浜松 テ クノ ポ リ スと 工業 立地 動向
︱
︱ 一九 五 六
︱ 一九 八 六
︱
︱
山 本
彦
I
﹁テ ク ノ知 事
﹂ の 退 陣 と 財 界 出 身 知 事 の 登 場
① 浜 松市 にテ ク ノポ リ ス政 策が 導 さ入 れ る に際 して
︑ 当局 者も 認 める うよ に﹁ 極 め て政 治的 な要 因が 作 用 し た︒ 県 知 事 主導 と言 われ るゆ え ん であ る︒ 一 九 七 四年 以来 一九 八六 年 ま で の三 期 一二 年間
︑ 知事 の座 にあ たっ 本山 敬 郎三 はそ の第 一期 東に 海 地震 の予 想 の下 に︑ 一 方 大で 規模 地震 対 策特 別措 置 法 の施 行
︵一 九 七 八年
︶ を引 き 出 し︑ これ に基 づ く対 策 強 化 定指 地域 とし て︑ 国 の財 政措 置 に依 存 し つつ 県︑ 財政 にお い ては
︑ 地震 策対
名の の下 に膨 大な 基 金 を設 定 し
︵一 九 八 五 年度 は基 金総 額 九 八五
七・ 億 円 うの ち 一一
・四億 円 の
﹁静 岡県 大規 模 地震 災害 対 策基 金
﹂が 積 まれ る に至
てっ いる
︶︑ 目 立 たっ 施 策 講も ず る こと なく 県 民 には
︑
﹁自 助 努力
﹂ によ 福る 祉︑ 災害 訓練
たの め の地 域 組織
への 動員 とぞ れを 通ず る住 民 統 合 を図
てっ き た︒ 浜松 テク ノポ リス と工 業立 地動 向 一
法経 研究 三六 巻四 号
︵一 九八 八年 ︶ 二 し かし
︑ こう し た危 機 感 をあ おる 政策 手 法 では
︑ い つま もで 県民 を統 合し えな いの は当 然 であ る︒ と わり け 一九 八〇 年 代 の経 済動 向 の不 透 明状 況 の出 現 は︑ 県 内産 業 の経 営 動向 そ のも のの 不振 を招 いて いる た め に 一層 深 刻 と言 う べ き で あ る︒ 九一 八 六年 の山 本県 知事 四選 出馬 の意 向 にも かか わ らず 与︑ 党自 民党 は︑ 彼 の出 馬 拒を 否 し︑ 斉 藤 新 知県 事 を当 選 さ せる こと と な たっ のは
︑ いわ ば地 震 以外 に これ と い たっ 施 策 を講 じ な か たっ 山本 たに いす る産 業界 から の批 判 への
一つ の 対 応と い てっ よ いで あ ろう
︵こ 点の 斉︑ 藤 が 済経 界 の出 身 あで る こと も︑ 偶 然 で はあ る ま い︶︒
﹁地 震 知事
﹂■
テ ク ノ知 事
﹂ の異 名 を と たっ 本山 三の 選 目 の目 玉政 策が 浜松 テク ノポ リ ス︑ 静 岡 テ トン ピ ア︑ 伊豆 テク ノ パ ーク であ
たっ
︵三 T政 策 と も いわ れ る︶ のは
︑ いず れも 中央 官庁 の政 策 展開 に従
たっ も ので あ り︑ 地方 自治 体 と し て の 独自 性 の欠 落 たし も ので あ る こと 明は ら かで あ るが
︑ と同 時 に︑ およ そ 地震 に つい て の
﹁取 り組 み
﹂し か行
てっ こな か っ た山 本 とし ても
︑ 政策 手 段 の手 詰 まり を克 服 す る意 味 を持
つも ので あも
たっ あで ろう
︒ 例え ば︑
斉藤 県 知事 の下 新で た に策 定さ れ た
﹃静 岡県 新 総 合計 画﹄ 盆 九 八七 年 月一
︶ はで
﹁し かし なが ら︑
昭和 六 一 年 の東 海 地震 に関 す る意 識 調査 よに れば 約︑ 二三
