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木製防火ドアの開発に関する研究 古賀賢一

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Academic year: 2021

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木製防火ドアの開発に関する研究 

古賀賢一*1  脇坂政幸*1  

Research on development of the wooden fire prevention door

Ken’ichi Koga, Masayuki Wakisaka 

 

従来,防火ドアは重量があり,デザインに優れない金属製であったが,軽量で意匠性に富む木製素材のドアでも,

建築基準法で定める性能を満たせば防火ドアとして認められるようになった。県内のA社では新規な室内向け総木 製防火ドアを開発したいと考えている。総木製防火ドアの製品化を目指し,当所との共同研究に取り組んだ結果,

認定基準を満たしうる性能を持つ総木製防火ドア部材の試作に成功した。 

 

1  はじめに 

木質材料には,比強度・加工性・断熱性に優れると いった利点があり,広く利用されているが,燃えやす い・腐りやすい・狂いが生じやすい等の欠点もある。

木質材料の更なる普及や高付加価値化の為には,これ らの欠点を克服することが必要である。 

本研究は,A社との共同研究により新規な室内向け 総木製防火ドアの開発を行うものであるが,それに付 随する防火処理技術に関する知見は,木質産業全般へ 普及できるものとして期待している。 

 

2  研究,実験方法 

2-1  木質材料の防火処理の検討 

市場に出ている室内向け木製防火ドアのほとんどは,

内部に無機系の厚い防火層を設けることにより,防火 性能を付与している1)。しかし本研究では,A社の意 向により,総木製で防火性能を発揮させなければなら ない。そのためには,木質材料を防火処理する新規な 技術の開発が必須である。 

A社の従来の木製防火ドアは,大まかに以下の構成 になっている(図1)。 

 

  図1  従来ドアの概略図 

 

本研究の総木製防火ドアでは,耐火薬剤層を使用せ ず,主に表面材の薬液処理で防火性能を発揮させるこ とを目標とした。薬剤としては,有害な成分を含まず,

防火効果を発揮できる無機系のものを想定し,中でも 薬剤の安定性・工程の簡素化の点でケイ酸系のWako社 製ケイ酸ソーダ溶液(以降,○と表記)と,パルアップ 社製水溶性ケイ酸Si25(以降,○Siと表記)の2種を検討 することにした。 

以上の薬剤(○・○Si)を,○Siのケイ酸量を基準に重量 で5,50,500倍(○については7.9,79,790倍となる) に水により希釈した溶液を調製し,表面材の合板(15

㎝角・厚さ2.5mm)に室温にて1日含浸,あるいはハケ で1回塗布した。その後,熱風乾燥を行ない,防火処 理を施した(図2)。 

 

  図2  含浸処理㊧と防火処理後の表面材㊨ 

 

また,より強力な防火性能発揮を期待して,高濃度 のケイ酸(○1.5倍水希釈・○Si原液)とシート材を,ハ ケ塗りにより表面材上で複合化したものも作製した。 

2-2  防火処理材料の防火性能評価  表面材 

2-1で作製した防火処理表面材を,JIS A 1322の建 築用薄物材料の難燃性試験に相当する装置によって評 価した(図3)。規定した加熱時間での材裏面への炎の 到達と残炎時間,更には加熱を続けて,材裏面へ炎が 到達するまでの耐火時間を評価項目とした。 

耐火薬剤層 芯材 

   

*1  インテリア研究所   

(2)

 

表1  防火処理表面材の45秒加熱試験結果   

図3  難燃性試験㊧と残炎状態㊨ 

 

2-3  試作総木製防火ドア部材の性能評価 

A社において,2-1の条件で防火処理を施した表面材 を使用し,総木製防火ドア部材を試作した。その構成 は以下の通りである(図4)。 

 

  図4  試作部材の構成㊧と実物㊨ 

 

試作部材について,A社の防火性能試験設備での評 価を行なった。 

当所では,室内向けドアとして必要な耐水性能を,

集成材のJAS浸せきはく離試験で評価した。試験方法 は,指定の大きさに切り出した部材を,室温の水に6 時間浸せきし,その後40℃で18時間乾燥した際,材料 の接着層にはく離が生じるかというものである。 

 

3  結果と考察 

3-1  木質材料の防火処理効果の検討 

,○Si希釈溶液の含浸・塗布処理の前後で,表面材 の絶乾状態での重量変化を測定したが,有意な差は見 られず,ケイ酸の添加量は不明であった。これはケイ 酸の添加量が,表面材の含水量の変動以下の僅かな量 であることを示している。 

