一論文1九〇
独占資本主義の価格形成
海
野
八
尋
ヨは じ め に
本稿の課題は独占価格の設定方法と量的規定関係の︑別言すれば独占価格形成機構の原理的解明である︒独占価格
論展開の前提として生産と資本の集積・集中の高度化︑独占形成過程が検討されるべきであるが︑それについてのわ ハ ロれわれの基本的見解はすでに別稿で述べられているので︑本稿ではこの点について深くは立入らず︑独占価格成立の
根拠と条件を簡単に確認するにとどめる︒
マルクス経済学の独占価格をめぐる議論においては︑独占価格成立の根拠・条件︑独占価格の形成過程・運動を深
く究明しないで︑独占価格を独占支配によって成立する︑生産価格をこえる価格︑と規定することで独占価格解明が ハ ロ基本的に果され︑独占段階の価値法則の存続︑作用が確認されるとみる傾向が存在した︒逆に独占価格を規定する条 ︵3︶件の多様性を口実に独占価格の一般理論的分析の不可能性︑原理的解明の不当性を主張する見解も存在する︒独占段
階の価格形成機構の解明が軽視されていたことの背後には実は独占以前の段階の価格形成機構の解明自体が軽視され
てきたという事情がある︒たとえば市場価値規定について加重平均説をとるにせよ大量平均説をとるにせよその学説
の論証には価格形成過程そのものの解明︑つまり価値形成の競争論的解明が要請されるはずであるが︑多くはマルク ロスの叙述の解釈をめぐる議論にとどまっていた︒
独占段階固有の特殊の価格形成機構の解明を分析課題としてとりあげた努力は白杉庄一郎氏や平瀬巳之吉氏などの
研究にみられるが︑いずれにおいても価格形成と生産および資本の高度の集積・集中がうみだす諸要因との関連が不
明確であり︑価格形成過程の解明︑独占体の競争制限の効果の及ぶ過程の解明は果されていない︒価格形成はそもそ
も松石勝彦氏が指摘するように売手問︑売手・買手間︑買手間の三部面の競争関係を通じて︑直接には部門内の競争 ちロ関係を通じて行なわれるものである以上︑生産と資本の集積・集中の高度化や独占的結合のこの競争関係にあたえる り作用を考慮しないでは独占価格の形成機構を解くことは不可能である︒
独占価格形成機構が資本の相互関係の変化という事情に注目して分析されるようになったのは比較的最近であっ
て︑これは明らかに近代経済学派の影響をうけた﹁参入阻止価格説﹂の立場に立つ研究においてである︒参入阻止価
格説は後述するように参入を阻止する需給関係の実現が独占価格を成立させると主張するのであるが︑その特徴は部
門間競争の制限しかも独占の作用というより事実上高度の生産と資本の集積・集中の作用による部門間の資本移動制
限による供給制限を独占価格成立の条件として評価するのである︒この参入阻止価格説は説明の仕方に差異はあると
いえ︑マルクス経済学と近代経済学の両学派の独占価格論の定説になりつつある︒
これに対しわれわれの見解の基本的内容は︑ω生産と資本の高度の集積・集中と独占そのものの作用を明確に区別
する︑②独占価格は生産と資本の高度の集積・集中によって必然化した独占的結合によってはじめて成立する︑ある
−独占資本主義の価格形成一 九一
1論 文− 九二
いは価格の共同規制なくして独占価格の成立は語りえない︑③少数の大資本の生産の量的支配と資本移動制限に基づ
き︑供給制限によらないで価格が直接的に引きあげられる︑つまり独占価格が設定される︑ということである︒
本稿において独占価格に関する全ての問題をとりあげることはできない︒とくに独占価格形成機構と通貨信用制度
との関係︑独占価格と資本蓄積︑産業循環運動との関係の解明は重要であるにもかかわらず︑その重要性の根拠が若
干示唆されるにとどまるであろう︒また従来から論争の的でもあった価値︑生産価格︑独占価格の論理的・実体的関
連︑独占段階における価値法則の作用形態も正面きってとりあげられることはない︒基本的に本稿の展開は独占価格
形成機構と独占価格体系の原理的・静態的考察の次元にとどまっている︒この点を確認したうえで以下われわれの主
張をのべていこう︒
︵1︶ 拙稿﹁生産と資本の集積・集中と独占の形成﹂﹃土地制度史学﹄五六号︑一九七二年︒
︵2︶ たとえば常盤政治氏は次のようにいう︒﹁最近の独占価格論にかんする研究は︑企業経営的ビヘービァの調査研究や︑い
わゆる﹁近代経済学﹂的研究成果を利用し︑これを直接︑マルクス主義経済学の理論体系に持ち込もうとすることの結果︑
独占価格水準はどのような条件のもとでどのように決まるか︑その条件が変ったときにはどうなるか︑操業度が変化したと
きにはどうなるか︑一ファームープラントの場合と︑そうでない場合とではどうちがうか︑といった機能主義的分析に偏し
てきているきらいがある︒このような機能主義的分析は﹁近代経済学﹂の得意とするところである︒⁝⁝本質解明を忘れた
ファンクショナリズムの何たるやを知らねばならない︒﹂︵﹁独占価格論﹂ ﹃資本論講座﹄4青木書店︑一九六四年︑ニ二六
頁︶︒これは参入阻止価格説の立場に立つ研究を批判しているものと思われるが︑ 価格がなにゆえに︑いかにして成立す
るかという問題の一般的解明をぬきに﹁ファンクショナリズム﹂的分析に陥ることは正しくないとしても︑氏のように
躍なにゆえに︑いかにしてを不問のまま独占価格を﹁独占の支配力によって一般的生産価格以上につり上げられた価格﹂
︵同⁝頁︶規定する謬で柴充分であろ−.なるほどその︒菱﹂差しければ独占の収奪を主張できはするが独
占価格をそのよう規定し琶ころで収奪のメカニズム某明の嚢であり︑収奪が論証され忙ことにはならない.井暮
代子氏はこうし至撃﹁警価雰析馨独占利潤彙の本幕︑運動.発展分析なき収奪関係論﹂と評価する︵﹁蓼
論﹂ ﹃資本論講座﹄4︑一六八頁︶︒
︵3︶婁弘蔵﹁慧差ぎる原理論叢階論﹂︑﹃思想﹄天六・年七具.同﹃経済政策論﹄弘文堂︑死五四年.いわゆ る﹁段階論﹂で帝国義の蝸研害没入する憲昏おいては独占籍の一般的霧そのものが肇されている.
