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2 実験装置

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Academic year: 2021

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(1)

北海 道の雪氷

 No 19(2000)

氷 摩 擦 係 数 の 垂 直応 力依 存 性

水 上 直 己 、 前 野 紀 ―   北 海 道 大 学 低 温 科 学 研 究 所

は じめ に

氷 摩 擦 の 特 徴 と して 、 他 の 物 質 の 摩 擦 に 比 べ て 非 常 に滑 りや す い こ とが 挙 げ られ る 。 こ の 原 因 を つ き とめ る た め 、

100年

以 上 も前 か ら氷 摩 擦 の 研 究 が 行 わ れ て き た 。 しか し、 過 去 の氷 摩 擦 実 験 の 多 数 は ス キ ー 、 ス ケ ー ト等 を対 象 に した 氷 ―異 物 質 問 で 行 わ れ 、 氷 に 接 触 す る ス ライ ダ ー の 形 状 も球 形 な ど平 面 で な い 場 合 が 多 い 。 これ らの 条 件 で の 氷 摩 擦 実 験 で は 、「氷 表 面 は 異物 賃 との 接 触 に よ り変 化 しや す いJ「氷 と 異 物 質 との硬 度 の 違 い に よ り、 異 物 質 の氷 へ の 貫 入 が 起 こ り、 磨 耗 効 果 が 増大 す る (特に接触 の形状 が球形 の場合

)Jな

どの 欠点が挙 げ られ る。 そ こで、氷摩擦 の メカ ニ ズ ム の解 明 には、氷 と氷 を平 面接触 させ摩 擦 力 を測定 す る こ とが、最 も重要 で ある。 しか し、過去、平面接触 で氷

 

氷 摩 擦 実 験 を行 った の は、

Bowden&Hughes(1939)、 Oksenen&

Keinonen (1982)、  Beaman et al (1988)、  Jones(1989)、  Cassasa et al (1991)の  5 

例 の み で あ った。

この点 を踏 まえて、安留他

(1999)は

、過去 調べ られて いな い速度 領域で平面接触 にお ける氷 氷摩 擦研究 を行 い、速度 、温度 依存 性 に関 して報 告 した 。本研 究 で は、安留 他

(1999)が

詳 しく 調 べ る こ とが 出来 なか った垂直応 力依 存性 に着 目 して実験 を行 い、氷摩擦 メカ ニズム につ いて考 察 す る。

2  実 験 装 置

安 留 他

(1999)と

同 じ回 転 式 摩 擦 測 定 装 置 を 用 い て 低 温 室 内 で 実 験 を 行 っ た 。 装 置 全 体 の概 略 図 を 図

1に

示 す 。

z軸

ス テ ー ジ (上下 可 動

)に

固 定 され た 氷 円 盤 上 で 氷 ス ライ ダ ー を 回 転 軸 の腕 の 端 に 取 り付 た ホ ル ダ ー に 装 着 し、 平 面 接 触 さ せ 、 メ ガ トル ク サ ー ボ モ ー タ を 用 い て 一 定 の 角 速 度 で 回 転 さ せ た 。 本 実 験 で は、

40× 103,45× 102,36×

10・ :n/sの

3種

類 の 速 度 を 用 い た 。 摩 擦 力 は腕 とモ ー タ の 間 に 取 り付 け た トル ク 計 を 用 い て 軸 に か か る ト ル ク と して測 定 した 。

温 度 制 御 を厳 密 に す る た め 装 置 を 断 熱 ボ ッ ク ス で 囲 み 、 デ ジ タ ル 指 示 調 節 計 を 用 い て 、 ポ ック ス 内 の温 度 を 制御 した 。 そ の結 果 、氷

20 cnl

回 転 式 摩 擦 装 置 の概 略 図

││

‑25‑

(2)

北 海道 の雪氷

 No.19(2000)

