静岡県教育研究会学校給食研究部における食に関す る指導の状況
著者 村上 陽子
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 教科教育学篇
巻 38
ページ 155‑170
発行年 2007‑03
出版者 静岡大学教育学部
URL http://doi.org/10.14945/00006857
静岡大学教育学部研究報告 (教科教育学篇)第38号 (2007.3)155〜 170 155
静岡県教育研究会学校給食研究部 における食に関する指導の状況
Survey of the Dietary Education Trends in Shizuoka Prefecture
村 上 陽 子
Yoko MURAKAMI
(平成18年10月 2日 受理)
1。 は じめ に
近年,子どもを取 り巻 く食の環境は,朝食の欠食,「こ食」(個食,孤食),加工品の多様化 (多用化)
をは じめとする食生活の乱れや生活習慣病の若年化など,懸念すべ き状況にある。一方,家庭において は,核家族化による伝統継承力の低下,多国籍食の普及などにより,食文化,食習慣を見直す機会が失 われつつある。 このような食生活の変化 は,いうまで もな く子 ども達の健康に大 きな影響をもたらす。
平成14年の中央教育審議会答申「子 どもの体力向上のための総合的な方策について」1)(以 下,平成 14年答申)によれば,子どもの体力低下傾向は持続 してお り,体力向上のためには健康3原則 (適切な 運動,十分な休養・ 睡眠,調和のとれた食事)の徹底による生活習慣の改善が不可欠 と提言 されている。
また,外食や調理済み食品の利用増大 により,栄養バ ランスや食事の摂 り方には,正しい知識に基づ く 自己判断力・ 調整力・ 評価力 といった食の自己管理能力が必要である。BSE問題や中国農薬問題など 食品の品質や安全性について も同様のことがいえる。つまり,子どもが将来にわたって健康を維持する ためには,子どもに対する食の指導充実 と望ましい食習慣の形成促進が必要である。
平成 9年 の保健体育審議会答申2)以来,学校における食 に関する指導注1)は,給食の時間に限 らず,各
教科,特別活動,総合的な学習の時間など学校教育活動全体の中で,健康教育の一環 として行なわれて きた。平成14年答申においては,体力向上 に資する子 どもの生活習慣改善徹底のために,家庭での取組 み と共 に学校における食に関する指導の充実が重要 とされた。併せて「栄養教諭」制度 (平成17年 4月 施行)など学校栄養職員 に関わる新たな制度の創設を検討 し,学校栄養職員が栄養及び教育の専門家 と
して食に関する教育指導を担 うことができるよう食に関する指導体制の整備が必要であると提言された。
こうした流れの中で,学校栄養職員が担任教諭 とティームティーチ ングを組んで授業に参加する機会が 増加 している。 また,平成17年 6月 の食育基本法成立 (同年7月施行)など食育推進の動 きも受けて,
食育に関 して様々な刊行物が出ているが,実態調査や実践紹介に留まっており,食指導のあり方 につい ては言及 されていない3)4ゝ
そ こで本研究では,静岡県教育研究会学校給食研究部注2)における実践報告を手がか りに,近年の静 岡県 における学校での食指導の現状 と課題を提えることで,子どもに対する食指導のあり方を検討する ことを目的とする。
156 村 上 陽 子
2。 静 岡県 にお ける学校給食 実施状 況5)
公立小・ 中学校における学校給食実施状況をみると,静岡県の学校給食実施校 は541校 (99。6%),児
童数 は約21万4千人 (100%)で,実施形態は完全給食 (100%)である (表 1)。