︵4︶産善奎義の橿・箱形盛ついてのわれわれの見蟹幾.市場価値と撃﹂︵﹃讐と経済学﹄都立大︑二九号︑
一九七一年︶を参照されたい︒
︵5︶ 松石勝彦﹃独占資本主義の価格理論﹄新評論︑一九七三年︒
︵6︶白杉・轟喪の独占価嚢の謡は別の機会譲るとして︑ここでは簡単に分析手続上の難点を示して﹄ηこう.白杉氏
フ所説は価格あるいは価値が供給過剰か需給表の場倉平均原票︑供給過少の場合は賢原票妥当するという氏の独 特の価値論︵昏価禦護窪議界原響︑価格の平均としての橿肇均原理で決定汽るとものべている︶姦占
ソ格論に適用したもので・独彊よる供給製蓋型産を簗ので独占匿で農景禦一諾婁当し︑限界企業は
小資本であるため独占資本は萎鰹﹁窮禦橿﹂義得する︑というものである.この場合かんじんな限界原理あ るい睾均原票妥当しぶつ妥当しない麗︑原理の作用する過程が不明のままであり︑論証抜きに限界原理的独占価格
K定が主張されている・平瀬昏完全蓼︑完全鷺稀値法則︑一諾利潤率法則の条件であり︑不完全蟹.不完全雇 用状勢馨羅荏あ法則の存在藷ることがで寒いと聾し︑独占段階では社会的橿形票馨れ着別的橿
セけが存在するとみる・そして遙去笙産素謡讐収奪る独占籍篭ついて轟姦値の操作で述べるだけでそ うし猛占価漿葎ゆ乏い窪して形盛馨のかについては語泉い.白杉﹃価値の理論ヤ︑ネルヴァ嘉︑充
九三 −独占資本主義の価格形成ー
一論 文一 九四
五五年︑ ﹃独占理論の研究﹄ミネルヴァ書房︑一九六一年︒平瀬﹃独占資本主義の経済理論﹄未来社︑一九五九年︒両氏の
見解に対する批判は多いがさしあたり井村喜代子.﹃独占理論の研究﹄に対する書評﹂︵﹃三田学会雑誌﹄五四巻八号︶︑本間
要一郎.労働価値論をめぐる批判と反批判﹂︵﹃現代マルクス主義﹄大月書店 一九五八年︶︑同﹃競争と独占﹄新評論 一九
七四年︑重田澄男﹁独占利潤﹂ ︵﹃マルクス経済学講座﹄有斐閣 一九六三年︶などを参照︒
生産と資本の集積・集中と独占の成立
﹁独占にぴったりと接近した﹂︵レーニン︶生産の集積・集中の段階とはいかなる関係なのであろうか︑本章ではこ
の点を簡単に確認しておこう︒第一に部門の供給を中心的に担う標準的資本一単位の資本と生産の規模が絶対的に巨
大化する︵生産と資本の集積︶ためこの資本規模を実現できない資本が当該部門から駆逐された旦︑吸収され自立で
きなくなることである︒また資本規模較差から生じる生産性・技術の較差に基づく利潤率較差が発生し︑小資本の下
位から上位資本への転化が制限される︒他部門からの小資本の参入は必要資本量の巨大化のために制限され・小資本
は必要資本量の小さい部門に追いこまれ︑激しい部門内競争を強要される︒大資本にとっても他部門への転出は多大
な価値破壊︵とくに固定資本︶を伴なう︒つまり資本・生産の巨大化はより高い利潤率を求める資本の運動を制限す
るのである︒第二に本来的集中と個別資本の蓄積の不均等発展により標準的資本の数が減少し︑この標準的資本が上
位資本となり︑標準的資本の部門総資本と総生産に占める比重が増大し︵資本と生産の集中︶︑標準的資本の数や供
給量の変化が需給関係を急変させ︑価格・利潤率を激減させる可能性︵比率効果需8窪富麗︒諏9耳︶が形成され
る︒標準的資本の部門内比重が増大し︑上位資本が標準的資本の地位を占めている段階では自由な投資や移動が利潤
パ ロの存在を︑したがって資本そのものの存立意義を危うくするのである︒この関係を︑ ﹁相互依存関係﹂とさしあたり
呼んでおこう︒この﹁相互依存関係﹂の成立は資本の自由な投資・移動を資本にとっての桎梏とするのである︒個々
の資本の自由な投資や移動が︑標準的資本の地位を占める︑上位の資本たる大資本の利益を損なう可能性があるとし
ても︑個々の資本が︑自ら他資本の投資や参入による供給の増大に対応して供給量を低下させれば︑その個別的利潤
率︑利潤量は低下し︑競争戦に敗北する︒そこで他資本の投資・移動による供給の増大には逆に自ら供給の拡大や供
給価格の低下によってその市場占有率・量を高めようとするため激しい売手間競争が生じ︑関係諸資本全体の利潤率
の低下をみることになる︒生産と資本の集積・集中︵資本と生産の絶対的・相対的巨大化︶の高度化が生みだす必要
資本量の増大や﹁相互依存関係﹂は資本の自由移動や資本移動による利潤率均等化をもたらさなくなる︒小資本の大
資本部門への移動が困難になること︑ 大資本がたとえ他部門へ移動しても﹁相存依存関係﹂のために利潤率が急変
し︑参人前に当該部門に成立していた利潤率と参入後の利潤率が相違してしまうのである︒これは生産価格体系を成
立させた必要不可欠の条件が消失していることを意味する︒生産価格体系では理念的には資本移動の制限は存在せ
ず︑個々の資本が参入しても当該部門の需給関係や価格は一挙的に変化することはなく︑それゆえ諸利潤率の一般的
利潤率への収れんを語ることができるのである︒
産業資本主義段階において資本の運動・相互関係を規定した自由競争が資本にとっての桎梏に転化している段階で
資本の維持・拡大をはかるためには︑ ﹁相互依存関係﹂にある大資本が協調・合同などの結合関係を結び投資・移動.
