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ぱ 徳之島の海岸植生

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− 4 7 −

徳 之 島 の 海 岸 植 生

仲 田 栄 一一

I は じ め に

海岸は、陸と海の移行帯にあって、無植生域と植生域から構成されている。この植生域に生 育している植物群落が、いわゆる海岸植生である。これは自然植生と代償植生に区分され、前 者が真の意味での海岸植生であり、後者は見掛け上の海岸植生ということになる。

近年、琉球列島の海岸では、主に人間のインパクトに起因する環境破壊が進行している。こ れに伴って、海岸の自然植生の動的均衡システムも崩れ、植物群落の配列の不明瞭・種組成の 貧化・衰退・消滅・異常発生が著しくなり、一方代償植生は漸次侵入して生育面積を広げて いる。このような現象がさらに多発すれば、本列島の島ごとにおける海岸の自然植生の全体像 についての認識は、ますます困難になっていくであろう。このことは徳之島についても同様に

指摘することができる。

徳之島の海岸植生(自然植生)の植生学的研究は、MiyawakiandSuzuki(1976)・Suzuki (1979a)らによって断片的になされている。これら一連の研究報告の情報量では同島の海岸植生 の全体像について、体系的な説明は出来ない。

本報は、徳之島の海岸植生の群落区分・群落配列・群落単位と海岸地形との相互関係につい て、植物社会学的方法で解析を試みた研究結果の大要である。

1I調査地と調査方法 128 130。

1 調 査 地 の 概 観

鹿児島県の奄美諸島は、沖縄県の北東の洋上に あって、北緯27。02'〜28。23'、東経128。26'〜130.00' に位置し、奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部 島・与論島からなっている。徳之島は、徳之島町・

天城町・伊仙町の3つの行政単位からなり、その 規模は面積248吋で、奄美諸島では第2位にランク

される(図1.2)

徳之島の地質は、中川(1985)によれば、山地 では粘板・凝灰岩互層・花崗岩類・緑色岩類が主 に分布し、また段丘地では石灰岩層・砂礫層・砂

28

ワ 沖 永 艮 部 島

0 1 0 0 k m

図1.徳之島の地理的位置 に分布し、また段丘地では石灰岩層・砂礫層・砂

岩・礫質砂岩層・粘板岩・砂岩互層が分布してい

る。粘板岩は山地で、石灰岩は段丘地で、各々優勢である (中川1985)。

(2)

− 4 8 −

目崎(1985)は、徳之島を地形分類上から、高島に所属せしめている。国土地理院発行(1968)

の5万分の1の地形図から徳之島の地形を読解すると、高度の顕著な分布パターンは、200m以 上と以下にある。これから同島は、山地と段丘を主体とした島であることがわかる。また、こ のような地形に起因して、河川の発達も著しい。

174

2

00〜109

)32(

j9−20(

LMへ−10日

3〜96,

2〜54−56

粥.184

4戸〜/qC

0 5

図2.調査地点(大きな●印;数字は調査地番号)と調査地域の概観

9,191

10km

(3)

− 4 9 −

徳之島の海岸線は、国土地理院発行(1968)の5万分の1の地形図から読図すると、屈折に 富むが、大きな湾入・入江がほとんどない。同島の西部・南部・北部には隆起サンゴ礁海岸が、

また東部・北部には砂浜海岸が主に発達している。岩石海岸は島の北部・東部に小面積で存在 する。隆起サンゴ礁海岸は1〜3の段丘から形成され、大小の段丘崖も多い。砂浜海岸には比 較的大きな海岸砂丘が5つほどある。以上、3つの海岸は相対的に荒れてはいるが、特に砂浜 海岸の方は著しかった。

吉良(1945)は、植物の一般的な生理的活性が5℃以上にあるとして、気候区分の指標の1 つに温量指数を提案した。これによると亜熱帯は温量指数180。〜240.である。徳之島の温量指数 は192.4。であるから、同島は亜熱帯気候下にあるといえる。伊仙地域気象観測所の気象資料

(1983)によれば、徳之島の年平均気温は21.0。で、平均年降水量は2063皿である。

2 調 査 方 法

(1)現地調査

植生調査は、1984年3月21日〜25日および10月8日〜13日まで延べ11日間、徳之島の海岸植 生を対象にして、植物社会学的方法で行なった。

調査対象の個々の群落は、均質な相観をなし、均一と判断できる環境条件下で選定された。

調査面積は、群落の形態と広がりに相応して、最小面積以上になるように考慮し、次のように 設けた。高木群落:150〜200㎡;亜高木群落:25〜120㎡;低木群落:0.7〜50㎡;草本群落:

0.5〜12㎡・

調査面積内の全出現種については、階層毎に種の目録を作成した。群落の階層は葉群層の分 化に対応した高さで区分された。さらに、各階層の出現種については、全推定法(Braun‑Blanquet l964)に従い被度・群度の定量的・定性的測度が与えられた。

(2)植物群落の配列の判定

植物群落の配列の判定にあたっては、調査対象群落とその隣接群落について次の7項目が記 録された。群落名・群落の活力・群落の相・群落の更新・自然植生と代償植生・群落と地形の 攪乱の状態。

(3)海岸の区分

海岸地形は内容から生物地形と非生物地形とに区分された。さらに、生物地形は隆起サンゴ 礁海岸に、非生物地形は砂浜海岸と岩石海岸に各々分類された。

(4)群落区分

現地で得られた植生調査資料は、群落の形態を考慮にいれて、ほぼ同質の群落ごとに群落組 成表にまとめられた。群落の区分は組成表作業過程(Mueller‑DonboisandEllenbergl974) によって行なわれた。

なお、植物種の和名は初島(1976)に、植生の分類体系については鈴木(1979b)と宮脇(1983) によった。群集・群落の分布については、徳之島に限定した。

(4)

− 5 0 −

Ⅲ調査結果および考察

徳之島の海岸植生から得られた153個の植生調査資料(図2)は、チューリヒ・モンペリエー 学派のテーブル処理法(Mueller‑DonboisandEllenbergl974)によって表操作を行なった結 果、次の13群集・14群落と30下位単位が明らかになった。

