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独占企業の時間的差別価格政策

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(1)

67

独占企業の時間的差別価格政策

大 石 英 貴

   (人間科学)

1.序

 我々が日常購入する多くの商品の価格は時間が経つと安くなる。季節商品は 季節の終わりになると安売りを始めるし,電化製品などは新製品が発売される と旧型の製品の価格が安くなる。スーパrでは閉店間際になると生鮮食料品を 安値で販売する。これらの現象は,購入時期によって異なる価格を付ける販売 者による時間的差別価格政策である。

 この時間的差別価格政策は次に挙げるいくつかの要因が複合されたものであ ろう。第一に,すべての消費者の評価(効用)は時間の経過と共に減少する。

冬物商品に対する評価は冬の残りが少なくなると当然低くなるし,新製品が投 入されると旧型の価値は低くなる。企業はこの評価の減少に応じて価格を引き 下げる。第二に,そもそもある商品がどれくらいの売れ行きになるかは,商品 の製造者や販売者には完全には分からない。消費者の需要は不確実である。販 売者は需要の予想をして商品を仕入れるが,実際の需要が予想よりも過小で あった場合には,過剰在庫が発生する。この過剰在庫を処理するために安値販 売が行われる。第三に,同じ商品に対しても各消費者の評価はまちまちである。

ある商品を高く評価して高値で買っても良いと考える者もいれば,ほとんど評 価せず相当安くないと買わないと考える者もいるだろう。企業は時間が経つと 価格を下げて,多様なを評価持つ消費者になるべく多く財を売ろうとする。

 この稿では時間的差別価格政策を生み出す上に挙げた要因のうち,第三の

「消費者の評価の違い」に焦点を当てて検討する。財(商品)の販売者は,多

(2)

様な評価を持つ多くの消費者に対してどのような価格付けを行うのが利益を上 げられるのか,また,各消費者はいつ購入すれば良いかについて,ゲーム理論 を用いて分析する。

 以下では2節で基本的なモデルを提示し,3節で2期間モデルに拡張する。

4節では2つのモデルの余剰分析をおこない,終節で結果の含意を考察する。

2.基本モデル

 ある財を販売する独占企業を考える。この財の販売に関して固定費用は0,

限界費用はc(6>0)とする。企業は価格ρ(ρ≧0)を戦略として提示する。

需要が4のときこの企業の利潤をπとすると,

π(カ,ロ)=(ρ一τ)4

となる。

 この財の市場には無限に多数の消費者が1単位存在する。消費者の財に対す る評価は0から万まである。なお,万>cとする。評価〃∈[0,司の消費 者の密度は1/万である。消費者の戦略エは財を購入する⑰=1)か購入しな い巨=0)かである。価格♪が提示されたとき財の評価〃の消費者が財を購入 すれば効用〃一ρ,購入しなければ効用0を得るとする。すなわち,戦略∬を 取ったときの効用をμ(♪,エ,のとすると,

μ(ρ,エ,の=エ(卜♪)

となる。

 この状況はゲームとして次のように記述される。まず企業が価格ρ(ヵ≧0)

を示す。各消費者は購入する⑰=1)か購入しない⑰ニ0)かを決定する。評 価0の消費者の価格♪に対する戦略をエ(ρ,のと表す。各消費者の購入の集 積が需要となり,

輌,・))一∫㌧(ρ,のd〃

(3)

       独占企業の時間的差別価格政策      6g と表される。企業は利潤π(ヵ,のを得る。

 ここで用いる均衡概念は部分ゲーム完全均衡である。評価〃の消費者は価 格ヵに対して効用が最大となる戦略エ*(ρ,のを選び,企業は消費者のその行 動を所与として利潤が最大となる価格♪*を選ぶ。

