子どもの社会化におけるプレーパークの可能性に関する研究 [ PDF
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(2) 常に適している場である「プレーパーク」の有用性につい. ーパークの歴史や構造によっての類型について述べている。. て門脇(1999)が述べているのだが、実証的な視点から述べ. 第 3 節は、プレーワーカーに対して行ったインタビュー. ている研究はない。そのような学術的視点から、 「プレーパ. の具体的な分析内容である。分析は「1.子どもの現状認識」 、. ーク」の実証的な研究の必要性について述べている。. 「2.遊びについて」 、 「3.プレーワーカーの機能」 、 「4.プ レーパークの機能」 、 「5.社会化の局所としてのプレーパー. <第 3 章>研究の方法. ク」という 5 つの視点から行っている。. 第 3 章では、現代の子どもの社会化不全の問題点・課題. まず、 「1.子どもの現状認識」では、プレーパークで様々. 点を具体的にあぶりだしていくために課題と方法の提示を. な子どもたちとの関わりのあるプレーワーカーが子どもた. 行う。まず、第 1 節では、第 1 章・第 2 章で検討した問題. ちの現状をどのように認識しているのかについて分析を行. 群および先行研究の整理をもとにして、本論が課題とする. った。分析の結果として、子どもがどのような形で社会化. 事象に対して、どのような解決策・打開策が考えられるか. 不全という状態に陥っているのかについて示唆を得ること. を提示し、検証すべき仮説の設定を行う。そして、次に事. ができた。子どもの変容のメカニズムとして、環境の変化. 例研究の実証的分析において不可避的な方法論的課題を明. →遊びの変化→子どもの変化という一定の流れがあり、そ. 確にしておく。それらを踏まえて、第 2 節では、第Ⅱ部の. れがどうやら子どもの社会化不全につながっているようで. 具体的な方法論と特に第Ⅱ部で扱うデータや資料の特徴を. ある。. 示す。. 「2.遊びについて」では、遊びがもつ様々な可能性につ. 研究の方法としては、第Ⅱ部で本研究の仮説である「プ. いて述べている。2 では、遊びで身につけることができる力. レーパークは大人・子どもの社会力の育成につながる」を. として、コミュニケーション力や、遊びによる自分自身の. 検証するために、プレーワーカーのインタビュー調査を分. 怪我から他人への配慮を分析結果から見出している。また、. 析し、子どもの社会化について考察を行う。第Ⅲ部では、 「プ. 幼児期においての遊びの中での大人との関わりの必要性に. レーワーカーは、現代の子どもの遊びに様々な機能を持ち. ついても、プレーワーカーへのインタビューから示唆を得. うる」という仮説を検証しつつ、大人の社会化について考. ることができた。. 察をしていく。そして、第Ⅱ部・第Ⅲ部での考察を踏まえ. 「3.プレーワーカーの機能」では、プレーワーカーへの. て、子どもの社会化構造について、社会化理論を再考して. インタビューで、主にどのような役割を求められるのかと. いく。. いう質問項目から分析を行った。分析結果からは、遊びの. 分析の枠組みとして、第Ⅱ部では、子どもの社会化不全. 発展の機能、人間関係発展の機能、空間発展の機能、自主. の原因である「三間」の衰退に着目し、そのような子ども. 性促進の機能、事故対処の機能の 5 つが考えられた。また、. の「三間」を充実させる機能を持ち得る「プレーパーク」. そのような機能を果たすプレーワーカーにとって、プレー. の分析を行い、その機能について明らかにしていく。そし. パークはどのような場所なのかについても考察を行ってい. て、プレーパークが、子どもの社会化不全を食い止められ. る。