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日本企業への影響と展望~
2012年3月12日(月)
JOIセミナー
海外投融資情報財団 寺中純子
本日の構成
1.イラン核開発問題に関する主要プレイヤーと
それぞれの基本姿勢
2.日本の対イラン制裁措置
3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(1) 米CISADA
(2) 米国防授権法
(3) EUイラン制裁規則、等
4.制裁の効果とイラン核開発問題の展望
(1) これまでの制裁効果に関する見方
(2) イランの核開発政策変更の可能性
(3) さらなる制裁強化と軍事攻撃の可能性
1.イラン核開発問題に関する主要
プレイヤーとそれぞれの基本姿勢
米、EU:独自制裁の 積極実施。「有志」に よる圧力強化を先導。 ロシア:二国間制裁に 反対。「段階的アプ ローチ」の提唱。 トルコ:二国間制裁に 反対。核問題協議仲介 申し出。 NATO加盟国。 湾岸アラブ諸国:域内で のイランの影響力増大に 対する懸念拡大。 中国:二国間制 裁に反対。経済 権益の重視。 イスラエル:軍事攻撃 を示唆しつつ、米欧に 一段の制裁強化を要求。 イラン P5+1 (米英仏独中露)1.イラン核開発問題に関する主要
プレイヤーとそれぞれの基本姿勢
<国連機関>
安保理
2006年3月、問題の安保理付託。以後、4回の制裁決議。
2010年6月の決議1929号が、「有志」制裁の法的基礎に。
IAEA
核開発活動に関する定期報告。
2011年11月、活動の軍事的側面に「深刻な懸念」を表明。
軍事攻撃論の盛り上がり、一段の制裁強化の契機。
2012年2月、「未申告の核物質や活動がないとの信頼できる確
証を提供できない」 。
安保理決議1929号
制裁タイプ 制裁措置 加盟国の 義務 • 自国領内でのイランによるウラン採掘や生産、核物質や同技術の利用を含む商業活動に関する権益取得の禁止 • イランへの戦車、大砲、戦闘機、ミサイルシステム等の供給や販売、移転の 禁止 • イランへの核兵器運搬可能な弾道ミサイルに関する技術の移転や支援の禁止 • 核開発活動に関連する人物の自国領への入国や通過を防ぐために必要な手段 の実施 • イランへの供給禁止物資を運ぶ船舶への燃料供給や停泊等のサービス供与の 禁止 加盟国への 要請 • リスト掲載のIRGC関連人物及び機関の取引に対する監視• イランに出入国する禁輸物資を搭載している疑いのある船舶や航空機に対す る国際法及び国内法に準拠した検査• Iran Air Cargo及びIRISLが運営する航空機や船舶の他社との取引や活動に関 する情報の安保理への報告
• イランによる核拡散や核兵器運搬システムの開発に貢献すると信じるに足る 金融サービス(保険や再保険を含む)や資産の凍結と、それらの活動の監視 • イランの銀行による自国領内での新規支店や子会社、駐在員事務所の開設や
2.日本の対イラン制裁措置
イランの核開発に寄与
し得る者との間の支払い、資本取引、輸
出信用の供与、石油ガス分野への投資や大型取引を規制。
完全な禁止ではなく、許可制、報告の義務付け、“抑制”・“慎重
な対応”・“注意”等の要請
。
<関係閣議了解>
2007年2月17日「イランの拡散上機微な核活動及び核兵器運搬手段の開発に 関連する資金の移転の防止及び貨物の輸入の禁止等の措置について」 2010 年8月3日「イランの拡散上機微な核活動等に関与する者に対する資産凍 結等、核技術等に関連するイランによる投資の禁止及びイランへの大型通常兵 器等の供給等に関連する資金の移転の防止の措置について」 2010年9月3日「イランに対する国連安保理決議の履行に付随する措置につい て」これらに基づき、財務省、経済産業省、外務省等が関連措置を通達。
2010年9月3日 閣議了解
分野 制裁内容 金融 • イランの核活動等に寄与しうる銀行との取引を許可制とし、 コルレス関係を停止。新規コルレス契約締結の抑制を要請。 • 金融機関に対し、イランとの間の資金移転に関する月次報告 を義務付け。金融機関への集中検査実施。 • イランの金融機関による日本での支店・子会社設立申請、日 本の金融機関によるイランでの支店・子会社設立申請は却下。 貿易 • 2年超の輸出信用は新規供与せず、短期の輸出信用は厳格な審 査の下で条件付き対応。 運輸 • イラン国営海運会社(IRISL)本体及び関連団体の資産凍結。 エネルギー • 石油・ガス分野における新規投資は、輸出信用措置の実施に より実質停止。 • 石油・ガスの探鉱開発、精製能力増強等の新規プロジェクト 及び関連大型取引につき厳に慎重な対応を要請。既存契約に 基づく取引にも十分な注意を要請。日本政府による対イラン制裁対象指定行