1 植 物 群 落

(1)自然植生 1)亜高木群落

①アダン群集(表1.図3.4.6)

アダン群集は、単層または2層の常緑亜高木・低木群落である。単層群落の亜高木層は、高 さ4m、植被率100%で林冠は閉鎖していた。出現種はアダン1種であった。2層群落の低木層 は、高さ1.45〜3.5m、植被率100%と密生し、出現数はは5〜10種を数えた。

アダン群集はタコノキ科のアダンが優占し、同種によって標徴される群落である。同群集は 立地・遷移の差異を反映し、典型亜群落・アカテツ亜群集・シマアザミ亜群集に下位区分され た。同群集はアダン群団、オオハマボウーアダンオーダー、オオハマボウーアダンクラスに所

属する。

『ヘヘ

1 2 3 2 4 5 6 7

図3.砂浜海岸の植生配列模式(調査地番号143)

1 : 海 2 : 無 植 生 域 3 : コ オ ニ シ バ 群 集

4 : ハ マ ア ズ キ ー グ ン バ イ ヒ ル ガ オ 群 集 5 : ハ マ ポ ウ フ ウ ー ツ キ イ ゲ 群 集 6 : ア ダ ン 群 集 7 : モ ク マ オ ウ 群 落

アダン群集は、3つの海岸に生育している。砂浜海岸では浜堤・砂丘の前斜面に位置し、岩 石海岸ではアカテツーハマビワ群集の海側に隣接する。

アダン群集は砂浜海岸・隆起サンゴ礁海岸・岩石海岸に普遍的に分布している。

②クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集(表2)

クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集は、単層または2層の常緑亜高木・低木群

(5)

− 5 1 −

落である。単層の亜高木群落は、高さ4.5m、植被率95%を示し、14種で構成されていた。2層 の低木群落は、高さ2.5〜3m、植被率90〜100%と密生し、出現種は9〜13種を数えた。

クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集は、アオイ科のオオハマボウが優占し、同 種とクロミノオキナワスズメウリによって標徴される。同群集は、遷移の段階によりアダン亜 群集・典型群集に下位区分された。同群集はクロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群団、

オオハマポウーアダンオーダー、オオハマボウーアダンクラスに所属する。

クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集は、砂浜海岸の浜堤・砂丘の前斜面に生育 し、アダン群集と生態的地位は同位である。同群集はトキワギョリュウ群落・アダン群集・モ ンパノキークサトベラ群集・人家・畑地に隣接している。

クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集は砂浜海岸に分布する。しかし、ほかの2 つの海岸については、調査不十分のため分布の有無は言及できなかった。

2)低木群落

③ガジュマルークロヨナ群集(表3)

ガジュマルークロヨナ群集は、2層からなる常緑広葉低木群落である。低木層は、高さ2.5m、

植被率90%とよく繁茂していた。出現種は9種を数えた。草本層は、高さ0.6m、植被率5%で

貧弱であった。出現種は4種と少なかった。

ガジュマルークロヨナ群集は、ガジュマル・クロヨナの優占する群落で、前2種で標徴され る。同群集の上級単位は、ナガミボチョウジークスノハカエデ群団、ヤブツバキオーダー、ヤ

ブツバキクラスである。

表3.ガジュマルークロヨナ群集

調査地番号、TK117;調査年月日、1984年3月25B;調査地名、伊仙町西犬田布;

方位、S10W;傾斜、80〜90;調査面積(m×m)、5×10;調査者、仲田栄二、;出

現種数、13

低木層の高さ(2.5m);植被率(90%)

クロヨナ(3.3) ガジュマル(3.3)、アコウ(2.2)、オオハマボウ(1.1) シ マ グ ワ (+)、クサトベラ(+)、クロミノオキナワスズメウリ(+・2)、オオシマコバンノ キ(+)、ハマイヌビワ(+)

草本層の高さ(0.6m);植被率(5%)

ホソバワダン(十・2)、オニヤブソテツ(+・2)、ハリツルマサキ(+)、ホウライシ ダ(+・2)

(6)

− 5 2 −

ガジュマルークロヨナ群集は、隆起サンゴ礁海岸の段丘崖に生育し、土壌は比較的少なかっ た。同群集の陸側にはまとまりのよくないアダン群集が隣接している。

ガジュマルークロヨナ群集は、隆起サンゴ礁海岸の段丘崖に分布する。

④モンパノキークサトベラ群集(表4.図4.6)

モンパノキークサトベラ群集は2層の常緑広葉低木群落である。低木層は高さ0.7〜2m、植 被率80〜100%との変化を示した。出現種は6種を数えた。草本層は高さ0.3〜0.6m、植被率5

30%と貧弱であるが、出現種は24種と多かった。

モンパノキークサトベラ群集は、クサトベラ(テリハクサトベラ)・モンパノキが優占し、同 3種によって標徴される群落である。同群集は立地条件を反映して、ハマササゲ亜群集・典型 亜群集・ハリツルマサキ亜群集に下位区分された。同群集はクサトベラ群団に属し、オーダー、

クラスは未決定である。

モンパノキークサトベラ群集は、隆起サンゴ礁海岸・砂浜海岸・岩石海岸で普遍的に分布し ている。同群集のハリツルマサキ亜群集は隆起サンゴ礁海岸に、ハマササゲ亜群集は砂浜海岸 に、典型亜群集は岩石海岸・隆起サンゴ礁海岸に各々生えている。同群集の隣接群落には、陸 側にアダン群集、海側にソナレムグラーコウライシバ群集・ハリツルマサキーテンノウメ群集・

ハマアズキーグンバイヒルガオ群集がある。

砂浜海岸のモンパノキークサトベラ群集は、特に人間の破壊により生育面積が減少の傾向に ある。

モンパノキークサトベラ群集は、砂浜海岸・隆起サンゴ礁海岸・岩石海岸に分布している。

霊 … r

1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7

図4.2段丘面をもつ隆起サンゴ礁海岸の植生配列模式(調査地番号208)

