数学解析 第 3 回
〜 実数の性質 (第3回),数列の極限(第1回)〜
桂田 祐史
2020年5月25日
本日の内容&連絡事項
S2もオンライン授業になり、対面形式の期末試験は実施しないこと が決定した。成績評価の方法を変更する。5月29日までに「シラバ スの補足」に記述する。
本日の授業内容
1章「実数の性質」を終え、2章「数列の極限」に入る。
数列の極限については、「数学の方法」で一通り学んだはずなので、
なぜそのように定義するかなどの説明は省略して、小走りモードで進 む。基本的な命題を証明していく。
1週間待ったので、問1の解説を行う。問2もすでに締め切りは過ぎ たが、やはり1週間待つことにして次回解説する。
本日はアンケートのみで宿題はなし。様子を見て、次回の宿題から1 週間の猶予を続けるか止めるか決める。
アンケートの提出期限が月曜になっているのを、金曜に変更する。
月曜中に講義を聴講することを勧めるが、今学期は落ちつかないので、難 しいこともあるであろう、という判断である。アンケート中に「月曜に聴 講できたか」という質問があるが、「いいえ」と解答してもペナルティは一 切ない。(学生の勉強のペースを知りたいだけである。)
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 2 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 復習 )
問: アルキメデスの公理を書け。
答: (∀a>0) (∀b>0) (∃n∈N) na>b.
おまけの余談 アルキメデスの公理の理解に(少し?)役立ちそうな話。na>bはn> b a と同値であるから、aとbが与えられたら、商 b
a を計算して、その整数部分
⌊b a
⌋ に1 を加えた数をnとすれば、n>b
a は成立する。 例えば、a= 0.123,b= 98.7であれば b
a = 802.43· · · なので、n= 803とすれば na>bが成り立つ。
このやり方でアルキメデスの公理が証明できそうに考えるかもしれない。この辺は実 数をどのように定義するかによる。実数が小数展開できることも保証する必要がある。 実は、Rが可換体、順序体の公理を満たすことだけからは、任意の実数が小数表示が出 来ることは証明できない。Weierstrassの上限公理を用いてアルキメデスの公理を証明す ると、実数の小数展開の証明に取り掛かれる準備ができる(この講義では証明しない)。
1.4 アルキメデスの公理 ( 復習 )
問: アルキメデスの公理を書け。
答: (∀a>0) (∀b>0) (∃n∈N) na>b.
おまけの余談 アルキメデスの公理の理解に(少し?)役立ちそうな話。na>bはn> b a と同値であるから、aとbが与えられたら、商 b
a を計算して、その整数部分
⌊b a
⌋ に1 を加えた数をnとすれば、n>b
a は成立する。 例えば、a= 0.123,b= 98.7であれば b
a = 802.43· · · なので、n= 803とすれば na>bが成り立つ。
このやり方でアルキメデスの公理が証明できそうに考えるかもしれない。この辺は実 数をどのように定義するかによる。実数が小数展開できることも保証する必要がある。 実は、Rが可換体、順序体の公理を満たすことだけからは、任意の実数が小数表示が出 来ることは証明できない。Weierstrassの上限公理を用いてアルキメデスの公理を証明す ると、実数の小数展開の証明に取り掛かれる準備ができる(この講義では証明しない)。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 3 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 復習 )
問: アルキメデスの公理を書け。
答: (∀a>0) (∀b>0) (∃n∈N) na>b.
おまけの余談 アルキメデスの公理の理解に(少し?)役立ちそうな話。na>bはn> b a と同値であるから、aとbが与えられたら、商 b
a を計算して、その整数部分
⌊b a
⌋ に1 を加えた数をnとすれば、n>b
a は成立する。
例えば、a= 0.123,b= 98.7であれば b
a = 802.43· · · なので、n= 803とすれば na>bが成り立つ。
このやり方でアルキメデスの公理が証明できそうに考えるかもしれない。この辺は実 数をどのように定義するかによる。実数が小数展開できることも保証する必要がある。 実は、Rが可換体、順序体の公理を満たすことだけからは、任意の実数が小数表示が出 来ることは証明できない。Weierstrassの上限公理を用いてアルキメデスの公理を証明す ると、実数の小数展開の証明に取り掛かれる準備ができる(この講義では証明しない)。
1.4 アルキメデスの公理 ( 復習 )
問: アルキメデスの公理を書け。
答: (∀a>0) (∀b>0) (∃n∈N) na>b.
