Pade 近似による共分散方程式の数値解析
岡 林 隆 敏 * ・ 内 田 浩 道 * * 河 内 忠 義 * * *
A N u m e r i c a l A n a l y s i s o f C o v a r i a n c e E q u a t i o n U s i n g P a d e A p p o r x i m a t i o n s
by
T a k a t o s h i OKABAYASHI
(Department of Civil Engineering)
H i r o m i c h i U CHID A
(ORIENTAL CONCRETE Co.Ltd.)
T a d a y o s h i KOOCHI
(TOMOEGUMI IRON WORKS)
This paper presents a numerical method to the covariance equation for linear time varying systems. The covariance equation is transformed into the forward difference approximation. The adaptable algorithm for the numerical cal1.1culation is derived.
In the numerical example
,
this approach is applied to the response analysis of the arch with stiffering girder to a single moving vehicle excited road roughness. As the result of numerical analysis,
this method reduces compute time in comparison with the Runge‑Kutta‑Gill method1.
はじめに
近年,大規模な構造物が建設されるようになり,こ のような構造物に関する動的解析が重要な課題になつ て
lり山)ロ問2幻川)機により数値解析する.このような系の動的挙動を表 現する方程式では最大・最小固有値聞の差が大きく,
数値解析法によっては数値解が発散する.発散を防ぐ
昭和
56年
4月2
8日受理
*土木工学科
**オリエンタルコンクリート株式会社
***株)巴組鉄工所
対策として,時間刻みを細くすればよいが,このこと は計算時間を増加させることになる.
上述の問題と類似な困難が,構造物の不規則応答解
析の際に生ずる.特定のパワースペク卜ル密度を有す
る外力を受ける構造物の動的挙動は,形成フィ
jレター
と構造系を組み合わせることにより,白色雑音過程を
入力とする動的系として解析することができる硝)7).
岡林 隆敏・内田 浩道・河内 忠義 この系の応答の共分散は,共分散方程式と呼ばれる行
列形式の微分方程式に支配されている.不規則路面凹 凸上を走行する車両による橋梁の不規則応答は,この
形の方程式で記述することができる5)6).特に,ランガー桁橋のように,動的解析において高次の振動次数まで 考慮しなければならない構造物では,共分散方程式は 大次元の微分方程式になると共に,時変係数系の微分 方程式となる.通常,共分散方程式はベクトル形式の 微分方程式に変換して,R・K・G(Runge−Kutta−Gi11)
法等の数値解析の手法により解かれる.このような手 法では,方程式の次元は大きくなると共に,時間刻み を細く取らなければならないために計算時閲は長くな
る.
本研究は,計算時間を短縮する時変丁数系の共分散 方程式の数値解析のアルゴリズムについて検討したも のである.このアルゴリズムは,共分散方程式を差分 表示し,状態遷移行列を安定なPade 近似で評価す ることによって実現している.本解法を不規則路面凹 凸上を走行する車両により加冠された,ランが桁橋の 不規則応答解析に適用した.橋梁の振動次数を6次ま で考慮すると,共分散方程式の未知数は120である.
Pade 近似によるアルゴリズムを適用するためには,
無条件安定である適当な時間刻みを決定する必要があ る.本研究では,ランガー桁橋の場合に限定して,時 問刻みの選択について検討を加えた.さらに,時間刻 みを変化させた場合,RK.G法と本解法の解の挙動,
誤差の変化および計算時間について比較を行った.
2・不規則応答解析の理論
(1)運動方程式の伊藤型確立微分方程式による表示 解析モデルを設定するために,図1で示されるランガ ー桁橋について考えることにする.解析の詳細は文献
(6)に示したものである.
支点から距離∬にある着目点の動的たわみは,η次 振動まで考慮すると,η次元ベクトルである基準関数
φ(κ)と基準座標g(孟)
φ(κ)=〔φ1(κ)…・……・・φ、(κ)〕T………(1)
9( )=〔91(疹)…………q。(孟)〕T ・・………・……(2)
を用いて
写(κ,孟)= φ(κ)Tg(孟)・・・… 。… 。・・・・… 。… 。・。・・・・・・・… 。(3)
で与えられる.ん次の基準関数φ、(κ)は,一般的な形 として次のような級数で表すことができる(8).
φ・ω一忍・…i・響λ……一………・(4)
W1
鱗 z(t)
儒・R(・)
f
y X
X =vt X
L
(x、t)
Fig.1 Bridge−vehicle system.
