• 検索結果がありません。

パーソナリティのビッグファイブにおける 勤勉性と無気力の関係性

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "パーソナリティのビッグファイブにおける 勤勉性と無気力の関係性"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

パーソナリティのビッグファイブにおける勤勉性と無気力の関係性  131

研究ノート

パーソナリティのビッグファイブにおける 勤勉性と無気力の関係性

長 内 優 樹

アブストラクト:

 本研究は無気力とパーソナリティのビックファイブにおける勤勉性の相関関係を明らかにす ることを目的とした。大学生(N=32)を対象とした質問紙調査を行った結果として、無気力 状態測定尺度の尺度得点およびすべての下位尺度得点が、パーソナリティのビッグファイブに おける勤勉性と負の相関を示し(r =-.42~-.62)、本研究の仮説は支持された。また、この結 果は、勤勉性の低い者は無気力であるとする先行研究の見解に実証的な裏付けを付与するもの でもあるといえる。

問  題

 「勤勉性の低い人は、環境や自分をありの ままに受け入れて、仕事にこだわりをもたな い。これは東洋的な考え方といえるだろう。

しかし、極端な場合には、無気力で怠惰な人 と思われるだろう(杉浦・丹野,…2008)。」東 洋的か否かはさておき、パーソナリティのい わゆるビッグファイブ(特性 5 因子モデル)

における勤勉性(誠実性とされる場合もある)

の教科書的な説明としてこのように無気力と の関連性が指摘されることがある。しかし、

この勤勉性と無気力の関係性について、実証 的な研究は乏しい。パーソナリティは、人の 広い意味での行動(具体的な振る舞い、言語 表出、思考活動、認知や判断、感情表出、嫌 悪判断など)に時間的・空間的一貫性を与え ているもの(神村 ,…1999)、などと定義され ることが多い。それに対して無気力は、学習 性無力感(Seligman,…1975)を背景にもつ研 究と、スチューデント・アパシー(Walters,…

1961)を背景にもつ研究に大別されるが、近

年では、個人が自己の意欲または精神的なエ ネルギーの低下を知覚することであり、領域 固有的無気力と領域全般的無気力に大別でき る、とする定義がある(長内,…2009)。

 本研究は、無気力とパーソナリティの勤勉 性の関係性に関する資料を得るために、…大学 生を対象に質問紙調査を実施する。

目  的

 無気力とパーソナリティの勤勉性の相関関 係を明らかにすることを目的とする。

仮   説

無気力とビッグファイブの勤勉性は負の相 関を示すと仮定できる。

方  法 研究参加者

大学生 32 名(男性 15 名、女性 17 名)が研 究参加者であった。この参加者数は、本研

(2)

1n=4+(8/0.4)=24

Table 1 無気力状態尺度とTIPI-Jにおける 勤勉性の平均値と標準偏差

M SD

無気力状態 54.73 11.72

非 活 動 的 18.12 5.48

不 本 意 16.70 4.43

先 延 ば し 19.91 4.27

勤 勉 性 5.67 2.84

132  国際経営論集 No.63 2022

究の仮説を検証する際に使用する相関係数 を算出するにあたり、一般に中程度以上と される相関係数(r >.40)を母集団に想定 した場合に 80% の確率で有意判定が可能 なサンプル数をもとめ1、充分な人数であ ると判断した。

調 査 方 法

2014 年 6 月に関東圏内の 2 つの私立大学に おいて講義時間内の集合形式で個別記入式 の質問紙調査を行った。

質 問 紙

質問紙は次の心理尺度で構成された。学生 の無気力状態を測定するために長内(2011)

による無気力状態測定尺度(15 項目 7 件…

法)、パーソナリティのビッグファイブを 測定するために小塩・安部・カトローニ

(2012)による日本語版Ten…Item…Personality……

Inventory;…TIPI-J(10項目7件法)を用いた。

倫理的配慮

著者の所属機関に設置された研究活動推進 委員会において倫理審査を受けた。また、

調査は日本心理学会調査倫理(2009)に関 わる注意事項に遵守し作成され、調査の任 意性や回答を拒否した際に不利益がないこ とを説明のうえ、研究参加者から同意を得 たうえで調査を実施した。調査への参加に 同意した研究参加者には、調査票の1ペー ジ目にチェック欄を設け、その旨を任意で 記入をもとめた。