 まず,消費者の行動を考える。価格よりも自分の評価が高ければ購入するの で,最適戦略エ*(♪,のは,

      〆(♪の一ぱ:1

となる。

 次に企業の戦略を考える。消費者が戦略エ*(ρ,・)を取り,企業が価格♪を 提示するときの需要4⑰*(ρ,・))をg*(ρ)とすると,

       ピ(ρ)一{晋㍑

となり,そのときの利潤π(ρ,4*(♪))をπ*(♪)とすると,

      醐一{『篤

となる。企業はこのπ*(ρ)を最大化するように価格を決めるので,最適価格

♪*は

       ♪・一牛

となる。

 この部分ゲーム完全均衡経路での需要4*=4*(ρ*)は       4*一芸

であり,企業の利潤π*=π*(ヵ*)は

       π・一(〃一τ)2

       40

(4)

である。また,この市場における消費者の効用の総和である消費者余剰CSは          cs−£κ(か・(か),の÷d〃

      一∫二(  〃十6 −2)÷d・

      2       _(〃−6)2        8万

で,企業の利潤と消費者余剰の和である社会的総余剰τSは τS=π*十C8

 _3(δ一τ2)

8万 となる。

3.2期間モデル

 次に,2期間に拡張しよう。企業とすべての消費者に共通の割引因子を δ(0<δ<1)とする。2期間の各期で,企業が価格をつけてから消費者が購 入を決定する。なお,各消費者は財をたかだか1単位しか購入しないと仮定す る。1期で購入した消費者は市場から退出する。2期での購入の可能性のある 潜在的な消費者は1期で購入しなかった消費者である。無限に多数の消費者は 匿名であると考えるのが妥当であるので,どの消費者が購入したかは企業には 分からないとしよう。1期末に企業が観察できるのは1期の需要のみであり,

その需要に応じて企業は2期の価格を提示し,残っている消費者が購入の有無 を決定する。

 ゴ期の企業の利潤π,は,価格をρ輌,需要4、をとすると,

π,(ρ ,∂=(ρ一τ)4,

となり,総利潤πは

(5)

独占企業の時間的差別価格政策       71

      π=π1十δπ2

      

である。また,評価〃の消費者が価格♪で財を購入すると,購入した期に効

用μ(ρ,の,すなわち,

%(ρ,の=ρ一〃

が得られる。2期での購入ならば,1期での割引効用はδ〃(♪,のとなる。

 企業および消費者の戦略は次のような情報構造に依存して決定される。1期 には,まず企業が価格ヵ、(♪、≧0)を付ける。評価〃の消費者の戦略覇(♪、,

のは,価格♪、に対して購入する(顕=1)か購入しない(萌=0)かの決定で ある。その集積が1期の需要

4・(エ・(♪1,・))一∬エ・(ρ1,〃)d〃

となり,企業は1期の利潤π、(ヵ1,4、)を得る。

 2期には,企業にとって分かっている情報は自分が示した1期の価格ク、と 観察された需要のである。企業はこれに対してどの消費者が購入せずに市場

に残っているかの予想γ(ヵ、,41)(γ(♪、ど4、)⊂[0,司)をする。なお,集合 ノ1⊂[0,司の定義関数をφパのとし,

μ(A)一∬φ・(の÷d〃

を集合Aの測度とすると,需要4、を観察したときは測度1−41の消費者が 残っているので,

μ(γ(ρ1,4rl))=1−41

となる予想をする。この予想に対して2期の価格ρ2(γ)(ρ2(γ)≧0)を付け る。これに対して,覇=0であった消費者は購入する(エ2=1)か購入しない

(娩=0)かを決める。評価〃の消費者の戦略が砺(ρ2,のである。その集積

が2期の需要

(6)

     4、(エ、(♪1,・),鋤・,・))一∫鋤・,のd〃

      エ くカ りの   となり,企業は2期の利潤π2(ρ2,g2)を得る。

 このモデルで用いられる解はMyerson(1991)の弱逐次的均衡(weakly se−

quential equilibrium)である。弱逐次均衡とは,戦略と信念の組であり,戦略 がすべての情報集合で信念に対して利得を最大化し(逐次合理的),均衡経路 上の情報集合で信念が戦略から生成される(弱整合的)ものである。

