長野工業高等専門学校紀要第36号(2002) 171
平成 1 3 年度 の情報教 育セ ンター の活動 と課題
楡 井 雅 巳 渡 辺 誠 一 岡 田 学 山 本 行 雄
A c t i v i t y a n d P r o b l e n s o f C o m p u t e r C e n t e r i n 2 0 0 1
Masami NIREI Seiichi WATANABE Manabu OEADA and Yukio YAMAMOTO
キー ワー ド :情 報教 育セ ンター,AVC室 ,ネ ッ トワニ ク管理 室
1.ま え が き
平成 13年度情報教育センター運営委員会では, 委員および関係各位のご協力を得なが ら情報教育セ ンターの運営にあたっている.平成 13年度は情報 教育センター本館演習室の利用を希望する学生‑の 対応 として放課後の演習室開放時間の延長,次期教 育用電算機システム更新にむけた準備作業などの活 動を行ってきた.また本館の一部が改修 されるなど, 施設面での大きな変化 もあった.本稿では,平成13 年度情報教育センターにおける活動 と今後の課題に ついて報告す る.
2.情報教育センターの活動
情報教育センター本館は,AVC重 と共に情報 リテ ラシー教育,専門学科におけるプログラ ミング言語 教育等に多 くの講義時間で利用 されている.また, 放課後の利用者数 も多 く,利用時間の延長希望も多
く寄せ られていた.
平成13年度は放課後18時まで本館演習室を学生 に開放 し,情報処理技術の向上,課題‑の対応に利 用できるよう対応 をはかった.これに際 して情報教 育センター運営委員の先生方には,演習室の状況, 施錠の確認作業‑のご協力をお願い し,当番制で実 施 してきた.その結果,連 日多くの学生に利用 され, 本館の開放が学生諸君の活動の一助 となったことは 成果であった と考えている.一方,作業 日誌に記載 された報告事項か らは以下のような学生諸君に改善 を求めたい点 も浮かび上がってきた.
(1) シャッ トダウン処理が完了せず,電源が切れて いない.
* 電気工学科助教授
H 電気工学科助手
*= 機械工学科講師
H H 電子情報工学科教授
原稿受付 2002年5月17日
これはアプ リケーシ ョンソフ トが未終了であ るため,利用者の確認待ちとなってい̲a状態で ある.利用者がシャッ トダウン処理の完了を確 認せず席を離れて しま う例が毎 日のよ うに見
られた.
(2)ジュースの空き缶,ガムの屑等,飲食の跡があ る.
情報教育セ ンター演習室等実習室 内は飲食禁 止 となっているが,これを守れない一面の学生 がいることは大変残念なことである.
(3)忘れ物が非常に多い.
時計,授業課題,筆箱,タオル,鍵等の忘れ物 が多 く見かけられた.
(4)空調機の冷暖房運転を行ないなが ら,窓が開け られている.
換気のため開けたのだろ うと思われ るが,窓を 開けたまま冷暖房が行なわれてい る事例が報 告 されている.省エネのためにも心配 りをお願 い したい.
これ らの改善点は学生諸君に伝 え,よ り良い環境 で多 くの学生に利用 していただけるよう運営方法 も 改善 していきたい と考えている.
AVC室では,ここ数年で老朽化が顕著になってき てお り,設備の更新が強 く望まれている.LL装置 関係では学生用ブーステープ レコーダの破損が特に 目立つ ようになってきている.これについては平成 14年度で個別に修理交換を行っていく予定である.
理想的には装置全体を更如 し,CALLシステムな ど より高度かつ快適な学習環境を作 ることが望ま しい と考えるが, 1千万強の予算規模が見込まれ るため 今後の検討課題 とした.また,学生用ブース毎に設 置 されていた ドッ トプ リンタを撤去 し, レーザプ リ ンタをネ ッ トワークプ リンタとして利用できるよ う 整備 を行った.ソフ トウェア関連では, ビデオ等,
言語教育用教材 中心に英語科 か らご希望 をいただ き, それ に沿って導入 を行 った.
3.情報教育センター改修について 情報教育セ ンター改修 工事 が平成 14年3月4日 (月)〜平成14年3月28日 (木)にかけて実施 さ れ,情報教育セ ンター施設の一部が改修 され た.昭 和 49年に開設 されて以来,本校情報教育の中心 と して親 しまれてきた施設が大 きく様変わ りす ること となった.
図1に改修後の情報教育セ ンター施設図を示す.
網掛 け部が今回の改修部分である.
今回改修 された概要は以下のよ うである.
