給排気口消音器の気流および音響特性について
日大生産工(院) ○加藤 尚子 日大生産工 板本 守正・宮内 香織
1. 緒言
給排気口消音器の気流および音響特性に ついて実験的に明らかにした結果を報告す る。
2. 供試体
図 1 に供試体0および花粉フィルターを示 す。供試体0は、長さ 150,220,290 ㎜の 100φ の単管に外気側給排気口および室内側給排 気口を設置したものである。
供試体0の内部に図 2 に示す消音フィルタ ー1〜3 を挿入したものを供試体番号 I〜III と する。消音フィルター2 はフィルター内部に挿 入するボードの形状が 1/2,1/3,1/5,1/7 円の 4
種類であり、消音フィルター3 はフィルター内 部の空間の直径が 30φと 50φの 2 種類がある。
また、消音フィルターの長さは 70,140,210 ㎜の 3 種類とする。供試体の名称は「供試体番号‐
供試体長さ‐花粉フィルターの有無」で示す。
花粉フィルターを用いる場合を A と示し、消音 フィルターの上流側に 1 枚挿入する。花粉フィ ルターを用いない場合を N と示す。
一例を挙げれば、供試体番号 II、消音フィ ルター長さ 140 ㎜の内部フィルター形状が 1/5 円で花粉フィルターを用いたものを「II‐140‐
A(1/5)」とする。
消音フィルター挿入
室内側 給排気口 外気側
給排気口
(消音フィルターの上流側に挿入)
花粉フィルター
70,140,210 11
32 40
8 40
供試体 0150,220,290
On Airflow and Sound Characteristics of Supply and Exhaust Openings Naoko KATO, Morimasa ITAMOTO and Kaori MIYAUCHI
表 1 供試体形状
図 1 供試体0および花粉フィルター
図 2 消音フィルター
70 140 210
1 内部空洞 ○ - -
2 ( 1/2 ) マイクロボード 1/2円 ○ - - 2 ( 1/3 ) マイクロボード 1/3円 ○ ○ ○ 2 ( 1/5 ) マイクロボード 1/5円 - ○ - 2 ( 1/7 ) マイクロボード 1/7円 - - ○ 3 ( 30φ ) 内部の空間 30φ ○ ○ ○ 3 ( 50φ ) 内部の空間 50φ ○ ○ ○
長さ [㎜]
消音フィルター
番号 形状
(a)消音フィルター1
9
709 98 80
内部空洞
80 98
9 12
1/2円 (180°) 2枚9
12 46 70
(b)消音フィルター2(1/2)
29 29 (c)消音フィルター2(1/3)12
98 9 80 9
70,140,210 1/3円 (120°) 3枚21
(e)消音フィルター2(1/7)
9
12
80 98 9
21 12 21 12 1221
12 1221
12 21 1/7円 (51.4°) 7枚 210
140
2012
9 98 80 9
12 1220 20 201212 (d)消音フィルター2(1/5)
1/5円 (72°) 5枚
70,140,210 グラスウール(マグ)充填
98 30,5 0 9 9
30φ,50φ(f)消音フィルター3(30φor 50φ)
3. 実験装置および方法 実験装置を図 3 に示す。
消音フィルターを挿入する遮音壁の厚さは 供試体の長さにより 150,220,290 ㎜と変化させ る。
3-1 損失圧力
図 3(a)に示すダクト系に送風し、供試体上 流側の鉄板ダクト側壁に設置した静圧管により 供試体前の静圧を測定し、これと残響室内静 圧との差を損失圧力とする。また、損失圧力を 供試体入口平均流速の速度圧で除して形状 抵抗係数ζを求める。なお、供試体入口平均 流速は、流量測定用ダクトに設置したピトー管 により求める。
3-2 挿入損失
図 3(b)に示すダクト系において、スピー
カにより 1/1 オクターブバンドのピンクノイズを 発生させ、供試体より放射された音の残響室 内平均音圧レベルを測定する。供試体に消音 フィルターを設置した場合と設置しない場合と の残響室内平均音圧レベル差から挿入損失 を求める。
3-3 遮音特性
測定は JIS A 1417 : 2000 建築物の空気音 遮断性能測定方法 に準じる。
図 3(c)に示すダクト系において、スピーカに より 1/1 オクターブバンドのピンクノイズを発生 させ、供試体上流側の鉄板ダクト内平均音圧 レベルと、供試体より放射された音の残響室内 平均音圧レベルおよび残響時間とを測定し、