また,調理方式別完全給食実施状況 は,学校数の比率で見た場合,単独調理場方式 は小学校47.9%, 中学校37.0%,共同調理場方式 は小学校52.1%,中学校63.0%で,中学校の方が共同調理場方式の割合 が高い (表 2)。
学校栄養職員の配置状況 は,小学校137人,中学校39人,共同調理場112人である (表 3)。 学校栄養
職員1人当た りの配置 は,学校数で見た場合,単独調理場方式の小学校では2校/人,中学校では2.5 校/人,共同調理場方式では4校/人という割合 になっている (表4)。 児童数で見た場合,単独調理 場方式の小学校で約800人/人 ,中学校で1,000人/人,共同調理場方式で1,500人/人である。学校数
表1 公立小・ 中学校 における学校給食実施状況 (全国、静岡県)
平成16年 5月 1日現在
表2 公立小・ 中学校 における調理方式別完全給食実施状況 (全国、静岡県)成
16年 5月 1日現在
表3 学校栄養職員配置状況 (全国、静岡県)
表4 公立小・ 中学校 における学校栄養職員の配置割合 (全国、静岡県)平
成16年 5月 1日現在
> 在 立
日現 私 月1 公 年5 国 16
< 成 平
区 分 総 数 完全給食 補食給食 ミル ク維〕J艶 計
実施数 百分比 実施数 百分比 実施数 百分比 実施数 百分比
小学校
全 国 学校数 23,160 22,304 22,653
児童数 7,084,675 7,037,775 17,556 7.077.035 99。9
静岡県 学校数
児童数 214,334 214.327 2141327
中 学 校
全 国 学校数 8,112 78.6 1,123 9,299
生徒数 3,395,102 2,549,665 14,555 413,156 2,977,376 87.7
静岡県 学校数
生徒数 106.794 102.705 106.772
公立小・ 中学校
/1ヽ 学 校 中 学
校
.
実施数 単独調理場方式 百分比 共同調理場方式 百分比 実施数 単独調理場方式 百分比 共同調理場方式 百分比
全 国 学校数 22,304 11,048 8,112 2,792 5,320
児童数 7.037.775 4.140,979 2.896.796 2̲549.665 945。913 37.1 1,603,752 62.9 静岡県 学 綺 数
児童数 214.327 110.026 104,301 102.705
区 分 小 ・ 中 学 校
墓鋒身裏讐鷺轟釘製教育委員会等 計
小学校 中学校 共同調理場 小 計
全 国 国 立
公 立 5,458 1,286 3,797 11,976
私 立
計 5.566 1.315
静 県
静 岡 県
区 分
全 国
実施数 栄養職員数 職員1人当りの配置 実施数 栄養職員数 職員1人当りの配置
勒翻嚇式
小学校 学校数 11,048 5,458
児童数 4,140,979 5,458 758,7 110,026
中学校 学校数 1,289
児童数 945,913 1,289 733.8 1033.4
共同調理場方式 学校数 16,576 3,797 447
児童 数 4.500.548 3,797 166。705
※中学校には中等教育学校前期課程を含む。 (文部科学省「学校給食実施状況調査」より作表)
静岡県教育研究会学校給食研究部における食に関する指導の状況
では全国とほぼ同程度の配置割合であるが,児童数で比べた場合,静岡県では職員 1人 当たりの児童数 の割合が10〜14%高くなっている。
3。 学校給食研 究部 にお ける実践状況