 まず,消費者側の戦略を考えよう。第2期の価格ρ2に対して評価〃の消費 者は,o>ρ2すなわち評価が価格を上回れば購入する。したがって消費者の2 期での均衡戦略は

      嚇の一{1㌶

となる。第1期の戦略萌(ρ1,のについては,消費者が無限に多数存在する ことが重要となる。評価〃の消費者は測度0であるので,その戦略覇(ρ1,の の変更は,1期の需要4、に何も影響を与えず,したがって企業の予想γにも 影響せず,したがって2期の価格ヵ2にも影響しない。よって,評価〃の消費 者は,他の消費者と企業の戦略の変化を考えずに,1期に購入して効用〃一♪1

を得るか,2期に購…入して効用δぴ一ヵ2)を得るか,購入せずに効用0を得る かの3つの選択肢から選ぶことになる。

 ここで,評価〃の消費者が1期で購入するのが最適ならば,〆〉〃なるす べての評価〆の消費者にとっても最適であることがいえる。すなわち,

〃一ρ、>max(δb一ρ2),0)

ならば,すべての〆〉〃で

〆一ρ1>max(δ(ガーρ2),0)

となる。したがって,1期の価格ρ1に応じて〃、(ヵ、)(0≦〃1(ヵ1)≦ρ)が存在

(7)

独占企業の時間的差別価格政策      73

して,

覇・(カ・・の一 oll蒜1

となる。1期で価格ヵ、が提示されると,〃、(♪1)より評価が高い消費者のみが 購入する。

 1期の価格ρ、に対して,均衡経路上で実現する1期の需要4、(萌*(ρ、,

・))を41*(♪、)とすると,

       4、*(ρ、)一型

となり,1期の利潤π1(ρ1,{71*(、ρ1))をπ、*(ρ、)とすると,

      π、*(ρ1)一(1−・)(≡・(1))

       〃

となる。

 次に,企業の価格付け戦略を考えよう。企業は2期では,1期の価格♪1と 観察された需要41をもとに,どの消費者が購入せずに市場に残っているかの

信念γ(ρ1,4、)(γ(ρ、,4、)⊂[0,司)を持つ。

 価格♪、から始まる部分ゲームでの均衡経路にない4、,すなわち4、≠4、*

(ρ、)を観察したとき,企業の信念γ(♪、,4、)について弱整合性は制約を何も 課さない。企業は任意の信念のもとで2期の利潤を最大にする2期の価格を選 ぶ。消費者が無限に存在することより,1人の戦略変更では均衡経路をまった く変化させないので,この均衡経路外の情報集合以後の企業の信念や価格付け は均衡経路での消費者の戦略決定には無関係である。

 均衡経路上すなわち4、=4、*(ρ1)を観察したときは,企業の1期の価格ρ1 に対して消費者が最適に反応したときであり,弱整合性より

γ(ρ1,41*(」Ol))=[0,〃1(ρ1)]

である。すなわち,財の評価が0≦〃≦〃1(♪1)の消費者のみが購入せずに市

(8)

