MTT 法と CellTiter-Glo 法により評価したメチルプレドニゾロンの末梢血リン パ球抑制効果の比較
杉山健太郎1)、笹原 浩康2)、塚口真穂登2)、磯貝 和也2)、外山 聡2)、佐藤 博2)、 齋藤 和英3)、中川 由紀3)、高橋 公太3)、田中 祥子1)、恩田 健二1)、平野 俊彦1)、 東京薬科大学 薬学部 臨床薬理学教室1)、新潟大学医歯学総合病院 薬剤部2)、
新潟大学大学院 腎泌尿器病態学分野3)
【目的】免疫抑制薬感受性試験(感受性試験)は、腎移植前に薬効を予想することが可能 であるため、拒絶反応の予防に有用である。我々は、MTT 法による感受性試験を導入し 定着させてきた。MTT 法は、操作が簡便であるなどの利点も多いが、多量採血 (20mL) が改善課題とされていた。我々は、健常者 21 例の末梢血リンパ球に対して MTT 法と CellTiter-Glo 法を同時に実施してメチルプレドニゾロン (MP) 感受性を評価し、その結果を 比較検討した。
【方法】健常者 21 例より得たリンパ球を、コンカナバリン A と MP 存在下に培養し、MP のリンパ球増殖抑制効果を CellTiter-Glo 法と MTT 法により測定した。
【結果】MTT 法による MP の IC50 値の平均値 (SD) は 46.8(54.4)ng/mL であり、中間値は 21.2ng/mL であった。一方 CellTiter-Glo 法による MP の IC50 値の平均値 (SD) は 4.84(12.4) ng/mL であり、中間値は 0.31 であった。両値の相関を Kendall と Spearmann の検定に より求めたところ、各々 r=0.489 と r=0.637 であり、いずれも有意な相関が認められた
(p=0.002)。
【結論】MTT 法と CellTiter-Glo 法で求めたリンパ球の MP 感受性が有意に相関することを 明らかとした。一方、CellTiter-Glo 法で求めた MP の IC50 値は、MTT 法で求めた値の約 1/10 であり、前者がより高感度な感受性測定法であると考えられた。さらに、CellTiter- Glo 法は MTT 法に比べ操作も簡便でかつ必要な血液量が 5 分の1(20mL に対して 5mL)
SLC29A1 遺伝子多型が末梢血単核細胞上の SLC29A1 mRNA 発現に及ぼす影響
鈴木 嘉治1)、本間 真人1)、小田 竜也2)、大河内信弘2)、幸田 幸直1)
筑波大学大学院人間総合科学研究科 臨床薬剤学1)、消化器外科2)
【目的】SLC29A1 は、核酸誘導体薬(リバビリンなど)の細胞内取り込みにかかわる核酸 トランスポーターであり、薬剤の消化管吸収や細胞内濃度に影響している。しかし、その 活性に影響する遺伝子多型(SNP)は、プロモーター領域の rs747199 以外に明らかでない。
最近、C 型慢性肝炎に対するリバビリン療法において、イントロン上の rs6932345 が野生 型の患者でリバビリンの血中濃度が高いことが判明し、トランスポーター活性への影響が 指摘された。今回、rs6932345 が SLC29A1 活性に及ぼす影響を明らかにするため、末梢血 単核細胞(PBMC)の SLC29A1 mRNA 発現との関連を調べた。
【方法】健常者 46 名の PBMC からゲノム DNA と total RNA を抽出し、SLC29A1 の SNP
(rs6932345A>C と rs747199G>C)と mRNA 発現をそれぞれ解析した。SNP 解析には制限 酵素法を、SLC29A1mRNA 発現の定量にはリアルタイム PCR 法を用いた。本研究は、本 学倫理委員会の承認を得て行った。
【結果】rs6932345 と rs747199 は連鎖しており、野生型はそれぞれ 34 名と 33 名、変異型は それぞれ 12 名と 13 名であった。SLC29A1 mRNA の発現はいずれの SNP でも野生型で高 く、変異型の 1.7 倍であった(P<0.05)。