おまけの余談 アルキメデスの公理の理解に(少し?)役立ちそうな話。na>bはn> b a と同値であるから、aとbが与えられたら、商 b
a を計算して、その整数部分
⌊b a
⌋ に1 を加えた数をnとすれば、n>b
a は成立する。
例えば、a= 0.123,b= 98.7であれば b
a = 802.43· · · なので、n= 803とすれば na>bが成り立つ。
このやり方でアルキメデスの公理が証明できそうに考えるかもしれない。この辺は実 数をどのように定義するかによる。実数が小数展開できることも保証する必要がある。
実は、Rが可換体、順序体の公理を満たすことだけからは、任意の実数が小数表示が出 来ることは証明できない。Weierstrassの上限公理を用いてアルキメデスの公理を証明す ると、実数の小数展開の証明に取り掛かれる準備ができる(この講義では証明しない)。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 3 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。 集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A)x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A)x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 4 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A) x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A) x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U.
だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 4 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A) x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U.
(証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A) x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1. ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U. ゆえに Nは上に有界ではない。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 4 / 18
1.4 アルキメデスの公理 ( 続き ) N は上に有界でない
「上に有界」という言葉のイメージを持っていれば「Nは上に有界でな い」ということは明らかに思える。証明するにはどうしたら良いだろう。
まず上に有界でないということはどういうことか。
集合 Aが上に有界 ⇔(∃U ∈R) (∀x∈A) x ≤U
集合 Aが上に有界でない ⇔ (∀U ∈R) (∃x∈A) x>U. だから証明すべきことは(∀U ∈R) (∃x∈N) x >U. (証明のヒント) アルキメデスの公理を使う。
(証明) U を任意の実数とする。アルキメデスの公理を a:= 1, b :=|U|+ 1に適用すると、ある自然数n が存在して、n·1>|U|+ 1.
ゆえに x :=n とおくと、x は自然数であり
x =n>|U|+ 1>|U| ≥U. ゆえに x >U.
ゆえに Nは上に有界ではない。
不等式の復習
以下でよく使う不等式を復習しておこう。
(a) 任意の A,B ∈R に対して、|A| ≤B ⇔ −B ≤A≤B.
(b) 任意の実数x,y に対して、|x+y| ≤ |x|+|y|(三角不等式).
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 5 / 18
不等式の復習
以下でよく使う不等式を復習しておこう。
(a) 任意の A,B ∈R に対して、|A| ≤B ⇔ −B ≤A≤B.
(b) 任意の実数x,y に対して、|x+y| ≤ |x|+|y|(三角不等式).
1.5 有界
有界という概念もある。多次元空間Rn で重要になる。
定義
(Rの有界な部分集合)
A⊂Rとする。A が有界 (bounded) であるとは (∃R ∈R)(∀x ∈A) |x| ≤R が成り立つことをいう。
実は一般に、「有界⇔ 上に有界かつ下に有界」が成り立つ。
(⇒) |x| ≤R は−R≤x ≤R と同値であるから、有界ならば上に有界 かつ下に有界であることが分かる(U :=R,L:=−R とすればよい)。 (⇐) L≤x≤U が成り立つとき、R := とおくと、−R≤x ≤R が成り立つ。ゆえに |x| ≤R.
をどうすれば良いかはクイズにしておく。このスライドの末尾 に答えを書いておく。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 6 / 18
1.5 有界
有界という概念もある。多次元空間Rn で重要になる。
定義
(Rの有界な部分集合)
A⊂Rとする。A が有界 (bounded) であるとは (∃R ∈R)(∀x ∈A) |x| ≤R が成り立つことをいう。
実は一般に、「有界⇔ 上に有界かつ下に有界」が成り立つ。
(⇒) |x| ≤R は−R≤x ≤R と同値であるから、有界ならば上に有界 かつ下に有界であることが分かる(U :=R,L:=−R とすればよい)。
(⇐) L≤x≤U が成り立つとき、R := とおくと、−R≤x ≤R が成り立つ。ゆえに |x| ≤R.