「研究集録」 は,静岡県教育研究会学校給食研究部がまとめた実践報告である。本研究では平成12年 度か ら17年度の「研究集録」6)一のか ら,実践内容の状況 と課題 について述べる。
(1)概要
実践状況の全体像を把握するために,概要を述べる (表 5γ10)。
まず,実践者であるが,平成12年度ではすべて教諭 によるものであったが,平成13年はそこに栄養士 が加わ り,平成14年以降は栄養士単独 となっている (平成17年度 は一部教諭)。
食の指導に対する取 り組み体制 として,平成12年度 (特に報告6)においては,食の指導計画につい て関連科 目の有機的繋が りを明らかにすると共に,その一体的な取 り組み体制 (給食指導を含む)を提 示 し, これが栄養士,給食職員 に限定 された ものではないとしている。 これを反映 して,平成12年度 (報告1,2,6)では,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間など様々な教科の中で多 くの課 題 と関連づけて実践が行なわれている。つまり, この時期には,食の教育は,学校教育活動全体を通 し て,教師,学校医,学校薬剤師,養護教諭,学校栄養職員,調理員などの学校組織および保護者,地域 など,子どもに関わるすべての人間が総体的・ 有機的に行 うものであるという理念の もとに行なわれて いたと理解できる。 しか し,平成13年度以降は, こうした全体的・有機的・ 組織的な連携モデルに基づ いた実践 は行なわれていない。特に養護教諭や地域 との連携の減少が著 しい。先にも述べた通 り,実践 報告者は教諭か ら栄養士に移行 し,食の指導 は栄養士,実践教科 は家庭科,内容 は栄養バ ランス (給食)
が中心になるなど,栄養 (士)偏重の傾向がみ られる。以下,個々の報告について検討 していく。
1)平成13年度報告7)
①報告1(教諭,栄養士)
本実践では,栄養士の関わ りの成果 として,(1)栄養士のア ドバイスが子供の心を刺激 し,興味・ 関心 を高め,食生活の大切 さを考えさせることができた,曖)給食セ ンター職員 とのふれあいにより,職員の 苦労や思いを知 ることができた, としている。
(1)について,栄養士のように,子どもと接する機会の少ない人 は子 どもに何 らかの刺激を与えるもの である。 しか し,一時的なア ドバイスでは改善へと繋が らないのが現実であり,食指導の難 しさで もあ る。重要なのは,一時的に高まった興味関心を,いかに維持 0克進 し, 日常で活用できる力を育成する かである。そのためには,日々子 どもに接 し,日常的に継続指導が可能な保護者や教師の果 たす役割が 大 きい。食指導において求め られるのは,子どもや保護者 に対する継続的な支援プログラムの強化・ 開 発であり,栄養士 に期待 される役割 はそれに携わる教師、のサポー トであるが, ここではそうした支援
に対する視点に欠 けている。
9)は心のふれあいがテーマであるが,対象がセンタニ職員 というように範囲が限定 され, 日常生活を 取 り巻 く人 (生産者,流通業者,保護者,教師)への関心・ 感謝の喚起・高揚には至 っていない。 自分 の生活に関わるものに配慮する心を育成するような題材選びと展開が求められる。
②報告2(教諭,栄養士)
本実践の特徴は,(1)幼稚園 0保育園か らの食育指導 と継続指導,9)郷土食を軸 とした学校間 (小 0中) の連携,および地域 との連携,0)ア ンケー トを利用 した家庭 との連携であり,「継続」をキーヮー ドと
表5 平成12年度研究収録6)
卜u∞
薄 ト 雨
●N
掲 載頁
論 文 タイ トル 著者 名 職 種 胸 錮 州 抄 録 (実践 内容 、成 果 と課D
1