74       大石英貴

場に残っている。企業は消費者の集合[0,〃、(ρ、)]に対して財を販売する。

ここで,価格ヵ2を付けたときの2期の需要42(工1*(、ρ1,・),エ2*(ρ2,・))を 42*(4、,ρ2)とすると,

       げ(醐一{『;:二㍑

となり,そのときの2期の利潤π2*(ρ2,42*(♪、,ヵ2))をπ2*(♪、,ρ2)とする

と,

    一一{12−°(⊇)−D鴛;豊

となる。

 [0,〃1(ρ1)]の信念のとき,2期の利潤π2*(ρ1,♪2)を最大にする価格ヵ2

([0,〃1(♪、)])をρ2*(ρ1)とすると,〃、(ρ1)≦¢のときは

       カ、*(ρ1)∈{ヵ1ヵ≧0、(ρ、)}

であり,42*=0かつπ2*=0となる。

 6<〃、(♪1)のときは

ρ・*(ρ・)一並1些一

であり,そのときの需要42*(ρ1,ρ2*(ヵ1))を42*(ρ、)とすると,

      σ・*(ρ1)一当ユ

で,利潤π2*(♪1,ρ2*(ヵ1))をπ2*(♪、)とすると,

       π・*(ρ1)」『止

である。

 したがって,1期で価格ρ、を付けたときの利潤の合計をπ。*(♪1)とすると

   π・*(ρ1)=π、*(ρ1)+δπ、*(ρ、)

(9)

       独占企業の時間的差別価格政策       75

一に1匡ll;lll+δr:1;∵:

となる。

 次に〃1(ρ、)を求めよう。0≦〃1(ρ1)≦cのとき,評価〃1(ρ1)の消費者に とって,1期で購入したときの効用〃1(ρ1)一ρ、と,購入しないときの効用0 が等しくなっている。すなわち,

       〃1(ク1)一ρ1=0

より,

      〃1(カ1)=ρ1

である。0≦〃1(ρ1)≦6より,0≦ρ、≦6に限る。また,6≦〃1(ρ1)<万な らば,評価〃、(ρ1)の消費者は,1期で購入したときの効用〃、(ρ1)一ρ、と,

2期で購入するときの効用δ(〃、(ρ1)一ρ2*(ρ1))が等しくなっている。すな わち

         〃1(ρ1)−1り1=δ(〃1(ρ1)一力2*(カ1))

      _δ(〃11)一¢)

       2

より,

       〃、(♪、)一砦

である。なおc<〃、(ρ、)<万より,

       ・<ρ、<(2一δ1万+δc

のときに限る。また,{(2一δ)万+δc}/2<ρ1のときは,すべての〃∈[0,

司で

       〃一ρ1<δ白一ρ、*(ρ、))

(10)

76       大石英貴

となり,2期で購入するときの効用の方が高いので,の(ρ、)=万となる。

 これらをまとめると,

〃、(ρ、)=

ρ1      0≦カ1≦τ

誓辛 ・<ρ1<(2一δ1万+δ・

万   (2一δ1万+δc≦ρ、

となる。

〃1(ρ1)が求められたので上述の式に代入すると,

π。*(ρ1)=

(1−¢)(び一 1)

   万       0≦ρ1≦¢

搭券!(♪「・)((2一δ)当1一δ)Lρ1)・〈ρ1<(2一δ1万+δ・

δ(〃一ε S〃)2 @   2一δ皇+δ・≦ρ1

となる。この総利潤を最大にする価格ρ1*は

♪・*一

である。したがって,〃1*=o、(ρ1*)とすると,

       *_(2一δ)2万十2(1一δ)c        1−    4−3δ

となる。これらをそれぞれ代入すると,

         4・*−2(1一δ)(万一6(4−3δ)万)

         π、*一(1一δ)(2一δ)2(三一・)2        (4−3δ)2〃

         吻・一(2一δ 2)( 圭li弄5δ)τ

         全・一(2一δ)(万一62(4−3δ)2ア)

         π、*一(2一δ)2(万一三)2

       4(4−3δ)2tノ

(11)

       独占企業の時間的差別価格政策      77       *_ (2一δ)2(σ一¢)2

      πo −   4(4−3δ)万

となる。また,i期の消費者余剰をCS,とすると,

      CS・一∫1ぴ一♪・*)÷d・

      _(1一δ)(2一δ2)σ一6)2       (4−3δ)2万       cふ一&(〃一ρ2*)÷d・

      _ (2一δ)2(万一6)2       8(4−3δ)2ρ

となり,総消費者余剰C5。は

      CSo=CS1十CS2

      _ (4−3δ2)(σ一τ)2       8(4−3δ)〜ア である。また,社会的総余剰TS。は

      τS。=π。*+C5。

       _ (12−8δ一δ2)(万一6)2        8(4−3δ)万

となる。

 2期間モデルで企業が1期の価格を,1期間モデルの最適価格であるヵ1 = 1/2とした場合を考えてみよう。このとき,

      ノ  1     ,_1一δ    ,_ 1一δ       01=肩・   41−i百・    π1−2(2一δ)・

      餌一論・㎡一㎡・㎡一4(2≒),,

       、_4−5δ十2δ2       π0 −

       4(2一δ)2

で,

       π、1〈π1*,π2 〉π2*

かつ

(12)

