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イネいもち病圃場抵抗性に関する分子遺伝学的研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017年

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イネいもち病圃場抵抗性に関する分子遺伝学的研究

生物資源科学専攻 植物育種科学講座 細胞工学分野 加藤美弥子

1.はじめに

糸状菌 Magnaporthe oryzae によって引き起こされるイネいもち病はイネの重大病害の一つであ

る。その防除においては省コスト,省労力といった面から抵抗性品種の利用が重要視されており,レ ース非特異的に作用する圃場抵抗性遺伝子の集積はいもち病抵抗性育種の方法の一つである。私た ちの研究グループでは,西アフリカ原産のジャポニカ型陸稲品種 Moroberekan が示す圃場抵抗性に 着目して Moroberekan 由来の圃場抵抗性遺伝子を持つ MC276 について fine mapping を進 め,Moroberekan の染色体 6 上における約 110kb の領域内に qBRM6-2 ( QTL for Blast Resistance in

Moroberekan 6-2 )が存在することを明らかにした。さらに qBRM6-2 について表現型レベルでの特

性解析も行った。本研究では,CO39 と RIL66 の間で遺伝子の発現量を比較することにより分子レベ ルでの特性解析を進めるとともに,シークエンスによって圃場抵抗性遺伝子 qBRM6-2 の候補遺伝子 の絞り込みを行った。

2.材料及び方法

本研究では,高度罹病性品種 CO39 と圃場抵抗性遺伝子 qBRM6-2 に関する CO39 の準同質遺伝子系 統として選抜された RIL66 を用いて,定量 RT-PCR による防御関連遺伝子の発現解析とシークエンス を行った。発現解析は,北海道大学農学部世代短縮温室において 2 つの異なる環境条件下で育成し たイネにいもち病菌「研 54-20」を接種し ,それらのイネを用いて行った。また qBRM6-2 の相補性検 定には,アグロバクテリウム法によって日本晴を遺伝的背景として作成された形質転換体を用いた。

3.結果と考察

低温寡少条件下での接種試験における発現解析の結果から,RIL66 における転写因子 WRKY45 の発 現量が CO39 より 2 倍程度高いことと,いもち病菌の感染に対して迅速に反応することが示さ れ,RIL66 の示す圃場抵抗性にプライミングが関与することが考えられた。一方,高温多少条件下で の接種試験における発現解析では,RIL66 においてジャスモン酸経路に関与する遺伝子の発現量が 低く,サリチル酸の合成に関わる遺伝子の発現量が高かったため,サリチル酸経路が活性化される ことで抵抗性が誘導されていることが考えられた。以上の結果より,RIL66 ではいもち病菌の感染を 受けてから,日長や日射量といった環境条件の違いによって異なるシグナル伝達経路が活性化され ている可能性がある。 qBRM6-2 の 6 個の候補遺伝子について CO39 と RIL66 の塩基配列を解析・比較 したところ, いもち病真性抵抗性遺伝子 Pid3 の LRR ドメイン内に非同義置換が見られたことか ら, qBRM6-2 は Pid3 である可能性が高いと考えられた。相補性検定を行うために, qBRM6-2 の形質転 換体を作成し,T

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世代において接種試験を行った。その結果,供試した形質転換イネ 3 系統全てにお いて抵抗性を示し,これは qBRM6-2 が Pid3 であることを支持する結果となった。

4.おわりに

今後は形質転換体を用いて防御関連遺伝子の発現解析を行い,RIL66 と同様にプライミング状態

となっているか等を確認する必要がある。また,本研究室ではこれまでに RIL66 が白葉枯病に対し

ても抵抗性を示すことを明らかにしている。そのため,形質転換体がいもち病だけではなく白葉枯

病に対して抵抗性を示すかどうかについても調査する予定である。

参照

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