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現 代 ソ ビ エ ト 基 本 権 の 存 立 構 造 論

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(1)結. 皿. 皿. −. 序. 語. 市民ー国家関係と基本権. 個人−社会関係と基本権. 人間︵個人︑市民︶と基本権. 現代ソビエト基本権の存立構造論. 序. 小. 杉. 末. 吉. 一九七七年一〇月七日に採択された﹁ソ連邦憲法﹂は︑一方で一八年ー二四年i三六年の各憲法体制を継承した革. ︵1︶︵2︶. 命六〇年のソビエト体制を総括することで︑六四年一〇月以降のブレジネフ体制︵特に七〇年代以降のそれ︶を確定. する意味を有するとともに︑他方で新たな﹁共産主義建設期のマニフェスト﹂の意味をも有するといわれる︒それは︑. 一九五. 新憲法が革命六〇年を貫くソビエト社会主義における一般的なるものと特殊的なるものとの融合の今日的あらわれで 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(2) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 一九六. あることを意味するものであろう︒従って︑我々が新憲法の社会主義憲法としての歴史的意義ないし意味を考える場. 合︑新憲法に内在するこのいわば﹁両義性﹂は常に考慮されなくてはならない︒何故なら︑新憲法の社会主義憲法的. 性格の如何は︑まさにこの﹁両義性﹂を如何に理解するかにかかっているからである︒というのも︑これによって︑ ︵3︶. この憲法の想定する社会主義的理念と社会主義的現実との絡みの実相が明らかとなるからである︒特に︑この憲法の. 眼目の一つである﹁︹市民の︺基本権﹂についても︑我々は右に述べたことと相即的に︑いわゆる社会主義的基本権. の発展系列のなかでのそれの一般的︑普遍的なるものと特殊的なるものを︑そしてそれらの連関を見究めなければな. らない︒そのためには︑この基本権が拠って立つ基盤︵社会︑国家︶との関連で︑そこでの基本権構造腫存立構造の 究明が前提作業として位置づけられねぽならないであろう︒. 本稿は︑ソビエト憲法︑ソビエト基本権の社会主義性如何というこうした間題意識から︑現代−七〇年代ーソビエ. ︵4︶. ト基本権の存立構造を︑︹社会−人間︵個人︑市民︶ー国家︺あるいは人間︵個人︑市民︶︹社会ー国家︺という連関. 構造のなかで考えてみようとするものである︒ ︵5︶ そのためのアプ・:チは︑論理的に想定される次の二つのアプ・ーチの批判的理解を前提とする︒第一に想定され. るのは︑社会−人間f国家各々を要素的に把握する立場で︑基本権を︑これら要素間の固定化された関係のなかで. 要素︶として構. の︑人間 主体の内在的価値として構成するアプ・ーチである︒第二に想定されるのは︑社会−人間i国家を一つの. 全体︑システムとして把握する立場で︑基本権を︑このシステムの内的連関のメカニズムの一環︵. 成するアプ・ーチである︒前者からは﹁自然法的人権論﹂ないし﹁外見的人権論﹂が︑後者からは﹁ソビエト基本権.

(3) 要素. 主体中心的把握に基づく基本権構. 論﹂が導かれるであろう︒これら二つのアプローチは︑前述した社会ー人間ー国家の相互連関のなかでの基本権構造 の解明という我々の観点からすると︑相対立する立場︵第一のアプ・ーチ. 全体︑システム的把握に基づく基本権構成︶をとりつつも︑いずれも同次元での欠陥︵第一. システム内要素. 主体が基本権構造にたいしてもつ主体的契機の意味の軽視︶を内在させている. 要素目主体相互の連関︑それらを包摂する全体︑システムが基本権構造にたいしてもつ意義の軽視︑. 成︑第二のアプ・ーチ のアプβーチ. 第二のアプ・ーチ ように思われる︒. ここで問題とされるべきは︑近代市民的ブルジョア人権︹論︺の否定の上に構築された社会主義的目ソビエト基本. 権︹論︺が︑アプ・ーチの点では︑右にみたようなブルジョア人権論的アプローチと同次元の陥穽にあるのではない. か︑という疑問である︒まさにここに︑我々が﹁現代ソビエト基本権の存立構造﹂を問題にする理由が存する︒そし ︵6︶. てここから︑前述したように社会主義的基本権の本質︑構造に関する一つの構想を提起する試みのための準備作業が 始まるのである︒. 従って︑我々は︑この意味からも︑現代ソビエト社会における基本権を考える場合︑第一のアプ・ーチは無論のこ. 制度︑イデオ・ギーとして彼に対峙するもので. と︑第二のアプ・:チをとることもできない︒それらに代って︑本稿では︑基本権が社会的諸連関にある人間の主観 的︑主体的行為活動契機となる一方で︑他方一つの客観的なるもの. あるという二様の事態を︑主体の主観ー客観の現実構成におけるいわゆる﹁疎外・物象化﹂過程として把握すること. 一九七. により︑この過程のメカニズムを通して基本権の存立構造を検討するというアプ・ーチがとられる︒図式的に述べる 現代ソピエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(4) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 一九八. と︑これは︑人間が社会︑国家との連関でとる実存形態としての︹︵個人︑市民︶︺が疎外・物象化︹過程︺によって︑. 社会︑国家との関係で構成する主観−客観の現実のなかで︑基本権が如何なる構造をとるのか︑という観点からのア プ・ーチである︒. 以下︑この観点にたって︑まず社会的存在たる人間が︹︵個人︑市民︶︺という実存形態をとりつつ︑﹁ソビエト.. ナ・ード﹂という同質的人間性格において︑基本権と如何なる関係をとるのか︑次に発達した社会主義社会を場面と. する個人i社会関係の意味とそれが基本権と如何に関係するのか︑そして最後に全人民的国家を場面とする市民−国. 家関係の意味と︑それが法の主観的なるものー客観的なるものに基づく基本権構造に如何なる特質を付与している. 前文にも規定されている新憲法のそれ以前の三つの憲法との継承性につき︑全人民的討議段階の論評︵︽=ω切9旨国︾℃8. か︑を検討していく︒. 0︒田鷺躍ごミ︶参照︒また最近これをテーマした文献もでている︵= 目G碧α店0906誌霞ぎ民葭>突℃忠畠民ズO=?. 1︶. 壁昌属属=oα月①臣℃oh=o﹃o弓o逡岩ヌ畠p︒℃三 一零oo︶︒. 三. る刈oo︶にもみられる︒. ﹁共産主義建設のマニフェスト﹂という言葉は﹃イズヴェスチヤ﹄紙上︵︽=鴇9旨導℃ooo民旨α冨一〇ミ︶にも︑また最. 近出版された憲法概説書︵ズo=o冒昌月国ぬB臣胃088昌=碧器ζ貸甲o蕊挙. 2︶. 3︶ 以下で使用される﹁基本権﹂﹇o畠o臣宮①目冨田﹈は︑さしあたり市民ー国家関係の憲法上定式化されたもの︵その意味. 個人. 的実 観 主現. 的実 観 客現. 社会. 国家. 党. 後述する四様の主観ー客観現実の構成と併せて︑図示すると︑以下のようになる︒. で﹁憲法上の権利﹂冒o零屋還月=畠=匡Φ目℃田薗﹈︶と理解されたい︒詳細は︑第三章で検討する︒. 4︶. 人間 市民.