表 面温 度 は‑05〜‑20℃ の範囲 にお いて ±0.1℃の精度 で一定 に保 たれ た。

垂 直応 力はホルダーの上 にお も りを載せ る ことによ り1.2〜

17 kPaの

範 囲 で変イヒさせ た。 測 定前 に氷 円盤 、氷 ス ライ ダー 両方 の表 面 をマイ ク ロ ト

で平 滑 に仕 上 げ、1〜

2時

間 、 ポ ックス 内 の 設定温 度 に氷 を馴染 ませ氷 の表面温度 が一定 とな っている ことを確 認 した後 、測定 を開始 した。

3  結 果

2に

トル ク の時 間変化 を示 す 。

Aが

氷 ス ライ ダ ー を氷 円盤 に接触 させ 回 転 させ た時 の トル ク を示 す 。 ス ライ ダー が 動 き出 す に は 、動 摩 擦 力 (摩擦 力

)よ

り大 き い静 止 摩 擦 力に打 ち勝 つ 必要 が あ る。 このた め最 初 、

 

トル ク は大 き い値 とな る。 ス ライ ダ ー が 動 き出 した後 、

 

トル クは 比 較的 一 定 の値 とな った。10、 24、

28秒

附 近 で見 られ るふ らつ きは 、 マ イ ク ロ トーム では制御 出来 な い 場 所 に よ る氷 表 面 状 態 の違 いか ら起 こる もの と考 え られ る。 解 析 で は静 止 摩 擦 や 明 らかに氷 表面 撹 乱 に よ るデ ー タ を避 け、時 間 平 均 した 。

Bは

氷 と氷 を接 触 させ な い ときの トル クの変化 、 つ ま り軸 の回転 によって発 生す る トル クの時 間変化 を示す (プ ラ ンクテ ス ト)。 接触 時 の トル クの時間 平 均 とプ ラ ンクテ ス トの時 間 平 均 を差 し引 き、氷 ―氷 の摩 擦 力 のみ によ る トル ク を求 め、 これ か ら一 つ の摩擦係 数 を求 め る こ とが で き る。

3に

氷 表面温 度 ‐

10℃

、速度 4.0× 10‐

3m/Sの

場 合 にお ける、 垂 直応 カ ー摩 擦係数 の関係 を示 す 。 そ れぞ れ の点 は

3回

の測 定 の平 均値 を示 して あ る。 また

3回

の 測定値 の標 準偏差 を誤 差 とし バ ー で示す。垂直応 力が大 き くな る につれ摩擦係 数 は減 少 し、約

6 kPa以

上 で は ほぼ一定 の値 を 示 した 。 比 較 のた め 、安 留他

(1999)の

結 果 を示 して あ る。 安 留 他

(1999)は

摩擦 係 数 の垂 直応 力依 存性 はな い と結 論 付 けて いるが 、 これ は、測定 範 囲が狭 か った ため と言 え る。 この依 存 性の 形 は、測 定が行 われ たす べて の温 度 、速度 で見 られ た。

02

E015

T=‐55℃

N=8 5kPa

16         24

時 間(1)  S トルクの時間変化

ν=40X10‐°m′

s      O̲10℃

。         X■ 2哺譜

)

Γ

│。

 │ 

 

Ю

10 15

垂直応力

(N)  kPa

垂直 応 力 と摩 擦係 数 の 関係 2

4考 察

4‑1  垂直応 カ ーせん断応 力の 関係

以 上 の依 存 性 に 関 す る考 察 を、 垂 直 応 カ ーせ ん 断 応 カ グ ラ フ を用 い て 行 つ た 。 図

4に

氷 表 面温 度

‑10℃

、 速 度 4.0×

103m/Sの

場 合 に お け る 、 垂 直 応 力 と氷 接 触 面 に 働 くせ ん 断 応 力 の 関 係 を示

‑26‑

(3)