の共同規制︑価格競争の制限・価格規制などにより対立の部分的・全部的止揚をはかる以外にはない︒この結合関係
の内部では資本の私的所有に基づくところの対立性はそれぞれの程度で止揚されており︑部門内の小資本は市場占有
−独占資本主義の価格形成− 九五
一論 文− 九六
率・量が小さく自ら市場価格を変化させるカをもたず︑かつ生産性や技術水準の低さによる低利潤率のためにその比
重を拡大させることもできないために︑この結合した資本集団︵カルテルや単一トラスト︶の価格.生産量規制が市
場価格を規制するかぎりこの結合した資本の市場支配を独占︵一人占め︶と規定しうる︒したがって大資本の独占的
結合による市場支配とはその供給量が市場の相当部分を占めることと︑それがとる価格.供給政策が市場価格を規制
する事態を示すのである︒
生産と資本の集積・集中の高度化の結果としての﹁相互依存関係﹂の形成の時期は部門毎に異なり︑したがって独
占の成立も一様には実現されない︒また資本規模が大きくても資本数も多く市場拡大の速度も急速であれば﹁相互依
存関係﹂は生じない︒逆に恐慌時のように市場が絶対的に縮少する場合それまでの供給量そのものが過剰化し︑ ﹁相
互依存関係﹂が生じることもある︒一定程度標準的資本の絶対的・相対的巨大化が進行した段階での恐慌は︑したが
って独占的結合の重要な促進要因になると思われる︒
また小資本の大資本部門への移動が制限されていることから小資本部門の資本間の競争は制限されないため︑部門
内の競争関係を部分的・全部的に止揚した独占部門に対し小資本部門︵非独占部門︶は部門間競争上不利な立場に陥
る︒独占的結合がない大資本部門は︑たとえ資本規模が大きく小資本の参入を阻止しえても︑﹁相互依存関係﹂のために
激しい売手問競争にさらされ小資本部門に対し決定的な優位性はもたない︒しかし今や大資本部門は独占的結合によ
り売手間競争を制限し︑独占価格による売買を小資本部門に強制する︒また独占部門内のアウトサイダーとして存在
する小資本も︑大資本への転化や市場占有率の拡大を阻害されているかぎり︑独占体によって規制された市場価格を
強制され︑自立的な経営が不可能となる︒﹁相互依存関係﹂があっても独占的結合がなければ大資本と小資本との間の関
係は生産性︑技術水準の差による利潤率差としてあらわれているが︑独占成立後は加えて小資本の経営が独占体によ
る市場価格の規制を通じて規制されていくのである︒より具体的には独占体やそれと結びついた銀行によるアウトサ
イダーの販売妨害︑原料供給・資金供給の制限等の政策が実施される︒このように﹁相互依存関係﹂にある同一部門内
の大資本間においては協調・結合が︑大資本︵部門︶と小資本︵部門︶との間では支配・従属が資本の対立性の発現を
抑制する︒しかし独占的結合関係も︑単一トラストの形成でないかぎり内部の個別資本の自立性は止揚されるもので
ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤはなく︑協調月競争の政策的制限はその対立性・自立性を内包したところの協調であり︑その意味で独占目大資本の
ヤ ヤ ヤ ヤ結合関係はその胎内に対立性の表現である競争関係を有しているといえる︒個々の資本は自己の利潤率・利潤量の増
大︑低下の防止をもたらすかぎりで結合するのであるから個別資本にとって結合がむしろ桎梏となって利潤増大が制
限されるときは当然この結合関係は廃棄されることになる︒また部門内の大資本は当該部門への参入の形式的可能性
を有する︵必要資金や技術︑販売網等を有する︶潜在的参入資本と結合することはできず︑同一部門内の独占的結合
は無条件に部門間の売手間競争を排除することはできない︒参入やその他の事情で独占的結合が破れた場合︑売手間
競争の制限がなくなり大資本部門の小資本部門に対する独占によって支持されていた優位性はなくなり︑大資本部門
と小資本部門の間の売手・買手間の競争関係上の地位に変化も生じる︒このように独占段階においては競争は完全に.止揚されるのではなく︑独占に規定された競争関係となって現われるのであって︑これを自由競争とよぶことはでき
ない︒自由競争とは資本移動の制限や価格・生産量の共同規制などがないところで展開される競争関係なのである︒
そこで独占段階の資本の相互関係においては協調・支配を志向する独占原理と資本の個別性に基づく競争原理が互い パ ロに対立しあいながらも統一して現われると考えることができる︒しかし集積・集中が進み必要資本量が巨大化し︑
1独占資本主義の価格形成− 九七
1論 文一 九八
﹁相互依存関係﹂が強まれば強まるほど大資本間の自立的な運動は資本の利益を脅かすために︑より強力で安定的な
独占的結合が求められる︒
︵1︶ ﹁相互依存関係﹂とは近代経済学派でいうところの﹁寡占的相互依存﹂ ︵〇一骨80ぎぎ3巳昌︒区m鴇9目仁ε四=暮R︐
畠窟注雪8︶に相応する概念で︑その内容に決定的な相違はない︒近代経済学派はこれを次のような関係として説明する︒
需要量噂が醤数の資本によって供給され︑各資本の販売量を要とすると︑
コ O日﹄覧⁝⁝⁝⁝⁝・::⁝⁝:⁝:⁝・:⁝︵一︶ 軌一
価格辱とそれに対する需要量の間には︑
辱b︵︶::⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝:⁝⁝・::︵N︶
という関係が存在し︑もし
圏︒︵㌃一N⁝⁝篭︶:■⁝⁝⁝⁝−︵ω︶ ①薯
であるならばこの市場は完全競争市場であり
暗く︒:⁝⁝⁝⁝⁝︑⁝⁝:⁝⁝⁝:■・:︵卜︶ ①ミ
である時は競争が不完全とされる︒④式はある資本が販売量を増減させると市場価格が対応的に変化することを示す︒③式
に示される完全競争の場合は資本一単位の市場占有率が理論的に無視できるほど小でその価格︑供給量変化が市場の需給関
係にほとんど作用しないことになる︒この㈲式で示される関係が﹁寡占的相互依存﹂とよばれるものである︵飯田経夫﹁寡占
価格論﹂﹃寡占経済論﹄新野幸次郎︑伊東光晴編著︑有斐閣︑一九七〇年︶︒この場合明らかに資本移動による資本数そのも
のの増減はわれわれの場合と違って考慮されていない︒近代経済学派価格理論の検討は別の機会に譲るが近代経済学派の寡
占価格論とわれわれの見解との相違は彼らが﹁相互依存関係﹂の下で﹁クールノー的均衡﹂や﹁屈折需要曲線﹂の理論のよ
うに非現実的な限界理論をもって安定的な均衡的価格の成立を主張したり︑ ﹁相互依存関係﹂が独占的結合を必然化するこ
とをあいまいにする点にある ︵男鼠.ω毛︒£ざUoヨき匹︒ロα霞Oo且三〇諾︒一9蒔82ざ§恥智ミ醤ミ皇︑ミミhミ
肉8ミミ事ぢ8 スウィージーを近代経済学者と評価するのが妥当かどうか別としてこの論文の分析論理は限界理論に立脚
するものである︶︒
︵2︶ われわれは論文﹁資本の集積・集中と独占の形成﹂において﹁独占﹂を協調・強制による対立性の発現の抑制の関係と
し︑これを競争関係と対立させてとらえたが︑この見解を改め︑本文のように独占原理と競争原理が対立しつつ統一して作