(5) 5. 万法論に関する以下の叙述は︑真本悠介﹃現代社会の存立構造﹄︵筑摩書房︶︑船橋晴俊﹁組織の存立構造論﹂︵﹃思想﹄一. このことに関連して︑森下敏男﹁社会主義的基本権の論理と体系﹂︵社会主義法研究会編﹃現代社会主義憲法論﹄︵法律文. 九七七年八月号︶その他から示唆を得たものである︒. 化社︶所収︶︑参照︒. 6. 1 人間︵個人︑市民︶と基本権. ︵1︶. 人権と公民の権利 公民権. マルクスが﹃ユダヤ人問題にょせて﹄のなかで︑社会が市民社会と政治的国家に分離していることに対応する︑社 会成員たる私人と政治的国家の成員たる公民への人間の分化︑それと相即的に人の権利. とへの﹁一般的な人権﹂の分化を︑近代市民社会の特質として描いたことは周知の通りである︒かかる社会のなか. で︑人間は︑﹁孤立したモナド﹂として措定される︒こうした人間存在の基底に︑資本−賃労働関係︵ 資本主義的. 生産関係︶が存することもまた周知の如くである︒かかる資本主義的生産関係←市民社会−政治的国家の二元化←人. 間の公民−私人への分化という事態を社会主義革命によって変革した結果実現したソビエト社会︵特に︑現代ソビエ. ト社会︶において︑如何なる人間存在が社会︑国家との連関で措定されているであろうか︒. ソビエト国民ないし人民︶の同質性に焦点. ここでは︑人間が社会︑国家との連関で︹︵個人︑市民︶︺として実存する事態を︑﹁新たな歴史的人間共同体﹂. 唇国舘§8旨港爵田&三ぎ自ぴ﹄δ暮邑たるソビエト・ナ・ード︵. 一九九. をあてて検討し︑そしてこうした人間存在が基本権の存立にたいして︑如何なる意味︑関係をもつのか︑を逐次検討 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(6) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. することにしよう︒. 二〇〇. 本論に入る前に︑二つの準備作業をしておくことが理解を容易にするであろう︒まず第一に︑社会主義社会の社会︑ ︵2︶. 政治システムにおける人間の地位である︒今日︑ソビエト社会の政治システムは︑国家−党−大衆社会組織を三要素. とする内部システムをもつ構造として把握されている︒そしてこのシステムの基底に︑﹁全人民的集産主義﹂﹇&貫? ︵3︶. 臣2建量ぎ自①胃臣器邑を特徴とする社会主義的生産関係が存する︒かかる社会・政治システムのなかで︑第一. 義的に労働主体たる人間は︑社会的︑経済的ならびに政治的関係において︑右で述べた諸要素の成員となり︑またこ. れら諸組織への参加およびそこでの活動を通して︑その主体的︑能働的契機となるのである︒その場合︑本稿では︑. 社会主義的生産関係−政治システムを包摂する社会において存在する人間を︑︹︵個人︑市民︶︺という構造において. 把握するのであるが︑それは︑労働主体たる人間が社会︑国家との連関で︑個人となり市民となる存在様式を意味す る︵最も︑本稿では︑生産関係レベルの検討は所与のものとして論じる︶︒. 第二に︑右との関連で︑﹁人間﹂口自o零呂︑﹁個人﹂﹇自由08呂︑﹁市民﹂胃9受h壁臣﹈という概念の意味およ. びこれら三者の関連をみておこう︒まず﹁人間﹂とは︑現代ソ連の文献では︑﹁地上における生命有機体のうちで最 ︵4︶ 高度の発展段階にあり︑物質的および精神的価値を生産することのできる社会−生物的存在﹂であるとか︑﹁思考と. ︵5︶. 言語の能力を有し︑労働諸手段を生産し︑そしてそれらを自覚的に自己の目的のために使用することのできる理性的. 存在﹂であるとか把握される︒そこで次に︑このように存在規定された人間が社会︑国家との連関で個人となり︑市 ︵6︶ 民となるのであるが︑まず﹁個人﹂とは︑﹁社会−心理的側面において把握された人間﹂であり︑あるいは﹁人間と.

(7) ︵7︶. ︵8︶. 社会との相互関係のプ・セスにおいて︑またその影響のもとで形成される特徴および特質の総体において把握された. 人間﹂である︒即ち﹁個人﹂とは︑当該社会関係の個性化された存在である︒他方︑﹁市民﹂とは︑国家への人の帰 ︵9︶ 属を意味する﹁市民権﹂﹃短製建胃ヨo﹈と呼ばれる人間の一定の政治・法的特質ないし状態︹身分︺である︒この. ように︑人間は︑一方で社会との関係で個人として実存することで︑諸々の社会組織の成員として活動し︑他方国家. との関係で市民として実存することで︑国家および社会の管理・組織への参加︑あるいは基本権・義務を実現・履行. するのである︵もっとも︑社会内存在としての人間は︑これら二様の実存を︹︵個人︑市民︶︺として同時的H共時的 に担っているのであるが︶︒. さて︑以上の準備作業を踏まえて本論に入るのであるが︑ソビエト社会主義社会における人間の今日的特質たる ︵10︶ ソビエト人民﹂の問題から入っ. ﹁新たな歴史的人間共同体﹂としての﹁ソビエト・ナロード﹂﹇8器↓突憲=巷£. ていこう︒ソ連の文献において︑新たな歴史的人間共同体としてのソビエト人民の特徴は︑三つの側面から指摘され. る︒第一は︑社会的特徴である︒社会主義社会において︑人間は︑一方で生産手段の所有者としては平等な︑全人民 ︵n︶. 的集団の成員として︑他方社会的分業に基づく生産・分配過程において︑他とは異なる階級︑社会集団の成員とし. て︑自己の社会的︑経済的地位をとる︒こうした二様の存在様式から︵その社会的︑経済的地位における一定の差. 異︑矛盾の存在にもかかわらず︶︑ソビエト人民の社会的同質性が指摘される︒それは︑①その社会成員︑グループ︑. 階級の全包括性︑②物質的︑精神的生産活動における協同労働︑③国家権力への帰属と社会・国家の事業への積極的. 二〇一. 参加︑④マルクス・レーニン主義思想の共通性と新しい社会建設における道徳的︑社会的理念の共通性︑⑤共産主義 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(8) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶ ︵12︶. 建設という目的の共通性などとして理解される︒. 二〇二. 第二は︑民族的特徴である︒周知のように︑ソ連邦は︑一五の連邦構成共和国︑二〇の自治共和国︑八の自治州︑. 一二〇の地方・州ならびに一〇の民族管区からなる多民族国家である︒それは︑各民族民族体の社会的︑文化的特質︑. 特殊性の尊重のゆえんであるといわれる︒とはいえ︑この事実上の民族・民族体間の差異にもかかわらず︑ここでも︑ソ. ビエト人民としての同質性が指摘される︒それは︑①各民族・民族体の共産主義樹立と社会主義達成物の擁護におけ. ・シア語の共通性︑⑥各. 連邦制への加入︑③物質的︑精神的福祉の︑各民族・民族体への︑それらの社会主義−共産主義建設にお. る族際的﹇器萸h旨巷o建匡邑共通性︑②自民族・民族体の自主・独立を可能にする自発・同権原則に基づく社会主 義共同体. ︵13︶. ける課題を考慮しての配分︑④すべての民族・民族体間の相互援助・協力・友宜︑⑤言語 民族・民族体の社会主義民族への発展︑において示される︒ ︵14︶. 最後の第三点は︑国家・法的特徴である︒それは︑ソビエト人民とはソビエト社会主義的全人民国家を外的形態と する国家的共同体であるということである︒. こうした社会的︑民族的ならびに国家・法的特徴から理解されることは︑ソビエト人民の同質性が︑その外的形態 ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ばかりでなく︑内的構造︵特に︑生活様式の一致に基づく社会主義型人格の形成といった点︶においても示されるこ. とである︒もちろん︑各々のレベルでの一定の差異・矛盾の指摘はなされるが︑ソビエト人民が基本的に同質的であ. ることについて疑問の余地はないといえる︵この点は︑後述の個人−社会の利益の統一の問題とかかわる︶︒. それでは︑かかる同質性を有する個々のソビエト人民は︑社会︑国家と如何にかかわり︑更には基本権と如何にか.