浬 髯 

︵じ ミ使 海 く や 力 第 数 き な 係 つ 摩 力 ま 付 性 応 辺 係 大 く 擦 従 で 着

︒ と 存 直 右 擦 が さ 摩

︒ 域 付 る 数 依 垂

< 摩 力 小 ン る 領 ヽ

あ 係 力 ら 項 の 応 は 口 か ぃ は で 捺 応

初 ¨ ヽ 全 体 ヽ 垂 直

︲ ま ク 癖 動 一 鰤 靡 わ 中 嚇

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の ヽ

係 寄 ヽ

力 形 と が 2

も く り 数 て 擦 の た 着 の

北 海道 の 雪 氷

 No 19(2000)

す 。 結 果 は最 小 二 乗 法 で 直 線 近 似 で き た 。 この 直 線 は 、 せ ん 断 応 力 を

S,垂

直 応 力 を

Nと

す る と、

     (1)

S‐

μo Ⅳ +И

    

 

       

と表 す ことが で きた。右 辺第

1項

は垂 直応 力 に 比例 す る 力、 ク ー ロ ン摩 擦 力で あ り、 この直 線 の 傾 き ″。が ク ーロン摩擦係 数である。 しか し、垂 直応 力が

0の

場 合 にお いて も、切片 (′

)が

存 在 す る。この値 ′ は垂 直応 力が

0の

状態 で接触 して いる場合 に発 生す るせん断応 力である。つ ま り、

この 力 は 氷 ス ライ ダー と氷 円盤 を接 触 させ た だ けで起 こる 力 で あ り、′ を 付 着 力 と呼 ぶ 。 この 式 か ら、氷 接触 面 に働 く摩 擦 力 は垂直 応 力に比例 す る ク ーロ ン摩 擦 力 と垂直応 力に無関係 の付 着 力 の和 で ある ことが分か る。摩擦係数 はその定義 (せん断応 力 と垂直応 力の比

)よ

り、

μ=為 +「

И

… … …   … …・… …   … …   … … …   … (D

y■ 40×103m′s

r̲̲lot

o        5       10       15       20

垂 直 応 力

(N)kPa

垂 直 応 力 とせ ん 断 応 力 の 関 係

4‑2  ク ー ロ ン摩 擦 係 数

本 実 験 で は ク ー ロ ン摩 擦 係 数 の温 度 、 速度 依 存 性 を確 認 す る こ とが 出来 た (図 5)。 速 度 が 小 さ い ほ ど 、 ク ー ロ ン摩 擦 係 数 は 大 き い 値 とな っ た 。 ま た 、 温 度 の 上 昇 と共 に 、 ク ー ロ ン摩 擦 係 数 は 減 少 した 。 しか し、

 5℃

附 近 を境 に 、 そ れ 以 上 の温 度 領 域 で は 、 温 度 の 上 昇 と と も に μ。は増 加 し た 。 これ らの 現 象 の 殆 どは 氷 摩 擦 の 摩 擦 融 解 メ カ ニ ズ ム で 説 明 で き る

.摩

擦 融 解 とは 、摩 擦 力 に よ り発 生 した 熱 エ ネ ル ギ ー が 氷 へ の 熱 伝 導 と氷 の 融 解 熱 に 分 配 さ れ 、 そ の 摩 擦 熱 に よ り生 成 され た 水1莫の 粘 性 抵 抗 が 摩 擦 力 に 相 当 す る と い う考 え で あ る。 こ の 理 論 を 考 慮 に入 れ る と 、 速 度 依 存 性 に 関 して は 、 低 速 程 、 発 生 す る 熱 量 が 少 な い た め 、 融 解 熱 の 量 も小 さ く 、 発 生 す る 水膜 も少 な い。従 っ て 摩 擦 係 数 が 大 き くな る。温 度 依 存 性 に関 して は 、高 温 程 、氷 へ伝 導 す る熱 量 が 小 さ く、

