• 検索結果がありません。

その他のタイトル Der Austritt in Personengesellschaften

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "その他のタイトル Der Austritt in Personengesellschaften"

Copied!
48
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

組合型団体における任意脱退の意義と機能 : ドイ ツ法およびフランス法との比較法的考察

その他のタイトル Der Austritt in Personengesellschaften

著者 後藤 元伸

雑誌名 關西大學法學論集

巻 52

号 4‑5

ページ 1164‑1210

発行年 2003‑03‑20

URL http://hdl.handle.net/10112/00023513

(2)

わが国の民法典は︑その六七八条において︑組合契約をもって組合の存続期間を定めなかったとき︑または︑ある

組合員の終身間組合が存続すぺきことを定めたときは︑各組合員は何時でも脱退することができる旨を定める︵一項

本文︶︒ただし︑やむをえない事由がある場合を除くほか︑組合のために不利な時期に脱退することはできない

項但書︶︒組合の存続期間を定めたときであっても︑やむをえない事由があれば︑各組合員は脱退することができる I

は じ め

1

は じ め に 1 1

わが国における任意脱退に関する支配的見解 m ドイツ団体法における構成員の告知権 N フランス団体法における規整

>組合型団体における任意脱退の意義と機能 後

組合型団体における任意脱退の意義と機能

I

ドイツ法およびフランス法との比較法的考察~

一 五 六

六 四

伸 ︶

(3)

一 五 七

︵ ︱

‑ 六

五 ︶

︵二項︶︒それゆえ︑民法上の組合からの脱退はやむをえない事由があっても許さない︑という趣旨の条項が組合規約

にあったとしても︑それは無効とされるであろう︒では︑なぜ無効か︒構成員の自由を著しく制限し︑公序良俗に反

(1 ) 

するから

1

民法六七八条の ︵やむをえない事由に基づく脱退の︶強行規定性を︑このように根拠づけることもでき

る︒ここでは︑従前からの公序良俗論が︑公序良俗違反行為の事例群の一っとして︑個人の自由を極度に制限する行

しかし︑脱退を許さないといっても︑たとえば芸娼妓契約に見られるほどに︑脱退しようとする者の人格の尊厳を

害するものではない︒また︑脱退を絶対に許さないとの組合契約は︑私的自治や所有権の絶対といった私法上・憲法

上の大原則にかかる自由を侵害するものではあるが︑議論の焦点はより下層に求めるべきだと思われる︒

さらに︑たとえば︑正当な理由のある場合にのみ組合の承認を得て脱退しうるという趣旨の組合規約︑つまり︑脱

(2 ) 

退をいっそう困難にする組合契約の有効性をはかる規準として︑公序良俗論はものさしとして過大ではないだろうか︒

つまり︑団体的拘束から離脱する可能性を組合契約により完全に排除してしまうのではなく︑組合からの離脱を何ら

かの形で制限するにすぎない場合について検討するにあたっては︑構成員の自由を著しく制限するから︑ないしは︑

公序良俗に反するからというだけでは︑十分な法的整序が容易ではないだろう︒結論的にいえば︑構成員の脱退を制

限する団体規約の問題は︑組合型団体に関する法律の規整を前提として︑構成員の法的な利益状況︑および︑団体の

存続性の確保という利益評価に関連づけて論じられなければならない︒

すなわち︑団体的構造からいえば︑構成員にとって︑脱退というイニシアチプは︑それにより自己の意思を団体運

(3 ) 

営に反映させる手段となりうるから︑基本的な権利である団体の運営に参加する権利︵従来からの用語によれば共益

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

為を挙げていることが想起される︒

(4)

第五二巻四・五号 権︶に連なるものである︒また︑構成員にとって脱退できないとは︑たとえば︑将来的に継続的に生起する団体に対 する種々の人的な負担︑あるいは︑経済的負担︵対外的な無限責任︑内部的な損失分担など︶を負い続けるとともに︑

これに対して︑脱退が常態的に生じるような団体では︑団体設立のそもそもの意義︑つまり︑団体目的の達成がお ぼつかない︒そこで︑団体の事業目的の継続的展開を図り︑ひいては団体の存続性を確保する必要がある︒この要請

は︑先の構成員の利益状態とは緊張関係にあることはいうまでもない︒

(4 ) 

かかる連関の中で︑法律はいかなる処理準則を提供しているかが第一に問われなければならない︒支配的見解とは 異なり︑法律の規定︵民法六七八条︑商法八四条︶が存続期間の定めの有無により処理を違えていることが︑まず重

視されるべきである︒

本稿で検討の主たる対象とする団体は︑民法上の組合あるいは合名会社をその典型とする組合型の団体である︒組

合型団体においては︑構成員︵組合員︑社員︶ の脱退が特に問題となりうるからである︒もっとも︑社団型団体にお

いて構成員の脱退が問題にならないというわけではない︒社団型団体の中の株式会社を典型とする資本的団体はさて おき︑社団型団体の中のいわば人的な団体である社団法人や協同組合では︑構成員の脱退が問題となりうる︒なぜな ら︑資本団体︵資本会社︶に対して︑人的な団体における構成員の変動は基本的に︑構成員たる地位の譲渡ではなく︑

従来の構成員の脱退および新規構成員の加入によって生じるからである︒しかし︑本稿では人的な団体についての検

討 を 割 愛 す る ︒ 脱退により生じる︵払戻しなどの︶利益を取得できないことをも意味する︒ 関法

一 五 八

︵ ︱

‑ 六

六 ︶

(5)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

民法典および商法典における法律の規整

一 五

︵ ︱

‑ 六

七 ︶

民法六七八条が規整するところは︑次のように整理することも可能である︒すなわち︑民法六七八条一項本文の定

める組合からの脱退を︑通常の任意脱退と呼ぶものとすれば︑各組合員は︑組合の存続期間を定めなかった場合には︑

原則として︑何時でも通常の任意脱退をなすことができる︵ある組合員の終身間の存続期間を定めた場合も同じであ

る︶︒例外的に︑組合のために不利な時期においては︑通常の任意脱退をなすことができず︑やむをない事由がある

場合にのみ︑任意脱退をなすことができる︒これに対して︑組合の存続期間を定めた場合には︑各組合員は︑原則と

して︑存続期間が満了するまで任意脱退をなすことができない︒例外的に︑やむをない事由があるときは︑何時でも

︵存続期間満了前に︶任意脱退をなすことができる︵特別の任意脱退︶︒

合名会社に関しても同様の規定が存在する︒商法八四条によれば︑定款をもって会社の存立時期を定めなかったと

き︑または︑ある社員の終身間会社が存続すべきことを定めたとき︑各社員は︑六月前に予告をして︑営業年度の終

わりに退社することができる︵一項︒通常の任意退社︶︒会社の存立時期を定めたか否かを問わず︑やむをない事由

があるときは︑各社員は何時でも退社することができる︵二項︶︒

商法八四条の規整を︑民法典におけるのと同様に︑存立時期の定めの有無によって整理すると次のようになる︒す

なわち︑会社の存立時期を定めなかった場合には︑各社員は︑原則的な予告時期・退社時期を六月前・営業年度終了

時として︑通常の任意退社をなすことができる︵ある社員の終身間の存立時期を定めた場合も同じである︶︒この場

1 1

わが国における任意脱退に関する支配的見解

(6)