(9) ︵15︶. かわるのであろうか︒それは︑人間が社会︑国家の連関で構成する生活世界の﹁現実性﹂とかかわるが故に︑この点. の関連でみておこう︒人間の社会現実は︑社会的場面における対他関係のなかで︑個人としての﹁主観的現実﹂と﹁客 ︵16︶ 観的現実﹂との相互の連関として構成され︑把握される︒同様に︑人間は︑国家・法的場面において︑市民としての. 主観ー客観の現実構成をおこなうのである︒つまり︑人間は︑︹社会1︵個人︑市民︶1国家︺という連関のなかで︑. 四様の主観−客観の現実を構成し︑それに対応した行為︵目的合理的ないし相互的な︶をとるのである︵基本権もこ. の四様の現実に対応した構造をもつことになるのであるが︑この点は後述する︶︒ところが︑リビエト・ナ・ードは︑. 後述する社会︑国家との利益統一に基づき︑内面・外面の同質的実存契機によって︑一元的に機能化される主観i客 観現実構成をとることになる︒. 前述したように︑社会における政治的なるものと経済的なるものとの分離に基づく近代市民Hブルジョア社会にお. ける人間の私人−公民の二分化的実存にたいし︑ソビエト社会における人間の個人ー市民という二様の実存は︑その. 外観的類似性にもかかわらず︑内容・構造的には︑両社会の社会構造︑政治権力の実現方式上の差異によって︑異な. っている︒従って︑ソビエト社会における基本権の存立も︑近代市民社会における人権ー公民権という存立事態とは. 異なる政治的︑国家・法的意味をもつことになる︒つまり︑近代市民社会における人間が人権i公民権という二元的. 権利形態をもっていたのは︑この社会が基本的には四様の相互連関する現実として構成されねばならないにもかかわ. らず︑社会の政治的国家と市民社会とへの分離によって︑人間が実際には主観ー客観の二元的に固定化された現実し. 二〇三. か構成できないことによる︒それにたいして︑ソビエト人民の同質的実存に基づくソビエト基本権は︑一つのシステ 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(10) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. ム連関のなかで︑それの反映形態として︑またそれを構成する諸要素. 二〇四. 諸組織の成員の主体的契機として存立するも. のとして解される︒即ち︑ソビエト基本権は︑一方で社会・国家の利益を体現する国家・法制度ないしイデオ・ギー. として︑市民を媒介とする人間の客観的現実としてあらわれ︑他方市民の主観的権利として︑個別利益・欲求を抱く. 個人を媒介とする人間の主観的現実としてあらわれる︒その場合︑右に述べたソビエト人民の同質性が社会︑国家と. の連関で︑基本権を社会の法的規制メカニズムの一環として機能させる点が特徴的である︒即ち︑ソビエト基本権. は︑それが前述した社会の政治システムにおける制度・イデオ・ギー的側面と︑このシステム内存在としての人間の. システム. 主観的権利としての行為ないし福祉利用可能性の側面との二面において存立するにもかかわらず︑ソビエト人民の社. 会的︑民族的ならびに国家・法的同質性が個別社会成員の利益・欲求を容易に社会︑国家の︑総じて全体. 内在化によって自己の個人的︑主観的利益を実現することは︑党︑国家に. の利益に転化させることで︑後者が前者のメカニズムのなかで機能する構造を特徴とするのである︒従ってこのシス. テムのなかで︑人間が基本権制度の受容. よる社会の法的規制メカニズムの実現を意味することになる︒. 以上︑我々は︑現代ソビエト社会において︑人間が社会︑国家との連関で︹︵個人︑市民︶︺として実存すること. で︑四様の主観−客観の現実構成がなされ︑そしてそれに対応して基本権が如何に存立せしめられているのかを検討. 社会成員︶を自らの内にとり込む︑同質性を特徴とする一つ. した︒そこでは︑ソビエト人民の社会的︑民族的ならびに国家・法的同質性が基本権の存立に如何なる意義を与えて いるのかが問題とされた︒それは︑要するに︑要素︵. の全体・システムの規制メカニズムの一環として基本権が存立せしめられていること︑社会成員はこの同質性メカニ.

(11) ズムのなかでのみ︑自らの利益を実現しうることを意味することであった︒とはいえ︑これらのことは︑人間︵個. 人︑市民︶の社会︑国家との連関の内容を個別に検討した上でなければ︑十分に明らかにされたとはいえない︒従っ. て︑次章以下では︑︹社会ー人間︵個人︑市民︶1国家︺連関を︑個人ー社会関係︑市民−国家関係に一応分離させ て︑それぞれについて基本権との関連を検討していくことにする︒ ︵1︶﹃マルクス・エンゲルス全集﹄︵大月書店︶︑第一巻︑四〇一頁以下参照︒. ︵2︶O罫︾客員︒霞8FOα揖9︒国93①暴8長薗葭3き①突o邸>窪oる曽§堕3﹂S㎝もも﹂・. ︵3︶ ﹁全人民的集産主義﹂の特徴につき︑o箏δ・雷・口90×o竃oF口℃o寓ω零ho冨臣==oo↓き目①瓢瞑諭冨ω田888月き﹄瞑ω蜜勲. ズ器亜一鴇ρ3℃●臼︒. ︵5︶=●客三零鴇貫誉臣︒︒デ冒鴇9︒●幕さ巷鋤醤頴49冨8潮一︒賀3℃・$. ︵4︶>.O自蜜臣︑甲国曾ぎp=80①oα三︒︒田o−ぎ頃愚■雪畠撃三 一雪ρ6↓℃・s. ︵6︶>h目冥臣りω︒国曾ぎ切受器ω●8f自マ一9. ∩耳醤竃貰ρ3マぎ・なお︑社会学的カテゴリ!としての個人と法的カテゴリーとしての個人の同一視の誤りにつき︑. ︵7︶=︒=・三9︒ごωo閃受臣ω●︒︒f3マ︒︒.. ︵8︶. ︒︒. 6罫>・国・h①霞89曳尽ω●02 oも・一①oo臨一〇〇一・. ︵9︶9●冥客畜還ω︒閃受歪ω︒8チ8P﹃G. 一零9︒↓P. Go・三・・ご認・3やミO・︶︒なお︑ソビェト・ナ・ード出現時期に関する議論︵通説ニニ○年代末︑少数説 五九年以降︶に. ︵10︶ こうした概念規定は︑第二四回党大会でのブレジネフ報告にみられる︵﹄・峯切℃Φ製=oω℃﹄窪国胃ス属蜜閑賓ヌoF8言. ︒oo︒. 一〇おもも﹂o︒刈∴o. 二〇五. つき︑寒・頃客ズ8げ弟窪民9評ω切膏畠8量碧器属§8讐o弓谷属国禺竃9信90田国与o曾①窯93 一藤ド. ︵n︶ O罫﹄■写O島℃長o臨8︸Oo景碧臣o①9ω零望o=忌脂9﹄. 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(12) 二〇六. 一〇謹︸8マ甲一一・. 田中克彦﹃言語からみた民族と国家﹄︵岩波書. O冨●ワゆ.員o壁=国ヌ=℃oα﹄①言=器o℃国=8ωo冒民o﹃o﹃06網h巷3ωo寓=o﹃o自窓9℃三・. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶ ︵2 1︶. ﹁現実性﹂︑﹁主観的現実﹂ならびに﹁客観的現実﹂という語は︑P・L・バーガー T・ルックマン︵山口節郎訳︶. O罫帰帥蜜美ρ3マ=. 店︶︑第五章参照︒. ︵13︶ ∩客ワ甲目5望雷属F︾歪ω●8f自マ㌣ε・なお︑関連文献として︑. ︵4 1︶. ﹃日常世界の構成﹄︵新曜社︶から示唆を受けた用語であるが︑内容︑用い方について︑本稿の課題にあわせて変更を加え. ︵15︶・︵16︶. 主観的現実として説明する見解がみられるが︑主体にとっての. てある︒なお︑ソ連の文献において︑﹁現実性﹂とは︑物質およびその形態の標示﹇ao臣雲o臣①﹈であるばかりでなく︑. 意識現象の標示でもあるとして︑前者旺客観的現実︑後者. 実在の意味性の観点から︑我々はこの見解をとらない︒∩ざ=●三︒国9旨4き=80讐4①突雷需雪臣9デ器民目℃①>蜜魯. 個人−社会関係と基本権. 昌oωぎ頴国国一ズ属畠︸一零o o噂8マ9. 皿. 体系として理解されることは︑ヘーゲルがつとに指摘し︑そしてマルクスも承認していた点であ. 周知のように近代市民社会が︑その社会成員が孤立した原子的個人として︑他者を手段化しつつ自己の私的利害・. 欲求を追求する場. る︒かかる事態は︑社会からの政治的国家の分離︑経済的なるものと政治的なるものとの分離に基づいており︑法的. には人間の公民−私人の分化とともに︑法における主観的なるものと客観的なるもの︑あるいは公法−私法の二元化. として措定される︒人権ー公民権︵あるいはこれに基づく基本権制度︶は︑近代市民社会︵更には現代資本主義社. 会︶のかかる社会ー国家的︑法的二元化の所産であったのである︒このような二元的構成を特質とする資本主義社会.