1 : 海 2 : イ ソ マ ツ ー モ ク ビ ャ ッ コ ウ 群 集

3 : ソ ナ レ ム グ ラ ー コ ウ ラ イ シ バ 群 集 4 : 無 植 生 域

5 : ハ リ ツ ル マ サ キ ー テ ン ノ ウ メ 群 集 6 : モ ン パ ノ キ ー ク サ ト ベ ラ 群 集 ハ リ ツ ル マ サ キ 亜 群 集 7 : ア ダ ン 群 集

(7)

− 5 3 −

3 ) つ る 一 倭 性 低 木 群 落

⑤クロイワザサーハマゴウ群集(表5)

クロイワザサーハマゴウ群集は、単層または2層の常緑広葉倭性低木群落である。2層の倭 性低木群落は高さ80〜100cm、植被率70〜80%を示した。草本層は高さ20〜50cm、植被率5〜10%

と低かった。出現種は6〜9種を数えた。単層の倭性低木群落は高さ10〜30cm,植被率70〜90

%とよく繁っていた。出現種は6種であった。

クロイワザサーハマゴウ群集は、ハマゴウが優占し、ハマゴウ・クロイワザサによって標徴・

区分される。同群集は立地の差異を反映して、ボタンボウフウ亜群集・ハマヒルガオ亜群集に 下位区分された。同群集の上級単位は、クロイワザサーハマゴウ群団、ハマゴウオーダー、ハ

マゴウクラスである。

クロイワザサーハマゴウ群集は砂浜海岸に生育している。同群集のボタンポウフウ亜群集は 礫の混入した立地に、ハマヒルガオ亜群集は典型的な砂浜である。同群集の隣接群落には、陸 側にアダン群集・ハマボウフウーツキイゲ群集・キダチハマグルマ群集が生育し、海側には存

在しなかった。

クロイワザサーハマゴウ群集の海側は暴浪によって侵食され裸地になっていた。つまり、同 群集の海側のハマボウフウクラス域の植生が破壊され消失したものと思われる。また、人間の

干渉で植生の配列も攪乱されている。

クロイワザサーハマゴウ群集は砂浜海岸に分布している。

⑥イボタクサギ群落(表6)

イボタクサギ群落は2層からなる常緑のつる性低木群落である。低木層は高さ75〜80cm、植 被率90〜100%と密生していた。出現種は9種を数えた。草本層は高さ25〜35cm、植被被率10

20%と貧弱である。出現種は11種を示した。

イボタクサギ群落は、イポタクサギの優占する群落である。同群落の上級単位は明らかでな

い。

イボタクサギ群落は砂浜海岸に生育している。同群落の陸側にはモンパノキークサトベラ群 集・アダン群集が、海側にはキダチハマグルマ群集・オキナワハイネズ群落・ハマボウフウー

ツキイゲ群集が隣接していた。

イボタクサギ群落は、人間の干渉したモンパノキークサトベラ群団域やオオハマボウーアダ

ンクラス域にマント群落として生育域をもっている、と思われる。

イボタクサギ群落は砂浜海岸に分布している。

⑦オキナワハイネズ群落(表7)

オキナワハイネズ群落は常緑の葡旬性低木群落である。群落は高さ25〜35cm、植被率100%と 密生していた。出現種は7〜14種を数えた。

オキナワハイネズ群落は裸子植物のオキナワハイネズが優占する群落である。同群落の上級

単位は明らかでない。

オキナワハイネズ群落は砂浜海岸の砂丘上やその前斜面に生育している。同群落は陸側にア

(8)

− 5 4 −

ダン群集・ハマボウフウーツキイゲ群集が、海側にハマアズキーグンバイヒルガオ群集が隣接 する。

オキナワハイネズ群落の生育域は人間の干渉により植生配列が破壊されている。

オキナワハイネズ群落は砂浜海岸の砂丘に偏在分布をなす。

⑧キダチハマグルマ群集(表8)

キダチハマグルマ群集はつる性の多年生草本群落である。群落は高さ55〜150cm、植被率100%

で繁茂していた。出現種は2〜5種と少なかった。

キダチハマグルマ群集はキク科のキダチハマグルマが優占し、同種によって標徴される。同 群集の上級単位はクロイワザサーハマゴウ群団、ハマゴウオーダー、ハマゴウクラスである。

キダチハグルマ群集は砂浜海岸・隆起サンゴ礁海岸・岩石海岸に生育している。同群集は陸 側にアダン群集・モンパノキークサトベラ群集・畑地が、海側にはソナレムグラーコウライシ バ群集・クロイワザサーハマゴウ群集・ハイキビ群落が隣接する。

キダチハグルマ群集域は人間の干渉によって植生が荒れている。

⑨イソマツーモクピヤッコウ群集(表9.図4.5)

イソマツーモクビヤッコウ群集は倭性低木群落である。群落は高さ5〜20cm、植被率40〜70%

と疎生していた。出現種は1〜4種で少なかった。

イソマツーモクビヤッコウ群集はイソマツ・モクビヤッコウが優占し、同2種で標徴される 群落である。同群集は立地条件を反映して、イソフサギ亜群集・典型亜群集・コウライシバ亜 群集に下位区分された。同群集の上級単位は、モクビヤッコウーイソマツ群団、ソナレムグラー イソマツオーダー、ソナレムグラーイソマツクラスである。

イソマツーモクビヤッコウ群集は隆起サンゴ礁海岸に生育している。同群集の3つの亜群集 は、海側からイソフサギ亜群集→典型亜群集→コウライシバ亜群集の順に環境傾度と対応する。

同群集には、海側でイソフサギ群集が、陸側でソナレムグラーコウライシバ群集が隣接してい

イソマツーモクビヤッコウ群集は、土壌形成に伴ってソナレムグラーコウライシバ群集に置 換されていくものと考えられる。

イソマツーモクビヤッコウ群集は隆起サンゴ礁海岸に分布する。

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1 2 3 4 5

図5.低い隆起サンゴ礁海岸の植生配列模式(調査地番号65)

1 : 海 2 : 無 植 生 域 3 : イ ソ フ サ ギ 群 集

4 : イ ソ マ ツ ー モ ク ビ ャ ッ コ ウ 群 集 5 : ソ ナ レ ム グ ラ ー コ ウ ラ イ シ バ 群 集

(9)