用するところの資本の相互関係と規定する︒しかし独占の基本的規定をそのように変更しても旧稿でふれたレーニンの自由
競争と競争を同一視した見解に対するわれわれの批判は改める必要がなかろう︒レーニンにおいては﹁独占﹂は周知のとお
り﹁自由競争の直接の対立物﹂であり︑ ﹁自由競争から発生しながらも自由競争を排除せず︑自由競争のうえにこれとな
らんで存在する﹂関係としてとらえられている ︵﹁資本主義の最高の段階としての帝国主義﹂邦訳﹃レーニン全集﹄二二
巻︶︒われわれの場合は独占は競争を内包し︑自由競争に代位した関係である︒協調や強制という独占原理に規制され
た競争関係を自由競争とすれば産業資本主義段階の競争関係の形態・作用の独自性が見失なわれることになる︒逆にペウズ
ネルのようにレーニンのいう﹁自由競争の独占への転化﹂を﹁自由競争の独占的競争への転化﹂とすることも正しくない
︵﹁﹃資本論﹄の方法と現代資本主義﹂小野義彦訳︑協同産業出版社︑一九七一年︶︒独占原理の作用をうけた競争関係がい
わば﹁独占的競争﹂といえるものであって︑この概念そのものは協調・強制・従属という資本の相互関係のもうひとつの側
面を示すものではないのである︒
1独占資本主義の価格形成1九九
1論文一一〇〇
二 独占価格の設定方法
H 価格の直接的規制
カルテルあるいは︵単一︶トラストとしてあらわれる独占体の基本的機能は価格のつり上げ・維持・下落の緩和で
あり︑さしあたりこの大資本の結合関係を通じて実現された価格が独占価格である︒独占体の形成により産業資本主
義下にみられた市場生産価格を成立せしめる競争関係一加重平均的に市場価値を成立させる作用をもつ部門内競争
と資本移動を通じて部門内の個別的価値の異なる商品の量的組合せと需給関係を変化させ部門内競争の条件に変化を
あたえる作用をもつ部門間競争t−は消滅し︑新しい価格形成関係が成立する︒潜在的参入者も含む売手間の対立の
一定の制限により売手・買手間の力関係が変化し︑買手側の対抗力が相対的に弱いかぎり買手側は﹁競争価格﹂をこ ロえる価格を受容させられる︒各部門における独占価格の競争価格からの乖離の程度は一定の限界の範囲ではまったく
売手・買手間の力関係つまりそれぞれの側における競争制限の程度に依存する︒売手間の競争制限は基本的に価格︑
供給量の面でおこなわれる︒
独占体による価格規制の方法は基本的には二つである︒第一に価格の直接的規制であり︑第二には供給調整による
価格の間接的規制である︒単一トラストによる支配を別とすれば前者は価格カルテル︑後者は生産カルテルによって
実施される︒カルテル自体についてみれば販売地域割当てカルテル︑原料割当カルテルや購買カルテルなどがある
が︑独占体の供給価格の管理という点からみれば価格カルテル︑生産カルテルを基本的なものとしてあげることがで
きる︒
第一の方法による︑つまり供給の調整によらない独占価格の設定はどうして可能であろうか︑その根拠と過程につ
いて検討しよう︒以下問題を簡単にして生産性の変化︑価格維持︑下落の緩和といった事情は度外視し︑それらの場
合の考察に有効である生産性不変下での価格引上げだけをとりだして考える︒
生産性不変のもとで供給量を削減しないで独占体が価格をひきあげれば︑独占体の吸収する社会的需要額︵支払い
能力ある需要で貨幣で示され市場にあらわれる需要を意味する︒財貨で示される需要は箒要昼として以下示すので︑
﹁需要額﹂と﹁需要量﹂という用語の使いわけに注意されたい︶は︑投下労働量︑需要量が不変したがって供給量不変
にもかかわらず増大することになる︒独占体によるこうした直接的ひきあげがなにゆえに可能なのであろうか︒一般
に価格が上昇すれば需要量が減退することは資本主義の至極当り前の経済法則として承認されているが︑この需給法
則はもちろん資本主義社会にその成立の根拠を有するものであって単に経験則としてのみ承認されるものではない︒
この価格変化に対応する需要の変化のメカニズムについて若干検討しよう︒この検討を通じて独占体が供給量を減少
させないで価格ひきあげを行ないうる原理的可能性が明らかとなる︒
産業資本主義における生産財の場合︒この場合の取引は資本間取引である︒生産財Aの価格の何らかの理由に基づ
く上昇︵といってもこの場合価値あるいは費用価格の増大に基づくとする︶はAを購入する部門の商品Bの費用価格
を高めB部門の利潤率をひきさげる︒このためB部門において限界企業の没落やAを含む他部門への資本移動が生
じ︑B部門の資本量したがって生産量が減少するためB部門のA部門に対する需要量が減退する︒もちろんここでは
当該部門の市場に現われる需要量の変化の過程を問題にしておの︑したがってその過程は一定の期間にわたるもので
あって目々の市場における需要の変化は問題となっていない︒B部門のAに対する需要量の減少は︑B部門の商品B
i独占資本主義の価格形成i 一〇一
1論 文− 一〇二
の市場価格が生産減による価格上昇の結果B部門の利潤率が一般的利潤率に回復するまで続く︒明らかに資本移動が
価格変化に対応する需要量の変化を媒介する機能を果している︒
消費財の場合︒簡単化のために消費財の購入者は労働者に限定する︒労働者の貨幣賃金率が一定であれば︑消費財
価格の上昇は実質賃金率︵臆暴繍紛慢\善躍母官爵︶を低下させ労働者の購入する消費財の量を減少させる︑つまり
需要量は減退する︒しかし賃金が全部的に支出されるから需要額は変化しない︒特定の消費財だけが価格上昇した場
合︵これも生産性の低下に起因すると考える︶労働者の必要度に規定されて労働者の当該商品に対する需要額は増
大︑不変︑減少し︑需要量は不変あるいは減少する︒いわゆる﹁需要の弾力性﹂がゼロであれば需要量不変であるか
ら費用価格の上昇がすみやかに価格に転嫁されるので限界企業の没落はない︵一時的に没落はありうるが生産量が減
少しないで一般利潤率が実現される︶︒労働者の需要量の変化はともかく当該部門への需要額が増大すれば当然他の
商品にふりむけられる需要額は減少し当該部門以外の価格総量は低下するが︑全部門的な利潤率調整の結果︑必要労
働量の増大に基づく価格上昇は総価格を増大させ︑貨幣賃金だけが不変の場合は実質賃金率が低下することになる︒
もちろん消費構造︵素材・価格による消費の構成比︶も変化する︒需要量・額の変化はどうであろうと各部門の利潤
率は資本移動に媒介されて新たな水準で一致する︒消費財価格の全般的上昇に対応して貨幣賃金率が上昇すれば︵利
潤率は低下する︶当然消費財需要額が全般的に増大することになる︒
ところが独占段階においては事情が異なる︒いま独占部門において独占価格設定による価格引上げが試みられると
しよう︒独占商品を購入する側が非独占部門である場合これによって費用価格が上昇し利潤率が低下し︑独占部門と
の間に利潤率差が生じても非独占部門の側から独占部門への移動は一般的に不可能で移動は非独占部門間で行なわれ
るだけである︒