繋 畠2鯛書零七て
〜なぜ食べるのか考え よう〜
松本実奈子 松浦 頼子
教諭 教諭
小
小 焼津市
焼津市 鶏 夕
3'
口 して ける食 に した を支える人々 わたし〜なせ
た く き の
なり低い。児童が理屈でなく体験により「 なぜ食べるのか」考え、実感できるよ つである。
(飯食炊 飯)
な ど
「 友連ネ ッ ト」
鳥よ勇爵璽鼻多罰阜属』爵栗葺AL鼻員1
な電蝙
戟
饉¨瑕 ¨臨珈知鼈 o
な し 12‑19
鶏 2想】議事暑七て
しh
置を
・ 騨 昴 認 覆
原川小夜子 稲森 和子
教諭 嫡
中 小
焼津市 大井川 町
鐵 蒙斃薄動
ヽ現在、残菜 を減 らす ことは「い」 と「 感謝」の育 ちを見ることに繋がる。そこで、食意識 と心 を育てるテー
に採用 され る献立 を作 ろう」
せ
l営 :畠番雲彗‡営言まな曇:88春濃度暑最曇露富を会3
し て
ていく れている 。
ま]il貫: な し な し 20‑27
3
動 通 て 躙
る
市川美佳子 飯塚 則子
教諭
教諭 小 藤枝市 懇 鰺曇
堡量霧昇
91話乙g桑
養パ ランス、
カルシウムに ついて)
素に凛 躊臨 ε な し
△ 参 加 の み
(③朝礼の劇の 29‑36
4
動 し る
躙
青嶋由佳子桑原 幸子 教諭
教諭 中 藤枝市 懇
知紗 額鶉
のための大切な場である。そこで「給食は食べることJだ けでなく、心を育てるものと捉 うこととした。
鋏 響湖平鷲愈 ン
[蛉
軌][重させ ることで、膨ヨ に対す る意識の変容を図 り、心の育成 に努める。
% 鏃 講 康食 の 養 健 Jた 栄
r し は
③
④
と識 な し
△ 参 加 の み
0学校保健集会 の参加(資料は 金熙賭 に配0)
な し 37〜44
5 懃種予漫
を育てる
芹澤 雅子 教 諭 島田市 難
蟄 船
権 蠅 羅 ぁ努倉たちスを電琴鶴鰐 養涎髪i繁9rrつ
2源激:り季雷苓聟 蔭寛撃≧『 麟姿換(:I[ζ者)
¨一¨け﹂¨
﹄け﹄一¨D
△利用のみ隕を利用)扮
9品(3 ト
訪招 場食
> 理給 c 調と
く
①間
待 46〜 58
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棒鰈
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築―
鈴木 公乃 教 諭 島田市 鐘 学級活動 など
b)
:,3種患[F181[:進屁[III[『Littζ報受発信を通してヽそれ
渕 9潟磐まの
¨ 鰈¨鶉
②親子試食会
釉罐
会⑮ 醜胡銃
②員の 54〜 61
表6 平成13年度研究収録7)
1
論 文 タイ トル 著者 名 嘲 地 域 分 類 教 科
掲 載贋
心で味わう給食を目指 して
一セ ンターと学校の交 流を通 して一
大杉由美子 鈴木 江身
教諭 栄養士
小 中
浜北市 浜北市
実 践
科渤 鏑
庭 級 員 家 学 委 動
ン[デ葬::ζi:霊][i雹憂│:〔1壁:i3酪:を1鵬革層瞥讐妻翼三堡髪舅島[岳署藁電看象欝翼革
P奮ど兌墳畠場:窪モ棚 」あ超Z鴨破L簿事ができるように工夫し、青空給食、リクエスト給食、世界の料理、
② い?t懲態澪感盪富腎唇賢霙曇r活動への参加・ 協力、給食セ ンターによる学校訪間、給食だよりを使 った意見交換、連絡
躙 聰 輻辮
鼈
i① リタエス ト給食の 献立作成の相談・ 献 立の選別
②食生活 に関するア ンケー ト結果に対す る助言
②学校訪 問(給食時 の観察、共食)
②連絡 ノー トや感想 用紙 による意見交換
③家庭科、生活科、
学級活動の食 に関す る指 導 の際、Tの
授業
③学校保健委員会、
しつ け学級 の講師
①地場産物 を 使 っ た 料 理 (農家 の苦 労 を理解す る)
