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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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氏 名 授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文の題目

論 文 審 査 委 員

兼高 悠輔 博 士 学 術

博甲第5372号 平成28年 3月25日

環境生命科学研究科 環境科学専攻

(学位規則第5条第1項該当)

Study on Preparation of High Performance Polymers Derived from Biomass

(バイオマスを原料とした高性能高分子の調製に関する研究)

教授 木村邦生 教授 木村幸敬 准教授 高口 豊 准教授 山崎慎一

学位論文内容の要旨

芳香族単位を骨格構造に有している芳香族高分子は、代表的な高性能高分子であり、石油を原料として 製造されている。石油の枯渇化問題の解決や持続的な資源循環型社会構築を目指すには、再生可能資源で あるバイオマスを原料とした高分子の調製を目指さなければならない。2,5-フランジカルボン酸 (FDCA) はセルロースから誘導されるバイオマス由来の芳香族化合物であり、FDCA から高性能高分子が調製で きれば、高性能高分子においてもバイオマスを原料とすることが可能となる。本研究では、バイオマスか らの高性能高分子合成の第一歩として、FDCA と石油由来のモノマーとの組み合わせにより芳香族高分 子を合成し、得られた高分子の物性を評価することで、高性能高分子としての可能性を明らかにする。

第 1 章では、FDCA 二塩化物とジフェニルエーテル等の芳香族エーテルとの芳香族求電子置換重合に よるポリエーテルケトン (PEK)の調製について検討を行った。その結果、従来用いられている芳香族求電 子置換重合の重合溶媒では重合が殆ど進行しないが、イオン液体という特殊な媒体中で重合を行うこと によって、高分子量のPEKが調製できることを見出した。更には、イオン液体中では、モノマーの反応 性が増大すること、ならびに重合過程に生じるオリゴマーや触媒と反応媒体との親和性が向上すること によって、重合が進行することも明らかにした。

第2章では、芳香族求核置換重合によるPEKの合成を検討し、第1章で得られたPEKよりもさらに高 分子量体を調製することができた。PEK の融点やガラス転移温度等の諸物性は、使用するモノマーの構 造を変えることによって調整が可能であることが分かった。

第3章では、FDCAと石油由来原料の1,3-及び1,4-ジアセトキシベンゼンとの重縮合によりポリエステ ルを調製し、得られたポリエステルの融解温度、液晶性発現の温度領域、ならびに結晶性が共重合組成を 変えることにより制御可能であることを見出した。

以上で得られた高分子は、従来の高性能高分子と比較しても遜色のない性能を有しており、FDCA が高 性能高分子の原料として十分なポテンシャルを有していることを明らかにすることができた。

(2)

論文審査結果の要旨

芳香族単位を骨格構造に有している高性能高分子材料は、石油を原料として製造されている。持続 的な資源循環型社会構築を目指すには、再生可能資源であるバイオマスを原料とした高分子の調製を 目指さなければならない。2,5-フランジカルボン酸 (FDCA)はバイオマス由来の芳香族化合物であり、

FDCA から高性能高分子が調製できれば、高性能高分子においてもバイオマスを原料とすることが可 能となる。このような背景から、本研究では、FDCA を用いて芳香族高分子を合成し、得られた高分 子の物性を評価することで、高性能高分子としての可能性を明らかにしようとした。

その結果、第 1 章では、FDCA と石油由来原料の 1,3-及び 1,4-ジアセトキシベンゼンとのエステル交 換での重縮合によりポリエステルを調製し、得られたポリエステルの融解温度、液晶性発現の温度領 域、ならびに結晶性が共重合組成を変えることにより制御可能であることを見出している。

第 2 章では、FDCA 二塩化物とジフェニルエーテルや 1,4-ジフェノキシベンゼン等の芳香族エーテ ルとの芳香族求電子置換重合によるポリエーテルケトンの調製について検討を行い、従来用いられて いる芳香族求電子置換重合の重合溶媒では重合が殆ど進行しないが、イオン液体という特殊な媒体中 で重合を行うことによって、高分子量の PEK が調製できることを見出している。更には、イオン液体 中では、モノマーの反応性が増大すること、ならびに重合過程に生じるオリゴマーや触媒と反応媒体 との親和性が向上することによって、重合が進行することも明らかにしている。

第 3 章では、芳香族求核置換重合によるポリエーテルケトンの合成を検討し、第 2 章で得られたポ リエーテルケトンよりもさらに高分子量体を調製に成功している。ポリエーテルケトンの融点やガラ ス転移温度等の諸物性は、使用するモノマーの構造を変えることによって調整が可能であることも示 した。

以上のように本論文は、バイオマス由来の化合物である FDCA が高性能高分子の原料として有用であ ることを示しており、持続的循環型社会を構築する上でも重要な高分子材料を提供している。更には、

イオン液体中での重縮合というこれまで知られていない新規な重合技術を開発しており、学術的に高く

評価できる。よって、本論文は学位に充分値すると判断した。

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