まず非独占部門間の資本移動や資本の没落という事情を除いて考えよう︒生産性不変下での独占部門の価格上昇は
非独占部門の費用価格上昇︑利潤率低下をひきおこすが︑資本移動の制限のため非独占資本は当該部内にとどまらざ
るをえず︑その資本総量︑生産総量したがって独占部門に対する需要量は減少しない︒こうした関係が独占・非独占
部門間に存在するため独占体は需要量の減退をみることなく価格引上げをはかることができ︑非独占部門は価格上昇
にもかかわらず購入を減少させることができないのである︒そこで独占体の価格引上げの結果同一供給量がより大き
な価格表現をうけ独占部門はより大なる社会的需要額部分を吸収することになり︑非独占部門の側においては逆によ
り大なる貨幣投入を強制されるためにその分だけ配分をうける需要額が減少し︑価格が低下する︒つまり同一供給量 ハ ロの価格総額が減少するのである︒生産性不変︑社会的需要額不変︵投下される流通手段量とその流通速度が一定︶の
条件下での独占価格の設定による価格上昇は対応的な非独占部門の価格低下を招き︑総価格は不変であるが独占の成
立した部門とそうでない部門との相対価格関係が変化し︑新たな利潤率較差構造が生じるのである︒再生産の視点に
立てばこの価格引上げは次の循環過程で非独占部門の費用価格を上昇させることによって利潤率を低下させることに
パヨロなる︒また非独占部門の利潤率低下は非独占部門の蓄積資金を圧迫し蓄積需要に作用するために︑これが独占体の利
潤︑蓄積資金量に反作用し︑総価格︑相対価格も変化させうるという問題があるがこれについては物価の運動を考察
する別の機会に論じたい︒
非独占部門間の資本移動がある場合を考えても問題は基本的に変りはしない︒移動は当該部門と他の非独占部門と
の間で利潤率が均等化する時点でとまる︒移動がない場合にくらべて需要量は小さくなるが全部門間の移動は不可能
−独占資本主義の価格形成− 一〇三
1論 文一 一〇四
であるからその場合にくらべて需要量の減少は少ない︒そこで独占部門と取引のある非独占部門だけでなく非独占部
門全体の利潤率が低下することになる︒ただ当該非独占部門は独占価格による利潤率の低下を他の非独占部門へ0資
本移動によって軽減し︑負担を分担しあうことになるだけである︒したがって独占体の収奪は非独占部全般にわたる
といえる︒
当該非独占部門に生産性較差があり︑限界企業が独占価格設定による販売価格の低下︑費用価格の増大の結果没落
すれば需要量は明らかに減少するが需要額は減少するかどうかは不明である︒需要額は価格と需要量の積として現わ
れるからで︑需要量が減少した場合独占体の生産量も低下し︑社会的総資本量︑総生産量も減少することになる︒非
独占部門の標準的資本の経営が不可能な程の価格引上げは大規模な生産︑需要の縮少を招くので独占体の価格引上げ
は明らかに一定の限度をもつ︒
消費財の場合︒個々の消費財部門への需要の配分は労働者の必要度と価格によって規定され︑絶対額は貨幣賃金率
によって限界づけられている︒商品によっては生産財と異なりそれなくしては労働力の再生産は不可能で購入が強制
されるということがないから︑価格引上げが需要量︑需要額の絶対的縮少を招くこともありうる︒しかし需要額の増
大をもたらす限りで価格引上げがはかられるとその需宴額の増加分だけ非独占消費財に対する需要額が減少し︑対応
的な価格下落が生じる︒したがって労働者の購入する財貨量は変化せず消費構造は価格構成が変化するだけで︑価格 パ ロ上昇の根拠はもちろん異なるのであるが産業資本主義の場合とちがって実質賃金率は一定である︒資本移動が自由で
あれば非独占商品の供給減少があるが︑それが制限されているため利潤率の低下にもかかわらず供給量は不変である
︵先の場合と同様蓄積運動上の変化は度外視している︶︒名目賃金率の増大がなければ低下した非独占商品の価格回
復はない︒独占部門の価格引上げの結果低下した非独占部門の商品価格がその費用価格を下廻れば資本の没落が生じ
て供給が減少し︑投下される流通手段量の低下がないかぎり非独占価格も上昇し︑実質賃金率は低下する︑つまり労 ハぢロ働者の商品需要量が減少する︒
以上のように独占段階では産業資本主義のような全部門にわたる資本移動による利潤率調整機能が作用せず︑この
ため独占部門の価格引上げは非独占部門における費用価格補填を許すかぎり需要量を減少させず︑独占部門がより大
きな需要額を吸収することが可能となる︒これは現象的には資本移動の制限のために産業資本主義とくらべ需要が ロ硬直的あるいは非弾力的であるということになる︒このことからわれわれは次のことを確認できる︒独占価格につ
いて説明する場合自由競争下と独占の下とでは各部門への社会的需要額の配分を規定する条件が異なっているため
に︑需要曲線を所与のものとして社会的需要額の配分構造に何の分析も加えないで同一需要曲線上で生産価格と独占
価格の水準を比較・検討することはできないのである︒同様に﹁相互依存関係﹂が成立している条件下で独占的結合
がない場合の﹁競争価格﹂と独占価格とを同じ曲線上の点として示すこともできない︒独占的結合がある場合とない
場合とでは売手間競争の程度が異なり同一供給量の下でも価格水準は異なってくるのである︒いずれの場合も同じ需
要曲線で価格が示されると考えるのは事実上部門内売手間競争の価格形成への作用をみない誤りに陥っていることを
意味する︒後述するように参入阻止価格説や近代経済学派の価格理論はこうした分析方法上の難点をもち︑生産の独
占的支配と資本移動の制限によって独占体が供給を変化させることなく価格を引上げるという収奪のメカニズムを見
逃しているため独占価格を専ら供給調整の面からのみ説明せざるを得なくなっている︒
口 供給制限による価格規制
−独占資本主義の価格形成− 一〇五
1論 文− 一〇六
価格引上げの第二の方法は供給を減少させて価格を上昇させるやり方である︒もちろん動態的にみれば供給減少と
いうより供給制限であるが︑ここでは供給制限の基本的作用をみるために供給減少による価格引上げについてのみ検
討する︒供給減少による価格引上げは価格の直接的引上げの場合と異なり︑まず売手間の競争を制限することを通じ
直接に実現されるのではなく︑競争制限によって減少した供給をめぐる買手問の競争激化を通じて間接的に︑市場の
メカニズムに媒介されて実現される︒この場合需要額を規定する条件は問題外で価格は与えられた需要曲線上を変化
するものとして理論的に説明されうる︒この方法による価格引上げは当然供給の減少に基づく費用価格増大が伴なう
ために利潤率︑利潤量の増大がある範囲でのみ採用される︒
供給制限による価格規制は独占資本主義においては日常的にみられることである︒それは第一に先にみたように
﹁相互依存関係﹂のために市場に対する個別資本の投資規模が巨大化し市場の拡大率をこえる供給の増加による局部
的過剰生産が生じうるためであり︑第二に産業循環運動に伴なう全般的過剰生産︑市場の収縮が不可避的に生じ︑こ