ここに,Lは橋梁のスパン長である.
々次の基準座標は
づ、(オ)+2ん、ω漁ω+ω塗9、(孟)
= 一▽レ71夷…(孟)φ々(㊨孟)・・… 。・・。・(5)
より得られる.ここに,ωん,砺は橋梁の一次固有円振 動数および減衰定数,η,w1は車両の走行速度および ばね上質量である.・は時聞微分を表すものとする.
ここで,車両の接地力を考える場合,ばね下質量はば ね上質量に比べ小さいものと仮定する.また,応答は,
平均値回りの変動に着目する.
一方,車両の垂直変位をz( ),路面凹凸関数をr(の
とすると,車両の運動方程式は,
を(孟)+2ん・ω・(ゑ(孟)一雪。(孟)一ナ(孟))
+ω・2(z(孟)一〃。ω一・(孟))一〇…………(6)
で表わされる.ここに,ωo,ん。および働ωはそれぞ れ車両の固有振動数,減衰定数および車両直下の橋梁
のたわみである.次に,路面凹凸のモデル化について述べる.路面凹 凸は,走行車上で観測すると,
87(ω)=、4η/(ω/2π)2 …・・…………・……・・ (7)
のパワースペクトル密度を有する確率過程でモデル化 できる.ここに,君は路面の良否より決まる定数であ り,通常五=10−3が用いられている.これを,本研究 では次の定常確率過程でモデル化する.
テ(孟)+βγ(孟)=ω(オ)…・…………・…………・…・…・(8)
ここに,ω( )は確率特性が次式で規定される正規
性白色雑音過程である.1昂謡認)〕一&δ(置1 一孟2)}………倒
ただし,E[]は集合平均のための演算子であり,
δ( )はディラックのデルタ関数である.(8)式の定 常解過程のパワースペクトル密度は,
Sγ(ω)二80/ω2+扉)……・一………一・…(1①
で与えられる.ここに,β=2π搬,鞠=(2π)2盛1で
ある.なお,αはパワースペクトル密度の形状に関す るパラメーターであり,(7)式のパワースペクトル密度
と適合させるために,8=0.05とした.以上の式を用いて,橋梁一車両一路面系を状態空間 表示する.橋梁系の状態変数γ(t)を
r(・)一 浴c……・…・…………・…・……・仙 の2π次元ベクトルで定義する.同じく,車両一路面
系の状態変数は,Z( 置) =〔2( 置) を( 置) 7( 置)〕T ・。・。・・・・・・・・・・・・… 。●・・・… (12)
で定義できる.さらに,橋梁一車両一路面系の状態変 数をX(ので表し,次式で定義する.
x(・)一 пG1〕……・…・…一…………・……個
X(彦)は魏=(2π+3)次元ベクトルとなる.この状 態変数により,橋梁一車両一路面系は,伊藤形の確率 微分方程式を形式的に表した,
X一( 孟) ;『∠4.( 孟) X( 孟) 十1フ「( 孟), 2【【( 孟。) ==二Xo ●・●9・●(14)
で表現できる.なお初期条件は,平均値0で外力と独
立な正規性確率変数ベクトルである.ここに,W(オ)は,平均値のα分散
E〔1日レ「(置、)1曜(孟2)T〕 = Q (孟1) δて孟1_孟2)髄 ・… 9・・・・… 一・・(15)
を有する辮次元の正規性白色雑音過程ベクトルであ
る.
(2)共分散応答解析
本研究では,平均値回りの変動に着目する.分散・
共分散応答は,
〔E@(劣.オ)2〕E@(:r.孟)〃(κ.孟)〕E瑠ぽ劉
一〔認諏離禽
宏擬闘盤豊]…………・・個
となり,応答過程の解析は,g( )・ヒ々(亡)の共分散
の解析に帰着する.(14)式の変数X(亡)の共分散は
1〜(孟)=E〔X(孟)X(孟)T〕 …・・…・………(17)
で定義される.(14)式の解過程X( )は,線形微分
方程式の理論より,x(・)一の(ちぢ)x・+∬φ(ち・w(・)d・……(王8)
0
となる.ここに,φ(ち,ち)は,(14)式の系の状態遷 移行列である.そこで,X(のの共分散R( )に,(18)
式を代入し,(15)式の白色雑音過程の性質を用いると,
R(孟)=の(孟,孟。)1〜0の(孟,孟。)T
+匹孟の(ちτ)Q(・)の(ち・)・………・……・(19)
む
が得られる.さらに両辺を孟で微分して,若干の式の 変形を行うと,共分散方程式
E(孟)=孟(孟)E(孟)+R(置)且(置)T+Q(孟)
盈(ち)=況。…………・…・・………⑳
が得られる.この方程式は行列形式の微分方程式であ るために,通常のベクトル形式の微分方程式に変換し た場合,大次元の方程式になる.すなわち,窺次元 の変数ベクトルに対して,共分散方程式の未知数は共 分散行列が対称行列であると考えると,規(卿+1ノ 、
/2となる.以上が非定常不規則応答解析の概要であ
る.