制裁指定年月日 在イラン 制裁対象銀行イラン外(国籍) 2007年5月18日 セパ銀行 バンク・セパ・インターナショナル(英国) 2010年8月3日 ファースト・イースト・エクスポート・バンク Plc (マレーシア) 2010年9月3日 メッラト銀行 メッリー銀行 レファー銀行 サーデラート銀行 カールゴシャーイ銀 行 スィーナー銀行 イラン輸出開発銀行 郵便銀行 メッラト・バンク SB CJSC(アルメニア) ペルシャ・インターナショナル・バンク Plc(英国) アリアン・バンク(アフガニスタン) バンク・メッリー・イラン Zao(ロシア) バンク・サーデラート PLC(英国) ヒューチャー・バンク BSC(バーレーン) メッリ・バンク・イラン Plc(英国) バンコ・インテルナシオナル・デ・デサロジョ CA (ベネズエラ) 2011年12月9日 メフル銀行 アンサル銀行 オーナーバンク ZAO(ベラルーシ)3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(1) 米CISADA
2010年7月1日発効。
イランのエネルギーセクターにおける事業や金融取引に関
する制裁を一段と強化。
エネルギー制裁:国務長官に実施権限。スペシャル・ルール、
「協力国」等に対するウェイバー条項あり。
金融制裁:財務長官に実施権限。米国の国益に必要と判断され
れば制裁免除可能。
外国人についても制裁対象行為を規定。
違反に対しては、米国内での為替取引や金融機関間の取
引停止等、9つの選択肢から3つ以上の制裁措置を適用。
<日本(外資)への影響>
外国企業に対する制裁の実際の発動
米国を取るか、イランを取るか
スペシャル・ルールによる企業の「自主的な」撤退判断期待
米政府高官による外国政府や企業の説得
法律以上の委縮効果
3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(1) 米CISADA
米CISADA エネルギー事業に関する制裁
制裁対象行為 • イランの石油資源開発能力を著しく高める2千万ドル以上の投 資又は1回5百万ドル以上で12カ月以内に合計2千万ドル以上に なる投資。 • イランに対する百万ドル以上又は12カ月合計5百万ドル以上の 石油製品輸出。 • イランの石油製品生産に関する百万ドル以上又は12カ月合計5 百万ドル以上の物品、サービス、技術、情報の販売や支援の提 供。 大統領のウェ イバー権限行 使条件 • 石油製品輸出業者や保険業者がデュー・デリジェンスを実施。 • 米政府調達の請負資格証明につき、その業者へのライセンス付 与が米国の利益になることを大統領が書面で議会に証明。 • イランに関する多国間の努力に協力する国の企業・個人・事業 を行う政府機関に対して(12カ月間以内)。 スペシャル・ ルール • 制裁対象行為の疑いのある企業が、その活動を停止したか、停止に向けた重要かつ検証可能な手段を取り始めたと国務長官が 認定した場合、大統領は制裁実施の根拠となる調査を開始しな くても良い。米CISADA 外国の金融機関に対する金融制裁
総則 • 財務長官は、以下の活動にそれと知りながら従事する外国の金 融機関が米国内でコルレス口座やpayable-through口座を開設又 は保持することを禁止又は厳格な条件付きとするための規則を、 本法施行後90日以内に制定しなければならない。 制裁対象 行為 A)イラン政府(IRGC及び関係機関を含む)による大量破壊兵器等の開発、テロ指定機関や国際テロ活動に対する支援促進。 B)安保理決議が金融制裁の対象とする者の活動促進。 C)A又はBの活動のための資金洗浄への関与。 D)A又はBの活動のためのイラン中央銀行他のイラン金融機関によ る努力の促進。 E)IRGC及び資産凍結の対象である同隊関係機関や金融機関に対 する相当額の取引得心又は相当額の金融サービスの提供。 ウェイバー • 財務長官は、本法の適用除外が米国の国益にとって必要である と決定し、かつその理由を述べた報告を議会の適切な委員会に 提出した30日後以降に、外国金融機関に科される禁止や条件の 適用を除外することができる。3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(2) 米国防授権法
2011年12月31日発効。第1245条(d)項「イラン中央銀行及
び他のイラン金融機関に対する制裁の実施」
イランの金融機関と相当額の取引を実行・促進する外国の
金融機関に対し、米国内での口座開設や維持を禁止又は厳
格に制限。
石油取引については、イランからの原油輸入量の「相当削
減」で制裁適用の例外に。
米国安全保障上の利益に基づくウェイバーあり。
制裁実施スケジュール
12/31 2/29 3/30 6/28 8/27 9/26☆ ◎
☆ ◎
石油取引に関する金融取引への制裁発動が可能に 石油取引関連以外の金融取引に関する制裁発動が可能に ☆イランからの原油輸入削減可能性に関するEIAレポート(以後、180日おき) ◎上記EIAレポートに基づくイランからの原油輸入削減可能性に関する大統領決定 (以後、180日おき)
