論文内容要旨
論文題名
Contingent vibratory stimulus via an occlusal splint for sleep bruxism inhibition
(振動刺激によるオクルーザルスプリントを用いた睡眠時ブラキシズム の抑制)
掲載雑誌名
Journal of Sleep Research (投稿中)
歯科補綴学 中里 友香理
内容要旨
【目的】
睡眠時ブラキシズム (SB) 管理のために標準的に用いられているオクル ーザルスプリント療法は,約 2 週間の継続使用後には SB 抑制効果が失わ れることが報告されている.本研究では,振動刺激を用いた SB 抑制装置 を開発し,その SB 抑制効果ならびに睡眠への影響について検証した.
【方法】
被験者として Dube らの SB 臨床診断基準を満たす健康成人 15 名(男性 6 名,女性 9 名,平均年齢 26.1±1.9 歳)を動員した.全被験者に自宅に て携帯型 PSG 装置 (Sleep Profiler) を装着してもらい,1 夜目は装置へ の順応,2 夜目を SB 診断のためのスクリーニングおよびベースライン (BL) として測定を行った.SB 抑制装置は上顎オクルーザルスプリント内 に埋入したピエゾフィルムで咬合圧によるひずみを検知し,ひずみに対応 してスプリント前方部の振動装置を駆動させる構造とした.
装置順応期間を考慮した全 20 日間のスケジュールを設定し,被験者は BL 以外の全測定夜において SB 抑制装置を装着した.初めの 16 夜は振動 刺激を与えず,最後の 4 夜のみ同一夜内で 30 分ごとに振動刺激の有無を 切り替えた.SB の評価は単位時間あたりの SB episode 数(回/h)および
SB 持続時間(秒/h)を 1 名の歯科医師 (Y.N) が行った.
また睡眠への影響に関しては携帯型 PSG 装置の自動睡眠解析機能を用 いて測定夜の睡眠変数(総睡眠時間,睡眠効率,睡眠潜時,Micro-arousal index,Awakening index,各睡眠ステージの割合)を評価した.統計解析 は SB に関しては BL,1,8,15 夜目における単位時間あたりの SB episode 数および SB 持続時間,睡眠に関しては BL,1,8,15,17 夜目における各 夜の睡眠変数を Friedman 検定 (Post-hoc test;Bonferroni 法,有意水 準 5%) を用いて比較した.また各被験者の 17~20 夜目に得られた単位時 間あたりの SB episode 数および SB 持続時間の中央値を算出し,Wilcoxon signed-rank test(有意水準 5%)を用いて振動刺激の有無について比較 を行った.
【結果と結論】
測定不良が認められた 1 名を除外し計 14 名のデータ解析を行った.単 位時間あたりの SB episode 数および SB 持続時間は抑制装置装着直後 1 夜 目に有意に低下し,順応期間後 15 夜目に BL 程度まで増加した.また 17
~20 夜目においては,振動刺激によって単位時間あたりの SB episode 数 および SB 持続時間は有意に減少した.いずれも各夜の睡眠変数に有意差 は認められなかった.
以上より,本研究で用いた SB 抑制装置はスプリント順応後も睡眠の質 に影響を及ぼすことなく SB を抑制したことから,本装置が SB の管理に有 効であることが示唆された.