をどうすれば良いかはクイズにしておく。このスライドの末尾 に答えを書いておく。
1.5 有界
有界という概念もある。多次元空間Rn で重要になる。
定義
(Rの有界な部分集合)
A⊂Rとする。A が有界 (bounded) であるとは (∃R ∈R)(∀x ∈A) |x| ≤R が成り立つことをいう。
実は一般に、「有界⇔ 上に有界かつ下に有界」が成り立つ。
(⇒) |x| ≤R は−R≤x ≤R と同値であるから、有界ならば上に有界 かつ下に有界であることが分かる(U :=R,L:=−R とすればよい)。 (⇐) L≤x≤U が成り立つとき、R := とおくと、−R≤x ≤R が成り立つ。ゆえに |x| ≤R.
をどうすれば良いかはクイズにしておく。このスライドの末尾 に答えを書いておく。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 6 / 18
2 数列の極限 ( 定義と簡単な性質 )
数列の極限については「数学の方法」で学んだはずなので、なぜその ように定義するか等は省略する。
目標は、lim
n→∞
n2+ 2n+ 3 3n2+ 2n+ 1 = 1
3 をきちんと理解すること。
2.1 数列とは N から R への写像である
N={1,2,· · · } から Rへの写像のことを(つまり a:N→Rである a を) 数列 (sequence) または実数列という。
写像 a:N→Rによるn の像 a(n) のことを通常はan と書き、数列自 体を {an}n∈N と表す、とみなすと良い。
an のことを数列{an}n∈N の第n項と呼ぶ。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 8 / 18
2.2 収束、極限、発散
定義
(数列の収束
){an}n∈Nを数列、a∈R とする。n → ∞のとき、{an}n∈N がa に収束 する({an}n∈N converges to a)とは、
(♡) (∀ε >0)(∃N∈N)(∀n ∈N:n≥N) |an−a|< ε
が成り立つことをいい、
an→a (n→ ∞) と表す。
an→aであるような aは存在するとしても、ただ1つしかない(極限 の一意性)。
aのことを {an} の極限 (limit)と呼び、 lim
n→∞an で表す。
極限の一意性は認めることにする (講義ノートには証明してある)。
収束の条件の書き直し , 収束しない条件
条件 (♡) は、
(♠) (∀ε >0)(∃N∈N)(∀n ∈N) (n≥N⇒ |an−a|< ε)
とも書ける。こちらの方が慣れている人が多いかもしれない。
一般に∀x (P(x)⇒Q(x))を(∀x: P(x))Q(x) と書くのであった。 (♡) の形にしておくと、否定を作るときに機械的にできて便利である。 {an} がa に収束しないとは、
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n ∈N:n≥N) |an−a| ≥ε が成り立つことをいう。
: を使わないで書くと、次のようになる。
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n∈N) n ≥N∧ |an−a| ≥ε.
(少し分かりにくかも。¬(p⇒q)≡p∧ ¬q を使えばよいだけであるが。)
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 10 / 18
収束の条件の書き直し , 収束しない条件
条件 (♡) は、
(♠) (∀ε >0)(∃N∈N)(∀n ∈N) (n≥N⇒ |an−a|< ε)
とも書ける。こちらの方が慣れている人が多いかもしれない。
一般に∀x (P(x)⇒Q(x))を(∀x: P(x))Q(x) と書くのであった。
(♡) の形にしておくと、否定を作るときに機械的にできて便利である。
{an} がa に収束しないとは、
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n ∈N:n≥N) |an−a| ≥ε が成り立つことをいう。
: を使わないで書くと、次のようになる。
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n∈N) n ≥N∧ |an−a| ≥ε.
(少し分かりにくかも。¬(p⇒q)≡p∧ ¬q を使えばよいだけであるが。)
収束の条件の書き直し , 収束しない条件
条件 (♡) は、
(♠) (∀ε >0)(∃N∈N)(∀n ∈N) (n≥N⇒ |an−a|< ε)
とも書ける。こちらの方が慣れている人が多いかもしれない。
一般に∀x (P(x)⇒Q(x))を(∀x: P(x))Q(x) と書くのであった。
(♡) の形にしておくと、否定を作るときに機械的にできて便利である。
{an} がa に収束しないとは、
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n ∈N:n≥N) |an−a| ≥ε が成り立つことをいう。
: を使わないで書くと、次のようになる。
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n∈N) n ≥N∧ |an−a| ≥ε.
