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論文内 容の要 旨

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Academic year: 2021

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全文

(1)

氏 名ニ(本籍)

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

宮  川  武  彦

(栃木県)

工  学  博  士

工博甲第 11 号 昭和57年3月26日 学位規則第5条第1項該当

電子科学研究所 電子応用工学専攻

静電誘引形インクジェットの漢字印字および階調画像記録へ

(裏貝毒)山本達夫

教 授 松本欣二  教 授 松井英一  教 授 安藤隆男 教 授 藤井忠邦

論文内 容の要 旨

本論文は第1部:漢字の記録,第2部‥画像の記録とから成る。第1部では,圧力/振動形に基 くインクジェットとは別の観点から静電誘引力に基く微粒子化インクジェットの有効性を検討し,

その漢字印字への応用手法を述べた。コンピュータ処理にとって漢字は,その複雑さ故に文字と言 うよりパターンの一種と見なせるため英数字の出力とは取り扱いを異にする。静電誘引形のインク ジェット生成は機構の単純な点,ノズルに精度を必要としない点で他の方法より有利となるが,字 質や印字速度の面で劣るため,現在まで漢字出力へ応用されていない。そこで,連続的に生成する インクジェットを漢字出力へ応用するための漢字データ表記方法,偏向手段を実現する検討を行っ た。また,その処理や応用過程で遭遇した諸問題の検討を行った。

液滴の偏向量は偏向電圧に比例するので,インクジェットをアトリクス上で2次元的に偏向走査 する事により文字が描ける。ストロークを変形したセグメントを文字構成の最小単位とし,隔たり

のある線要素間の走査もセグメントとして扱えばトポロジカルな偏向走査ができる〇七グメソ_トぼ、−

スキップ,方向,長さの3情報から成る。スキップは線要素の有無判定,方向は8 方向としそれぞ れ1,3ビットを,また長さのビット配分は統計結果より4ビットを妥当値とした。セグメント表 現により,1文字当り36バイトのビットパターンに対して約18%のデータ圧縮が得られた。

一方,機構面では電界の強さ=1〜1.4kV/〝日照,偏向電圧=0〜600V,インク圧=2〜6×108N/J〝2 とし,マイクロプロセッサの制御下に置いた。また,ノズルは内径/外径=100/140/ノ刑,インクは 導電率が高い水溶性のものを使用した。同一座標に複数の液滴をオー/ミーラップして付着させ,線 要素のない部分を瞬時に偏向させるスキップ走査によりセグメントが形成される。インク圧と共に

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(2)

アイドリング時間を0.5ms付近で変化させ,粒子のオーバーラップ率を制御して印字サイズや線 の太さに自 ̄由度を持たせた。また,文字間の空白時に不要なインク粒子を処分するため,負のバイ

アスをオン/オフ動作させたトラッピングチューブによりその内壁に粒子を吸着させる方法を採っ た。

第2部では,原画の有する階調の連続性や損わずに再生する方法として,静電誘引形インクジェ ットに特有な曳糸性を応用して階調画像の記録について検討した。コンピュータの出力回路から得 られる印加電圧の変化によって曳糸流量が変化し,それによって階調出力が得られる装置を作り実 験した。

ノズ′レほ,中心角300に斜め切断した内径/外径=300/500/Jm,長さ15〝〃∽ とし,静圧力はイ ンクの液面の高さによる水頭を利用した。曳糸現象を発生し易くするために染料を混入した有機溶 剤ベースのインクを用いた。ノズルの先端から空隙2.5〝〃∽隔てて内径1〝ヱ桝の対向電極を設置 し,これに濃度信号を,またインク自身に直流バイアス電圧を印加した。インク静圧15〝‡mAqで の曳糸応答はa)1.9kV:飛翔開始,b)2.OkV:曳糸開始,C)2.6kV:霧化開始となり,この結 果からバイアス電圧と信号電圧をそれぞれ2.5kV,0〜600Vに設定した。一方,パルス周波数(f)

の応答はa)f<2kHz:線形応答領域,b)2≦f≦4kHz:臨界応答領域,C)f>4kHz‥微粒子化 領域とに大別された。結局,信号電圧をパラメータとしたインク流量の変調だけで得られる濃度帯 域が狭い,流量の過度的な応答が遅い,等の問題点が提起された。次に,これ等の問題解決の方法 を検討した。

曳糸生成に適したインク静圧の範囲は10〜30mmAq前後であるが,0〜3mmAq前後における 電圧応答では微粒子化領域が全く消失する事を実験的に確認した。この事実に基き,圧力差を設け た2本のノズルによる具体化を試みた。それは,同一走査線上に配置した2本のノズルは同一イン クの供給を受け,異なるインク静圧がかかる様にし,更に,ノズル間隔相当の遅延時間を設けて同 一画素を重ね走査する機構とした。

、次に,再生画を原画に近づける意味で,1)高濃度化,2)鮮鋭化の2操作に関し,機構面とは別 な観点からソフトウェアの画像データ処理を行った。平均反射濃度の向上は,インクの浸透が紙面 の厚み方向より面方向へ進行した方が効果的となる。そこで,副走査方向における内挿補間を濃度 帯域の改善という立場で扱った。補間画素の位置を半画素ずらし,4近傍の隣接画素より線形予測 する方法を採用して平均反射率を抑えた。一方,曳糸部分の過渡応答は悪く,濃度のステップェッ ジやグラジェントの急な部分に追従しきれないため,再生像の輪郭が緩慢となる。そこで,ラプラ ス作用素を主走査方向に施した。ラプラス作用素の正負により濃度のオーバーシュート/アンダー シュートが起るが,曳糸を利用する場合はメニスカス体積の動特性に起因した履歴現象を考慮しな いと逆の効果になり得る。よって,ラプラス処理に限定条件を加える事で対処した。

最後に,本研究を通して,静電誘引形インジェットの有する利点を漢字印字および階調画像記録 の分野へ応用し得る判断を得た。

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