(13) ︵その生産関係︶の否定. 止揚に基づいて建設されたソビエト社会において︑更には﹁発達した社会主義社会﹂と呼. ばれる現代ソビエト社会において︑右に述べた事態は︑如何に﹁解決﹂されたであろうか︒特に︑基本権の存立基盤 たる社会において︑個人の地位は如何に措定されたであろうか︒. そのために︑現代ソビエト社会を特徴づける﹁発達した社会主義社会﹂﹇窓鴇膏88月器自3毫の突8a三①80﹈. ︵1︶. の概念規定の検討から始めることにしよう︒発達した社会主義社会という概念それ自体は︑古くはレーニンまで遡り ︵2︶. うる︒しかしながら︑この概念が今日的意味あいをもって登場してくるのは︑一九六七年一一月のブレジネフの革命 ︵3︶. 五〇周年記念演説においてである︒そして︑この語は︑一九七一年末には︑公式にその正当性を受けるに至る︒この. 党綱領路線のユートピア的理念を含むソビエト・マルクス主義的社会主義を︑現. 間の経緯は省くとして︑この概念の登場の政治的意味については述べておく必要があろう︒要するにそれは︑発達し. た社会主義社会が︑フルシチョフ ︵4︶. 存のソビエト体制および諸制度を擁護するために如何に使用するかという要請を受けて登場したものであるというこ. ︵6︶. 共産主義建設期にかわって︑共産主義への新たな一段階. とである︒従って︑発達した社会主義社会の登場は︑ソビエト国家・社会史の新たな時期区分の要請にも対応してい ︵5︶. る︒発達した社会主義社会は︑フルシチョフ的な六〇年代. として︑﹁今日のソビエト社会の強化的性格﹂を反映しているのである︒. 技術的基礎︵工業の全面的︑調和的発. それでは︑この発達した社会主義社会とは如何なる特質・特徴を有するのであろうか︒それは︑ソ連の或る論者に ︵7︶. よれば︑以下の点に示されるごとくである︒①強力な︑社会主義的な物質的. 二〇七. 展︑科学技術革命に基づく生産の集約性と労働生産性の高度なテンポ︶︑②成熟した社会主義的生産関係︵生産手段・ 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(14) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 二〇八. 用具にたいする社会主義的所有の完全︑不可分の支配︑全人民的所有の役割の増大︑二つの社会主義的所有形態のそ. の融合を伴いながらの全面的発展・強化︶︑③社会主義経済法則のより完全な展開のための条件の創出︵国民の生活. 有機体の均衡的︑調和的機能︵科学技術革命と結合した︑労働者︑インテ. 水準の高揚と労働による分配原則の完成へと全経済を転換するための︑増大する社会需要の充足︑経済の計画的︑均 衡的発展の条件の創出︶︑④全社会組織. リゲンチャの増大と農民の減少︑肉体・精神労働者の資格︑教育水準の高揚︶︑⑤この社会の政治システムが党によ. り指導され︑かつ社会発展の全分野の管理を遂行する有機的に関連する国家的︑社会的組織の総体であること︑⑥社. 会の精神生活のより一層の進歩︵マルクス・レーニン主義思想の全ソビエト人民の思想への転化︑社会主義意識・共 産主義道徳の役割の増大︑国民教育・科学・文化のより一層の開花︶︒. こうした特徴づけから理解されるように︑発達した社会主義社会とは︑二つの社会主義的所有・生産関係の融合化. と大規模社会主義的工業生産による生産力の展開とに基づく︑社会構造上および政治・国家構造上の一定の﹁同質 ︵8︶ 性﹂︵ないし﹁同質化﹂︶を特質とする︑全体的︑システム的社会であるといえる︒次章との関連で本稿の課題にひき. つけて言うと︑この社会は︑人間︵個人︑市民︶︑社会︑国家を同質的に措定することにより︑人間の側からの主体. 性を社会︑国家の内的メカニズムの機能要因として取り込むことで︑基本権を法的規制メカニズムの一環として機能. 全人民性︶の連関のなかで︑基本. 社会の法的規制メカニズムの一環として措定される︶︒従って︑発達. させる社会であるといえる︵社会構造の同質性−人間の同質性ー国家の同質性︵. 権がこの同質的構造の法則メカニズムの一環. した社会主義社会の擁護によって表明される政治的︑イデオ・ギー的意味は︑右に述べたメカニズムを通しての﹁権.

(15) ︵9︶. 威的政治政度の維持と工業成長の持続﹂であると言えよう︒. 構造上の同質性である︒前述したように︑社会的同質性は︑もっばら︑社会的︑政治的ならびに思. ︵10︶. さて︑発達した社会主義社会における個人−社会関係で︑右に述べた特徴づけから以下の三点が指摘されよう︒第 一に︑社会構成. 想的関係における矛盾・差異の一定の消滅プ・セス︵従って︑完全な消滅を意味しない︶を表明したものである︒そ. の場合︑社会構成馳構造上の同質化プβセスは︑各社会階級︑階層︑グループ間内での同質化←他の社会階級︑階. 層︑グループとの接近およびそれらの間の差異・矛盾の消滅化として把握されている︒このように把握された社会的. 国民の同質性︑他方で国家︑政治システムの同質の基礎におかれるのである︒. 構造上の同質性から︑第二に︑基本権の属性であるとともに︑その保障対象である社会内成員. 同質性が︑一方でソビエト人民. こうした社会構成. 相互の利益ならびに個人と社会の利益の統一が導かれる︒個人ー社会の利益の統一は︑社会の諸要請・発展法則︵例. えば︑社会の政治的︑社会的ならびに経済的原理︑共産主義建設︶に則した個人の主観的行為・活動︵例えば︑社. 会︑国家の業務への積極的参加等︶に表明される︒即ち︑それは︑社会の利益同客観的利益の個人による認識・承認. 社. を通じての彼の主観的利益の実現というメカニズムをとる︒この場合︑党を媒介にして︑国家は︑全人民の意思・利. ︵11︶. 益を表現する法秩序の確立・保全・社会関係の調整・組織化の道具としてあらわれ︑また法は︑全人民的利益︵. 会の利益︶の枠内で社会︑国家︑集団ならびに個人の利益の区別・調整・結合の手段とされる︒このように︑個人ー ︵12︶. 二〇九. 社会の利益の統一は︑社会・経済的および政治的分野ばかりでなく︑国家の基本権保障活動を含めた法活動の基礎に 据えられるのである︒. 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(16) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. ︵聡︶. ︵14︶. 二一〇. そして︑第三に︑社会ー国家を制度的に媒介するとともに︑このような国家活動を具体的に担保する党の役割が指. 摘される︒即ち︑発達した社会主義社会において︑党は︑﹁全人民的支持を享受する支配政党﹂として︑第一に︑社. 会の社会的︑政治的および思想的指導・教育を実現し︑第二に︑社会−国家の制度的媒介として︑個人i社会の利益. の統一←市民i国家の利益の統一を媒介する︒前者に関して︑党は︑社会主義社会の発展︑共産主義建設に向けて︑. 個人を含めた社会全体の団結・統一のための活動を行い︑後者に関して︑社会機関や国家機関へのカードルの抜擢︑. 政策立案︑政治的コント・ール等を通じて︑全人民党の強化を背景に︑個人−社会の利益の統一を市民−国家の利益 の統一へと媒介する︒. 構造上の. このようにして︑発達した社会主義社会において︑個人−社会関係あるいは個人の社会的地位は︑完全にではない ︵15︶. が基本的に同質化されるのである︒基本権存立との関連でいえば︑発達した社会主義社会は︑①社会構成. 同質性︑②個人−社会の利益の統一︑③それらの国家レベルヘの媒体たる全人民的党の存在を特質とする個人ー社会 ︵16︶. 関係を︑基本権存在の現実的基礎としているのである︒このことは︑発達した社会主義社会が①社会成員たる個人に. 客観的現実︶され︑②この客観的現実化された制度・イデオ・ギーが前述の同質性を現実的基. とって︑彼の利益は︑社会の利益との統一に基づいて︑党・国家によって制度化・正当化された制度・イデオロギー ヘと外化・対象化︵. 礎にして︑社会の規制メカニズムとして個人に対侍し︑③個人は︑これを受容・内在化しなければ︑自己の現実性. ︵阻主観的現実︶を実現 構成しえない︑という現実メカニズムをとっていることを意味する︵その際︑前述した①. 社会構成 構造上の同質性︑②個人−社会の利益の統一︵更に党によって媒介される市民−国家の利益の統一︶は︑.