することができる︵六七八条二項︶︒ 第五二巻四・五号

合には︑民法六七八条一項とは異なり︑不利な時期における任意退社の制限がないことに留意すべきである︵予告時

期・退社時期に関する規整が不利な時期における任意脱退の制限に代わるものと見ることもできる︶︒やむをない事

由があるときは︑何時でも︵予告なく︑退社時期以外の時に︶特別の任意退社をなすことができる︒これに対して︑

会社の存立時期を定めた場合には︑各社員は︑原則として︑存立時期が終了するまで任意退社をすることができない︒

例外的に︑やむをない事由があるときは︑何時でも︵存立時期終了前に︶任意退社をなすことができる︵特別の任意

組合における任意脱退に関して︑通説的見解と目されるのは︑我妻説である︒それによれば︑まず︑任意脱退ので

きる時期については制限があり︑民法六七八条に従って︑組合契約で組合の存続期間を定めいていないときと︑定め

てあるときに区分される︵ある組合員の終身間存続するものと定めてあるときは前者に含まれる︶︒

存続期間を定めていないときには︑各組合員は︑﹁何時ニテモ﹂︑すなわち特別の理由がなくとも︑脱退することが

でき︑ただし︑組合のために不利な時期に脱退するには︑やむをえない事由がなければならない

やむをない事由なしに不利な時期に脱退の意思を表示しても脱退の効力を生じない︒

存続期間を定めてあるときは︑脱退することができないのを原則とするが︑やむをない事由があるときには︑脱退

我妻説は右のように六七八条の文言に従って法準則を定立した上で︑六七八条は︑存続期間の定めある場合にも︑ 退

社 ︶

関 法

民法六七八条に関する我妻説および最高裁判決

一 六

︵ 六

七 八

条 一

項 ︶

( ‑

︱ 六

八 ︶

(7)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

一 六

︵ ︱

‑ 六 九

ない場合にも︑やむをない事由があれば脱退しうるという点だけが強行規定だ︑と解する︒すなわち︑やむをない事

由がある場合にも脱退しえないとする拘束は許されないが︑脱退をいっそう困難にする組合契約はその効力を認むべ

きだとする︒けだし︑組合員がみずから契約してその程度の拘束を受けることは︑団体的事業の執行に便宜であり︑

(7 ) 

︵ 大

判 昭

1 8

. 7

. 6

民集二二巻六 0 七号︶︒大審院判決が﹁正当

の理由ある場合に限り組合の承認を得て脱退しうる﹂という趣旨の組合契約条項を無効とするのに対して︑右のよう

な議論を示して︑かかる条項は﹁組合のために不利な時期でなくとも︑正当な理由がなければ脱退しえない﹂ー正

当な理由があれば組合の承認がなくともよいという趣旨に解して︑その効力を認むべきだとする︒さらに︑正当

な理由があるときは過半数の承認をえて脱退しうるという特約も︑同様に︑その効力を認むべきだとする︒

右のような我妻説は︑民法六七八条において︑①存続期間の定めの有無にかかわらず︑②やむをない事由があれ

ば脱退しうるという部分だけが強行規定だとする点に集約できるであろう︒すなわち︑①民法六七八条が一項・ニ

項により第一義的に区別している存続期間の定めの有無は︑存続期間の定めが任意脱退を制限する︱つの場合にすぎ

ないという意味において︑さほど重要ではない︒二項但書で不利な時期に脱退できないというのも︑任意脱退を制限

する︱つの場合である︒②任意脱退が存続期間の定めにより制限されている場合も︑あるいは︑不利な時期である

ことによって制限されている場合も︑やむをない事由があれば脱退しうるという点が民法六七八条において共通して

おり︑この部分のみが強行規定である︒③したがって︑他の方法による任意脱退の制限も︑やむをない事由︵正当

な理由︶があれば脱退しうるのであるから︑存続期間の定めや不利な時期であることによる任意脱退の制限と並んで︑

かかる議論の直接的契機は大審院の判決である 公序良俗に反するとはいえないからである︒

(8)

と考えているように思われる︒ け

で あ

る ︒

第五二巻四・五号

( ‑

︱ 七

0 )

有効である︒つまり︑組合契約により任意脱退を一般的に制限することは可能だが︑やむをえない事由による脱退を

排除することはできない︒脱退できないことに自ら合意した以上︑やむをえない事由による脱退を認めれば足りるわ

( 9 )  

最高裁判決︵最判︿三小﹀平

1 1 . 2 . 2

3 民集五三巻二号一九三頁︶は︑異論はあるが我妻説に基本的に従うものと

も評価できる︒最高裁判決によれば︑﹁民法六七八条は︑組合員は︑やむを得ない事由がある場合には︑組合の存続

期間の定めの有無にかかわらず︑常に組合から任意に脱退することができる旨を規定﹂する︒﹁同条のうち右の旨を

規定する部分は︑強行法規であり︑これに反する組合契約における約定は効力を有しない﹂︒﹁けだし︑やむを得ない

事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は︑組合員の自由を著しく制限するものであり︑公の秩序に反す

る﹂からである︒この最高裁判決は︑﹁オーナー会議で承認された相手方に対して譲渡することができる︒譲渡した

月の月末をもって退会とする︒︵これは︑不良なオーナーをふせぐ為である︒︶﹂との組合規約の規定を︑組合からの

任意の脱退は︑組合員の権利を譲渡する方法によってのみすることができ︑それ以外の方法によることは許さない旨

を定めたものだと解し︑この点で︑やむをえない事由があっても任意の脱退を許さないものとしていることになるか

ら︑この点において民法六七八条の強行規定部分に反し︑当該条項を無効と判断するものである︒かかる判断からす

れば︑我妻説と同様に︑やむをえない事由に基づく任意脱退さえ認められていれば︑任意脱退の制限は一般的に可能

関 法

一 六

(9)