(1) 管理室,プ ログラム指導室 を1部屋 と し,管理 室 とした.また,老朽化 した資料室 をオペ レー タ室 として一新 した.新 しい管理室お よびオペ レー タ室には技術室職員が常駐 し,講義担 当教 官,情報教育セ ンター専任教官,同セ ンター運 営委 員 とともに情報教 育セ ンター の運営 にあ た る.
(2)計算機 室の フ リーア クセ スフ ロアの老朽 化部 を修繕 し,タイル張 りと した.図2に計算機室
情報教育センター
図2 計算機室
外観 を示す .この計算機室は後述す るよ うに第 二端末室 と しての環境整備 が計画 されてい る.
(3)平成 13年度 までは学生用端末の認証サーバや フ ァイル サーバ な ど管理機器 を計算機 室 内に 設置 していたが,計算機室は学生の課外活動等 に利 用 され る こ ともあるため管理体制 と して 不備 を指摘す る声があった.また電源設備 も学 生等が触れ る ことので きる状態であったため, 電源設備 を含 めた計算機 室 の一部 にパーテ ィ
23.50
3,50 3.50 14.00
図1 改修後の情報教育セ ンター施設
平成13年度 の情報教育 セ ソクーの活動 と課題
図3 サーバ室
図4 玄関ホール外観
シ ョンで区画 したスペースを設 け,一般 の出入 りを制限 し,サーバ類な ど管理設備 を設置す る サーバ室 と して整備 した.図3にサーバ室の様 子 を示す.
(4)計算機室の環境整備 に ともない,計算機室西側 に廊 下か ら班按 山入 りので きる入 口を設置 し た.また.:推題時の山入 りに混雑が予想 され る ことか ら,資料室の一部 を廊 下に改修す ること で学生の出入 り空17mと安全性 を弛保 した.図4 に玄関ホール外観 を示す.
(5)倉庫 をネ ッ トワー ク機器 放 位のた めのLIJ‑m空 間 として改修 し,平成13年度末に,雅人 された 関連機器 お よび計罪機室 に綬冊 され ていたネ
ッ トワー クサーバ関連機器 が移股 され た.
4.ネ ッ トワー ク機器の更新 と移動 平成 12年度 に総額約 1,000万 円を投資 して盤傭 された新 しいネ ッ トワー クシステ ムは平成 13年 3 月に完成 し,同年4月 よ り新 しい体制での運用が開 始 された.従来のネ ッ トワー クシステム と比較 して 最 も変化 した点はネ ッ トワー クサー ビスの集 中管理 方法の導入であ る.従来,個 々の クライ アン トの追
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加や増加 ,ネ ッ トワー クサー ビスの実施等 にあた っ ては個々の部局での管理者 が これ を担 当 していたた め,ネ ッ トワー ク全体 を管理す る側 の負担は軽減 さ れていた ものの,一方では個 々の部局でのネ ッ トワ ー ク構成情報 が全体管理者 に十分に伝 わ らず,障害 な ど‑の対応 が迅速に行 えない とい う弊害 を抱 えて いた. このよ うな体制 を一本化 した ことによ り,管 理体制の強化のみ な らず,障害に対す る迅速な対応 が可能 となった.一方で集 中管理 による管理側の負 担 を軽 減 す るた め , 可 能 な 限 りク ライ ア ン トを DHCPに よるア ドレス割 当方式 に変更 した.なお, DHCPを利 用す る際 に管理側 が クライ ア ン トを把 握す るためにすべてMACア ドレスによる認証制 と した. このよ うな管理業務軽減 を考慮 した システム 設計 を行 った結果 と して,平成 13年度のネ ッ トワ ー ク管理 に関す る業務負担 は,システムが安定に稼 働 してきた こともあ り,数値比較は難 しい ものの前 年度 と比較 して相 当の軽減になった といえる.なお, 平成13年度 中に発生 した主な障害は,(1)末端HUB の故障2件,(2)サー ビスサーバHDD障害による 一部サー ビス停止3件,(3)SPAM な どネ ッ トワー クサー ビス的な問題3件程度,であった.
こ うして校 内ネ ッ トワー クが新 しいシステム と し て再構築 され,安定に運用 されていた平成 13年 8 月,文部科学省 よ り 「校 内ギガ ビッ トネ ッ トワー ク 柵集に関す る照会」が数回にわた り行なわれた. こ の内容は,一定枠の予算内で想定で きるネ ッ トワー クシステムに必要な機材 を提 出せ よとい うものであ り,想定で きる範囲で現行のネ ッ トワー クシステム をギガ ビッ ト化す るとい う構想で対応 した.11月に なると,急速 ギガ ビッ ト化の予算措置が現実化 し, それ にかかる予算 が平成 13年度補正予算に盛 り込 まれて 11月中旬に予算措置が行なわれた 旨内示が あ り,3月末竣工を 目標 に校内ギガ ビッ トネ ッ トワ ー ク構築作業が開始 された.なお, このシステム構 築 にあたってはネ ッ トワー ク管理室が佼長命 でその 任に当た り.校 内関係者 な らびに情報教育セ ンタ‑
運常 委n会には逐次報幣のみで短上期 に対応す ると い う体tl.fJで作繋が開始 され た.