一方,路面凹凸上を走行する車両の接地力が,常に 橋梁上の定位置に作用するものと仮定すると,車両の 走行による非定常性および初期条件の影響を無視した 定常不規則応答解析が可能となる.この場合,確率微 分方程式の係数は定数となる.この方程式に対応する 共分散方程式は,次の方程式で記述できる.
ノ4.jF〜(孟) 十 jF〜(孟)ノ!監」7マ; 一 (}・・。・。・・・・・・… 。・… 。。・・… (21)
ここで,且およびQは接地力が作用する点,すなわち
橋端から距離λにおける且( ),Q( )の値である.この方程式はLiapunov方程式と呼ばれている.
3.定常応答解析
定常応答解析は(21)のLiapunov方程式の解法に 帰着する.また,非定常応答解析こおいてもこの方程 式を解くアルゴリズムが必要となるので,ここでは Liapunov方程式の解法について述べる.
この解法の1つは,Liapunov方程式を通常のベク トル形式の連立方程式
{;!」配= jF▼ ・・。●・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… ●・・・・・… ●。… 。・・… (22)
に変換し,これを数値解析するものである.ここに,E,
Fは⑳式のRωとQの三角要素で表される解次元ベ クトルであり,0は且より構成される(〃z×窺)行列 である.係数行列且よりσへの変換については,
BeUman9), Chem,Shiehlo)等の研究がある.この解法
によれば,状態変数の増加に伴ってかなり大きいサイ ズの連立方程式を解くことになる.従って,この解法 は本研究のように高次振動を考慮した解析すなわち,
状態変数の多い解析には,計算機の容量および計算時
間から有効な解法ではないと考えられる..他の手法は,共分散方程式の解を直接積分するもの
である.この解法はDavison, Man(11)により提案されている.
岡林 隆敏・内田 浩道・河内 忠義
この解法を簡単に説明する.定常応答解析は係数行列および外力行列が定数の場 合, →∞の状態を求めるものである.この共分散方 程式は,(19)式より,
R(・)一垢 φ(ち・)Qの(ち・)・d・………(23)
となる..4(孟)が定数行列である場合,状態遷移行
列は,
の(ちτ)=θ、4(ご一τ) … 。・・… 。一・。。… 一・一一・・・… 一(24)
で与えられる. 一τを改めて,τとして(23)式を書 き改めると
R(・)一∬♂・Q・㌔…・・………:…・・∴(25)
となる.従って,Liapvuov方程式と上式は等価な ものである.との解法は(25)式を直接数値積分するも のである.
次に,そのアルゴリズムについて述べる.時間刻み
を々として(25)式を差分表示する.R(孟)一Σ♂π々Q・識々,々→0・……・……・…(26)
れニむ
状態遷移行列♂々を厳密に評価することは困難である ノ ので,ここでは,これをPade近似
r一α一諾一潔孟・)一・
(・+吉脇尭ん・五・)…・…・………・(27)
によって評価する.この表記により(26)式は R(孟)=ん(Q+rQrT+1「2Qr27
一ト1一▼η Q1−Tπ7■ 一ト9・9。・・… ) ・・… 。・・畳・・。・。・!・・… (28)
となり,従ってRは
jF己〜一ト1= (1一▼2)ごjF〜 (1「T 2)コ「一十一 jr〜〜 , jF〜o こ ノセ Q 。・… 。(29)
の順化式を用いて
R(孟)=軽爆…………・…・…………・…………(30)
で計算できる.このアルゴリズムにおいて,Davis−
on,Manは時間刻みとして
R=λ4。規(4)/200が標準的であるとしている.ただし,λ4。η(4)は 行列」の最小の固有値である.この々は収束回数を決 定するパラメーターである.本研究では,具体的な例 について々と収束回数の関係について検討する.この 解法は,連立方程式による解法と比較して状態変数が 多い場合,有利になるものと考えられる.