一 六

一定の解散事由が生じたことから︑直ちにその存在を失 ドイツ民法典およびドイツ商法典の規整 m

ドイツ団体法における構成員の告知権

すでに見たように︑合名会社の社員の退社に関する商法八四条は︑存立時期を定めなかったときの退社につき︑六

月前の予告および営業年度の終わりの退社時期を定めているほか︑民法六七八条と同様の規定である︒商法学におい

ては︑同条は︑社員相互の信頼関係を基礎とし︑社員の退社の自由を前提としつつ︑個人の利益と会社の利益の調整

( 10 )  

点を定めたものであるとして︑これを社員の不利益には変更できないと解するのが近時の通説であるとされている︒

団体の解散および消滅

の解散および消滅に関して︑

( 11 )  

ドイツ団体法学においては︑民法上の組合および合名会社等の組合型団体

( P e r s o n e n g e s e l l s c h a f t :

人 的

共 同

団 体

一般に次のような説明がなされている︒すなわち︑およそ団体

( G e s e l l s c h a f t )

に は

程度の差はあれ︑団体的組織があり︑かつ︑通常は団体目的達成のために構成員等の財産から分離された団体財産

( G e s e l l s c h a f t s v e r m o g e n )

が存在する︒それゆえ︑団体は︑

うわけではない︒ドイツ民法典七︱︱

1 0

条二項第一文によれば︑解散後も団体が存続するものとみなされている

( a l s f o r t b e s t e h e n d   gelten) ぶか、この蕊〖卸叩は必要でないとされている。すなわち、団体が完全に消滅するまでには、①一

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

商法八四条に関する近時の通説

( ‑

︱ 七

一 ︶

(10)

商法典旧規定ニニ一条六号︶︒しかし︑ した組合員は脱退するものとされ︑組合は存続する︵民法典七三六条一項︶︒

第五二巻四・五号

滅 (

V ^

o l

l  

,v 

B

e e

n d

i g

u n

g )

という変遷を辿り︑団体の消滅まで団体自身は存続する︒

( ‑

︱ 七

二 ︶

定の事由に基づく解散

( A

u f

l o

s u

n g

) ︑

② 清 算

( A

u s

e i

n a

n d

e r

s e

t z

u n

g ; 

L i q u i d a t i o n )

︑そして︑③団体の

︵ 完

全 ︶

消 団体の解散とは︑団体が清算の段階に移行することをいう︒解散により︑団体は団体の基礎となる契約 ( G e s e l l s c h a f t s v e r t r a

g   : 

組 合

契 約

︑ 定

款 ︶

により定められていた従来の団体目的

( G e s e l l s c h a f t s z w e c k )

を清算とい

う目的に変更することとなる︵団体の同一性は失われない︶︒清算段階では︑団体財産は換価され︑団体の債務は弁

組合型団体における構成員の告知権に関するドイツ民法典・商法典の規整

告知の効果

ドイツ民法典においては︑民法上の組合につき︑組合員の一人による告知︵七ニ︱︱一条︶が︑解散事由となっている︒

原則として︑組合員の一人の告知によって︑組合は解散し︑七三 0 条以下の基準に従い清算される︒もっとも︑組合

契約が︑告知があっても他の組合員の下で存続するという存続条項

( F o

r t s e t z u n g s k l a u s e l )

を含むときは︑告知をな

かつては合名会社においても︑民法上の組合におけるのと同様に︑告知が原則的として解散事由であった︵ドイツ

く脱退事由︵退社事由︶ 一九九八年の商法典改正により︑組合員の一人による告知は解散事由ではな

となり︵商法典ニニ一条三項三号︶︑不必要となった存続条項に関する商法典一三八条︵前

( 1

)  

2  清算の後︑団体は消滅し︑その組織および財産を一切残さない︒ 済され︑持分が払い戻されて︑残余は構成員に分配される︵民法典七三二条ないし七一二五条︒ただし︑任意規定︶︒ 関法

一 六

(11)

したがって︑民法上の組合と合名会社はともに構成員相互の信頼関係を基礎としながらも︑

により︑合名会社においては︑よりその存続性の確保が図られたものとなった︒もっとも︑民法典・商法典において

は典型的なモデルとして法定の団体類型が定められているにすぎないのであって︑各規定はその原則を定めているに

組合型団体

( P e r s o n e n g e s e l l s c h a f

t 人的共同団体︶における構成員︵組合員︑社員︶のなす告知については︑ド : 

( 15 )  

イツ民法典七二三条に一般規定がある︒七ニ︱

1

一条一項では︑通常の告知

( o r d e n t l i c h e K t i n d i g u n g )

と特別の告知

( a u B e r o r d e n t l i c h e   K t i n d i g u n g )

が区別され︑後者は重大な事由

( w i c h t i g e r G r u n d )

  のある場合にのみ可能である︒

七二三条一項第一文によれば︑存続期間の定めのない組合

( G e s e l l s c h a f t )

においては︑各構成員︵組合員︶

これに対して︑七ニ︱︱一条一項第二文によれば︑存続期間の定めのある組合においては︑各構成員︵組合員︶は︑存

続期間の満了前であっても︑重大な事由のあるときにかぎり︑告知をすることができる

三条二項第六文によれば︑︵一定の期間経過後に告知の効力が発生するという︶告知期間

( K t i n d i g u n g s f r i s t )

が定め

られている場合も同様であって︑重大な事由のあるときにかぎり︑各構成員︵組合員︶は告知期間の定めにかかわら

ず︑特別の告知をすることができる︒重大な事由に基づく特別の告知により︑組合は直ちに解散する︒

七二三条三項によれば︑告知権を排除する合意︑または︑右に述べた規定に反して

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

時でも告知をすることができる︵通常の告知︶︒

( 2 )  

告知権に関するドイツ民法典の規走

す ぎ

な い

( 1 3 )  

記民法典七三六条に相当︶は削除された︒

一 六

一九九八年商法典改正

( ‑

︱ 七

三 ︶

︵通常または特別の︶告知権を

︵ 特

別 の

告 知

︶ ︒

ま た

︑ 七 は 何

(12)

第 五 二 巻 四

・ 五 号

( ‑

︱ 七

四 ︶

さらに︑民法典七二四条第一文によれば︑組合がある組合員につき終身間存続すべきものと定められているときは︑

( 16 )  

告知権の点で︑存続期間の定めがないものとして扱われ︑組合員は何時でも告知しうる︒つまり︑組合員には通常の なお︑民法典七二三条二項第一文によれば︑告知は︑前記七二三条一項の要件を満たす告知であっても︑不利な時