【結論】rs6932345 は rs747199 と連鎖して、PBMC の SLC29A1 mRNA 発現に影響したこ とから、SLC29A1 活性を介してリバビリンの消化管吸収に影響すると考えられた。
MTT 法と CellTiter-Glo 法におけるカルシニューリンインヒビター感受性の比較
笹原 浩康1)、杉山健太郎3)、塚口真穂登1)、磯貝 和也1)、外山 聡1)、佐藤 博1)、 齋藤 和英2)、中川 由紀2)、高橋 公太2)、田中 祥子3)、恩田 健二3)、平野 俊彦3)
新潟大学医歯学総合病院 薬剤部1)、新潟大学大学院 腎泌尿器病態学分野2)、 東京薬科大学薬学部 臨床薬理学教室3)
【目的】MTT 法による免疫抑制薬の感受性試験(感受性試験)は、採血量が多いことが改 善課題とされていた。当院では、少量採血による感受性測定を実現するために CellTiter- Glo(CG) 法の臨床応用を検討している。我々は、CG 法と MTT 法によるカルシニューリン インヒビター感受性の差異について比較検討を行った。
【方法】健常者 21 名より採血し、シクロスポリン (CyA) とタクロリムス (Tac) の感受性を MTT 法と CG 法により同時測定し、Kendoll と Spearmann の相関係数を求め、両者の相 関性について評価した。
【結果】MTT 法による CyA と Tac における IC50 の Kendoll と Spearmann の相関係数は、
それぞれ r=0.387 と r=0.49 であり、相関性が認められた。しかし、CG 法による CyA と Tac の IC50 に、相関性が認められなかった。一方、CG 法による CyA の IC50 と Tac の IC20 の Kendoll と Spearmann の相関係数は、それぞれ r=0.466 と r=0.644 であり、相関性 が認められた。
【結論】MTT 法では、CyA と Tac の IC50 に相関性が認められた。しかし CG 法における 感受性では、CyAIC50 と TacIC20 に相関性が得られた。CG 法は、MTT 法に比べ、感度 が高い。よって CG 法による Tac 感受性は、IC20 値を指標に薬効測定を行うことが妥当で あると考えられた。
HLA class II 抗体接着によるシグナル伝達
岩﨑 研太1)、荊 萍1)、中島 文明2)、三輪 裕子1)、羽根田正隆1)、小林 孝彰1)
名古屋大学大学院医学系研究科 移植免疫学講座1)、日本赤十字社血液事業本部2)
【背景】Accommodation( 免疫順応 ) とはドナーに対する抗体が存在するにもかかわらず、
移植臓器が傷害を受けない状態を指し、抗体関連型拒絶反応の制御に重要な概念である。
私どもは、血液型 A/B 抗原発現内皮細胞株を樹立し In vitro accommodation モデルを用い、
ABO、HLA- 不適合移植における相違点を解析している。特に HLA、ABO 抗体接着後に 誘導されるシグナル伝達の相違によって抗体関連型の補体傷害に対する抵抗性が異なる点 に注目してきた。本研究では、HLA class I/II 抗体の内皮細胞接着に及ぼす影響について 検討した。
【方法】anti-HLA class I・II 抗体接着後の細胞傷害は MTT アッセイで測定した。ERK、
AKT などシグナル伝達分子はウェスタンブロッティングで解析した。補体制御因子 CD55/59 はフローサイトで、細胞保護遺伝子 Fh/HO-1 の mRNA は qRT-PCR にて測定した。
【結果】定常状態では内皮細胞には HLA class II は発現していないが、IFN γ刺激により class II-DR 発現が認められた。またその際 class I の発現も上昇していた。class II が発現 する状態では、同程度の抗体量接着による内皮細胞傷害も上昇し、低濃度の class I 抗体接 着でみられた、AKT 促進など免疫順応シグナルも見られなかった。また、細胞保護遺伝子 Fh/HO-1、補体制御因子 CD55/59 の誘導は確認できなかった。
