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単純形状をした建築部材への着雪性状に関する実験的研究

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北海道の雪氷 No.31(2012)

Copyright c 2012 公益社団法人日本雪氷学会北海道支部

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単純形状をした建築部材への着雪性状に関する実験的研究 Experimental study on characteristics of snow accretion on

simple-shaped members of buildings

千葉隆弘,苫米地司(北海道工業大学),田畑侑一,大塚清敏((株)大林組技術研究所)

佐藤研吾,佐藤威,望月重人((独)防災科学技術研究所雪氷防災研究センター)

Takahiro Chiba, Tsukasa Tomabechi, Yuichi Tabata, Kiyotoshi Otsuka, Kengo Sato, Takeshi Sato and Shigeto Mochizuki

1.はじめに

吹雪が発生するような積雪寒冷地では,建築物の壁面や部材の一部に着雪が発生し,

高所で着雪が発生した場合は,落雪の危険性を考慮して建築物を設計する必要がある . このような吹雪による着雪は,雪の少ない首都圏でも見受けられ るようになった.建 築物の高層化,外壁デザインの多様化,さらには,省エネを目的としたルーバーの設 置などにより,短時間の降雪においても着雪が発生 している.このようなことから,

設計段階で着雪箇所や落雪の到達範囲を明らかにし,落雪に対する危険性を予測する ことが肝要である.

筆者らは,円柱部材や平板部材 のような単純形状をした部材への着雪性状 ,および ネットを用いた着雪対策に関して,着雪実験を行ってきた 1)2).これまでの実験では,

対象とした部材への着雪性状やネットを用いた対策を有効性が明らかとなった .しか し,着雪を定量的に推定するための手法を構築できる知見 が得られるまでには至って いない.このようなことから本研究では,建築部材への着雪性状に関する基礎資料蓄 積を目的に,平板部材を基本として吹雪風洞施設を用いた着雪実験を行った.

2.実験方法

本実験で対象とした部材を図-1 に示す.

図のように,長さ 800mm の平板部材お よび円柱部材を用いた.平板部材は,合 板に厚さ 3mm のアルミ板を張り付けた ものである.円柱部材は,表面に塗装を した鋼管である.実験シリーズを表-1 に 示す.表のように,平板部材は,幅 Wを 50mm,100mm,200mm,300mm の 4 種類とした.傾斜角 θ=0°では,いずれ の試験体におい ても,風速 9m/s で実験 時間 30 分とした.こ の場合,着 雪重量 および着雪深さの計測は,10分毎に行っ た.また,平板部材で W=100mm では,

風速 5m/s で実験時間 30 分としたケース を実施し,W=200mm および 300mm に おいては,風速 5m/s で実験時間 10分の

部材形状 傾斜角

θ=0 θ=15 θ=30 θ=45 θ=60

平板

W=50mm W=100mm ●▲

W=200mm ●△

W=300mm ●△

円柱 φ=216mm

●:風速9m/s,実験時間30分,10分毎に着雪重量および深さ計測

▲:風速5m/s,実験時間30分,10分毎に着雪重量および深さ計測

○:風速9m/s,実験時間10分,実験後に着雪重量および深さ計測

△:風速5m/s,実験時間10分,実験後に着雪重量および深さ計測

図-1 試験体の概要 表-1 実験シリーズ

合板にアルミ板 を貼り付けた

800mm

W 216mm 800mm

【平板部材】 【円柱部材】

鋼管 塗装

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ケースを実施した.傾斜角が異なるシリーズについては,W=300mm を対象にすると ともに,傾斜角 θ=15°,30°,および 60°に設定し,それぞれ風速 9m/s,実験時間 10 分として実験を行った.なお,いずれのケースにおいても,実験前にネット式吹雪 計を用いて 1 分当たりの飛雪流量を試験体中央付近で測定した.これらの飛雪流量の 平均値は,風速 9m/sで20.0g/m2・s,風速 5m/sで 9.3 g/m2・s であり,各ケースでの違 いは±1.0 g/m2・s程度であった.

本実験は,(独)防災科学技術研究所 雪氷防 災研究センター新庄支 所が所有する風洞 施設を用いて行った.実験方法を図 2 に示す.図のように,実験には樹枝状結晶 の人 工雪を用い,試験体風上側の風路上面から回転ブラシにより内部に 人工雪を供給した.

試験体は,風路に供給された雪が風に乗っ た際に,ほぼ水平方向に挙動するような位 置とした.このような条件に従うと,風速 9m/s の場合は雪の供給箇所から風下側に

6m,風速 5m/s の場合は風下側に 5m 離れた位置となった.実験室内は-3℃に設定し,

湿雪を再現するために水を風上側から噴霧した.

3.実験結果

傾斜角 θ=0°の場合における実験時間と累積着雪重量との関係を図-3 に示す.図の ように,いずれの試験体においても,時間の経過に伴い着雪重量が比例的に増加し,

平板部材では,部材幅 W の増加に伴い着雪重量の増加傾向が顕著となった.次に,部 材幅 W と実験時間 30分の着雪重量との関係を図-4 に示す.図のように,平板部材で 風速 9m/s の場合をみると,W の増加に伴い着雪重量が比例的に増加する明瞭な相関 関係が確認できる.部材幅 W=100mmで風速 5m/sの場合をみると,風速 9m/sの場合 に比べて着雪重量が若干大きくなる傾向を示し,一方で,円柱部材においては,その 直径と近似する W=200mm の平板部材と

比較すると,着雪重量が小さくなる傾向 を示す.このように,着雪重量は,風速 および部材の断面形状の影響を受けるこ とがわかる.