︵ただし︑不利な時期の告知につき重大な事由があるときはこのかぎりでな

い︶︒しかし︑告知が不利な時期になされたときであっても︑原則として他の構成員︵組合員︶に損害賠償請求権を 生ぜしめるのみで︑告知自体は有効であると一般に解されている︒その根拠は︑①七二三条二項第二文の文言︑②告 知自体を無効とすると構成員が継続的な負担を負い続けること︑および︑③前記七二三条三項の告知権制限の禁止の

︵構成員が告知の可能性なく拘束される︶ことに求められている︒

告知権に関するドイツ商法典の規定

( 18 )

1 9

)  

合名会社の規定であるドイツ商法典一三二条は︑ドイツ民法典七二三条が規定する通常の告知について︑告知の効

︵告知の効力が発生するまでの︶告知期間

( K

i i n d i g u n g s f r i s t )

を特則とし

て規定する︒民法典七二三条によれば︑告知期間を経ない告知が可能であり︑不利な時期になされた告知は損害賠償 義務を生ぜしめるにすぎないのに対して︑商法典一三二条によれば︑告知が効力を生ずるのは各営業年度の終わりの 時点であり︵告知の効力発生時期︶︑かつ︑告知はその時点より六か月前に表示されなければならない

すなわち︑合名会社は︑多くの場合︑構成員の職業的活動の基礎をなし︑構成員の財産の大部分がそこに投下されて 力発生時期︵ 自 K

d i g u n g s t e r m i n )

および

( 3 )  

趣旨に反する 期 に

( z u r U n z e i t )

することはできない 告知権が与えられる︒ 制限する合意は無効である︒ 関法

一 六 六

︵ 告

知 期

間 ︶

(13)

一 六 七

おり︑その解散は構成員にとり深刻であるから︑法律は構成員に対し準備期間を与えているわけである︒他面︑この

ような告知権の時間的制約により︑不利な時期になされた告知からの特別の保護︵民法典七二三条二項が規定するよ

( 20 )  

うな不利な時期の告知の制限︶を不必要にしている︒

次に︑民法典七二三条が規定する特別の告知は重大な事由の存在を要件とするが︑この特別の告知の制度の代わり

に︑商法典一︳︱‑三条一項は︑重大な事由の存在を要件とする裁判所の判決による解散

( A u f l o s u n g d u r c h   g e r i c h t l i c h e   E n t s c h e i d u n g )

を規定する︒つまり︑法的安定性・明確性を確保するために︑とりわけ︑重大な事由の存否をめぐ

( 21 )  

る判断を明確にするために︑民法典七二三条における特別の告知権が︑合名会社・合資会社では︑裁判所の判決によ

( 22 )  

る解散を求める請求権に解消されている︒

もっとも︑右の商法典上の特則は次に述べる意味で強行的ではないと解されている︒つまり︑通常の告知について

は︑商法典︱︱‑=一条が告知の効力発生時期・告知期間に関する強行的でない特則を含むものにすぎず︵たとえば︑告

知期間を六か月でない期間に設定することもできる︶︑合名会社等の商法上の組合型団体︵人的共同団体︶にも︑先

に述べた民法典七二三条︵告知期間設定に関する同条一項第六文︑告知権の制限の禁止に関する同条三項など︶の規

( 2 3 )

2 4 )

 

整が一般法として妥当するものと解されている︒また︑商法典一三三条一項の重大な事由に基づく判決による解散を

求める請求権についても︑それとは別に︑判決によらない重大な事由に基づく特別の告知権を定款で合意することが

( 2 5 )

2 6

)  

可 能

で あ

る ︒

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

︵ ︱

‑ 七

五 ︶

(14)

し た

が っ

て ︑

第五二巻四・五号

通常の告知権の意義と通常の告知権の制限

通常の告知権の制限に関する共通理解

( 27 )  

一般的に理解されているところによれば︑ドイツ民法典七二三条三項は︑組合型団体︵人的共同団体︶ の構成員

︵組合員︶が何時でも告知しうるという︵同条一項第一文の定める︶告知権

( K i i n d i g u n g s r e c h t )

を ︑

完 全

に 排

除 し

あるいは︑制限することを禁じているが︑通常の告知権を団体の存続期間や告知期間の定めにより制限することを禁

じていない︒これは︑同条一項第二文および第六文の予定するところである︒つまり︑存続期間の定めがあれば︑存

続期間の終了まで︑重大な事由

( w i c

品 h

e r G r u n d )

  のないかぎり︑構成員︵組合員︶は告知をなしえなず︑また︑

告知期間の定めがあれば︑重大な事由のないかぎり︑構成員︵組合員︶ のなした告知は︑告知期間が経過するまで︑

すなわち︑存続期間や告知期間を定めることによって︑組合型団体︵人的共同団体︶の構成員を時間的に拘束する

ことが︑可能である︒民法典七二三条三項にいう告知権の排除・制限の禁止は︑告知権の時的制限についてのもので

はなく︑他の方法による告知権の完全な排除︑または︑制限に関するものである︒

一定の期間につき︵あるいは︑長期にわたって︶団体の存続を図る方法としては︑たとえば次のよう

な方法が考えられる︒①︵場合によっては長期の︶存続期間を定めて︑その期間内は︑重大な事由のないかぎり︑構

( 28 )

2 9 )

 

成員︵組合員︶は告知をなしえないものとする︵存続期間の定めによる告知権の排除︿民法典七二三条一項第二文﹀︶︒

② 告 知 期 間 ( K i i n d i g u n g s f r i s t )

を定めて︑通常の告知の効力発生時期を︵場合によっては長期の︶告知期間経過後 その効力を生じない︒ ー 関法

一 六

( ‑

︱ 七

六 ︶

(15)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

通常の告知権の制限に関する従前の通説的見解

( 32 )  

従前の通説的見解によれば︑前記①ないし③に挙げた方法により︑①構成員︵組合員︑社員︶

時間的に制限して︑構成員を時間的にのみ拘束することが認められる︵つまり︑重大な事由を理由とする即時の特別 告知権を排除することはできない︶︒通常の告知を他の構成員の多数決または同意にかからしめることはできない︒

存続期間を自由に合意しうるというかぎりにおいてのみ︑②契約自由が妥当する︒

けだし︑告知権の排除・制限を禁止する民法典七二三条三項の規定は︑通常の告知権を時間的に制限することを禁 じているものではなく︑それ以外の方法で通常の告知権を制限することのみを禁じているものと解されるからである︒

