.・ 食 物 学 会 誌 ・第3号
愛 知 トマ ト株 式 会 社 大 阪工 場 見 学記
短 食 ニ ノニ吉
川
勝
美
食 品 加 工 の学 問 は,理 論 や 小 規 模 な 実 験 の み で そ の 全 貌 を 知 ろ う とす る こ とは 困 難 で あ る。 食 品 加 工 が, 産 業 の 上 に 如 何 に 応 用 さ れ 我 々 の 食生 活 を 豊 か に して い るか,そ の 一 端 を 知 る べ く,去 る12月12日,岡 部 先 生 に 引 卒 され た 私 達 は,最 初 の 目的 地 カ ゴ メ ケ チ ヤ ツ プ等 の 商 品 名 で 知 られ て い る愛 知 トマ ト大 阪 工 場 へ と 向つ た 。 日常 の 食 生 活 に 欠 か せ な い調 味 料 と して 愛 用 され る まで に 至 つ た ソ ー スや ケ チ ヤ ツ プ の あ の独 特 の香 と味 が,ど の よ うに 作 られ て 行 くか を 大 い に 期 待 し て,工 場 の 門 を く ぐつ た 。 トマ トケ チ ヤ ツ プは,ト マ トの最 盛 期 が6・7月 で,一 時 的 に 製 造 され る ので 見 学 出 来 な か つ た が,「 色 と味 の シ ンフ オ ニ ー 」 の映 画 に よ り, 製 造 工 程 を 明 らか に す る事 が 出 来 た 。 図 示 す る と次 の よ うで あ る。 トマ ト水 洗 → 破 砕 → 濃 縮 → 中 間 槽 一〉濾 過 → 調 味 一テ貯 槽 →分 配 槽 一〉瓶 詰 →打 栓 →検 査 → ラベ ル貼 り→倉 庫 昼 食 後,待 望 のrマ トソー ス 製 造 の現 場 見 学 を 行 つ た 。 トマ トエ キ スを 多 く使 用 す る事 を 特 長 とす る カ ゴ メ ソー ス が,オ ー トメ ー シ ヨ ン シ ス テ ムで 機 能 的 に且 つ 衛 生 的 に 作 られ て 行 く。 カ ゴ メ ソ ー ス の 原 料 は,ト マ ト ・玉 葱 ・黒 糖 ・糖 密 。酢 酸 ・カ ラ メル 及 び,塩 そ の 他20種 余 りの 香 辛料 で あ る。 これ らの もの が,次 の よ うな製 造 工 程 を 経 て ソ ー ス に な る の で あ る。 材 料 破 砕 → 濃 縮 → 沈 澱 槽 → 冷 却 槽 → 貯 槽 → 瓶 詰 →打 栓 → 検 査 → ラ ベ ル 貼 り→ 倉 庫 トマ トや玉 葱 は,季 節 野 菜 で あ るた め,破 砕 され た 後 大 部 分 が 貯 蔵 され,1年 間 の 生 産 を ま か な う原 料 と な る の で あ る。 部 屋 が 各 々別 れ て,貯 槽 迄 の 工 程 は, 各 々の 部 屋 で 行 なわ れ,そ れ を 運 搬 す る もの は,1本 の パ イ プ で あ るn黒 糖 は 破 砕 後 大 釜 で 煮 溶 か され 使 用 され る ので あ るが,濃 縮 で は 全 材 料 が 大 釜 の 中 で 煮 つ め られ て い るた め,色 も香 もす で に ソ ー ス に なつ て い るJ1度 貯 槽 に 入 つ た ソ ー ス は,最 後 の部 屋 に 運 ば れ, そ こで 瓶 詰 か ら ラベ ル 貼 り迄 の操 作 が 行 な わ れ,出 来 上 が るわ け で,自 動 洗 瓶 も,こ の 部 屋 で 行 なわ れ る。 こ う して,風 味 豊 か な カ ゴ メ ソ ー スが 出 来 るわ け で あ るが,そ の 裏 に あ る原 料 の 選 定,配 合 等 につ い て 長 年 研 究 され た そ の努 力 を 見 逃 す こ とは 出 来 ない 。 最 近 で は,カ ゴ メ ソー ス に 人 参 を 入 れ る事 も試 験 的 に 行 わ れ て お り,増 々我 々の 味 覚 を 楽 しま せ て くれ る ソ ー ス に 改 良 され て 行 く事 を 期 待 し て い る。 又,こ れ ら の ソ ー ス や ケ チ ヤ ッ プ等 の カ ゴ メ製 品 は,海 外 へ も輸 出 さ れ て い る と 言 うこ とで,食 品 加 工 が,食 糧 経 済 に 迄 働昭 和33年3月(1958)
きか け て い る事 実 に 興 味 が わ くの で あ る。 カ ゴ メ ソー スを お み や げ に 頂 き,当 工 場 の今 後 の 発 展 を 祈 りつ つ
カ ゴ メ ソ ー ス 大 阪 工 揚 を 後 に し た 。