% の人 が ニ″ ー 三年 まえ よ りも 関 が心 薄 く な たっ
″ と 回答 す るな ど︑ 県 民 の 一部 に地 震 に対 す る意 識 の申 だ る み現 象が 見 られ る
﹂と 指 す摘 る 一方 で︑ 地域 政 策 に関 し ては
︑
﹁と く 近に 年︑
富 士 山麓 や中 東 遠な ど で の先 端 技 術産 業 の立 地 や浜 松 地域 で のテ ク ノポ リ スの 建設 が進 なむ 新ど たな 産業 展の 開 が みら れ て い る
﹂と 認の 識 下の に︑ さ ら に︑
﹁し か し︑
最 近 にお ける 円 高 など の環 境 変化 対に 応 たし 経 営基 盤 の強 化が 緊急 的課 題と な ると とも に︑ 工業 の活 性 化を 図 るた め︑ 既存 工業 の高 付加 価 値 化 や技 術 高の 度化 など によ る体 質強 化 先︑ 端 技 産術 業 立の 地 など が 望 まれ て いる
︒ ま た︑ 研究 開発 型 企業 の育 成 を図 る た め︑ 試 験研 究機 関 の整 備 充実 や民 間 研の 究 施設 立の 地 の促 進 期が 待 され て いる
﹂と し て いる
︒ かく し て︑ 新 た に知 事と な たっ 斉藤 が 継 承し た のは 伊 豆 テク ノパ ーク を放 棄 し︑ 静 岡 テ ント ピ アは す で 郵に 政省 より 指
定済 み であ る ので
︑ 浜 松 テク ノポ リ スの み であ る のも
︑ 今 日 の同 地域 の状 況 に照 ら し てそ れ なり に理 解 され ると ころ あで ろう
︒ むろ ん静 岡県 の地 域 的 およ び政 治 的特 性 から し て︑ これ ら三 地 域 への 政策 的配 慮 は︑ 貫 徹 さ せら れね なば らな い︒
﹃新 総 合計
﹄画 は この よ う に指 摘 し いて る︒
﹁富 山士 麓 地域 で は︑ 先端 技術 産業 や試 験 研究
・研 修機 関な ど 立の
地 を 促 進 し︑ 育教
・文 化 や コン ベ シン ンョ な ど の機 能 の充 実 既︑ 存産 業 の活 性 化 を図 る こと によ り︑ 産 業 と文 化 自と 然 調の 和 し た
﹃富 士山 麓 研究 集 積 ゾ ー
﹄ン づ く りを
︑ 西部 地域 はで 音
・光
・色 の個 性あ ふれ る豊 なか 人 都間 市 づく り を目 標 に︑ 光 技術
︑ 電 子機 械 技 な術 ど の先 端技 術産 業 の集 積
︑ 既存 産 業 の高 度 化︑ 企業
︑ 大 学︑ 試 験 研究 機 関等
の連 携 によ る研 究開 発機 能 の 充実 な ど を図 る
﹃浜 松 テ クノ ポ リ ス﹄ 建設 を︑ 中東 遠地 域 で は工 業 用地
の開 発整 備と 産 業経 済活 動 を支 え る交 通基 盤 の整 備 有を 機的 連に さ携 せ︑ 自 然環 境 調と 和 し た先 端 技術 産業 の集 積 や既 存産 業 高の 度 化 を図 る 遠﹃ 州 田園 地 域産 業集 積ゾ ー
﹄ン づ く り を進 める
﹂と
︒ 注 目さ れ る のは
︑
﹁地 域ご と の施 策 の方 向
﹂と 題す る項 で東 部︑ 西部 は上 に見 た よう な 施策 特で 徴 づ けら れ るも のの
︑ 申 部 に いつ て は︑
﹁県 の申 枢 地域 ふに さわ し い高 次 都市 機 能 の整 備
﹂ のよ う な︑ 特徴 づ け 弱の いも との な てっ いる こと で あ る︒ 日 玉と し て登 場 さ せら れ て いる のは 空︑ 港 問 題 であ ろう