その結果からは、趣味型、学習型、金銭取得目的型、. る機能を持ち得るか検証していく。第Ⅲ部では、第Ⅱ部で. 生きがい型の 4 つに類型化することができた。また、福津. の分析結果を踏まえつつ、学生プレーワーカーに着目する。. 市のわくわくプレーパークのプレーワーカーは趣味型、学. 学生という立場の特殊性を考察していくと共に、社会化を. 習型、金銭取得目的型のいずれかにプレーワーカーになっ. どのように捉えていくことが現代の大人にとって必要なの. たきっかけがあり、最終的には生きがい型を含むようにな. かを考察していく。. ることもインタビューから分析することができた。 「4.プレーパークの機能」では、プレーワーカーへのイ. <第 4 章>プレーパークの機能分析. ンタビューから大きく分けて遊び充実の機能、空間充実の. 第 4 章では、プレーワーカーに対して行ったインタビュ. 機能、人間関係充実の 3 つの機能について分析することが. ー調査の分析を行う。プレーパークがどのような機能を持. できた。分析結果から見つけた 3 つの機能は、それぞれが. っているのかを明らかにし、それがどう社会化に影響を与. お互いを補完し合うような関係性を持っており、どれか 1. えるのか考察していく。. つの機能が強まれば、それに比例して残り 2 つの機能も強. 第 1 節では、プレーパークの分析をするにあたっての分. まる。逆に、どれか 1 つの機能が弱まれば、残り 2 つの機. 析の課題や、分析に使用する福津市のわくわくプレーパー. 能も弱まってしまう。故に、そのような機能をより高めて. クのプレーワーカーに対して行ったインタビュー調査での. いくために、プレーパークにとってプレーワーカーは必要. 対象者や、主な質問項目について述べ、第 2 節では、プレ. 不可欠な存在と言える。.
(3) 「5.社会化の局所としてのプレーパーク」では、元森. 週を跨いでの遊びの展開が難しいということである。. (2006)が考察している社会化の局所としてのプレーパーク. 「人間関係の充実」では、3 つの課題を挙げることができ. の機能について分析している。元森(2006)は、プレーパー. る。1 つ目は、福津市のわくわくプレーパークは、どちらか. クの「自分の責任で自由に遊ぶ」というモットーを、「子ど. と言えば幼児から小学校低学年向けの遊びが多いので、中. も」と「大人」の非対称性がもたらす問題を局所的に宙吊り. 学生以上の子どもたちが遊ぶには少し物足りないという点. にできる 1 つの装置として考えている。このように、本来. である。2 つ目は、そのような状況なので、肝心の異年齢で. の社会化主体である「大人」という存在と、社会化客体で. の遊びの幅が狭くなってしまっていることである。3 つ目の. ある「子ども」という存在の非対称性が、プレーパークの活. 課題としては、大人の子どもの遊びの重要性の認識及び地. 動内では、宙吊りにされると述べている。そのことについ. 域での子どもの遊び場への関与である。. て、今回福津市のわくわくプレーパークのプレーワーカー. 以上の 3 つの視点から、計 7 つの課題を見つけることが. に対して行ったインタビューから分析を行ったのだが、福. 出来た。今後、福津市のわくわくプレーパークの機能をよ. 津市のプレーパークでは、そのような社会化機能を持ち得. り高くしていくためには、この 7 つの課題に対して、答え. ることは難しいという結論が得られた。しかし、元森(2006). を見つけ、改善していく必要があると言えるだろう。. から、別の示唆が得られている。それは、プレーパークで. そして、第 4 章と本章の分析結果を踏まえ、本論文の仮. は、「自分の責任で自由に遊ぶ」というモットーの下で遊び. 