の過剰を常にアウトサイダーだけに負担させることはできないからである︒こうした場合︑価格・利潤率の回復をめ
ざして生産カルテルによる供給調整が行なわれる︒しかしこの供給調整による価格引上げと引上げられた価格の維持
は原理的には価格カルテルの場合と異なって絶対的過剰生産が発生した場合に限定される︒なぜならば全局面にわた
る供給減少を仮に行なったとしても再生産の素材的均衡条件︵マルクスは単純再生産の場合これを共ミ+ミ︶きで
示す︶が無政府的にせよ貫徹するために売手の供給量減少は結局買手側の需要量︑供給量の減少をひきおこし︑社会
的供給総量そのものの減少︑投下流通手段量の減少をもたらし︑引上げられた価格の維持は不可能となるからであ
る︒投下流通手段量が不変のままであれば供給減少による価格引上げは独占部門以外の供給も減少する結果全ての部
門で価格が上昇し︑総価格︵禽蟄×蕪零膠質︐︶は不変であっても物価︵謬自讃\薄叢お知︶は上昇する︒いずれにし
てもこの場合価格の直接的引上げとちがって独占部門の価格上昇に対する対応的な非独占部門の価格低下は生じな
い︒過剰通貨は回収されるという金本位制の作用を前提すれば供給減少による価格引上げは独占体の利潤率を高める
ものではなく︑上昇した独占部門の価格はまったく一時的なものである︒つまり原理的考察の次元においては供給減
少による価格の引上げ︑独占価格の設定は排除されざるをえないのである︒われわれが問題にする独占価格の設定は
相対価格を変化させ︑独占部門の利潤率を非独占部門のそれとくらべて高めるものとしての競争制限なのである︒し
たがって再生産の規模不変︑素材的均衡条件保持という価格論の原理的考察の前提の下では供給制限は︵市場価格の
重心点としての市場調整価格の循環的運動の重心の引上げ︶は理論的には絶対的過剰を整理するものとして把握され
るのであるが︑こうした絶対的過剰はまた原理的には排除されるのでわれわれは供給制限による価格引上げを価格体
系を直接変容させる要因とみなすことはできない︒しかしわれわれは価格体系の基本的変化をみるかぎりで独占価格
を供給制限により引上げられた価格とする見方を排除するが︑より具体的な分析の次元ではこの供給制限という独占
体の機能とその作用を無視することはできない︒
第一に先にみたように生産と資本の高度の集積・集中の段階では﹁相互依存関係﹂の存在する下で無政府的な生産
が続けられるため局部的な過剰投資が発生する可能性は常に存在するからである︒この過剰や過剰の拡大を防止する
措置として投資制限︑生産制限が実施される︒しかしこの供給制限は結果として価格の引上げや価格の維持をもたら
しても︑成立した独占価格が無条件に収奪的性格をもつものとはいえない︑つまり基本的な価格体系を変更するもの
とはいえないのである︒産業資本主義下でみられなかった条件の成立のために生じた局部的過剰生産は当該部門の利
−独占資本主義の価格形成一 一〇七
−論 文一 ︑ 一〇八
潤率をおし下げるため︑供給制限による価格引上げの結果生じる利潤率回復が中小資本部門より肯向い利潤率をもたら
すかどうかは具体的な事情による︒原理的に他部門への価値流出の防止ととらえられる資本の運動は収奪ではない︒
第二に供給制限によって供給量は減少しても総価格︵売上高︑吸収する需要額︶や利潤率は増大しうるので私的独占
体は個別資本の立場から短期利潤の拡大をはかって社会的総資本と生産の成長率の低下を顧慮しないで価格引上げを
行なうことがありうる︒拡大再生産過程において供給制限が行なわれた場合︑対応する部門の成長が鈍化しても資本
と生産量の絶対量は増大しうるので供給制限の蓄積制限作用は端的には現われない︒独占体の供給制限による社会的
総利潤︑総生産の成長鈍化は独占の腐朽性を示すものといえるが︑この場合成立する独占価格は収奪的性格をもつ
が︑一時的なものでしかない︒買手側の貨幣が収奪されれば資金はやがて枯渇し︑拡大再生産は停止する︒単純再生
産を前提すれば供給の減少が産業連関的に他部門の生産も減少させ縮少再生産が生じ︑先にみたように︑儒要量も需
要額も減退し価格は結局低下する︒したがってこうした供給制限が多くの部門で実施されればやがて社会的生産や雇
用の拡大の鈍化・停止・減退という事態が発生することになる︒仮に追加的貨幣投入が行なわれたとしても生産量そ
ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ やのものに変化はなく︑ただその価格だけが増大することになる︒そこで雇用の拡大による失業の防止労働者支配の
纈捨と国際競争戦の勝利という必要から私的独占体の運動を総独占資本の立場から規制することが要請される︒私的
独占体の運動に対する規制は供給制限による独占価格の設定からのみ説かれるものではないがそれが一つの要因であ
ることだけを指摘しておこう︒第三に産業循環の過程で全般的過剰生産が生じた場合︑独占体は生産カルテルによっ
て供給を急速に減少させ価格を維持しようとする︒もちろん産業資本主義段階でも全般的過剰生産恐慌が生じれば供
給は急速に減少していく︒しかしそれは個別資本の稼動率の低下だけでなく個々の資本の没落︵閉鎖.倒産︶︑ つま
星産能力の減少を嘗て実現されていく.減退した需要に供給が対応するのは事後的.追随的.無政府的︵蝸
的︶であるため結果として大きな価格低落をみる.しかし独占体が供給を調整する場合は︵売価肇の︶露量の
減退率をこえる供給低下鶏塑実施することは罷で曹︑それが季間撃の激化による邊の価格下落や倒産
を回避する手段である・しかしこ紮可能として峯後的な対応ゆえの価格低落は奮うるし︑操業度の低下による
費用価格の上昇もあって利潤率は低葬る.しかし供給制限は第二の場合と同じく連続的に社会的嚢量︑供給量を
低下させるので砧格協定籍んで価格維持竃かるか毒額皇の反転的拡素馨かぎ&格は下落する.ただ
供給制限は季間の競争圧力を緩和するので利潤率の低歪よる利潤量の低下を吉大量の販売で相殺しようとする
結果生じる恐慌的供給価格下落奪わらげる効果はもつ.供給減少による価格維持はあくまで流通手段の回収がな
いという条件が蕊か言原理的旨奇襲︑価格協定による勇奮退期の価格維持の場合には実現されない商
品滞貨の存在を竜なうことがあ9つる.過剰はやはり嚢額の笑がなければ整譽れ喪.そこで供給制限によ
る価格肝上げや維持が問題になるのは社会的生産量の減少にもかかわらず追加的貨幣投入が行なわれる場合あるいは
貨幣の回収がないという場合である︒つまり将来の国民所得︵税︶を先取りする形で国家による通貨の投入︵直接的
な投下・市中銀行への貸与︶がはかられ通貨萎び通貨請求権架量に流通過程にはぢこめば︑需要額が増大し価
格下落の緩和︑引上げも可能で供給制限の.規模も軽減される︒しかし創出された需要額が後に回収されれば景気回復
に伴なう価格上昇はその分だけおさえられるので供給は増大しても循環の平均価格は上昇しない︒回復してきた生産
の吸収と利潤の実現を保証するため独占部門の需要の回収︵通貨の引上げ︶が回避されれば流通手段の過剰発行とい