ここでは,定常共分散応答解析に限定して設明した が,このアルゴリズムは一般的にLiapunov方程式 の数値解析の手法として有利なものである.
4,非定常応答解析
定常応答解析と同様に,共分散方程式(20)式の解法 として,これを通常のベクトル形式の微分方程式に変
換し数値解析する方法と,直接行列方程式として解析 する方法がある.前者では状態変数の増加に伴って,
大次元の微分方程式を数値解析しなければならなくな る.また,数値解析では,例えばR.K.G法を適用し た場合,時間刻みの選び方により解は数値計算上発散 する.従って,大規模な構造物の解析においては,解 くべき方程式が大次元のものになると同時に,小さな 時間刻みで計算することになり,数値計算に要する時
間は長くなる.ここで,計算時間を短縮化するアルゴリズムについ て検討する.定数係数系の過渡応答については Davison(12)の研究があるが,ここで取扱う方程式は,
時変係数係で,外力も時間と共に変化する場合である.
次にこのアルゴリズムについて説明する.共分散方程 式(19)式を差分表示する.時間刻みを死して,(π+
1)乃時刻の共分散R((π+1)房をR。+1で表す.・こ のとき,(19)式は
R。+1=φ((η+1)ん,πん)R。φ((π+1)ん,ηん)T +ゐ1+Dh ¢((・+・)ん・)Q(・ん+・)
・Φ((π+1)ん,τ)Tdτ……一………・(31)
で表される.ここで,外力行列Q(励+τ)は
Q(ηん十τ)一 Q(の……・…∴………(32)
のような多項式で近似できる.しかし,ここでは,零
近似を用いて,Q(ηん十τ)一Q((・+吉)ん)…・…・…・…………(33)
で表す.他方,状態遷移行列も (η十1)乃くオく励 の区間で変化しないものと仮定すると,
φ( (7L一十一1)ノ乞,7LIL) = θ ノ1π1z ●幽●.●・●。一。.・.ア・●●・●一●●・一・●●●・●(34)
で表すことができる.ここで,且。は,
且ド且((畦)ん)
の値を用いる.このような仮定のもとに,(29)式は
磁1一・加鴫♂舛∬・ α・燕d…(3の
となる.
次にこの差分式を数値計算に適した形に変換する.
右辺第2項を」。で表す.
ゐイ・ ・α・蹴…………・…・?…………(37)
の積分を実行し,式を変形するとダ
.4。」見+み.4。T=一♂蘭Q。θ4伽+Q。…… …(38)
を得る.この式は§3で述べたLyapvnov方程式にほ
かならない.従って,ド・し、cr・・P〔・q rrlユde凶τ・・。t・11r・1こ聖ぐe rOughness s民ω (Cl蔽/m1
ピ〜b、iロt、IILぐし・C匙1UrlUP【1 ri11ししll{1τ1【}=1
s、1Ω〕・・.・・】雁・♂}獣・〔・.5 s見1̀:::し調二::::::
冷∬♂ τ(♂・海Q。〆しQη)・4㌔・…・一(39)
で表すことができる.この式を整理すると,
」。一♂・τE♂∫L泓 一・・…・………・…㈹)
E・イ・痴・d・Q・・A否・4………(41)
となる.ここで,(41)式は§3で述べたLiap面6v方
程式と(25)式の対応関係より,∠4π」Eアπ 一1一 五アη一∠4.ηT= 一 Qπ ・●・。。… 噛・・・… 5… 匿・… (42)
と等価なものである.以上の結果より共分散方程式の 漸化式は
ズ
R。+1こε舳(R。一←Eη)♂・・画一E。・………@3>
となる.ここに,Eは(42)式より得られる昭A海の評 価としてPadeノ近似(20)式を適用する.しかし,
Padeノ近似は無条件安定なアルゴリズムであるから,
時間刻みんを大きくしても数値解は発散しない.そこ
で,最適な乃について次章で検討する.以上より,非定常応答解析のアルゴリズムは次のよ うになる.
(1)定常応答のアルゴリズムで,(42)式のLiapvnov
方程式の解を求める.㈲E。とその時刻共分散盈。を用いて(43)式より丑。+1
を算出する.
㈲この操作を所定の時間まで繰り返す.,
5.数値解析と考察
(!)解析モデルの諸元
解析の対象にした橋梁はスパン長五=139.2mのラ ンガー桁橋である.この橋梁の諸元を表1に示した.