(17) 市民社会における場合と根本的に異なる. 第一章でのソビエト人民の同質性とあいまって︑実際の社会レベルにおいてはこのメカニズムのイデオロギー的機能 要因となっている︶︒. こうした個人ー社会関係︑それと基本権存立との関連が近代ブルジョア. 主体中心的把握に基づくブルジョア人権︹論︺. ものであるとはいえ︑このことから︑ソビエト社会が﹁社会主義的基本権﹂の土壌ー現実的基礎を形成したと述べる ことは容易ではない︒なぜなら︑個人−社会︑市民−国家という要素. を端的に否定︑止揚した上に構築されたソビエト基本権が前述した個人ー社会関係を現実的基礎としてもつ事態︵そ. ヤ. ヤ. システム. れは︑①基本権は社会ー個人腫市民ー国家間の一定の関係を法的に措定したもの︵法的形態︶である︑②各要素H主 ヤ. 体は︑それを包摂する全体Hシステムのメカニズムにおいて連関する︑③従って︑基本権は︑この全体. 社会の規制メカニズムの一環として機能せしめられる︶が︑社会成員たる人間にとってどれだけ現実的であるのかが. 問題とされるからである︒この点は︑資本主義諸国の側において︑社会主義下での商品生産︑集権的計画・管理ある. いは官僚的行政機構の存在等とあいまって︑つとに指摘されているところである︵最も︑前述したような個人−社会. 関係のメカニズムが基本権存立に与える意味については十分な配慮がなされているとはいえないが︶︒. このようにして︑我々は︑発達した社会主義社会の特徴づけから出発して︑社会構造上の同質性と個人−社会の利. 益の統一とが︑個人ー社会関係を独自のメカニズムにおいて特徴づけている点︑そしてこの独自のメカニズムをもつ. 個人−社会関係が基本権存立の現実的基礎となっている点︑更には党が︑かかる個人ー社会関係を市民−国家関係へ. 二一一. と媒介する重要な制度的・組織的機能を担っている点を検討してきた︒これらの点から︑発達した社会主義社会のい 現代ソピエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(18) 二一二. システム的性格が︑基本権の現実性にたいしてもつ間題性が明らかにされたといえよう︒そこで︑. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. わば同質的︑全体. ﹃レ:ニン全集﹄︵大月書店︶︑第三〇巻︑三三六頁︑あるいは第四二巻︑六四頁参照︒. 労働による. この間題性が市民−国家関係において如何に﹁展開﹂していくのかということを︑次章において検討しよう︒ ︵1︶. 3マOドここでは︑発達した社会主義社会. O寧員寧切需製器P﹄窪鵠畿o杢竃民紀営oさ8竃鱒三. 分配原則の支配する社会として使用されている︒二四回党大会報告では︑それは新たな段階の示唆として使用される︒︵o罫. 一Soo. ︵2︶. ﹄●罫9Φ製器伊望臣ω・8fqo蜜oo︸o召・8㎝・︶︒ 占ω●. ︵3︶oh︒>﹄●穿きω﹂2u薯︒一〇需島ω8一巴凶︒・B冒ω︒幕二島8一︒寮︽ω︒幕3け且一8︾℃く︒一﹄︒℃2︒●ω一宣鴫一︒§冒占㌣. ︵4︶Oh﹂玄ユ● ︸ P & N ●. 発達した社会主義社会の時期区分につき︑o軍馴=●ズ鷺臣=窪民9︾歪ω●8f8P占i蕊.また︑新憲法制定後の発達. ︵5︶一げ一α P酷偶●. 〇9こうした特徴づ 一SPo↓マ嵩早一〇. した社会主義社会がそれ以前の発達した社会主義社会と異なることにつき︑o罫甲ρO①冨窪oP員塁鶉宍↓属臣冨目国↓=国. ︵6︶. 一〇ミ讐oも・早嵩・. O罫罫ワ団8図臣︸Oo賀壁器℃薗目胃038員爵﹄蓉ヨ器o民o﹃ooα長8冨辞3. 8月堅きぎ邸3暑腎も匡8国8突o﹃ooα員08困℃三. ︵7︶. 6︾貫ぎ3ダ. けは︑従来の︑例えばグレーゼルマソの特徴づけ︵03づ国﹃器器℃冨賠︸ω冨目匡3壁畠誌==諭8員=塁篶↓き9民03. 0α員08器国ぞ胃8霞冨ω切胃o弓08量雪器憲り切民旨●評︒︒切胃oの8篇臣聖8圭①突oooα月R田o. 関係の考慮といった点で一定の前進がみられる︒なお︑グレーゼルマンの特徴づけの批判として︑新美治一﹁現代ソビエト. 民℃胃店属国ゼ窪03F民℃醤↓=臣℃畠認国畠畿3突巽民O=月呂員鵠丼器挙甲ρ三 這刈ρ8マ鴇占Oo︶に比して︑例えば生産. O竃●コo自↓き①o臣国o胃臣蕊貰窒冨認爲o﹃08暑p︒自3属器o胃ooα員①3困サズ器9一Sρoも﹂O・. 国家論﹂︵﹃現代と思想﹄︑第一八号︶︑七六−七七頁参照︒ ︵8︶.

(19) oやo濤. マ. N①.. >.ω︒国︿曽. の℃冒. ︵9︶. 以下の叙述について次の文献所収の各論稿を参照した︒O寧OO茸器き鋸国3℃曳民遷℃働短困箋088月=塁蓉望■o負03 o国∩OO℃=≦℃ご刈①● 0α員9↓ωo. ︵10︶. ①o民080α月①3器=≦. 一〇お. 〇野 3℃︒一〇. O罫ゆ・>・コ鶏δ﹄嬉F∩o需↓o器凶8月=嘗§旨器o臣国>o蜜o閑窓旨国国﹄=臣8↓ダ閃ズ鵠謡●bo罵o民B醤国窓ω旨↓o﹃0. 一S㎝一〇な●一≒占峰oo・. の存在︑そして個人ー社会︵市民−国家︶の利益の間の一定の矛盾の存在可能性を認める延長線に︑社会的同質性が提起さ. O冬︾器騨08零突oo80︾員巷3器臣oo目℃鵠ρ3℃・おSここで興味のあることは︑社会構造上の一定の差異・矛盾. 一〇刈ρO↓掌刈ド. 切・=・↓o目o℃臣F﹁02h80冨o践>o鼠o民冨臣国冨認篤038臣雲=署貸閃課工=︒∩o月臣自署属>oζo民冨壁頴︒三●り. oω黒肖O門060ξ富鳶幽6︸諸2訳O﹃OO軌長①6↓閃船噛三 一〇ミ● 一〇誤馴コ m ℃ ↓ 国 識 切 目 の ℃ 説 O 知 ℃ 自. 発達した社会主義社会における党の役割につき︑6實甲O国ぎヌ臣評ズコOO出薗㊤冒器窟困竃038量雪=署黛客臣oお. Oo器↓突 o ① ﹃ o 身 h 巷 3 切 の = = o ① 口 冨 切 P 三. 基本権との関連で︑個人ー社会の利益の統一は︑市民の権利・義務の統一を創出する現実的基礎であるといわれる︒O峯. 8属瞑碧属8属. ︵n︶. ︵12︶. ︵13︶. ︵4 1︶. ︵15︶. ヴォエヴォーディンは︑正しく理解された利益は︑個々の人間の私的利益が社会的利益と合致する場合にのみ存在すると. こと︶であろう︒O罫甲>︒口碧δ旨謡罫望訳8︒O↓欝ぴ卸8マ這ド. れていること︵従って︑事実上の差異・矛盾の存在可能性と社会的同質性とが相入れないものであるとは理解されていない. ︵16︶. 一ωω︒. 二一三. 述べている︒∩琴﹄.h9切O窃O>=FズO丙↓国↓︾耳畿O鵠景拓冒冨寄国Oα凶ω臣=9目8器同良国図﹃冨萸hmぎ三 一零ρ3マ. 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(20) 早稲田法学会誌第二九巻︵輔九七八︶. 皿 市民i国家関係と基本権. 二一四. 今日の資本主義憲法学において︑市民−国家関係は︑基本的には︑イェリネック﹃公権論﹄流の国家にたいする. 人権把握が︑. 国民の四つの地位ー受動的︑消極的︑積極的および能動的1において把握され︑基本権目人権もそれに対応して︑三. つの型−自由権︑社会権および参政権1において把握されているといえるであろう︒こうした基本権. 国民ー国家関係︑基本権把握は︑ソビエト憲法学服国家法学において︑端的に否定される︒そ. 前述したような︑社会︑国家︑法ならびに人間実存についての二元的理解に基づいていることは︑改めて述べるまで. もない︒かかる 市 民. れでは︑現代ソビエト社会において︑市民ー国家関係および基本権は如何に構成されているであろうか︒前章での個. 人!社会関係︑基本権存立の社会的基礎の検討を承けて︑本章では︑この点の検討を行うことにする︒. 手始めとして︑現代ソビエト国家の特質たる﹁全人民国家﹂﹇a月窪巷o崔88身恕ヌ↓零﹈概念の検討からはじ. ︵1︶. めよう︒この概念自体は︑すでに︑一九三六年憲法の制定過程において︑バシュカーニスの論文のタイトルにもみら. れる︒とはいえ︑全人民国家がその概念内容において脚光を浴びるようになったのは︑フルシチョフと結びついての. ことであると言ってよいであろう︒周知のように︑フルシチョフは︑全人民国家という語を︑﹁展開した共産主義建 ︵2︶. 設期﹂における国家の社会的自治機関路線︵ソビエト社会の管理・指導にたいする国家の役割・責任の漸次的消滅化. 路線︶と結びつけて使用した︒このフルシチョフ的全人民国家概念は︑一九六四年の彼の失脚とともに排棄されたが︑ ︵3︶ 全人民国家という語自体は︑一九六七年に新たな内容を盛り込まれて︑再登場することになる︒ここでの全人民国家.