このことは、③民法典七二三条三項が、同条一項第二文•第六文において存続期間・告知期間の設定が可能である

( 33 )  

ことを前提としていることを受けて︑これと異なる告知権の制限を無効であると規定していることから明らかである︒

民法典七二三条三項は強行規定だと解されている︒④その基礎にあるのは一般的な法原則である︒すなわち︑時間

的な制限のない︑

かつ︑告知の可能性のない人的または経済的な拘束は︑契約当事者の人的な自由

( p e r s o n l i c h e F r e i h e i t )

に合致しない︒それゆえ︑そのような拘束につき︑有効な合意をなしえない︒当事者の同意があっても︑

( 1

)  

2 従前の通説的見解 ︵告知の効力発生時期の定めによる告知権の制限︶︒

一 六

( 30 )  

まで遅らせる︵告知期間の定めによる告知権の制限︿民法典七ニ︱︱一条一項第六文﹀︶゜③︵場合によってはその機会が

( 31 )  

かなり制限された︶告知の効力発生時期

( K i . i n d i g u n g s t e r m i n )

を定めることにより︑通常の告知の機会を制限する

の通常の告知権を

( ‑

︱ 七

七 ︶

(16)

第五二巻四・五号

( ‑

︱ 七

八 ︶

予めそのような合意をすることはできない︒このことは組合型団体︵人的共同団体︶にとりわけ妥当する︒けだし︑

組合型団体にあっては︑もとより構成員に対する人的拘束が強く︑通常の告知権の排除を認めると︑構成員の人的な

自由および経済的な自由がなおいっそう制限されることになるからである︒このような一般的法原則は︑民法典七二

四条・商法典一三四条にも示されている︒つまり︑団体︵組合︑会社︶がある構成員︵組合員︑社員︶につき終身間

存続すべきものと定められているときは︑告知権の点で︑存続期間の定めがないものとされる︒

右のところから︑存続期間の定めのない組合型団体︵人的共同団体︶における通常の告知権の完全な排除は無効で

あ る

︒ 他

方 ︑

一時的に通常の告知権を排除することは差し支えない︒

( 34 )  

ところで︑ドイツ民法典は使用賃貸借

( M

i e

t e

)

および用益賃貸借

( P

a c

h t

)

につき三 0 年︵五四四条︑五八一条

二項︶︑雇傭につき五年の原則的な最高存続期間を定めている︵六二四条︶︒これに対して︑民法上の組合および合名

会社など組合型団体︵人的共同団体︶においては︑最高存続期間を定める規定がない︒なぜなら︑⑤重大な事由に

基づく︑特別の告知︵民法典七二三条一項︶あるいは解散判決︵商法典一三三条︶により︑構成員はその拘束から離

( 35 )  

脱できるからである︒かかる特別の告知権の意義は︑存続期間が長期にわたるほど大きくなる︒︵告知の効力が生じ

るまでの︶告知期間が長く定められ︑あるいは︑告知の効力発生時期が︵機会の点において︶制限されている場合も

同様である︒したがって︑民法典七二三条は︑特別の告知権まで排除する合意を強行的に無効として︑特別の告知権

を確保しつつ︑通常の告知権を時間的に制限することを認めているものと解される︒

右に見たところからもわかるように︑従前の通説的見解によれば︑組合型団体は基本的に存続期間の定めのあるも

のとないものに二分され︑民法上の組合についていえば︑期間の満了により解散するか︑あるいは︑︵通常の︶告知 関法

一 七

(17)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

により解散するかのいずれかである︒すなわち︑通常の告知権を時間的にのみ制限することを容認していることから︑

組合型団体︵人的共同団体︶における契約の自由︵内容形成の自由︶

限に対する限界を︑民法典一三八条の良俗違反に求める︒つまり︑存続期間の設定による制限は︑良俗違反により無 効とされる可能性がある︒それゆえ︑⑦終身の存続期間の定めを期間の定めのないものとして扱う民法典七二四 条・商法典一三四条の規定の存在にもかかわらず︑合意された存続期間が構成員の推定上の生存期間を超えても構わ

ない︒たとえば︑九九年間の存続期間またはニ︱

0

0 年までの存続期間の定めもなお有効である︒したがって︑民法

典七二四条・商法典一三四条の適用範囲は︑ある構成員につき終身間存続することが明示的に定められている場合に

限 定

さ れ

る ︒

一 七

の限界︑つまり︑⑥通常の告知権の時間的制 たしかに︑民法典七二四条・商法典ニニ四条の趣旨もまた構成員の人的・経済的な活動の自由を確保することにあ

るが︑終身の存続期間の定めを期間の定めのないものとすることは絶対的なものではない︒団体の基礎となる契約

︵ 組

合 契

約 ︑

定 款

から構成員︵組合員︑社員︶

の意思決定の射程を十分に測りうるのであるから︑当該構成員に彼

︵期間の定めがない場合の︶通常の告知権を強制するべきではないともいえる︒それゆえ︑民法典七二 四条・商法典一三四条は制限的に解釈すべきである︒また︑存続期間が構成員の推定上の余命を超えているときにそ の定めを︑民法典七二四条・商法典一三四条の趣旨により無効とする解範は︑法的安定性を損ね︑高齢者の参加を不 可能とすることにもなりかねない︒結局︑存続期間の定めについては強行規定違反︵民法典ニニ八条の良俗違反︶

の みが問題となる︒民法典七二四条・商法典一三四条は︑構成員がその法的拘束に関して見通しが利かない

( u n t i b e r s c h a u b a r )

こ と

を 去

p

慮したものであり︑終身という拘束期間の長さよりも︑解散時点の不明確さに︑より大

らが望まない

︵ ︱

‑ 七

九 ︶

(18)

通常の告知権の意義と終身の存続期間の合意

︵ ︱

‑ 八

0 )

( 38 )  

ここでは︑右に見た従前の通説的見解を︑終身の存続期間の合意との関連で再整理する︒すなわち︑従前の通説的

見解によれば︑民法典七二三条三項︵および民法典七二四条・商法典一︳︱‑四条︶から︑︵存続期間の定めのない場合︑

または︑ある組合員の終身間存続すべきものと定められた場合における︶通常の告知権の意義を導き︑①それは構

しかし他方で︑②団体の継続性の確保を見据えている︒つまり︑何時でも告知できるとする通常の告知権の存在

は︑事業の早期の頓挫の危険性につながり︑それは不経済である︒また︑人的信頼関係を基礎にしたいにもかかわら

ず資本会社の法形式に逃避せざるをえないことにもなりかねない︒それゆえ︑民法典七二四条・商法典一三四条は制

限的に解釈すべきである︒たとえば︑それらの適用については︑ある構成員の終身間存続すべきことが明示的に合意

されていることが必要であり︑推定上の余命を超えるような期間設定をもって終身の存続期間の定めと同視すること

はできない︒たしかに︑構成員の脱退という手法をとることにより︑構成員が団体から脱退するだけで︑団体の清算

( 3 9 )  