次に,平板部材で W=100mm の場合に おける実験時間 10 分毎に測定し た着雪 断 面 を 図-5 に 示 す . 図 の よ う に , 風 速

図-3 実験時間と着雪重量との関係 図-4 部材幅と着雪重量との関係 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0 10 20 30 40

累積着雪重量(kg

実験時間(min)

V=9m/s W=50mm V=9m/s W=100mm V=9m/s W=200mm V=9m/s W=300mm V=9m/s φ=216mm V=5m/s W=100mm

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0 50 100 150 200 250 300 350

実験時間30分の着雪重量(kg

部材幅(mm)

平板V=9m/s φ216mm V=9m/s 平板V=5m/s

。 。

回転ブラシで雪を供給

Wind

水を噴霧

5~6m

風速9m/s

5m/s 室温-3℃

θ

図-2 実験方法

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- 193 - 9m/s の場合をみると,着雪の断面形状は,

明瞭な三角形となっており,10分当たり の着雪深さは,時間の経過に伴い小さく な る 傾 向 を 示 す . こ れ に 対 し , 風 速 5m/s の場合をみると,着雪の断面形状は,

前述に比べて丸みを帯びるようになり,

10分当たりの着雪深さは,一定で推移す る傾向を示す.このように,風速の影響 は,着雪の断面形状に影響を及ぼす.

W=300mm における平板の傾斜角 θ と 実験時間 10 分の着雪重量との関係を図- 6 に示す.図のように,傾斜角 θ が 15°

の場合は,0°に比べて着雪重量が大きくなるものの,θ の増加に伴い着雪重量が減少 している.各傾斜角の着雪断面を図-7 に示す.図のように,傾斜角 θ の増加に伴い着 雪深さのピーク位置が上方へ移行している.

ここで,各実験の前に測定した飛雪流量を用いて試験体 に衝突しようとする飛雪流 量を算定し,実験時間 10 分の着雪重量を 10 分間の飛雪流量で除した飛雪の捕捉率を 求めた.傾斜角 θ=0°における部材幅 Wと飛雪の捕捉率との関係を図-8に示す.図の

図-5 平板部材における 10分毎の着雪断面(W=100mm)

図-6 傾斜角θと着雪重量との関係 図-7 傾斜角 θと着雪断面との関係 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 10 20 30 40 50 60 70

実験時間10分の着雪重量(kg

平板の傾斜角(

0 50 100 150 200 250 300

0 10 20 30 40 50

測定位置(mm

着雪深さ(mm)

θ=0 θ=15 θ=30 θ=45 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 20 40 60 80

測定位置(mm

着雪深さ(mm)

10分 20分 30分

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 20 40 60 80

測定位置(mm

着雪深さ(mm)

10分 20分 30分

【V=9m/s 【V=5m/s

図-8 傾斜角θと着雪断面との関係 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 50 100 150 200 250 300 350

飛雪の捕捉率

部材幅W(mm)

V=9m/s平板 V=9m/s円柱 V=5m/s平板

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ように,風速 9m/s をみると,W=200mm までは W の増加に伴い飛雪の捕捉率が増加 する関係がみられるものの,W=300mm になると飛雪の捕捉率が減少する傾向に転じ ている.風速 5m/s の場合をみると,飛雪の捕捉率は,風速 9m/sに比べて大きくなる 傾向を示し,部材幅 Wの増加に伴い飛雪の捕捉率が減少する傾向を示す.このように,

風速が小さいほど部材 への着雪率が高く,部材幅が大きいほど着雪 率が低い傾向を示 している.

4.着雪状況の屋外観測

本研究では,飛雪粒子が部材へ衝突した際の挙動を屋外観測により撮影した .観測 は札幌市手稲区で行い,試験体は平板部材とし,部材幅 W は 100mm とした.飛雪粒 子の挙動は,試験体にレーザースクリーンを照射し,デジタルカメラのハイスピード 撮影モード(1/1200 秒)により撮影した .試験体への着雪がない状態とある状態で撮 影した飛雪粒子の挙動の一例を写真-1 に示す.なお,撮影時の平均風速は約 3.0m/s であった.図のように,いずれの状態においても飛雪が衝突した際には,飛雪粒子の 破壊が生じており,破壊された飛雪は部材の風下側へ搬送されていることがわかった . すなわち,部材への着雪量を推定するためには,飛雪粒子の着雪率を考慮する必要が あり,飛雪の衝突速度と着雪率との関係が重要になると考えられる .

5.まとめ

本研究では,建築部材への着雪性状に関する基礎資料蓄積を目的に,平板部材を基 本として吹雪風洞施設を用いた着雪実験 および着雪の屋外観測を行った .その結果,

着雪実験では,部材への着雪性状が風速および部材形状の影響を受けることが明らか となった.屋外観測では,飛雪が部材に衝突した際に飛雪の破壊が 発生していること を観測し,着雪量を推定するためには飛雪の衝突速度と着雪率との関係が重要になる ことが明らかとなった.

【参考文献】

1) 苫米地司,千葉隆弘,佐藤威,堤拓哉,高橋徹,伊東敏幸,2011:構造部材への着雪性状に関する 基礎的研究 屋外観測と風洞実験による部材形状と着雪性状との関係について,日本建築学会構造 系論文集,Vol76,No.659,45-52.

2) 千葉隆弘,苫米地司,佐藤威,望月重人,2011:構造部材における着雪性状に関する研究,北海道 の雪氷,No.30,31-34.

写真-1 部材へ衝突した際の飛雪挙動

飛雪粒子の破壊 飛雪粒子の破壊

着雪

【着雪がない状態】 【着雪がある状態】

平板部材(W=100mm) 平板部材(W=100mm)

風 風

参照

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