(21) 概念は︑フルシチョフ期の国家統治の縮小と社会的自治の増大という路線的前提から分離されて︑発達した社会主義. 社会における堅固で成長するシステムとして︑省・計画の管理における政府日行政機構の正当性の承認と社会団体. ︵4︶ 組織および諸社会勢力の党・国家による指導の強化とに奉仕するものとなっている︒ ︵5︶. ︑. ︑. ︑. 従って︑こうした概念系譜を経た今日︑全人民国家は︑﹁社会関係の調整・組織化︑全人民の意思と利益を表現す. る秩序の安定および保全の実効ある道具﹂として理解される︒即ち︑全人民国家の全人民的特徴は︑﹁人民自身によ. る︑自らの代表を通じておよび直接に︑成熟した社会主義社会の可能性によって条件づけられた広範な人民大衆の間 ︵6︶ 断なく増大し続ける欲求および利益の最大限の充足を目指した全人民国家権力の実現﹂にある︒そして︑全人民国家. は︑﹁共産主義の物質的ー技術的基礎の創出および社会主義的関係の共産主義的関係への転化の課題︑共産主義の高 ︵7︶ い要請の精神でのソビエト人の教育の課題﹂を遂行することになる︒即ち︑①経済・組織的活動︑②文化・教育活. 動︑③労働︑消費手段の調整︑④社会成員にたいする多面的な社会的奉仕の付与︑⑤環境保護︑⑥社会主義的法秩 ︵8︶ 序︑社会主義的所有︑ならびに市民の権利・自由の保護︑などが︑全人民国家の国内的機能とされる︒. それでは︑かかる全人民国家と市民の関係は如何に措定されるであろうか︒まず︑この市民i国家関係が政治的関 ち. ヤ. ヤ. 係であることをおさえておく必要がある︒即ち︑それは︑ソ連の論者によれば︑社会の主体にとって客観的な︑彼ら. 二一五. の意識から独立した現象であり︑その本質が権力行使に関する自覚的に組織された階級的活動であり︑また階級.階 ︵9︶ 層の主要な利益の充足と発展とに向けられた活動である︑そのような関係だということである︒更に︑市民−国家関 ︵10︶ 法的関係︶でもあ. 係は︑第一義的には政治的関係であるが︑派生的には法に媒介された個人−社会の多様な連関︵. 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(22) 稲稲田法学会誌第二九巻︵噌九七八︶. 二一六. る︒個人−社会関係は︑こうした複合的関係としての市民−国家関係へ転化するのである︒つまり︑市民−国家関係 ︵11︶︵12︶. とは︑個人ー社会関係のうちで最も重要かつ意味のある相互関係の集中的表現であり︑そしてそれは︑あたかも個人. i社会の多様な連関の核のごとく示される︒従って︑政治−法的関係としてあらわれる市民i国家関係は︑主体の範 ︵13︶. 囲ー市民と国家︹機関︺だけーの点においてばかりでなく︑現行法規範に規定された市民−国家の相互的権利・義務. がこの関係の内容である点に︑その特質を有するといわれる︒更に︑前章で述べたように︑個人−社会関係は︑その. 主体にとって二様の現実︵主観的−客観的︶としてあらわれ︑また統一的に把握される相互的利益関係︵個人からの ︵14︶ 労働による社会への貢献−社会からの物質的︑精神的福祉の供与︑個人生活の保護︶として機能するものであった︒. 市民i国家関係は︑かかる個人−社会関係のいわば機能的︑動的連関を︑確立した現実たる側面︵客観的︑制度的︶ ︵15︶. と確立しつつある︑あるいは形成的側面︵主観的︑主体的︶の二面性を有する政治的関係の特質に基づいて︑自らの うちにとり込むのである︒. このように︑社会的生産・分配の主体︑社会ー政治的生活の主体ならびに精神的︑肉体的特質を付与された人格と. しての人間の地位は︑国家による市民−国家関係の措定として確保されることになる︒ここからも︑︹社会−人間︵個. 人︑市民︶ー国家︺という連関で基本権を把握することの意義が指摘されよう︒しかしながら︑この点に関して︑ソ. 連の文献にみられるように︑個人−社会︑市民−国家各々の関係性の独自性と両者の連関についての然るべき考慮に ︵16︶. もかかわらず︑﹁関係の実体化ないし固定化﹂ともよびうる把握が指摘されうる︒そのことは︑基本権が要するに市. 民ー国家関係の法的形態であるという見解に集約されているといえる︒その際︑このような基本権n関係の実体化と.

(23) みる見解は︑基本権を︑以下で述べるような﹁市民の法的地位﹂﹇壱鎚88口90豪窪器弓髄美h臣﹈の一つのしかし. 最も重要な原理として把握することと連関している︒周知のように︑イェリネック流の人間︑社会および国家の要素 ︵17︶. 主義的把握に基づく国家にたいする国民の法的地位論にたいして︑ソ連における市民の法的地位は︑ソビエト国家の ︵18︶. 社会︑経済的本質の反映として︑あるいは社会における個人の地位︵H個人−社会関係︶の﹁完全︑確実な﹂表現と. して︑社会ー国家の連関のなかでの市民と国家の関係を規定するものである︒このことは︑市民の法的地位の原理と. ︑ ︑ ︑ ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. 市民の法. して︑基本権・義務制度およびそれらの統一とともに︑前述した個人ー社会の利益の統一があげられることからも示 ︵19︶. される︒端的に言えば︑個人ー社会の利益の統一←基本権制度における権利.義務の統一のメカニズムが. 市民. 市民の法的地位の最重要な原理﹂把握との連関は︑基本権存立の基底にお. 的地位の内実であり︑そしてそれは︑基本権存立のメカニズムでもある︒このように︑右で指摘した﹁基本権 国−家関係の法的形態﹂把握と﹁基本権. ︵20︶. いて︑市民の法的地位における︑前述した同質性︑統一を契機とする個人ー社会関係の市民ー国家関係への転化とし. てあらわれる︒それは︑利益の統一︵個人ー社会︑市民ー国家の︶←基本的権利.義務の統一というメカニズムとし. て措定される市民の法的地位を媒介とする社会の規制︵特に︑法的︶メカニズムの機能化でもある︒それはまた︑基. 本権が右の法的地位のメカニズムに示されるごとく︑前述した党.国家による一つの全体シスムとしての社会の法的 規制メカニズムの一環として位置づけられることを意味する︒. このように︑ソビエト基本権は︑市民−国家関係︑市民の法的地位の独自の関係中心的把握の上に構成されるわけ. 二一七. であるが︑それは︑更に法における主観的なるものと客観的なるものとの分化によって補完される︒基本権の内実た 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(24) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 二一八. 主体の自由意思の形態化され. る﹁主観的権利﹂﹇︒旨器腎臣亭お弓畠呂の意義の検討につなげる意味で︑この問題をみていこう︒へーゲル﹃法 の哲学﹄流の法の主観的なるものー客観的なるものの分化︵市民社会の諸関係の主観. たものとしての主観的権利ー国家によって定立された︑実定法としての客観法閥法律︶が︑彼なりの市民社会!国家. の二元化︵市民社会から政治的国家が自立する事態︶←人間の公民−私人への分化の把握に基づいていることは言う ︵21︶. までもない︒それにたいして︑発達した社会主義社会ー全人民国家のシステム連関に基づくソビエト的法の主観的な. るもの1客観的なるものは︑社会にたいする法的現実の二分化に基づくものである︒即ち︑それは︑市民−国家関係 ︵22︶. の主観ー客観の現実構成に対応する︑﹁規範︑法律︑国家法規としての法と︑これらの法規の範囲内で一定のかたち. で行為する主体の可能性︑権能としての法﹂への分化である︒従って︑客観的意味における法とは︑﹁当該国︑時代 ︵23︶. の法制﹂であり︑主観的意味における法とは︑﹁この法制に基づき︑そしてその範囲内で︑多様な法律的関係の参加. 者の側に生ずる具体的可能性︑権利︑義務﹂である︒そして︑その際︑この法の主観的なるものー客観的なるものの. 法︺にたいして根本的︑端緒的であって︑両者は連続性の. 分化は︑相互の間で弁証法的に統一されてはいるが︑それは同質性を意味しないし︑また﹁統一なるものの二分化﹂ ︵24︶. ︵25︶. ともみなされない︒あくまでも客観的法が主観的権利︹. 権利は︑一般的法律規範の具体的動的現象として解釈. 関係において結合される︒それはまた︑次のことを意味する︒客観的法は︑動的具体的権利・義務︑法的連関ならび に法的関係の抽象的︑静態的表現として解釈され︑主観的法. 法律と主観的法 権利とのこのような連関・相互作. ︵26︶. される︒法の主観的なるものー客観的なるもの︑即ち客観的法. 用が︑社会の法的規制メカニズムにおいて︑いわば規範と現実とを結びつけることになるのである︒.

