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都市の目、都市の耳 (中間報告)

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Academic year: 2021

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都市の目、都市の耳 (中間報告)

著者 半澤 朝彦

雑誌名 明治学院大学国際学部付属研究所研究所年報 =

Annual report of the Institute for International Studies

巻 20

ページ 55‑57

発行年 2017‑10‑01

その他のタイトル Urban Eye, Urban Ear

URL http://hdl.handle.net/10723/3263

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都市の目、都市の耳

半 澤 朝 彦

上半期

本プロジェクトの初年度であるため、第一に、基礎的な文献調査を行った。またこれと並行し、

演奏実践によって得られるさまざまな所見についてプロジェクトメンバー自身の実践と考察に加 え、協力者として依頼した演奏家等へのインタビューを行い、関連諸分野の専門家と対話し考察 を深めた。第二に、「都市の目、都市の耳」というプロジェクトテーマに理論的にどのようにア プローチするか、社会学や音楽学の学会や研究会に適宜出席し、関連分野の研究者と議論を行っ た。

代表研究者は、予備研究の段階で行った港区白金児童館との今後の活動の協議を行うほか、

「明治学院コンサート・シリーズ」における演奏と解説(外部講師招聘)、研究協力演奏者に対 する関連のインタビューを行い、また、9 月初めにはイギリスでの短い調査を行い(渡航費・滞 在費はこのプロジェクト予算以外から支出)書籍の購入、またロンドン大学(Senate House

Library)、オックスフォード大学ボドリアン図書館で調査を進めた。

「明治学院コンサート・シリーズ」の上半期における活動は、5 月にウィーンという、ハプス ブルグ帝国の帝都「音楽の都」を中心に、都市の発展と都市計画、その中で音楽が果たす役割に ついてレクチャーコンサート行った(シューベルトの五重奏)。6 月もまた、同様にウィーンを 取り上げ、宮廷中心の権力構造から、ブルジョア的な社会に移行する18世紀から19世紀にかけ ての、都市における景観と音楽について考察を深めた。7 月は、主に、英国と日本に目を向け、

ロンドンと東京(江戸)というユーラシア大陸両端の巨大近代都市の発展における、景観と音楽 について話した。

なお、4 月には大正大学において行われた東欧史研究会において、チェコの専門家である愛知 大学の福田宏氏によるドヴォルザークとプラハに関する報告で非公式に討論者の役割を果たし、

19世紀から20世紀にかけての東ヨーロッパの都市の発展と芸術文化の関係について考察を深め た。また、ドヴォルザークの音楽における「社会的ダーウィニズム」について、福田氏と有益な 意見交換を行った。

下半期

下半期においては、日本平和学会研究大会(於 明星大学)において、「芸術文化と平和 クン ストとしての音楽の可能性」と題された部会において、「西洋音楽による平和活動の功罪」と題 した報告を行った。日本の平和学の中心である日本平和学会において、すべての報告が音楽のみ を扱う独立した部会が開かれることはめったになく(史上初めてと思われる)、その意義は大き い。以下、この部会の世話役となっていた芝崎厚士氏(駒沢大学グローバル・コミュニケーショ

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ン学部)による、趣旨説明とプログラムである。

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部会3 「芸術文化と平和 クンストとしての音楽の可能性」

かつて多木浩二は最晩年に、スーザン・ソンタグがユーゴ紛争時のサラエヴォにおいて「ゴド ーを待ちながら」を上演したことを引き合いに出し、イラク戦争以降の「戦争化した世界」の中 で生き抜く上で、カントのいうクンスト(Kunst)=日常生活および芸術文化を守り抜くことの 重要性を指摘した(『映像の歴史哲学』)。音楽もまた、ひとびとの人間としてのいとなみである 日常の技芸、そして芸術文化としてのクンストを構成する重要な要素であり、ネオリベラルなグ ローバル化に抗して日常を生き抜くための力となり、時には社会を変革する可能性をも持ってい る。その一方で、こうしたクンストを操作し、支配しようとする側の力を無視することもできな いし、そうした支配の力に屈服してしまうひとびとがいることも否めない。本部会ではこうした クンストとしての音楽がもつ多様な側面を、2000 年代初頭にロンドンの公営団地や海賊ラジオ から生まれたダンス・ミュージックであるグライム、2010 年代から特に全世界的な流行となっ ておりPLUR(Peace, Love, Unity, Respect)の精神を標榜するEDM(Electronic Dance Music)、国 際関係史の中の西洋音楽の歴史性や権力性、多様性をふまえた分析、以上3本の報告によって検 討し、広い意味での平和と芸術文化活動の関係を探究する。

報告:横山純(フォトグラファー)

「Grimeと“Consciousness”の再興 10代のグライムアーティストとの対話から」

報告:田中公一朗(音楽評論家、上智大学)

「EDMとコスモポリタニズム PLURと音楽の暴力性」

報告:半澤朝彦(明治学院大学国際学部)

「西洋音楽による平和活動の功罪 エル・システマ、サイード=バレンボイム・プロジェクト など」

討論:水越真紀(ライター)(当日欠席)

司会:芝崎厚士(駒澤大学グローバル・コミュニケーション学部)

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下半期における「明治学院コンサート・シリーズ」では、まず、10 月には、スペインの都市

(マドリード、バルセロナ)を取り上げ、都市と音楽文化、環境音などについて、レクチャー部 分で取り上げた。その後、12 月にはヴェネチア(ヴィヴァルディ)、およびハンブルク(テレマ ン)、1月にはウィーン(シューベルト、ハイドン)、2月には、ブリュッセル(イザイ)、3月に はアムステルダム(ヒルセ)について、それぞれ都市のあり方と音楽にとどまらない、コミュニ ティ文化について解説した。これらのいくつかについては、岩永真治社会学部教授(共同研究メ ンバー)にも、レクチャーをいただいた。

なお、岩永教授は次年度(2017 年度)、代表研究者と同様、一年間のサバティカルとなってい るため、次年度の計画について打ち合わせている。また、今年度が最終年度となる、比較地域体

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系研究会(大沼保昭 東京大学名誉教授主催)において、「音楽と政治」にかかわるコメントを行 った。2017年度、「政治と音楽」研究会においては、代表研究者の報告を予定している。

※本報告書は、国際学部付属研究所共同研究「都市の目、都市の耳」の中間報告書である。

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参照

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