− 5 5 −

⑩ミズガンピ群落(表10)

ミズガンピ群落は2層からなる倭性低木群落である。低木層は高さ20〜50cm、植被率70〜90%

で密生していた。出現種は1種を数えた。草本層は高さ10〜15cIn、植被率20〜70%で群落間の 変化が大きかった。出現種は4種と少なかった。

ミズガンピ群落はミソハギ科のミズガンピが優占する群落である。同群落の上級単位は明ら かでない。

ミズガンピ群落は隆起サンゴ礁海岸にパッチ状で生育している。同群落は、陸側にソナレム グラーコウライシバ群集、海側にイソマツーモクピヤッコウ群集が隣接する。

ミズガンピ群落は隆起サンゴ礁海岸に分布している。

⑪ハリツルマサキーテンノウメ群集ホソバワダン亜群集(表11・図4)

ハリツルマサキーテンノウメ群集ホソバワダン亜群集は常緑の倭性低木群落である。群落は 高さ4〜10cm、植被率70〜90%で繁茂していた。出現種は3〜11種を数えた。

ホソバワダン亜群集はバラ科のテンノウメが優占し、ハリツルマサキ・テンノウメ・ヒメク マヤナギ・ナハエポシグサによって区分される群落である。同亜群集は2つの変群集に下位区 分された。同亜群集の上級単位はハリツルマサキーテンノウメ群団、ナハエポシグサオーダー、

ナハエポシグサクラスである。

ホソバワダン亜群集は隆起サンゴ礁海岸に生育する。同亜群集は、陸側にアダン群集・モン パノキークサトベラ群集が、海側にソナレムグラーコウライシバ群集が隣接している。

伊仙町中伊仙〜西犬田布の隆起サンゴ礁海岸には、ヤギの放牧があってホソバワダン亜群集 は喫食・踏圧・糞によってインパクトを被っている。同亜群集中で喫食痕の観察された種群は、

テンノウメ・ハリツルマサキ・ホソバワダン・クサトベラ(テリハクサトベラ)・タイワンカモ ノハシ・ツルボ・ヒメクマヤナギ・コウライシバ・ボタンポウフウで、一方、未喫食の種はオ キナワギク・ヒゲスゲ・シマチカラシバであった。

ホソバワダン亜群集は隆起サンゴ礁海岸に分布している。

4)草本群落

⑫シマハママツナ群落(表12)

シマハママツナ群落は多年生草本群落である。群落は高さ25cm、植被率40%で疎生していた。

出現種は1種を数えた。

表12.シマハママツナ群落

調査地番号:TK179;調査年月日、1984年10月10日;調査地名、天城町松原;傾斜、平坦;

調査面積(m×m)、2×2;調査者、仲田栄二・森田猛 群落高(25cm);植被率(40%);出現種数(。1種)

シマハママツナ(3.4)

(10)

− 5 6 −

シマハママツナ群落はアカザ科で多肉質のシマハママツナの優占する群落である。同群落の 上級単位は明らかでない。

シマハママツナ群落は隆起サンゴ礁海岸の多少砂泥のある立地に生育・分布している。

⑬ミルスベリヒユ群落(表13)

ミルスベリヒユ群落は多年生草本群落である。表13.ミルスベリヒユ群落 群落は高さ8〜10cm、植被率60〜70%で疎生し通し番号

調査地番号(TK)

ていた。出現種はミルスベリヒユの1種であつ調査年月日(1984年)

調査面積(m×m)

ミルスベリヒユ群落は多肉質のミルスベリヒ

群落高(cm)

ユが優占する群落である。 植被率(%)

出 現 種 数

ミルスベリヒユ群落は岩石海岸に生育・分布群落区分種

している。 ミ ル ス ベ リ ヒ ユ

調査地名:徳之島町池間

⑭コオニシバ群集(表14)

調査者:仲田栄二・森田猛 コオニシバ群集は短茎の多年生草本群落であ

る。群落は高さ5〜7cm、植被率40〜80%と群 落間の差が大きかった。出現種は5〜8種を数えた。

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4 ・ 4 4 ・ 4

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図6.岩石海岸の植生配列模式(調査地番号104) 1 : 海 2 : 無 植 生 域 3 : モ ン パ ノ キ ー ク サ ト ベ ラ 群 集 4:アダン群集5:アカテツーハマビワ群集

コオニシバ群集はイネ科のコオニシバが優占し、同種で標徴される。同群集の上級単位は、

ハマニガナークロイワザサ群団、ハマボウフウオーダー、ハマボウフウクラスである。

コオニシバ群集は砂浜海岸に生育する。同群集の隣接群落には、陸側にハマボウフウーツキ イゲ群集がある。

⑮ハマアズキーグンバイヒルガオ群集(表15・図3)

ハマアズキーグンバイヒルガオ群集は葡旬性の多年生草本群落である。群落は高さ10〜35cm、

植被率80〜95%と密生していた。出現種は4〜6種を数えた。

1 2 3 4 5

(11)

− 5 7 −

ハマアズキーグンバイヒルガオ群集はヒノレガオ科のグンバイヒルガオが優占し、同種によっ て標徴される群落である。同群集は立地の差を反映して、ハマアズキ亜群集・ハマグルマ亜群 集に下位区分された。同群集の上級単位はハマニガナークロイワザサ群団、ハマボウフウオー ダー、ハマボウフウクラスである。

ハマアズキーグンバイヒルガオ群集は砂浜海岸に生育・分布する。同群集は暴浪による侵食

が著しく、破壊と再生を繰り返している。

⑯ハマオモト群落(表16)

ハマオモト群落は高茎の多年生草本群落である。群落は高さ40〜45cm、植被率60〜70%でや や疎生的に生えていた。出現種は10〜13種を数えた。

ハマオモト群落はヒガンバナ科のハマオモトの優占する群落である。同群落の上級単位は明 らかでない。

ハマオモト群落は砂浜海岸(徳之島町手々)に生育・分布している。同群落の隣接群落には、

陸側にアダン群集が、海側にハマアズキーグンバイヒルガオ群集がある。

ハマオモト群落域は人間の干渉により荒れて、ハマボウフウクラスとハマゴゥクラスの種 群が混生している。

⑰ハマボウフウーツキイゲ群集スナズル亜群集(表17・図3)