には至らないものとすることもでき︑その結果︑団体の存続性を確保することが可能である︒しかし︑③脱退は持

分の払戻しを伴うから︑構成員の脱退という構成は団体の継続性を確保するのに不十分である︒

④かかる思考の基底には私的自治がある︒何時でも告知できるというのは︑私的自治から見れば例外的である︒

たとえば︑継続的売買契約において売主が︑終身間︑反復的給付義務を負担する場合において︑売主に期間満了前の

告知権を与える法律の規定は存在しない︒また︑使用賃貸借法

( M i e t r e c

h t )

成員の人的・経済的自由を確保することにあるとする︒

( 2 )  

第五二巻四・五号

( 3 7 )  

きく焦点を当てたものである︒ 関法

の民法典五四四条第二文は︑使用賃貸

一 七

(19)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

人または使用賃借人の終身について契約が締結されたときは︑告知できないことを規定する︒これらに対して︑雇傭

に関する民法典六二四条は︑終身の︑または︑五年を超える雇傭関係につき︑義務者が五年経過後に告知しうる旨規

定しているので︑民法典七二四条・商法典一三四条に類似するようにも見える︒だが︑この告知権は労務給付義務者

にのみ与えられているのであるから︑それは組合型団体における通常の告知権とは性質を異にする︒

民法典七二四条・商法典一三四条を寛容に解釈して︑通常の告知権を広く認める必要はない︒けだし︑⑤存続期

間の定めもまた︑良俗違反行為の無効を規定する民法典一三八条により︑無効とされる可能性があるからである︒

さらに︑⑥重大な事由が存在すれば︑構成員は告知をなし︵民法典七二三条一項第二文︑第六文︶︑あるいは︑解

散判決を求めることができ︵商法典二二三条一項︶︑これにより長期の拘束から解放されうる︒しかも︑⑦これらの

特別の告知権あるいは解散判決請求権は強行的に確保されている︵民法典七二三条三項︑商法典一三三条三項︶︒

従前の通説的見解への批判と今日の学説状況

従前の通説的見解は︑通常の告知権の制限を︑許容される時間的制限と許容されない他の方法による制限に区別す

るものである︒通常の告知権の制限は時間的にのみなしうるという点では︑構成員の自由を確保しようとするものに

見える︒反面︑①存続期間を定めさえすれば︑団体の継続性がかなりの程度確保され︑構成員の利益はその背後に

押しやられる︒また︑②民法典七二四条・商法典一三四条によれば︑ある構成員の終身間存続すぺきことを定めて

も︑期間の定めのないものとされるにもかかわらず︑従前の通説的見解は︑時間的拘束を︑それがかなり長期にわた

るものであっても︑時間による告知権の制限であるがゆえに︑承認していることも︑批判の対象になっている︒今日 3 

一 七 ︱

︱ ︱

︵ ︱

‑ 八

一 ︶

(20)

分の払戻しという資本の流出を伴うからである︒

第五二巻四・五号

的な学説に連なる従前の通説的見解に対する懐疑は︑この二点に集約される︒

通常の告知権に関して︑個々の構成員の自由と団体の継続性を衡量・考慮すべきだとして︑次のような機能的分析

( 40 )  

をなし︑従前の通説的見解を批判する見解がある︒

すなわち︑通常の告知権の意義は︑機能的な私的自治の実現にあり︑とりわけ︑構成員の個別的保護に資する︒機

能的に見れば︑①通常の告知権は︑他の構成員へ影響を与える手段となる︒構成員は︑その意に添わなければ告知

をなしうるのであるから︑団体の運営方針に影響を与え︑自身の利益が無視されるのを予防できる︒つまり︑告知で

きるという可能性は︑団体の運営に参加しうる権利

( M i t w i r k u n g s r e c h t :

共 益

権 ︶

の中核をなしている︒また︑②

通常の告知権は、構成員の人的な身の処し方•財産的処分の自由 (Dispositionsfreiheit) を確保し、資本の流動性を

促進する︒組合型団体︵人的共同団体︶は法律的にも現実的にも自由な持分譲渡の可能性を欠くから︑長期の存続期

間の定めによる通常の告知権の制限を承認すると︑通常の告知権の右機能をひどく損なう︒

他方︑団体の存続性と継続性に対する他の構成員の利益もまた︑重要であり保護に値する︒この利益からすれば︑

構成員が長期に固定されることが必要である︒それゆえ︑告知があった場合に︑団体は解散せず︑告知した構成員が

脱退するという手法︵民法典七三六条︑商法典一三一条三項三号︶をとりうるとしても︑それだけでは不十分である︒

なぜなら︑③人的な側面においては︑告知した構成員の知識とコネクションがあてにされていることもありえ︑ま

た︑団体運営の基礎としても安定した構成員の状態が望まれるからである︒また︑④財産的な側面では︑脱退が持

( 1

)  

通常の告知権に関する機能的な分析と通説批判 関法

一 七 四

︵ ︱

‑ 八

二 ︶

(21)

1 ,  

一 七

従前の通説的見解によれば︑法律は︑時間的に無限定・不確かな存続期間にわたる構成員の拘束のみを阻止するも

のであり︑なぜなら︑それは拘束の範囲が構成員に明確でなく︑見通し不可能

( u n i i b e r s c h a u b a r )

だからであると

されている︒しかし︑このような考え方は狭きに失する︒すなわち︑組合型団体︵人的共同団体︶における期間の定

めのない拘束によって、構成員は、設定された自己の状況•投下資本の中で、人的・経済的な活動の自由を制限され

るのであるから︑法律の規整の趣旨はこのような自由の制限を排除することにあるとしなければならない︒つまり︑

民法典七二三条一項は通常の告知権の制限を可能とする一方で︑同条三項は期間の定めのない団体において通常の告

知権を保障しており︑このことは民法典七二四条・商法典ニニ四条の価値評価にも支えられているのである︒した

がって︑通常の告知権の制限に関する合意を無効とする法律の目的は︑構成員の団体への拘束につき見通しの利かな

( u n i i b e r s c h a u b a r )  