(25) ︵27︶. かかる法の主観的なるもの1客観的なるものの分化に基づいて︑主観的権利︵これはこれで特殊具体性f一般性の ︵28︶. 二元的形態をとる︶が導出される︒即ち︑主観的権利とは︑﹁同時に客観的法規範でもあって︑法律的に承認された. あれこれの社会的福祉の利用権の主体の可能性﹂である︒従って︑主観的権利に特徴的な点として︑①主体への帰. 属︑②客観的法規範に基づいていること︑③国家・法によって保障された︑主体の一定の行為可能性︑④何らかの社 ︵29︶ 会的福祉の獲得に向けられていること︑⑤社会と個人の統一において実現されること︑などがあげられる︒ ︵30︶. それでは︑この主観的権利は︑基本権存立にとって如何なる意味を有するであろうか︵これは︑逆に言えば︑基本. 権の主観的権利性の問題である︶︒前章で個人−社会関係における基本権の問題を検討した際︑我々は︑社会成員た. る個人にとって︑社会現実が主観ー客観の弁証法的連関において構成され︑そして基本権がかかる連関を現実的基礎. にもつ点を指摘した︒このことは︑市民ー国家関係に敷写した場合︑主観的権利の法的現実性︵更には基本的の法的. 現実性︶の問題となる︒そして︑この法的現実性のメカニズムにおいて︑基本権と主観的権利の関連がみいだされる. のである︒即ち︑社会内存在としての人間︵個人︑市民︶の︑市民ー国家関係における法的現実は︑個人f社会関係. 客観的現実としての基本権︶として構成される︒従って︑基本権と主観的権利の関. ︵31︶. における彼の社会的現実の主観−客観の構成に対応して︑特殊的︑具体的な主観的権利︵主観的現実としての主観的. 権利︶ー一般的な主観的権利︵. 連性は︑基本権が主観的権利の具体的性格←一般的性格との連関において︑市民の主観ー客観の法的現実のメカニズ. ムとなる点に存するといえよう︒そして︑このことは︑前述した市民の法的地位の原理としての基本権の位置づけと. 一=九. あいまって︑一方で主体の権利実現プ・セスと︑他方で社会の法的規制メカニズムの機能プ・セスとの連関としての 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(26) 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. 二二〇. 憲法から生ずること︑②基本権は︑市民−国家関係のう. 市民の法的現実を意味する︒従ってここから︑次のような基本権の特徴がひきだされるであろう︒①基本権は︑具体 的法関係に基づいて生ずるのではなく︑直接国家の基本法. ちで憲法的権利に媒介される関係のみの表現形態であること︑③基本権は︑市民の法的地位の属性ないし原理である. こと︑④基本権の内容・範囲は同一であること︑⑤基本権は︑自らの内容範囲の具体化に際して︑主観的権利を伴う. こと︑⑥基本権の保障は︑個人的に行われるばかりでなく︑社会的制度によっても行われること︑そして最後に⑥基 ︵32︶. 本権は︑社会の法的規制メカニズムの要素であること︒このような特徴づけから示されることは︑基本権が︑共産主. 義建設に向けた︑社会主義的民主主義のより一層の展開と現存社会の最適管理という現代ソビエト社会の二つの相即 的ないし相補的な要請に対応して︑存立せしめられていることである︒. このようにして︑我々は︑基本権が市民−国家関係において如何に存立するかをみてきたのであるが︑それは︑要. 基本権︶への転成︑そしてこれが今度は市民の法的地位の属性として︑遡行的プ・セス. するに︑市民の法的現実の主観−客観に対応した︑主観的権利の特殊︑具体的なるもの←一般的なるもの︑更に国家 の基本法 憲法上の権利︵. を経て市民に還帰するメカニズムをとるものであった︒それはまた︑基本権が法の主観的なるもの−ー客観的なるもの. の二分化︑そして主観的権利の具体性−一般性の二元化に基づいて︑主観的性格と客観的性格をもつことを意味す. 主観的権利とすることで︑その主体的契機︵更に社会主義的民主主義の活性化契機︶を. 国家・法的制度とすることで︑その社会の法的メカニズムの要素たることを意義づけることに. る︒このように︑①基本権 意義づけ︑②基本権. よって︑基本権の現実性がこれら①︑②の連関において構成される点が︑現代ソビエト基本権の特徴といえるであろ.

(27) ヤ. も. ち. ヤ. ヤ. う︒そこでは︑基本権は︑その主観的権利的性格にもかかわらず︑それが前述した社会的同質性︑個人−市民の利益. の統一という現実的基礎に依拠しているが故に︑社会の法的規制メカニズムとしての国家・法的契機によって︑その ︵33︶. 主観的闘主体的契機が上からの︵制度の︶貫徹として現実化︵主体による受容羅内在化︶されるメカニズムをとるこ. とになる︒即ち︑︹社会i人間︵個人︑市民︶ー国家︺という連関構造における社会現実の主観−客観と法的現実の. 主観−客観に対応する︑現代ソビエト社会における基本権構造は︑①社会的現実における社会的同質性︑個人i利益. の統一を前提にして︑市民ー国家の利益の統一︑市民−国家関係がなりたっており︑②基本権は︑この関係の法律的. 制度化された基本権を受容踊内在化すること. 形態といういわば関係性として措定されることにより︑社会の法的規制メカニズムの一環とされることから︑③この. 制度化された基本権は社会内存在たる人間に対侍し︑彼はこの客観化. で︑自らの主観的現実を構成することになる︵基本権の現実性の完成︶︑という事態を呈するのである︒. 4︶︵35︶. ところで︑基本権存立のかかる事態を︑新たなカテゴリーを導入して﹁解釈﹂する試みとして︑近年登場した社会 ︵3 主義的﹁人権﹂︵ないし﹁人の権利﹂︶冒窓器毒蓼零臣﹈論が存する︒新たなカテゴリーとしての人権︵あるいは人. の権利︶とは︑それを主張する論者によれば︑﹁全社会的現象であって︑それは客観的に生じ︑それらの国家的承認 ︵36︶. ︵37︶. から独立に︑即ち立法者の意思から独立に存在する﹂︑つまり﹁国家の賜物ではなくて︑人々の物質的関係の産物﹂. である︒そしてこの人権の国家的承認の産物が市民の法律的権利である︒このように︑基本権と並置して︑あるいは ︵38︶. その前提として人権を設定することにょり︑基本権を︑人間的社会においてとる多様な関係に基礎づけようとするの. 二一二. が︑この立場である︒それは︑序で述べたアプ・ーチをとる従来の立場に対して︑社会的諸関係の総体としての人間 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(28) 9 ︵ 3︶. 早稲田法学会誌第二九巻︵一九七八︶. ︑. ︑. ︑. 二二二. 本質の唯物論的解釈に依拠することにより︑基本権の源泉を︑社会生活ないし社会的諸関係の諸条件に求めるもので. ︵40︶. ある︒従って︑この立場は︑基本権のほかに人権を設定することで︑権利概念を国家レベルから社会レベルにまで拡. 社. 張し︑そのことで社会成員たる人間︵個人︑市民︶の権利主体たる地位︵腿法的地位︶を強化しようとするものであ. ︵41︶. る︒その場合︑人権とは社会学的カテゴリ!であって︑法律的カテゴリーでないことが確認される︒即ち︑人権. 人権. 1法律的カテゴリーの区別を承認しつつ︑人権論者は︑︹︵個人︑市民︶︺として人間が社会︑ 会学カテゴリーと基本権1. 国家との連関でもつ両権利の関連を強調する︒つまり︑基本権とは︑﹁何よりも人間の本質的︑基本的諸権利︹ ︵42︶. ー筆者1︺の国家的承認およびそれらの憲法への昇化の実際﹇弓舞旨鋸弓窃冨目①霞菖である﹂︒. それでは︑この立場の試みは︑如何に評価されるであろうか︒或る論者によれば︑人権カテゴリーの提示それ自体 ︑. ︑. ︵43︶. に問題はない︒このカテゴリーは本質的に法律的カテゴリーではなく︑従って法律的カテゴリーでもない︒それは︑. ただ個人の事実上の社会的状態および事実上の可能性︑彼の現実の社会的地位を表現しているにすぎない︒こうした. ヤ. ち. ヤ. 評価は︑主観的権利が社会構造のなかで成熟し︑そして社会発展の産物であって決して法律それ自体によって生みだ ︵44︶. されるものではないとして︑社会との連関を強調しつつも︑形式的には︵法律的には︶立法が主観的権利の源泉であ. るとして︑その連関を固定的に把握する従来の立場からの当然の帰結である︒とはいえ︑人権論は︑従来の国家・法. 法規範ないし法律とす. ︵45︶. 法の主観−客観の統一的把握ないし多元的把握が有力となってきたこと︑また基本権実. 規範的基本権論にたいして︑今日的潮流となっている︒それは︑﹁法の概念をめぐって︑法 る従来の説にたいして︑法. 現との関連で︑基本権ないし主観的権利を法関係内でのみ存在・機能するものとして把握する従来の説にたいして︑.