ハマボウフウーツキイゲ群集スナズル亜群集は多年生草本群落である。群落は高さ40〜70cm、

植被率80〜100%と密生していた。出現種は8〜12種であった。

ハマボウフウーツキイゲ群集スナズル亜群集はほく型のツキイゲが優占し、寄生植物のスナ ズルによって区分される群落である。同亜群集は3つの変群集に下位区分された。同亜群集の 上級単位はハマニガナークロイワザサ群団、ハマポウフウオーダー、ハマボウフウクラスであ

ハマポウフウーツキイゲ群集スナズル亜群集は砂浜海岸の後浜・砂丘の前斜面に生育してい る。同亜群集の隣接群落には、陸側にアダン群集・トキワギョリュウ群落が、海側にハマアズ キーグンバイヒルガオ群集・アダン群集・コオニシバ群集がある。

ハマボウフウーツキイゲ群集スナズル亜群集域は人間の干渉により植生が攪乱されている。

⑱サワスズメノヒエ群落(表18)

サワスズメノヒエ群落はほふく型の多年生草本群落である。群落は高さ35〜40cm、植被率90

〜95%とよく繁茂していた。出現種は2〜5種を数えた。

サワスズメノヒエ群落はイネ科のサワスズメノヒエが優占する群落である。

サワスズメノヒエ群落は砂浜海岸の湿った立地や河口に生育・分布している。

(12)

一 路 一

表18.サワスズメノヒエ群落 通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

1|M3邪Ⅷ2×2弱帥2 3一別3鴎蠅1×2仙帥32|別3路棚1×2弱鮖2

傾 斜

調査面積(m×m)

群落高(cIn) 植被率(%)

出 現 種 数 群 落 区 分 種

サ ワ ス ズ メ ノ ヒ エ 随 伴 種

ギ シ ギ シ

タ イ ワ ン カ モ ノ ハ シ コ ウ ボ ウ シ バ

5 . 5 5 . 5 5 . 5

+●● ++●

の″g●●●

調査地名:徳之島町手々 調査者:仲田栄二

⑲ソナレシバ群落(表19)

ソナレシバ群落は直立性の多年生草本群落である。群落は高さ15〜25cm、植被率90〜100%と 密生していた。出現種は1〜2種と少なかった。

ソナレシバ群落はイネ科のソナレシバが優占する群落である。同群落はヨシ群団、ヨシオー ダー、ヨシクラスに所属する。

ソナレシバ群落は隆起するサンゴ礁海岸の湿った砂泥地に生育・分布している。同群落の隣 接群落にはソナレムグラーコウライシバ群集・イソマツーモクビヤッコウ群集がある。

表19.ソナレシバ群落 通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

1|川皿皿繩1×1踊川1 2|ⅢⅧⅧ咽1×1妬川1 3|川3別Ⅷ1×2妬鮖1 4lW3朗咽1×2略卯1 5|開3路蠅2×2妬鮖1 6|師3羽咽1×2妬帥2

傾 斜

調査面積(m×m)

群落高(cIn) 植被率(%)

出現種数 群落区分種

ソ ナ レ シ バ 随 伴 種 イ ソ マ ツ

5 . 5 5 . 5 5 . 5 5 . 5 5 . 5 5 . 5

調査地名:調査地番号(TK)58,86,87、徳之島町手々;TK180、181、

同松原;TK109、天城町与名間

調査者:TK180、181、仲田栄二・森田猛、TK58、86,87,109、仲田 栄 二

(13)

一 開 一

⑳イソフサギ群集(表20.図5)

イソフサギ群集はほふく型の多年生草本群落である。群落は高さ3〜4cm、植被率30〜70%

と変化を示していた。出現種は1〜3種と少なかった。

イソフサギ群集は、ヒユ科のイソフサギが優占する群落で、同種によって標徴される。同群 集は立地条件の差異を反映して、典型亜群集・イソマツ亜群集に下位区分された。同群集の上 級単位は、イソフサギ群団、イソフサギオーダー、イソフサギクラスである。

イソフサギ群集は、隆起サンゴ礁海岸の最前線に生育・分布する。同群集の2つの亜群集の 中では、典型亜群集がより海側に生態的地位をもっている、と考えられる。同群集の陸側には イソマツーモクビヤッコウ群集が隣接している。

⑪ソナレムグラーコウライシバ群集(表21.図4.5)

ソナレムグラーコウライシバ群集は短茎の多年生草本群落である。群落は高さ3〜20cm、植 被率40〜95%と変化が大きかった。出現種は3〜7種と少なかった。

ソナレムグラーコウライシバ群集はイネ科のコウライシバが優占する群落で、コウライシバ・

ソナレムグラによって標徴・区分される。同群集は4つの亜群集と2つの変群集に下位区分さ れた。同群集の上級単位は、ソナレムグラーコウライシバ群団、ソナレムグラーイソマツオー ダー、ソナレムグラーイソマツクラスである。

ソナレムグラーコウライシバ群集は隆起サンゴ礁海岸に生育している。同群集のイソマツ亜 群集は海側に、シオカゼテンツキ亜群集・サワスズメノヒエ亜群集・オキナワギク亜群集は陸 側に生態的地位をもっている、と考えられる。同群集の隣接群落は、陸側にハリツルマサキー テンノウメ群集・モンパノキークサトベラ群集・ハイキビ群落が、海側にはイソマツーモクビ

ヤッコウ群集がある。

伊仙町中伊仙〜西犬田布の隆起サンゴ礁海岸のソナレムグラーコウライシバ群集は、ヤギの 放牧によって出現種の活力に影響を受けている。同群集の中で喫食痕の観察された種群は、コ ウライシバ・ハリツルマサキ・テンノウメ・イソマツ・ホソバワダン・ボタンボウフウ・ハマ オモトであった。一方、オキナワギク・クソエンドウは喫食痕がなかった。

⑫ホウライシダ群落(表22)

