論文内容要旨
Inhibitory effect of Polypodium leucotomos extract on cytochrome P450 3A-mediated midazolam metabolism
(Polypodium leucotomos エキスのチトクローム P450 3A に対する阻害効 果)
雑誌名
THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL of MEDICAL SCIENCES
病理系 薬理学(医科薬理学分野) 専攻 五味由梨佳
内容要旨 1200 文字以内
【背景】
Polypodium leucotomos
(PL)エキスは、日光防護作用を有する ことが報告されており、その経口摂取は日焼け止めの1つの手段として注 目されている。 PL エキスを含むサプリメントは容易に入手できるため、医薬品と併用する機会もあるがその安全性については明らかにされてい ない。本研究では、PL エキスの cytochrome (CYP) 3A 阻害および誘導を 介する薬物相互作用を明らかにすることを目的として検討を行った。
【方法】CYP3A の指標薬物としてミダゾラム(MDZ)を用いた。
in vitro
実 験では酵素源としてプールドヒト肝ミクロソーム画分を用い、PL エキス とその主要成分であるフェノール性化合物の MDZ 1’位水酸化活性(MDZ 1‘-OH)に対する阻害効果を検討した。
in vivo
実験では Sprague-Dawley 系雄性ラットに PL エキス(30 mg/kg)を単回経口投与し、その 30 分後に、MDZ(15 mg/kg)を経口投与した。一方、PL エキスによる CYP3A の誘導を検 討するため、PL エキスを 1 週間反復投与し最終投与 24 時間後に、MDZ を 投与した。その後、経時的に採血し、血中 MDZ 濃度を HPLC を用いて測定 し、薬物動態学的パラメータ(Cmax, AUC0-∞, t1/2)を算出した。また、PL エ キス反復投与後、肝臓と小腸を摘出し、MDZ 4 位水酸化活性を測定した。
各データは同様に水を投与したコントロール群と比較した。
【結果・考察】
in vitro
実験において PL エキスは MDZ 1’-OH 活性を濃度依存的に阻害した。その阻害様式は Lineweaver-Burk プロットにより競 合阻害であることが示された。しかし、主要成分であるフェノール性化合 物は本活性を阻害しなかったことから、PL エキスによる CYP3A 活性の阻 害には他の成分が関与することが示唆された。また、PL エキス単回投与 により MDZ の AUC0-∞は 57 %、Cmaxは 88 %有意に増加した (p<0.05)。この ことから、PL エキスは
in vivo
実験においても CYP3A を阻害し、MDZ の血 中濃度を上昇させることが示唆された。一方、1週間の PL エキス反復投 与では MDZ の血中濃度および肝臓、小腸の CYP3A 活性に著明な変化は認め られず PL エキスは CYP3A を誘導しないと考えられた。【結論】PL エキスは CYP3A 阻害を介して MDZ の血中濃度を上昇させるこ とが示唆された。このことから、PL エキスと CYP3A で代謝される医薬品 との併用により薬物相互作用が生じる可能性が示された。