.  能心を予防する点だけでなく︑構成員の人的・経済的活動の自由を耐え難いほどに狭める事

態を予防する点にもある︒

右の趣旨・目的からすると︑時間的な終期が不明確な拘束だけでなく︑展開を評価しえないほどの長期にわたる拘

束もまた︑見通しの利かないものであり︑かつ︑人的・経済的な身の処し方の自由を著しく制限する︒この観点から

見 る

と ︑

ニ ︱

0

0 年までの存続期間の定めと存続期間の定めのない場合に何ら違いはなく︑かかる過度に長期の拘束

は期間の定めのないものと実際的な効果の点でも同じである︒したがって︑実質的に通常の告知権を排除するような

不相当に長期の存続期間または告知期間の合意は︑法律の規定︵民法典七二三条一項︑七二四条︑商法典一三四条︶

を回避するものであり︑民法典七二三条三項により無効である︒少なくとも︑三 0 年以上の拘束はこのような合意に

あたり︑この場合に民法典一三八条の良俗違反の判断は必要ない︒

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

︵ ︱

‑ 八

三 ︶

(22)

第五二巻四・五号

今日的な学説状況

︵ ︱

‑ 八

四 ︶

右に紹介したような従前の通説的見解に対する批判は︑今日の注釈書・体系書を見るかぎり︑広く受け入れられて

いるようである︒つまり︑通常の告知権を排除するには︑存続期間を定めて時間的に制限する方法が認められるとす

るが︑従前の通説的見解と異なり︑時間的制限ならば何でも許されるとはしないのが一般的である︒

たとえば︑右に紹介した見解を引用しつつ︑次のように述べる見解がある︒すなわち︑告知権の制限・排除を禁ず

る民法典七二三条三項︑および︑ある構成員の終身間存続すべき場合を期間を定めなかったものと扱う商法典ニニ四

条に示されている法律のコンセプトからすれば︑通常の告知を全く排除してしまう合意のみならず︑過度に長期の告

知期間や存続期間を定めることもまた︑構成員から通常の告知権を奪うことにかわりはなく︑九九年間または二 0 九

九年︱二月=二日までの存続期間の定めは法律の趣旨および目的に合致しない︒たしかに︑民法典七二三条三項は︑

構成員が告知できる可能性を時間的に制約することを禁じてはいないが︑しかし︑長すぎる拘束︵長期の存続期間や

( 41 )  

告知期間の定め︶によって七二三条三項を回避することは無効とされうる︒

順を追って整理すると︑①時間に基づいて構成員を拘束することは原則的に許容される︒②告知権の完全な排除

は︑民法典七二三条三項の許容するところではなく︑無効である︒したがって︑重大な事由がある場合にのみ告知で

きるとする合意は︑通常の告知権を完全に排除するものであるから︑民法典七ニ︱︱一条三項により無効である︒③告

知権の︵完全な排除ではないが︶制限として許されないのは︑たとえば︑通常の告知権を他の構成員または第三者の

( 42 )  

同意にかからしめることである︒④過度に長期の拘束は︑法律の許容するところではなく︑無効である︒長期の存

続期間の定めについての限界づけについては︑まず︑固定的な限界として︑ある構成員の終身間存続すべきことを定

( 2 )  

関法

一 七

(23)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

組合型団体における長期にわたる構成員の拘束が民法典七二三条三項︵あるいは民法典七二四条・商法典一三四

条︶の趣旨に反するとした場合︑その具体的帰結はどうなるか︒ある構成員の終身の存続期間を期間の定めのないも

( 45 )  

のとする民法典七二四条・商法典一三四条の趣旨にあわせて推定的余命を︱つの規準とする見解︑団体目的から生じ う

意 味

が あ

る ︒

定めたために見通しの利かない

一 七

めた場合を期間を定めなかった場合と同様に取り扱う法律の規定がある︵商法典一三四条︶︒次に︑法律︵民法典七

二 三

条 三

項 ︶

の価値評価およびそれを前提とする良俗違反の法律行為を無効とする民法典一三八条が︑流動的な基準

を提供する︒つまり︑何年以上の拘束が許容されないという明確な基準を導くことはできないが︑民法典七二三条︱︱︱

項の価値評価に従えば︑団体の基礎となる契約

( G e s e l l s c h a f t s v e r t r a g )

における他の合意との関連で︑期待可能性が

( 43 )  

ないほどに構成員を拘束する場合︑民法典二子八条を通じて︑それは無効となりうる︒

( 4 4 )  

他の注釈書は次のようにいう︒すなわち︑民法典七ニ︱︱一条一項一文および三項に基づき︑過度の拘束を理由として

期間の定めのないものとされ︑原則的に何時でも告知しうる場合としては︑構成員の終身間という基準で存続期間を

( u n i i b e r s e h b a r )

E

束となった場合のみならず︑過度に長期の︵巳

b e r l a n g )

︑それゆ

え︑各構成員にとって見通しの利かない存続期間を定めた場合もこれにあたる︒過度に長期にわたる期間の合意は︑

個別の事例において︑良俗違反の拘束であるがゆえに民法典一三八条に反する場合にのみ︑無効であるというよりも︑

むしろ︑構成員の人的な自由に向けられた民法典七二三条・七二四条の保護目的を考慮すれば︑七二三条三項で禁じ

られている告知権排除の許されざる回避と見ることができるからこそ︑無効である︒そして︑構成員の終身間の定め

を期間の定めのないものとする民法典七二四条には︑七二三条三項の告知権制限の禁止から脱法する行為を防ぐとい

︵ ︱

‑ 八

五 ︶

(24)

J

との可否が論じられている︒

第五二巻四・五号

( 46 )  

る時間的な拘束以外の時間的拘束を認めない見解︑あるいは︑より重大でない重大な事由に基づく︵即時でない︶告

( 47 )  

知期間つきの特別の告知権を提唱する見解などがある︒しかしながら︑これらの見解の試みのうちどれがより説得的

一 定 の 基 準 の 設 であるかはさほど重要ではなく︑民法典七二三条三項の趣旨に関する︵従前の通説的見解と異なる︶共通理解が存在

( 4 8 )  

することが重要である︒許容される時間的な定めの限界は個別事例と無関係に決まるものではなく︑

定は困難であり︑せいぜい︑告知権を実質的に無意味にしたときは︑期間の定めのないときと同様になるとしかいえ

( 49 )  