(少し分かりにくかも。¬(p⇒q)≡p∧ ¬q を使えばよいだけであるが。)
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 10 / 18
収束の条件の書き直し , 収束しない条件
条件 (♡) は、
(♠) (∀ε >0)(∃N∈N)(∀n ∈N) (n≥N⇒ |an−a|< ε)
とも書ける。こちらの方が慣れている人が多いかもしれない。
一般に∀x (P(x)⇒Q(x))を(∀x: P(x))Q(x) と書くのであった。
(♡) の形にしておくと、否定を作るときに機械的にできて便利である。
{an} がa に収束しないとは、
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n ∈N:n≥N) |an−a| ≥ε が成り立つことをいう。
: を使わないで書くと、次のようになる。
(∃ε >0)(∀N∈N)(∃n∈N) n ≥N∧ |an−a| ≥ε.
(少し分かりにくかも。¬(p⇒q)≡p∧ ¬q を使えばよいだけであるが。)
収束列
収束する点(極限) に言及せず、単に「収束する」と言うことが結構ある。
定義
(収束列
){an}n∈N を数列とする。
(∃a∈R) lim
n→∞an=a
が成り立つとき、「{an}n∈Nは収束列である」、「{an}n∈N は収束する」、
「{an}n∈Nの極限が存在する」、「{an}n∈Nは極限を持つ」という。数列 {an}n∈N が収束しないとき、{an}n∈N は発散するという。
問 {an} が収束しないことを論理式で表せ。
答 (∀a∈R) (∃ε >0) (∀N∈N) (∃n∈N: n ≥N) |an−a| ≥ε.
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 11 / 18
収束列
収束する点(極限) に言及せず、単に「収束する」と言うことが結構ある。
定義
(収束列
){an}n∈N を数列とする。
(∃a∈R) lim
n→∞an=a
が成り立つとき、「{an}n∈Nは収束列である」、「{an}n∈N は収束する」、
「{an}n∈Nの極限が存在する」、「{an}n∈Nは極限を持つ」という。数列 {an}n∈N が収束しないとき、{an}n∈N は発散するという。
問 {an} が収束しないことを論理式で表せ。
答 (∀a∈R) (∃ε >0) (∀N∈N) (∃n∈N: n ≥N) |an−a| ≥ε.
2.2 収束、極限、発散 ( 続き ) 定数数列の極限
命題
実数 c に対して、an=c (n∈N) で定まる数列{an}n∈N について
nlim→∞an=c.
(証明) 任意の ε >0 に対して、N:= 1とおくと、N は自然数であり、
n ≥N を満たす任意の n∈Nに対して、
|an−c|=|c−c|=|0|= 0< ε であるから、 lim
n→∞an=c.
注意 この証明を問にすると、「任意の自然数をN とすると」と書く人がいる。 条件を満たす自然数が存在することを主張すべきなので、具体的に「N:= 1と おくと」とする方が良い。一般には、(∀n∈A)P(n)は(∃n∈A)P(n)を導かな い。(なぜでしょう?)
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 12 / 18
2.2 収束、極限、発散 ( 続き ) 定数数列の極限
命題
実数 c に対して、an=c (n∈N) で定まる数列{an}n∈N について
nlim→∞an=c.
(証明) 任意の ε >0 に対して、N:= 1とおくと、N は自然数であり、
n ≥N を満たす任意の n∈Nに対して、
|an−c|=|c−c|=|0|= 0< ε であるから、 lim
n→∞an=c.
注意 この証明を問にすると、「任意の自然数をN とすると」と書く人がいる。 条件を満たす自然数が存在することを主張すべきなので、具体的に「N:= 1と おくと」とする方が良い。一般には、(∀n∈A)P(n)は(∃n∈A)P(n)を導かな い。(なぜでしょう?)
2.2 収束、極限、発散 ( 続き ) 定数数列の極限
命題
実数 c に対して、an=c (n∈N) で定まる数列{an}n∈N について
nlim→∞an=c.
(証明) 任意の ε >0 に対して、N:= 1とおくと、N は自然数であり、
n ≥N を満たす任意の n∈Nに対して、
|an−c|=|c−c|=|0|= 0< ε であるから、 lim
n→∞an=c.
注意 この証明を問にすると、「任意の自然数をN とすると」と書く人がいる。
条件を満たす自然数が存在することを主張すべきなので、具体的に「N:= 1と おくと」とする方が良い。一般には、(∀n∈A)P(n)は(∃n∈A)P(n)を導かな い。(なぜでしょう?)