【考察】慢性期におけるドナーに対する HLA 抗体のなかでも、HLA class II 抗体は予 後不良になるケースが多い。しかしながら、その理由は解明されていない。本研究で は、炎症下における HLAclass II 抗原が発現している状況では、免疫順応を容易に獲得
ドナー造血幹細胞移植後のキメラ構築による特異的臓器移植免疫寛容の誘導
劉 馳1、2)、畑山 直之1)、朱 平1)、斎藤 太郎1)、猪阪 善隆2)、李 小康1)
国立成育医療研究センター研究所1)、大阪大学大学院医学系研究科老年・腎臓内科学2)
「目的」本研究は、放射線照射に代わる骨髄非破壊的前処置法として、ブスルファンと FTY720 を用いたキメリズム構築を試み、より安全かつ移植患者に負担が少ないドナー特 異的免疫寛容誘導方法を確立することを目的とした。
「方法」ブスルファン、FTY720 を投与後、F344 ラットに HLAB27・GFP/F344-Tg ラット の骨髄移植をし、Day21 に皮膚・心臓移植を行った。移植片の生着期間を観察した。
「結果」ブスルファン・FTY720 処置後のレシピエント末梢血中のドナー由来細胞(GFP 陽性細胞)は骨髄細胞移植後、時間経過につれ、増加していることがわかり、キメリズム が構築できていることが確認できた。また、移植した骨髄細胞はレシピエントの体内で血 液の各細胞成分に分化していることが分かった。ブスルファン・FTY720 前処置によるも のは、無処置で移植を行った場合(15.8 ± 6.34 days)に比べ、皮膚移植片生着期間が顕著 に延長した(39.4 ± 30.3 days;p<0.01)。25%の移植片の生着期間が 100 日を超えた。一方、
心臓移植片は全例生着した。また、皮膚・心臓移植 100 日経過後に移植片が生着している レシピエントにおいて免疫抑制機能を有する制御性 T 細胞が顕著に増加した。
「結論」放射線照射に代わる骨髄非破壊的前処置法として、ブスルファン・FTY720 を用い、
骨髄キメリズムの構築ができ、その後のドナー特異的皮膚・心臓移植片の生着延長するこ とを明らかにした。
肝過小グラフトにおける免疫応答亢進メカニズムの解析
橋本 慎二1)、尾上 隆司1、2)、田中 友加1)、五十嵐友香1)、石山 宏平1)、井手健太郎1)、 田澤 宏文1)、大段 秀樹1)
広島大学大学院 先進医療開発科学講座外科学1)、 独立行政法人 国立病院機構 中国がんセンター2)
【目的】肝臓は本来免疫寛容性を有する臓器であるが、過小グラフトでは、門脈血流不均 衡による門脈圧上昇と類洞障害により、グラフトロスの一因となる。我々はこれまで、過 小グラフト症例では抗ドナー反応が亢進し、拒絶の頻度が高いことを報告してきた。さ らに当施設で実施された生体肝移植 54 例での検討では、門脈圧亢進例(n=32)では術後 CD8T 細胞の抗ドナー反応が有意に高い(P<0.003)事が明らかとなった。この結果は門脈 圧上昇により拒絶反応が惹起されている可能性を示唆しているが、免疫学的考察はこれま でなされていない。
【方法】臨床での免疫状態を評価するために、Balb/c マウスを用いて 70%肝切除マウスを 作成し CFSE を用いた同種リンパ球-全肝構成細胞混合試験 (CFSE-MHLR) を行った。そ こで得られた B6 マウス T 細胞の増殖を解析した。また、肝臓の免疫寛容に関与している 肝類洞内皮細胞(LSEC)を抽出しフェノタイプを解析した。
【結果】MHLR では、70%肝切除群は無処置群と比べて CD4、CD8T 細胞の有意な同種反 応の亢進を認めた(p< 0.05)。LSEC のフェノタイプ解析では術後 3 日目以降、70%肝切 除群では無処置群と比べ、LSEC の MHC クラス II や副刺激分子である CD80、CD40 表出 が有意に低下し、特に MHC クラス II、CD80 の表出低下は 14 日間持続した。
【結論】過小グラフトでは LSEC は抗原提示能を喪失し、同種反応性 T 細胞に対する免疫