説である「プレーパークは大人・子どもの社会力の育成に. を展開させることによって、子どもは責任を負うというこ. つながる」という仮説を支持する結果が得られた。第 4 章. との意味を知り、社会化されていくのではないかというこ. の結果から分かるように、プレーパークには、遊び充実の. とである。このように、プレーパークには、社会化に関す. 機能、空間充実の機能、人間関係充実の 3 つの機能がある。. る機能が備わっていると思われる。. 社会力の形成に大きく関わるのであろう人間関係充実の機. このような、分析結果から分かるように、プレーパーク. 能があるので、大人・子どもの社会力を充分形成する可能. には、社会化に関する機能など様々な機能があり、ここで. 性がある。しかし、その機能を果たすためには実践的な課. はその可能性について一部が考察出来ただけであると思わ. 題もあり、世話役・プレーワーカーが地域に向けて子ども. れる。現代に生きる人間にとって、プレーパークはまさに. の遊びの重要性を発信し、地域の大人も巻き込んでプレー. 無限の可能性を持っており、その機能を明確化し、その機. パークの運営を行うことで、プレーパークに様々な人間が. 能の必要性について考えていくことは、人々の「社会力」を. 関われるようにしていく必要があると考えられる。. 育成するという意味でも非常に大きな効果が期待される。 <第 6 章>プレーワーカーの資質と可能性の検討 <第 5 章>プレーパークの 3 機能の検討. 第 6 章では、子どもの社会化を支援する機能があるプレ. 第 5 章では、4 章で行ったプレーワーカーへのインタビュ. ーパークを支えるプレーワーカーの資質から、大人の社会. ー分析を踏まえつつ、福津市のわくわくプレーパークの代. 化について、検討を行う。まず第 1 節で、プレーワーカー. 表のインタビューを中心に、分析を行う。分析枠組みとし. に求められる資質について、第 4 章で分析を行ったプレー. ては、4 章で挙げたプレーパークの 3 つの機能を基に行って. ワーカーの機能から、 「子どもの遊びを第一に考えることが. いくこととする。すなわち、「空間の充実」、「遊びの充実」、. できること」 、 「遊びの価値を知っていること」 、 「人と人を. 「人間関係の充実」の 3 つである。ここから、それぞれの機. 結びつけることができること」 、 「人との関わりという意味. 能を果たしていくことに当たって、福津市のわくわくプレ. での社会力」 、 「地域に活動を発信していく方法を思いつく. ーパークの実践的課題の検討を行っていく。. アイディア力」 、 「子どもの主体性を尊重できること」 、 「事. 「空間の充実」では、大きく分けると 2 つの課題が見つ. 故や怪我などの応急処置ができること」の 7 つの資質を見. かった。まず一つ目は、定期型のプレーパークであるが故. つけた。また、プレーワーカーのインタビューでは、この. の課題で、遊具などの後片付けをしなければならないこと. ような力を発揮していく際、子どもと目線を合わせること. である。2 つ目は、1 つ目と関連して、そのような準備や片. が重要であるという調査結果も得られた。このような視点. 付けなどを行うプレーワーカーが有償ボランティアである. から、プレーワーカーとして相応しい存在として学生が挙. ことが理解されにくく資金繰りが苦しいということである。. げられる。学生ならば、社会とのつながりもあり、子ども. 「遊びの充実」でも 2 つの課題が抽出された。1 つ目は、. と年も近いので、目線も合わせやすいと考えられるからで. 「空間の充実」でも述べたように、片付けの問題である。2 つ目としては、またまた「空間の充実」と関わるのだが、. ある。 そして、第 2 節では、第 1 節で挙げた学生の持つプレー.