︒ それ は︑ 東 京︑ 大 阪を 経 由 せず てし の各 地 と の交 流 を図
︵8
︶
ると いう も ので あ る︒ 以上 に見 た よう に︑ テ ク ノポ リ ス政 策 展の 開 は いず れ せに よ︑ 今 日 静の 岡県 地域
︱︱産 業政 策 の中 核 を形 成す るも のと な てっ いる こと は変 わ ら な いで あ うろ
︒
② 浜 松 現 地 実の 業団 体 で︑ この 政 策導 入 に死 活 の関 心 を抱 たい も のは 余 りな か たっ と い てっ よ い︒ そ こ で︑ 当 局者 は 内″ 発型
〃 成″ 熟 工業 集 積 に︑ 先 端技 術 を つな
〃ぐ と 主張 し てき た︒ 例え ば うこ であ る︒
﹁当 市 松︹浜 市︺ には
︑
⁝ 工⁝ 業集 積が 背景 と な てっ
︑ 経 済
・学 術
・文 化
・情 報 と い たっ 広 範 な都 市 機能 が蓄 積さ れ て いる ので
︑ これ ら 都の 市機 能 を さ 浜松テクノポリスと工業立地動向
法経研究三六巻四号︵一九八八年︶ ら に充 実
・強 化 さ せ ると と も に︑ 豊 かな 人間 都 市づ く りを 進 錢犯
﹂
﹁そ の計 ざ す方 向も 内 発型 次世 代産 業 の形 成 のた め の
1︵0
︶
基 と盤 な る高 度 技術 の開 発 と地 域 企業 の技 術 の高 度 化 に定 ま てっ いる
﹂︒
し かし
︑ 局当 者 この う し た キ ャ チッ フ ーレ ズ は︑ 激 変 す る地 域 の経 済 状況 の下 はで そ れ ほど 説得 的 で あは りえ な い︒ 膨 大 な中 小零 細 企業 群 にと
てっ は︑ 新 技 術導 入 の研 究 投資 や設 備投 資 を す る余 裕 なは い ので あ る︒ ま た︑ 代表 的 な企 業群 で あ る楽 器︑ オ ート バ イ は円 高 の下 で︑ さ ら に欧 米と の摩 擦 によ り苦 境 に立 たさ れ てお り︑ 海 外立 地 よに る危 機 切り 抜 け さ え開 始 す る に至
てっ いる
︒ 鈴 木自 工が 相良 町 工の 場 予定 地を 放置 し また ま︑ 富 山 の設 備 を廃 し︑ G Mと 連の 携 下の イで ン ド ので 工場 拡 張︑ カ ナダ
︑ ジエ プ ト ヘの 進 出 を決 定 たし こと が そ の事 例 の 一つ と な る︒ 古く から 地の 産域 業 た る織 物業 も また 同様 の困 難 立に たさ れ いて る ので あ る︒ 先 の総 合計 画 にお いて も︑ 円高 の下 で︑ 企 業 の海 外 立地 が 始 ま る とこ に よ る 地 域経 済 の
﹁空 洞化
﹂が 懸 念 され る 一方 で︑ 外 国 企業 の誘 致︑ 国 内企 業 積の 極 的な 新 規 立地 を期 待 す る こと が 表
︲明さ れ て いる
︒ 他 面︑ 県 内 企業 の海 外 進 出 にあ た てっ 種は
々の 便 宜 を図 る こと も 指摘 さ れ てお り
︵静 岡県 商 工部 国際 化対 策室
︶︑
両 者 の調 和的 展開 を いか に進 るめ かが
︑ 間わ れ ると ころ と な てっ いる
︒
③ かね て地 価 も 全国
レベ ルで 見 て︑ 高 い方 に属 し て いる 浜松 市 で は︑ 市 内 既存 企業 が 安価 な 土地 を求 め て︑ 市 外 に流 出 す る動 き もあ
たっ と いう
︒ 浜松 市 で の地 価 調査 結果 によ ると ︑ 一九 八三 年 で 工業 地 一平 方 メー ト ル当 り 六三
︑ 三〇