②学校保健委 員会 における 食品 ピラ ミッ
ド作 り
②給食に関する 児童集会に栄養 士や調理員が参 加
②学校訪間で給 食共食(センター 事務員、栄養士、
調理員)
②センター発行 の給食だよりに 保護者、子ども の意見を掲載
②委員会による 給食アンケー ト から、センター ヘの要望楓 齢
③家庭教育学級 (しつけ学級、1 年)で保護者ヘ 給食試食
11〜 28
食意識を高め、健康で 生 きるための食生活を 築 くことのできる子 一学校 。家庭・ 地域を つないで一
西尾 知子 野澤 初江
教 諭 栄 養士
小 新居町 実 践 家庭科 学級活動 特別活動 給食委員 会 総合的な 学習の時 間
理
:響纂 轟 渕
]颯ゝ葬節杉饉ギ 藁
i::,孫::[黎 PttX陶慧告主え」番柔景留11ヽ』鷲掌難春?製寵躍Ъ襲誤膚姓物を調べる」
a)常時活動(配膳 の片づけ、持 ち物検査、残食量計測)Crl、。中学校)
b常
言][量曳ξ含髯:響ワ」夕番?デ看h雪多ヴ生λ季倉≧讐倉粂ム薫≧思ぜ鷲電のレポート、身支度点検表の
9饗縁響 騒R鵜 龍 諄獨 麗♂i網離 翻 謂 彎%η聯 檄 :球
③その他:ランチルームの飾り付け、給食調理道具の展示
2言F:借]を営[i:曽曾;嘗言1:i歯琴島]骨詈機曇li蓋蘇景曹;:言:卜檜倉雫會;冒名曇み業倉暮「霜ま署見書
①「給食中に栄養士 さんの話を聞こう」
内での講話
②「弁当づくり」の TT授業、 レンピ紹 介
②調理実習参加
④郷上料理の取組み を家庭へ報告
⑤郷上食づくり
⑤郷上食の日に「ラ
ンチ タイ ム」発 行
⑤郷上食づ く りに地場産物 の利用
⑤地域の食材 (魚)のさば き方、調理方 法の開習(家 庭料の時間)
① 授 業 参 観
(「やさいを食 べよう」)
④ 胎 剣 更り」
の呼びかけに よる我が家の おすすめレシ ピを給食に採 用(小学校)
⑥アンケート
「 我が家の人 気メニュー」
によるレシピ 紹介(聟莉D
31〜 47
3
心をもなぎ価値ある生 き方 を求める学校 給食
―織 と
― つ
水谷 礼子 浮海 淳子
教諭 栄養士
小 小
湖西市 湖西市
践 実
. 理科 体育 家庭科 社会 学級活動 総合的な 学習 の時 間
詐 鶴
l鋏礁麟鐵鷲蹴鯰極
I繹警
①給食の時間における取 り組み
a)人と人との交流を広げる場の工夫(にこにこ給食・ 食堂方式)
b)自己管理能力を育てるパイキング給食
②裏ね挙露奇繕「念島 暮需f拿暑:露署驚慧げ2嘉組`
9食献立かドの掲つ
a)健康 に生 きるために必要 な情報 を得て活用す る力を育てる:
:梶管喜tttr3亀皇 旨落基f儡 、電単ヂ
・ 総合的 な学習?G年)の、家、体、学活、総D b)自国や他国の文化を受 け入れる力 を育てる:
:瑠負えム「道:当議しi:」鯉義覇ラジル人、ベルー人も,となかよくなろう総へ D
c)思いや りや感謝の心を育てる:
。「やさいを育てよう」「 冬のくらしをしらべよう」(生活科、%D d)環境 に目を向け、働 きかけようとする力を育てる
。「生 ゴ ミの処理を通 して」(委員会活動)
今ili[[:ゴ意][番:ず魃 」意]蒼ζittI護薯?J鑓ぁ瞳窮b期これ乙
①給食の共食、子 ど もの食べ方・ 偏食の 観察、給食 日誌 によ る教師の意見を把握、
児 童 へ の 直 接 指 導 (a)
① 学 級活動 時 にT
で学年に応 じた食指 導(b)
②学習ポランティア、
調べ活動の支援、加 工食品づくりの支援、
討論への参加と支援 (a)
②献立決定の会での 指導、委員会新聞作 成 へのア ドバイス (a)
②外国料理の献立決
定(b)
②栄養価の階(学年 朝会)(c)
②献立作成(学活で のT慨業)(d)