(4) ワーカーの資質について、実際に学生がプレーワーカーの. について改めて考察を行い、3 点の今後の研究課題について. 役割を果たしている事例である福岡市の共働事業「わいわ. 言及した。1 点目は、プレーパークの対象を 1 つの事例のみ. い広場」の事例から分析を行っていく。分析結果からは、. としている点である方法論的課題である。それというのも、. 学生は子どもの遊びにとって非常に魅力的で、 「三間」の衰. 今回の研究からプレーパークには、3 つの類型があることが. 退によって失われつつある子どもの遊びを充実させる可能. 分かった。故に、それぞれの類型のプレーパークの比較な. 性があることがわかった。. どを通して、より具体的に社会化機能について検証してい. 第 3 節では、学生はプレーワーカーとして子どもと関わ. くことが必要である。2 点目は、子どもの遊びという視点か. る経験を通して、成長していくということから、学生は子. ら、子どもの社会化及び自己形成の機能について考察を行. どもを社会化させる社会化主体であると共に子どもとの関. うことである。今回の研究では、子どもは遊びの中で責任. わりを通して社会化される社会化客体であることも分かっ. 主体となることで、社会化するという考察を行った。しか. た。そのような関係性から、本章では、学生におけるレシ. し、子どもが責任を負うということを、既存の社会化研究. プロシティ(reciprocity)について言及している。そして、. にどう位置付け得るのかという視点からは研究を行えなか. そのレシプロシティから、社会化についての再考を行い、. ったので、今後の理論的な課題である。3 点目は、学生プレ. 社会化主体と社会化客体は、この学生と子どもの関係性と. ーワーカーと子どもの社会化におけるレシプロシティにつ. 同じように、レシプロカル(reciprocal)な関係を持つこと. いて学生の視点からの研究を行うことである。それという. が必要なのではないかという考察を行った。. のも、学生と子どもの関係で社会化主体の役割を担うのは、. 第 4 節では、 「プレーワーカーは、現代の子どもの遊びに. 主に学生になるわけであるが、学生自身がそのような関係. 様々な機能を持ちうる」という本論文の仮説について、第 4. 性についてどのように考えているかによって、社会化の構. 章~第 6 章までを踏まえて、検討を行った。そこから、現. 造は変わる。故に、今後の課題として、学生にインタビュ. 代社会において、子どもの遊びにプレーワーカーが必要で. ーを行うなどして、実証的にこの関係性を捉えていく必要. あるというニーズが存在することが分かった。また、仮説. があると思われる。. 検証の過程から、社会化不全に大きく影響しているのであ ろう子どもの遊びの変化に対して、プレーワーカーがどの. 3.主要参考文献. ように子どもの遊びに機能していくのかという今後の研究. 門脇厚司(1999)、 『子どもの社会力』 、岩波新書. 課題についても発見することができた。. 住田正樹・多賀太(2006)、 『子どもの現代的視点』 、北樹出 版. <第 7 章>結論―社会化の再考― 第 7 章では、まず第1節で、第 1 部から第Ⅱ部までの結 果の要約とインプリケーションを示している。 第 2 節では、第Ⅱ部・第Ⅲ部の分析結果から、社会化を. 清矢良崇(2009)、 「社会化理論の概念構成について―パーソ ナリティ形成を中心に―」 、『日本教育社会学会大会発表 要旨集録 (61)』, pp.15-16 高旗正人(2005)、 「Parsons の子ども社会化パラダイムの検. 社会力の形成過程として捉え、現代の社会化の捉え直しを. 討」 、 『中国学園紀要 4』 、pp.43-51. 行った。そこから、子どもの社会化不全は、社会化客体で. 田中治彦(2001)『子ども・若者の居場所の構想』学陽書房. ある子どもが社会に適応していないから起こるのではなく、. 羽根木プレーパークの会編(1987)、 『冒険遊び場がやってき. 子どもの性質の変化を認識できていない社会化主体である. た!』 、晶文社. 大人が、今ある社会に無理矢理に子どもを社会化させてい. 広田照幸(2008)、 『日本人のしつけは衰退したか』 、講談社. く時に起こるものであるという結論が得られた。もちろん、. 現代新書. 子どもを今ある社会に適応させていくことも大事であるが、 社会化主体である大人が、社会化客体である子どもの性質 を踏まえて、社会を変えていく必要があるのではないだろ うかと筆者は考えた。この点でいえば、やはり、既存の社 会に適応していくだけでなく、社会を主体的に運営し、常 により好ましい社会へと作り変えていく力である「社会力」 が如何に重要であるかが分かる。 第 3 節では、第Ⅱ部・第Ⅲ部の分析結果、そして本章第 2 節での考察を踏まえ明らかになったプレーパークの可能性.
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