図5,表1に45秒間加熱条件での防火性能評価の結果 を示す。 

図5,表1の結果より,○では塗布・○Siでは含浸の方 がより効果的な処理方法であり,100倍以上の濃度効 果が生じているといえる。 

図5  45秒加熱試験後の防火処理表面材   

    Si  希釈率  含浸  塗布  含浸  塗布

(○7.9)

× 

○ 

○ 

× 

>30  50 

(○  

79) 

× 

>30 

○ 

○  500 

(○    

790)

○ 

>30 

○ 

  表面材  ×(15sで到達)

>30  裏面への炎の到達有り・無し=×・○ 

 

この違いは,原液の○が水飴状で,重合したケイ酸

も,その

 

数字=残炎時間(s) 

大きな塊が溶存しているのに対し,原液の○Siはやや 粘性のある液体程度で,溶存のケイ酸の重合度はあま り高くないことに起因している。すなわち,含浸処理 については材への浸透性が重要であり,塊の小さな○Si

の方が,材内部まで浸透しやすい。また,塗布につい ては材表面での膜形成が重要であり,塊が大きく材内 部へ浸透しない○の方が,表面に残って膜を形成しや すい。更に,○はアルカリ含有率が高く,溶存するケ イ酸の反応性が高いが,○Siはアルカリ含有率とケイ酸 の反応性が低いのも,要因の一つである。 

このように,同じケイ酸系の薬剤によって

状によって処理方法を使い分けることが重要である。

より強力な防火性能の為には,高濃度のケイ酸溶液 使用すればよいが,溶液の粘性の為,含浸法は適用 できず,塗布法では材表面からのタレ,材表面のガラ ス化による接着性の悪化等の問題が生じる。 

防火処理 表面材 

芯材 

Si  含浸        塗布

  含浸        塗布 

表面材

5

5 0

5 0 0

(3)

この問題は2-1で述べた,シート材との複合化によ り克服することができた。図6にシート複合化防火処 理表面材の顕微鏡図を示す。 

 

  図6  シート複合化防火処  

6はシートとケイ酸のガラス層が一体となってい

 

  図7  耐火試験中途状態の 

 

表2  シート複合化防火処 表面材の耐火試験結果  理表 材 

様 子 を 示 し て い る 。 シ ー ト − ケ イ 酸 層 の 厚 み は 0.2mmで,総木製と表現して差し支えない程度である。

更に,防火性能の試験では,シートとの複合化の効 が顕著に現れた。試験結果を図7,表2に示す。 

 

ート複合化防火処理表面材  

    Si  表面材  裏面への

29min  4min  15s  到達時間 

裏面へ炎が到達するまで加熱   

7では○・○Siが同様に加熱によりケイ酸層で発泡

ように,○の場合には

 

にはシ

ている。しかしながら,表2では○と○Siで防火能力 に大きな違いを示している。 

これは図7の○断面図に示す

イ酸層の発泡以外に,シート−ケイ酸層そのものが 加熱で膨張し,炎・熱から表面材を保護しているため であ る 。こ の 効果 に より , 無処 理 の表 面 材に 比 べ,

100倍以上の耐火時間を達成することができた。 

のみに膨張が見られたのは,前項に挙げた○の膜 成力や粘性の高さに起因している。 

3-2  試作総木製防火ドア部材の性能評価 A社での防火性能試験状況を図8に示す。部材 ト複合化防火処理表面材を使用している。 

 

  図8  試作部材の防火性能試験 

使用している加熱源は, 火ドアの認定試験の条件

  図9  試作部材の浸せきはく離試験結果 

浸せきの前後ではく離は見 ,外観の変化も発

とめ 

シート複合化防火処理により,認定基準

考文献   

bekogyo.co.jp/bou̲kaon/bouka.html 

̲dor/spdor  

り,はるかに高温で勢いがある。にも関わらず,材 裏面への炎の到達が認定基準を満たす1時間を超える 結果を示し,十分な防火性能を有すると考えられる。 

また,当所での試作部材のJAS浸せきはく離試験の 果を以下に示す(図9)。 

  1mm 

  Si

断面 

(浸せき前断面㊧  浸せき後断面㊨)   

られず

しないことより,室内向けドアとして十分な性能を 有しているといえる。 

 

当所独自の

満たす新規な室内向け総木製防火ドアの開発に目処 がついた。次年度以降は,A社の総木製防火ドアの製 品化についての協力を行なう予定である。 

 

1)例として,

http://www.a

http://www.nonaka.co.jp/prod̲f.htm  http://www.kimuranet.jp/best/skog/ex

/tokuchou.html  等 

参照

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