みながら変革を遂げる ことが求められている。何もしなければ衰退から免れる ことはできない。新しい挑戦をし続けていくことこそ、
生き残っていく道である。そこで、今回の事業が高岡地 域地場産業センターからの要請であり、施設内部から積 極的に改善しようとする姿勢であることは高く評価でき る。伝統的工芸品産業は、考え方が硬直的で変化を好ま ない。しかし、今回の事業のように、大学生の外部の目 で調査と改善提案を行うことは、比較的費用をかけずに 実施が可能である。事業そのものが、学生、事業者、双 方にメリットがある形をつくることができるなら新しい 産業拠点施設整備のモデルとなり、伝統的工芸品産業再 生の糸口となりうるのではないか。
しかし改善提案を実現するには、事業費を確保しなけ ればならない。本気で変革を行うなら大規模な対策を行 う必要があり、そのためには予算は不可欠である。予算 がないのであれば、今あるもので最大の効果を高める努 力を行うこと、地場産業センターにしか存在しない地場 産業センターならではのものを見出し活用することしか ない。まずは今回の多くの提案から優先順位をつけ、で きることを地道に行うことが求められている。
参考文献・資料
・(公財)高岡地域地場産業センターリーフレット
・公益財団法人高岡地域地場産業センターホームページ https://www.takaokajibasan.or.jp/
(2019(令和元)年9月30日閲覧)
1)2019(令和元)年6月24日の説明より
2)調査結果は2019(令和元)年11月22日に公益財団 法人高岡地場産業センター専務理事青島恒巳氏と同 職員斎藤翔太氏に報告した。
写真3 グループワーク風景(著者撮影)
写真4 発表風景(著者撮影)