、Plm [en・ht l r・111 139.ユ
雨rc oL}r ch r l711}
】9.2 lnτIll M 『ht l、 【ton}43r.3エ7
ドllne[
1b
[1川11ph191一ほU〔〕 h帆 〔[.1}2
Natロral lrequel〕9「e.qmd
「帆110r111allzed mode(刈03}
no!−llla11110des 〔1ヒ〕
a1 a2 a3
ドtsyl川11etric〔rド1〕 L173 3.8883刈。
3.247〔〕刈〔〕1.Q228
」e・1s> mllletr}c l!蒋二) L{}35
52479x川
一5.887bxj〔1 ].2川【1 5rd S} ;ailKい iぐ{11=3】4」22, L4797 5.6539川τ1
6.7Z∬刈〔1 卜・tasト町1mcn ic(11=n 一カ.bコ82b.7254
2C・h[Sト mmengicω富2〕
2,b3こ6.7254
3rd lls}層m口len馳k {11=3〕s,92s
6.ア254、〔・1い。貢ト・ 〜 = ID rm/sec l l【1tr輩IL・d侵h【 1、ユ : :11 rtnlll \ilt旧∵ヒ} 1−rU貝le11い 1O : ご,3 111= } ξ,r11111iir匹く r.こll i1、 }ID : lb.「13
Table.2 , Characteristlcs of surface rounghness .and vehicle.
なお,Ωは単位長さ当りの路面凹凸関数である.この ように,橋梁の振動次数を6次まで考慮すると,橋梁 一車両一路面系の状態変数はη=15となる.従って,
共分散行列の未知数は三角要素であり,吻=120であ
る.
.(2)定常応答解析
定常応答解析のアルゴリズムではチ収束計算を行っ ている.この収束の条件は積分刻み々により決定され る.以後,積分刻み々をHとする.従って,このアル ゴリズムを用いて非定常応答解析する場合,々は計算 時間に大きく関与する.そこで,積分刻みと収束の 状況および収束値について検討した.馳
15
1.0
蓉 一
天 雪
ぢ
、0.5
㊥
D J
0.0
H=0.4(N=8)
H=0.2(』N=9)1
/
H=0.025(N=12)
H=0.05 (N=11)
H=0.1 (Nニ10)
Tableユ Characteristics of bridge.
この諸元は,吉村・平井(3)による解析結果を引用した
ものである.数値解析において,振動次数は6次まで 考慮した.また,走行車両の諸元と路面凹凸の特性を 表2に示した.路面凹凸の特性はパワースペクトル密 度で表している.§2(7)式との関係はω=2πηΩで 換算できる.
1 5 10
N
Fig.2 ConvOrgenc曾Of stationary r.rn.s.
deflection resporlse・
図 2は,積分刻みH と定常応答解析による囲瀦3.(root
mean square)変位応答の関係を図示したものである.
横軸は前節ぞ示したランガー桁橋のスパン中点たおけ
る尻肌5変位応答 を;耳=0.025の場合の収束値を基準一にして示したもあである.H=0.025では,繰り返し回 数亙は亙=12で収束する.Hを大きく取ると,すなわち
積分刻みを大きくとると,・・収束回数は減少するが収束値は図に示したように増加して正しい解と離れる傾向 を示す.定常応答解析では,H=0.025程度の値を用い
ることが望ましい.定常応答解析のアルゴリズムは,非定常応答解析の
岡林 隆敏・内田 浩道・河内 忠義 各ステップにおいて適用される.麓大きくすると,
収束回数は少なく,非定常応答全体の計算時間は短く なる.しかし,図2より明らかなように適当なHを設 定しなければ正しい解は得られない.非定常応答解析 では,許容できる誤差を認めた上で計算時間の短縮化 を図る.変位応答の分散の誤差は,H=0.1とするとH
=0,025と比べて0.4%程増加するだけであり,収束回 数は亙=12から1V=10となる.そこで,非定常応答解 析では積分刻みとしてH=0.1を用いることにする.
(3)非定常応答解析
非定常応答解析では,Li apunov方程式を解くため の積分刻みHと共分散方程式の時間刻みTHがパラ メータとなる.なお,THは§4の式ではHで表した量 である.Pade 近似は無条件安定なアルゴリズムで あるからTHを大きくとることができるが, THを 大きく取ると正しい解から離れることになる.ここで は,計算結果の許容できる誤差および計算時間を考慮 して時間刻みTHを決定する.