ホウライシダ群落は直立性の多年生草本群落である。群落は高さ4〜5cm、植被率40%で疎 生していた。出現種は2〜7種を数えた。

ホウライシダ群落はシダ植物のホウライシダが優占する群落である。同群落はホウライシダ 群団、ホウライシダオーダー、ホウライシダクラスに所属する。

ホウライシダ群落は隆起サンゴ礁海岸の古い段丘崖に生育している。

(14)

− 6 0 −

表22.ホウライシダ群落 通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

1|棚刈岨SⅧE帥珊岫×14側2 2|川刈皿N帥W開刈1×15側3 3|耶皿過N刑W刈刈1×15伽7

方 位

傾斜(。)

調査面積(m×m)

群落高(cm) 植被率(%)

出現種数 群落区分種

ホ ウ ラ イ シ ダ 随伴種

オ ニ ヤ ブ ソ テ ッ オ キ ナ ワ ギ ク ソ ナ レ ム グ ラ ホ ソ バ ワ ダ ン シ マ チ カ ラ シ バ コ ウ ラ イ シ バ ハ リ ツ ル マ サ キ

3 . 4 3 ・ 4 3 . 4

十●●●●●● +や●●●●● ●や+++++

調査地名:調査地番号(TK)199,200、伊仙町西伊仙;TK205、同西犬 田布

調査者:仲田栄二・森田猛

(2)代償植生 1)高木群落

⑳トキワギョリウ(モクマオウ)群落(表23・図3)

トキワギョリュウ群落は4層からなる高木群落である。高木層は高さ15m、トキソキヨリユワ評洛は4層からなる高木群落である。高木層は高さ15m、植被率90%と林

冠はやや閉鎖していた。出現種はトキワギョリュウの1種であった。亜高木層は高さ6m、植 被率10%で貧化し、出現種も2種と少なかった。低木層は高さ2m、植被率50%と疎生してい た。草本層は高さ0.4〜0.7m、植被率5〜10%であった。出現種は27種を数えた。

トキワギョリュウ群落はオーストラリア・マレーシア・インド原産のモクマオウ科のトキワ ギョリュウが優占する群落である。

トキワギョリュウ群落は砂浜海岸の砂丘上・浜堤に植林されている。同群落はオオハマボウー アダンクラスの代償植生であると考えられる。

2)低木群落

⑭ギンネム群落(表24)

ギンネム群落は2層からなる常緑低木群落である。低木層は高さ125〜130cm、植被率100で密 生していた。出現種はギンネムの1種であった。

(15)

− 6 1 −

ギンネム群落は熱帯原産のマメ科のギンネムが優占する群落である。同群落は砂浜海岸の砂 丘の前斜面のハマボウフウーツキイゲ群集域に生育している。これから推定すれば、同群落は

同群集の代償植生である、と考えられる。

表24.ギンネム群落

通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

方 位

傾斜(。)

調査面積(m×m)

低木層の高さ(S)、(cm) 植被率(%)

草本層の高さ(H)、(cm) 植被率(%)

出現種数 群落区分種

ギ ン ネ ム

随 伴 種 シマアザミ ツ キ イ ゲ ギ シ ギ シ チ ガ ヤ ハ イ シ バ

調査地名:徳之島町花徳 調査者:仲田栄二・森田猛

1 2 1 3 6 1 3 7 10月8日

S S 5 4 5 4

E E 2 8 2 8

2 2

× × 3 3 1 2 5 1 3 0 1 0 0 1 0 0 5 0 4 0 1 0 1 0 5 5

+ ・ 2 + 1 . 1 1 . 1

十 十 ・ 2

+ ●

● 十 ・ 2

(16)

− 6 2 −

3)草本群落

⑮チガヤ群落(表25)

チガヤ群落はそう生型の多年生草本群落である。群落は高さ60〜70cm、植被率70%で密生し ていた。出現種は6種を数えた。

チガヤ群落はイネ科のチガヤが優占する群落である。同群落はナガバカニクサーススキ群団、

ススキオーダー、ススキクラスに所属する。

チガヤ群落は砂浜海岸の砂丘斜面のハマボウフウーツキイゲ群集域に生育している。これは、

同群集の代償植生ではないかと思われる。

表25.チガヤ群落

通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

方 位

1 2剛朋S刀E別2×2加川6 18 仙日SWE別2×2帥Ⅲ6

傾斜(。)

調査面積(m×m)

群落高(cIn) 植被率(%)

出現種数 群落区分種

チ ガ ヤ 随伴種

ツ キ イ ゲ ス ナ ズ ル ク ロ イ ワ ザ サ ハ マ ヒ ル ガ オ ハ マ グ ル マ

ヨ モ ギ

十 十拍やや+● 222 ●●MM州●+

調査地名:徳之島町花徳 調査者:仲田栄二・森田猛

(17)

一 闘 一

⑳ハイキビ群落(表26)

ハイキビ群落は分岐型の多年生草本群落である。群落は高さ40qn、植被率100%とよく繁茂し

ていた。出現種は7〜8種と少なかった。

ハイキビ群落はイネ科のハイキビが優占する群落である。

ハイキビ群落は隆起サンゴ礁海岸の土砂の堆積した立地に生育している。同群落の海側にソ ナレムグラーコウライシバ群集が隣接する。したがって、同群落はソナレムグラーコウライシ

(群集の代償植生である、と推定される。

表26.ハイキビ群落 通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

2|Ⅲ3妬Ⅷ1×1州Ⅲ8

1|Ⅲ3筋Ⅷ1×1仙川7

傾斜(。)

調査面積(m×m)

群落高(cln) 植被率(%)

出現種数 群落区分種

ハ イ キ ビ 随 伴 種

カ タ バ ミ ノ ビ ル

ホウライセンブリ コ ウ ポ ウ シ バ オ ニ タ ビ ラ コ ギ シ ギ シ ジ シ バ リ ハ ル ノ ノ ゲ シ コ ウ ラ イ シ バ

222

や++●●+や+や22や+や++●●●●

調査地名:天城町兼久 調査者:仲田栄二

⑰セイコノヨシ群落(表27)

