• 検索結果がありません。

意思決定プロセスの支援ツールと その設計開発への展開

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "意思決定プロセスの支援ツールと その設計開発への展開"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

意思決定プロセスの支援ツールと その設計開発への展開

1. はじめに

 設計開発や技術開発のさまざまな場 面で個人やグループによる意思決定が 行われている.近年,ナレッジマネジ メントの観点から,最終的な決定に 至ったプロセスとともにそこで参照さ れた多種多様の情報を記録し,それら を複数の技術者,設計者の間で共有し たり後の活動において知識として再利 用したりすることの重要性が指摘され ている.本欄ではこの方面の動向を述 べるとともに,代表的な支援ツールを 紹介する.

2. 意思決定プロセスの表現

 人間の意思決定プロセスを記録する ための手法や支援ツールに関する研究 は情報処理研究の分野で行われてきて いる.その一般的な手法は,意思決定 プロセスにおける複数の代替案を比較 検討した履歴や意思決定に影響を与え たさまざまな情報をハイパテキスト構 造によって記録することである.この ハイパテキストの作成にあたり,テキ スト間の関係をわかりやすく把握する ためにあらかじめ何種類かのノードタ イプを導入し,それらによって構造化 を行うことが不可欠であり,その代表 的な手法の一つが IBIS (Issue-Based Information System)(1)で あ る.IBIS にはさまざまな派生手法が存在する が,その最も基本的なものは問題,案,

議論の 3 種類のノードタイプのハイパ テキスト構造によって意思決定プロセ スを表現するものである.

 機械工学分野においては,IBIS を 利用して設計の上流段階における意思 決定の根拠をスケッチなどとともに記 録するシステムの開発などが見られる

(たとえば文献(2)).著者らのグループ でも IBIS の表現方法に基づいて,各 種の設計支援ツールを利用して進める 意思決定プロセスの記録を支援するシ ステムを開発している(3)

3. Compendium

 意思決定プロセスを支援するための ソフトウェアツールとして最近注目を 集めつつあるのが Compendium(4)であ

る.Compendium は Compendium Institute が開発を行っているフリー ソフトウェアであり,2008 年 3 月現在,

バージョン 1.5.2 がリリースされてい る.ソースコードが公開されているた め,必要に応じたカスタマイズも可能 である.Compendium は IBIS の思想 に基づいて開発されたツールであり,

その基本的な機能は,図に示すような IBIS ベースのハイパテキストエディ タ で あ る. 操 作 性 の 優 れ た イ ン タ フェースを備えており,ユーザは,テ キストや画像,Web サイトなどさま ざまな情報をこのエディタの上にド ラッグ&ドロップして保存できるだけ でなく,それらの間の関係を記述して 情報を整理することができる.

 Compendium Institute の Web サ イトでは,実際に Compendium を活 用して企業や研究機関,NGO などで のナレッジマネジメントへの展開を 行っている例が紹介されている.たと え ば NASA Ames Research Center では,スペースシャトルや国際宇宙ス テーションのミッションコントロール のプロセスを記録し,協調作業を支援 したり新たなミッションの開発に役立 てたりするためのシステムの一部に Compendium を利用することを試み

ている.Compendium によって,ミッ ションオペレーションで検討されたさ まざまな代替案とその下での各種のシ ミュレーション結果および代替案の比 較検討のプロセスをビジュアルに管理 できるため,非常に複雑な問題を複数 の技術者の協調を通じて解決するのに 役立つことが指摘されている.

4. おわりに

 意思決定プロセスの支援への関心は 古 く か ら あ る も の で あ る が,

Compendium のような完成度の高い フリーソフトウェアの出現によって,

今後の展開が注目されるところである.

(原稿受付 2008 年 3 月 13 日)

〔野間口 大 大阪大学〕

●文 献

( 1 )Kunz, W. and Rittel, H., Issues as Elements of Information Systems, Working Paper No.131, University of California, Berkeley, Institute of Urban and Regional Development., (1970).

( 2 )Bracewell, R. H., Ahmed, S. and Wallace, K. M., DRed and Design Folders, A Way of Capturing, Storing and Passing on, Knowledge Generated during Design Projects, Proceedings of ASME DETC'04,

(2004-9, 10), DETC2004-57165.

( 3 )Nomaguchi, Y. and Fujita, K., DRIFT: A Framework for Ontology-based Design Support Systems, Proceedings of the Workshop on The First International Workshop on Semantic Web and Web 2.0 in Architectural, Product and Engineering Design, (2007-11),1-10.

( 4 )Compendium Institute,

http://compendium.open.ac.uk/index.html 図 Compendium(4)の概観

724

日本機械学会誌 2008. 8 Vol. 111  No.1077

─ 88 ─

参照

関連したドキュメント

2006)。MS/OR の意思決定支援の場合, ① 提供されるものが意思決定を支援するた めの情報である(無形性)

人の価値観や希望を反映できる方法が求めら れており、特に shared decision making (SDM:共同意思決定)の実装が期待されてい る 2) 。SDM

おわりに 本論文は情報技術を用いて集団意思決定を支援する方 法としての

lrviて19 らは GDSS の利用を匿名で集凶意思決定を行

皿 はじめに 現実の意思決定過程において,必ずしも意思決定者が決定 事象に対してすべての条件を充足するような意思決定を行

半導体製造装置企業は,技術革新により今後も微細化・集積化が進むという不確実性の下に設備投資を

戦略的意思決定を支えるビジネスインテリジエンスシステム 〉ul.8JIN口.9 ■l

Japan Advanced Institute of Science and Technology JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/