そ の 分 融 解 熱 の 量 が 大 き く、 そ の結 果 水1莫の 量 も増 え 、 摩 擦 係 数 が 小 さ くな る。 しか し、

 5℃

以 上 の 温 度 領 域 で は 、 摩 擦 属1解 の 理 論 で は 説 明 で き な い 。 現 段 階 で は 、 この 温 度 領 域 で の温 度 依 存 性 に 関 して 適 切 に 説 明 で き な い。 しか し、 融 点 近 傍 で の急 激 な 氷 硬 度 の 減 少 が 影 響 して い る 可能 性 が あ る と考 え て い る。

‑27‑

(4)

北海道の雪氷

 No 19(2000)

4‑3 

付 着 カ

こ の場 合 の付着 力

(A)と

は 、 上 下 の氷 が 相 対 的 に動 いて い る 状態 に起 こ る付 着 で あ り、 静 止 させ た 状 態 で の付着 力 (いわゆ る氷の破壊強度

)の

(数

MPa)の 1/1000と

非常 に小 さい値 であ った (図 6)。 しか し、本実験 によ り、明確 な付着 力の温度 、速度依存 性 も得 る ことが 出来 た。付 着 力 は温 度 の上 昇 と と もに減 少 し、 速 度 の 増 加 と と も に大 き くな っ た 。 この温 度 、 速 度 依 存 性 の 傾 向 は 、氷 の破 壊強度 の温度 、速度 依 存 性 の傾 向 と同 じで あ る。

α●   く︵ R︶ 姜

α

O v=a.ox1O'r ln/s

o

o

5      ‐lo     ̲15     ‐2o     25 水表面=慶

(T) 

クーロン摩擦係数の温度・速度依存性

‐10      15      20 水表面温度

(T)  

付着力の温度・ 速度依存性

5ま とめ

最 後 に本研 究 で 得 られ た結 果 につ い て簡 単 に ま とめ る。本研 究 で は 、回 転 式 摩 擦 測 定 器 を用 い 、 平 面 接 触 で の氷― 氷 摩 擦 係 数 の垂 直応 力依 存 性 を、1 2 kPa〜17 6 kPaの 範 囲 で 調 べ た。 そ の結 果 、 測 定 を行 っ た す べ て の温 度 、速 度 に お い て 、摩 擦 係 数 は 、垂 直 応 力 の 増加 と と も に減 少 し、約 6kPa 以 上 で は 、ほ ぼ 一 定 値 とな った 。垂 直 応 力 とせ ん 断応 力 の関 係 は 、

S=″

 N+′

で 直 線 近 似 で き、

そ の 結 果 、 垂 直応 力 と摩 擦 係 数 の関 係 は ″=μ。

+′

′Ⅳ で 表 さた 。 μ

o Aは

そ れ ぞ れ 、 ク ー ロ ン摩 擦 係 数 、 付 着 力で あ り、 両 バ ラ メー タ と も速 度 、 温 度 依 存 性 を確 認 す る こ とが 出 来 た 。

参 考 文 献

1)BCCman,M,Durham,W B and Kirby,SH(1988):Frlction of lccあ

″α′ar Ce″siCα′Resgα/cll,

93,7625‑7633

2)BOwdCn,FP alld TP Hughes(1939):MeChanism oF slidhlg on icc and sn()wP/ο cac′,′:gs 9′′ルRοッα′

"a″ ″グιο〃 ′ο

,172A,280‐ 298

3)CasaSSa,c,H Narlta and N Macno(1991):ShCar ccn cxPcrlnlcnts or snOw and icc Friclon Jο ″′′げ app=た ′P/1ysics,69(6),37453756

4)JoncS,DF(未

発 表

)An cxpc

mental hlvcstigJion of k)w‐ spced lcc tc frに ()● (MaSに r Or Ellginecring tllcsis,Darimoul1l Collcgc,Tllaycr Sch()ol or Ellginccrhlg,1989)

5)OksallCn,P and J Kcino:l cll(1982):TllC mcchanisln of fricti():l oficc″ ′,78,315‑324

6)安

留 、 荒 川 、 前 野

(1999):氷  

氷 摩 擦 係 数 の 測 定

,雪

61巻 6号 437443

‑28‑

回 6

参照

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