セイコノヨシ群落は高茎の多年生草本群落である。草本第一層l 100%と密生していた。出現種はセイコノヨシの1種であった。】

率5%で貧化していた。出現種は6種を数えた。

セコノヨシ群落はイネ科のセイコノヨシが優占する群落である。

ヨシオーダー、ヨシクラスに所属する。

茎の多年生草本群落である。草本第一層は高さ200〜240m、植被率90 出現種はセイコノヨシの1種であった。草本第2層は高さ70ml、植被 出現種は6種を数えた。

科のセイコノヨシが優占する群落である。同群落はオギーヨシ群団、

シオーダー、ヨシクラスに所属する。

セイコノヨシ群落は砂浜海岸の河口域の地下水の高い立地に生育している。

(18)

一 糾 一

表27.セイコノヨシ群落 通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

方 位 傾斜(。)

調査面積(m×m)

1 2 1 5 3 1 5 2

10月8日

平 坦 平 坦 3 3

× × 4 4 2 5 0 2 0 0 1 0 0 9 0

70 5 1 7

草本第1層の高さ(H1)、(c'n) 植被率(%)

草本第2層の高さ(H2)、(cm) 植被率(%)

出現種数 群 落 区 分 種

セ イ コ ノ ヨ シ 随 伴 種

パ ラ グ ラ ス ツ ボ ク サ

タ イ ワ ン カ モ ノ ハ シ ツ タ ノ ハ ヒ ル ガ オ ツ ル マ オ

ギ シ ギ シ

Ⅲ十十+++

●●●●●●

調査地名:徳之島町花徳 調査者:仲田栄二・森田猛

2海岸における植物群落の配列

(1)隆起サンゴ礁海岸

隆起サンゴ礁海岸は便宜的に形態を尺度として、

もつ海岸に区分された。前者の海岸における群落Z

隆起サンゴ礁海岸は便宜的に形態を尺度として、1つの段丘面をもつ海岸と2つの段丘面を もつ海岸に区分された。前者の海岸における群落配列は、最前線からイソフサギ群集→イソマ ツーモクビヤッコウ群集→ミズガンピ群落→ソナレムグラーコウライシバ群集→モンパノキー クサトベラ群集→アダン群集の順に類型化できる。後者の海岸では、第1段丘面は無植生であ るが、第2段丘面では海岸からイソマツーモクビヤッコウ群集→ソナレムグラーコウライシバ 群集→ハリツルマサキーテンノウメ群集→モンパノキークサトベラ群集→アダン群集→クロヨ ナーガジュマル群集の順に類型化できる。

(2)砂浜海岸

砂浜海岸における群落配列は最前線から、コオニシバ群集→ハマアズキーグンバイヒルガオ 群集→ハマポウフウーツキイゲ群集→クロイワザサーハマゴウ群集・キダチハマグルマ群集→

モンパノキークサトベラ群集・イボタクサギ群落→アダン群集・クロミノオキナワスズメウリー オオハマポウ群集の順に類型化される。

(3)岩石海岸

(19)

− 6 5 −

岩石海岸における群落配列は、最前線からミルスベリヒユ群落→モンパノキークサトベラ群 集→アダン群集→アカテツーハマビワ群集の順に類型できる。ところで、資料不足のため、岩 石海岸については今後の課題としたい。

以上、各海岸における群落配列の類型について述べたけれども、現実には人間や暴浪の破壊 的作用によって、群落配列の逆転・欠落などの事例も数多く観察された。

Ⅳ ま と め

1.本調査は徳之島の海岸植生の分類・配列・植生単位と海岸地形との相互関係を明らかに する目的で行なった。

2.植生調査はチューリヒ・モンペリアー学派の植物社会学的方法を適用した。

3.徳之島の海岸植生から153個の植生調査資料が得られた。この資料はチューリヒ・モンペ リエー学派のテーブル処理法で表操作を行なった結果、次の植生単位が明らかになった。

ヤ ブ ツ バ キ ク ラ ス ヤ ブ ツ バ キ オ ー ダ ー

ナガミボチョウジークスノハカエデ群団 クロヨナーガジュマル群集

ス ス キ ク ラ ス ス ス キ オ ー ダ ー

ナガバカニクサーススキ群団 チガヤ群落

ハ マ ボ ウ フ ウ ク ラ ス ハ マ ボ ウ フ ウ オ ー ダ ー

ハマニガナークロイワザサ群団 ハマアズキーグンバイヒルガオ群集

コオニシバ群集

ハマボウフウーツキイゲ群集 ハ マ ゴ ウ ク ラ ス

ハ マ ゴ ウ オ ー ダ ー

ク ロ イ ワ ザ サ ー ハ マ ゴ ウ 群 団 キダチハマグルマ群集 クロイワザサーハマゴウ群集 オ オ ハ マ ポ ウ ー ア ダ ン ク ラ ス

オ オ ハ マ ボ ウ ー ア ダ ン オ ー ダ ー アダン群団

アダン群集

(20)

− 髄 一

クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群団 クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集 イ ソ フ サ ギ ク ラ ス

イ ソ フ サ ギ オ ー ダ ー イソフサギ群団

イソフサギ群集

ソナレムグラーイソマツクラス ソナレムグラーイソマツオーダー

モクビヤッコウーイソマツ群団 イソマツーモクビヤッコウ群集 ソナレムグラーコウライシバ群団

ソナレムグラーコウライシバ群集 ナ ハ エ ボ シ グ サ ク ラ ス

ナ ハ エ ボ シ グ サ オ ー ダ ー

ハリツルマサキーテンノウメ群団 ハリツルマサキーテンノウメ群集 クラス・オーダー未決定

クサトベラ群団

モンパノキークサトベラ群集 ホ ウ ラ イ シ ダ ク ラ ス

ホ ウ ラ イ シ ダ オ ー ダ ー ホウライシダ群団

ホウライシダ群落

ヨ シ ク ラ ス ヨ シ オ ー ダ ー

ヨシ群団

ソナレシ(群落 オギーヨシ群団

セイコノヨシ群落 上級単位未決定群落

イボタクサギ群落 オキナワハイネズ群落

ミズガンピ群落 ハ マ オ モ ト 群 落 シマハマツナ群落 ミルスベリヒユ群落

(21)

