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論文審査委員

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Academic year: 2021

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全文

(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 坂野

サ カ ノ

ヤ ス

ア キ

所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(放射線学)

学 位 記 番 号 健博 第

145

号 学位授与の日付 平成

30

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

ICP-MS

を用いた都市河川等の環境水中の

Gd

の分析研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 福士 政広

委員 教 授 古川 顕 委員 准教授 井上 一雅

【論文の内容の要旨】

ICP-MS

(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて都市河川等の環境水中の

Gadolinium(Gd)

の分析研究を行った。また、

Gd

造影剤への紫外線照射による先行実験を実 施してキレート構造の不安定要素を検証した。採取した河川水を

ICP-MS

による分析から濃 度および分布について解析した。河川水の分析の際には、

Gd

に加えて

Cd(

カドミウム

)

Pb(

)

などの重金属についても検討した。医療の現場において、診療放射線科で有用性の高 い検査機器として

MRI

があり、我が国での

MRI

装置の設置数は、世界第

1

位の水準である。

MRI

検査の年間実施回数は、世界第

4

位の水準で人口

1000

人あたり

112.3

回である。このよ うに多用される

MRI

検査ではより診断精度の高い検査を実施するために造影剤が使用され る。この際、

MRI

検査では、造影剤を

24

時間以内に排泄しやすい形にするため、

DTPA

な どのキレート構造剤の活用で

Gd

を無害化して使用するものである。

Gd

のような重金属をあ たかも蟹のハサミで挟み込むようにして使用した造影剤が用いられる場合が多く、

MRI

の 検査においても

Gd

キレート造影剤が多く用いられる。

しかし、

Gd

キレート造影剤を使用した検査後には、当初に予定された排泄とは異なる事 例発生があり、例えば脳内

Gd

沈着や腎性全身性線維症(

NSF

)についての先行報告がある。

さらに

Gd

自体の特性や有毒性、キレート化された造影剤の排泄の程度やその後の分布など についての調査研究は希少である。

Gd

造影剤への紫外線照射実験によりキレート化の解消 の有無につき確認するため

LC/MS(

液体クロマトグラフィ質量分析装置

)

を用いて検証した。

Gd

はランタノイド系のレアメタルで重金属の特性を持つため、医療現場で使用される

Gd

自然環境中で分布する

Gd

との相関関係についても不明点が多く、本調査研究を進めること

は、重要な意義がある。事前にキレートの安定性確認のため

Gd

造影剤への紫外線照射実験

(2)

博士学位論文内容の要旨

を実施し、キレート解消の有無を確認した。郊外の河川水や東京都23区内における水再生 センターの処理水を採取し、ICP-MS(誘導結合プラズマ)を用いて元素の濃度(ppt)、特 にGd濃度を調査するとともに、他の重金属類の濃度と比較し環境への影響を考察した。デ ータ分析では

ICP-MS

を使用し

Gd

および

Cd

Pb

との比較考量も実施した。

水再生センター処理水の

Gd

濃度は、

28.7 ±1.7 [ppt]

から

302.9 ±12.5 [ppt]

であり、有 明水再生センターで最も高い値を示した。多摩川河川水中での

Gd

濃度は

132.6 ±25.6 [ppt]

から

16.5 ±3.0 [ppt]

と河口側で低くなった。また、荒川河川水中での

Gd

濃度は河口付近の 江戸川区で

53.9±6.5[ppt]

と最大となった。これらの結果から

MRI

造影剤の影響による環境 水中の

Gd

濃度上昇が示唆される結果となった。人口密集地域等で

Gd

濃度の上昇があり、自 然界からではなく、人為的(

artificial

)な影響が推測できる。通常水再生センターでは重金 属の物理的な沈殿除去や微生物処理が実施されるが、その後、

Gd

は処理されず放流され、

不明であった

Gd

濃度や分布につき明らかにすることができた。この研究により、医療現場

で活用される

Gd

への着目は、診療・教育・研究をつなぐ手掛かりとなり、人体内から自然

環境まで、一連の調査研究することの重要性が示唆された。

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