1期間

cfル

2期間モデル

1期 2期

万十c (2一δ)2万+(4−2δ一δ2)c (2一δ)万+(6−5δ)c

ρ

2 24−3δ 2(4−3δ)2

σ一c 2(1一δ)(万一6) (2一δ)(万一6)

(6−5δ)(万一τ)

4 2万 (4−3δ)万 2(4−3δ)万 2(4−3δ)σ

(〃−6)2 (1一δ)(2一δ)2(万一c)2 (2一δ)2(万一6)2 (2一δ)2(ρ一c)2

π

4万

(4−3δ)2δ

4(4−3δ)2万 4(4−3δ)σ

CS

(〃一τ)2 (1一δ)(2一δ2)(万一c)2 (2一δ)2(万一c)2 (4−3δ2)(び一c)2

8万 (4−3δ)2万 8(4−3δ)2δ 8(4−3δ)万

3(び一c2)

2(1一δ)(3−2δ)(万一6)2

3(2一δ)2(万一〇)2 (12−8δ一δ2)(万一6)2

TS 8万 (4−3δ)2万 8(4−3δ)2σ 8(4−3δ)∬

表1.1期間モデルと2期間モデルの均衡結果

       πo <πo*

となる。企業は1期でρ1 =1/2より低い価格ρ1*=(2一δ)2/2(4−3δ)を付け ることによって,需要を増加させて利潤を増やす。2期では評価の低い消費者 が残り,価格は低く需要も減少するが,総利潤は最大化されている。

 以上2つのモデルの結果は表1にまとめられている。

4.2つのモデルの余剰分析

 この節では特に,万=1,τ=0の場合の比較を行う。なお,この設定は一般 的な場合の本質的な性質をまったく失わない。

 万=1,c=0を代入すると,1期間モデルでの均衡戦略は        ♪・一土

       wの一{1㍑

で,結果は

4・一 ・π・−rC cs−÷τs一昔

(13)

独占企業の時間的差別価格政策       7g

2期間モデル

1期 2期

1百

(2一δ)2

Q(4−3δ)

 2一δ Q(4−3δ)

4

1百

2(1一δ)

S−3δ

 2一δ Q(4−3δ)

 6−5δ Q(4−3δ)

(1一δ)(2一δ)2 (2一δ)2 (2一δ)2

π

1互

(4−3δ)2 4(4−3δ)2 4(4−3δ)

(1一δ)(2一δ2) (2一δ)2 4−3δ2

C5

1百

(4−3δ)2 8(4−3δ)2 8(4−3δ)

2(1一δ)(3−2δ) 3(2一δ)2 12−8δ一δ2

TS

3百

(4−3δ)2 8(4−3δ)2 8(4−3δ)

      表2.c=0,万=1の場合の結果 となる。2期間モデルでの均衡戦略と信念は

      ρ1*−2篭≡;;,

         ⑳一{ll三蕊託

      γb、,・−2三δ♪・)一[・,2三δ♪11

      ρ・*([・,2三δ♪・1)−2圭δカ1

       飾・の一{1鴛㌻δか

となり,結果は

色・一 W≒i),ゴー(1蒜δ)2・C&一(1芸編り・τ&−2(1蒜2δ)

罐=2(2一δ    *_  2一δ

S−3δ)・・42−2(4−3δ),㎡一 S{i≡鵠・・C&=8ii≡藷・・ぴ一編);