V

− 6 7 −

サワスズメノヒエ群落 トキワギョリュウ群落 ギンネム群落

ハイキビ群落

4.3つの海岸における植物群落の配列は次の通りである。隆起サンゴ礁海岸:①段丘面 が1つの場合、最前線からイソフサギ群集→イソマツーモクピヤッコウ群集→ミズガンピ 群落→ソナレムグラーコウライシバ群集→モンパノキークサトベラ群集→アダン群集、② 段丘面が2つの場合、第1段丘面は無植生で第2段丘面の海側からイソマツーモクビヤッ コウ群集→ソナレムグラーコウライシバ群集→ハリツルマサーテンノウメ群集→モンパノ キークサトベラ群集→アダン群集→クロヨナーガジュマル群集;砂浜海岸:最前線からコ オニシバ群集・ハマアズキーグンバイヒルガオ群集→ハマボウフウーツキイゲ群集→クロ イワザサーハマゴウ群集・キダチハマグルマ群集→モンパノキークサトベラ群集・イポタ クサギ群集・アダン群集・クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集;岩石海岸:

最前線からミルスベリヒユ群落→モンパノキークサトベラ群集→アダン群集→アカテツー

ハマビワ群集。

引用文献

1BraunBlanquet,J1964Pflanzensoziolgie,GrundzugederVegetationskunde,

3Aufl,PP.3645,Springerverlag,Wien

2初島住彦1972琉球植物誌940PP.沖縄生物教育研究会 3伊仙町企画課1945伊仙町要覧P29伊仙町

4吉良竜夫1945東亜南方圏の新気候区分16頁京都帝国大学農学部園芸学研究室 5目崎茂和1985琉球弧をさぐるP.P.22‑31あき書房

6Miyawaki,AandSuzuki,K1976VegetationderDiinenundderkorallenbanten anfdenRyukyuInseln,JapanPflanzensosiologischeStudienderRyukyuInselnl,

Bull.Inst・Env.Sci.Techn.YokohamaNa.Univ.2:133‑144

7宮脇昭・奥田重俊・望月睦夫1978改訂日本植生便覧PP.94‑117至文堂

8MuellerDonbois,D.andEllenberg,H.1974AimsandMethodsofVegetation EcologyPP.177‑210JohnWiley&NewYork

9中川久夫1985徳之島琉球列島の地質誌木崎甲子郎編PP.65‑71沖縄タイム

ス社

10Suzuki,K.1979aStudiesonthePeucedanionJaponicueintheRyukyulslands

PhytosociologicalStudiesoftheRyukyulslandsVVegetationundLandschaft

JapansBull.YokohamaPhytosoc.Soc.16305307

11鈴木邦雄1979b琉球列島の植生学的研究横浜国立大学環境科学研究センター紀

要第5巻第1号PP.148‑150

(22)

一 船 一

表1(1)アダン群集 典型亜群集(1.2)

シマアザミ亜群集(3〜7)

アカテツ亜群集(8〜10)

通 し 番 号

調査地番号(TK) 調査年月日(1984年)

1|川皿過 2|川皿咽 3|川刈8S帥E別5×皿一 4|2〃 5|別3路N皿EⅧ4×Ⅲ 6|鮎3路N皿E84×Ⅷ一 7|Ⅲ3妬S釦W別5×Ⅲ 8|Ⅲ3別 9|川3別 蛆一Ⅲ3別

方位 ■ ■ ■ ■ I ■ ■ ■ ■ −

傾斜(。)

調査面積(m×m)

平 坦 平 坦 6 6

× × 1 5 1 5

4 4 100100

平5×加一 平5×Ⅷ 平5×Ⅷ 平5×5

亜高木層の高さ(T2)、

植被率(%)

低木層の高さ⑧,(m) 植被率(%)

草木層の高さ(ID,(m) 植被率(%)

出現種数 群集標徴種

ア ダ ン 亜群集区分種

シ マ ア ザ ミ ァ カ テ ツ シ ヤ リ ン バ イ ス ス キ 随伴種

ク サ ト ベ ラ ハ マ オ モ ト テ ッ ポ ウ ユ リ イワダイゲキ ハ マ ヒ ル ガ オ ボ タ ン ボ ウ フ ウ キ ダ チ ハ マ グ ル マ ア コ ウ

(m)

.

2.5 100 0.5 5 5

0630・5610 0530・5710 3.5

100 0.6 5 8

3 100 0.5 5 10

1.45 100 0.5 5 7

2.5 100 0.6 5 8

1.5 100 0.6 10 10

ロ■■■■■■−

−1

T2、S

◆IOOOOOOOIOOIOIOOO◆

●一十十十一

○一一

●一十1一●一

●一M十・一1︸

一■■■gG■■■■■■■−6■■■■■凸■凸守凸■■︑■︑︒■口■■■■■■・■口■■■■■■DB︽■&ら一一一一一一十一●●●一一一一一一一一﹄一一2一一や一●●●一一一一一一一一一﹄一十一●●●一一一一一一一一一︸−2一一や一●●●一一一一一一一一︾2︾一ルー●●●一一一一

一■︑■■・■■一■■B■■■■●●●●

●●●●HSSHSHHHH 咽●+十●●●●●●●●●●++洲十●+●●●●十●●●●●●+

●+や十ル++一●

●++●●+●●

+●●●●●●●

●●●●+●●●

●●●●●●●●

●●●●●●●●

S−S

5 . 5 5 . 5 5 .

55.55.55.55.55.55.55.5

(23)

一 閃 一

表1(2)アダン群集

通 し 番 号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0

調査地名:調査地番号(TK)96,94、徳之島町手々:TK146、同花徳:TK209、210,211、伊仙町西 犬田布:TK44、同佐弁:TK101、106,100、天城町与名間

調査者:TK209、210,146、仲田栄二・森田猛;TK44、94,96,111,101,106,100、仲田栄二

(24)

‑ 7 0 ‑

表2(1)クロミノオキナワスズメウリーオオハマボウ群集 典型亜群集(1)

アダン亜群集(2〜4)

5 . 5 5 . 5 5 . 5 4 . 4

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