結  果

 先行研究に倣い、無気力状態測定尺度とそ の 3 つの下位尺度得点、TIPI-J の下位尺度の うち勤勉性の得点をもとめた。その平均値と 標準偏差をTable…1に示す。

 次に無気力状態とパーソナリティのビッグ ファイブにおける勤勉性の関連性を明らかに するために、無気力状態測定尺度と TIPI-J の勤勉性の相関係数をもとめた。その結果、

無気力状態尺度の尺度得点と勤勉性の相関係 数は、-.62(p<.001)であった。続いて、無気…

力状態尺度の各下位尺度と勤勉性の相関係数

(r)は、非活動的が-.53(p<.01)、不本意-.42

(p<.05)、先延ばしが-.60(p<.001)であった。

考  察

 本研究は無気力とパーソナリティのビック ファイブにおける勤勉性の相関関係を明らか にすることを目的とした。結果として、無気 力状態測定尺度の尺度得点およびすべての下 位尺度得点が、パーソナリティのビッグファ イブにおける勤勉性と負の相関を示し、本研 究の仮説は支持された。また、この結果は、

勤勉性の低い者は無気力であるとする先行研 究(杉浦・丹野,…2008)の見解に実証的な裏 付けを付与するものでもあるといえる。

 今後の課題として、本研究の結果の外的妥 当性を検証し、知見を蓄積していく必要性が 挙げられる。

(3)

パーソナリティのビッグファイブにおける勤勉性と無気力の関係性  133

引用文献

狩野武道・津川律子(2011).大学生におけ る無気力の分類とその特徴 ─スチュー デント・アパシーと抑うつの視点から─………

教育心理学研究,59,168-178.

神村栄一(1999).パーソナリティ 中島義 明(編)(1999).心理学辞典 有斐閣,…

p.686.

日本心理学会(2009).公益社団法人日本心 理学会倫理規定.

長内優樹(2009).大学生における知覚され た無気力の研究─領域固有的無気力が領 域全般的無気力に及ぼす影響─ 応用社 会学研究 東京国際大学大学院社会学研 究科,19,101-112.

長内優樹(2011).無気力状態測定尺度の作 成の試み 応用社会学研究 東京国際大 学大学院社会学研究科,21,47-53.

小塩真司・阿部晋吾・カトローニピノ(2012).

日本語版Ten…Item…Personality…Inventory……

(TIPI-J)作成の試み パーソナリティ 研究,1,40-52.

Seligman,…M.…E.…P.…(1975).…Helplessness…:…On…

depression,… development,… and… death .…

San…Francisco:…Freeman.…

杉浦義典・丹野義彦(2008).パーソナリティ と臨床の心理学 次元モデルによる統合………

培風館.

Walters,… P.A.J.… (1961).… Student… Apathy…

Blaine… B.… Jr.… &… McArtur… C.C.… (ed)…

Emotional… Problem… of… the… Student,…

Appleton-Century-Crofts.…

 本研究は無気力の年代間比較を行うために 計画された定期的な縦断的調査における一部 のサンプルのみを分析対象としたものであ る。

参照

関連したドキュメント

[r]

A total of 418 university students (204 male and 214 female) completed a questionnaire that measured two types of attachment relationships with their parents—avoidance

As mentioned, the conventional simultaneous source-supply method will be used at first, then because of the compromising structural quality of AlN, migration enhanced epitaxy

While the plans are expected to balance the demands of conservationists and the agricultural lobby, and take local conditions into consideration, they have the potential

 本年度は第44回から第71回の生存圏シンポジウムを開催した。28件のうち、生存圏研究所の全国共

様式6 論 文 内 容 要 旨 題 目 顎関節症患者のMR画像による閉口位と開口位の関節円板形態分析 著 者 前田直樹

[r]

Economies, Japan External Trade Organization (IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp 雑誌名 アジア経済 巻 42 号 6 ページ 2-25 発行年