〇 円 あで り︑ これ を機 械 的 に︑ 三
・三 平方
メー ト ル当 り 換に 算 する と︑ 二〇
・九 万 円と なり
︑ いか 高に 地価 あで る かが 示 され よう
︒ それ ば かり か︑ 工場 都の 市集 中 を排 除 す る目 的 設で 定 され て いる 事 業 所税 の負 担 は市 内 に立 地す る企 業 の新 規増 設 を 外市 求に める 傾 向 を強 めて いる
︒ 地 域計 画 は こう 述 べて いる
︒
﹁本 地域 を含 む静 岡県 西部 地 域 にお け る 工業 立地 動 向 は︑ 主﹃ 要 企業 の立 地﹄ よに ばれ 昭︑ 和 五 一年 一月
︱ 五七 年 一二 月 で 八五 件︑ 三 一九 ヘク タ ー ルで あ る︒ 全県 はで 同︑ 時 期 に 一六 四件
︑ 四九 九
・三 ヘク ター ルで あ り︑ 件数 五で 二%
︑ 面積 六で 四% が 西部 地域 に集 中 てし いる っ し かし
︑ 西部 地 域 の
中で は︑
■竜 川を はさ んで 本地 域に 近接 する 磐田 市︑ 竜洋 町等 の申 遠地 域に 面積 で八 二% が立 地し てい る︒
︵中略
︶こ れ
・︵2
︶
は︑ 住 工混 在 す る中 で︑ 工場 移転
ニー ズが 多 い浜 松 市 から 土 地余 力 のあ る申 遠 地域
への 移 等転 が進 んで いる た め であ
﹂る
︒ テク ポ′ リ ス政 策 は︑ 市 にと
てっ 幾︑ 分 か もで こ 傾の 向 を薄 める こと 期が 待さ れ ると ころ であ る︒ む ろ ん企 業 の立 場 は︑ これ と は相 違 し て必 ず しも 市 内 に定 着 す る必 要 性 を感 じ て いる わ け で はな か たっ
︒
④ そ こで 本稿 では
︑
﹃主 要
.業企
従︵ 業員 三〇 人以 上︶ の立 地動
﹄向 各年 版
︹静 岡県 商 工部
︺ よ り︑ 浜 松市 お よび 周 辺 市 町村 に つい て のも のを 抽出 し て再 計算 し た統 計 を分 析 す る こと から
︑ 上 のさ まざ まな 指摘 の意 味 を提 え てお き た い︒
Ⅱ 県内 企業 立地 動向 にお ける 浜松 市 の位 置
① 県内各工業地区動向と浜松市域分の動向の統計 県内 全般 傾の 向 とし て︑ 静 岡県 東 部
︵とく に富 士山 麓 の御 殿場 市︑ 小山 町方 面 で の企 業 の進 出 は 一九 七〇 年 代後 半 から 八〇 年代 にか け て活 発 化 てし き て いる X 申 遠
︲・東 遠べ 立の 動・地 向が 年︑ を遂 うご と に︑ 比重 を高 め︑ 既存 工業 地域
︵とく に静 o清 地区
︶ の地 位 は低 下 して い てっ いる
︵表 1を 参 照 れさ た いヽ むろ ん︑ 一九 七〇 年 後代 半 は全 般的 低に 位 に推 移 し て いる
︒ し かし ︑ 一九
〇八 年 代 に入 ると
︑ 円高 と貿 易摩 擦が 取 り沙 汰 され るわ り には
︑ 立地 の速 度 は︑ 用地 面積 の拡 大 では くな
︑ す で に確 保 さ れ て いる 土地 設に 備 を拡 充 し︑ また
︑ 業従 員を 拡 大 す る方 向 で︑ ふた たび 高 ま てっ いる こと が注 目 され る べき あで ろう
︒
② 松浜 市 に つい て の分 析 件 数
︵新 設
+増 設︶ に つい てみ ると
︵表 2参 X照 一 九五 六年 より 一九 八六 年 ま で の期 間 で︑ 一 九 六〇
︱ 六 四年 の九 五件 浜松 テク ノポ リス と工 業立 地動 向 五