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 12 / 18
2.2 収束、極限、発散 ( 続き ) lim
n→∞
1 n = 0
次の定理は高校では「イメージ」で説明してある (でも証明はされていない)。
命題
nlim→∞
1 n = 0.
(証明) アルキメデスの公理より、任意の正の数εに対して、ある N∈N が存在して
Nε >1.
このとき、n≥N を満たす任意の n∈N に対して 1
n −0
= 1
n ≤ 1 N < ε. これは lim
n→∞
1
n = 0 を示している。
2.2 収束、極限、発散 ( 続き ) lim
n→∞
1 n = 0
次の定理は高校では「イメージ」で説明してある (でも証明はされていない)。
命題
nlim→∞
1 n = 0.
(証明) アルキメデスの公理より、任意の正の数εに対して、ある N∈N が存在して
Nε >1.
このとき、n≥N を満たす任意の n∈N に対して 1
n −0
= 1
n ≤ 1 N < ε.
これは lim
n→∞
1
n = 0 を示している。
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 13 / 18
2.3 極限の基本的な性質
次の定理も高校の教科書に載っている(でも証明はされていない)。
命題
数列 {an}が aに、{bn}がb に収束するならば、
nlim→∞(an+bn) =a+b, lim
n→∞(an−bn) =a−b, lim
n→∞(an·bn) =a·b.
さらに b ̸= 0, (∀n ∈N) bn̸= 0 ならば
nlim→∞
an
bn = a b.
今日は、和について証明する。差については練習問題とする。積と商 については次回説明する。
2.3 極限の基本的な性質
上のスライドの定理まで出来れば、高校の教科書にある次の計算が正 当化できる。
nlim→∞
n2+ 2n+ 3
3n2+ 2n+ 1 = lim
n→∞
1 + 2n1 + 3n12
3 + 21n+n12
= 1 + 2·0 + 3·02 3 + 2·0 + 02 = 1
3.
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 15 / 18
2.3 極限の基本的な性質 :
limn→∞(an+bn) = lim
n→∞an+ lim
n→∞bn
(証明)εを任意の正の数とする。(普通は省略されるが「ε/2>0 である」。) {an}がa に収束することから、ある自然数N1が存在して
(∀n∈N:n≥N1) |an−a|< ε 2. {bn} がbに収束することから、ある自然数N2 が存在して
(∀n∈N:n≥N2) |bn−b|< ε 2.
N:= max{N1,N2} とおくと、(これも普通は当たり前なので、省略されるこ とが多いが「Nは自然数であり」)、n≥Nを満たす任意の自然数nに対して
|(an+bn)−(a+b)|=|(an−a) + (bn−b)| ≤ |an−a|+|bn−b|
< ε 2 +ε
2 =ε. ゆえに
|(an+bn)−(a+b)|< ε. ゆえに lim
n→∞(an+bn) =a+b.
2.3 極限の基本的な性質 :
limn→∞(an+bn) = lim
n→∞an+ lim
n→∞bn
(証明)εを任意の正の数とする。(普通は省略されるが「ε/2>0 である」。) {an}がa に収束することから、ある自然数N1が存在して
(∀n∈N:n≥N1) |an−a|< ε 2. {bn} がbに収束することから、ある自然数N2 が存在して
(∀n∈N:n≥N2) |bn−b|< ε 2.
N:= max{N1,N2}とおくと、(これも普通は当たり前なので、省略されるこ とが多いが「Nは自然数であり」)、n≥Nを満たす任意の自然数nに対して
|(an+bn)−(a+b)|=|(an−a) + (bn−b)| ≤ |an−a|+|bn−b|
< ε 2 +ε
2 =ε.
ゆえに
|(an+bn)−(a+b)|< ε.
ゆえに lim
n→∞(an+bn) =a+b.
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 16 / 18
問 1 解説
クイズの答え
L≤x ≤U が成り立つとき、R をどう定めれば、−R ≤x ≤R が成り 立つか。
答えは一つではない。例えばR:= max{U,−L} とすれば良い。
こうするとU ≤R かつ −L≤R. 後者からL≥ −R.
ゆえに−R ≤L≤x≤U ≤R であるから −R ≤x ≤R.
桂田 祐史 数学解析 第3回 2020年5月25日 18 / 18