これらから各供試体の透過損失を求める。
X '
Measurement point of 900
Speaker
200φ
750900×900
〃 900
600φ
900
1800 900
X
450750
2700 900
〃
1500×1500
Test unit 100φ
Reverberation room
sound pressure level in reverberation room Measurement point of
sound pressure level in chamber
X-X' section
750
150,220,290
Measurement point of sound pressure level
900
Speaker 200φ
900×900
〃 900
600φ
900
1800 900
450
150,220,290 2700
900
〃
1500×1500
Test unit 100φ
Reverberation room
in reververation room
Quiet Plenum
Pitot
1000×1000
600×600 100φ
600×600
900×900 1500×1500
Measurement point of Reverberation 150,220,290 450 450
300
1800 〃 1800
1800 900 900 450
200 900 900 1800
500150 900
chamber source
of air tube room
static pressure
Test unit 100φ
1800100
b) 挿入損失
c) 遮音特性 a) 損失圧力
図 3 実験装置
4. 実験結果および考察 4-1 損失圧力
図 4 と 5 には供試体番号 II および III の入口平均流速と損失圧力との関 係を示す。供試体の形状、長さの違い によらず、損失圧力はいずれも入口平 均流速の二乗に比例する。
供試体番号 II および III の入口平均 流速および直径を基準とするレイノル ズ数 Re.と形状抵抗係数ζとの関係を 図 6 および 7 に示す。形状抵抗係数は、
測定範囲内のレイノルズ数(Re.=0.1〜
0.35×10
5)に対してほぼ一定な値を示 す。他の供試体についても同様の結果 が得られた。
供試体の形状抵抗係数を整理した結 果を表2に示す。供試体が長いほど形 状抵抗係数は小さくなる傾向を示す。
III(30φ)および III(50φ)を比較すると、内部 空間の直径の大きい III(50φ)の方が形状抵抗 係数は小さい。また、花粉フィルターを用いる 場合の II‐210 および III‐210 における形状抵 抗係数は、用いない場合のそれに比べ、いず れの供試体においても 0.3 大きくなる。よって 他の供試体においても同様な傾向を示すと考 えられる。
A N A N A N
0 - 2.7 - 2.1 - 1.6
I - 2.9 - - - -
II(1/2) - 3.2 - - - -
II(1/3) - 3.2 2.4 - 2.1 1.8
II(1/5) - - 2.2 - - -
II(1/7) - - - - 2.0 1.7
III(30φ) - 4.5 2.6 - - 2.1
III(50φ) - 3.4 2.4 - 2.4 2.1
供試体
供試体の長さ [ ㎜ ]
70 140 210
表 2 供試体の形状抵抗係数ζ
Press u re Loss [mmA q]
Face Velocity [m/s]
図 4 供試体番号 II の損失圧力
Press u re Loss [Pa]
1.5 2 3 4 5 6 6
0.5 0.6 0.8 1 2 4 6 6
II- 70-N(1/3) II-210-A(1/7) II-210-N(1/7)
4.9 6 8 10 20 40
Press u re Loss [mmA q]
Press u re Loss [Pa]
Face Velocity [m/s]
図 5 供試体番号 III の損失圧力
1.5 2 3 4 5 6 6
0.5 0.6 0.8 1 2 4 6 6
III-210-N(50φ) III-210-N(30φ) III- 70-N(50φ)
III-140-A(50φ) III-140-A(30φ)