う事態奎じ・物価水準は上昇し︑循環平均価格も上昇すること窓る.蒔的蕪要創崇後握めあわ暮れる
一〇九 一独占資本主義の価格形成ー
一論 文− 一一〇
程度のものならともかく︑累積的な通貨発行が要請される場合は生産量と比例的な通貨発行を行なう金本位制に基い
た通貨制度はその大きな制限となる︒もちろん現実の通貨制度の下では金本位制といえども生産減少に即対応して流
通手段量は減少するわけではないので供給制限は過度の価格下落を防止するという以外に一時的には独占部門の価格
維持に役立つということはいえる︒しかし理論的には以上の展開から供給制限による価格引上げは流通手段の比例的
減少がない場合のみ収奪の手段として意味をもってくるといえる︒さらに付言すればその場合でも需要の創出が行な
われれば独占.非独占部門にかかわりなく全部門的な価格上昇が供給制限をやろうがやるまいが生ずるが︑追加的需
要の配分が独占部門に有利にふりむけられれば独占部門と非独占部門の相対価格の変化が生じるのである︒
この章の終りにこれまで独占体の設定する供給価格と独占価格をだいたいにおいて同一視してきたが独占価格範疇
について若干附言しておこう︒
現実の︑独占体の価格.供給政策によって規制される価格は直接には市場価格あるいはその短期的重心としての市
場調整価格であって︑循環的運動を行なう市場調整価格の平均ではない︒われわれは生産価格範疇を一循環の平均的
市場調整価格と把握しているのであるが︑生産価格体系の崩壊の後に成立する価格体系における独占価格も︑これを
市場価格あるいは市場調整価格の次元でとらえるべきではなく︑独占体の規制によってひきあげられた︑市場調整価
格の重心点︑循環の平均的市場調整価格としてとらえるべきである︒独占価格は市場で一時的に成立する価格ではな
く︑独占的結合が必然化する歴史的段階で恒常的に成立し︑生産価格は舞台から退場している︒もちろん具体的な状
況下で独占的結合が一時的なものに終ったとしても︑その作用が平均市場調整価格の水準を押しあげればそのかぎり
で独占価格を一般的なものとして理論的に措定できる︒もちろん独占価格は市場価格として現実には現われるのであ
り︑具体的な論理次元では市場価格あるいは市場調整価格次元で独占価格を分析することは必要かつ妥当である︒し
かし磯村隆文氏のように独占価格をミクロの︑生産価格をマクロの範疇とすることは独占価格を市場価格︑市場調整
価格の次元でしかとらえてい暮ことを議する.しかとれは次の理由によってモく琶.笙笙産価格体系
を支える前提条件である自由な資本移動は資本と生産の高度の集積・集中によって不可能となっている︒第二に大資
本の価格競争の制限は自由な部門内競争を通じて行なわれる市場価値規定関係を消失させる︒第三に資本移動があっ
ても﹁相互依存関係﹂のために新たな利潤率較差が生ずるので︑資本移動は利潤率を均等化させる作用をすでにもた
ない︒第四に仮に市場価格あるいは市場調整価格の次元で独占価格をとらえても平均的市場調整価格水準そのものが
変化すれば既に生産価格体系は崩壊していることになる︒あえて生産価格がマクロ的に存在するとするならば独占価
格による価格引上げを相殺するような独占部門の価格低下の存在が論証されなければならない︒
︵1︶ ﹁競争価格﹂という場合それは﹁相互依存関係﹂や大資本︵部門︶と小資本︵部門︶の較差の存在という条件があるにも
かかわらず大資本間の独占的結合がなく︑売手間競争が政策的に制限されないとき成立する価格を指し︑自由競争下で成立
する︵市場︶生産価格を意味しない︒本文で指摘したとおり.相互依存関係﹂と大小資本間の資本移動の制限が存在するこ
とにより利潤率を均等化させる作用をもつ部門間競争は制限され︑自由な資本移動による需給調整と供給構造の変更を通じ
て成立する市場生産価格体系は崩壊してしまう︒生産の集中・集積の高度化が生産価格体系崩壊の契機であって︑独古体の
成立は新たな価格体系を成立させる契機であり︑この点において集積・集中と独占とは範疇的に区別されなければならない
︵この点を指摘したものとして︑大石雄爾.生産価格と独占価格﹂︑ ﹃経済と経済学﹄三二号︑都立大︑一九七三年︶︑産業
資本主義段階の﹁競争価格﹂ ︵何の制限もない競争を通じて形成される価格という意味で︶は市場生産価格として現われる
1独占資本主義の価格形成− 一一一
弓
−論 文− 一一二
が︑独占段階の﹁競争価格﹂は平均利潤を含まず︑生産価格となって現われることはない︒つまり生産価格と独言価格はそ
れが措定される歴史的・論理的段階・条件をまったく異にするものであってこれを論理的に同一の次元で取扱うことはでき
ない︒ただ両価格体系の比較は異次元にあるものとして行なうかぎりは誤りではない︒多くの論者が独占段階を大資本の独
占的結合︵この場合カルテル的結合を指す︒全部門で単一トラストが成立すると考えることは論理的には全部門を支配する
金融資本の成立を想定することになり︑抽象の限界をこえる︒そこで単一トラストの成立は例外的なものとして処理するの
が妥当となる︶という外被をとりさればそこには﹁相互依存関係﹂︑必要資本規模の増大による資本移動の制限という条件
の下に﹁競争価格﹂範疇が成立しうることをみないで生産価格と独占価格の関係を議論している︒独占的結合は﹁相互依存
関係﹂さえあれば直ちに成立するものではなく︑ ﹁相互依存関係﹂を土台として成立するものである︒生産価格は﹁競争価
格﹂とちがい﹁相互依存関係し︑較差の固定化︑資本移動の制限などの要因のないことを条件に得られる範疇であって︑独
占段階ではこの範疇の成立を語りうる条件は存在しない︒城座和夫氏は産業資本主義と同様の自由競争が完全に行なわれ︑
過剰設備が完全稼動した場合成立する価格を生産価格ととらえ︑独占価格を過剰設備が不稼動のところに成立する︑生産価
格を上廻る価格と規定する︵﹁独占価格と独占利潤﹂ ﹃経済と経済学﹄一〇︑一一合併号︑都立大︑一九六三年︶︒しかし独
占段階では過剰設備の存在が一般的であればそれが稼動した場合を想定するのは全くの恣意であって抽象ではない︒氏のよ
うに競争が自由に行なわれれば︑利潤率の均等化︑生産価格の成立があるμとみる考え方は多いのであるが︑独占の成立
以前に生産と資本の高度な集積・集中が小資本の大資本部門への資本移動を妨げるし︑ ﹁相互依存関係﹂の存在のために資
本移動が行なわれても新たな利潤率差が生じ利潤率が均等化しないのである︒ こうした見方は﹁独占にぴったりと接近し
た﹂﹁生産の集積の段階﹂がどんな関係を示すものであるかをあいまいにしたまま独占価格をとらえようとするところがら
くるものであろう︒生産価格を独占段階の分析論理上の﹁観念的範疇﹂とし︑これを独占価格の収奪的性格を示すのに有効
かつ必要な概念とされる北原勇氏の見解および事実上これに反対し生産価格が独占段階では現象しないが表面にあらわれて
いる独占価格の護で黎的に存続するとする松石勝彦氏の見蟹われわれの視点からすれば共に正しくない.現実の独占