な し

右に見てきたように︑通常の告知権は︑告知権の制限を禁止する民法典七二三条三項の規定にもかかわらず︑これ

を時間的に制限することの可能性が議論の出発点であった︒従前の通説的見解は時間的な制限のみを論じていたのに

対し︑近時の学説は︑時間的に制限できるとしても過度に長期の制限は許されないとするから︑告知権の制限の禁止

の範囲を拡張するものである︒他方︑近時の学説は︑告知権の制限の禁止の範囲を狭める方向での議論も行っている︒

時間的に制限する以外の方法によって︑告知権を制限しえないかという問題である︒ここでは特に︑団体の基礎とな

る契約︵組合契約︑定款︶において持分︵構成員たる地位︶

もっとも︑持分の譲渡可能性によって告知権を排除することが一般的に許容されるとはいえない︒なぜなら︑譲渡 (

1 )  

問題設定

4

持分の譲渡可能性と告知権の排除~団体関係からの離脱と団体類型 関法

の譲渡を認めることにより︑強行的な告知権を排除する

一 七 八

︵ ︱

‑ 八

六 ︶

(25)

組 合

型 団

体 に

お け

る 任

意 脱

退 の

意 義

と 機

一 七 九

可能性は︑多くの場合︑譲渡の相手方を見つけることができないゆえに︑実現不可能だからである︒これに対して︑

たとえば︑団体の基礎となる契約において︑他の構成員に持分を譲り受けることを請求できる権利を定め︑かつ︑こ

の権利を実現できる場合には︑告知権の完全な排除も許されるのは明らかである︒この場合には︑告知権の代替的な

( 5 0 )  

権利が認められており︑実質的に︑構成員の脱退︑団体の存続および持分の払戻しが定められている︒

より一般的には︑普通法にいう﹁いかなる永久的な団体も承認されない

( 51 )  

との原則に関わる問題である︒ここでは︑組合型団体

( P e r s o n e n g e s e l l s c h a f

t

~

合 ︑ 人 的 共 同 団 体 ︶ : 

( N u l l a   s o c 1 e t a t 1 s   m  a e t e r n u m   c 0 1 t o   e s t   へという団体類型系列︑および︑社団型団体の中では人的な団体

( P e r s o n a l v e r b a n d

n i c h t k a p i t a l i s t i s c h e   K o r p e r s c h a f t :  

~1

令品四でない社団)から資本的な団体 (Kapitalgesellschaft : 

資 本

会 社

類型系列を基軸に据え︑構成員の団体関係からの離脱について整理することが可能である︒

社団型団体であっても︑人的な団体である登記済み社団

( e i n g e t r a g e n e r V e r e i n )   ( e i n g e t r a g e n e   G e n o s s e n s c h a f t )

については︑民法典三九条一項および協同組合法

( G e s e t b z e t r e f f e n d   d i e   E r w e r b

s   , 

u n d   W i r t s c h a f t s g e n o s s e n s c h a f t e n )

六五条一項が︑構成員︵社員︑組合員︶

( 52 )  

ある︵民法典四 0 条 ︑ 協 同 組 合 法 六 五 条 四 項 ︶ ︒ から社団型団

および登記済み協同組合

の脱退権を定める︒これらは強行規定で

組合型団体にあっては︑民法典七二三条三項が︑すべての基本的な組合型団体︵人的共同団体︶において︑構成員

に通常の告知権を強行的に規定する︵合名会社につき商法典一 0 五条︑合資会社につき商法典一六一条二項︑匿名組

合につき商法典二三四条一項第二文が民法典七二三条三項の適用規定となっている︶︒もっとも︑民法上の維合にお 体

( K o r p e r s c h a f t : 

社 団

( 2 )  

団体関係からの離脱と団体類型

︵ ︱

‑ 八 七 ︶

へ と

い う

(26)

( 3 )  

持分の譲渡可能性と通常の告知権の排除

第五二巻四・五号

︵ ︱

‑ 八 八 ︶

いて告知のあった場合に他の組合員の下での存続を定める単純な存続条項

( e i n f a c h e F o r t s e t z u n g s k l a u s e l )

があった

場合︵民法典七三六条一項︶︑あるいは︑合名会社・合資会社の場合︵商法典一三一条一

1

一 項

三 号

において︑社団型団体のうちの人的な団体に近似することになる︒

︵ 他

は︑告知権は脱退権︵退社権︶となり︑告知の効果が団体関係に及ぶのではなく構成員たる地位に限定される︒ここ

資本的な社団型団体に近づけるとすれば︑団体の基礎となる契約︵組合契約︑定款︶で構成員たる地位︵持分︶

あれば可能であるが︑この全構成員の同意という条件のはずされることが譲渡可能性ということの意味である︒

資本的な団体︵資本会社︶ においては︑団体︵会社︶

譲渡可能性を定めることが考えられる︒組合型団体においても︑構成員たる地位︵持分︶の譲渡は全構成員の同意が

からの脱退権は存在せず︑その機能を構成員たる地位︵持

分︶の譲渡可能性が引き受けている︒これにより︑構成員はその諸義務から解放されうるのである︒この持分の譲渡

可能性の利点は︑構成員の交替が団体関係の領域外で行われることにある︒つまり︑売買代金の支払いによって︑譲

受人は譲渡人に払戻金を払うと同時に︑自己の出資金を払い込んでいるともいえ︑かつ︑かかる現象は団体固有の資

( 53 )  

本とは無関係である︒

さて︑社団的に構成された組合型団体

( k o r p e r s c h a f t l i c s t h r u k t u r i e r t e   P e r s o n e n g e s e l l s c h a f t )

として︑持分の自由

な譲渡可能性を認めることにより︑存続期間の定め以外の方法で︑通常の告知権を排除することは可能であろうか︒

告知権の排除・制限を禁止する民法典七二三条三項は︑持分︵構成員たる地位︶に自由な譲渡可能性のない

構成員全員の同意がなければ譲渡できない︿民法典七一九条参照﹀︶ことを前提とする規定である︒それゆえ︑組合 関法

一 八

一 六 一 条 二 項 ︶ に

参照

関連したドキュメント

︵雑報︶ 第十九巻 第十號 二七二 第百五號

︵逸信︶ 第十七巻  第十一號  三五九 第八十二號 ︐二七.. へ通 信︶ 第︸十・七巻  第㎝十一號   一二山ハ○

モ大旨五言也︒二四︵1︶不同二六︵2︶対︒又七言連句尤稀也︒所謂上クテリケタリ

記)辻朗「不貞慰謝料請求事件をめぐる裁判例の軌跡」判夕一○四一号二九頁(二○○○年)において、この判決の評価として、「いまだ破棄差

一一 Z吾 垂五 七七〇 舞〇 七七〇 八OO 六八O 八六血

〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

その他、2019

[r]