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論 文 の 内 容 の 要 旨

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Academic year: 2021

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論 文 の 内 容 の 要 旨 1 目 的

Gal-9は好酸球走化因子として初めて同定され,その後消化管上皮やマクロファ

ージ,好酸球,マスト細胞,線維芽細胞,滑膜細胞といった多様な細胞に発現し,

細胞凝集,接着,アポトーシス,生存,分化の誘導といった様々な機能を有してい ることが報告されている。これらの機能はGal-9がT-cell immunoglobulin and mucin containing-protein 3 (TIM-3)に結合することによって発揮されるとして報 告されたが,その後ヒアルロン酸の受容体であるCD44やIgEといったTIM-3以外 の分子に結合して作用を発揮することも報告されている。

マスト細胞におけるGal-9の作用の報告として,Gal-9はIgEと抗原の複合体の 形成を阻害することで,マスト細胞の細胞株の脱顆粒を抑制するという報告がされ ている。しかしGal-9によるマスト細胞からのサイトカイン産生や生存を検討した 報告はなく,またヒトマスト細胞での作用を検討した報告もない。そこで今回マウ ス骨髄由来培養マスト細胞およびヒトマスト細胞株を用いてサイトカイン産生や生 存を含めたGal-9の作用について明らかにすることを目的した。

2 対象並びに方法

マウス骨髄由来培養マスト細胞およびヒトマスト細胞株,HMC-1をガレクチン9 およびIgEと抗原またはLipopolysaccharide (LPS)の存在下もしくは非存在下に 刺激した。

サイトカイン産生についてはELISA法,脱顆粒についてはβ-hexosaminidase release assay,細胞の生存評価については,生存細胞を顕微鏡下に計測もしくは

Annexin-V染色後フローサイトメーターによる計測にて評価した。

3 成 績

マウスGal-9はマウス骨髄由来培養マスト細胞の生存と脱顆粒および抗原による IgEの架橋下でのサイトカイン産生を抑制したが,IgEまたはLPS共存下のサイト カイン産生は促進し,LPS共存下のサイトカイン産生については,TIM-3以外のリ ガンドの関与が示唆された。

ヒトGal-9はヒトマスト細胞株,HMC-1細胞の生存とIgEを介さない脱顆粒を抑制

したが,サイトカイン産生はERK1/2の活性化により促進した。

4 考 察

Gal-9はマスト細胞において促進と制御,両面の機能を有することが明らかとな

った。Gal-9はマスト細胞からの脱顆粒を抑制し,サイトカイン産生を促進し,ア レルギー疾患の発症や進展に関わることが示唆された。またGal-9のマスト細胞へ の作用は,TIM-3依存性,非依存性の両方があることが示唆された。

5 結 論

Gal-9はマスト細胞からの脱顆粒を抑制し,サイトカイン産生を促進し,アレル

(2)

ギー疾患の発症や進展に関わることが示唆された。よってGal-9は,マスト細胞か らの脱顆粒に伴う即時反応を主とする病態の治療薬となる可能性が示唆された。一 方でサイトカイン産生は促進することから遅発型反応を増強する可能性があり,遅 発型反応を抑制するステロイド薬との併用が必要となる可能性も示唆された。

参照

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