4。−41*+豹・一 D,砺・−4儲),C&−84還)・τ&一=

となる。この結果は表2にまとめられている。

(14)

  2期間モデルでは

,        〃・(ρ1)=2皇δカ・

である。したがってすべてのρ4で

       ρ1<〃1(♪1)

である。2期間モデルでは,1期で購入して正の効用が得られる評価を持つ消 費者の一部が購入を差し控えて,2期でのより安い価格での購入を企むことが 分かる。1期間モデルでは機会は一度きりで,わずかでも正の効用が得られれ ば購入する。

 2つのモデルによる均衡結果の違いを検討していこう。なお,特に断りのな い限り以下の不等号はすべての0<δ〈1で成立する。価格は

      ♪*〉♪、*〉ρ,*

である。2期間モデルでは上述した消費者の1期での購入の差し控えがあるた め,企業は1期で比較的低い価格を付けざるを得ない。2期でのさらに低い価 格は評価の低い消費者への差別価格である。

 需要では

      4*<40*

である。当然であるが,2期間モデルの法が多くの財が購入される。

 企業の利潤については

       π*〉πo*

である。2期間で多くの財を売ることができるが,価格の低下がその効果を上 回る結果,2期間モデルでは企業の利潤が低下する。

 消費者余剰については

       C5<CSo

となる。2期間モデルでは,価格が低下iし需要も増加するために消費者余剰は

確実に増加する。

(15)

独占企業の時間的差別価格政策      81 社会的総余剰については

τS<TSo

である。2期間モデルでは1期間モデルと比べて,企業利潤の低下を上回る消 費者余剰の増加があるため,社会的総余剰は増加する。

 2期間モデルで,2期間とも同一の価格をつけるという制約を課す場合はど うなるであろうか。このとき,企業の付けるすべての価格に対して,ほとんど すべての消費者にとって,2期で購入することは厳密に支配された戦略である。

したがって,2期の需要はとなり,事実上1期間モデルと全く同じ状況になる。

つまり,比較するのは,2期間モデルで同一価格を付けるという制約がある場 合とない場合ということにもなる。

 このことと余剰分析が意味することは,企業が1期で2期間とも同一の価格 をつけるという脅しをして,消費者がそれを信じた場合には企業の利潤は増加 するということである。しかし,1期の需要が確定した後に2期の価格を決定 するときに,企業は1期より低い価格を付けて追加的な利潤を稼いだ方がいい

ことは明白であり,同一の価格を付けるという脅しは信用されない。

5.結語

 この稿では,巷で見られる安売りの要因として独占企業が時間的な差別価格 政策を採っていると考えて分析を進めた。販売が2期間のときは,企業は1期

に高い価格を,2期に低い価格をつける差別価格戦略を採るという結果が得ら れた。企業にとっては2期間の価格を同一にした方が総利潤が大きいが,その ような戦略は信用されない脅しであるため,現実的ではない。差別価格政策は 消費者余剰と社会的総余剰を増加させる望ましい政策である。

 しかし,同一価格政策が可能になる状況というのも考えられる。企業は販売

業者であり,製造業者から価格維持の制約を課されて販売を許可されているか

もしれない。これは再販売価格維持制度である。2期目に低い価格で販売する

(16)

ことは契約違反であるため,企業は同一価格で販売する。契約違反は取引の停 止などの報復を受ける可能性があり,長期的には契約に従って価格を維持した 方が企業にとってはよい。つまり,この稿のモデルにおいては再販制度は販売 業者にとっては望ましい制度であるが,消費者にとっては好ましくないといえ

る。そして,社会的な厚生の観点からも再販制度は非効率な制度である。

 この稿のモデルを,複占での価格競争,需要の不確実性などを取り入れたも のに拡張できれば,さらに現実的になるであろう。

参考文献

Myerson, R. B(1991), Gα〃2εTλωτyごAηα4y5るζゾCoψicz, Harvard Uni−

versity Press.

参照

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