4.9 6 8 10 20 40
Reynolds Number Re.×105 図 6 供試体番号 II の形状抵抗係数
Loss Coefficient ζ
0.08
0.08 0.1 1 0.2 0.4
2 4 6 8 10
II- 70-N(1/3) II-210-A(1/7) II-210-N(1/7)
Reynolds Number Re.×105 図 7 供試体番号 III の形状抵抗係数
Loss Coefficient ζ
0.08
0.08 0.1 1 0.2 0.4
2 4 6 8
10 III- 70-N(50φ)
III-140-A(50φ) III-140-A(30φ)
III‑210‑N(50φ)
III‑210‑N(30φ)
4-2 挿入損失
図 8 と 9 には供試体番号 II および III の挿 入損失を示す。
供試体 II、III どちらも、消音フィルター長さ 70
㎜における挿入損失は、500Hz 帯域がやや大 きい値を示すのに対し、長さ 140,210 ㎜におい てはその傾向はみられない。一部を除き、供 試体が長くなるにつれ、挿入損失は大きくなる。
また、花粉フィルターを用いる場合の挿入損失 は、花粉フィルターを用いない場合のそれとほ ぼ等しい傾向を示す。
4-3 遮音特性
遮音性能の評価は JIS A 1419-1:2000 建 築物及び建築部材の遮音性能の評価方法‐
第一部:空気音遮断性能 付属書 I 建築物 及び建築部材の空気音遮断性能の等級曲線 による評価 に準じる。0‐70‐N、0‐140‐N、0‐
210‐N および III‐210‐N(30φ)の透過損失 測定値と、0‐210‐N に III‐210‐N(30φ)の 挿入損失を加えた遮音特性予測値とを図 10 に示す。
供試体0の透過損失は低音部を除き、
供試体の長さの違いによらずほぼ一様な 傾向を示す。また、III‐210‐N(30φ)の透過 損失測定値と遮音特性予測値とはすべ ての周波数帯域においてほぼ等しいことから、
他の供試体においても同様の傾向を示すと考 えられる。一例として供試体番号 III(30φ)の遮 音特性予測値を表 3 に示す。
5. 結論
給排気口消音器の気流および音響特性に ついて実験的に明らかにした。
謝辞:本研究は K.K 愛住設計の市川勇氏、マイクロ・
ダクトシステム K.K の小林正之氏、平成 17 年度卒業 生の協力を得た。ここに記して深謝する。
周波数 [ Hz ]
63 125 250 500 1k 2k 4k 8k
31.5 34.0
45.0 42.5 52.0 42.0 52.0 41.0 35.0
43.0 38.5
140 21.0 24.5
35.0
44.5 22.5
37.0 25.0 31.0
供試体の長さ [ ㎜ ] 70
22.0
210 26.0 29.5 37.0 36.0
表 3 供試体番号 III (30φ)の遮音特性予測値 [dB]1/1 Octave Band Center Frequency [Hz]
図 8 供試体番号 III の形状抵抗係数
Inser tio n Loss [dB]
63 125 250 500 1k 2k 4k 8k 0
10 20 30
II- 70-A(1/3) II- 70-N(1/3) II-140-N(1/3) II-140-N(1/5) II-210-N(1/7)
1/1 Octave Band Center Frequency [Hz]
図 9 供試体番号 III の形状抵抗係数
Inser tio n Loss [dB]
63 125 250 500 1k 2k 4k 8k 0
10 20 30
III- 70-N(50φ) III- 70-N(30φ) III-210-N(50φ) III-210-A(30φ) III-210-N(30φ)
1/1 Octave Band Center Frequency [Hz]
図 10 供試体0と供試体番号 III の透過損失および 供試体番号 III の遮音特性
Transmis sion Loss [dB] Sound At te nu at ion [dB ]
63 125 250 500 1k 2k 4k 8k 0
10 20 30 40 50 60
0-210-N 透過損失測定値 III-210-N(30φ) 透過損失測定値 III-210-N(30φ) 遮音特性予測値 0- 70-N 透過損失測定値 0-140-N 透過損失測定値