(29) ︵46︶. 法関係外での存在・機能を認める説が拾頭してきたことと相即的である︵最も人権論者がすべてがこうした法把握︑ 主観的権利の実在性把握をしているわけではないが︶︒. しかし︑この人権論は︑前述した基本権存立のメカニズムの現実的構成という観点からすれば︑従来の説の同様の. 問題を胎んでいるといえよう︒なぜなら︑人権論は︑社会成員たる個人の利益・可能性を﹁権利﹂化することにより︑. 個人−社会関係をも︑基本権存立の直接的契機としてとり込むことで︑社会−国家との連関における人間の地位を強 ︵47︶. 化するものであるが︑その際設定される人権は︑社会学カテゴリーとされることで単に﹁社会における客観的に存在. する可能性﹂にとどまるからである︒従って︑人権論においても︑基本権は︑本質的には︑市民ー国家関係の法律的. 人権を措定したとしても︑それは︑社会成. 形態︵法律的権利︶として措定される︒問題は︑まさにこの社会における客観的可能性の基本権への転成のメカニズ ムにある︒この点を無視するならば︑たとえ社会レベルでの人間の権利. 員の主観的利益・欲求ないし行為可能性の換言にすぎないことになる︒その意味で︑市民i国家関係における主観的. 権利ー基本権という構造把握と個人ー社会関係と市民−国家関係との連関における人権i主観的権利−基本権という. 構造把握とは︑人間︵個人︑市民︶の社会的︑法的現実の主観ー客観構成における基本権構造の観点からは︑基本権. 契機︵法制度・イデオ・ギー︶にとり込まれ︑そのことでそれが客観的側面H契. の現実性における同次元の欠陥を示すものといえよう︒前に検討したように基本権の主観的側面ロ契機︵主観的権利. 的性格︶が何故にその客観的側面. 機の実現プ・セス︵法的規制メカニズム︶と相即的にのみ実現されるのか︑そして︑このことが主体の社会的︑法的. 二二三. 現実にとって如何なる意味をもつのかは︑これら二つの基本権構成からは明らかにされない︵我々が序で示した第三 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

(30) 早稲田法 学 会 誌 第 二 九 巻 ︵ 一 九 七 八 ︶. のアプ・ーチの意味がここに存する︶︒このことは︑まさに両者が現代ソビエト法学 ︵48︶. 二二四. 憲法学の課題︵①発達した社. ︵49︶. 会主義社会の最適管理のための法ないし法規制の役割の昂揚の条件︑②社会主義的民主主義の拡大条件︑③①︑②と. 関連する個人の権利・義務︑責任の究明︶に対応した理論構成をおこなっていることから生ずる結果でもある︒. 一零ρ3マ謡O寓6﹄①︾. と資源利用﹄︵法律文化社︶所収︶︑一九一ー一九二頁参照︒なお︑全人民国家形成時期を一九三六年とする説として︵後に. ︵1︶ 杉浦一孝﹁ソ連における社会主義の勝利と一九三六年憲法の成立﹂︵社会主義法研究会編﹃社会主義国における自然保護. 改説したが︶︑6墨>●戸ズ09月匡FOo躍憲﹄=自悶4R民oo80︾h凶℃6鵠P三. 国ぼ拐ぽぽく8BoBびRa. ︿o一・N♪20︒ω. 一導轟曙一〇お︒. 器8暮︒富躍︒ω日誓︒の︒≦9島︒︒曙︒︷暮︒ω鼻ρ. ︽ωoく一9ω9象oω︾. 且笙一〇h昌︒︑毘・需︒℃一︒げの翼︒.. 890島8蔓o︷ωo≦9ω一魯魯ooユ. ︵2︶Oい>・ω︒国毒昌ω℃冒●矯oPo凶fサ畠ドなお︑フルシチョフとソビエト国家理論との関係につき︑oいρ︾ωユ昌匡oざ. ︵3︶Oh.戸国●囚き9↓冨﹃一ω︒. ︽ωo≦gωε象︒ω︾℃︿o一・卜oρ20﹂一冒一鴇一80︒り唱.o ︒o ︒●. ︵4︶R﹂玄負箸ヒ㌣Oω・なお︑トポールニンは︑今日における国家構造ブ・セスの二方向︵①管理労働の分化︑国家機関の. 専門化の必要性︑②管理統合︑共産主義建設の課題の遂行のための新たな機関の創設・強化︶を指摘するが︑これはまさに. 国家のより一層の強化路線を示すものであろう︒O罫φ軍↓o目o℃=畿F︾歪ω・o鋸亭卸3y認・ ︵5︶. 気憲ω︒=o﹄胃蚤o突雷oマ薗鵠田貴属国窟ω塁888月畿自︒﹄蓉壁器良080α員03塁噂oも・ooρ. 切.甲目万壁雪F蜜器ω︒8f3マ9●. 甲>・﹃︻胃δ碧F翼器︒8零ぴ国も召﹂田・. ︵7︶. 9受歪ω︒コo自↓蚤①爵窒o胃壁器貰塁冨ω塁↓038量鎖養3釜①突030α扁︒田的も↓マ8・. ︵6︶. ︵8︶. クチーンスキーは︑法的関係を︑法によって規制された意思的な︵具体人の意識を通過した︶社会的関係であると述べて. O客づ>●団goFコo彊醤器︒蚕oo竈o目①重国8員塁自8き①良08望冒︸三●しO刈ρ6も﹄一●. ︵10︶. ︵9︶.

(31) いる︒O罫堕>︒ズ図4寓胃民国芦﹄寓4=OO↓﹃∩国OαOh自o. 冒℃o 自 切9し≦寓国Oき一8鐙O↓POωあ. .. ヴォエヴォーディンによれば︑個人と社会の間の最も重要な関係とは︑社会的富の生産・分配にかかわる個人の地位との. O言ω︒>●口胃δ碧鮮﹁oo道9︒需冨o=慧臣03ぴ国O∩Oア三. 一〇謡もも.一ド. ︵11︶. 関連で形成される関係である︒O客﹄︒泪●切o畠o>謡F望歪ω●8f3マ合︒. ︵2 1︶. O琴甲> ・ 口 零 δ 憩 F 侵 塁 ω ● 8 4 ● も も ● 一 ω .. この相互関係のなかで︑個人の自由が形成されるための必要条件につき︑o罫甲︾コ欝δ﹄臨F曳器騨o暴畠卸3マ嶺曾. ︵13︶. ︵14︶. 例えば︑ヴォエヴォーディン. 政治関係の二面性につき︑6罫7>●切①旨09曳臣ω.8鴻. ﹁憲法上の権利・義務は︑基本的︵憲法的︶権利・義務においてのみ媒介されうるソビエ. 3マ刈9. ︵16︶. ︵5 1︶. o・︶. 8マ謡・︶パチューリン. ﹁基本的権利・義務制度は︑⁝⁝市民と国家との間の連関の法律. ト市民とソビエト国家の間の関係および連関を表現している︒﹂︵Oo器需否の3qh巷oヨ①臣oΦ目醤8もゼ﹂ミ⁝鋸ズ製ρ. 三. 一〇お︸8℃.NO. .. O峯づ鐸三雪呂①潮﹄蚤=o︒弓ぴ國h窪o苔鷲堅も釜国.∩o切8突程h窪oる鶏塁・幕冨o>窓ω昌↓o﹃08屋薗碧署薗い. 的形態である︒﹂︵甲ンコ雪δ﹄踏F望ス器︒8fo壱●旨O. 員員・切080h属F図器ω・8粛. ︵7 1︶. O寧属器・Oo切①月突oΦ3︒檀宕℃︒鵠o臣oo昌Ω ︒国oもも.匠伊. 8〜8掌旨ド. 市民の法的地位の原理として︑これら二つの他に︑①権利の一般的実現可能性と義務の不可変性︑②市民の同権︑③社会 主義的ヒューマニズムが指摘される︒Oき鼻員・切o畠o>=F堵臣ω. ︵18︶. ︵9 1︶. 基本的権利・義務の統一に関して︑当然基本的義務の理解が前提とされねばならないが︑本稿では基本的義務それ自体に. 一零9. 二二五. 触れることはしない︒これについては︑以下の文献を参照されたい︒甲>・三碧旨窪苺民09ズo鶉↓=↓曳員国o=寓望ooαお㌣. ︵20︶. ↓角国製の.. 0墨軍鼠・客薗昌ω09属薗ω・8躍40も・一9. 臣oo旨8国魯突巽召薗製>薗員三 ︵21︶. ︵22︶. 現代ソビエト基本権の存立構造論︵小杉末吉︶.

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