な し
②学習ポ ラン テ ィア(a)
(加工 食 品 づ くりの支援)
②料理の取材 (イタ リア料 理店)(b)
②農家の方か ら野菜作 りの 支援(肥料、
畑 の耕 し方、
購話)(c)
②大根の世話 について農家 の方か ら助言 (d)
②みそ作 りの (d)
②学習 ポラン テ ィア (a)
(加工 食 品 づ くりの支援、
討論の場の支 援)
・ 懇談会での 話 し合い
。学年だより による学校で の実践の紹介
51‑68
撃ヨ胴蝉硼覇冷鴛薄がか覇絣幾再計喜夕0再囲咄夕赫樹0洋議卜い0
※複数の著者がいる場合において、地域名 と学校種が同 じであるにも関わらず、それぞれに記載がある場合は、学校が異なることを示す(例:報告3の湖西市)。
同様に、複数 の著者 の地域名 と学校種を 1つ にまとめて配載 している場合は、学校が同 じであることを示す(例:報 告2の新居町)。他表について も同様である。
村 上 陽 子
した活動である。活動内容 は決 して奇 を衡 ったものではないが,食の教育が本来,毎日継続 して行なわ れるものであることを考えると,正統的取 り組みといえる。また,毎日実施 している健康チェックは, 自己の健康管理の意識を高め,健康を総合的に考え,正しい生活習慣を修得するという点で評価で きる。
③報告3(教諭,栄養士)
本実践では;(1)題材設定のあり方 と(2)保護者 との連携の欠如の2点について問題がある。
まず,(1)であるが,お誕生 日給食 (実践②a),外国料理 (②b),地場産物 (②d)について, これ ら 献立を給食 に導入する目的で栄養バ ランス学習の題材 としているが,上記題材 はむ しろ食文化や食習慣
の学習に適 している。栄養バ ランスを追求す る食の指導 は,毎日の普通の食事 について行われるべ きで あり,その授業構成 も熟考する必要がある。題材設定が不適切であると,食文化のあり方そのものを蔑 ろにすることとなり,食文化伝承 という点か らも問題である。
次 にυ)であるが,保護者 との連携 により食教育の効果が上がると考え られる学習 として,上記の他 に
「食品添加物 と加工食品作 り」(②a)がある。食品添加物など食の安全 は,学校 において も家庭におい て も取 り組むべ き課題である。保護者 との連携 は親子両者の食意識の変容・ 食生活の改善 に繋がると思 われるが, ここでは連携がみ られない。誰 とどのよ うに連携すべ きか,その効果 も含めて学習計画を立 てる必要がある。
2)平成14年度報告 (栄養士)8)
報告 1は,「食生活改善事業への取 り組み」 とあるが,全体的にどのような効果が得 られたのか,継
続的な計測がなされてお らず,保護者への啓蒙 も関心のある層に限 られている。
報告 2に ついて,問題を 3点 あげる。
第 1に,実践のね らいに矛盾がある。たとえば, リクエス ト給食であるが,その導入のね らいは「 自 分たちで献立 を考えることによつて,『食べ るとい うこと』 に対 して興味を持 って欲 しい,中学時代の 思い出にして欲 しい,そ して 1年 に 3回 だけ栄養価だけでな く彼 らの嗜好が形 になって もいいのでは, そんな思いか ら始めた」 (p.32)と ある。 しか し,実際には,パソコンソフ トを使 って「栄養バ ランス のとれた献立作成」が行なわれており,当初の目的であった嗜好の尊重や食の興味喚起 は考慮されてい ない。
第 2に,使用 されたパ ソコンソフ トには汎用性がないため,日常生活で活用できないこと,ソ フ ト内 の料理数が少ないことを筆者 自らが指摘 しているが,それについての対処が行われていない。また,子
