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血中 PTHrP は 上昇しておらず、PTH が高値であった

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Academic year: 2021

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論 文 の 内 容 の 要 旨

1 背景と目的

副甲状腺ホルモン (PTH) は副甲状腺により産生され、カルシウム (Ca) 代謝において中 心な役割を果たす。副甲状腺に異常がなく悪性腫瘍体液性高 Ca 血症 (HHM) を呈する症 例が多いが、1987 年に副甲状腺ホルモン関連タンパク質 (PTHrP) が発見されて以来、

HHM の原因物質のほとんどが PTHrP と判明し、異所性 PTH 産生腫瘍によるものは極 めて稀である。

加えて、異所性 PTH 産生機構は、PTH 遺伝子とその上流の再構成やプロモーター領域 の CpG 部位の低メチル化が報告されているのみで、ほとんど不明である。今回、高 Ca ク リーゼをきたした異所性 (後腹膜) PTH 産生悪性線維性組織球腫 (MFH) 症例を報告する とともに、その PTH 産生機構に迫る目的で解析を行った。

2 材料と方法

症例は 69 歳男性で、高 Ca 血症と後腹膜腫瘍の精査目的で入院した。血中 PTHrP は 上昇しておらず、PTH が高値であった。副甲状腺に異常はなく、後腹膜腫瘍摘出後、PTH と Ca は基準範囲内へ下降した。

摘出腫瘍を培地中に静置後、上清の whole-PTH を測定した。腫瘍のホルマリン固定パ ラフィン包埋切片を、抗 PTH 抗体で免疫染色した。PTH mRNA 量を、定量的 RT-PCR (qRT-PCR) 法で解析した。腫瘍 RNA から cDNA を合成し、PTH コード領域の塩基配 列を決定した。転写開始点から上流約 21 キロ塩基対までの DNA 領域を、PCR で増幅 した。PTH プロモーター領域の塩基配列を決定した。PTH プロモーター領域の CpG 部 位のメチル化状態を、バイサルファイトシーケンシング法で解析した。マイクロアレイ 発現解析を施行し、National Center for Biotechnology Information (NCBI) に登録されている GSE6481 の PTH 非産生 MFH 4 症例と比較した。

3 結果

腫瘍を静置した上清中の whole-PTH は高値であった。腫瘍細胞は抗 PTH 抗体により染 色された。腫瘍における PTH mRNA 量は、副甲状腺腺腫と同程度のレベルであった。PTH 遺伝子の転写開始点から上流約 21 キロ塩基対までの DNA 領域は、期待される大きさの バンドが増幅された。PTH 遺伝子のコーディング領域、プロモーター領域に変異はなかっ た。PTH プロモーター領域は、メチル化されていた。PTH プロモーター領域に結合する転 写因子 NF-Yβ、Sp3、それらと結合するヒストンアセチル化酵素 p300、CBP、PCAF、さら に PTH mRNA の非翻訳領域に結合し mRNA を安定化する AUF1 と Unr の発現が上昇

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していた。

4 考察

臨床経過、免疫染色、qRT-PCR の結果から、PTH の 転写が高まることにより、腫瘍が 異所性に PTH を産生したと推論した。発現上昇した Sp3 および NF-Yβ タンパク質が PTH 遺伝子のプロモーター領域に結合し、p300/CBP や PCAF のヒストンアセチル化酵素 を動員して、クロマチン構造を開いた状態にすることで、PTH 遺伝子の発現が高まったと 推察した。さらに、PTH の mRNA の 3’ 非翻訳領域に、AUF1 や Unr タンパク質が結合 し、PTH の mRNA を安定化することで、PTH の発現上昇に貢献していると推測された。

5 結論

異所性 PTH 産生 MFH を初めて報告した。PTH プロモーター領域に結合する転写因子 NF-Yβ、Sp3、それらと結合するヒストンアセチル化酵素 p300、CBP、PCAF、さらに PTH の mRNA を安定化する AUF1、Unr の発現が増加しており、PTH mRNA の転写促進や安 定化が本腫瘍における異所性 PTH 産生に関与していることが示唆された。

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