資奎義の内的構蓮存在の根拠をも寒い範疇は摯震念でも袈的鵠でもないというべきであろう.独占価格によ
る収奪は独占資奎養存在する護で示されるべきであるし︑生産価格が独占段階の抽象的範疇であるというならば独占
のどんな側面が蒙されどん糞因面票璽されると生産繧籍が得られるかを示すべきであろう︵北原勇﹁独占価
格研究の現状と方向﹂・﹃誓評論﹄一垂ハ号︑充六六年.松石勝彦︑前掲書︶.高須賀義博氏︑大島笹氏は︑それぞ
れ異なる根拠墨つきな奪も畠藍本欝の制麗よって生産価格形成機禦独占羅に存在しないことをもって生産
価格範疇の成立を否認するが・独占の成立を生産価操系駿の麗ととらえ集積.集中の高度化がその崩壊の契機.畠
な資本移動の制限の根拠とはみないので﹁蓼穰﹂躊の存奮暑及されない︵嘉嚢罠﹃現代鱈体系論序説﹄
岩波毒死六五年美星氏﹃価格と資本の理論﹄棄社︑充六五年︶.なおこれと関連して市場価値︑市場生
産価格蚕占繧の彊的盟をど−とらえるかとい−鵠︑および独占︑非独占部門の利潤率の運動如何という問題があ
るがその検討は別の機会彙老い・廷纂との盟で利潤率の運動について葦のべてお−と︑﹁相互依存関係﹂の存
在の募美資本の移動は利潤率蕩等化毒る作用をも廷いし︑独占的結合は独占体の利潤率を増大させても部門間の
利潤率を調整する作用はもっていない・つ考ヒルファディングのい−カルテル平均利潤の概念を成立させる根拠は認めら
れない︵﹃金融資本論﹄②林要訳︑大月書店︶︒
︵2︶上薩生氏は襲われと同様独占羅では独占価格の設喪よる価董景かならずしも需要を減少させないと主張す
驕B昏その軽を﹁高霧社会化汽瑳産が私的に独占されているので籍にかかわりなく警商品を購入しないと生
Yそれ自体が成立しない﹂とい−事恒求める・われわれ罠の見解に同意するが︑あ社会化された生産の独占を語る場
㍼d岳与の時点で独占体瑳産の奉あるいは全部宰虚している乙とだけでな−︑墓移動の製︑部門内の資
{の生産性・癬等の固定甲絶対的姦差の存在があってその市饗配が支えられているということを指摘すべ︑︑︑であ 一一三−独占資本主義の価格形成ー
一論 文! 一一・四
る︒独占体から商品を購入しなくとも他部門から参入した資本や既存中小資本から購入できるようであれば︑あるいはそれ
を可能にする条件があれ慮生産の大半がある時点で結合した資本によって占められていても価格引上げによる持続的収奪は
不可能である︵﹁独占価格とインフレーション﹂︑ ﹃経済﹄一〇五号︑一九七三年︶︒
︵3︶ 松石氏と上滝氏の間で独占体による非独占資本の収奪が社会的需要額の独占体による配分換えによるのかそれとも非独占
資本の費用価格増大によるのかという対立がある︒独占部門から商品を購入しない非独占資本にとって費用価格の増大はな
いから上滝氏の見解は一面的であることは明らかである︒しかし独占価格の設定によって非独占部門への需要額が全般的に
減少し︑価格が低下する一方︑独占部門から商品を購入する資本は以前より大きな需要額︵貨幣︶を独占部門にふりむける
のであって︑これが費用価格を増大占︒せることになる︒つまり独占部門から商品を購入する非独占資本においては市場価格
の低下と費用価格の増大の両面から利潤率を低下させることになる︒低下した利潤率の不均等は非独占資本の部門移動によ
って均等化されていく︒より利潤率が大きく低下した︑独占部門から商品を購入している非独占資本が市場価格の.低下だけ
による利潤率低下をうけた非独占部門へ移動する結果︑元の部門の供給量が減少し︑価格が上昇し︑非独占部門の利潤率が
均等化する︒結局社会的需要額の配分変更が非独占部門の市場価格の低下と費用価格の増大を招き︑非独占利潤率を低下さ
せるのである︒松石氏の主張は正しいが社会的需要額の配分変更が二つの道を通って非独占部門の利潤率を低下させるとい
う点が明らかにされるべきである︵両氏の前掲書︑前掲論文参照︶︒
︵4︶ E・ヴァルガは金本位制下で独占価格の設定により非独占企業の費用価格が増大するので非独占企業はその一部または
全部を価格に転嫁し買手に負担させる︒この結果は総価格が増大し︑価格総額が価値総量をこえるとのべる︒ ︵﹃資本主
義経済学の諸問題﹄村田陽一.堀江正規訳︑岩波書店︑一九六六年︑二〇八頁︶非独占企業も独占体も価格を引上げるので
あるから貨幣賃金率不変ならば実質賃金率は低下することになる︒彼は非独占価格の上昇の根拠を費用価格増大が非独占企
業を破産させうるからと考えるのであるが︑われわ取がみたように金本位制下で同一生産量下で追加的貨幣投入がないかぎ
り総価格の増大はなく︑独占価格による価格上昇には非独占部門の価格低下が対応し︑実質賃金率は不変である︒ただしヴ
アルガは別の箇所で独占段階でも価格総額は価値総額に等しいと述べている︵同一八六頁︶︒
︵5︶ 流通手段量を問題にするときわれわれは貨幣数量説の立場で述べているのではない︒本稿では通貨供給のメカニズムにつ
いては展開しないが︑ここでは金本位制下で生産性が不変であれば商品取引量の変動がないかぎり投下流通手段量の変化は
ないという前提を設けている︒これはまた供給量したがって取引量の減少があれば投下流通手段量は減少し︑流通手段の一
部が流通過程から回収されるということを前提していることでもある︒もちろん金本位制下でも供給量の減少にもかかわら
ず投下流通手段量の即応的減少がない場合もあるが原理的にはそうした場合を考慮する必要はない︒この条件設定を行なわ
なければ価格体系の変化を原理的にとらえることはできない︒独占価格の設定が総価格を増大させるという主張においてし
ばしば論証画きに生産量不変あるいは減少にもかかわらず投下流通手段量が増大あるいは不変とされることがある︒こうい
うやり方では独占価格が物価を上昇させるということを解明したことにはならない︒たとえば工藤晃氏は独占価格の設定に
より独占部門の価格増大と非独占部門の費用価格の増大が生じ︑独占部門が収奪した貨幣を非独占商品の購入にふりむける
ので超過需要が生じて非独占価格の増大︑総価格の増大が生じると主張する︒しかし非独占部門が独占商品の購入のために
より多量の貨幣を投下すればその分だけ非独占部門に対する需要額は減少し︑非独占価格は低下するはずである︒したが
って吸収した貨幣を独占部門が投げ返せば︑非独占価格も独占価格も元の水準に戻るだけである︒非独占価格が低下しない
根拠︑それを支える通貨の増大がなせ︑いかにして生じるのかは不問にされている︒︵工藤晃.独占段階の価値法則と価格形
成﹂・﹃経済﹄七八号︑充七〇年︶.竹内静男氏の場合︑独占価格の設定によ葬独占価格髭下しても次の纂幾で独
占体が非独占部門から収奪した需要が非独占部門にふりむけられるので︑非独占価格も上昇し︑総価格は増大することにな
っている︒しかしいったん吸収した需要額が非独占部門へふりむけられれば独占部門にふりむけられる需要額はその分だけ
減少し︑独占価格が低下するはずであるのに氏においては低下しない︒そのために総価格は増大する乙とになるのである
1独占資本主義の価格形成一 一一五