どもの生活経験の少なさが懸念されている現状において,そうした状況にある子どもに限 られたメニュー の中で栄養バ ランスをとらせることの危険性 についての検証が十分でない。
第 3に,栄養バ ランス (栄養価)への拘 りである。 リクエス ト献立作成時の生徒の様子 について,
「 レーダーチ ャー トを見なが らの献立作成 は,私が想像 していた以上 に『栄養価がすべて』 とい う価値 観で考え られているようだつた。(中略)生徒 たちの意識の中には, レーダーチャー トで表 したとき, 理想的な円を示 さなぃ物 は最初の段階ですでに対象外である, という暗黙の了解があったようだ」
(p.33)と 述べているが,栄養士はこれを問題行動 として捉えておらず, こうした生徒に対 して何 ら働 きかけをしていない。ソフトを利用 した献立作成は,給食を作成する栄養士にとつては利便性が高いと 思われるが,日常への適用の可否,生徒に対する教育効果など総体的に検討 した上で,活用のあり方を 決める必要がある。
3)平成15年度報告 (栄養士)9)
報告 2に ついて,「食生活に関するアンケー ト」結果に関する考察において,朝食欠食の理由として
「食欲がない」(34%)を問題視 しているが,「時間がない」(51%),「 準備ができていない」(6%)と
表7 平成14年度研究収録8) ド覇冨喜か0■囲ヽ夕赫樹0蕩譴い0撃コ洞雌硼翠冷ゆ鴛対がか冷当計
論 文 タイ トル 著 者 名 嘲 地 域 分 類 教 科 抄 録 (実 践 内容 、 成果 と課 題) 掲 載頁
学校 と家庭・ 地域 が協 力する食生活改善事業 への取 り組み
―自分の健康は自分で 守ろう一
鈴木美恵子
地 域 l 保 護者 l絆濃 セ ンター
栄養士 南伊豆 町 実 践
8撃晨号と善ζ懇努各薔格庭喜1告:F撃霞誉t与皇屋寄&急塁皇繕要曇詈翼E姦 ,組力iF、馨殴概雫源亀:喜 :誉β食習
」
鼈 い
垂は ね 1%颯燿i晰説:琲響臨 轟 は呻齢σ
①講演(a,b)
①寄稿 (c)
②児童、地域住民 に対する啓蒙と食 改善推進者として の働きかけ
③ レシピ集発行
②料理 クラプ の講師 ③簡単 メニ
ーの応募 23‑25
2
自立 した食習慣の形成 を目指 して
―パ ソコンを活用 した 食に関する指導 ―
中川恵美子 栄養士 中 松崎町
実 践 家庭科
①家庭科のW授
業に参加
②献立作成ソフト 提供と説明
な し 27〜 35
野菜を育てておい しく 食べよう 一自らの健康を考える 指導を通 して一
島崎 敏代 栄 養士
下田市 饗
科 科 活 庭 生 家
暮i3[][lli袢 〔馨:[:::[慧f[‖:〔ilitil[]i]蝙営li[]ilyl雰2躍T粟
8置警[骨雷曇倉』設 、そ督肇 畿ξ澤携
雫 :学 校医、薬楓 疇 食厚生委 員 学校風 担任、養鍬 歓 学校栄養
な鉤言ξ§濶樵仄輯蝙銹辮×ポ愧 雛難ξ
①野菜の情報提供
②家庭科のT授
業に参加
①野菜の情報 提供(新聞づ くり)
①野菜の情報提
■・l新聞づくり)
①野菜パーティ の支援と参加
・ 給食 だより
。試 食会(給食` 厚生委 員会xア
ンケー ト、学校 給食 の説明、食 生活でのポイ ン
ト)
・ 郷上料理、我 が家の自慢料理 募集
37〜 50
2
U 村 上 陽 子
いう保護者側の問題に着 目する視点に欠けている。また,食欲がない理由として,夜食の摂取,遊び方,
学習塾,スポーツ活動などによる夕食時間の遅滞 (生活の夜型)を挙げているが,原因であるこれ らの 改善策 は提示 されてお らず,結果 としての朝食の内容改善 についてのみ言及 されている。朝食の内容 に ついて も,子どもではな く保護者側の問題が大 きいことを念頭に置 き,家庭における食育支援に取 り組 む必要がある。