この よ うな線維 を経 て,新 しい校内ギガ ビッ トネ ッ トワー クシステム梢築作業が開始 された.その中 の主要なポイ ン トは, (1)現行 システムを可能な限 り停止 させ ないで導入で きるシステム とす る,(2) システム導入 において最 も経費のかかる導入費用 を で きるだけ削減す ることと,現行 システムか らの移 行 を円滑に行 うために,設置導入 にかかる作業 をネ ッ トワー ク管理室で負担 し,可能 な限 り機器調達 に
図5 ネ ッ トワー ク管理室
近 い形でシステム導入を行 うもの とす る, (3)削減 で きる経費をできるだけ高性能,高信頼性 の機器購 入 に充て ると共に,機材 を集 中設置 して安定運用で きるスペースを確保す る, (4)できるだけ光幹線 を 整理 し,効率的な回線利用 がで きる構成 にす る,で ある.この よ うな仕様 に基づ き平成 14年2月 1日 に入札が行われ,平成14年4月5日にほぼ全般 の 作業 を終 えた.
校 内ネ ッ トワー クシステムに関わる管理機器 は, 情報教育セ ンター東側倉庫 をネ ッ トワー ク機器専用 の設位場所 として改修 したネ ッ トワー ク管理室に設 思 された.図 5にネ ッ トワー ク管理室の様子 を示す.
5.技術室第二技術班居室の設置
管理垂お よびプ ログラム指導室が 1室 に改修 され た管理室 と資料室 を改装 したオペ レー タ室は,平成 14年度 よ り技術室節二技術班職員の常駐居室 と し て運用 され ている.これは,懸案であった技術室の 統合案 に対 して.その受入 を平成 12年度情報教育 セ ンター運営香貝会で決定 しておいた ことが大 きく 貢献 した.
従来,専任教官 1名が管理室に常駐 していたが, 専任教官は一般科雌 に居室 を移動 し,技術室職員 6 名 が新 しい管理室お よびオペ レー タ室に常駐す るこ
とになった.技術重職flは各学科等の技術教育 をサ ポー トす るとともに,情報教 育セ ンターの運営に も 参画す る. これ によ り,主 と して峠任 の教官 と技官 の二人によってな され てきた学生へのサー ビスは, 二人に加 えて情報教育セ ンター運営委D と技術室職 員の協力 体制 によ り行われ ることにな り, これ まで 以上によ りきめ細かいサー ビスが怖仲裁市セ ンター を利用す る学生等に提供 され るもの と考 え られ る.
今後.情報教育セ ンター と技術室の迎助 に よって一 例セ ンタ一括1肋を活発に して い くことが要求 され て
図6 管理室風景 いる. 図6に管理室風景 を示す.
6.
A V
C室および第二端末室の整備計画専門教科は もとよ り数学や英語 な どにおいて も計 算機 援用教材 が利 用 され るよ うにな り,演習室や
A V
C室の利用希望は年々高まっている.平成 11年度 に更新 された教育用電算機 システム の利 用期 限が平成15年3月に迫 って きた ことか ら, 次期 システム更新に併せて計軍機室 を第二端末室 と
して整備す ることで,実験実習や卒業研究な どの小 グループでの利用に柔軟に対応で きる環境整備計画 を検討 した.また, 更新の 目処がたたない
A V
C 室 の設備 更新 も視野に入れ,平成 13年9月情報教育 セ ンター運営委員会内に設置 された ワーキンググル ープにおいて次期教育用電算機 システムの基礎計画 の検討 を行 った. このなかで次期教育用電算機 シス テムでは, (1) よ り安定な教育環境 を構築す るため 教育用端末は単一O
S とす る.(2)公開講座 ,体験 入学等外部‑のサー ビスには従来の教育機 関向けラ イセ ンスが利用できない ことか ら,演習室のみ に一 般 ライセ ンスの環境 を構築す る.( 3 )
演習室,A V C
室,第二端末室 を共通環境 にて利用で きるシステム を実現で きるよ う配慮す る.な どが方針 として打 ち 出 された.
図7に情報教育端末の設置計画図を示す.同図に 示す よ うに計算機 室に端末 20台,教官用端末,質 料提示 システ ムを配置 している.ここではクラス半 分程度 までのグルー プ学習お よび 自習環境 を想定 し ている.