本解法とR.KG法を比較するために,まずR.K.G 法により時間刻みを変化させて計算した.RKG法 では,TH=0.04で発散する.それより小さいTH では,計算結果における変化がないので,R.K.G法 では発散する直前の時間刻みまでほぼ正しい解を得て
いるものと考えられる.る誤差を評価したものである.横軸は図3と同じくと り,縦軸は次式で評価した誤差である.
ぼ
ε=△×100/σ(L/2,の㍑一〇.025
△=σ(〃2,古)TH。・.・25一σ(〃2,孟)TH……・・……・(⑭
10
5
ロ
6』
P5 塁]一10
へ 1/ハ
ぬ ヘノづ=ミ.
1ソ慧鱈 駝ノll l冒1 留1 ヤ1
、 ! 、、._.,.・ノ
TH=0.2
一一一一一一一@ TH 呂 0。25
_,_,_._,.@丁i}禺0.3
、番
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.O
PI)S1TIO閥 OF LOAD ( H 5 0,1 )
Fig.4 Erorr caused by nurnerical calculation.
図より,TH=0.25ではか五が0.2とO.3の点で±5%
を越える程度であり,THの上限は0.25と考えられ
る.
次に計算時間について検討する.
200
150
1,0
≡9.8
鶉 ま・1・
崔 呂。.1暑 曽
『・,2 窪
匡9.0
・・ノー『層、7
〃ノ
β、ノ:=iiliii,
墨 一・一・一・一TH=05 ミこノ
0 0.2 0.乙1 0.6 0.9 1、O
POSI丁[ON O「 し0AD ( ll 0,1 )
Fig.3 Nonstationary r.m.s. deflection response・
図3に両解法による計算結果を図示した.この図はス パン中点のLm,s変位応答を示したものである,横軸 は橋梁上の車両の位置を示している。R.KG法によ る結果では本解法のTH=0.1と識別できない.本解 法では,時間剣みTHに関して無条件安定であるが,
図のようにTHを増加させると数値解は正しい解か ら離れることになる.従って,R.K.G法のように正 しい解が得られる限界のTHが存在しない.そこで,
正しい解からの誤差を考え,解が許容許郡内.に納まる ようTHを決定する.図4はTH=0.025とした場合 のr.m,s..応答を基準にして,それぞれのTH.に対す
こ;
拐
:=100
≡
§
50
(N=6)
PADE
RKG
7一一一一一一一一一一一一一一一 l
l l l l l l i l
I ll
l0 0 0.03 0、1 0,2 0.3 0.4 0.5
(TH)
Fig.5 Relation between CPU time and time step.
図5はR.K.G法と本解法の計算時間を比較したもの である.縦軸が計算時間であり,横軸は時間刻みを表
している.RKG法ではTH=0.04で発散する.本 解法ではTHを大きく取ることができるので計算時 間は短くなるがその反面誤差は増加する.本解法の TH:=0.2とR,Kl。G法のTH=0.03は計算時間がほぼ 一致する.それ以上のTHを用いると,・本解法の計 算時間が短くなる.応答の傾向を見るためであれば,
TH=0.3程度まで取れるので,本解法では計算時間
はR.K.G法の2/3程度となる.
6, おわりに
本論文では,時変係数系の非定常不規則応答解析の 基礎式となる共分散方程式を差分表示すると共に,無 条件安定なアルゴリズムであるPade 近似を用いた 数値解析の手法を提案した.本解法を単一走行車両に よるランガー桁橋の不規則応答解析に適用し,RKG 法による結果と比較した.若干の誤差を認めると,本 解法はR.K.G法より短い時間で計算できるために,
高次振動系等の状態変数の多い系の解析に有効である ことがわかった.振動解析においてR.KG法を適用 する場合,時間刻みは最:高次の振動周期を基準にして 決定することができる.その結果得られた解は厳密解 に近いものとなっている.しかし,Pade による本 解法は数値解の発散は生じないので,時間刻みを決定 する明確な規範が存在しない.本研究では,時間刻み によって生ずる誤差の評価をランガー桁橋の解析に限 定して行った.しかし,一般的な問題に対して時間刻 みを決定する規範を提案するには至っていない.与え られた誤差に対して,時間刻みを決定する手法の確立
が今後の課題である.お,本研究の数値計算には本学計算機センター FACOM−M−180を用いたことを付記する.
参考文献
1)Trujilo,D.M.:The Direct Numurical Integration
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