4)平成16年度報告 (栄養士)。
報告 2に おいて評価できる点 は,委員会活動の効果的活用である。子 どもたちが自ら調べ,発表する
場を もつ ことで,食への関心を高め,主体性 と能動性を育成することが可能 となる。
問題 は,給食への無条件な拘 りである。家庭科の献立作成 (②)における提供資料は,給食 レシピカー ドと1年分の給食献立表である。子 どもも栄養士 も栄養計算 しやすいとい う利便性の優先が効果的な食 育 に繋がるのか,目的 と方法 と効果についての検討が必要である。また,家庭 との連携 として,作成 し た献立 と給食 レシピカー ドを持ち帰 り,夕食 メニューとして実践す ることとしているが,昼食 と夕食で 摂取すべ き栄養は質・ 量 ともに異なるものである。夕食の内容が昼食 (給食)と同 じという食のあ り方 について も,検討が必要である。 さらに,その実施の有無 については家庭 にす任 されてお り,追跡調査 や評価,学校へのフィー ドバ ックが行われてお らず,家庭での食育効果,学校 と家庭 との連携効果が明 らかでない。 また,給食の自由献立作成時 (栄養満点献立 コンクール)の重点 は栄養価に置かれ,咀疇 力,食材や調理法の多様性,地域色,食事全体の味や彩 りのバ ランスなどが考慮 されていない。他にも, 給食で地場産品を使用 しているものの,地域 との連携がないなど課題が残 る。
5)平成17年度報告"
①報告1(教諭)
本実践では,「夏野菜を育てよう」 という投げかけに,どんな野菜が夏野菜か分か らないといつた子 どもの食経験の少なさに問題意識を向け,子ども理解 にもとづいたアプローチが行われている。また,
「『 食べ物の旬』を目的 とした学習 はどの教科 にも位置づ け られていない。それは食材が自分の健康の ためにどう役立つか ということの方が重要視 されて きたか らである。(中略)しか し,果た して栄養 に ついてのいろいろな知識を身に付 けるだけでいいのだろうか。私 は栄養についての学習が『生 きるため あ食教育』 とするな らば,も う一方で『感 じるための食教育』が必要ではないか と考える」 (p.24)と, 栄養士主導の栄養教育へ警鐘を鳴 らしている。子 どもを見つめる独 自の視点を実践に生か しており,食
教育 に対す る取 り組みの充実 と発展が期待できる。ただ し,地域 との連携 にはい くつか工夫が求め られ る。栽培実習において,著者 は家庭菜園に着 日しているが,それを題材 として子 ども,保護者,地域間 の交流を図 るなど,三者一体 となった活動を通 して地域全体の啓発に結 びつける試みが望 まれる。
②報告2(教諭)
「食生活に問題のある子は人間関係構築力 も含めて気 になる点が多い」 という教師としての経験か ら, 食 に関する課題を設定 し,家庭科のみな らず総合学習,体育,理科,社会など多教科 において,多様な 手法 (調べ る,知る,広げる)で意欲的に取 り組んでいる。
一方,家庭科の授業の導入 として食事調査 (②a)を行 っているが,その結論が「給食 はバ ランスが よい」 になるなど,学習の深化が必要な箇所 もある。 また, 1食分の食事作 り (③a)における保護者 の参加は,献立作成時のみで,肝心の調理実習時にはみられない。共に考え,共に作 り,共に食べるこ
とが,近年失われつつある食風景であり, これが現代の食の問題に関与 していることを考えれば, こう した活動を通 じて家庭の食機能の改善を図る必要がある。献立作成時と同一の保護者でなくても,親子 料理教室のような形であつても参加を促すなど,保護者 との連携には柔軟性 と創造性が求められる。