A V
C室について も,教育用屯界機 システムの更新 に併せて,パー ソナル コン ピュー タの更新 を計画 し ている.同室に設位 されているLL装置の更新につ いて も検討 を行 ったが,予算規模 の関係 か ら今回の 更新計画に含めることは困難である として見送 るこ平成13年度 の情報教育 セ ソクーの活動 と課題 175
冒
図7 情報教育センター端末配置計画
ととした.
演習室,AVC室,第二端末室か らの利用はサーバ 重に設置 され るサーバによって共通環境を提供 し, 学習環境の統一化を計画 している.
次期教育用電算機システム仕様策定委員会では, これ ら情報教育センター運営委員会の検討結果 を踏 まえて仕様策定作業にあたっている.
7.3次元CADシステムと言語教育システム ALCサーバの導入について
平成 13年度まで情報教育センターで利用されて きたCADシステムは,いわゆる2次元CADであ り, 基本的に紙 と ドラフターによる製図を電子化 したも のである.2次元CAD は本来3次元の立体である 設計対象を2次元化 して取 り扱 うため,立体物の設 計 ・製図には必ず しも適 しているとは言えない.す なわち,2次元CAD は,その利用者が立体を2次 元平面上で取 り扱 うための三角法な どの専門知識を 備えていることを前提 としている.また,取 り扱っ ているデータが2次元であるため,CAE,CAM と の親和性に乏 しく,ほとんどの場合,図面データを そのままcAM 等で利用できない. さらに,情報数 育センターで利用 されていた2次元CAD システム は導入後6年経過 してお り,陳腐化 と共に最新のコ ンピュータシステム‑の適応性 を危倶 される状況に あった.
一方,地域共同テクノセンターでは,地域企業の
ニーズに応 じて3次元CAD の導入を積極的に検討 してお り, さらに,CAM と組み合わせて設計 ・試 作システムの導入 も検討 していた.
以上のような背景か ら 「全学的CAD,CAM 教育 システム」プロジェク トとして,情報教育センター, 地域共同テクノセ ンター,技術教育センター,専門 5学科の共同で3次元CAD の導入を検討 し,実現 に至ったものである.
今回導入 された 3次元 CAD システム 「Solid Works」は情報教育センター端末室の端末48台 と, 地域共同テクノセ ンターのプロジェク ト実験室の端 末 10台にインス トール されている. ソフ トウェア のライセンスは情報教育センターに置かれたライセ ンスサーバによって管理 され,情報教育セ ンターが サーバの保守 ・管理を行っている.3次元CAD シ ステムはすでに今年度か ら機械工学科の授業で利用 されているほか,地域共同テクノセンターでは講習 会な どに利用 されている.また,機械工学科の創造 工学演習で も使われている.
SolidWorkSは地域共同テクノセンターに導入 さ れた3次元CAM とも親和性が高 く,CADデータか らそのまま加工用のNCデータを生成できる.また,
STL形式でのデータ出力をサポー トしているため, 最近注 目されている光造形機や,卓上型の3次元切 削加工機 とも親和性が高い.また,CAD システム内 で様々な検討を行えるため,試作をある程度省 くこ
とができ,開発時間の短縮につながる.
図8 3次元CAD 画面
今後の利用 として,希望す る本校教職員が 自室の パ ソコンでSolidWorksを利用できるよ うにす るこ とを予定 しているほか. ロボ ッ トコンテス ト,エ コ ノパ ワー レースな どの課外活動での活用 も予定 され ている.
平成13年度 には 言語教育 システム と して,ALC NetAcademy 初級 ・中級 コース (アル ク教育社) が導入 された. このシステムはTOEICス コア470
‑550点 レベルの英語乍習 システムであ り,Webベ ー スで利用 され る ソフ トウエアである.図9に示す よ うに,利用符はInLernetExplorerか らサーバに ア クセス し,個々の レベル に応 じてカ リキュラムを 受講す ることがで きる.平成14年度 の講義 におい
ては4,5年 を対 Iitに駅行 され,平成15年度全学年 での利用が 予定 され ている.
図9 NetAcademy初期画面
今回導入 され た3次元CADお よび言語教育シス テムのサーバは,情報教育セ ンターサーバ室に設置
され管理が行われ ている.
8.あ と が き
平成13年度情報教育セ ンターの活動につ いて報 告 した.情報教育セ ンターの環境が大 きく変わ り, よ り良い環境 の構築,サー ビスが求め られ るよ うに なって きた,今後技術室 との連携 を強化 し,教育改 善 を行 っていきたい と考えている.
平成14年度末には新 しい惜報教育用電算機 シス テムが更新 され る.情報教育セ ンター運営委員会で はよ り良いシステムが導入 され るよ う様 々な提案 を 行 っていきたい と考 えている.