当法に基づく措置
•
2月6日行政命令:中銀含むイランの全金融機関の米国内資産を凍結。
•
2月29日は制裁発動なし。
3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(2) 米国防授権法
<制裁適用回避の条件と可能性>
制裁発動の条件が満たされない場合:大統領決定で、イラン産原油輸入
を大幅に減らせる可能性なしとされた場合。
2月29日のEIAレポート:余剰生産力は地政学的リスクも要考慮。
例外条項:大統領決定から90日以内に、国務長官が当該国のイラン産
原油輸入が大幅に減少したと決定し、議会に報告した場合。
削減量/率、削減に関するコミット等を総合的に判断。
ウェイバー条項:大統領が、制裁回避が米国の国家安全保障上の利益
に適うと決定し、議会に報告した場合。
CISADAより裁量の余地あり。大統領署名時の条件に「大統領の
外交権限を侵す条項に法的拘束力なし」。
3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(2) 米国防授権法
国防授権法 第1245条(d)項
(1)総則 他に特別の定めがない限り、大統領は、本法律の施行後60日後から、 (A)財務長官がIEEPAに基づき制裁指定したイラン中央銀行又はその他 のイラン金融機関と、米国内で、それと知りながら相当額の金融取引 を実施又は促進したと大統領が決定した外国の金融機関が、米国内で コルレス口座やpayable-through口座を開設することを禁じ、維持する ことについて禁止又は厳格な条件を科さなければならない。 (B)IEEPAに基づき、イラン中央銀行に対して制裁を科すことができる。 (3)外国の中 央銀行に関 する制裁の 適用 (1)(A)に基づく制裁は、外国政府が所有又は管理する外国の金融機関 (中央銀行を含む)にも、当該金融機関がイランとの石油又は石油製 品の売買のための金融取引に本法律の施行後180日以降に従事又は促 進していた場合、適用される。 (5)ウェイ バー 大統領は、大統領が(1)に基づく制裁を科さないことが米国の国家安全保障上の利益に適うと決定し、制裁留保を正当化する理由、及び、大 統領が受け取っているか期待する、制裁留保によって得られる具体的 な協力について、議会に報告を提出した場合、(1)に基づく制裁の実施 を120日を超えない期間、留保することができ、かつ、その留保を120 日を超えない範囲で更新することができる。国防授権法 第1245条(d)項
(4)石油取引に関する制裁の適用
(A)報告 エネルギー情報局管理官は、本法律の施行後60日以内に、かつ以後60日 ごとに、財務長官、国務長官及び国家情報局長官と協議のうえ、先行す る60日間のイラン以外の国で生産された石油及び石油製品の供給可能性 と価格につき、議会に報告を提出しなければならない。 (B)決定 大統領は、本法律の施行後90日以内に、かつ以後180日ごとに、上記(A) で要求されている報告に基づき、イラン以外の国で生産された石油及び 石油製品の価格や供給が、イランからの石油や石油製品の購入者がその 分量を相当削減できるほどのものか否かを決定しなければならない。 (C)制裁 (1)(A)に基づく制裁は、大統領が上記(B)に基づいてイランからの石油及 び石油製品の購入を相当量減らせると決定した場合、本法律の施行後 180日以降に外国金融機関によって実施又は促進されたイランからの石 油又は石油製品購入のための金融取引に対して適用される。 (D)例外 (1)に基づいて科される制裁は、上記(B)に基づく大統領の決定から90日 以内に、かつ以後180日ごとに、外国金融機関の主たる管轄国が、本段 に定める大統領の最新報告が提出された期日以降、イランからの原油購 入量を相当削減したと大統領が決定し議会に報告した場合には、その金 融機関に対して適用されないものとする。3.米国、EUの対イラン制裁措置と日本への影響
(3) EUイラン制裁
•
2010年10月25日 理事会規則No.961/2010。
•
「EU加盟国の法律に基づき設立された法人」や「EU域内で事業を
行う人、機関、組織」に適用。
エネルギー 制裁 • イラン国内又はイラン企業による石油・ガスセクターの精製、LNG、探鉱、生産部門で用いる主要機器や技術の販売・提供・移 転及びEU籍船舶や航空機の使用、融資や資金支援を禁止。 • 上述部門で活動する企業の買収や参加の拡大、合弁設立等を禁止。 金融制裁 • イラン中央銀行を含む在イラン信用・金融機関の新規口座開設、 同機関との新規コルレス契約締結や新規合弁設立を禁止。 • イランとの間の資金移転が1万~4万ユーロ相当未満の場合、各国 当局への書面による事前通知が必要。4万ユーロ相当以上の資金 移転は各国当局の事前許可が必要。2012年1月23日の理事会決定2012/35/CFSP、同規則No. 54/2012、No.56/2012